愛知工業大学研究報告第11号
立体写真法による人間歩行の解析
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加 藤 厚 生
村 田 正 美
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人間の歩行を三次元計測する一手法としての
1
4
5
。方式立体写真法」についてはすでに報告したり.2) これまでの報告では,測定精度が低いζと,被測定点位置と関節中心位置との相関関係が小さいことな ど,未解決な部分があった. その後,一連の実験によって測定精度は,ほぽ理論的な精度に達した.また被測定点位置と関節中心位 置の相関関係を高める方法を開発した. 序 文 人聞のように,柔構造,多関節リンク機構からなる物 体の運動を,正確に三次計測することは非常に困難であ る. 物体の運動を計測するためには,位置,速度,加速度 のいづれか一つを,それぞれ初期条件を含めて測定すれ ば良心写真法, ドプラ一法,加速度計法など衆知の測 定法がある. しかしながら,人閣の歩行のように,比較的広い空間 中を移動する多重リンク機構を測定対象とする場合に は,いづれの方法も被験者の非拘束性,広い測定範囲, 精度,同時に測定できる被測点数,測定の容易さ,コス ト,測定の突時間性などからみて現状では満足すべき方 法がない. 筆者らは,人閣の歩行を測定するうえで, 1.三次元計測をすること, 2.関節により結合される各 身体部をすべて測定する乙と, 3.測定精度を高めるこ と, 4.少くとも歩行の一周期(一歩)を完全に測定す ること,の4
点ζi目標を絞り1
4
5
0方式立体写真法」を 採用して,乙の方法の原理と,計測結果から歩行時の体 重心移重を三次元解析した結果について既に報告した. 今回,乙の小論のなかで,前掲論文2>では未報告であ った誤差の理論値について述べ,さらに注意深い実験と 適切な補正によって測定誤差を理論値のオーダーに追い 込み得る乙と,および,被測定点と関節位置との相関関 係を高める方法について述べ,これらの方法による測定 *村田正美:電子工学科研究生 結果を報告する.4
5
0方式立体写真法 図1
の原理において Urは,右カメラのフィルム面中心から,被測点Pのフ ィルム面上の像PrまでのX方向長さ. Ulは 左カメラのフィルム面中心から,被測点P
のフ ィルム面上の像PlまでのY方向長さ. Vrは,右カメラのフィルム面中心からPrまでのZ方 向長さ. Vlは,左カメラのフィルム面中心から P1までの Z方 向長さ. hは,左右カメラのレンズ中心の高さ. Lは,x. Y, x座標原点から左右のカメラレンズ中心 までの距離のx-y面内成分. lは,左右カメラのレンズ中心からフィルム面中心ま での長さ. とするとJ X, y, Z座標内でP点の各座標は次のように 表わされる. ) 一 r -u τ J ごm
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0方 式 立 体 写 真 法 の 原 理 図 読み取りによる誤差の理論値 dvrdvlに起因するものは次のようになる. x = h (ur, Ul,
L,
1) Y =f2 (U" Ul,
L,
1) z =fa (ur, Ul,Vr, V l>L, 1, h) であるから, X, y, Zの計算値に含まれる誤差dx,dy, dzは次のようになる. (互主_
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白 日 白 担 目 白 山 11~.I ト一三,一一旦,一一三一~~一三一一三! (dhl
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ur '~'av,:-' aVl 'dL '~"ahj 、これらの誤差のうちフィルムの読取り誤差 dur, dUl, dx dy dz ここ t乙
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2
(J2-UrUl)2 dUr dUl d Vr dVl立体写真法による人間歩行の解析
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一 一L {UI +1) OVr 2 (J2-UrUI) ofa _ L (ur ー1) OVI 2 (12-UrUI) 読取誤差の理論{直は, X, y, Z座標内で x = -800から+800ミリメートルまで y= 0から+800ミリメ{トルまで z= +200から+1800ミリメートルまでの領域でそれぞ れ200ミリメートル毎に計算した.との領域は,後述す 表1
読取による誤差の理論値の数値例 (読取誤差1mml乙対する{直)l
xly!zilM/BU1mU1│釘jovrI
妊jOVl26.9
。 。
01 01 2001 dy 1 26.9 -26.9。 。
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フドフ!とフドァ仲間
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乙フ│乙フドァ│乙フドァドフドァ│ム
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オ乙オ乙オ乙オ乙オ乙オ乙オ乙オ乙オ乙
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フ|乙フドオ乙オ乙オ乙フi乙フ|乙フドァ~I 醐
ァ│乙フ│乙フドフ│乙フ│乙フ│乙フドァドフ│乙!細
フ│乙フドフ│乙ァ│乙フ│乙*フドフ│乙フ│ム醐
~二位
。4 0 6 (y = O. 00悶 悶 ) 図2
読取による誤差の理論{直の範囲 (読取誤差l
m
m
l
乙対する値)3
る撮影領域を完全にカバーしている. 読取りによる誤差の理論値の数値例を表II乙B 図式表 示を図2,l乙示す. これらの結果から,読取誤差に起因して計算結果に含 まれる誤差をおおむね土1m
m
以内に抑えるためには,フ ィルム上の被測点位置は,すくなくとも5
0
分の171119以上 の精度で読取らねばならないこととなる. その他の誤差について フィルム読取誤差以外のp誤差は,カメラの設定誤差お よび,較正用基準被写体の設定誤差である. この内,カメラの設定誤差にかかわる量としては,計 算式に直接現われる L ,1, h と 間 接 的lζ現われる ljv 2とがあり,計算式には全く表現されていないカメ ラのあおり角や,左右カメラの設定差もある園 較正用基準被写体にかかる誤差としてはp基準被写体 作製上の誤差と,設定誤差および基準被写体の構造上除 くことのできない左右からの視差がある. これらの内, Lと し 以 外 は1仰程度の誤差を許すな らば比較的容易に設定可能である. Iはレンズの焦点距離であるが,複合レンズ系でわか りにくししかもピント合わせによって変化するから, 撮影後z
軸上の基準被写体長さから計算により導出する ことにし, 1トーL=一定,として設定したー y 歩 汗 台 45' 45'⑪
トラγシ ッ ト 左 カ メ ラ 右 カ 〆 ラ ス ピ ー カ 図3
測 定 系 の 構 成測定系の全構成とカメラおよび基準被写体の設定 測定系の全構成図を図3に示す. 図4は撮影装置の全景である. 撮影にさきだって,カメラおよび較正用基準被写体を 設定する.乙れらの設定にはトランシット(測機舎製 BT-20A)を用い正確を期した.較正用基準被写体 は, x-z面!r.平行に設定し,その時 y
=
0, 200, 400, 600, 800,摺閣とした. 基準被写体の撮影後,カメラ等の設定条件を同ーに保 ちながら,被験者を撮影する. 被験者は200仰間隔の方眼目盛を描かれた歩行台J二 一予,./
/
〆 /
を,カメラから見て左から右へ歩き,被験者の各関節付 近 K付けた鐙光標点に,マルチストロボ、フラッシュ光を 照射して反射光を撮影する. マルチストロボは,水晶原発振t乙よる 20Hzで発光さ せた. カメラは, f=1
0
0
m
m
のレンズを装置したマミヤプレス を用い,焦点は,歩行台の中央付近に合わせた. ζのと きの焦点距離は,撮影後,計算により導出じた. フィJレムは,イーストマン・コダック, Tri-X Pan Proflssional ASA 320を用い,約2倍t乙増感現象し 守.50凶im楳 点下¥
¥
¥
X 図4
撮 影 装 置 の 設 定 左 カ メ ラ に よ る 右 カ メ ラ に よ る 写真1
較 正 用 基 準 被 写 体 ( 網 目 )立体写真法による人間歩行の解析E 歩調を制御する目的で
2
H
z
附近で周期を変えられる4
0
0
H
z
トーンバースト音源を用意した. 撮影例を写真u
乙示す. 写真1は,y
=
0としてx
-
z
面に置いた較正用基準被 写体であるー 誤差とその補正 撮影したフィルムは,フィルムのままガラス板にはさ んで日本光学製微動載物台 0型に固定し,顕微鏡により 被測点を確認しとよがら位置を読取るe この微動載物台は0.0017117nまで読取可能であるがs フ ィルムの伸縮や被測点のぼけ等を勘案して,0
.
0
5
慨を読 取の目安にした. 基準被写体網目の各交点における実測位置と,フィル 表E
基準被写体(網目)の交点の実測位置と 計算位置との差(未修正)[ 1 │
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5 ム読取値から計算した位置との誤差の一例を表2に示 す.乙の計算iこ用いたIは, z軸上の2点閥距離とこれに 対応するフィルム上の読取値とから算出した値である がsこの Iの値の適,不適によって上記各交点での誤差 が大きく変わることからS=
2J(XK-XmK)2+2J(YK-YmK)2
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2J(ZK-ZmK)2 k k k ただし XK, YK, ZK;交点、実演U{I直の x,y, z 座 標 XmK,YmK,ZmK;交点計算値の X,y, z 座 標 』ープ7 _ J _ Y __y ←V ←〆 ←7 一ープ ~ _j/ yV
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a. 基準被写体(網目)の交点の実測位置と 計算位置との差(修正後) (単位伽) J J ). ).L
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陪 且 d~ , dy , d" 図5
b.なるSを最少にするlを修正値として求め,以後の計算 に用いた. 修正後のIと誤差の数値例を表31乙.図式表示を図51乙 示す, 関節の仮想回転中心の推定法 人間の身体各部の関節には,一軸性の屈伸中心をもっ 蝶番関節(例,腕尺関節) ,一軸性の回施中心をもっ車 軸関節(例,擦尺関節) ,二軸性の屈伸中Jむをもっ楕円 関節(例,議骨手根関節) ,里震状関節(例,中手指節関 節) ,多軸性の屈伸,回施中心をもっ球関節(例,肩関 節) ,白状関節(例.股関節)等の種類があり3),その 形状に従って関節運動の測定法も適正に選れすべきであ る. これまでJ運動解析において関節の運動中心を推定す る方法とでは,目視により上皮の一点を決定する方法, 骨の特定の一部を選びその附近の上皮を決定する方法, スティックピクチャーのように二直線の交点として決定 する方法等が用いられている.これらの方法は,一軸性 の屈伸測定を主目的とする二次元計測の場合は充分実用 的であるが,団施や囲内,囲外も測定し得る三次元計測 の場合には適当で、ない. 今回の実験で採用した方法は,三次元計測法を生かし て,屈曲, {申援はもちろん,回施,回内,回外をも測定 する目的で採用した. z y A 玄 図
8
仮想関節中心計測法の原理 図61乙原理図を示す.図6において,直角座標系 (x, Y, z) 内にある点o
(Ox, Oy, Oz) , A (Ax, Ay, Az) , B (Bx, B" Bz) , C (Cx, Cy, Cz) 1乙←一一+ ー一一一歩 ついてOA,OB
,
OCをそれぞれ 0から出発する単位 ベクトルA,B, Cとする.A, B, Cは互に直交するも のとする. また, i, ,jk を そ れ ぞ れ 忘 れ Z方向の基本ベク トルとすると衆知のように, C = AXB =I
i j k 1=ι,
0+jCyo+kC.0 Axo Ayo AzoBxo Byo Bzo から C玄0=Ayo Bzo - Azo Byo
CyO = Azo Bxo -Axo Bzo Czo =.Axo Byo - Ayo Bxo
ただし,添字 xo,Yo, ZoはOから出発する各ベクト Jレの x,Y, z方向成分. したがって, Cx = Ox+Cxo Cy = Oy+Czo Cz = Oz+Czo 点Oから Cと同一方向に点 D をとって 10DI=dとす ると点D の x,Y, z座標, Dx, D" Dzは D玄= d
・
Cx Dy=
d・
Cy Dz = d・
Cz となる, 図 ? 仮想関節中心の三次元測定法 関節仮想中心の測定法を図7
1
乙示す, 二辺が30仰の直角二等辺三角形o
A'B'において,辺 A'B'が相隣る二つの関節の仮想中心bn.b田巻結ぶ直線 bm.bnおよび,0とbmを結ぶ直線o
dm 1乙互に直角と なる様l己 02A'2B'2を関節から離れた前腕部位に固定す る. bmはO D方向での体部位横断長の2分の 1によ皮か らOまでの長さを加えた長さとする. O'A"B' を三次元計測するζとにより原理から b血点 (仮想関節中心〕を三次元計測できる. また A' B'から前腕のひねりを知ることができる. 他の節関についても同様である. 肩関節のように三角形 OA'B'を上腕に固定する部 位がひじ側に接近せざるを得ない場合には図6に示す ようにb
l
に む を 加 え る . 写 真2 K, 被 験 者 の 様 子立体写真法による人間歩行の解析
E
7
, 写真2
被験者に被測点を貼付した様子 左 カ メ ラ に よ る 写 真3
を,写真 31乙歩行撮影例写真 4に比較用足跡例を示す. 体重,心の計算結果 上記方法を用いて,各仮i盟関節中心等を三次元計測し たのち,前報2)の計算方法により歩行中の身体各部の童 心移動を算出した結果を図8,図9,図10K.示す. 乙の例は, 2.0Hz周期トーンパースト音に歩調を合わ せた正常歩行である. 図111<:,同じ例についての総合体重心軌跡を示す. 写 真4
足 跡 例 右 カ メ ラ に よ る 歩 行 撮 影 例 む す び 450方式立体写真法において,測定精度を高める手法 と,簡単な誤差の修正法を示した. この方法によれば,誤差は,ほぼ1m70台におさまるよ うになる. さらに仮想関節中心を推定する方法について原理をの ぺ,歩行解析に用いた例を示した,現段階ではまだ,乙 の方法についての詳細な評価は出来ないでいるが,この 方法を応用して歩行中の股関節位置測定(手のかげにな り読取れない場合がある)が可能となったから,前報2)と比較のために示した体重心軌跡は,いっそう正較とな っている. おわりにあたり,本実験iこ精力的iこ取組み秀れたデ{ タを提供してくれた本学電子工学科B 生体工学研究室卒 研生中山之義,丹羽博司,丹羽正義三君に感謝する. 6∞ 同 町 /〆 /