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コンピューター言語と思考について-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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コンピューター言語と思考について

植 松 茂 暢・福 田 弘 之

1.初 め に

LSIの使用によって,ここ数年のコンビ.ユータの進歩と普及には目覚ましい

ものがあります。電卓を用いる小学生,マイコンに熱中する中学生をよく見か

けます。5,6年前まで教育工学センターのミニコンを用いて,シイミィレー■

ション装置の20台のVTRを駆使するためのプログラムをアセンブラー・で組ん

でいて,紙テープの孔を銀紙を切って帖ってふさいだり,また孔をあけたり,

悪戦苦闘したのは,本当に夢のようです。

ここに,一腰教育科目の「マイコンとBASIC言語」という講義で学生を指

導したり,自分の研究生を指導したりして感じたことを2,3報告します0

2.思考の繰り返しと言語について

コンビニ.、−・タが威力を発揮するのは,プログラムの面で言えば

(1)データを変えると同一プログラムで,何回でも繰り返し計算すること

(2)プログラムの中に繰り返しを作りプログラムをコンパクトに作れるこ と によるものと思います。

ここでは,この後者のものについて考察します0

プログラムの繰り返しには,複雑さの度合によって,つぎのような段階があ

ります。 (A)サブルーチン

プログラムの中に何個所かで同じ働きをする部分があるとき,それをサブ

ルーチンとして取り出し別に書いておいて,その働きが必要な都度,そのサブ

ルーチンに行き,その働きを実行して帰って釆ます。

この働きをアセンブリ言語のレベルで見ますと,サブルーチンの頭の部分に

帰り番地を自動的に記入して,サブルーチンから帰る場合には,それを見て帰

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植 桧 茂 暢・福 田 弘 之 198 ります。アセンブリ言語では,サブル、−・チンの中で帰り番地に変更を加えるな ど面白いプログラムが作れますが,FORTAN言語など高級言語では,そのよ うなきめ細かなプログラムは作れません。

(B)IF文またはFOR(DO)文による繰り返し

これはプログラムの一・部を繰り返えすために制御変数をきめ,プログラムの ある部分を実行すると,その変数を変え,その変数がある条件を充たすまでそ れを繰り返えします。このIF文またはFOR文は何重にも出来て便利なもの

であって,これを修得することばFORTRAN言語,BASIC言語など高級言

語をマスターする鍵であると思います。 FOR文によるルー・プが〝重になっていると菖は,乃−1重ループまでの変数 を定めたとして,〝量目のループの様子をプログラムすればよいのですが,学 習者にはなかなか理解されません。特に中学生のプログラミングを見ていると, 一重のルー・プでも各ステップでの変数の変化を追って見なければ納得しないよ うです。これはピアジェの言う形式的挽作期に入ったばかりであるからでしょ うか。 (C)再帰的定義 一・般にあるものを定義するとき,定義の中に定義する対象を用いることばし tません。しかし,数学的帰納法では,これを許しま■す。 たとえば乃′(乃の階乗)は 乃/=乃×(和一1)×…×2×1 のことですが,これは〝を整数として 乃=1のときは 一/(〃)=1 〃>1のときは ノー(乃)=〝×./(乃−1) と定義されます。これと同じような定義を再帰的定義といいます。 ある言語で再帰的定義が可能であるかどうかは,その言語をアセンブリ言語 のレベルに落した段階で,サブルーチンに飛ぶとき,帰り番地,変数の値をど

のように管理して−くれるかによります。FORTRAN言語,ALGOL言語,

COBOL言語などでは,帰り番地を1つ管理するだけなので,本質的に再帰的

(3)

コンビ,ユーク言語と思考について 199 定義はできません。しかしBASIC言語では,帰り番地をたくさん管理するの で,変数の管理をプログラマーがすれば,再帰 1日Ⅰト1F−リ■r ‖ト」=t一芸目 的用法が可能です。第1図は,有効な使用法で 罰F=1 言草 G亡一5し旧 ま8㊥¢ はありませんが,〝の階乗の計簸で,サブルー 服戸別HT F 5∈lE†1D ンチを再帰的に使用した例です。 1Tト1EHRET脚 F 1日2日†」ニH−1 1匂3¢lヨ】コ51」臣1日日日 1日4日 REl‘l.JRH 第1図 再帰的定義を最も美しい形で可能にするのは LISP言語です。LISP言語の再帰的用法を HANOIの塔で説明してみます。 HANOIの塔は図2のようなパズルのオモチャです。Aの棒につきささって いる何枚か(乃枚)の円板を一・枚づつ,棒Bを用いて,棒Cに移すのですが, 円板は一度に一・枚づつしか移動できないし,また,小さい円板の上へ大貴い円 板を乗せてはいけません。 + \ C・ト・トトトトサ小LV 8 トー﹂﹁−し \ ー∨く′溢嶽卯 \ iii.コーユニ三三ニニニニヱ′二与ご 、 第2図

この間題の解法をHANOI(nABC)とすれば,そのSTRATFGYは

① Aにある乃枚の円板のうち上の円板1∼(乃−1)を棒Cを用いて棒B

に移す。(この解法はHANOI(〃一1ABC)である) 〈C・EFPROF 抽1川コI rLRr・1E:DR(H 〉:lノ Z) (PRO6 日IL (●c馴・1D((ZEROPト4)ト1IL)1 (T く11Rト拍Ⅰ(てUE:1日:・H:≡\り rF′RエーJT(し丁5T H 〉く ヱニートノ n=0になると移動しない n>0のときHANOI(n−1xzy)をし 移赦する円彼の番号とどこからどこへ 移赦するかをプリントし くH仁IH■〕Ⅰ(葺_lBlトj)\●X三ニ・H)ニ・・HANOl(n−1yxz)を実行する E〉くPR) =fし 第3図

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200 植 松 茂 暢・福 田 弘 之 ⑧ Aにある1番下の円板乃を棒Cに移す。 ⑧ 棒Bに移した円板1∼〃−1を棒Aを用いて棒Cに移す。(この解法 はHANOI(乃−1)B ACである) このSTRATEGY①,⑧で解法を再帰的に =再L!細川:N‖:S”R一・E!‖l:f・・ 用いて定義している。LISP言語では,この STRATEGYをそのままプログラムします。 第3図はプログラムで,第4図は〝=3の実験 例です。 LISP の再帰的定義をHANOIの塔の解法 で説明しましたが,このように,LISP言語で は数学的な思考をそのままプログラムできま す。LISP言語は(計算を主としない方面の)数 学,言語学などの研究には,最も適した言語で あると思います。 3.プログラミングの巧拙について ・1Rl.‘ tコ ロ E;・ (1ト.臣:・ \コ ロl・ 凸[ ハし R二日 lニュ ノ\ノー ﹁⋮ ︼〓 l r﹁‖‖ 料 現在マイクロコンビニ.1一夕で使える高級言語はFORTRAN,PL/I,PAS−

CAL,LISP,COBOL,BASIC,FORTH等数多くあります。COBOLについて

は大型コンビェ.−タで走るものと同程度のレベルのものが使える様になったそ うです(CIS−COBOL ver5)。これらの高級言語を用いると,小さなプログラ ムでは問題を分析したりフロチャー・トを書かなくても直接キ・一ボードに向って プログラムを打ち込むことが出来るほどです。通常マイクロコンビュ.一夕では BASICが使えます。BASICで小さなプログラムを作っているときは問題はあ まり生じませんが少し長いプログラムになると,それまでの無計画な方法では 作れないことに気がつきます。たとえ作ることが出来てもそのプログラムを後 から修正しようと思うと作った本人も含めて全く手が出せない程難解なものと なってしまっています。この原因はプログラムを作る基本的な態度と問題があ る様です。ところで我々数学屋から見ると美しいプログラムとそうでないプロ グラムの区別がつきます。プログラムを作るのは数学においては定理を分析し

(5)

コンビ.コ.・−タ言語と思考について 201 て証明を組立てる作業に,よく似ています。定理を証明するためによく分析し, いい準備(Lemma)を用意すれば証明は透明で美しいものになります。我々数 学屋は美しい定理とエレガントな証明に出合うといたく感動します。同様に透 明で美しいプログラムを見るとそのプログラムを作った人に数学的なセンスを 見い出してうれしくなります。我々が見て美しいプログラムとば次の様なもの です。まず最初の数行でプログラムの全体がどの様な構造になっているか分か る様に書いてあって,プログラムが作業ブロックごとによく整理されているも のです。あまり技巧を凝らしたものより自然な流れのある方が美しく感じます。 この様なプログラムを書く訓練は高級な言語でプログラムを作っているうち はなかなか上達しない様です。一度アセンブラを用いてプログラムを作りトッ プ・ダウン方式を身につけるのが良いかと思いますが何よりもまず発しいプロ グラムとそうでないものをはっきり区別出来る心を養うことが大切だと思いま す。

参照

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