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工業高校における生徒の自己概念研究の展望と課題

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教 育 研 究 論 集 第1号 (2011年 2月発行)

< 論 文 >

工 業 高 校 に お け る 生 徒 の 自 己 概 念 研 究 の 展 望 と 課 題

島 田 和 典 , 森 山 潤

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MORIYAMA

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キ ー ワ ー ド : 自 己 概 念 , 工 業 高 校 , 生 徒 , 教 科 工 業

Keywords :

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はじめに

本 稿 の 目 的 は , 工 業 高 校 に お け る 生 徒 の 自 己 概 念 研 究 に つ い て , 関 連 す る 先 行 研 究 を 整 理 し 今後の研究課題を展望することである。 高等学校(以下,高校)は,高等学校設置基準第6条によると,

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普 通 教 育 を 主 と す る 学 科J(以 下,普通科),

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専 門 教 育 を 主 と す る 学 科J(以下,専門学科),

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普 通 教 育 及 び 専 門 教 育 を 選 択 履 修 を 旨 と し て 総 合 的 に 施 す 学 科J(以下,総合学科)の 3つ に 分 類 さ れ るo こ の う ち , 工 業 高 校 とは,

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専 門 教 育 を 主 と す る 学 科 」 の つ で あ る 「 工 業 に 関 す る 学 科J(以下,工業科)を設置し ている高校のことを指す。 工 業 高 校 は , 将 来 の 我 が 国 に お け る 創 造 的 な も の づ く り を 支 え る 優 れ た 実 践 技 術 者 の 基 礎 能 力 の 育 成 を 担 っ て お り , こ れ ま で , 日 本 の 経 済 発 展 を 支 え , 若 く , 質 の 高 い 労 働 者 を 数 多 く 輩 出 し て き た 。 工 業 高 授 の 卒 業 生 の 多 く が , 我 が 恩 の 各 種 産 業 界 に お い て 現 場 を 支 え る 中 核 と な る 実 践 技 術 者 と し て 活 躍 し て い る 九 工 業 高 校 は , 機 械 科 , 電 気 科 , 建 築 科 等 の 小 学 科 ( 注 1 ) を 設 置 し て い る 。 同 様 に , 商 業 高 校 や 農 業 高 校 と い っ た 専 門 学 科 を 設 置 し て い る 高 校 を 専 門 高 校と呼んでいる。かつては職業教育に重きをおく職業高校と呼ばれていたが,

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職 業 教 育 は 職 業 高 校 だ け で 行 な わ れ る も の で は な く す べ て の 人 に と っ て 必 要 な 教 育 で あ るJ2)という点から, 「職業高校j と い う 呼 称 を 「 専 門 高 校J と 改 め ら れ て い る 。 ど は 言 え , 高 等 学 校 に お け る 職 業 教育は,専門高校を中心に展開され,その分野は,農業科,工業科,商業科,水産科,家庭科, 看 護 科 , 情 報 科 , 福 祉 科 等 様 々 で あ る 。 専 門 高 校 は , 優 れ た 職 業 人 を 多 数 育 成 す る と と も に , 望 ま し い 勤 労 観 ・ 職 業 観 の 育 成 や 豊 か な 感 性 や 創 造 性 を 養 う 総 合 的 な 人 間 教 育 の 場 と し て も 大 き な 役 割 を 果 た し て い る 3)0 2009年 5月 現 在 , 専 門 高 校 の 生 徒 数 は , 約 66万 人 で あ り , 高 等 学 校 の 生 徒 数 全 体 の 19.7%を 占 め て い る 。 こ の う ち 工 業 科 に 所 属 す る 生 徒 は 約 27万 人 , 次 い で 商 業 科 が 約 22万 人 , さ ら に 農 業 科 が 約 9万 人 と 続 き , 専 門 高 校 と し て 工 業 高 校 が 果 た す 役 割 は 大 き い 。 近 年 で は , 工 科 高 校 や 科 学 技 術 高 校 と い っ た 名 称 の 高 校 が 見 受 け ら れ る よ う に な っ て き て い る 。 ま た , 地 方 等 の 小 規 模 校 で は 普 通 科 や 他 の 専 門 学 科 と 併 設 し て 工 業 に 関 す る 学 科 が 設 置 さ れ て い る 場 合 も あ る 。 し か し , こ れ ら の 高 校 , 学 科 も 上 記 し た 設 置 基 準 に 則 っ た も n w u z u

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島田和典 工業高校における生徒の自己概念研究の展望と課題 のであり,工業科の範蒔として捉えることができる。本稿では,これらの工業高校で学ぶ生徒, 言 い 換 え れ ば , 工 業 科 に 所 属 し て い る 生 徒 を 指 し て , 工 業 高 校 生 と 呼 ぶ こ と に す る 。

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工 業 高 校 の 現 状 と 課 題

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教 科 工 業 の 目 標 と そ の 変 遷

工業高校における教育課程は,普通高校と同様に,高等学校学習指導要領に規定されている。 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 に 示 さ れ る 各 教 科 は 大 別 し て , 普 通 教 科 と 専 門 教 科 に 分 け ら れ る 。 専 門 教 科 と は , 主 と し て 専 門 学 科 に お い て 開 設 さ れ る 教 科 ・ 科 目 を 指

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工 業 科 や 農 業 科 と い っ た 各 専 門 学 科 に 対 応 し て , 教 科 工 業 , 教 科 農 業 等 が 設 置 さ れ て い る 。 ま た , こ れ ら の 専 門 学 科 の 教 育 課 程 に お い て も , 普 通 教 科 と し て の 必 修 科 目 が 設 け ら れ て い る 。 し か し , 専 門 高 校 で は 一 般的に,専門教科の科目が教育課程全体に対して,約 30~40% と大きな割合を占める場合が多 い 。 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 で は , 専 門 高 校 の 卒 業 要 件 単 位 74単 位 以 上 に 対 し , 専 門 教 科 ・ 科 目 に つ い て す べ て の 生 徒 に 履 修 さ せ る 単 位 数 は .25単位を下回らないこととされている。 教 科 工 業 を 規 定 す る 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 は . 1951年 の 試 案 に 始 ま り . 1956年. 1960年, 1970年, 1978年, 1989年, 1999年 と 約 10年 ご と に 改 定 さ れ て き たo また, 2009年 に は 次 期教育課程が公示されている。 1951年 , 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 が 試 案 と い う 形 で 文 部 省 よ り 示 さ れ た 。 と れ は 教 育 基 本 法 に 則 り , 学 習 の 指 導 を 具 体 的 な 形 で 示 し た も の と 言 え る 。 と れ 以 降 , 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 の 改 訂にあたっては, 1950年(昭和 25年)の教育課程審議会令(昭和 25年 政 令 第 86号)により設置 された教育課程審議会が審議する機関となっている。なお,この機関は, 2001年(平成 13年) 以 降 , 中 央 省 庁 等 改 革 に 伴 っ て 中 央 教 育 審 議 会 に 統 合 さ れ て お り , 現 在 は , 中 央 教 育 審 議 会 の 初 等 中 等 教 育 分 科 会 , ま た は そ の 中 の 教 育 課 程 部 会 が そ の 機 関 と な っ て い る 。 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 に 示 さ れ た 目 標 に つ い て , そ の 変 遷 を 表 1に 示 す 。 表 1より,全体を 術 敵 す る と , 試 案 か ら 1999年告示高等学校学習指導要領にかけて共通して,

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工 業 に 関 す る 知 識 や 技 能 の 習 得 」 が あ げ ら れ て い る こ と が 指 摘 で き る 。 特 に 試 案 で は 工 員 」 や 「 工 場 事 業 場j と い う 言 葉 か ら 推 察 す る と , 具 体 的 に 製 造 工 場 で の 勤 務 を 想 定 し た も の で あ る と 考 え ら れ る 。 試 案 か ら 現 行 の 目 標 に 視 点 を 移 す と , 現 行 で は 「 社 会 の 発 展 を 図 る 創 造 的 な 能 力 と 実 践 的 な 態 度 を 育 て る 」 と い う 広 い 視 野 に 立 ち , 変 化 の 激 し い 時 代 に も 対 応 で き る 実 践 的 な 技 術 者 と し て 活 躍 で き る 人 材 育 成 を 掲 げ て い る 。 こ れ は , 製 造 工 場 等 に 限 定 さ れ な い 多 様 な 就 職 を 想 定 し て い る も の と 推 察 さ れ る 。 具 体 的 に み る と , 試 案 か ら 1970年改訂までは,

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基 礎 的 な 知 識 」 及 び 「技能 J の 「 習 得jが中心であったのに対し, 1989年 か ら は , 従 前 の 内 容 に 加 え 主 体 的 」 の 文 言 が 示 さ れ て お り , 生 徒 が 主 体 的 に , 工 業 の 発 展 に 資 す る 実 践 的 な 態 度 を 習 得 す る よ う 目 標を設定している。これと同時に, 1989年 の 改 定 よ り , 生 徒 の 主 体 性 を 重 視 し た 教 科 工 業 の 科 目「課題研究」が新設されている。さらに, 1999年改訂では,従前の育成すべき能力等を,

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工 業 」 と い う 視 点 か ら だ け で な く 「 社 会 」 と い う 広 い 視 点 か ら 捉 え て 習 得 す る よ う 設 定 さ れ て い る 。 な お , 次 期 教 育 課 程 で あ る 2009年公示高等学校学習指導要領では,従前の目標に加え, 環境及びエネノレギーに配慮し,技術者倫理を確実に身につけ,実践的な技能をあわせ持った技 術者を育成するという内容が明確に示されている。

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1951年 教 育 研 究 論 集 第1号 (2011年 2月発行) 表 1 . 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 に お け る 目 標 の 変 遷 高等学校における工業教育の一般目標 高等学校における工業教育は,将来,日本の工業の建設 発展の基幹である中堅技術工員となるべきものに必要な,技能・知識・態度を養成するもので,次の誇 目標の達成とめざすものである。 工業のそれぞれの分野において,工業の基礎的な技能,すなわち,計画設計および製図の技 (1)能材料の加工および組立の技能,工業製品の製造の技能,一般に使われる工具および機械の 使用調整修理試験の能力を習得する。 (昭和26年) (2)工業枝術の科学的根拠を理解し,これを科学的に高めるために必要な知識を習得する。 (試案) (3)工場事業場の運営に必要な各種の知識技能を習得する。 (4) 工業の経済的構造とその社会的意義を理解し,工業労務者の立場を自覚する。 (5)計画的・合目的的・実験的な活動を行い,創造力を伸ばし,工業技術の改善進歩に寄与する。 (6) 集合的,共同的に,責任ある行動をする態度を養う。 (7)各自の個性・能力・適性を知り,職業選択の資をうる。 高等学校における工業教育は,中学校教育の基礎の上にたち,将来わが国工業界の進歩発展の実 質的な推進力となる技術員の育成を目的とし,現場技術にその基礎をおいて,基礎的な知識・技能・ 態度を習得させ,工業人としての正しい自覚をもたせることを目ざすものである。これをさらに分けてみ ると,次のようになる。 (1)それぞれの工業分野における基礎的な技能を習得させる。 1956年 (昭和31年) (2) それぞれの工業分野における基礎的な知識を習得させ,工業技術の科学的根拠を理解させる。 1960年 (昭和35年) 1970年 (昭和45年) (のそれぞれの工業分野における運営や管理に必要な知識・技能を習得させる。 (4)くふう創造の能力を伸ばし,工業技術の改善進歩に寄与する能力を養う。 工業技術¢性格や工業の経済的構造およびその社会的意義を理解させ,共同して責任ある行 (5) 動をする態度と,勤労に対する正ししサ言念をつちかい,工業人としての自覚を得させる。 I 工業の各分野における中堅の技術者に必要な知識と技術を習得させる。 2 工業技術の科学的根拠を理解させ,その改善進歩を図ろうとする能力を養う。 3 工業技術の性格や工業の経済的構造およびその社会的意義を理解させ,共同して責任ある行 動をする態度と勤労に対する

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しし、信念をつちかい,工業人としての自覚を養う。 l 工業の各分野における中堅の技術者に必要な知識と技術を習得させる。 2 工業技術の科学的根拠を理解させ,その改善進歩を図る能力と態度を養うロ 3 工業の社会的・経済的意義を理熔させ,共同して責任ある行動をする態度と勤労に対する正し し、信念とをつちかい,工業の発展を図る態度を養う。 1978年 工業の各分野の基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,現代社会における工業の意義や役割を理 (昭和53年) 解させるとともに,工業技術の諸問題を合理的に解決し,工業の発展を図る能力と態度を育てる。 工業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,現代社会における工業の意義や役 1989年 割を理解させるとともに,工業技術の諸問題を主体的,合理的に解決し,工業の発展を図る能力と実 (平成元年) 践的な態度を育てる。 1999年 工業の各分野に関する基縫的・基本的な知識と技術を習得させ,現代社会における工業の意義や役 (平成11年) 割を理解させるとともに,環境に配慮しつつ,工業技術の諸問題を主体的,合理的に解決し,社会の 現行教育課程発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる。 2010年 工業応各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,現代社会における士業の意義や役 (平成22年) 割を理解させるとともに,環境及びエネルギーに配慮しつつ,工業技術の諸問題を主体的,合理的 次期教ず課程に,かつ倫理観をもって解決し,工業と社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる。 こ の よ う に 変 容 が 読 み 取 れ る 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 の 目 標 で あ る が , そ の 改 訂 に つ い て は3 1999年 の 改 定 の 例 を と る と 次 の よ う に な る 。 1996年 7月 , 中 央 教 育 審 議 会 第 一 次 答 申 4)に お い て , こ れ か ら の 学 校 教 育 の 在 り 方 と し て , ゆ と り の 中 で 自 ら 学 び 自 ら 考 え る 力 等 の 生 き る 力 -61

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-島田和典 工業高校における生徒の自己概念研究の展望と課題 の育成を基本と1.-,教育内容の厳選と基礎・基本の徹底を図ること等が示された。この答申を 受け, 1996年 8月 に 文 部 大 臣 か ら 教 育 課 程 審 議 会 に 対 し , 教 育 課 程 基 準 の 改 善 に つ い て 諮 問 を 行 っ た 。 こ れ を 受 け , 教 育 課 程 審 議 会 は , 中 央 教 育 審 議 会 の 答 申 4)5)をはじめ, 1998年 7月の 理 科 教 育 及 び 産 業 教 育 審 議 会 の 答 申 6)に留意し,教育課程の改定を提言, 1999年 3月に,高等 学 校 学 習 指 導 要 領 の 全 面 的 な 改 訂 に 至 っ て い る 。 文 部 科 学 省 は と の 改 定 の 趣 旨 に つ い て ,

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生 徒 に自ら学び,自ら考える力等の[生きる力]を育成することを基本的なねらいとし,

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総 合 的 な 学 習 の 時 間 」 の 創 設 , 普 通 教 育 に 関 す る 教 科 「 情 報j の 新 設 , 卒 業 に 要 す る 習 得 総 単 位 数 の 改 定 を は じ め , 各 教 科 ・ 科 目 等 の 編 成 , 単 位 数 や 内 容 の 改 定 を 行 っ た 」 と 述 べ て い る 7)。とこで, 卒 業 要 件 単 位 数 に 触 れ る と , 専 門 高 校 に お け る 現 行 の 卒 業 要 件 単 位 は 74単 位 で あ る が , 改 定 前 の 要 件 単 位 は 80単 位 で あ り , こ れ は 大 幅 な 授 業 時 間 の 減 少 と 捉 え ら れ る 。 1951年 の 試 案 で は , 卒 業 単 位 数 が 85単位以上,その後, 1978年 に 80単 位 に 削 減 さ れ , 上 述 の よ う に , 現 行 では 74単 位 以 上 と な っ た 。 な お , 卒 業 要 件 単 位 は 上 記 の 単 位 以 上 と な る よ う 各 学 校 で 設 定 さ れており, 2007 年の調査 8) によると,卒業要件単位として 80~89 単位に設定している専門高 校 が 約 50%を占めている。一方,最低卒業単位数となる 74単 位 に 設 定 し て い る 専 門 高 校 も 20% に上っている現状がある。

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教科工業の科目構成と内容

このように,高等学校学習指導要領に示されている目標は時代により変容している。これは, 工 業 技 術 の 進 歩 に よ り 産 業 構 造 が 変 化 し , 工 業 高 校 卒 業 者 へ の 期 待 像 が 変 わ っ て き た こ と を 意 味している。 現 行 の 1999年 公 示 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 で は , 工 業 高 校 に お け る 教 科 工 業 は ,

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工 業 技 術 基 礎 」 を は じ め と し て 60科 目 あ る 。 こ の 60科 目 の 構 成 に つ い て は 各 学 科 に お い て 原 則 と し てすべての生徒に履修させる科目(以下,原則履修科目)J,

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各学科において共通的な基礎科目J, I各 学 科 に お い て 選 択 的 な 基 礎 科 目J,

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工 業 の 各 分 野 に 関 す る 科 目 」 の 四 つ に 大 別 す る こ と が で き る 。 こ れ ら の 科 目 は , 普 通 科 の 高 校 に 比 べ , 特 色 あ る 実 践 科 目 と い う 事 が 言 え よ う 。 例 え ば「実習」はその中の一つであり,

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各 学 科 に お い て 共 通 的 な 基 礎 科 目J と し て 位 置 づ け ら れ て い る 。 「 実 習 」 は 工 業 の 各 専 門 分 野 に 関 す る 基 礎 的 な 技 術 を 実 際 の 作 業 を 通 し て 総 合 的 に 習 得 さ せ , 技 術 革 新 に 主 体 的 に 対 応 で き る 能 力 と 態 度 を 育 て るjことが目標とされている。また, 「課題研究Jは,

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原則j履修科目Jと し て 位 置 づ け ら れ て お り , そ の 目 標 は 「 工 業 に 関 す る 課 題 を 設 定 し , そ の 課 題 の 解 決 を 図 る 学 習 を 通 し て , 専 門 的 な 知 識 と 技 術 の 深 化 , 総 合 化 を 図 る と ともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる」こととされている。「課題研究」 は 大 別 し て , ① 作 品 製 作 , ② 調 査 ・ 研 究 ・ 実 験 , ③ 産 業 現 場 等 に お け る 実 習 , ④ 職 業 資 格 の 取 得 に 分 け ら れ る 。 こ の う ち 教 育 現 場 で は , 主 に 作 品 製 作 に よ る 「 課 題 研 究 」 を 展 開 す る こ と が 多い。さらに,

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情 報 技 術 基 礎Jは , 実 習 と 同 様 の 「 各 学 科 に お い て 共 通 的 な 基 礎 科 目 」 と 位 置 づけられ,

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社 会 に お け る 情 報 化 の 進 展 と 情 報 の 意 義 や 役 割 を 理 解 さ せ る と と も に , 情 報 技 術 に 関 す る 基 礎 的 な 知 識 と 技 術 を 習 得 さ せ , 情 報 及 び 情 報 手 段 を 活 用 す る 能 力 と 態 度 を 育 て る 」 こ と が 目 標 と さ れ る 。 実 際 に は , 情 報 の 意 義 や 役 割 , 情 報 技 術 の 基 礎 的 な 知 識 等 を 教 室 で の 授 業 に よ っ て 学 習 す る の と と も に , ハ ー ド ウ ェ ア の 操 作 及 び ソ フ ト ウ ェ ア の 基 礎 的 な 技 術 等 を パ ソ コ ン 教 室 で の 実 習 を 通 し て 学 習 す る 形 態 が と ら れ て い る 場 合 が 多 い 。 ま た , 主 に 低 学 年 次 に 履 修 す る こ と に よ り , 学 年 を お っ て 各 学 科 で 展 開 さ れ る 情 報 技 術 に 関 連 す る 「 実 習J の 基 礎 を 築 き , 情 報 技 術 を 専 攻 す る 学 科 ( 情 報 技 術 科 , 一 部 の 電 気 系 学 科 等 ) に お い て は 「 プ ロ グ ラ ミ ン グ - 62ー

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教 育 研 究 論 集 第l号 (2011年 2月発行) 技 術jや「マノレチメディア応用」等,

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工業の各分野に関する科目」に対する基礎を築いている。 工 業 高 校 は こ れ ら の 科 目 を は じ め と し て , こ の 他 に も , 特 色 を 持 つ 実 践 科 目 が 数 多 く 設 定 さ れ て い る 。 特 に 「 情 報 技 術 基 礎 」 に 見 ら れ る よ う に , そ の 科 目 で 習 得 し た 知 識 や 技 能 が 基 礎 と な り , さ ら に 専 門 性 の 高 い 科 目 と 密 接 な 連 携 が 図 ら れ て い る の も 特 徴 の 一 つ で あ る 。 池守ら(2006)は , 上 記 の 教 科 工 業 の 内 容 を 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 上 の 区 分 と は 異 な る 観 点 で 次の 4つ に 分 類 し て い る へ そ れ は , 第 1の 「 基 礎 ・ 基 本 の 内 容J(不易な内容),第 2の 「 実 際 の 技 術 に か か わ る 基 礎 的 内 容J(進歩・改善にともない変化する内容),第 3の 「 科 学 的 ・ 技 術 的 な 思 考 力 を 養 成 す る 内 容J(問題解決型学習),第 4の 「 工 業 技 術 に 関 す る 就 業 体 験 学 習 J(イ ンターンシップ)である。具体的に電気系を例に述べると,第 1の 「 基 礎 ・ 基 本 の 内 容J とは, オームの法則やキノレヒホッフの法則等,基本的な法則を指し,技術が進歩しても変わらない内 容である。第2の 「 実 際 の 技 術 に か か わ る 基 礎 的 内 容 Iとは, 1950年 代 ま で は ラ ジ オ 等 に 広 く 使われていた真空管が,現在ではダイオード, ト ラ ン ジ ス タ 等 の 新 し い 技 術 に 変 わ っ て き た よ う に , そ の 時 代 に 使 用 さ れ て い る 技 術 に 合 わ せ た 基 礎 的 な 内 容 の 学 習 を 指 し て い る 。 ま た , 第 3の 「 科 学 的 ・ 技 術 的 な 思 考 力 を 養 成 す る 内 容j とは,

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課 題 研 究 」 に 代 表 さ れ る 問 題 解 決 型 学 習 を 指 し て い る 。 な お 課 題 研 究jは1989年 の 改 定 よ り 新 設 さ れ た も の で あ る 。 さ ら に , 第 4の「工業技術に関する就業体験学習」とは, 1999年 の 改 定 以 後 に 各 学 校 で 設 定 で き る こ と に なった科目(インターンシップ)で,生産現場においてのものづくりの体験や勤労の大切さを認 識 さ せ る こ と , キ ャ リ ア の 形 成 を 促 す こ と 等 を 目 的 に , 地 元 企 業 の 協 力 の 下 に 広 く 実 施 さ れ て いる。以上の 4つの内容については,基礎・基本の重視という視点から,第 1と第2の内容が, 教 科 工 業 の 全 体 の 80%以上を占めている点も特徴のーっと言えよう。 な お , 次 期 教 育 課 程 で あ る 2009年 公 示 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 10)で は , 上 述 の 通 り , 従 前 の 目標に加え,環境及びエネノレギーへの配慮,技術者倫理に重点をおく等の内容が明確に示され た こ と か ら , 科 目 に つ い て も , 新 設 を 含 め た 再 構 成 , 内 容 の 見 直 し が 図 ら れ て い る 。 新 設 さ れ た 科 目 は 「 環 境 工 学 基 礎 」 で , 教 科 工 業 は 合 計 61科 目 と な っ た 。 ま た コ ン ビ ュ ー タ シ ス テ ム 技 術 」 は 従 前 の 「 マ ル チ メ デ ィ ア 応 用 J から名称が変更されている。

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工業高校の社会的位置づけ

近 年 , 少 子 高 齢 化 に よ っ て 高 等 学 校 全 体 の 学 校 数 , 生 徒 数 が 減 少 の 一 途 を た ど っ て い る 。 工 業高校数の推移をみると, 1950年代後半より急激に校数が増加し, 1995年 を ピ ー ク に 現 在 ま で減少する傾向にある。具体的には, 1959年 は 334校あったのに対し, 1964年 に は 551校と 急増しており, 1984年 に は 620校, 1995年 に は 695校 と な っ て い る 。 そ の 後 は 減 少 傾 向 に 転 じて, 2004年 は 645校, 2010には 565校 に 留 ま っ て い る 11)12)。 一 方 , 生 徒 数 の 割 合 に 着 目 す る と , 専 門 高 校 の 生 徒 数 の 割 合 が 減 少 し て い る こ と が 指 摘 で き る。 1960年 代 に は 高 等 学 校 全 体 の 生 徒 数 の う ち 40%を占めていた専門高校の生徒数であるが, 1980年 頃 よ り 減 少 し , 近 年 は 20%前 後 を 推 移 し て い る 13)。 工 業 高 校 生 に 限 っ て そ の 人 数 の 推 移をみると,1970年 に 高 等 学 校 全 体 の 生 徒 数 の う ち 13.4%で最も多い割合であったのを境に, 1990年にかけて減少し続け,それ以後は, 8.7~8.9% で底打ちしている状態が続いている 13)。 これらの理由の一つに,産業構造や社会構造の変化が考えられるo産業構造の変化については, 第 1次 産 業 か ら 第 2次産業,第 3次産業へとその割合が増加14)してきたことと連動し,特に工 業に関しては,園内の生産拠点が海外へと移転していった背景も大きな要因と思われる。また, 社 会 構 造 の 変 化 と し て は , 高 学 歴 志 向 に よ る 大 学 進 学 率 の 上 昇 15)等が大きな要因といえる。 n ︽ d F b

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島田和典 工業高校における生徒の自己概念研究の展望と課題

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i -J 1 1 i こ れ に 関 連 し て 現 在 , 工 業 高 校 は , 新 し い 工 業 の 学 科 ・ 高 校 と し て の 再 編 が 進 ん で い る 。 そ の う ち の 一 つ に , 工 科 高 校 や 科 学 技 術 高 校 が あ る 。 こ れ は , 従 来 の 工 業 高 校 と い う 概 念 を 脱 却 し , 就 職 や 資 格 取 得 を 重 視 し つ つ , 一 方 で は 大 学 進 学 を も 重 視 す る 専 門 高 校 で あ る 。 ま た , 幅 広 く 工 業 の 専 門 を 学 べ る よ う , 柔 軟 な 教 育 課 程 を 編 成 す る 特 徴 を 持 つ 工 業 高 校 も 見 ら れ るo 小 規 模 な 工 業 高 校 に 至 つ て は , 周 辺 校 と の 統 合 や , 他 の 職 業 系 学 科 を 併 設 し た 総 合 高 校 と し て 再 編している場合も見受けられる。

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工業高校生の進路状況

職 業 教 育 を 旨 と す る 工 業 高 校 で は , 新 規 学 卒 者 の う ち 半 数 以 上 が 就 職 を し て い る 。 し た が っ て , 就 職 氷 河 期 と 呼 ば れ る 近 年 の 雇 用 情 勢 は , 工 業 高 校 に と っ て 非 常 に 厳 し い 状 況 で あ る こ と は言うまでもない。 2010年(平成 22年 ) に お け る 工 業 高 校 卒 業 生 の 進 学 状 況 は , 大 学 , 専 門 学 校 等 へ の 進 学 の 割 合 が 38.6%,就職が 57.1%である。進学者のうち(進学者全体を 100%とす る), 大 学 , 短 期 大 学 進 学 者 は 47.8%, そ の 他 専 門 学 校 等 進 学 者 は 44.7%となっている 16)0 4 年 生 大 学 へ の 進 学 の 多 さ が 目 立 つ が , 少 子 化 に 加 え , 近 年 の 大 学 数 の 増 加 や , 工 業 高 校 特 別 推 薦 枠 の よ う な 入 試 形 態 の 変 化 が , 工 業 高 校 生 に 対 し て 入 学 し や す い 環 境 に な っ て い る と と が 考 えられる。また,工業高校生の就職者を産業別に分類したときの割合は(就職者全体を 100%と する),製造業が 54.0%と 群 を 抜 い て 多 く , 次 い で 建 設 業 16.0%,運輸業,郵便業 4.6%とつづ く 。 そ の 他 の 者 は , 電 気 ・ ガ ス ・ 熱 供 給 ・ 水 道 業 や , 卸 売 業 , 小 売 業 , サ ー ビ ス 業 等 に 就 職 し ている 17)。 ま た , 出 身 高 校 に お け る 県 内 就 職 率 を み る と , 約 80%が 県 内 に 就 職 し て お り , 工 業 高 校 を 卒 業 後 , 地 元 の 企 業 に 就 職 す る 者 が 多 い こ と が 伺 え る 18)。ここで,最近過去3年 間 (2008 ~2010 年)の就職率(就職者の就職希望者に対する割合)をみると,高校新規学卒者のうち,就 職 率 は , 高 校 生 全 体 と し て 2008年 は 94.7%,2009年 は 93.2%,2010年 は 91.6%と緩やかな 下降傾向を示している。これに対して工業高校生は, 2008年 は 98.2%,2009年 は 98.0%,2010 年 は 97.0%と 同 様 の 下 降 傾 向 は 認 め ら れ る が , そ の 値 は 全 体 よ り 高 く , さ ら に 他 の 専 門 学 科 と 比 較 し て 最 も 高 い 債 を 示 し て い る 現 状 に あ る 川 。

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工業高校の教育課程に関する課題

このような工業高校の教育課程には,様々な課題が指摘されている。例えば長谷川(2009)は, 工業高校機械科における「実習」の内容について, 30年 余 り の 期 間 を 通 じ た 変 遷 を 客 観 的 に 把 握 す る こ と を 試 み て い る 20)。 同 研 究 で は , 全 国 の 工 業 高 校 か ら 165校 を 抽 出 L,

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実 習 」 等 の 実施状況について, 1976年, 1987年, 1996年, 2005年の 4回 に 渡 る 縦 断 的 な 調 査 を 実 施 し ている。その結呆,工業高校生が履修する「実習」の平均単位数は, 1976年 は 13.4単位, 1987 年 は 12.0単位, 1996年 は 9.3単位, 2005年 は 7.9単 位 と 明 ら か な 減 少 傾 向 に あ る 知 見 を 得 て い る 。 ま た , そ の 内 容 に つ い て , 製 作 実 習 が 増 え , 理 論 の 検 証 が 減 少 し て い る 点 を 指 摘 し , 工 業教育の教育力の低下が憂慮されることを述べている。 田中 (2005)は , 近 年 の 工 業 高 校 に お け る 教 育 課 程 は , 工 業 教 育 が 専 門 教 育 と し て 本 来 持 つ べ き性質(専門性)を希薄化させ,弱体化させているととを述べ,教育課程の変遷から修得単位数 に 着 眼 し た 問 題 点 を 指 摘 し て い る 21)。同署によると, 1970年 代 の 工 業 高 校 で は , 各 学 校 で 開 設されていた科目の総単位数が 111 単位程度で,そのうち 49~50 単位が教科工業の科目であ った。それが 1978年の高等学校学習指導要領の改訂により, 1980年 代 で は , 全 体 が 96単 位 程度,教科工業の科目が 42~43 単位程度に縮減,さらに 1989 年の改定により, 1990年 代 に は,全体が 91 単位程度のうち,教科工業の科目が 36~37 単位になった現状を述べ,工業技術 64ー

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教 育 研 究 論 集 第l号 (2011年 2月発行) が 飛 躍 的 に 発 展 し , 教 科 工 業 と し て 学 ぶ べ き 内 容 が 増 え た と み ら れ る 20世 紀 第 4半 期 に , 逆 に 大 幅 に 削 減 さ れ て き た こ と を 指 摘 し て い る 。 ま た , 佐 々 木(2005)は, 1978年 の 学 習 指 導 要 領 改 訂 に つ い て 専 門 の 教 科 ・ 科 目 の 科 学 的 基 礎 を 軽 視 し た 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 」 と 批 判 し , 科 目 の 設 定 , 卒 業 要 件 単 位 の 減 少 に つ い て 言 及 し た う え で , 専 門 性 が 弱 体 化 し た こ と を 述 へ て いる 22)。さらに,同著では, 1980年代の中途退学者の増加の背景から, 1990年代に入って, す べ て の 生 徒 に 履 修 さ せ る 科 目 ( 必 履 修 科 目 ) の 単 位 数 が 削 減 さ れ , 週 当 た り の 授 業 時 間 数 を 削 減 す る 学 校 も 急 増 し , 生 徒 か ら 見 れ ば , 履 修 し で も 修 得 し な く て 済 む 単 位 が 増 加 し た と 指 摘 し て い る 。 こ の よ う に , 工 業 高 校 に お け る 教 育 課 程 で は , 修 得 単 位 数 の 減 少 や 専 門 性 の 希 薄 化 が 問題となっている。

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工業高校生の状況に関する課題

一 方 , ベ ネ ッ セ 研 究 開 発 セ ン タ ー は , 専 門 高 校 に 学 ぶ 生 徒 を 対 象 と し た 調 査 を 実 施 し , 専 門 高校を選んだ理由として, 50%の 生 徒 が 「 ぜ ひ こ の 学 校 に 入 学 し た か っ た J と回答していると と を 述 べ , さ ら に , 入 学 理 由 の 上 位 は , ① 「 進 学 や 将 来 の 仕 事 に 役 立 つ 知 識 や 技 術 が 身 に つ く と思ったからJ, ② 「 就 職 の 実 績 が よ い か ら J , ③ 「 自 分 の 行 き た い 学 科 が あ っ た か ら 」 で あ る と 報 告 し て い る 則 。 ま た 同 報 告 で は , 高 校 勉 強 に 対 す る 意 識 を 問 う 質 問 に 対 し , 専 門 高 校 の 生 徒 の 60%弱が,

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学校て、の勉強は将来っきたい仕事に関係している J と 回 答 し て い る こ と 学 校 で の 勉 強 が 嫌 い だ ん 「 社 会 に 出 た ら , も う 勉 強 は し た く な い 」 と 回 答 し た 比 率 は , 専 門 高 校 の生徒のほうが普通科進路多様校(注 2)24)の 生 徒 よ り も 低 い こ と を 報 告 し て い る 。 と れ ら の 結 果 は , 専 門 高 校 を 選 択 す る 生 徒 が , 普 通 科 進 路 多 様 校 を 選 択 す る 生 徒 に 比 べ , 高 い 入 学 意 欲 を 持 っ て お り , 将 来 に つ い て も , あ る 程 度 明 確 な 自 己 像 を 思 い 描 い て い る 様 相 を 示 唆 す る も の で ある。 し か し , こ の よ う な 調 査 結 果 と は 裏 腹 に , 専 門 高 校 に お い て は , 生 徒 の 意 識 に 対 し て 様 々 な 問 題 が 指 摘 で き る 。 例 え ば , 東 京 都 の 中 学 生 を 対 象 と し た 進 路 に 関 す る 調 査 25)で は , 近 年 の 普 通 高 校 に 進 学 を 志 望 す る 生 徒 が 多 い 理 由 と し て 次 の 点 を 挙 げ て い る 。 ① 高 学 歴 志 向 の 中 , 大 学 等 へ の 進 学 が 有 利 に な る と 考 え て い る こ と , ② 中 学 校 卒 業 段 階 で は 将 来 の 進 路 が 明 確 で な く , 幅 広 い 選 択 が 可 能 な 普 通 高 校 に 流 れ や す い 状 況 に あ る こ と , ③ 中 学 生 に と っ て , 専 門 高 校 の 専 門 科 目 は 難 し い と い う 先 入 観 が あ る こ と , ④ 技 術 ・ 技 能 を 有 す る 者 へ の 社 会 的 評 価 が 低 い こ と 等 で あ る 。 こ の 調 査 か ら は , 専 門 高 校 へ の 進 学 希 望 は 必 ず し も 前 向 き で は な く , 普 通 高 校 へ の 進学が叶えられない場合の「受け皿」として専門高校が位置づけられている姿が垣間見られる。 入 学 後 の 中 途 退 学 率 の 推 移26)に目を向けると,高校生全体としては, 2000年,2001年 度 の 2.6% をピークに, 2008年 度 の 2.0%にかけて緩やかに減少し, 2009年度は1.7%と 大 幅 に 減 少 し て いる。専門高校生に限って推移をみると, 1998年 度 の 3.6%をピークに,減少をつづけ, 2009 年度は1.9%ま で 減 少 し て い る も の の , 同 年 の 普 通 高 校 で の 中 途 退 学 率 1 .2%に 比 べ る と 高 い 値 を示している。 専 門 高 校 の 現 状 に つ い て 本 田(2008)は , 日 本 社 会 に お け る 強 い 進 学 志 向 の な か で い わ ば 傍 系 と し て 位 置 づ け ら れ て き た の が 専 門 高 校 で あ り , 学 校 階 層 構 造 の 底 辺 部 を 占 め ざ る を え な い 状 況 に 追 い 込 ま れ て き た と 述 べ て い る 27)。 そ し て , そ の 結 果 , 高 校 教 育 や 専 門 教 育 へ の 動 機 づ け を も た な い 多 数 の 生 徒 が 専 門 高 校 に 入 学 す る と い う 事 態 が 観 察 さ れ て き た と 志 水(1985)28)は指 摘 し て い る 。 こ れ ら の 調 査 や 研 究 は , 主 に 専 門 高 校 と い う 枠 で 捉 え ら れ て い る が , 専 門 高 校 の 中の つ で あ る 工 業 高 校 も 同 様 の こ と が 言 え る 。 z u n h υ

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島田和典 工業高校における生徒の自己概念研究の展望と課題 こ れ ら の 調 査 結 果 か ら は , 工 業 高 校 を 含 む 専 門 高 校 へ の 進 学 が 必 ず し も 積 極 的 な 理 由 に よ る も の で は な い こ と , そ の 結 果 と し て 専 門 高 校 で の 学 校 生 活 に 適 応 し き れ な い 生 徒 が 普 通 高 校 に 比 へ て 多 い こ と が 指 摘 で き る 。 前 述 し た よ う に , 社 会 か ら 見 た 工 業 高 校 生 に は , 工 業 の 各 分 野 に関する知識や技能,創造性や実践的な態度を習得する「若き技術者」の姿が期待されている。 し か し , 実 際 の 工 業 高 校 で は , 消 極 的 な 理 由 か ら 工 業 高 校 を 選 択 し て 入 学 し て き た 生 徒 が , そ の 専 門 性 の 延 長 と し て 見 え る 将 来 の 自 己 像 と , 日 々 の 学 校 生 活 の 中 に あ る 現 実 の 白 己 像 と の 狭 間で,揺らいでいる姿が伺える。

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工 業 高 校 に お け る 生 徒 の 自 己 概 念 研 究 の 必 要 性

以 上 に 整 理 し た よ う に , 工 業 高 校 で は , 度 重 な る 教 育 課 程 の 改 革 を 経 な が ら も , 基 本 的 に は 工 業 の 各 分 野 で 活 躍 し う る 「 若 き 技 術 者J の 育 成 が 標 梼 さ れ て き た 。 そ の 一 方 で , 社 会 の 持 つ 進 学 志 向 の 歪 み か ら , 不 本 意 入 学 や 中 途 退 学 等 , 工 業 高 校 で の 学 校 生 活 に 十 全 的 に 参 加 で き な い 生 徒 の 存 在 が 大 き な 課 題 と な っ て い る 。 こ の よ う な 課 題 が 生 じ た 原 因 に は , 教 育 制 度 の 改 革 や 産 業 構 造 の 変 化 等 , 外 的 ・ 社 会 的 な 要 因 が 複 雑 に 絡 み 合 っ て い る と と は 言 う ま で も な い 。 し か し , 士 業 高 校 生 の 立 場 か ら 見 る と そ れ は , 工 業 高 校 生 と し て 社 会 や 教 師 か ら 期 待 さ れ る 自 己 像 と 現 実 の 自 己 像 と の 事 離 に よ っ て 生 じ る 問 題 で あ る と 考 え る こ と が で き る 。 す な わ ち , 不 本 意 入 学 等 に よ っ て 将 来 展 望 を 持 た な い 生 徒 が , 特 定 の 産 業 分 野 に 特 化 し た 授 業 内 容 に 興 味 が 持 て ず , 工 業 高 校 生 と し て 「 あ る べ き 姿 」 と 現 実 の 「 自 分 」 と の ギ ャ ッ プ か ら 学 校 生 活 に う ま く 適 応 で き な く な っ て い く の で は な い か と 考 え ら れ る 。 逆 に 言 え ば , 例 え 不 本 意 な 理 由 で 工 業 高 校 に 入 学 し た 生 徒 だ っ た と し て も , 様 々 な 教 育 的 支 援 を 通 し て , 期 待 さ れ る 自 己 像 と 現 実 の 自 己 像 と の ギ ャ ッ プ が 解 消 で き れ ば , 学 校 生 活 に 対 す る 前 向 き さ や 将 来 に 向 け た 展 望 を 適 切 に 持 たせることができるのではないかと考えられる。 こ の よ う な 自 己 の 持 つ 二 重 性 に つ い て James(1892)は , 自 己 自 身 を 見 つ め て い る 「 主 体 と し て の 自 己J (主我または自我)と,視線の先に捉えた「客体としての自己 J(客我または自己)の 存 在 を 指 摘 し て い る 29)。このJamesの 言 葉 を 借 り れ ば , 現 在 の 工 業 高 校 生 の 持 つ 問 題 は 若 き 技 術 者 」 を 育 成 す る と い う 工 業 高 校 の 教 育 目 標 を 軸 に 対 峠 す る 「 主 体 と し て の 自 己 」 と 「 客 体 と し て の 自 己jの ギ ャ ッ プ と 捉 え る こ と が で き ょ う 。 榎 本(2008)は, Jamesが 「 客 体 と し て の自己 Jを精神的自己(心的能力,傾向性),社会的自己(他者が抱いている印象),物質的自己(身 体,財産等)の 3つ の 側 面 に 分 類 し て 以 来 客 体 と し て の 自 己 」 を ど の よ う に 捉 え る か に つ い ては,自己概念(Self-concept)の 研 究 と し て 進 め ら れ て き て い る と 指 摘 し て い る 叫 。 梶 田 (1988) は 主 体 と し て の 自 己 」 と 「 客 体 と し て の 自 己j とのズレについて,

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人 は 常 に 実 際 の 主 我 の あ り 方 か ら 多 少 な り と も ず れ た 自 己 概 念 を 形 成 し て お り , こ の ズ レ が 定 水 準 を 越 え る と 環 境 不 適 応 に な る J と 指 摘 し て い る 。 し か し , 梶 田 は ま た , 主 我 の 現 実 と 客 我 と の ズ レ を 小 さ く す る よ う に , 適 切 な 自 己 概 念 を 形 成 す る こ と で , 環 境 適 応 が 促 進 さ れ る こ と を 示 唆 し て い る 目 。 工 業 高 校 の 場 合 で い え ば , 工 業 高 校 生 が 自 ら を 「 若 き 技 術 者J を 育 成 す る 工 業 高 校 と い う 場 に 学ぶ者として捉え(客体としての自己),それに対する主我の現実(主体としての自己)がその葛藤 を 乗 り 越 え る こ と で , 工 業 高 校 生 と し て の 自 己 概 念 を 形 成 し , 工 業 高 校 で の 学 校 生 活 と い う 環 境 に 適 切 に 適 応 す る こ と が で き る よ う に な る の で は な い か と 考 え ら れ る 。 言 い 換 え れ ば , 現 在 の 工 業 高 校 が 抱 え る 実 践 上 の 課 題 に 対 し , 工 業 高 校 生 の 立 場 に 立 っ て 適 切 な 教 育 的 支 援 を 展 開 す る た め に は , 士 業 高 校 生 が 学 校 生 活 の 様 々 な 場 面 で ど の よ う な 自 己 概 念 を 形 成 し て い る か に

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教 育 研 究 論 集 第l号 (2011年 2月発行) 焦点、を当てなければならない。ここに,工業高校生の自己概念研究の必要性を指摘することが できる。

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1 自己概念とその関連要因

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自己概念の定義

こ こ で い う 自 己 概 念 と は , 自 分 自 身 を ど の よ う に 受 け と め , ど の よ う に 思 っ て い る の か , と い う こ と に つ い て の 概 念 的 ゲ シ ュ タ ル ト を 意 味 し 叫 .

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現 象 的 自 己 に つ い て の 概 念 の ま と ま り J で あ る 。 と れ は , 個 人 の あ ら ゆ る 経 験 の 場 を 源 泉 と し て 形 成 さ れ る も の で あ り , 個 人 の 行 動 を 決定する重要な要因である。 自己概念について Shavelson ら(1976)は 自 分 自 身 に つ い て の 知 覚 で あ る 」 と 定 義 し , 学 業 的 自 己 概 念 , 社 会 的 自 己 概 念 , 情 緒 的 自 己 概 念 , 身 体 的 自 己 概 念 の 4側 面 か ら 捉 え よ う と す る自己概念の多面的把握のモデノレを提唱している 33)。 ま た , 佐 々 木(2000)は 自 己 概 念 は , 人 が 自 分 自 身 に つ い て も つ 認 識 を 指 し て お り , 自 己 の 特 質 , す な わ ち 特 性 や 能 力 に つ い て の 知 覚や,自己と環境との関係についての知覚が自己概念を構成している」と述べている 34)。一方, Hewitt(1979)は 自 己 の 構 成 要 素 と し て 次 の 5つ を あ げ て い る 。 ① 基 本 的 な 性 衝 動 の 充 足 , 物 の 所 有 や 他 社 か ら 尊 敬 さ れ る 等 と い っ た , 目 的 を 追 求 し よ う と す る 一 連 の 組 織 化 さ れ た 動 機 。 ② 人 が 関 係 を 持 ち , 遂 行 し よ う と す る 一 連 の 役 割 , ③ よ り 一 般 的 な 社 会 規 範 と そ の 基 底 に あ る 価 値 , ④ シ ン ボ ノ レ を つ く り だ し た り , 理 解 し た り す る 能 力 を 含 ん だ 認 知 的 諸 能 力 。 な お , こ こ で のシンボノレとは表象(直観的な抽象的でないイメージ像)を意味する。⑤自分の資質や可能性や 関 わ り や 動 機 と い っ た も の に つ い て の 一 連 の 観 念 。 自 己 イ メ ー ジ 。 そ れ は , ど の 程 度 意 欲 が か な え ら れ た か と か , 内 面 化 し た 規 範 や 価 値 と 個 人 的 な 役 割 遂 行 の 評 価 と の む す び つ き か た は ど う か , あ る い は 自 分 が 獲 得 し た 認 知 的 諸 能 力 が 環 境 の 理 解 や 操 作 を ど の 程 度 に 可 能 に す る か , と い っ た こ と を 通 し て 生 ま れ て く る も の で あ る 35)。池田(2000)は , こ れ ら の 自 己 の う ち ⑤ が 一 般 的 に 自 己 概 念 の 意 味 で 使 わ れ る こ と が 多 い と 指 摘 し て い る 制 。 ま た , 梶 田(1988)は , 自 己 概 念を 6つ の カ テ ゴ リ ー に 分 類 し , こ れ ら が 自 分 自 身 を 意 識 し , 概 念 化 す る 際 の 基 本 的 形 式 で あ ると述べている 37)。これら 6つ の カ テ コ リ ー と は , ① 自 己 の 状 態 の 認 識 と 規 定 , ② 自 己 へ の 感 情 と 評 価 , ③ 他 者 か ら 見 ら れ て い る 自 己 , ③ 過 去 の 自 己 に つ い て の イ メ ー ジ , ⑤ 自 己 の 可 能 性 の来来についてのイメージ,⑥自己に関する当為と理想である。 Rogers(2003)は,自己概念と そ の 変 容 の 問 題 を 彼 の 自 己 理 論 の 中 核 に と り あ げ , 社 会 生 活 に 不 適 応 で あ る 人 聞 は , 有 機 体 と し て 自 然 に 柔 軟 に 生 き て い る の で は な く , 自 分 に つ い て の 固 い 思 い 込 み ゃ 観 念 に 縛 ら れ て 生 活 し て い る と 指 摘 し , そ の 有 機 体 の 一 部 分 で あ る 自 己 概 念 は , 有 機 体 全 体 と し て の 傾 向 を 根 本 か ら 抑 制 し た り 歪 曲 し た り す る こ と が あ る と 述 べ て い る 則 。 な お , こ こ で い う 自 己 理 論 と は Rogersの提唱する,パーソナリティ理論(注 3)の こ と を 指 し て い る 。 こ れ ら の こ と か ら , 自 己 概 念 と は , こ れ ま で の 様 々 な 経 験 や 現 在 の 社 会 的 地 位 等 を , 自 ら が ど の よ う に 捉 え て い る か と いうものであり,かっ,その捉えによる自己の未来についての想定をも含めた概念、である。福 島ら(1958)は , 自 己 概 念 の 発 達 に つ い て 「 自 己 概 念 の 発 達 の 遅 い 場 合 , 自 己 評 価 と , 他 人 に よ る 評 価 の ず れ は 大 き く , そ の ず れ 方 は , 自 己 を 実 際 よ り 過 大 に 評 価 す る 方 向 に な る J ことを指 摘 し , 自 己 概 念 の 適 切 な 形 成 の 重 要 性 を 述 べ て い る 制 。 と れ ら の 先 行 研 究 に 基 づ き 本 稿 で は , 工 業 高 校 生 の 自 己 概 念 を .

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工 業 高 校 の 目 指 す べ き 教 育 目 標 に 照 ら し て 生 徒 が 客 体 と し て の 自 己 を 捉 え る 自 分 自 身 に つ い て の 認 識 」 で あ り , 自 己 の 未 来 に 「 技 術 者 」 と し て の キ ャ リ ア を 想 定 し , そ れ に 向 け て 形 成 ・ 発 達 す る 志 向 性 を も つ も の と 67

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-島田和典 工業高校における生徒の自己概念研究の展望と課題 捉えることとする。

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自 己 概 念 と 意 識 や 行 動 と の 関 連 性

自 己 概 念 と 意 識 や 行 動 と の 関 連 性 に つ い て は , 様 々 な 視 点 、 か ら の 報 告 が 認 め ら れ る 。 そ れ ら は 大 別 す る と , 自 己 概 念 の 形 成 要 因 と し て 働 く 意 識 や 行 動 に 関 す る 研 究 , 意 識 や 行 動 の 変 容 に 果 た す 自 己 概 念 の 役 割 に 関 す る 研 究 と に 大 別 で き る 。 前 者 で は , 例 え ばMi1lerら(1986)が,他 者 の 評 価 に よ っ て 自 己 概 念 の 形 成 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ す こ と を 指 摘 し て い る 叫 。 ま た 後 者 で は , 例 え ばRecklessらが,非行抑止要因として自己概念との関連性を研究1..-,自分は「良い少年だj と い う 自 己 概 念 を も つ こ と が 非 行 抑 止 に つ な が る こ と を 明 ら か に し て い る 40。そして Reckless ら の 研 究 に 見 ら れ る よ う な , 自 己 概 念 に よ る 行 動 の 変 容 に つ い て 榎 本(2008)42)は 自 己 概 念 が 変 容 す る こ と に よ っ て 行 動 が 変 容 す る と い う こ と の 意 味 す る と こ ろ は 重 要 で あ る 」 と 述 べ て い るo こ れ は 個 人 の 自 己 概 念 の 形 成 状 況 に よ っ て , そ の 時 , ま た は そ の 後 の 行 動 が 変 容 す る こ と を意味しており,行動を決定づける意識が,自己概念によって変容していくものと考えられる。 こ こ で は 特 に , 自 己 概 念 と 教 科 学 習 , キ ャ リ ア , 自 己 効 力 感 , 学 校 満 足 感 , 対 人 関 係 力 と の 関連性について整理する。

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自 己 概 念 と 教 科 学 習 と の 関 連 性

一般に学校教育における教科学習は,学力形成としての役割と共に,潜在的な能力を伸ばし, 自 己 実 現 力 を 育 成 す る 役 割 が 重 要 で あ る 。 Colemann(1966)ら は , 自 己 概 念 は 学 力 と 最 も 密 接 に 関 連 す る こ と を 報 告 し て い る 叫 。 こ れ は 教 科 学 習 に よ る 学 力 形 成 が , 自 己 概 念 形 成 に 影 響 を 及 ぼ し う る こ と を 意 味 し て い る 。 ま た 梶 田(1987)は , 教 育 活 動 の あ ら ゆ る 場 面 で 自 己 概 念 の 育 成 に 努 め な け れ ば な ら な い と 述 べ た う え で , 教 科 学 習 を 通 し て 育 成 す べ き 自 己 概 念 の ポ イ ン ト は , 教 科 ・ 領 域 ご と に 異 な る も の の , 一 般 的 に 一 人 の ひ と り の 学 習 活 動 の 原 理 と な る 自 己 概 念 」 と 「 一 人 ひ と り の 将 来 に わ た っ て の 人 間 形 成 の 原 理 に な る 自 己 概 念 J の 二 点 が 重 要 で あ る と指摘している 44)。 さ ら に 足 立(1990)は , 教 科 教 育 に お い て は , 教 科 内 容 の 指 導 に 関 す る 一 次 元 と , そ の 学 習 ・ 経 験 を 通 し て な さ れ る 生 徒 の 自 己 概 念 の 形 成 ・ 発 達 に 関 す る 二 次 元 を 識 別 す る こ と が 重 要 で , こ の 両 者 が 生 徒 の 自 己 実 現 に と っ て 両 輪 の 輪 で あ る こ と を 指 摘 し て い る 制 。 こ れ ら の こ と か ら , 教 科 学 習 が 果 た す 役 割 と し て の 学 力 形 成 と 自 己 実 現 力 の 形 成 と い う 両 者 の 背 後 に は , 自 己 概 念 の 形 成 ・ 発 達 が 密 接 に 関 わ っ て い る こ と が 伺 え る 。 例 え ば 自 己 概 念 と 教 科 学 習 に お け る 環 境 や 教 師 等 の 対 人 的 な ア プ ロ ー チ と の 関 連 性 で は , Marsh(1987)が , 個 人 の 学 業 水 準 を コ ン ト ロ ー ノ レ し た 場 合 , 学 業 に 対 す る 自 己 概 念 は 学 校 や ク ラ ス の 学 業 水 準 と は 負 の 関 係 に あ る こ と を 見 い だ し て い る 46)。これは,一定の成績の生徒が, 成 績 上 位 群 の 生 徒 で 構 成 さ れ る ク ラ ス の 中 で は , 成 績 上 位 の 生 徒 た ち と の 比 較 の た め に 否 定 的 な 自 己 概 念 を 形 成 し , 成 績 下 位 群 の 生 徒 ば か り ク ラ ス の 中 で は , 成 績 下 位 の 生 徒 た ち と の 比 較 の た め に 好 ま し い 自 己 概 念 を 形 成 し や す い と い う 現 象 の こ と で あ る 。 な お , こ の よ う な 自 己 概 念 を Marsh(1990)は 学 業 的 自 己 概 念 と 捉 え , 学 業 に 対 す る 有 能 感 と 定 義 し て い る 47)。 ま た Mi1lerら(1986)は , 他 者 の 評 価 に よ っ て 自 己 概 念 が 変 容 す る と い う , 他 者 の 反 応 と い う 観 点 か ら そ の 関 連 性 を 指 摘 し て い る 40)。 こ れ を 教 科 学 習 に 置 き 換 え る と , 例 え ば , 誤 っ て 英 語 が で き な い と い う ラ ベ ル を 貼 ら れ た 生 徒 は , そ の 成 績 等 に 関 わ り な く , 否 定 的 な 自 己 概 念 を 形 成 し う る 可 能 性 を 意 味 し て い る 。 こ れ に 関 連 す る 知 見 と し て 足 立 は(1990), 自 己 概 念 が 環 境 と の 相 互 作 用 の 結 果 と し て 形 成 さ れ , 特 に , 重 要 な 他 者 ( 教 師 等 ) の 評 価 的 反 応 は 大 き な 影 響 を 与 え る と 述 べ て い る 45)。 68ー

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教 育 研 究 論 集 第1号 (2011年 2月発行) 一 方 , 具 体 的 な 教 科 学 習 と 自 己 概 念 と の 関 連 性 に つ い て は 足 立(1992)が , 中 学 校 段 階 で の 自 己 概 念 の 形 成 ・ 発 達 に 果 た す 技 術 ・ 家 庭 科 技 術 分 野 ( 以 下 , 技 術 科 と す る ) の 役 割 に つ い て 検 討 し て い る 叫 叫 。 同 研 究 で は , 自 己 概 念 形 成 上 技 術 科 教 育 で 特 に 強 調 す べ き 役 割 と 責 任 は , 学 力 的 側 面 と 自 己 実 現 能 力 育 成 的 側 面 と を 有 機 的 に 関 連 付 け , 特 に 「 技 術 科 に 固 有 の 自 己 実 現 カ 」 の 観 点 か ら 生 徒 の 自 己 概 念 を 総 合 的 に 形 成 発 達 さ せ る こ と で あ る と 述 べ て い る 。 こ と で の 「 技 術科固有の自己実現力」とは,

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道 具 」 の 工 夫 , 使 用 , 管 理 等 に 関 す る 技 術 を 活 用 し な が ら , 自 己 の 意 義 や 目 的 の 吟 味 と そ の 実 現 手 段 の 工 夫 を 行 な う 諸 活 動 に よ っ て 育 成 さ れ る 力 を 指 し て い るo ま た 萩 原 ら(2004)は , 小 学 校 理 科 に お け る 児 童 の 学 習 意 欲 に つ い て 「 積 極 的 な 態 度 を 示 す 意 欲 」 と 「 丁 重 な 態 度 を 示 す 意 欲 」 の 2 因子を抽出し,

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積 極 的 な 態 度 を 示 す 意 欲 J を 構 成 す るー要因として,

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自 分 は 理 科 が 得 意 だj と い う 自 己 概 念 を あ げ て い る 49)。 長 野 ら(1990)は, 小 学 校 体 育 と 自 己 概 念 と の 関 連 性 を 検 討 し , 運 動 場 面 に お け る 達 成 動 機 の 高 い 児 童 は , 肯 定 的 な自己概念が高く,否定的な自己概念、が低い傾向を見出している 50)。 今 井 (2002)は , 生 徒 の 中 学 校 数 学 へ の 情 意 的 要 因 ( 動 機 づ け , 好 意 性 , 自 己 概 念 , 価 値 意 識 , 不 安 ) と 子 ど も か ら 見 た 親 の 数 学 に 対 す る 意 識 と の 関 連 性 を 検 討 し , 父 親 が 数 学 に 興 味 を 持 っ て い る と 感 じ て い る 生 徒 は , 数 学 の 情 意 的 要 因 が 高 い こ と を 述 べ て い る 50。吉田ら (2004)は , 日 本 , 韓 国 , 中 国 の 3カ 国 に お け る 英 語 学 習 の 実 態 と 自 己 概 念 形 成 度 と の 関 連 性 を 検 討 し , 英 語 教 育 に お い て , 自 己 概 念 に 関 す る 自 己 肯 定 の レ ベ ル が 低 い 日 本 の 高 校 生 に は , 学 ぶ こ と の 価 値 や 有 用 性 の 意 識 を 高 め る 教 科 学 習 が 必 要 で あ る と 指 摘 し て い る 52)。花房ら(2011)は , 高 校 数 学 に お け る 教 科 学 習 と 高 校 生 の 意 識 を 検 討 し て い る 。 同 研 究 で は , 数 学 に お け る 自 分 の 能 力 へ の 見 解 を 数 学 に お け る 自 己 概 念 と し て 捉 え , 大 学 進 学 を 目 指 す 生 徒 を 対 象 と し た 調 査 を 実 施 し , 理 系 ク ラ ス の 数 学 に お け る 自 己 概 念 が , 高 校2年 生 の 段 階 で , 特 に 習 熟 度 の 高 い ク ラ ス で 顕 著 に 減 少 し て い る 傾 向 を 明 ら か に し た 53)。 こ れ に つ い て 花 房 ら は , 進 路 目 標 が あ る 程 度 認 識 さ れ て き た 時 期 に , 教 科 の 内 容 が 難 し く な り , 大 学 入 試 を 意 識 さ せ る 教 科 学 習 が , 数 学 に お け る 自 己 概 念 の 低 下 を 招 い て い る と指摘している。 こ の よ う に , 教 科 学 習 に よ る 学 力 形 成 は , 肯 定 的 な 自 己 概 念 の 形 成 と 密 接 に 関 連 し て お り , そ の 役 割 や 影 響 に つ い て は 中 学 校 技 術 科 , 小 学 校 理 科 , 小 学 校 体 育 , 中 学 校 数 学 , 高 校 英 語 , 高 校 数 学 等 の 教 科 ・ 領 域 に お い て 少 な か ら ず 先 行 研 究 が 展 開 さ れ て き て い る 。

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) 自 己 概 念 と 自 己 効 力 感 と の 関 連 性

Bandura(1977)は,自己効力感について,

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特定の行動に対する遂行可能性の認知」と定義し, こ れ は 言 い 換 え る と , 自 分 は 適 切 な 行 動 を う ま く や り 遂 げ る こ と が で き る と い う 感 覚 で あ る 。 こ の 自 己 効 力 感 は , 行 動 に 直 接 的 に 影 響 を 与 え る と 考 え ら れ て お り , 例 え ば , 教 科 学 習 の 場 面 を 想 定 す る と , 自 己 効 力 感 が 高 い 者 程 , 課 題 に 積 極 的 に 取 り 組 む こ と が で き , 得 ら れ る 結 果 の 水 準 が 高 く な るo 逆 に , 自 己 効 力 感 が 低 い 生 徒 程 , 課 題 へ の 取 り 組 み も 消 極 的 に な り , 得 ら れ る 結 果 の 水 準 も 低 下 す る と 考 え ら れ て い る 54)。 蓑 内(2002)は , ス ポ ー ツ の 自 己 効 力 感 と , 身 体 的 自 己 概 念 と の 関 係 を 検 討 し て い る 問 。 身 体 的自己概念とは, Shavelsonら(1976)の 提 唱 す る , 身 体 に 関 す る 自 己 概 念 33)で, Foxら(1989) によって,体調や体型,筋力,運動といった要素が含まれるモデノレが示されている 56)。 蓑 内 に よ る と , こ の 自 己 効 力 感 と 身 体 的 自 己 概 念 の 間 で 相 関 が 認 め ら れ て お り , ス ポ ー ツ に 対 す る 「 で き そ う だj と い う 感 覚 の 高 ま り が , 身 体 に 関 す る 自 己 概 念 の 高 ま り と 関 連 性 を 持 つ こ と を 述 べ ている。また関根ら(1996)は , 小 学 生 を 対 象 と し , キ ャ ン プ 経 験 に お け る 自 己 効 力 感 と 自 己 概 - 69ー

(12)

島田和典 工業高校における生徒の自己概念研究の展望と課題 念 と の 関 連 性 を 検 討 し , 自 己 効 力 感 の 高 い 児 童 は , キ ャ ン プ 経 験 を 経 る こ と に よ っ て 自 己 概 念 の 向 上 が 見 ら れ , 自 己 効 力 感 と 自 己 概 念 の 聞 に は 高 い 相 闘 が あ る こ と を 指 摘 し て い る 57)。この 他 に も , 王 十 嵐 ら(2008)の , 専 門 学 校 生 の 自 己 概 念 と 自 己 効 力 感 の 関 連 性 の 検 討 58), 畑 野 ら (2000)の 痴 呆 性 老 人 に お け る 自 己 効 力 感 と 自 己 概 念 と の 関 連 性 の 検 討 等 々 が 認 め ら れ る 則 。 こ の よ う に , 自 己 効 力 感 と 自 己 概 念 と の 関 連 性 で は , ス ポ ー ツ や キ ャ ン プ 等 の 特 定 の 課 題 状 況 に 対 す る 自 己 効 力 感 の 高 ま り が , 課 題 遂 行 に 対 す る 積 極 性 や そ の 達 成 を も た ら す こ と で , そ の 後 の 安 定 的 ・ 肯 定 的 な 自 己 概 念 の 形 成 に も 影 響 し う る こ と が 示 さ れ て い る 。

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) 自 己 概 念 と キ ャ リ ア と の 関 連 性

キ ャ リ ア に つ い て は , 様 々 な 視 点 , 範 囲 で 捉 え ら れ て お り , 例 え ば 宗 方(2002)らは「成人の 人 生 に お い て , 仕 事 を 行 な う と と も に 進 行 す る , 組 織 か 職 業 か の い ず れ か に 関 連 し た 一 連 の 活 動 並 び に 経 験 」 と 定 義 し て い る 60)。 ま た , 文 部 科 学 省 は キ ャ リ ア に つ い て 「 個 々 人 が 将 来 に わ た っ て 遂 行 す る 様 々 な 立 場 や 役 割 の 連 鎖 及 び そ の 過 程 に お け る 自 己 と 働 く こ と と の 関 係 付 け や 価 値 付 け の 累 積 」 と 定 義 61)しており,宗方らの定義付けを,職業という観点にとらわれないよ り 広 い 概 念 と し て 捉 え て い る 。 本 研 究 で は 前 者 を 狭 義 の キ ャ リ ア , 後 者 を 広 義 の キ ャ リ ア と 捉 え る こ と に す る 。 広 義 の キ ャ リ ア に は , 時 間 的 に 幾 つ か の 時 期 に 分 け て 記 述 す る 方 法 と し て , いくつかの段階モデルが提唱されている。例えば Kram(1985) は初期キャリア (22~40 歳)J. 「中期キャリア (40~60 歳)J.

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後 期 キ ャ リ ア(60歳 以 降 )Jの3段 階 を 示 し て お り , 初 期 キ ャ リ ア で は プ ロ テ ジ ェ , す な わ ち 教 え を 乞 う 側 に な る こ と が , 中 期 キ ャ リ ア 以 降 で は メ ン タ ー , す な わ ち 指 導 者 側 と な る こ と が 職 業 的 ア イ デ ン テ ィ テ ィ 形 成 に お い て 重 要 に な る こ と を 示 し た 刷 。 ま た Super(1957)は 成 長 期 J .

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探索期J.

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確立期J.

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維持期J.

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下 降 期 」 の よ う に 5 段 階 を 示 し , こ れ ら の 中 で 職 業 選 択 と の 関 わ り の 深 い 段 階 を 「 探 索 期 」 と 指 摘 し , さ ら に こ の 段階を「探索期 (14~18歳)J.r 移行期 (18~21歳)J.r コミットのない試行期 (21~24 歳 )J に分 割 し て い る 刷 。 探 索 期 は , 自 分 に と っ て 適 切 な 仕 事 に つ い て の ア イ デ ア を 形 成 す る こ と が 要 求 さ れ る 段 階 で あ り , 移 行 期 は , 具 体 的 な 職 業 の 決 定 に 向 け て の ス テ ッ プ で あ る 。 コ ミ ッ ト の な い 試 行 期 は , 職 業 的 な 好 み の 履 行 で あ る 。 そ し て , Super(I957)は , 各 キ ャ リ ア 段 階 に お け る 発 達 課 題 に つ い て , 突 き 詰 め れ ば 自 身 の 持 つ 自 己 概 念 を い か に 職 業 的 文 脈 の 中 で 達 成 す る か と い う 基 本 的 課 題 に 集 約 さ れ る こ と を 指 摘 し て い る 。 し か し な が ら , 渡 辺(2003)叫によると,

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段 階モデノレについて考える上で重要なことは,その段階がどの年齢にあたるかというよりも,各 段 階 に は 個 人 が 達 成 す べ き 課 題 が あ り , そ の 課 題 を 達 成 す る こ と で 個 人 の 中 に ま た 新 た な 心 理 的 , 社 会 的 な 成 長 が 生 じ る と い う 点 で あ る 」 と 述 べ て い る 。 学 校 に お い て 生 徒 の キ ャ リ ア 形 成 を 促 す 具 体 的 な 教 育 支 援 と し て 進 路 指 導 が あ る 。 進 路 指 導 について仙崎ら(2001)は,

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進 路 指 導 は 自 己 概 念 を 明 確 化 し , そ れ に 適 合 し た 行 動 を 取 り , そ れ を実現化していくという,自己実現への能力・態度を意図的に育成することを基本理念とする」 と し て , 自 己 の 将 来 を 考 え る 進 路 に お い て , 自 己 概 念 を 明 確 化 す る こ と が 重 要 で あ る と 指 摘 し て い る 刷 。 進 路 指 導 に お い て は , 生 徒 の キ ャ リ ア 形 成 の 過 程 に お い て し ば し ば 自 己 概 念 の 成 熟 ・ 発 達 と い う 点 に 焦 点 が 当 て ら れ て い る 。 こ の 進 路 指 導 に 重 要 な 視 点 と し て 「 勤 労 観 ・ 職 業 観」がある。国立教育政策研究所は,

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望 ま し い 職 業 観 ・ 勤 労 観 」 を 「 子 ど も た ち が 働 く 意 義 や 目 的 を 探 究 し , 一 人 一 人 が 自 分 な り の 職 業 観 ・ 勤 労 観 を 形 成 ・ 確 立 し て い く 過 程 を 指 導 ・ 援 助 す る こ と が 大 切 で あ る 。 そ の 際 , 多 様 性 を 大 切 に し な が ら も , そ れ ら に 共 通 す る 要 素 と し て , 職 業 の 意 義 に つ い て の 基 本 的 な 理 解 ・ 認 識 , 自 己 を 価 値 あ る も の と す る 自 覚 , 夢 や 希 望 を 実 現 -70ー

(13)

教 育 研 究 論 集 第1号 (2011年 2月発行) し よ う と す る 意 欲 的 な 態 度 等 望 ま し さ 」 を 備 え た も の を 目 指 す こ と が 求 め ら れ るJ66)と説 明している。この中でも,

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夢 や 希 望 を 実 現 し よ う と す る 意 欲 的 な 態 度Jは 自 己 実 現 力 の 育 成 に つ な が る も の で あ り , 自 己 概 念 と 教 科 学 習 の 関 連 性 で も 指 摘 さ れ て い る よ う に , 自 己 実 現 力 の 育 成 と い う 観 点 で は , 自 己 概 念 形 成 が 背 後 で 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る こ と が 予 測 で き る 。 Super(1957)は , 自 己 概 念 が 青 年 期 に 明 確 化 し , 現 実 吟 味 を 返 し て 興 味 や 価 値 , 能 力 が 統 合 さ れ , 職 業 の 適 性 や 職 業 の 興 味 等 に 置 換 さ れ る も の と 指 摘 し , こ れ を 職 業 的 自 己 概 念 と し て 捉 え た 63)。 足 立(1990)は, Super(1957)の 職 業 的 自 己 概 念 の 発 達 過 程 を 検 討 し , 進 路 指 導 は , 職 業 的 自 己 概 念 の 形 成 や 職 業 選 択 に お い て , 現 実 の 自 己 ど , 将 来 の 自 己 と を 有 機 的 に 結 び つ け る 能 力の育成が重要であることを述べている。 山内ら(2004)は , 看 護 職 に 従 事 す る 者 の キ ャ リ ア 形 成 と 自 己 概 念 と の 関 連 性 を 検 討 し て い る 67)。同研究では,看護職に従事する者としての自己概念(成長欲求,自信,評価等)が,看護職 としてのキャリア形成の姿勢(専門性の追求志向,研修参加志向等)に有意な影響を及ぼす知見 を 得 て い る 。 ま た 坂 柳 ら(1990)は , 中 学 校 段 階 に お け る 進 路 課 題 と 自 己 概 念 と の 関 連 性 を 男 女 の 性 役 割 に 着 巨 し て 検 討 し て い る 68)。ここでの進路課題とは,教育的進路課題(進路の選択や, そ の 後 の 適 応 に 関 す る 課 題 ),職業的進路課題(職業の選択や,その後の適応に関する課題),人 生的進路課題(将来設計の課題)の 3つ を 指 す 。 同 研 究 で は , 自 己 概 念 の 形 成 過 程 に あ る 中 学 生 は , 男 女 と い う 性 役 割 に 縛 ら れ な い 自 己 概 念 を 形 成 ・ 確 立 し て い く こ と が , 進 路 課 題 の 自 信 度 にとって重要であると述べている。 こ の よ う に , キ ャ リ ア 形 成 に と っ て 自 己 概 念 形 成 が 一 定 の 醸 成 を 果 た し て い る こ と が 認 め ら れ て い る 。 特 に , 職 業 的 発 達 に 果 た す 自 己 概 念 の 役 割 は 極 め て 重 要 で あ る と 指 摘 で き る 。

(4)自己概念と学校適応との関連性

適 応 と は , 加 藤(1990)に よ る と 自 ら の 欲 求 を 満 た す た め の 環 境 ( 特 に 対 人 関 係 や 組 織 等 の 社会的環境)に対して適切な働きかけを行うことができ,それに対し環境から肯定的な反応や評 価 が 与 え ら れ , 結 果 と し て 情 緒 的 に 安 定 し 有 効 感 を 持 つ こ と 」 で あ る 刷 。 一 言 に 「 適 応J と言 っ て も , 様 々 な 場 面 が 想 定 さ れ る 。 そ の ひ と つ と し て 学 校 適 応 が 挙 げ ら れ る 。 学 校 適 応 と は , 「 主 観 的 及 び 客 観 的 に , 生 徒 が 学 校 生 活 を 肯 定 的 に 捉 え て お り , か っ , 学 校 側 か ら の 要 請 に も 適 切 に 応 え て い る 状 態 , 及 び そ の 状 態 に 至 る 過 程J(原田ら, 2009)70)であるo 学 校 適 応 の 概 念 の う ち , 特 に 個 人 の 主 観 に 着 目 し た 場 合 に は 学 校 適 応 感 と い う 用 語 が 用 い ら れ る 。 大 久 保 ら (2003)に よ る と , 適 応 感 と は 個 人 が 環 境 と 適 合 ( フ ィ ッ ト ) し て い る と 意 識 す る こ と I であり 71), 学 校 適 応 感 に つ い て 中 井 ら(2008)は,

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個人が学校環境の中でうまく生活しているという, 個 人 的 , 主 観 的 な 状 態 , 感 覚j と定義している 72)。 学 校 適 応 に 関 す る 先 行 研 究 と し て は , 吉 崎(1982)が , 小 学 生 高 学 年 を 対 象 に 実 施 し た 調 査 か ら , 学 校 適 応 を 規 定 す る 要 因 と し て 自 己 概 念 を あ げ , 肯 定 的 な 自 己 概 念 を 形 成 し て い る 児 童 ほ ど 高 い 学 校 適 応 状 態 で あ る こ と を 指 摘 し て い る 73)。また嶋田(2008)は , 肯 定 的 な 自 己 概 念 を 形 成 さ せ る 学 級 活 動 を 通 し , 学 校 適 応 を 構 成 す る 学 校 生 活 へ の 意 欲 や , 満 足 度 が 上 昇 す る 傾 向 を 見 出 し て い る 74)。 一 方 , 学 校 適 応 感 に 関 す る 先 行 研 究 と し て は , 白(2009)が,学業不振者の高校生を対象に, 学 校 適 応 感 と 学 習 に 対 す る 自 己 概 念 に つ い て 検 討 し て い る 。 こ こ で の 学 校 適 応 感 は , 部 活 動 へ の意欲,学習意欲,自己肯定,教師との関係等の因子から構成され,学習に対する自己概念は, 学 習 に 対 す る 楽 し さ , 有 能 感 , 価 値 観 等 の 因 子 か ら 構 成 さ れ る 。 白 に よ る と , 学 校 適 応 感 に お

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