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プロポフォールを用いたウマの全静脈麻酔(TIVA)に関する研究

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プロポフォールを用いたウマの全静脈麻酔(TIVA)

に関する研究

著者

奥 河寿臣

内容記述

位授与大学: Osaka Prefecture University(大阪府

立大学), 学位の種類: 博士(獣医学), 学位記番号

: 論獣第154号, 学位授与年月日: 2011-02-20, 指

導教員: 大橋文人

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大 阪 府 立 大 学 博 士 (獣 医 学 )学 位 論 文

プロポフォールを用 いたウマの

全 静 脈 麻 酔 (TIVA)に関 する研 究

奥 河 寿 臣

2011 年

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略 語 説 明

B IS : Bi s p ect ral In d e x C I: C ardi ac In d ex 心 係 数 CO: C ardi ac Out p ut 心 拍 出 量

Cp5 0:Concentration preventing reaction to stimulus in 50% of population 5 0 %効 果 目 標 血 漿 濃 度

DAP : Di as t ol i c Art eri al P res s u re 拡 張 期 動 脈 圧 E D5 0:50% Effective Dose 50%有 効 量

E D9 5:95% Effective Dose 95%有 効 量 E T: Ej e c t io n Ti me 駆 出 時 間

GGE :Gu ai aco l Gl yc eri n E th er グア ヤ コー ル・ グリ セリ ン・ エ ー テル HR : Heart R at e 心 拍 数

IP P V: In t erm i tt en t P os i ti v e P res su re Ven t il ati o n 間 歇 的 陽 圧 換 気 M AC :M i ni m un Al v eol ar An es t h et i c C o n cent rat i on 最 小 肺 胞 内 濃 度 M AP :M ean Art eri al Pres s u re 平 均 動 脈 圧

M IR : Mi ni m um In fu s io n R at e 最 小 投 与 速 度 MR AP : M ean R i gh t At ri al P ress u re 平 均 右 心 房 圧

M VC :M ean Val u e o f t h e art eri al p ro po fol Co n cen t rati o n fo r t h e p ai r o f res po n s es 電 気 刺 激 に 対 す る 反 応 が 変 化 し た 動 脈 血 中 プ ロ ポ フ ォ ー ル 濃 度 のペアの中 間 値

M V I: M ean Val u e o f t h e In fu s i on rat es fo r t h e p ai r o f res p o n s es 電 気 刺 激 に対 する反 応 が変 化 した投 与 速 度 のペアの中 間 値

P aC O2:Arterial partial pressure of CO2 動 脈 血 二 酸 化 炭 素 分 圧 P aO2:Arterial partial pressure of O2 動 脈 血 酸 素 分 圧

PE P/ E T:P re-Ej ect i o n P erio d / Ej e c t i o n Ti me E T に 対 す る P E P の 比 率 PE P: P re-Ej ect io n P erio d 前 駆 出 時 間

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SAP: S ys t o l i c Art eri al P ress u re 収 縮 期 動 脈 圧 SV: St ro k e Vol um e 1 回 心 拍 出 量

SVR :S ys t em i c Vas cul ar R esi st an ce 全 身 血 管 抵 抗 T IVA: To t al In t rav en o us An est h es i a 全 静 脈 麻 酔 法

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目 次

緒 論 ・・・・・・・・・・ 1 第 1 章 ウマの TIVA におけるプロポフォールの MIR 1 .緒 言 ・・・・・・・・・・ 5 2 .材 料 お よ び 方 法 1 ) 供 試 馬 ・・・・・・・・・・ 7 2 ) 麻 酔 法 ・・・・・・・・・・ 7 3 )M IR の 測 定 ・・・・・・・・・・ 8 4 ) 動 脈 血 中 プロ ポ フォー ル 濃 度 の 測 定 ・・・・・・・・・・ 8 5 ) 心 拍 数 ( HR ) 、平 均 動 脈 血 圧 ( M AP ) およ び 動 脈 血 ガス分 圧 の測 定 ・・・・・・・・・・ 9 6 ) 統 計 学 的 解 析 法 ・・・・・・・・・・ 9 3 .結 果 1 ) 麻 酔 時 間 ・・・・・・・・・・ 11 2 ) 電 気 刺 激 に 対 す る 反 応 ・・・・・・・・・・ 11 3 )M IR お よ び Cp5 0 ・・・・・・・・・・ 11 4 ) 動 脈 血 中 プロ ポ フォー ル 濃 度 ・・・・・・・・・・ 11 5 ) 投 与 速 度 と体 動 反 応 の 関 係 ・・・・・・・・・・ 12 6 )HR およ び M AP の 変 化 ・・・・・・・・・・ 12 7 ) 呼 吸 数 ( R R) およ び 動 脈 血 ガ ス 分 圧 の 変 化 ・・・・・・・・・・ 12 4 .考 察 ・・・・・・・・・・ 13 5 .要 旨 ・・・・・・・・・・ 19 6 .図 表 ・・・・・・・・・・ 20 第 2 章 プロポフォールの静 脈 内 持 続 投 与 がウマの循 環 動 態 に及 ぼす影 響 1 .緒 言 ・・・・・・・・・・ 28

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2 .材 料 お よ び 方 法 1 ) 供 試 馬 ・・・・・・・・・・ 29 2 ) 麻 酔 法 ・・・・・・・・・・ 29 3 ) 動 脈 血 ガ ス 分 圧 の 測 定 ・・・・・・・・・・ 30 4 )M AP およ び 平 均 右 心 房 圧 ( M R AP ) の 測 定 ・・・・・・・・・・ 30 5 )パ ルス ド ップ ラー 法 によ る循 環 系 指 標 の 測 定 ・・・・・・・・・・ 30 6 ) 統 計 学 的 解 析 法 ・・・・・・・・・・ 31 3 .結 果 1) 麻 酔 時 間 ・・・・・・・・・・ 32 2 )R R およ び 動 脈 血 ガス 分 圧 の 変 化 ・・・・・・・・・・ 32 3 ) 投 与 速 度 の 変 更 に 伴 う 循 環 系 指 標 の 変 化 ・・・・・・・・・・ 32 4 ) 麻 酔 時 間 の 経 過 に 伴 う 循 環 系 指 標 の 変 化 ・・・・・・・・・・ 33 4 .考 察 ・・・・・・・・・・ 34 5 .要 旨 ・・・・・・・・・・ 39 6 .図 表 ・・・・・・・・・・ 40 第 3 章 ウマのプロポフォール麻 酔における導 入 期および覚 醒 期 の行 動 特 性 1 .緒 言 ・・・・・・・・・・ 46 2 .材 料 お よ び 方 法 1 ) 供 試 馬 ・・・・・・・・・・ 47 2 ) 麻 酔 法 ・・・・・・・・・・ 47 3 ) 麻 酔 導 入 お よび 覚 醒 の 質 の 評 価 法 ・・・・・・・・・・ 48 4 ) 測 定 項 目 お よび 測 定 方 法 ・・・・・・・・・・ 48 5 ) 統 計 処 理 方 法 ・・・・・・・・・・ 49 3 .結 果 1 ) 導 入 ・・・・・・・・・・ 50 2 ) 麻 酔 導 入 お よび 覚 醒 に 要 した 時 間 ・・・・・・・・・・ 51

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3 ) 覚 醒 ・・・・・・・・・・ 51 4 )R R およ び 動 脈 血 ガス 分 圧 ・・・・・・・・・・ 51 5 )HR およ び 動 脈 圧 ・・・・・・・・・・ 52 4 .考 察 ・・・・・・・・・・ 53 5 .要 旨 ・・・・・・・・・・ 60 6 .図 表 ・・・・・・・・・・ 62 第 4 章 競走馬の骨折の内固定手術におけるプロポフォール-ケタミン TIVA 法 1 .緒 言 ・・・・・・・・・・ 69 2 .材 料 お よ び 方 法 1 ) 供 試 馬 ・・・・・・・・・・ 70 2 ) 麻 酔 法 ・・・・・・・・・・ 70 3 ) 測 定 項 目 お よび 測 定 方 法 ・・・・・・・・・・ 71 4 ) 統 計 処 理 方 法 ・・・・・・・・・・ 71 3 .結 果 1 ) 導 入 ・・・・・・・・・・ 72 2 ) 維 持 麻 酔 ・・・・・・・・・・ 72 3 ) 呼 吸 循 環 系 の 変 化 ・・・・・・・・・・ 72 4 ) 覚 醒 ・・・・・・・・・・ 73 4 .考 察 ・・・・・・・・・・ 74 5 .要 旨 ・・・・・・・・・・ 79 6 .図 表 ・・・・・・・・・・ 80 総 合 考 察 ・・・・・・・・・・ 84 総 括 ・・・・・・・・・・ 88 引 用 文 献 ・・・・・・・・・・ 89 謝 辞 ・・・・・・・・・・100

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- 1 - 緒 論

ウ マ の 静 脈 麻 酔 に は 数 十 年 前 よ り 、 チ オ ペ ン タ ー ル を 中 心 と す る バ ル ビ ツ レ ー ト が 用 い ら れ 、 麻 酔 導 入 お よ び 短 時 間 の 全 身 麻 酔 に 応 用 さ れ て き た (Benson and Thurmon, 1990)。その後 、麻 酔 導 入 や覚 醒 の質 の改 善 を目 的 として 、グ アヤコール ・ グリセリ ン・エ ーテル ( GGE)が併 用 されるようになり、さらに 後 には、キシラジンに代 表 されるα2作 動 薬 が麻 酔 前 処 置 に用 いられるようにな った (Muir et al, 1991)。このような麻 酔 手 技 の改 良 により、バルビツレートの 反 復 投 与 による 30 分 から 1 時 間 程 度 の静 脈 麻 酔 は可 能 となった。しかし、こ の 方 法 は 麻 酔 薬 の 蓄 積 効 果 に よ り 覚 醒 が 遅 延 す る と とも に そ の 質 が 悪 く な り 、 覚 醒 時 の 危 険 性 が 増 すことから (Muir, 1991b)、長 時 間 麻 酔 に適 した方 法 と はいえなかった。 このような理 由 から、ウマにおいて静 脈 麻 酔 は主 として麻 酔 導 入 に用 いられ、 長 時 間 麻 酔 の主 流 は、過 去 40 年 以 上 、ハロセン、イソフルレンおよびセボフル レ ン の 揮 発 性 麻 酔 薬 を 用 い た 吸 入 麻 酔 法 で あ っ た ( Steffey, 1991 ) 。 吸 入 麻 酔 は 従 来 の 静 脈 麻 酔 に 比 較 して 麻 酔 深 度 の 調 節 が 容 易 で あ り、また 、体 内 へ の 麻 酔 薬 の 蓄 積 が 少 な く、 長 時 間 麻 酔 後 に お い て も 覚 醒 が 著 し く 遅 延 す る 例 は少 ない。 バルビツレートに代 わ って、解 離 性 麻 酔 薬 であるケタミンが 広 く用 いられるよう に な る と 、 ケ タ ミ ン 、 GGE およ びキ シラ ジン 混 合 薬 の 持 続 投 与 による 全 静 脈 麻 酔 法 ( 「 全 て 」 の 薬 物 を 静 脈 的 に 投 与 す る 「 全 身 麻 酔 」 法 、 Total Intravenous An est h esi a 、 T IVA ) が 、 ウ マ の 維 持 麻 酔 法 と し て 応 用 さ れ る よ う に な っ た (Young et al, 1993)。本 麻 酔 法 においては、麻 酔 時 間 が 90 から 120 分 を越 え な い 限 り 、 回 復 時 間 が 30 分 を 超 え る こ と は ま れ で あ る と さ れ て い る ( Benson an d T h u rmo n , 1 9 9 0) 。 近 年 、 新 し い 静 脈 麻 酔 薬 で あ る プ ロ ポ フ ォ ー ル ( 2,6-diisopropylphenol ) が 開 発 され、ヒトの医 学 臨 床 において本 麻 酔 薬 を用 いた TIVA が長 時 間 麻 酔 に 広 く応 用 されるように なった。プロポ フォ ー ルは、低 い 蓄 積 性 、速 い 作 用 発 現 お

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よび短 い作 用 時 間 という TIVA のための麻 酔 薬 に求 められる特 性 の多 くを有 す る (Langley and Heel, 1988 ; White and Smith, 1997)。この特 性 のゆえに本 麻 酔 薬 を用 いた TIVA は麻 酔 深 度 の調 節 が容 易 であり、覚 醒 が迅 速 であると と も に 、 回 復 し た 意 識 は 覚 醒 直 後 に お い て も 澄 明 で あ り 、 悪 心 ・ 嘔 吐 な ど の 発 現 も少 ないとされてい る。

ヒトにおいて TIVA は、drug focusing という概 念 からその有 用 性 が注 目 され ている。drug focusing とは、麻 酔 薬 がある特 定 の部 位 に可 能 な限 り直 接 的 に 到 達 することをいう (Stanley, 1986)。吸 入 麻 酔 薬 は麻 酔 とは直 接 的 に関 係 し な い 肺 を 通 し て 吸 入 さ れ 、 中 枢 神 経 系 の あ ら ゆ る 部 位 に 作 用 す る 。 し か し 、 T IVA に お い ては 、 経 静 脈 的 に 投 与 さ れ た 数 種 の 薬 物 が 、 そ れぞ れ 中 枢 神 経 系 の 特 定 の 作 用 部 位 に 到 達 して 作 用 を 発 揮 する 。麻 酔 作 用 が肺 機 能 に 影 響 を受 けず、肺 の酸 素 化 能 が抑 制 されない ことは TIVA の大 きな長 所 とされてい る。 また、手 術 環 境 の汚 染 防 止 の観 点 からも、TIVA は評 価 されている。吸 入 麻 酔 薬 の 使 用 は 手 術 室 の 環 境 汚 染 を 招 き 、 余 剰 ガ ス 排 泄 装 置 も 、 麻 酔 覚 醒 時 に 患 者 か ら 排 泄 さ れ る 吸 入 麻 酔 薬 に 対 し て は 効 果 が な い 。ヒ ト と 比 較 し て 遥 か に体 格 の 大 き なウマ においては、必 然 的 に覚 醒 時 に 排 泄 する 吸 入 麻 酔 薬 量 も 多 くなる 。したがって、手 術 室 環 境 の 汚 染 防 止 という観 点 では 、TIVA はウマに おいてヒト以 上 のメリットを有 すると言 える。 麻 酔 に 伴 う ス ト レ ス 反 応 あ る い は 免 疫 機 能 低 下 の 軽 減 と い う 点 に お い て も 、 静 脈 麻 酔 は 吸 入 麻 酔 に 比 較 し て 有 利 で あ る可 能 性 が 示 唆 さ れて い る 。プ ロ ポ フォールを用 いた TIVA はイソフルランを用 いた吸 入 麻 酔 に比 較 して、麻 酔 中 お よ び 後 の 内 分 泌 ス ト レ ス 反 応 が 有 意 に 穏 や か で あ る こ とが 、 ヒ ト で 認 め ら れ て いる(Adams et al, 1994)。またヒトにおいて、イソフルランによる維 持 麻 酔 とプロ ポフォールおよびオピオイドを用 いた TIVA による維 持 麻 酔 とを比 較 すると、後 者 の ほ う が 周 術 期 の 免 疫 抑 制 の 程 度 は 小 さ い と さ れ て い る ( Adams et al, 1 99 4 ) 。 さ ら に 、 プ ロ ポ フ ォ ー ル 麻 酔 は イ ソ フ ル ラ ン 麻 酔 に 比 較 し て 、 麻 酔 中 の 肺 マクロファージの殺 菌 機 能 の低 下 程 度 が小 さく(Kotani et al, 1998)、笑 気 ‐

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イソフルラン麻 酔 では 肺 胞 マクロファージが減 少 することが 知 られている(Kotani et a l , 1 9 95 ) 。

以 上 のように TIVA、特 にプロポフォールを用 いた TIVA は多 くの長 所 を有 す る こ とか ら 、ウ マ に 対 し て も 同 麻 酔 法 の 応 用 が 検 討 さ れ て い る 。こ れら の 研 究 で は、麻 酔 前 処 置 には キシラジンや(Nolan and Hall, 1985; Mama et al, 1998) やメデトミジン(Nolan et al, 1996; Bettschart et al, 2001a; Bettschart et al, 2 00 3 )が 、麻 酔 導 入 には ケタミ ン( Nol an et al , 1 9 96 ; Bet t s ch art et al , 2 0 03 ) や GGE(Mama et al, 1998)がプロポフォールと併 用 してあるいは単 独 で、維 持 麻 酔 にはケタミン(Nolan et al, 1996; Umar et al, 2006)、キシラジン(Mama et al , 19 9 8 ) あ る い は メ デ ト ミ ジ ン ( Bett s ch art et al , 20 0 1 a; Bet ts ch art et a l,

2 00 3 )が プロ ポ フォー ル と併 用 し て投 与 さ れている。 このように、ウマにおいてもある程 度 、プロポフォールを用 いた TIVA に関 する 検 討 はな されて い る が、その 麻 酔 導 入 法 、プロポ フォ ールの 投 与 速 度 および 併 用 される 薬 剤 は 報 告 によって さまざ まに 異 なって い る 。これらは 、研 究 者 の 経 験 お よ び 主 観 的 判 断 に 基 づ い て 決 定 あ る い は 選 択 さ れ て お り 、ウ マ に お け る プ ロ ポ フ ォ ー ル の 適 正 な 投 与 速 度 や 最 適 な 併 用 薬 剤 を 検 討 す る た め の 実 験 的 根 拠 は い まだ 希 薄 と考 えら れる 。また 、報 告 の 多 くは プロ ポ フォ ー ル と他 の 薬 剤 の 持 続 投 与 を併 用 し た TIVA であることか ら、得 られた成 績 には併 用 された薬 剤 の影 響 が少 なくない。したがって、ウマの TIVA に応 用 するうえで解 明 されるべき プ ロ ポ フ ォ ー ル そ の も の の 特 性 、 す な わ ち 馬 体 に 及 ぼ す 麻 酔 作 用 の 強 さ や 呼 吸 循 環 系 機 能 へ の 影 響 の 程 度 は 未 だ 明 ら か に なっ て い る と は 言 い 難 い 。 特 に ウ マ の 全 身 麻 酔 に お い て は 、 麻 酔 中 の 循 環 抑 制 に よ り ミ オ パ チ ー な ど 術 後 合 併 症 の危 険 性 が増 す ことから (Grandy et al, 1987; Lindsay et al, 1989)、循 環 系 機 能 への影 響 の 解 明 は極 めて 重 要 で ある。

以 上 のことから、本 論 文 ではプロポフォールをウマの TIVA に臨 床 応 用 するた めに 重 要 と考 えら れる 基 本 的 特 性 を 明 ら かにす る こと目 的 とし た。すな わ ち 、適 正 な 麻 酔 深 度 を 維 持 す る た め に 必 要 な 持 続 投 与 速 度 、お よ び 持 続 投 与 が 循 環 系 機 能 に 及 ぼ す 影 響 、 特 に 投 与 速 度 と の 関 係 に つ い て 検 討 し た 。 ま た 、 ウ

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マ へ の 臨 床 応 用 の 観 点 か ら は 、 麻 酔 導 入 時 の 安 全 性 確 保 も 重 要 な 課 題 で あ る こ と か ら 、 倒 馬 時 の 行 動 特 性 に つ い て も 明 ら か に し た 。 加 え て 、 臨 床 応 用 を 踏 まえ、プロポフォールとケタミンの併 用 持 続 投 与 によるウマの TIVA についても 検 討 した。 まず、第 1 章 では適 正 な麻 酔 深 度 を維 持 するために必 要 なプロポフォール 単 独 の 持 続 投 与 速 度 を 明 らか に す るた め に 、吸 入 麻 酔 薬 の 最 小 肺 胞 内 濃 度 (Minimun Alveolar Anesthetic Concentration,MAC)に相 当 する最 小 投 与 速 度 ( Minimum Infusion Rate,MIR)を決 定 した。投 与 速 度 の変 更 に伴 う麻 酔 深 度 の 変 化 は 、 疼 痛 刺 激 に 対 す る 覚 醒 に 伴 う 体 動 反 応 の 有 無 を 指 標 と し て評 価 した。次 に、第 2 章 ではプロポフォールによる TIVA がウマの循 環 系 に及 ぼす 影 響 を 明 らかにするため に、投 与 速 度 の 変 更 に 伴 う 循 環 系 の 変 化 、とくに 、 CO、心 収 縮 能 お よび 動 脈 圧 の 変 化 に つ い て検 討 し た 。第 3 章 で はプロ ポ フォ ール 麻 酔 に お ける 麻 酔 導 入 お よ び 覚 醒 時 の 特 性 を 、一 般 的 に 普 及 し て い る ウ マの静 脈 麻 酔 法 、す なわち GGE-チオペンタール麻 酔 におけるそれと臨 床 学 的 に比 較 した。さらに、第 4 章 においては、ウマのプロポフォールを用 いた TIVA 法 とし て 臨 床 上 有 用 と考 え ら れる 組 合 せ の ひ とつ とし て 、ケ タ ミ ン との 併 用 持 続 投 与 法 を 選 択 し 、実 際 に外 科 手 術 に 応 用 して 本 麻 酔 法 の 臨 床 的 有 用 性 を検 討 した。

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- 5 -

第 1 章 ウマの TIVA におけるプロポフォールの MIR

1 .緒 言

新 し い 静 脈 麻 酔 薬 で あ る プ ロ ポ フ ォ ー ル は 、 短 い 作 用 持 続 時 間 、 少 な い 蓄 積 効 果 、 優 れた 麻 酔 深 度 の 調 節 性 、迅 速 な 覚 醒 な ど、TIVA のために要 求 さ れる条 件 の多 くを満 たしている (Langley and Heel, 1988; White and Smith, 1 99 7 ) 。この ことか ら 近 年 、 本 薬 剤 を 用 いた T IVA が 、ヒ ト (C am u et al , 19 9 7 )や 動 物 (Bettschart et al, 2001a; Bettschart et al, 2001b; Bettschart et al, 2 00 3 ; C arrol l et a l, 19 9 8; Fl ah ert y e t al , 1 9 9 7; M am a et al , 1 9 98 ; M at t h ews et a l, 1 9 9 9; No l an and Hal l, 1 9 85 ; Nol an et al , 1 9 9 6; Ro b erts o n et a l, 1 99 2 ) に お い て 普 及 さ れ 始 め て い る 。し か し 、 ウ マ を 含 む 動 物 の プ ロ ポ フ ォ ー ル 投 与 速 度 は 、 主 に 、 獣 医 師 の 経 験 に 基 づ い て 決 定 さ れ て お り 、 麻 酔 深 度 の客 観 的 評 価 に基 づく投 与 速 度 の検 討 は十 分 とはいえない。 麻 酔 深 度 の 評 価 に お い て 最 も 有 効 な 指 標 は 、 疼 痛 刺 激 に 対 す る 覚 醒 に 伴 う 体 動 反 応 の 有 無 で あ る と さ れ て い る ( Flaishon et al, 1997 ) 。 近 年 は 、 Bi sp ect ral In d ex ( B IS ) な ど 、 脳 波 測 定 に 基 づ い た 麻 酔 深 度 の 評 価 も 実 施 さ れ る よ う に な っ た 。 し か し 、 セ ボ フ ル レ ン 麻 酔 と ハ ロ セ ン 麻 酔 に お い て は 、 同 一 M AC で あっ ても 、異 なった B IS 値 を 示 す ことがヒ ト で 報 告 され てお り( S ch wab et al , 20 0 4 ) 、麻 酔 薬 の 麻 酔 作 用 の 強 さや 外 科 麻 酔 に 必 要 な 投 与 量 を B IS 値 に 基 づ い て 評 価 す る こ と は 、 現 在 の と こ ろ 困 難 と 考 え ら れ る 。 疼 痛 刺 激 に 対 す る 覚 醒 に 伴 う 体 動 反 応 の 有 無 を 指 標 に 用 い た 麻 酔 深 度 の 概 念 と し て は 、 吸 入 麻 酔 薬 における MAC がよく知 られており、麻 酔 対 象 の 50%において疼 痛 刺 激 に対 する体 動 反 応 を 抑 制 する 濃 度 (50% Effective Dose,ED5 0)として定 義 さ れている(Eger et al, 1965)。MAC は麻 酔 作 用 の強 さを客 観 的 に表 示 すること から、吸 入 麻 酔 薬 の 麻 酔 効 果 を表 す 基 礎 的 データとして極 めて重 要 である とと もに、吸 入 麻 酔 薬 の 臨 床 応 用 における 至 適 投 与 量 ( 濃 度 )の 決 定 に 不 可 欠 で ある。

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一 方 、 静 脈 麻 酔 薬 に お い て は 、 MAC に 相 当 す る 概 念 と し て Cp5 0 ( Concentration preventing reaction to stimulus in 50% of population ) ( Flaishon et al, 1997)および MIR (Flaishon et al, 1997; Prys-Roberts, 1 98 0 ; S ear an d P r ys -R o b ert s , 1 97 9 ) が 知 ら れ て い る 。 前 者 は 麻 酔 対 象 の 5 0 % に お い て 疼 痛 刺 激 に 対 す る 体 動 反 応 を 抑 制 す る 静 脈 麻 酔 薬 の 血 液 中

濃 度 、後 者 は 投 与 速 度 である 。Cp5 0 は静 脈 麻 酔 薬 の作 用 強 度 および麻 酔 対

象 個 体 の 感 受 性 を 比 較 す る う え で 、 あ る い は 静 脈 麻 酔 薬 の 至 適 投 与 量 を 決 定 するうえで有 用 とされている(Flaishon et al, 1997)。しかしながら、TIVA と併 行 し て 静 脈 麻 酔 薬 の 血 中 濃 度 を 常 時 測 定 す る こ と は 極 め て 困 難 で あ る こ と か

ら、臨 床 麻 酔 において Cp5 0は必 ずしも実 用 的 とはいえない。一 方 、“MIR の概

念 は、静 脈 麻 酔 薬 の 薬 物 動 態 が 吸 入 麻 酔 薬 の それと著 しく異 なることから、必 ずしも MAC に等 しい有 用 性 をもつとは限 らない”と一 般 的 には考 えられている (Flaishon et al, 1997)。しかし、プロポフォールは代 謝 が迅 速 であり蓄 積 性 が 低 い (Langley and Heel, 1988; White and Smith, 1997)。さらに、その作 用 発 現 は 速 や か で あ り 、 作 用 時 間 は 短 い こ と も 知 ら れ て い る ( Branson and Gros s , 1 9 94 ; Lan gl e y an d Heel , 1 9 8 8) 。 これらの 特 性 に よ り 、プロポ フォ ー ル は 投 与 速 度 の 変 化 が 麻 酔 深 度 の 変 化 に 迅 速 に 反 映 さ れ る こ と か ら 、 臨 床 麻 酔 において、その MIR は吸 入 麻 酔 薬 の MAC に近 い有 用 性 をもつと推 察 され る。MIR は MAC と同 様 に、疼 痛 刺 激 に対 する反 応 の有 無 を指 標 とする麻 酔 深 度 の客 観 的 評 価 に基 づいて決 定 される。したがって、MIR を用 いることにより プロポフォールなどの TIVA に用 いる静 脈 麻 酔 薬 の麻 酔 作 用 の強 さの客 観 的 評 価 が 可 能 となる 。これらのことから、至 適 麻 酔 深 度 を得 るため に必 要 なプロポ フォ ー ル の 投 与 量 を 検 討 す る う え で の 客 観 的 指 標 とし て 、MIR の重 要 性 は 高 いと考 えられる。しかし、ウマにおけるプロポフォールの MIR は、キシラジンある い は メ デ ト ミ ジ ン の 持 続 投 与 を 併 用 し た 場 合 の そ れ が 報 告 さ れ て い る の み で あ る (Bettschart et al, 2001b; Bettschart et al, 2003; Mama et al, 1998)。

本 研 究 に お い て は 、 ウ マ に お けるプロ ポ フ ォ ー ル の 単 独 持 続 投 与 時 の MIR を決 定 するとともに、維 持 麻 酔 のための至 適 投 与 速 度 を検 討 した。

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- 7 - 2 .材 料 お よ び 方 法 1 ) 供 試 馬 供 試 馬 は健 康 なサラ ブレッド種 成 馬 6 頭 (雄 4 頭 、雌 1 頭 および去 勢 雄 1 頭 )であり、年 齢 は 3.0~6.0 歳 (中 央 値 4.3)、平 均 体 重 は 450±15kg(平 均 ± 標 準 偏 差 )であった(表 1-1)。麻 酔 前 12 時 間 は絶 食 とし、飲 水 は自 由 とした。 本 研 究 に お ける 動 物 実 験 は 、 日 本 中 央 競 馬 会 競 走 馬 総 合 研 究 所 動 物 実 験 指 針 に準 じて実 施 した。 2 ) 麻 酔 法 麻 酔 導 入 はキシラジン(セラクタール;バイエル, 東 京 )1.0 mg/kg による麻 酔 前 処 置 10 分 後 、1%プロポフォール(Rapinovet; Mallinckrodt Veterinary, Mu n d el ei n , Il l i no i s, U.S .A.) 3 .0 m g/ k g を 約 3 分 間 か けて静 脈 内 投 与 す るこ と に よ り 実 施 し た 。 ま た 導 入 は 、 ス イ ン グ ド ア と 壁 に よ り 構 成 さ れ る 倒 馬 用 設 備 ( 以 下 、 ス イ ン グ ド ア ) 内 に 供 試 馬 を 保 定 し て 実 施 し た 。 供 試 馬 が ス イ ン グ ド ア 内 で 胸 骨 臥 位 と な っ た 後 に ド ア を 解 放 し 、 側 臥 位 と し た 。 続 い て 、 気 管 内 チ ュ ーブ を 挿 管 後 、ホ イ ス ト によ り 四 肢 を 懸 垂 し て 手 術 台 上 に 移 動 し 、右 側 臥 位 に 保 定 し た 。 麻 酔 の 維 持 は 、 輸 液 ポ ン プ ( Star-Flow 592; IVAC, San Diego, C al i fo rn i a, U.S .A.) を 用 いたプ ロ ポ フォ ー ルの 静 脈 内 持 続 投 与 によ り 実 施 し た 。 麻 酔 維 持 開 始 時 のプロポフォール投 与 速 度 は、供 試 馬 1-1 においては 0.20 m g/ k g/m i n 、供 試 馬 1 -2~ 1 -6 に お いては 供 試 馬 1 -1 の 測 定 結 果 を 参 考 とし て 0 .1 4 m g/ k g/ m in とし た 。なお 、麻 酔 前 処 置 薬 の 影 響 を 最 小 限 とす るた め、これ らの投 与 速 度 で 45 分 間 麻 酔 を維 持 した後 、MIR の測 定 を開 始 した。また、麻 酔 中 は 気 管 内 チュ ー ブを人 工 呼 吸 器 付 き 大 動 物 用 麻 酔 器 ( MOK94; シルバ ーメディカル, 東 京 )に接 続 し、100%酸 素 を流 量 6 L/min で吸 入 させた。麻 酔 維 持 の開 始 から 5 分 間 は自 発 呼 吸 とし、呼 吸 数 (RR)を測 定 するとともに、30 秒 間 以 上 の 無 呼 吸 の有 無 を 観 察 した。その 後 、間 歇 的 陽 圧 換 気 ( IPPV)法 を 応 用 し、動 脈 血 二 酸 化 炭 素 分 圧 (PaCO2)を 45~55 mmHg の範 囲 内 に維 持 するように換 気 条 件 を調 節 した。

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3 )M IR の 測 定

M IR の 測 定 は 、Ai d a et a l( 1 9 94 ) 、E ger et al ( 1 96 5 ) およ び St effe y et al (1977)の MAC の測 定 法 に準 じ、プロポフォールの投 与 速 度 を後 述 のとおり変 化 させながら疼 痛 刺 激 への体 動 反 応 の有 無 を判 定 して MIR を決 定 した。疼 痛 刺 激 に は 電 気 刺 激 装 置 ( DSP-06; ダ イ ヤ メ デ ィ カ ル シ ス テ ム , 東 京 ) に よ る 歯 肉 部 粘 膜 へ の 電 気 刺 激 ( 50 V , 5 Hz , 10 ms , 60 sec) を 用 い 、 反 応 は 「 あ り (+)」あるいは「なし(-)」のいずれかで評 価 した。(+)評 価 は 体 動 が 観 察 され た場 合 のみとし、それ以 外 の 反 応 ( 眼 球 振 盪 や動 脈 圧 の 上 昇 等 )は(-)とした。 なお 、電 気 刺 激 を 与 える 前 に 自 発 的 な 体 動 が 観 察 された 場 合 の 評 価 も( +) と した。反 応 が(+)であった場 合 には投 与 速 度 を 0.02 mg/kg/min 減 少 させ、ま た(-)であった場 合 には 0.02 mg/kg/min 増 加 させて、これらの投 与 速 度 で 20 分 間 維 持 し た 後 に 、 再 び 電 気 刺 激 に 対 す る 反 応 を 判 定 し た 。この 操 作 を ( + ) から(-)あるいは(-)から(+)へ反 応 の 変 化 が 3 回 生 じるまで繰 り返 して実 施 し た 。 次 に 、 こ れ ら の 操 作 に よ り 得 ら れた 反 応 に 変 化 が 生 じ た 投 与 速 度 の ペ ア 3 つ 、す なわち連 続 し た 1 対 の 投 与 速 度 で 、一 方 の 反 応 が ( + ) 他 方 の 反 応 が (-) であったも のの ペ ア 3 つについて、それぞれのペアの投 与 速 度 の中 間 値 (Mean Value of the Infusion rates for the pair of responses, MVI)を算 出 し た。このようにして得 られた、各 供 試 馬 それぞれ 3 つの MVI をさらに平 均 して各 供 試 馬 の MIR とした。 4 ) 動 脈 血 中 プロ ポ フォー ル 濃 度 の 測 定 各 投 与 速 度 において、投 与 速 度 の変 更 から 15 および 20 分 後 に顔 面 動 脈 に 留 置 し た カ テ ー テ ル よ り 採 血 し 、 動 脈 血 中 の プ ロ ポ フ ォ ー ル 濃 度 を 後 述 の と おり測 定 した。なお、投 与 速 度 の変 更 から 20 分 後 の採 血 は電 気 刺 激 を与 える 前 に実 施 した。さらに、MIR の算 出 と同 様 の手 順 で MIR に対 応 する動 脈 血 中 プロポフォール濃 度 すなわち Cp5 0を算 出 した。まず、電 気 刺 激 に対 する反 応 が 変 化 し た 動 脈 血 中 プ ロ ポ フ ォ ー ル 濃 度 の 3 ペ ア そ れ ぞ れ の 中 間 値 ( Mean Valu e o f t h e art eri al p rop o fol C o n cent rati o n fo r the p ai r o f res po n s es, M VC )を 算 出 し 、これ らを さら に 平 均 し て各 供 試 馬 の C p5 0とした。なお、Cp5 0の

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- 9 - 算 出 には、投 与 速 度 の変 更 から 20 分 後 に採 取 した血 液 (投 与 速 度 の変 更 か ら 20 分 後 の採 血 が、それ以 前 の自 発 的 体 動 の出 現 により不 可 能 であった場 合 は、投 与 速 度 変 更 から 15 分 後 に採 取 した血 液 )のプロポフォール濃 度 測 定 値 を 用 い た 。 血 液 は エ デ ト 酸 ナ ト リ ウ ム ( Ethylenediaminetetraacetic Acid di s od i um E DTA-2 Na ) 入 り 真 空 採 血 管 に 採 取 し 、 4 ℃ で 短 時 間 保 存 し た 後 、 遠 心 分 離 に よ り 血 漿 を 分 離 し た 。 分 離 血 漿 は 、 分 析 ま で の 間 - 20℃ で 保 存 し た 。血 漿 中 の プ ロ ポ フォ ー ル 濃 度 は 、 臨 床 検 査 施 設 ( SRL, 東 京 )にお いて 高 速 液 体 クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatograph)システム を用 いて測 定 された。検 出 限 界 は 0.1 µg/ml であった。

5 ) 心 拍 数 ( HR ) 、平 均 動 脈 血 圧 ( M AP ) およ び 動 脈 血 ガ ス 分 圧 の 測 定

麻 酔 維 持 中 は、各 投 与 速 度 において HR、MAP、PaCO2および動 脈 血 酸 素

分 圧 (PaO2)を測 定 し た。測 定 は、投 与 速 度 の変 更 から 20 分 後 の電 気 刺 激 の

前 に 実 施 し た 。 HR お よ び MAP は 、 多 用 途 監 視 装 置 ( M1166A; Hewlett P ack ard , P al o Alt o , C ali fo rn i a, U.S .A.) を 用 いて測 定 し た 。なお 、M AP の 測 定 は顔 面 動 脈 に留 置 した 20G カテーテルにより、圧 トランスデューサーを介 して 実 施 した。圧 トランス デューサーの 0 レベルは、胸 骨 の高 さとした。動 脈 血 ガス 分 圧 の 測 定 は 、動 脈 圧 測 定 用 カ テ ー テル を介 して ヘパ リン リ チウム入 り 採 血 管 に 採 取 し た 血 液 を 用 い 、 動 脈 血 ガ ス 分 析 装 置 ( 288 Blood Gas System; チ バ・コーニング, 東 京 )により実 施 した。

6 ) 統 計 学 的 解 析 法

呼 吸 循 環 器 系 の デ ー タ は 、 反 復 測 定 分 散 分 析 に よ り 、 経 時 的 お よ び 投 与 速 度 に よ る 相 異 を 検 定 し た 。 有 意 差 が 認 め ら れ た 場 合 は 、

St u d ent -Newm an -Keul s t est に よ り 、 そ れ ぞ れの 麻 酔 経 過 時 間 お よ び 投 与 速 度 に お ける測 定 値 に つ い て の 多 重 比 較 検 定 を 実 施 し た 。また 、 プロ ポ フォ ー ル 投 与 速 度 と動 脈 血 中 濃 度 との相 関 関 係 を Spearman rank correlation test に より検 定 した。さらに、各 投 与 速 度 にお いて 刺 激 に 対 す る 体 動 反 応 が 抑 制 され た割 合 、す な わち 各 投 与 速 度 にお ける 供 試 馬 6 頭 の(+)および(-)反 応 の 合 計 回 数 に 対 す る ( - ) 反 応 の 回 数 の 割 合 と プ ロ ポ フ ォ ー ル 投 与 速 度 と の 相

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関 関 係 を同 テストにより検 定 した。有 意 水 準 は、危 険 率 0.05 未 満 をもって有 意 差 ありとした。

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- 11 - 3 .結 果 1 ) 麻 酔 時 間 麻 酔 に要 した時 間 は 表 1-2 に示 した。麻 酔 導 入 のためのプロポフォール 3.0 m g/ k g の 投 与 開 始 か らス イ ングド ア 内 で 胸 骨 臥 位 となるまで の 時 間 は 2 .2 ~ 2 .8 (中 央 値 2.7)分 間 であった。また、プロポフォール 3.0 mg/kg の投 与 終 了 から 維 持 麻 酔 の た め の 持 続 投 与 開 始 まで に 要 した 時 間 は 7~9(中 央 値 9) 分 間 で あ り 、 この 間 に 供 試 馬 は 挿 管 さ れ 手 術 台 へ 移 動 さ れた 。プ ロ ポ フォ ー ル の 持 続 投 与 による維 持 麻 酔 の実 施 時 間 は 140 から 200(中 央 値 160)分 間 であっ た。電 気 刺 激 に 対 す る 体 動 の 有 無 の 判 定 は、プロポ フォール 持 続 投 与 開 始 の 4 5 分 後 から 供 試 馬 1 -1 で は 20 0 分 後 まで 、供 試 馬 1 -2 か ら 1 -6 で は 14 0 ~ 16 5 分 後 までの期 間 に実 施 された。 2 ) 電 気 刺 激 に 対 す る 反 応 プ ロ ポ フ ォ ー ル 麻 酔 中 の 各 投 与 速 度 に お け る 電 気 刺 激 に 対 す る 供 試 馬 の 反 応 は表 1-3 に示 した。0.14 mg/kg/min ではすべての供 試 馬 で体 動 反 応 はみ ら れ ず 、 0.06 mg/kg/min で は す べ て に 体 動 が 出 現 し た 。 な お 、 0.06 ~ 0.20 m g/ k g/m i n の いず れ の 投 与 速 度 に お いても 、活 発 な眼 瞼 お よ び 角 膜 反 射 が 認 められた。 3 )M IR お よ び Cp5 0 各 供 試 馬 の MIR お よ び Cp5 0 は 表 1-3 に 示 し た 。 MIR は 0.08 ~ 0.12 m g/ k g/m i n の 範 囲 で あり 、そ の 平 均 値 ± 標 準 偏 差 は 0 .1 0 ± 0.0 2 m g/ k g/ mi n で あった。一 方 、Cp5 0は 3.8~7.8 µg/ml の範 囲 であり、平 均 値 ±標 準 偏 差 は 5.3 ±1.4 µg/ml であった。 4 ) 動 脈 血 中 プロ ポ フォー ル 濃 度 各 供 試 馬 にお ける 維 持 麻 酔 中 の 動 脈 血 中 プロポフォール 濃 度 は表 1-3 に 示 した 。投 与 速 度 の 増 加 後 およ び 減 少 後 のい ずれの 場 合 にお いて も 、投 与 速 度 の変 更 から 15 分 後 および 20 分 後 の動 脈 血 中 プロポフォール濃 度 に大 きな 変 化 は 認 め ら れ な か っ た 。 投 与 速 度 別 の 動 脈 血 中 プ ロ ポ フ ォ ー ル 濃 度 は 、 表

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1 -4 に 示 し た 。供 試 馬 1 -1 の 動 脈 血 中 プ ロポ フォ ー ル 濃 度 は 、他 の 5 頭 の 供 試 馬 に比 較 して高 値 で推 移 したが、他 の 5 頭 では、各 投 与 速 度 における動 脈 血 中 プロポフォ ール 濃 度 に 著 しい 個 体 差 は なかった。動 脈 血 中 プロポフォ ール濃 度 の各 供 試 馬 の平 均 値 は 0.14、0.12 および 0.10 mg/kg/min においてそれぞ れ 6.0、5.7 および 4.9 µg/ml であった。プロポフォールの投 与 速 度 と動 脈 血 中 濃 度 との間 には rs= 0 .6 2 の 有 意 な 相 関 関 係 が 認 めら れた( p <0 .0 1) 。 5 ) 投 与 速 度 と体 動 反 応 の 関 係 プ ロ ポ フォ ー ル 投 与 速 度 と 体 動 反 応 が 抑 制 された 割 合 、す な わ ち ( - ) 反 応 が観 察 された割 合 との関 係 は、図 1-1 に示 した。これらの間 には rs = 0 .9 8 の 高 い相 関 性 が認 められた(p<0.01)。 6 )HR およ び M AP の 変 化 プロポフォール麻 酔 中 の HR および MAP の経 時 的 変 化 は表 1-5 に、投 与 速 度 別 の HR および MAP は、表 1-6 に示 した。HR および MAP は経 時 的 に 有 意 に増 加 した。HR および MAP に投 与 速 度 の変 更 に伴 う有 意 な変 化 は認 め ら れ な か っ た が 、 MAP は 投 与 速 度 の 減 少 に 伴 い 増 加 す る 傾 向 に あ っ た (p=0.057)。 7 )R R およ び 動 脈 血 ガス 分 圧 の 変 化 平 均 RR は、導 入 前 の 14.2±4.7 breaths/min から維 持 麻 酔 開 始 5 分 後 に 8 .3 ± 5 .0 b reath s /m i n に 減 少 し 、1 頭 に 3 0 秒 以 上 、 他 の 1 頭 に 60 秒 以 上 の 無 呼 吸 が観 察 された。プロポフォール麻 酔 中 の動 脈 血 ガス分 圧 の経 時 的 変 化 は表 1-6 に示 した。平 均 PaCO2および PaO2は、維 持 麻 酔 開 始 5 分 後 の自 発 呼 吸 時 にはそれぞれ 58.6±6.7 および 239.7±73.7 mmHg であり、IPPV 実 施 後 か ら は そ れ ぞ れ 維 持 麻 酔 期 間 を 通 じ て 45 ~ 55 mmHg お よ び 350 ~ 550 mm Hg の 範 囲 を 推 移 し 、 自 発 呼 吸 時 に 比 較 し て P aC O2 は 有 意 に 低 値 に 、 P aO2は有 意 に高 値 に維 持 された。

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- 13 - 4.考 察

本 研 究 においては、ウマにおけるプロポフォールの MIR として 0.1 mg/kg/min という成 績 が得 られた。一 方 、既 報 におい ては、メデトミジン 7 µg/kg による麻 酔 前 処 置 後 にメデトミジン 3.5 µg/kg/hr による持 続 投 与 を併 用 した場 合 には 0.06 ~0.1(Bettschart et al, 2001b)あるいは 0.89~0.1(Bettschart et al, 2003) m g/ k g/m in 、 キ シ ラ ジ ン 0 .75 m g/ k g に よ る 麻 酔 前 処 置 後 に キ シ ラ ジ ン 3 5 µ g/k g/ m in によ る持 続 投 与 を 併 用 し た 場 合 には 0 .15 m g/ k g/ m in を や や 下 回 る 値 (Mama et al, 1998)と報 告 されている。0.1 mg/kg/min という本 研 究 の成 績 は 、 こ れら α2 作 動 薬 の 持 続 投 与 を 併 用 し た 場 合 の 値 に 近 似 し て お り 、プ ロ ポ フォール単 独 の持 続 投 与 における MIR としては低 値 であるといえる。その理 由 は 、 次 に 述 べ る よ う に 、 本 研 究 と 既 報 に お け る 血 液 中 か ら の プ ロ ポ フ ォ ー ル 消 失 速 度 の相 違 によると考 えられた。 本 研 究 に お い て は 、 麻 酔 導 入 時 の プ ロ ポ フ ォ ー ル 投 与 量 が 既 報 よ り も 高 用 量 で あり 、また 、MIR および動 脈 血 中 プロポフォール濃 度 の測 定 開 始 までに、 4 5 分 間 の プ ロ ポ フ ォ ー ル 持 続 投 与 を 実 施 し た 。 し た が っ て 、 本 研 究 に お い て M IR 測 定 開 始 まで に 投 与 さ れたプ ロ ポ フォ ー ルの 総 投 与 量 は 、既 報 に 比 較 し て 多 か っ た と い え る 。 プ ロ ポ フ ォ ー ル に よ る 麻 酔 導 入 量 は 、 老 齢 馬 を 用 い た 既 報 においては 2.0 mg/kg と設 定 されている(Mama et al, 1996)。しかし、サラブ レッド種 3 歳 馬 を用 いた著 者 らの予 備 実 験 では、2.0 mg/kg の麻 酔 導 入 量 で は 気 管 内 チ ュ ー ブの 挿 管 や ホ イ ス トに よ る 四 肢 の 懸 垂 な どの 操 作 が 可 能 とな る 麻 酔 深 度 は 得 ら れ な かっ た ( 未 発 表 ) 。 こ の た め 、サ ラ ブ レ ッド 種 若 齢 馬 を 用 い た本 研 究 の導 入 量 は 3.0 mg/kg と設 定 した。また、本 研 究 においては、麻 酔 前 処 置 薬 の影 響 を減 弱 させる目 的 で、MIR および動 脈 血 中 プロポフォール濃 度 の測 定 はプロポフォール持 続 投 与 開 始 の 45 分 後 から開 始 した。これらのことか ら 、本 研 究 で は 脂 肪 や 筋 組 織 等 に お ける プロ ポ フォ ー ル 分 布 量 が 既 報 と 比 較 し て 多 くな っ た と推 察 される 。 一 方 、 血 液 中 か ら の 麻 酔 薬 の 消 失 速 度 は 、 麻 酔 薬 の 周 囲 組 織 への 分 布 状 況 および 代 謝 速 度 の 影 響 を 受 ける (Sams, 1991)。

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したがっ て 、周 囲 組 織 のプロ ポフォー ル 分 布 量 が 既 報 よ り 多 かった本 研 究 で は 、 血 液 中 か ら の プ ロ ポ フ ォ ー ル 消 失 速 度 が 既 報 よ り 低 下 し て い た と 推 察 さ れ る 。 このことが、本 研 究 で 得 られた MIR が既 報 と比 較 して低 値 を示 した主 な原 因 と 推 察 された。 本 研 究 の平 均 動 脈 血 中 プロポフォール濃 度 は 0.08 および 0.14mg/kg/min の投 与 速 度 においてそれぞれ平 均 4.6 および 6.0 µg/ml であった。さらに、動 脈 血 中 プ ロ ポ フ ォ ー ル 濃 度 が 他 の 供 試 馬 に 比 較 し て 高 値 で 推 移 し た 供 試 馬 1 -1 のデ ータ を 除 いても 、そ れぞ れ平 均 3 .7 およ び 5 .3 µ g/m l で あった 。これら の 値 は、既 報 の成 績 で ある 0.15 および 0.25 mg/kg/min 投 与 時 にそれぞれ 4.3 ~4.7 および 6.3~6.7 µg/ml という値 (Mama et al, 1998)と比 較 した場 合 、投 与 速 度 の 相 違 を 考 慮 す る と 、 高 値 で 推 移 し た と い え る 。 こ の よ う な 比 較 的 高 い 血 中 プロポフォ ール 濃 度 は 、上 述 した 周 囲 組 織 にお けるプロ ポフォール の蓄 積 を反 映 したものと考 えられた。 また、他 の供 試 馬 より投 与 開 始 速 度 が高 用 量 であった供 試 馬 1-1 では、動 脈 血 中 濃 度 が 、他 の 供 試 馬 より 高 値 で 推 移 した。この 成 績 も 、MIR 測 定 開 始 までの 45 分 間 のプロポフォール投 与 による周 囲 組 織 への蓄 積 を裏 付 けると考 えられた。 本 研 究 では、プロポフォール単 独 投 与 時 の MIR に対 応 する動 脈 血 中 プロポ フォール濃 度 (Cp5 0)は 5.3 µg/ml であった。一 方 、メデトミジン 7 µg/kg による麻 酔 前 処 置 後 にメデトミジン 3.5 µg/kg/hr の持 続 投 与 を併 用 した報 告 における Cp5 0に相 当 する値 は 2.3~3.5 µg/ml であり(Bettschart et al, 2001a)、キシラ ジン 0.75 mg/kg による麻 酔 前 処 置 後 にキシラジン 35 µg/kg/min の持 続 投 与 を 併 用 した報 告 におけるそれは 4.3~4.7 µg/ml であった(Mama et al, 1998)。本 研 究 成 績 は、これらα2作 動 薬 による持 続 投 与 を併 用 した場 合 の値 より若 干 高 値 であり、プロポフォール単 独 投 与 時 の Cp5 0として妥 当 な 値 と考 えられた。 本 研 究 においてはサラブレッド種 成 馬 の MIR として 1.0 mg/kg/min という値 が得 られた。しかし、MIR は ED5 0、すなわち疼 痛 刺 激 に対 し て 50%の個 体 が 体 動 を 示 す 投 与 速 度 で あ る ことから 、臨 床 応 用 を 目 的 とし た 投 与 速 度 とし ては

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- 15 - 不 十 分 で ある 。また、ウマの 長 時 間 麻 酔 に 主 とし て 用 いら れる 吸 入 麻 酔 薬 の至 適 投 与 量 は、概 ね 1.2~1.4MAC とされているが(Steffey, 1991)、同 様 のこと が静 脈 麻 酔 薬 の MIR 概 念 に適 用 可 能 か否 かは不 明 である。一 方 、本 研 究 に おいて はプロポ フォー ル投 与 速 度 と体 動 反 応 が 抑 制 された 割 合 には 高 い 相 関 性 が認 められ、この関 係 は y = 12.50 x - 0.78[y;(-)反 応 が観 察 された割 合 、 x ; プ ロ ポ フ ォ ー ル 投 与 速 度 ] の 近 似 直 線 で 回 帰 さ れ た 。 こ の 回 帰 直 線 を 用 い て 外 科 手 術 に 必 要 な 麻 酔 薬 の 投 与 量 と さ れ て い る 95 % 有 効 量 ( ED9 5) (Sear, 1992)を算 出 すると、0.1384 mg/kg/min の値 が得 られた。したがって、 外 科 手 術 を目 的 とし たウマの TIVA におけるプロポフォールの至 適 投 与 速 度 は、 概 ね 0.14 mg/kg/min(1.4MIR)であると推 測 された。 本 研 究 に お い て は 、 電 気 刺 激 に 対 す る 体 動 反 応 が 認 め ら れ な か っ た 投 与 速 度 、すなわち 、ある程 度 の 疼 痛 刺 激 に 耐 えられる麻 酔 深 度 が得 られたと考 え ら れ る 投 与 速 度 に お い て も 、 活 発 な 眼 瞼 お よ び 角 膜 反 射 が 認 め ら れ た 。 そ の 理 由 は 明 ら か で は な い も の の 、 既 報 に お い て も ウ マ の プ ロ ポ フ ォ ー ル 麻 酔 中 に は活 発 な眼 瞼 反 射 が認 められている (Mama et al, 1997; Mama et al, 1998)。 一 方 、ウマの 吸 入 麻 酔 にお いては 、眼 瞼 および角 膜 反 射 は 、麻 酔 深 度 を評 価 す る う え で 重 要 な 反 射 で あ り 、 至 適 な 麻 酔 深 度 に お い て 前 者 は 概 ね 消 失 し 、 後 者 は 残 存 す る と さ れて い る( Hubbell, 1991)。こ れらのこ とか ら、プ ロポフォー ル麻 酔 においては、吸 入 麻 酔 のようにこれらの反 射 の 有 無 を 指 標 として麻 酔 深 度 を判 定 することは困 難 と考 えられた。 本 研 究 の MAP は 0.1~0.14 mg/kg/min の投 与 速 度 において概 ね 94~101 mm Hg で あ り 、 こ れ ら の 値 は 、 覚 醒 時 の ウ マ で 報 告 さ れ て い る M AP の 値 (Steffey et al, 1987)に比 較 して低 値 であった。さらに本 研 究 においては、有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た が 、 高 用 量 の プ ロ ポ フ ォ ー ル 投 与 速 度 に お い て 、 M AP に 低 値 の 傾 向 がみ ら れた 。一 方 、ヒ トに お いてプ ロ ポ フォ ー ルは 循 環 系 の 抑 制 作 用 を 有 す る こ とが 知 ら れて い る ( Langley and Heel, 1988; White and Smi t h , 19 97 ) 。 こ れ ら の こ と か ら 、 ウ マ に お い て も プ ロ ポ フ ォ ー ル は 用 量 依 存 性 に循 環 系 を抑 制 する 可 能 性 が示 唆 された。ただし、自 発 呼 吸 下 におけるキシラ

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ジ ンお よびプロ ポ フォ ールを 用 い た TIVA では、用 量 依 存 性 の 呼 吸 抑 制 が間 接 的 に 交 感 神 経 を 刺 激 し 、 高 用 量 で は 心 拍 出 量 ( CO)の増 加 が認 められたと 報 告 されて い る( Mama et al, 1998)。したがって、プロポフォールの持 続 投 与 が 循 環 系 に 及 ぼ す 直 接 的 な 影 響 を 知 る た めに は 、 IPPV による一 定 の換 気 条 件 下 における投 与 速 度 と循 環 系 機 能 の関 係 を明 らかにする必 要 があろう。 本 研 究 の各 供 試 馬 の平 均 HR および MAP は経 時 的 に有 意 に増 加 した。プ ロポ フォ ー ル だ けで な く、本 研 究 の 麻 酔 前 処 置 に 用 い たキ シ ラ ジ ンも 循 環 系 機 能 を抑 制 する(Yamashita et al, 2000)。したがって、本 研 究 で認 められた HR および MAP の経 時 的 増 加 の原 因 のひとつとして、キシラジンによる循 環 系 抑 制 作 用 の経 時 的 減 弱 が考 えられた。また、もう 1 つの原 因 として、麻 酔 の継 続 に伴 う交 感 神 経 活 動 の亢 進 (Steffey, 1991)が考 えられた。 本 研 究 の麻 酔 中 における自 発 呼 吸 時 の RR は減 少 し、PaCO2 および PaO2 はそれぞれ 58.6±6.7 および 239.7±73.7 mmHg を示 した。また、2 頭 において 30 秒 以 上 の 無 呼 吸 が 観 察 さ れ た 。 そ の 後 、 適 正 換 気 の 維 持 を 目 的 と し て IP P V を 応 用 し た 呼 吸 管 理 を 実 施 し た と こ ろ 、 動 脈 血 液 ガ ス 分 析 指 標 は 有 意 に 改 善 さ れ 、 以 降 は 良 好 な 値 に 維 持 さ れ た 。 プ ロ ポ フ ォ ー ル は 用 量 依 存 性 に 呼 吸 を 抑 制 す る こ と が 知 ら れ て お り ( Langley and Heel, 1988; White and Smi t h , 1 99 7 ) 、ウ マ の T IVA に お いても 、1 00 % 酸 素 の 吸 入 に もかか わら ず 、自 発 呼 吸 下 では低 酸 素 血 症 (Bettschart et al, 2001b; Flaherty et al, 1997; M at t h ews et al , 19 9 9 )や 高 炭 酸 ガ ス 血 症 ( Fl ah ert y et a l, 1 9 9 7; M am a et al , 1 99 8 ; M at t h ews et a l, 19 9 9 )の 発 生 が 認 めら れている。これま で 、ウ マの プロ ポ フォールを用 いた TIVA において、IPPV を応 用 した報 告 はなく、本 研 究 で動 脈 血 液 ガスを良 好 な 値 に維 持 できたことは、プロポフォールを用 い たウマの TIVA における呼 吸 抑 制 の改 善 に対 する IPPV の有 効 性 を証 明 するものといえる。た だし、IPPV は循 環 系 機 能 を抑 制 し(Steffey, 1991)、心 係 数 (CI)は自 発 呼 吸 時 の 39.9±2.9 ml/kg/min から IPPV 時 には 25.5 ml/kg/min に有 意 に低 下 す ることが知 られている(Hodgson et al, 1986)。一 方 、ブタにおいて持 続 投 与 時 の 血 漿 中 プ ロ ポ フォ ー ル 濃 度 は 、薬 物 代 謝 を 担 う 肝 な どの 器 官 の 血 流 量 に 依

(24)

- 17 -

存 し、CO に逆 相 関 することが報 告 されている(Kurita et al, 2002)。したがって IP P V 下 の 本 研 究 で は 、自 発 呼 吸 下 で M IR や 動 脈 血 中 プ ロ ポ フォ ール 濃 度 を 測 定 した既 報 (Bettschart et al, 2001a; Bettschart et al, 2001b; Bettschart et al , 2 00 3 ; M am a e t al , 1 99 8 ) と比 較 し て循 環 系 の 抑 制 が 強 く、これが プロ ポ フォールの 代 謝 に 影 響 した結 果 、本 研 究 の MIR にも影 響 した可 能 性 は否 定 できない。しかしながら、自 発 呼 吸 下 のプロポフォールを用 いた TIVA において は 、用 量 依 存 性 の 呼 吸 抑 制 が 間 接 的 に 交 感 神 経 を 刺 激 し 、 高 用 量 に お い て C O が 増 加 し た ことが 報 告 されている( M am a et a l, 1 9 9 8) 。一 方 、本 研 究 に お いては、一 定 の換 気 条 件 のもと、安 定 した循 環 系 機 能 のもとでの MIR の測 定 が可 能 であった。したがって、本 研 究 における IPPV 法 の応 用 は妥 当 であったと 考 えられる。 動 脈 血 中 プロポフォール濃 度 の測 定 にお いては、投 与 速 度 変 更 から 15 およ び 20 分 後 における動 脈 血 中 濃 度 に差 は認 められなかった。この成 績 は、15 分 以 降 は 血 中 濃 度 の 変 化 が 頭 打 ち に な っ た こ とを 裏 付 ける も の と 推 察 さ れた 。し た が っ て 本 研 究 に お い て は 、 各 投 与 速 度 に お け る 疼 痛 刺 激 に 対 す る 体 動 反 応 の 有 無 の 判 定 は、投 与 速 度 が 変 更 された後 、動 脈 血 中 プロポフォール 濃 度 の変 化 が終 了 し、血 中 濃 度 が安 定 した状 態 において実 施 されていたといえる。 本 研 究 では 麻 酔 導 入 に 際 してキ シラジ ンによる麻 酔 前 処 置 を 実 施 した。そこ で、その影 響 を可 能 な限 り軽 減 するため、MIR の測 定 開 始 はプロポフォール持 続 投 与 開 始 から 45 分 後 、すなわちキシラジン投 与 から概 ね 65 分 後 とした。プ ロポフォールの純 粋 な MIR 測 定 のためには、麻 酔 前 処 置 薬 の影 響 を避 けるた め、MIR 測 定 対 象 の薬 剤 のみによる麻 酔 導 入 が理 想 的 である。しかし、ウマの プロ ポ フォ ー ル 単 独 投 与 に よ る 麻 酔 導 入 は 、倒 馬 直 後 に 著 し い パド リ ン グ が 出 現 す る た め 極 め て 危 険 で あ る ( 未 発 表 ) 。 し た が っ て 、 本 研 究 で は 人 馬 の 安 全 確 保 のため に、キ シラジンによる麻 酔 前 処 置 を 実 施 せざ るを 得 なかった。ただし、 麻 酔 前 処 置 から MIR 測 定 開 始 までの 65 分 という期 間 はキシラジンの半 減 期 50 分 ( Garci a-Vi ll ar et a l , 1 9 81 )よ り も 長 時 間 で あることか ら 、本 研 究 成 績 に お ける 前 処 置 の 影 響 は 少 なかった と推 察 さ れる 。ウ マの イ ソフル ラン 麻 酔 に おける

(25)

M AC は 、キ シラ ジン 1 .0 m g/ k g 投 与 から 70 およ び 1 5 0 分 後 で そ れぞ れ概 ね 3 5 およ び 1 5% 減 少 す ることが 知 ら れている(St effe y et a l, 2 0 0 0 ) 。した がっ て、 本 研 究 で得 られた MIR の値 がキシラジンの影 響 を最 小 限 受 けている可 能 性 は 否 定 できない。ただし、各 供 試 馬 の MIR 測 定 においては、キシラジンの効 果 の 減 弱 により各 供 試 馬 の MVI が経 時 的 に増 加 するようなことはなかった。 以 上 のことから、麻 酔 前 処 置 としてキシラジン 1.0 mg/kg を用 いたサラブレッド 種 成 馬 の プ ロ ポ フ ォ ー ル 麻 酔 に お け る MIR お よ び Cp5 0 は そ れ ぞ れ 0 .1 0 m g/ k g/m i n およ び 5 .3 µ g/ ml で あるこ とが 明 らか となった 。さ らに 、電 気 刺 激 に対 する体 動 反 応 を抑 制 するための ED9 5は 0.14mg/kg/min と設 定 された。な お 、 本 研 究 に お い て は 、 吸 入 麻 酔 で 認 め ら れ る 所 見 と は 異 な り 、 電 気 刺 激 に 対 す る 体 動 反 応 が 抑 制 さ れ る 麻 酔 深 度 に お い て も 、 活 発 な 眼 瞼 反 射 や 角 膜 反 射 が観 察 された。一 方 、ウマにおけるプロポフォールによる TIVA の安 全 性 を さ ら に 高 め る た め に は 、 今 後 は プ ロ ポ フ ォ ー ル の 持 続 投 与 が 循 環 系 に 及 ぼ す 影 響 、特 に投 与 速 度 と循 環 系 の抑 制 との 関 係 を明 らかにする必 要 があろう。

(26)

- 19 - 5 .要 旨 ウマにおけるプロポフォールを用 いた TIVA の至 適 な投 与 速 度 を検 討 するた め、IPPV 法 による呼 吸 管 理 を実 施 した一 定 の換 気 条 件 のもとで、吸 入 麻 酔 薬 の MAC に相 当 する MIR を測 定 した。併 せて、動 脈 血 中 プロポフォール濃 度 を 測 定 し、MIR に対 応 する濃 度 Cp5 0 を算 出 した。さらに、至 適 な麻 酔 深 度 を得 る 投 与 速 度 とし て ED9 5 を 算 出 した 。麻 酔 深 度 の 判 定 指 標 には 、疼 痛 刺 激 に 対 す る 体 動 反 応 の 有 無 を 用 い た 。 MIR お よび Cp5 0 は そ れ ぞ れ 0.10± 0.02 m g/ k g/m i n およ び 5.3 ±1 .4 µ g/ ml で あることが 明 らか となっ た 。また 、ED9 5 は 0 .1 4 m g/ k g/ m i n( 1 .4 M IR ) と推 測 された 。

(27)

供試馬No. 体重(kg)

満年齢(歳)

1-1

462

去勢雄

6.0

1-2

446

3.1

1-3

460

3.1

1-4

460

5.2

1-5

424

3.0

1-6

446

5.1

平均

450

4.3

標準偏差

15

1.3

表 1-1.供試馬一覧

(28)

- 21 -

導入のための

プロポフォール

投与開始から

胸骨臥位まで

導入のための

プロポフォール

投与終了から

維持麻酔開始まで

維持

麻酔

時間

電気刺激に対する

体動有無の判定を

実施した期間

(維持麻酔開始から)

1-1

2.8

9

200

45-200

1-2

2.8

9

155

45-155

1-3

2.8

9

165

45-165

1-4

2.2

7

140

45-140

1-5

2.3

9

160

45-160

1-6

2.7

8

160

45-160

中央値

2.7

9

160

レンジ

2.2-2.8

7-9

140-200

表 1-2.麻酔時間

経過時間(min)

供試馬

(29)

IR T R MVI PC MVC IR T R MVI PC MVC 供試馬 1-1 供試馬 1-4 0.2 45 - NM 0.14 45 - 5.2 0.18 20 - NM 0.12 15 4.5 0.16 20 - NM ↓ 20 - 4.5 0.14 20 - 9.7 0.10 15 +a) 4.1 0.12 15 9.4 0.12 15 5.1 ↓ 20 - 9.3 ↓ 20 + 4.9 0.10 15 8.3 0.14 15 0.13 5.6 5.3 ↓ 20 - 8.2 ↓ 20 - 5.7 0.08 15 0.09 7.4 7.9 0.12 15 0.13 5.6 5.7 ↓ 20 + 7.5 ↓ 20 + 5.6 0.10 15 0.09 8.3 7.9 MIR=0.12 Cp50=5.1 ↓ 20 - 8.3 0.08 15 +a) 7.0 MIR=0.09 Cp50=7.8 供試馬 1-2 供試馬 1-5 0.14 45 - 5.1 0.14 45 - 4.4 0.12 15 4.7 0.12 15 3.9 ↓ 20 - 4.9 ↓ 20 - 3.9 0.10 15 4.4 0.10 15 0.11 3.3 3.8 ↓ 20 - 4.4 ↓ 20 + 3.7 0.08 15 +a) 4.0 0.12 15 4.6 0.10 15 +a) 4.6 ↓ 20 + 4.8 0.12 15 0.11 5.3 5.1 0.14 15 0.13 6.4 5.6 ↓ 20 - 5.5 ↓ 20 - 6.4 0.10 15 0.11 5.2 5.4 0.12 15 0.13 5.4 6.1 ↓ 20 + 5.2 ↓ 20 + 5.7 MIR=0.10 Cp50=4.9 MIR=0.12 Cp50=5.2 供試馬 1-3 供試馬 1-6 0.14 45 - 5.0 0.14 45 - 5.4 0.12 15 4.6 0.12 15 4.6 ↓ 20 - 4.7 ↓ 20 - 4.7 0.10 15 4.2 0.10 15 4.0 ↓ 20 - 3.3 ↓ 20 - 3.9 0.08 15 0.09 3.7 3.5 0.08 15 0.09 3.3 3.6 ↓ 20 + 3.7 ↓ 20 + 3.3 0.10 15 0.09 4.5 4.2 0.10 15 +a) 4.6 ↓ 20 - 4.6 0.12 15 0.11 5.9 5.3 0.08 15 4.0 ↓ 20 - 5.9 ↓ 20 - 4.0 0.10 15 0.11 5.3 5.7 0.06 15 0.07 3.2 3.7 ↓ 20 + 5.4 ↓ 20 + 3.3 MIR=0.10 Cp50=4.8 MIR=0.08 Cp50=3.8

(Oku et al, 2005. J. Vet. Med. Sci. 67 : 569-575) 0.09 4.2

IR:プロポフォールの投与速度(mg/kg/min).T:投与速度を変更してからの時間 (min).R:電気刺激に対 する反応.MVI:反応が変化した投与速度の各ペアの中間値.MIR:最小投与速度 (mg/kg/min),MVIの 平均値.PC:動脈血中プロポフォール濃度(µg/ml).MVC:反応が変化した動脈血中プロポフォール濃度 の各ペアの中間値(µg/ml).Cp50:Cocentration preventing reaction to stimulus in 50% of population

(µg/ml), MVCの平均値.NM:測定せず. a)電気刺激を与える前に自発的な体動を観察. 表 1-3.プロポフォール麻酔中の電気刺激に対する

供試馬の反応および動脈血中プロポフォール濃度

0.11 4.3

(30)

- 23 -

0.14

0.12

0.1

0.08

1-1

9.7

9.3

8.3

7.3

1-2

5.1

5.2

4.7

4

1-3

5

4.7

4

3.9

1-4

5.5

5

4.1

ND

1-5

5.4

4.8

3.7

ND

1-6

5.4

5.3

4.6

3.3

平均

6.0

5.7

4.9

4.6

標準偏差

1.7

1.6

1.6

1.6

(Oku et al, 2005. J. Vet. Med. Sci. 67 : 569-575)

投与速度と動脈血中濃度との間に有意な相関関係.

r

s

=0.62,p <0.01.

表 1-4.各投与速度における

平均動脈血中プロポフォール濃度

プロポフォール投与速度(mg/kg/min)

供試馬

動脈血中プロポフォール濃度(µg/ml)

ND = データなし.

(31)

45 65 85 105 125 145 165 1-1 29 29 31 30 30 29 30 1-2 28 29 33 34 33 33 33 1-3 27 28 29 30 30 30 27 1-4 28 31 31 31 40 48 ND 1-5 28 29 28 28 30 28 ND 1-6 20 21 24 36 40 35 41 平均 26.7 27.8 29.3 31.5 33.8* 33.8* 32.8 標準偏差 3.3 3.5 3.1 2.9 4.9 7.4 6.0 1-1 95 85 84 81 86 86 98 1-2 94 93 103 105 91 95 108 1-3 91 90 92 99 100 102 110 1-4 102 104 103 101 115 117 ND 1-5 88 95 108 111 105 108 ND 1-6 91 94 99 120 123 120 127 平均 93.5 93.5 98.2 102.8 103.3 104.7 110.8* 標準偏差 4.8 6.3 8.8 13.1 14.1 13.0 12.0 ND = データなし. 表 1-5.プロポフォール麻酔中の心拍数(HR)および 平均動脈圧(MAP)の経時的変化 * p < 0.05, 45分後の値との比較. HR (bpm) MAP (mmHg) 維持麻酔経過時間(min) 供試馬

(32)

- 25 -

0.14

0.12

0.1

1-1

30

30

29

1-2

28

31

33

1-3

27

28

30

1-4

34

37

31

1-5

29

28

28

1-6

20

28

35

平均±標準偏差

28.0±4.6

30.3±3.3

30.8±2.7

1-1

81

86

88

1-2

94

94

101

1-3

91

90

96

1-4

109

107

103

1-5

97

105

108

1-6

91

107

111

平均±標準偏差

93.7±9.0

98.2±9.3

101.1±8.3

表 1-6.各投与速度における心拍数(HR)および平均動脈圧(MAP)

(Oku et al, 2005. J. Vet. Med. Sci. 67 : 569-575)

プロポフォールの投与速度

(mg/kg/min)

供試馬

HR

(bpm)

MAP

(mmHg)

(33)

5 15 30 45 65 85 105 125 145 1-1 64.1 52.6 49.4 48.8 52.3 52.5 53.1 52.2 50.7 1-2 55.4 47.2 48.2 50.2 46.6 48.3 46.3 48.5 52.2 1-3 67.7 56.7 48.9 46.7 47.3 49.5 50.9 51.6 50.6 1-4 59.2 49.8 43.0 49.2 46.9 50.6 50.9 54.0 ND 1-5 55.7 51.8 53.3 52.0 52.5 55.7 59.4 50.8 59.2 1-6 49.3 47.8 48.0 46.7 51.5 49.3 55.1 51.2 47.3 平均 58.6* 51.0 48.5 48.9 49.5 51.0 52.6 51.4 52.0 標準偏差 6.6 3.5 3.3 2.1 2.9 2.7 4.4 1.8 4.4 1-1 265.7 474.5 469.7 454.2 422.6 369.5 361.3 357.7 357.0 1-2 97.4 427.4 569.1 2.0 560.1 574.6 436.4 597.1 606.5 1-3 269.2 394.6 538.0 530.1 555.8 563.9 594.2 569.5 530.9 1-4 299.3 443.0 498.1 550.7 512.2 390.7 461.4 487.2 ND 1-5 280.2 461.9 614.4 647.9 635.9 663.4 666.1 695.4 679.4 1-6 226.4 379.5 450.6 446.5 441.1 470.1 520.4 544.4 547.6 平均 239.7* 430.2 523.3 438.6 521.3 505.4 506.6 541.9 544.3 標準偏差 73.7 37.4 62.3 226.1 80.1 114.9 110.8 113.4 119.8 ND = データなし. 維持麻酔開始5分後までは自発呼吸とし,それ以降間歇的陽圧換気(IPPV)を実施. 表 1-7.プロポフォール麻酔中の動脈血中二酸化炭素(PaCO2) および酸素分圧(PaO2)の経時的変化 * p < 0.05,15分後以降の値との比較. PaCO2 (mmHg) PaO2 (mmHg) 供試馬 維持麻酔経過時間(分後)

(34)

- 27 -

図 1-1.プロポフォール投与速度と電気刺激に対す

る体動反応が抑制された割合の関係.近似回帰直

線を併せて表示.r

s

= 0.977,p <0.01.

(Oku et al, 2005. J. Vet. Med. Sci . 67 : 569-575)

y = 12.50 x - 0.78

R

2

= 0.99

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

0

0.05

0.1

0.15

プロポフォールの投与速度

(35)

第 2 章 プロポフォールの静 脈 内 持 続 投 与 がウマの循 環 動 態 に及 ぼす影 響 1 .緒 言 一 般 に麻 酔 薬 の多 くは強 い循 環 系 抑 制 作 用 をもち (Muir, 1991b; Steffey, 1 99 1 ) 、ヒ ト のプロ ポ フォー ル 麻 酔 に お いて も 動 脈 圧 、1 回 心 拍 出 量 ( S V) 、C I、 全 身 血 管 抵 抗 ( SVR ) お よ び 左 心 仕 事 率 の 低 下 が 報 告 さ れ て い る ( Langley an d Heel, 1 9 8 8 ) 。 ま た 、 ウ マ に お い て は 、 麻 酔 中 の 循 環 抑 制 に よ っ て 、 ミ オ パ チ ー や X 大 腸 炎 な ど の 術 後 合 併 症 の 危 険 性 が 増 す こ と が 知 ら れ て い る (Grandy et al, 1987; Lindsay et al, 1989)。したがって、ウマにおいて本 麻 酔 薬 を用 いた TIVA を安 全 に実 施 するためには、その持 続 投 与 が循 環 動 態 へ及 ぼす影 響 を詳 細 に把 握 する必 要 がある。し かし、プロポフォールを用 いた TIVA がウマの 循 環 系 に 及 ぼす影 響 を 、CO の測 定 に基 づいて評 価 した報 告 は僅 か で あ る 。 さ ら に 、 こ れ ら の 既 報 は す べ て メ デ ト ミ ジ ン ( Bettschart et al, 2001a; Bet ts ch art et a l, 20 0 3 ) あるいは キ シラ ジン(M am a et a l , 1 99 8 ) の 持 続 投 与 が 併 用 さ れ て お り 、 こ れ ら の 薬 剤 が 成 績 に 少 な か ら ず 影 響 し て い る 。 さ ら に 、 プ ロ ポ フ ォ ー ル の 投 与 速 度 と 循 環 抑 制 の 程 度 の 関 係 に つ い て 検 討 し た 報 告 は 著 者 が知 る限 り 一 つだけである(Mama et al, 1998)。また、その報 告 においては、 プ ロ ポ フ ォ ー ル の 循 環 抑 制 作 用 よ り も 、 用 量 依 存 性 の 呼 吸 抑 制 に よ る 交 感 神 経 系 の 興 奮 が 成 績 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ し て い る 。こ の よ う に 、 ウ マ の プ ロ ポ フ ォ ールを 用 いた TIVA において、プロポフォールの投 与 速 度 と循 環 系 機 能 の抑 制 程 度 の関 係 は、い まだ明 らかにされていない。 そ こ で 本 章 は 、 プ ロ ポ フ ォ ー ル の 持 続 投 与 が ウ マ の 循 環 系 機 能 に 及 ぼ す 影 響 を明 らかにするため、異 なった投 与 速 度 における HR、MAP、CO などの循 環 系 指 標 を測 定 し、投 与 速 度 の変 更 に伴 う 循 環 系 機 能 への影 響 を検 討 した。

(36)

- 29 - 2 .材 料 お よ び 方 法 1 ) 供 試 馬 供 試 馬 は健 康 なサラ ブレッド種 成 馬 6 頭 であり、年 齢 は 3.0~4.3 歳 (中 央 値 3 .2 ) 、平 均 体 重 は 4 4 5 ±3 0 k g で あった ( 表 2 -1 ) 。麻 酔 前 1 2 時 間 は 絶 食 とし 、 飲 水 は 自 由 とした。な お、本 研 究 にお ける 動 物 実 験 は 、日 本 中 央 競 馬 会 競 走 馬 総 合 研 究 所 動 物 実 験 指 針 に準 じて実 施 した。 2 ) 麻 酔 法 麻 酔 導 入 はキシラジン 1.0 mg/kg による麻 酔 前 処 置 から 10 分 後 に、供 試 馬 をスイングドア内 に保 定 し、1%プロポフォール(Rapinovet)3.0 mg/kg を約 3 分 間 で静 脈 内 投 与 して実 施 した。供 試 馬 が スイングドア内 で胸 骨 臥 位 となった後 に 、 ド ア を 解 放 し て 側 臥 位 と し た 。 気 管 内 チ ュ ー ブ を 挿 管 後 、 ホ イ ス ト に よ り 四 肢 を懸 垂 して手 術 台 上 に移 動 、右 側 臥 位 に保 定 した。 麻 酔 導 入 のためのプロポフォール 3.0 mg/kg の投 与 終 了 後 より、プロポフォ ー ル の 持 続 投 与 に よ る 維 持 麻 酔 を 開 始 し た 。 持 続 投 与 に は 輸 液 ポ ン プ ( Star-Flow 592)を 用 いた 。 持 続 投 与 開 始 時 の 投 与 速 度 は プ ロポフ ォール 持 続 投 与 の ED9 5に相 当 する 0.14 mg/kg/min (Oku et al, 2005)とし、麻 酔 前 処 置 が 循 環 系 指 標 の 測 定 値 に 及 ぼ す 影 響 を 可 能 な 限 り 低 減 す る た め 、 こ の 速 度 をキシラジンの半 減 期 である 50 分 間 継 続 した (Garcia-Villar et al, 1981)。 その後 、0.14、0.20 および 0.30 mg/kg/min の 3 種 類 の速 度 のプロポフォール 持 続 静 脈 内 投 与 に お ける 循 環 系 指 標 を 測 定 し た 。 測 定 は そ れ ぞ れの 投 与 速 度 を 20 分 間 維 持 した後 に概 ね 5 分 間 で実 施 した。なお、これら 3 種 類 の投 与 速 度 の実 施 順 序 は 6 通 り存 在 するが、これら 6 通 りの順 序 のいずれか 1 つずつ を 各 供 試 馬 に ラ ン ダ ム に 実 施 し た( 表 2-2)。維 持 麻 酔 中 は気 管 内 チューブ を 人 工 呼 吸 器 付 き 大 動 物 用 麻 酔 器 ( MOK94 ) に 接 続 し 、 100 % 酸 素 を 流 量 6 L/ m i n で 吸 入 させ た 。維 持 麻 酔 開 始 か ら 5 分 間 は 自 発 呼 吸 と して RR を 測 定 するとともに、30 秒 間 以 上 の無 呼 吸 の有 無 を観 察 した。その後 、IPPV 法 を応 用 し、PaCO2を 45~55mmHg の範 囲 内 に維 持 するよう換 気 条 件 を調 節 した。

表 1-3.プロポフォール麻酔中の電気刺激に対する 供試馬の反応および動脈血中プロポフォール濃度
図  1-1 .プロポフォール投与速度と電気刺激に対す る体動反応が抑制された割合の関係.近似回帰直 線を併せて表示. r s  = 0.977 , p &lt;0.01 .
表 3-6.XMPF群およびXTGGE群における呼吸数および動脈血ガス分圧 倒馬からの時間(min)起立からの時間(min)
表 3-7.XMPF群およびXTGGE群における心拍数および動脈圧 倒馬からの時間(min)起立からの時間(min)
+2

参照

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