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玄米の総窒素量および米たんぱく質含量におよぼす穂揃前または穂揃期窒素追肥の効果-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川大学農学部学術報告 第28巻第60号157−161,1977 157

玄米の総窒素量および米たんばく質含量におよぽす穂揃前

または穂揃期窒素追肥の効果

鈴木博雄,長島豊明,山下勝三,杉沢 博

EFFECTS OF NITROGEN TOP−DRESSING AT BEFORE OR

FU工.L HEADING STAGE ON TOTAL NITROGEN AND RICE

PROTEIN CONTENTSIN BROWN RICE

HirooSuzuKI,ToyoakiNAGASHIMA,KatsumiYAMASHITA

and

HirOShiSuGISAWA

InordertodeterminetheassociationofraisednitrogenCOntentinbrownricefedbynitrogen

top−dressingatfu11headingstagewithriceprotein(albumin,globulin,PrOlamin,andglutelin)

contents,albumin,globulin,prOlamin,andglutelininbrownrice(60−meShpowder・defattedwith

petroleumether)wereextractedbywater・,5%NaCl,60%ethanol,andO4%NaOH,reSPeC−

tively,Withaslightmodi丘cationofthepercolationmethodbyMAES

TheproteinextractionyieldsvariedfilOm64l0%to94一5%andglutelinwasthepredominant

丘actioninthewholeprotein(about80%)u Glutelincontentwaspositivelycorrelatedwithtotal

nitrogen contentin brown ricc samples of eight varieties employedin this experiment・No

correlationbetweentotalnitrogencontentandeitherprolaminorglobulincontentwasobserved

ThenitrOgentOp−dreSSlngatfhllheadingstagecausedincreasesinglutelinlevelsaswellastotal

nitrogencontentsinbrownricesamplesofthreevarieties)butthenitrogentop−dressingatbefbre

headingStagedidnotcauseanychangesofthem

稲の穂揃期の窒素追肥によって生ずる玄米中の窒素含最の増加の内容を探るため,MAESのpercolationcolumn法 に準じた抽出法を用い,米たんばく質のアルブミン,グロブリン,プロラミン,グルテリンをそれぞれ水,5%食塩水, 60%エタノール,0‖4%カセイソ・−ダで腰に抽出し,その蒐的変化を検討した. 浸出法による窒素回収率は64,0′・叫・94小5%となり,米たんばく質中に占めるグルテリンの割合は約80%と夜ったり 玄 米絶望素盈の品種間での変動とグルテリン盈の変動との間に相関が認められ,従来知られているプロラミンとの関係 は得られなかった.穂揃期窒素追肥によって生ずる玄米中窒素含量増加もグルテリン区分の増加によって代表され, 他のたんばく質区分の変化はをく,この傾向はこの実験で用いた3品種(ミョウジョウ,マンリョウ,ハルカゼ)に ついて同様に認められた−稲の穂揃前窒素追肥によっては,玄米中空来合亀 グルテリン含意ともに影響されをかっ た. 緒 米たんばく質は他の穀粒たんばく質に比べ栄養的に良質をものとされる..その理由は,穀粒たんばく質中一・般に少 いとされるリジンが 比較的多いことによると思われるが,・−・方において,米たんばく質を主なるたんばく質源とする 飼料にリジン,スレオニンを補足することにより,ラットの成長が促進される(1)等の事実も知られ,米たんばく質の 質的改善の余地を残している.

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鈴木博雄,長島豊明,山下勝三,杉沢 博 香川大学農学部学術報告 158 米たんばく質の玄米中の含盈は,現存する品種の中で9′0%から14し7%の聞に分布し,乾燥重量当りの含畳で平均 60%の値が得られているい.JuLIANOらば2),この高たんばく質系統の米の交配種から得られた高たんばく質米のた んばく質含量の増加が,米たんばく貿として知られているアルブミン,グロブリン,プロラミン,グルテリンのうち, 後2者の増加によることを明らかにしているが,リジン含盈については総たんばく野鼠と負の相関を観察した. 米たんばく貿含量は栽培条件が興ると放高7%の違いを生じ,最近,平らも(3),稲の穂揃期窒素追肥によって,玄 米中の窒素含蒐が増加することを見出しているlこれと同系統,同栽培条件の試料米について,米たんばく褒の量的 変化の特徴を得る目的で,まず,玄米総窒素含最と4種たんばく質の含魔の関係,特にグルテリン,プロラミン盈の 変化とのかかわりを検討した. 方 法 1‖ 供試米 供試米として,静岡県45年度産6品種(南海42号,金南風,千秋楽,ハルカゼ,ホウヨク,クサナギ),および農 業技術研究所(鴻巣)より人手した45,46年度米3品種(マンリョウ,ハルカゼ,ミョウジョウ)について検討した ただし,農技研より人手した試料は,Tablelに示したような施肥条件に従って栽培されたものである Tablel… Designofexperimentsofnitrogentop・dressingatbeforeand/orfhllheadingstage Nitrogentop−dresslngat Varieties Basal

dreSSl喝

befbreheadingstage

fu11headingstage

匝 2222 g l l l l NIJ N 一針0 0 0 0 m N .引0 4 0 4 m Miy(1jる

Miyqj6−N

ManryO

Manryo−N

0 0 4 4 0 0 4 4 Ha工ukaze Harukaze−N HaTuka2:e−N′ Harukaze_N′N Manryo ManIyO・・N ManIyO−N′ Manryo−N′N 2 2 2 2 2 2 2 2 0 4 0 4 0 dT O 4 2。たんばく質の抽出および粗たんばく蕊の走塁 玄米を60メッシュに粉砕したのち,石油エーテルで脱脂後たんばく質抽出用試料として用いた..米中の4種のたん ばく質の抽出は,MAESのpercolationcolumn法(4)を応用したJuLIANOら(2)の方法に準じ行った.column(25× 3.5cm)にガラスウールをうすく敷きつめ,その上に海砂5g,セライト2g,セライトおよび玄米試料を6:1の割合で 混ぜたもの14g,セライト2g,海砂2gの順にのせ,股後にガラスウ・−リレで内容物を固定した状態で最もよい再現性が 得られたため,以後の本実験ではこの条件に従い,たんばく質の抽出を行った.水,5%食塩水,60%ェたノ・−ルお よび0.4%カセイソー・ダで,順に,アルブミン,グロプリン,プロラミン,グルテリンを抽出し,たんばく質の抽出 されてくる様子せFig.1に示した(280nmの吸収で表わした).特にグルテリンの抽出では流速の影響が大きく,こ こに用いた条件のカラムでは4ml/時間より遅い流速で良好な抽出効率が得られた. 玄米中の総窒素盈および抽出液中の窒素盈は,ミクロケルダール法で測定した.玄米中の各たんばく質量の分析借 は,同一・試料米について2∼3回浸出法による抽出を行った結果の平均値としてあらわした..

(3)

第28巻第60号(1977) 米たんばく貿含量におよぼす施肥の効果 159 200 300 400 Fractions of 20ml 500 】00 Fig。l… Solubilityf王aCtionationofproteinsofa60−meShbrownricesample bypercolation小 結果および考察 静岡県産普通栽培米6品種について浸出法によるたんばく質抽出を行った結果をTable2に示した..米たんばく貿 中グルテリンの占める割合は平均80%を示し,従来行われている米の分析値と−・致したい 回収率は79…8∼94一5%と一・ 足していないが,個々の試料の分析備には再現性が認められるところから,試料米個有の性質に基づくもので,分析 方法によるばらつ垂では凌いい この回収率は,米を60メッシュに粉砕した試料を用いての借であり,JuLIANOら(2〉が Table2.ContentsoftotalnitrogenandproteinfiaCtionsinbrownricesamplesofsixvarieties Proteinfkaction VaIieties ExtraCtion e瓜ciency

albumin globulin prolamin glutelin

(mgN/gofbrownrice) 0.70 1、10 O 35 080 1.25 0い3−5 0,75 1け05 0.55 0.95 0.90 0.40 090 1.15 O 45 0.95 1..00 0.35 ︶ OU 4 7 8 9 5 偶79.朗94869391 Nankaト42g6 Harukaze Hriyoku Kinnampu Kusanagl SenshQraku 5 5 0 0 0 0 う 9 3 4 8 ﹂ 2 2 q︶q帆 ▲ぺ 4 40 鋸25404560 7 0U ︵u 9 0 0 0 0 2L 2 2 0 8 6 6 9 9 0 0 0 5 ■.︶ 0 AnalysISOfvarial−Ce: Standard error r1 0い08‘7 0一.099 0.065 0.94 +0一82−7* −0353 」−0.167 ・+0.921***

l,Correlation coe侃cient between thecontents oftotalnitrogen and protein fiactionin brownrice Samplesofsixvarieties” *P<OhO5,***P<001.

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鈴木博雄,長島豊明,山下勝三,杉沢 博 香川大学農学部学術報告 160 40メッシュ.の試料で64.9′・叫一702%,100メッシュのもので847∼86.9%の回収率を示したのに比べ,ほぼ同等の分析 偶が得られたものと思われる.玄米の総窒素畳の順位とグルテリン蒐の順位とは全く一一・致したが,プロラミン,グロ ブリン,アルブミン最には,玄米総窒素晃との関係は認められなかった、 栽培条件を異にした試料米,ハルカゼ,マンリョウ,ミョウジョウの3品種を用いて,上と同様,総窒素最の変動 と4種のたんばく賀の動向について検討した結果をTable3−1∼Table3L3に示した”表3−1にほ,45年度産のマン Table3Ef7bctsofnitrogentop−drcssingatbe払reand/orfu11headingstageonlevelsoftotalnitrogen andprotein丘actionsinbrownricesamplesofthrccvarieties (3−1) PrOtein丘action Extraction e抗ciency

Total −…−

N content albumin Varieties

globulin prolamin glutelin total

(%) 64小1 92い4 91い9 84、6 (mgN/gofbrownricc) l.20 l.20 0.25 1,l5 1.45 0り25 115 1.10 0.40 1.15 1,45 0.35 0 0 0 0 8 8 8 00 0U 4 9 0 5 5 ︻hJ 5 4 6 4 7 L 7 2 3 5 0 う 5 8 1 5 7 9 3 6

Miyqji,

Miyqj6−N

ManIyO

ManIyO−N

尺J O 5 0 4 り︷ 7 9 00 0 8 9 0 5 5 5 4 4 7 9 9 1 9 0 7 0U 7 8 8 6 7 ■〇 7 7 −J 9 5 5 0 EJ 92 0 〇 O IL L L 5 0 −.〇 5 9 2 6 7 1 3 2 2 1 1・▲ l l HaIukaze HaIukaze−N Harukaze−N′ Harukaze−N′N 0 5 0 5 3 −﹂ 3.1 ︵U 1O l山 ■−▲ l l l ︻hlJ ⊂J O 5 3 q肌 ■曾+ウ止 ▲4 77 74 81 81 4 9 9欄 8 ﹁﹁︶ 5 にJ EJ O q︶ q︶ 0

1〇 O 1

仁J ハU O 5 7 8 〇 .1 0 0 L 1. 2 2 QJ 5 −.〇 ︻hJ 尺J O 5 0 5 5 ワ叫 9 7 −▲ ︻∴ OU 6 8 Man‡yO ManIyO−N ManryO・N′ Manryo−N′N リョウ,ミョウジョウの2品種について,忍肥のみ,および基肥と穂揃期に窒素を追肥した条件で栽培した試料米の 総窒素含盈と,各たんばく貿の分析値を示したいずれの品種とも,窒素の追肥により玄米中線窒素盈の増加ととも にグルテリン区分の窒素含量の増加が認められ,他のたんばく区分の変化はなかった.Table3−2,Table3h3は,46 年度産マンリョウおよびハルカゼについて,劉巴のみ,基肥と穂揃期窒素追肥,盈肥と穂揃前(20日前)窒素追肥, 基肥と穂揃前窒素追肥および穂揃期窒素追肥,それぞれの施肥条件で栽培した試料玄米中の総窒素含量と各米たんば く質を分析した結果であるTable3−1に示した結果と同様,穂揃期追肥により,穂揃前追肥の有無にかかわらず, 総窒素含盈の増加と,同時に,グルテリン区分の増加を認めた.穂揃前追肥の効果は総窒素含量,グルテリン含意い ずれにも認められなかった.さらに今回用いた試料米全てについて,その玄米中総窒素含盈に対するグルテリン含盈 (回収率を100%とした時の数値として表わした)をプロットしたものをFig−・2に示した.明かに,玄米総窒素盈と グルテリン盈との間に相関が認められた. 米の品種間でみられる玄米中松たんばく盈の違いが,主にグルテリン区分の違いであることば尾崎ら(5),STURGIS ら(6〉,加LIANOら(2)によって明かになっているが,アルブミン,グロブリン,プロラミンの動向についてはそれぞれ 興った結果を示している.STURGISら(6)は,アルブミンとは負の相関を,プロラミン,グルテリンで正の相関を指摘 し‥JuLtANOら(2)はグロブリン,プロラミン,グルテリンでいずれも正の相関があったとしているい著者らの結果は アルブミン,プロラミンについては品種間の変動は幾分認められ,品種によっては分析不可能な場合も生じたが,玄 米総窒素含量の変動とは一・致しをかった. 米の総たんばく質の中でグルテリンの占める比率は高く,しかも白米中のたんばく質としてグルテリンが占める割

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第28巻第60号(1977) 米たんばく野合畳におよぼす施肥の効果 161

︵の0こじきO﹂点−○ぞZロ∈︶ ;gU8∪ニ空っ一口

20い0

t5.O 17.5

Totalnitrogencontent(mg/g ofbrown rice)

12.5 Fig2.Relationshipbetweencontentsoftotalnitrogenandcrudeglutelin“ 合がさらに多くをっていることからもわかるように,従来調べられている精白米のアミノ酸組成はグルテリンのそれ に類似したものとなっている小 さらに,米の品種間のたんばく貿含量の変動,高たんばく質系統の稲相互の交配によ って得られた品種のたんばく貿含量の変動,および今回明らかにした施肥条件の違いによって起るたんばく貿含盈の 変動いずれもがグルテリン含盈の変動にあることから考えても,白米中たんばく質のアミノ酸組成がグルテリンのそ れとそれほど大きく変ることば考えられをく,.JuLIANOら(2)の示した,リジン, ロイシン,トリプトファン盈の,米 たんばく質含盈との明らかな負の相関についても,グルテリン以外のたんばく質の変動によるよりは,むしろ,グル テリン自体のアミノ酸組成の変化に原因していると思われる” 沢井,森田ら(7)ほ,異なったアミノ酸組成をもつ3つのグルテリンサブユ・ニットの存在を明らかにしたが,今後, グルテリン盈に影響をおよぼす要因が,上のそれぞれのサブユニットに対してどのように不均衡な影響をおよほすか 検討する必要がある. 終りに臨み,試料米を提供していただいた虚業技術研究所の富田豊雄博士,松崎昭夫氏に感謝致します.なお,本 研究は日本虚芸化学会中部支部,関西支部合同大会(昭和47年10月,岐阜)において報告した. 引 用 文 献 (5)尾崎 乳 森山真明:土肥詰,23,146(1953). (6)STURGIS,F.EリMIEARS,RJ。,WALKER,RりK,: 属砂βfα.7セcゐ.βぴ〟り466(1952)巾 (7)SAWAI,H。,NIKAID6,H…,MoRITA,Y.:Agr.Biol αe∽.,34,1039(1970) (1976年9月30日 受理) (1)吉田 昭,芦田 浮:栄養と食糧,20,432(1968) (2)CAGAMPANG,G”B,CRUZ,L.J.,EspIRITU,S、G。, SANTIAGO,RG.,Jul.IANO,B小0”:αrealαem小, 12,145(1966)い (3)平 宏和,松島省三,松崎昭夫:日作紀,39,33 (1970)、 (4)MAES,E.:Ge加よ滋肋ゐJ,14,17(1964).

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