1. はじめに ディーゼル噴霧の着火は,エンジン性能や排気に影 響することから重要な現象とされ,現在に至るまで多 くの研究が行われてきている.例えば,藤本らは,噴 射条件や雰囲気条件が着火遅れに与える影響につい調 べており,温度や圧力,酸素濃度と着火遅れとの関係 がアレニウス式で整理できることなどを報告している 1).また,石山らは,着火に至るまでの噴霧と周囲気体 との混合過程に着目した研究を行い,燃料・空気の混 合過程と化学反応過程が同時に進行する様子を独自の 計算モデルによって評価し,蒸発や混合といった物理 過程と化学過程が着火遅れの温度依存性に与える影響 について詳細な考察を行っている2) 3). こうした研究から,ディーゼル噴霧の着火機構の理 解が深まりつつある一方で,噴霧の混合気形成過程と 着火を関連づける知見として,燃料を構成する各成分 の蒸発量ならびに成分間の相互作用や,噴射終了後に 変化する周囲気体との混合過程が着火遅れに与える寄 与について十分に調べられていない.前者は,低着火 性の成分を多く含む傾向にある舶用燃料油の着火機構 を,後者は,環境規制への対応で多様化しているエン ジンの噴射制御において,従来の主噴射の噴霧からガ スエンジンの点火源に利用されるような短い噴射期間 の噴霧の着火機構までを統合的に理解する上で有益と なる. そこで本研究では,多成分系燃料の噴霧の蒸発なら びに着火に至るまでの混合気形成過程を推定するモデ ルを構築した.セタン価標準燃料からなる二成分系燃 料を用いた燃焼試験の結果を対象に,着火に至るまで の混合気形成過程と着火の関係について計算モデルを 用いて考察した. 2. 実験および解析方法 2.1 実験方法および着火遅れの定義
実験には,Fuel Tech 社製の FIA-100/FCA(Fuel Combustion Analyzer)を用いた.FCA は英国エネル ギー協会の IP5414)に則した装置であるが,ここでは 雰囲気圧力𝑝𝑝���,�,温度𝑇𝑇���,�をこれまで著者らが用い てきた条件 5)を参考に,𝑝𝑝 ���,�=4.5MPa,𝑇𝑇���,�=811K としている.噴射圧力𝑝𝑝���は40MPa であり,噴射期間 𝛥𝛥𝛥𝛥���は2.6,3.0,4.0,6.0ms の 4 条件とした.燃料 は,セタン価0 の 1-メチルナフタレン(C11H10)とセ タン価100 のヘキサデカン(C16H34)の混合燃料によ
二成分系燃料における
ディーゼル噴霧の混合気形成過程と着火の関係に関する考察
* 川 内 智 詞** 高 木 正 英**Relationship between Mixture Formation and Ignition Processes in a Two-component Fuel Spray
By Satoshi KAWAUCHI, Masahide TAKAGI
The aim of this paper is to investigate the relationship between fuel/air mixture formation and ignition processes of a two component fuel spray using a one-dimensional diesel spray model. The model, which was originally proposed by Musculus and Kattke, was modified in order to allow evaporation process of a transient diesel spray to be taken into account. The calculation model was validated against pressure history data measured in a combustion experiment and showed good agreement with decreased pressure in the combustion chamber which represents heat absorption process of the spray. This model was applied to predictions of mixture formation process of two-component fuels which are composed of Hexadecane(C16H34) and 1-methyl-naphthalene(C11H10). Based on the calculation results, reasons why cetane number and fuel injection duration influence the ignition delay were closely discussed.
*原稿受付 令和2年 9月 15日.
**正会員 (国研)海上・港湾・航空技術研究所 海上技 術安全研究所(三鷹市新川6-38-1)
ディーゼル噴霧の混合気形成過程と着火の関係に関する考察
*るセタン価(CN)100,80,60,40,30,25,20 の 燃料の7 種類とした. FCA において着火遅れは,雰囲気圧力から最大圧力 の1%に上昇するまでの時間と定義されており4),これ をFCA 着火遅れ𝜏𝜏���とする.一方で,本報の実験で は,噴射期間によって最大圧力が大きく異なることや, セタン価の低い燃料で着火後の燃焼が完結せずに十分 な圧力上昇が得られない結果も得られたため,その他 の図1 に示す定義の着火遅れと併せて評価している. 各名称については,藤本らの定義 1)を参考に以下のよ うに決定した.熱発生遅れ𝜏𝜏��は,熱発生率𝑑𝑑𝑑𝑑/𝑑𝑑𝑑𝑑 が最 小値𝑑𝑑𝑑𝑑/𝑑𝑑𝑑𝑑���となるまでの時間であり,容器内の圧力 線図はこの時点まで非燃焼時のものと一致するが,こ れ以降は燃料の発熱によって圧力が上昇し始めるため 乖離が生じることになる.圧力上昇遅れ𝜏𝜏�は,圧力曲 線が最小値𝑝𝑝���,���となるまでの時間であり,ここでは 蒸発による燃料の吸熱と熱発生が一致し,𝑑𝑑𝑑𝑑/𝑑𝑑𝑑𝑑=0 と なる.着火遅れ𝜏𝜏��は,圧力が噴射開始時の圧力𝑝𝑝���,�に 回復するまでの時間である.本研究では,噴射開始か らの経過時間ならびに噴射の開始を起点とした各着火 遅れ期間の終点の時刻を,それぞれ𝑑𝑑����,𝑑𝑑��,𝑑𝑑�,𝑑𝑑��, 𝑑𝑑���で表すことにする.
Fig. 1 Definition of ignition delays 2.2 解析方法 2.2.1 基礎式 本研究では,噴霧と周囲空気の混合過程を予測する モデルとして Musculus-Kattke の一次元噴霧モデル 6)を採用し,このモデルを液滴の蒸発,運動に伴う気液 間の相互作用が考慮できるよう修正した.Musculus らのモデルは,噴霧角を𝜃𝜃とする円錐形状の計算領域 を軸方向に分割し,燃料質量,運動量の移流方程式を 各検査体積(Control Volume ; CV)で解くことによっ て,噴霧軸方向の濃度分布の時間進展を求めるもので ある.元来,本モデルでは,液相を想定した燃料質量 の輸送方程式に加え,噴霧を構成する液相部と気相部 を合わせた総運動量の保存式が用いられている.本研 究で構築したモデルでは,燃料質量の輸送方程式につ いては燃料蒸気を,運動量の輸送方程式については噴 霧を構成する気相部を対象とし,液相の蒸発に伴う質 量の減少分ならびに液滴の飛翔に伴う運動量の低下分 を生成項とする方程式に修正した.また,各CV にお ける温度を求めるため,エンタルピーに関する保存式 も加え,更新された温度に対してCV の体積も変化さ せた.噴霧を構成する液滴の計算には,計算負荷を軽 減するため離散液滴法(DDM)を適用している. 気液間の相互作用を考慮した移流方程式は,離散化 され,時間分割された𝑖𝑖番目の CV における,時間分割 された𝑛𝑛 � 1ステップ目の燃料質量,運動量が次式で計 算される. 𝑚𝑚�,���� � 𝑚𝑚�,�� � �𝑚𝑚����� 𝑌𝑌�,���� � 𝑚𝑚���𝑌𝑌�,�� � � 𝑁𝑁�,�𝑚𝑚��,� ��,� ��� � 𝑑𝑑𝑑𝑑 �1� 𝑀𝑀���� � 𝑀𝑀��� �𝑚𝑚����� 𝑢𝑢�,���� � 𝑚𝑚���𝑢𝑢�,�� � � 𝑁𝑁�,�𝐹𝐹�,� ��,� ��� � 𝑑𝑑𝑑𝑑 �2� 𝑚𝑚は質量,𝑌𝑌は質量分率, 𝑀𝑀は気相の運動量,𝑢𝑢は速度 𝑑𝑑は時間で,𝑑𝑑は微小変化量,下添字の𝑓𝑓は燃料,𝑑𝑑は液 滴,𝑔𝑔は気相を表す.質量流量𝑚𝑚�は,CV における密度 𝜌𝜌,一様を仮定した気相の断面平均速度𝑢𝑢�,および断面 積𝐴𝐴を用いて次式から計算される. 𝑚𝑚��� 𝜌𝜌�𝑢𝑢�,�𝐴𝐴� �3� 𝑁𝑁�はパーセルに含まれる液滴の数で, 𝑁𝑁�はCV に存 在するパーセルの数である.𝑚𝑚��は蒸発による液滴質量 の変化率,𝐹𝐹�は液滴の受ける抵抗力であり,後述する 単一滴の計算から求められる.式(1),(2)によって 更新される𝑚𝑚�および𝑀𝑀から,各位置における空気の質 量𝑚𝑚�が次式によって求まり, 𝑚𝑚�,����� 𝜌𝜌�,�� �����𝑚𝑚�,� ��� 𝜌𝜌�,�� � �4� 運動量の定義から気相速度が更新される. 𝑢𝑢�,����� 𝑀𝑀� ��� 𝑚𝑚�,����� 𝑚𝑚�,���� �5� なお,計算を簡便にするため,式(4)において,𝑚𝑚� 以外の値は𝑛𝑛ステップ目のものを用いた.時間進展に 伴う空気質量の変化量は,各CV の検査面を通過する 空気の質量流量𝑚𝑚�𝑌𝑌�と,周囲空気のエントレインメン ト𝑚𝑚����の和となるため,𝑚𝑚����は次式のように求められ る. 𝑚𝑚����,�� ��𝑚𝑚�,� ���� 𝑚𝑚 �,� � � 𝑑𝑑𝑑𝑑 � �𝑚𝑚�𝑌𝑌�,���� � 𝑚𝑚�𝑌𝑌�,��� �6� 𝑚𝑚����を用いて,エンタルピー𝐻𝐻の保存に関する離散化 4.4 4.5 4.6 pcyl [M Pa ] -2 0 2 4 6 8 -0.2 0.0 0.2 dQ /d t [ kJ /m s]
Time after start of injection [ms] hr p p id dQ/dt=0 pcyl,min dQ/dtmin pcyl=pcyl,0
方程式が次式で表される. 𝐻𝐻����� 𝐻𝐻�� ��𝑚𝑚����� ℎ���� � 𝑚𝑚���ℎ��� ℎ���𝑚𝑚����,�� � 𝑄𝑄�����,��𝑑𝑑� �7� 但し,ℎは単位質量あたりのエンタルピー,下添字の 𝑎𝑎𝑚𝑚𝑎𝑎は周囲気体を表す.式(7)において,液滴から気 相へのエネルギーの輸送項は,蒸発による寄与分 𝑄𝑄�����のみとしており,𝑄𝑄�����は周囲気体から液滴に到 達する熱量𝑄𝑄��を用いて次式で計算される. 𝑄𝑄�����,�� � 𝑁𝑁�,� ��,� ��� �ℎ��𝑇𝑇�,��𝑚𝑚��,�� 𝑄𝑄��,��� �8� 各CV における温度は,式(7)の右辺第 2 項を𝛥𝛥𝐻𝐻と して次式で表される. 𝑇𝑇����� 𝑇𝑇���𝛥𝛥𝐻𝐻 � ℎ��𝑇𝑇��𝑑𝑑𝑚𝑚�,� � � ℎ ��𝑇𝑇��𝑑𝑑𝑚𝑚�,�� 𝑚𝑚�𝑐𝑐�,�� �9� ここで,𝑐𝑐�は定圧比熱である.式(9)で更新された温 度を用いて,各CV における燃料ならびに空気の密度 を状態方程式から求め, 𝜌𝜌�,�����𝑝𝑝���𝑅𝑅𝑇𝑇𝑀𝑀𝑀𝑀� ���� , 𝜌𝜌�,� ����𝑝𝑝���𝑀𝑀𝑀𝑀� 𝑅𝑅𝑇𝑇���� �10� CV の体積と密度を次式で更新した. 𝑉𝑉�����𝑚𝑚�,� ��� 𝜌𝜌�,���� � 𝑚𝑚�,���� 𝜌𝜌�,���� �11� 𝜌𝜌�����𝑚𝑚�,� ���� 𝑚𝑚 �,� ��� 𝑉𝑉���� �12� なお,𝑀𝑀𝑀𝑀は分子量,𝑅𝑅はガス定数である. 2.2.2 単一滴に関する式 飛翔中の液滴に働く力は,液滴と気相間の相対速度 に起因する抗力のみとし,液滴の速度はニュートンの 運動方程式によって更新する. 𝑚𝑚�𝑢𝑢��� ��� 𝐶𝐶�12 𝜌𝜌��𝑢𝑢�� 𝑢𝑢���𝑢𝑢�� 𝑢𝑢��𝐴𝐴� �13� ここで𝐴𝐴�は液滴の投影面積を,𝐶𝐶�は抗力係数を表し, 液滴のレイノルズ数の関数として計算した.液滴は球 形を仮定し,液滴同士の衝突は考慮していない. 液滴の蒸発が関係する𝑚𝑚��および𝑄𝑄��は,Spalding の モデルを用いて次式から計算した. 𝑚𝑚��� ��𝑑𝑑�𝜌𝜌�𝐷𝐷�𝑆𝑆ℎlog�1 � 𝐵𝐵�� �14� 𝑄𝑄��� �𝑑𝑑�𝜆𝜆�𝑁𝑁𝑢𝑢�𝑇𝑇�� 𝑇𝑇��log�1 � 𝐵𝐵𝐵𝐵 �� � �15� 𝑑𝑑は直径,𝐷𝐷は拡散係数,𝑆𝑆ℎはシャーウッド数,𝜆𝜆は熱 伝導率,𝑁𝑁𝑢𝑢はヌッセルト数であり,𝑆𝑆ℎと𝑁𝑁𝑢𝑢には Ranz-Marshall の式を用いた.また,本研究で使用する蒸発 モデルは多成分系燃料に対応させており,燃料中の成 分𝑘𝑘の質量変化率𝑚𝑚��,�は,式(14)で計算される𝑚𝑚��を 用いて次式から求めた. 𝑚𝑚��,�� �𝑌𝑌�,��𝑌𝑌�,�𝐵𝐵� 𝑌𝑌�,� � � 𝑚𝑚�� �16� ここで,𝑌𝑌�,�は液滴表面の,𝑌𝑌�,�はフィルム外の燃料質 量分率である.このときの𝐵𝐵�は次式で表され, 𝐵𝐵��∑ 𝑌𝑌�1 � ∑ 𝑌𝑌�,�� ∑ 𝑌𝑌� �,� �,� � �17� 式中の𝑌𝑌�,�は,成分𝑘𝑘の蒸気圧𝑝𝑝��,�,液滴内のモル分率 𝑥𝑥�,�を用いて次式によって計算される. 𝑌𝑌�,�� 𝑝𝑝��,�𝑥𝑥�,�𝑀𝑀𝑀𝑀� ∑ 𝑝𝑝� ��,�𝑥𝑥�,�𝑀𝑀𝑀𝑀�� �𝑝𝑝���� ∑ 𝑝𝑝� ��,�𝑥𝑥�,��𝑀𝑀𝑀𝑀� �18� なお,𝑌𝑌�,�には,燃料液滴の存在するCV の質量分率 を用いている. 2.2.3 燃焼室内ガスに関する式 噴霧の蒸発に伴う燃焼室内温度と圧力の変化量は, 定容変化におけるエネルギー保存則ならびに状態方程 式から導出される次式で計算した. 𝑑𝑑𝑇𝑇���� 𝑑𝑑𝑑𝑑�𝑅𝑅𝑇𝑇���� ∑ ℎ� �,��𝑇𝑇����𝑑𝑑𝑑𝑑�,�� ∑������𝑄𝑄�����,� 𝑑𝑑���𝑐𝑐� �19� 𝑑𝑑𝑝𝑝����𝑑𝑑𝑑𝑑�𝑅𝑅𝑇𝑇���𝑉𝑉� 𝑑𝑑���𝑅𝑅𝑑𝑑𝑇𝑇��� ��� �20� なお,𝑑𝑑はモル数,𝑐𝑐�は定積比熱,𝑉𝑉は容積である. 2.2.4 計算に用いる諸値 液相の物性値の推定には,臨界圧力,温度,容積, 沸点,既知の容積とその時の温度,氷点,標準沸点に おける蒸発潜熱の8 個の定数によって推算する方法を 採用した.本手法によって算出された物性値の一例と して,図2 に C16H34とC11H10の蒸気圧線図を示す. 図で示した蒸気圧線図から求まる各成分の沸点𝑇𝑇�は, 𝑇𝑇�,������=560K,𝑇𝑇�,������= 518K であり,NIST のデ ータベース7)が示すC16H34の沸点554±10K,C11H10 の沸点515±7K と一致する.
Fig. 2 Estimated vapor pressure for C16H34 and C11H10 ノズル出口における液滴の噴出速度は,噴射率から 決定した.噴射率の形状は台形型を仮定し,噴射開始 から最大値に至るまでと,一定期間を経た後にその最 大値から噴射終了まで直線的に減少するようにした. 450 500 550 600 0.0 0.1 0.5 C16H34 C11H10 V ap or p re ssu re [MP a] Temperature [K] Tb,C16H34 Tb,C11H10
噴射率の最大値𝑚𝑚����,���は,ベルヌーイの定理で求ま る速度を速度係数𝐶𝐶�によって補正し,燃料密度とノズ ル断面積を用いて次式から求めた. 𝑚𝑚����,���� 𝜌𝜌�⋅ 𝐶𝐶�𝜋𝜋4 𝑑𝑑�� ⋅ 𝐶𝐶��2�𝑝𝑝���𝜌𝜌� 𝑝𝑝�� � �21� なお,𝐶𝐶�はノズルの縮流係数,𝑑𝑑�は噴孔径である.噴 霧角𝜃𝜃は,広安らの式8)から求めた値を,Musculus ら の修正6)を参考に2/3 倍した𝜃𝜃=17deg.を使用した.ま た,ノズルの寸法ならびに噴射圧力は実験にもとづい て,それぞれ𝑑𝑑�=0.35mm,𝑝𝑝���=40MPa とした.実測 できていない 𝐶𝐶�,𝐶𝐶�及び噴射の開始と終了で噴射率が 直線的に変化する期間𝛥𝛥𝛥𝛥�は,それぞれ𝐶𝐶�=0.83, 𝐶𝐶�=0.70,𝛥𝛥𝛥𝛥�=0.2ms とし,これらの値によって計算 結果に有意な差が生じないことを確認している.噴射 される燃料パーセルの総数は,噴射期間で変更せず 100,000 個とし,時間刻み幅𝛥𝛥𝛥𝛥=10-8sec,計算領域 𝐿𝐿=200mm,空間刻み幅𝛥𝛥𝛥𝛥=1mm とした.
Fig. 3 Measured and predicted pressure histories
ノズル出口における液滴径𝑑𝑑�,�は同一径とし,燃料 噴霧の熱吸収による容器内の圧力降下の実測値を本計 算モデルが再現するように与えた.図3 に,各燃料に 対して初期液滴径を変更し得られた容器内圧力履歴の 結果と実測値との比較を示す.なお,本図を含めて以 降示す時系列のデータは,各燃料,各噴射条件にて実 施した数十回の試験から得られた熱発生率の結果を平 均化し,それに最も近い形状となった一回あたりの結 果を選択している.図中には,実測値と比較する上で 参考となる燃料噴霧の蒸発が主に進行する期間 𝜏𝜏��を 示した.計算は,𝑑𝑑�,�=15m,25m の 2 条件で行っ ており,𝑑𝑑�,�の小さい15m の方が蒸発しやすいため 圧力の降下率が大きくなっている.セタン価の異なる 燃料4 条件に対して,𝑑𝑑�,�=15m,25m の 2 条件と もに圧力降下の実測値を良好に再現できていることが わかる.一方で,本計算モデルは,液滴の分裂を考慮 しておらず,噴霧の可視化試験などで計測されるよう な分裂を繰り返した後の液滴径がノズルから噴出され ることを想定している.そのため,圧力降下の開始が 実測値に比べて早まることが想定され,実測値の圧力 降下を幾分過大に予測する結果の方が望ましいと考え た.この点を踏まえると,𝑑𝑑�,�=15m の方が実測され た 噴 霧 の 蒸 発 過 程 を 再 現 で き て い る と 考 え , 𝑑𝑑�,�=15m として以降の考察を行った. 3. 結果と考察 3.1 着火遅れと燃焼過程に与えるセタン価ならびに噴 射期間の影響 まず,本研究で考察の対象とした燃焼過程について 示すため,セタン価ならびに噴射期間を変更し得られ た実験結果について記す.図4 に燃焼室内の圧力から 計算した熱発生率を示す.噴射期間中に着火に至るか 否かで熱発生率の形状は異なっており,噴射期間中に 着火に至らなかった条件では,ディーゼル燃焼の特徴 である拡散燃焼の期間が見られなかった.また,セタ ン価 20 の燃料では,その着火性の低さから, 𝛥𝛥𝛥𝛥���=2.6msの条件において熱の発生がほとんど確認 されなかった.𝛥𝛥𝛥𝛥���=6ms まで噴射期間を大きくする ことで多少の熱発生を確認できるが,燃焼期間の長期 化した非常に緩慢な燃焼となっており,同じく拡散燃 焼の期間が見られなかったセタン価40 の条件と比較 しても特異な燃焼となっていることがわかる. 図5 は,図 1 で定義した各着火遅れとセタン価の関 係を示す.セタン価の低下に伴い各着火遅れは増加す る傾向にあるが,中でも𝜏𝜏��と𝜏𝜏���は,セタン価が 40 以下の燃料で急激に増加し,その結果,𝜏𝜏�と𝜏𝜏��,𝜏𝜏��� の乖離が大きくなった.この結果は,セタン価の低い -1.5 0.0 -1.5 0.0 -1.5 0.0 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 -1.5 0.0 dd,0=25m Exp. Calc. (dd,0=15m) Calc. (dd,0=25m) CN100 hr dd,0=15m Exp. Calc. (dd,0=15m) Calc. (dd,0=25m) CN60 hr Exp. Calc. (dd,0=15m) Calc. (dd,0=25m) CN40 hr Exp. Calc. (dd,0=15m) Calc. (dd,0=25m) pcyl -pcy l,0 [×1 0 -2 M Pa]
Time after start of injection [ms] CN20
Fig. 4 Effect of cetane number on heat release rate for 𝛥𝛥𝛥𝛥���=2.6ms and 6.0ms
Fig. 5 Ignition delay versus cetane number 燃料ほど,容器内の圧力が噴霧の吸熱によって最小と なってから噴射開始時の圧力にまで回復するのに時間 を要することを示している.一方で,𝜏𝜏��と𝜏𝜏���に殆ど 差がない結果となっていることから,セタン価が20 の 燃料で見られたような非常に緩慢な燃焼であったとし ても,噴射時の圧力まで回復した後に最大圧力の 1% までは速やかに圧力が上昇することを表している.ま た,𝜏𝜏��はセタン価の低下によって増加するものの,そ の変化量は他の着火遅れと比べて小さく,燃料の発熱 開始時期はセタン価によって大きく変わらないことが わかる. 図6 に噴射期間と各着火遅れの関係を示す.セタン 価が40 以上の燃料では,噴射期間に対して各着火遅 れは横ばいで一定となっており,噴射期間の影響は小 さかった.一方で,セタン価20 の燃料では,噴射期間 の増加に対して各着火遅れが増加した.この結果に類 似するものとして,池上らは,雰囲気温度が低い条件 では,噴射期間の増加に伴い着火遅れが増加すること を報告している 9).以上,燃焼実験によって得られた 結果に対し,次項にて着火に至るまでの混合気形成過 程に着目し考察する.
Fig. 6 Effect of fuel injection duration on ignition delays for different CN fuels
3.2 噴霧の混合気形成過程と着火の関係に関する考察 セタン価によって各着火遅れが増減した理由につい て,噴霧の混合気形成過程から考察するため,図7 に 計算で求めた𝛥𝛥��,𝛥𝛥�,𝛥𝛥��の時刻における噴霧軸方向の 当量比分布を示す.図は,𝛥𝛥𝛥𝛥���=2.6ms の結果を示し ており,C16H34の当量比𝜙𝜙������ ,C11H10 の当量比 𝜙𝜙������および混合燃料の当量比𝜙𝜙�����の関係は,CV における各成分の燃料質量と酸素質量を用いて次式で 表した. 𝜙𝜙�����,��𝐿𝐿��,����𝑚𝑚��𝑚𝑚������,� ��,� �𝐿𝐿��,������𝑚𝑚������,� 𝑚𝑚��,� � 𝜙𝜙������,�� 𝜙𝜙������,� �22� 0 5 10 15 20 0 10 20 30 40 0 5 10 15 20 tinj 100 60 40 20 dQ /d t [k J/m s] tinj=2.6ms CN pcyl,0=4.5MPa Tcyl=811K pinj=40MPa 100 60 40 20 tinj dQ /d t [k J/m s]
Time after start of injection [ms] tinj=6.0ms CN 20 40 60 80 100 0 4 8 12 FCA id p hr Ig ni tion del ay [ m s] Cetane Number [-] pcyl,0=4.5MPa Tcyl=811K pinj=40MPa tinj=6ms 0 4 8 12 0 4 8 12 0 4 8 12 2 3 4 5 6 0 4 8 12 FCA id p hr CN100 pcyl,0=4.5MPa Tcyl,0=811K pinj=40MPa Igni tio n de la y [ m s] CN60 CN40
Fuel injection duration [ms] CN20
Fig 7. Predicted cross-sectionally averaged equivalence ratio of C16H34 and C11H10 for CN100, CN60 and
CN20 ここで,𝐿𝐿��,�は燃料中の成分𝑘𝑘の燃焼に必要となる理 論酸素質量を表す.着火性の異なる各燃料で共通して, 燃料の発熱が開始する𝑡𝑡��では,当量比がノズル付近で 小さく,噴霧の先端に向かって増加する分布となって いることがわかる.この結果は,ノズル付近で噴霧の 蒸発が進行していないことを表しており,この領域で は噴霧が取り込む熱量は主として液滴の温度上昇に消 費されることになる.また,燃料の着火性に関わらず, 𝑡𝑡��において,混合成分のいずれか,またはどちらの成 分も,噴霧先端部では着火に至るほどの量論比に近い 当量比となっていることがわかる.この結果から,燃 料が発熱を開始する状態に速やかに移行できるかどう かは燃料の反応性に大きく依存することが推定される. セタン価20 の燃料では,着火性に優れる C16H34の 当量比が噴霧内全域で非常に小さくなっていることか ら,これが着火遅れを長期化させる要因になっている と推察される.この燃料では,初期のC16H34の燃料質 量割合が0.16 とそもそも小さいが,C11H10との混合 によって蒸発が抑制された場合,それもC16H34の当量 比を低下させる原因となりうる.そこで,燃料噴霧の 蒸発速度に与える C11H10の混合の影響について評価 した.燃料噴霧の蒸発の進行度を表す指標として,神 本らの定義10)を参考に,計算から求まる蒸発量とその 時刻までに噴射された燃料質量との比を蒸発割合𝜂𝜂と して求めた.図8に混合燃料の蒸発割合𝜂𝜂�����とC16H34 の蒸発割合𝜂𝜂������の結果を示す.混合燃料の蒸発割合 とC16H34の蒸発割合は共通して,噴射が終了する時期 に変曲点をもつが,これは噴霧と周囲気体の混合過程 が噴射終了の前後で変わり,それが噴霧の蒸発速度に 影響を及ぼしたためである.混合燃料の蒸発割合を示 した結果から,燃料中のC11H10の割合によって噴霧の 蒸発速度は殆ど変化しないことがわかる.また, C16H34の蒸発割合𝜂𝜂������に着目すると,C11H10の混合 割合の増加によって蒸発割合が低下する傾向が見られ るものの,その影響は僅かであることがわかる.した がって,セタン価20 の燃料で𝜙𝜙������が噴霧領域で小 さくなっているのは,燃料中に含まれるC16H34の含有 量が小さいことが原因であるといえる. 𝜏𝜏��と𝜏𝜏�の差が小さい条件ほど,噴霧内の当量比は高 い状態で維持されており,発熱を開始してから圧力の 回復遅れまで速やかに移行する.反対に,𝜏𝜏��と𝜏𝜏�の差 が大きくなり,噴射期間よりも𝜏𝜏�が大きくなると,後 続からの燃料供給が途絶えることで噴霧内の当量比が 低下し,反応性に乏しい燃料は希薄化によって反応が 失活する効果も加わり,より一層反応が進みにくくな る.結果として,𝑡𝑡��も大幅に遅延する.𝑡𝑡��においてセ タン価20 の燃料では,当量比が𝜙𝜙� �����で0.08 程度, 𝜙𝜙������で0.4程度と非常に希薄な混合気となっている ことが推定され,これらが図 4 で示したセタン価 20 の燃料が非常に緩慢な熱発生率につながる原因になっ ていると考察される. 0 50 100 150 200 0 1 2 3 0 1 2 3 0 50 100 150 200 0 1 2 3 0 1 2 3 0 50 100 150 200 0 1 2 3 1.3ms (thr) 2.3ms (tp) 2.6ms (tid)
Axial distance from nozzle [mm] C16H 34 [-] (a) CN100 tASOI thr tp tid C16H34 tinj=2.6ms 1.9ms (thr) 5.2ms (tp) 9.0ms (tid) C16H 34 [-] tASOI thr t p t id (c) CN20 C16H34 tinj=2.6ms C11H 10 [-]
Axial distance from nozzle [mm]
thr tp tid C11H10 1.5ms (thr) 3.2ms (tp) 4.0ms (tid) C1 6H 34 [-] (b) CN60 tASOI thr tp tid C16H34 tinj=2.6ms C11H 10 [-]
Axial distance from nozzle [mm]
thr tp
tid
Fig. 8 Predicted evaporation rate for different CN fuels 次に,低セタン価の燃料で噴射期間の増加に伴い着 火遅れが増加した理由について考察する.図 9 は, Δ𝑡𝑡���=2.6ms,6.0ms の条件における噴霧軸方向の当 量比分布および温度分布を示す.ここでは,温度と当 量比をΔ𝑡𝑡���=2.6ms の実験値である𝑡𝑡�,𝑡𝑡��と同時刻に して比較している.噴射量の多い𝛥𝛥𝑡𝑡���=6.0ms では, ノズル近傍を除いた噴霧内で,Δ𝑡𝑡���=2.6ms よりも当 量比が高くなっている.また,噴射期間の増加によっ て,噴射量だけでなく噴霧に供給される運動量も増加 するため,噴霧先端位置も噴射開始後𝑡𝑡����=9ms にお いて10mm 程度大きくなっている.噴霧内の軸方向温 度分布に着目すると,𝑡𝑡����=5.2ms において既に噴射 の終了しているΔ𝑡𝑡���=2.6ms の条件では,図 8 が示す ように噴霧の蒸発も終了しており,噴霧内全域で 750K 以上の均質な温度分布が形成されている.一方 で,Δ𝑡𝑡���=6.0ms の条件では,𝑡𝑡����=5.2ms は噴射期間 中に相当し,蒸発による噴霧の熱吸収も継続するため, Δ𝑡𝑡���=2.6ms の条件と比較すると,噴霧先端部におい て20K 程度,ノズル付近を除いた場合でも最大 100K 程度の温度差が生じている.噴射の終了している 𝑡𝑡����=9.0ms において両者の温度差は縮小するが,依 然としてΔ𝑡𝑡���=6.0ms の条件の方が 20~30K 程度小 さくなっている.これらの結果から,Δ𝑡𝑡���=6.0ms の 条件において着火遅れが増大する結果となったのは, 噴霧の熱吸収がもたらす温度低下が原因と考えられる. 計算結果にもとづくこれらの考察は,噴射期間の増加 に伴い着火遅れが増大した結果に対して,後続の噴霧 の吸熱作用が反応を緩慢にする要因となっているとし た池上らの考察9)と一致する. また,著者らは130MPa の噴射圧力において,噴射 期間の短い条件では着火遅れが増加するという上述し た傾向とは異なる結果を報告している11).この結果に ついては,高圧噴射の効果である混合促進が噴霧の希 薄化を促し,それが反応を抑制することに大きく寄与 したものと見られる.すなわち,噴射期間の増大は, 噴霧混合気の希薄化の進行を抑える反面,噴霧内の温 度低下に寄与し,一方で,噴射期間の短縮は,噴霧混 合気の希薄化を早める反面,噴霧内の温度の上昇に寄 与する.これらの相反する二つの効果のうち,着火に 与える影響としてどちらの寄与が大きくなるかは,噴 射圧力等の周囲気体との混合速度を制御する因子や燃 料の着火性との関係で変わることから,噴射期間と着 火遅れの関係において一貫した傾向が見られなかった と考えられる.
Fig 9. Predicted cross-sectionally averaged equivalence ratio and temperature for CN20
最後に,噴射期間の影響が低セタン価の燃料に限定 して表れた理由について,セタン価40 の燃料を対象 に行なった計算結果から考察する.図 10 は, Δ𝑡𝑡���=2.6ms,6.0ms の条件における噴霧軸方向の当 量比分布ならびに温度分布を示す.図9 と同様に,比 較に用いた時刻は,Δ𝑡𝑡���=2.6ms の実験値である𝑡𝑡�お よび𝑡𝑡��とした.Δ𝑡𝑡���=6.0ms において,𝑡𝑡����=3.9ms, 5.7ms は噴射期中であり,依然として蒸発が進行して いるため,噴霧内の温度が全体的に低くなっている. これに対して,Δ𝑡𝑡���=2.6ms とΔ𝑡𝑡���=6.0ms で𝜏𝜏�,𝜏𝜏�� が大きく変わらなかったことから,実験で観測される 現象では,両者で温度差が小さいことが予測された噴 霧先端部付近から着火が生じていると推察される. 0 1 2 3 0 50 100 150 200 600 700 800 2.6ms 6.0ms tota l [-] CN20 tinj tASOI=5.2ms tASOI=9ms p id 10.8ms 7.0ms 9.0ms 5.2ms Te m per at ur e [ K ]
Axial distance from nozzle [mm] tASOI=5.2ms tASOI=9ms 0.0 0.5 1.0 0 1 2 3 4 5 0.0 0.5 1.0 100 60 40 20 tota l [-] tinj CN CN100 CN20 100 60 40 20 C1 6H 34 [-]
Time after start of injection [ms] tinj
CN CN20
𝑡𝑡����=5.7ms では, Δ𝑡𝑡���=2.6ms とΔ𝑡𝑡���=6.0ms で噴 霧先端部の温度差は拡大しているが,その差は30K 程 度である.燃料の着火性が向上したことに加え,量論 比に近い混合気が形成されていることも着火遅れの短 縮に寄与し,この程度の温度差によって着火遅れが変 化しなかったと考えられる.ここで結果を示していな いセタン価が40 より大きい燃料では,着火性の向上 によって,上述した程度の温度差では,より一層着火 遅れの差がなくなること,また,𝜏𝜏��や𝜏𝜏�が短縮され, 着火時における混合気の状態そのものに差が生じにく くなることから,噴射期間の増減で着火遅れが大きく 変化しなかったと見られる.以上の検討から,噴射期 間などで変化する噴霧の混合気形成過程が着火遅れに 与える影響は,化学的着火遅れの増加するような条件 において顕在化すると考察される.
Fig 10. Predicted cross-sectionally averaged equivalence ratio and temperature for CN40
4. まとめ 本研究では,二成分系燃料における噴霧の混合気形 成過程と着火の関係について,噴霧の蒸発と周囲気体 との混合過程を推定するモデルを用いて考察した.燃 焼実験の結果を対象として,計算モデルから推定され た結果を以下に示す. 1. 蒸発する噴霧の吸熱によって熱発生率が最小 となる時期では,セタン価の低い燃料であって も,蒸発が進行し,量論比以上の当量比の混合 気が形成される. 2. ヘキサデカン(C16H34)と1-メチルナフタレン (C11H10)の二成分系燃料において,セタン価 の低い燃料で着火遅れが増大する要因は,着火 性に優れる C16H34の当量比が噴霧内全域で非 常に小さくなっていることと推察される. 3. 前項のセタン価の低い燃料で C16H34の当量比 が噴霧内全域で小さくなっているのは,混合成 分である C11H10が蒸発速度を低下させる要因 となっていないことから,燃料中に含まれる C16H34の含有量が小さいことが原因といえる. 4. 低セタン価燃料では噴射期間を増加すると,噴 霧の吸熱作用による温度低下によってFCA で 計測される着火遅れは増加した.一方で,噴射 期間と着火遅れの関係に一貫した傾向がある とは言えず,噴射圧力や燃料の着火性によって 異なる傾向を示すと考えられる. 5. 噴射期間などによって変化する噴霧の混合気 形成過程が着火遅れに及ぼす影響は,低セタン 価燃料のような化学的着火遅れの増加する条 件で顕在化する. 謝辞 FCA の燃料着火性実験については中村真由子氏の 協力を得た.ここに記して謝意を表す. References
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11) Takagi, et al., Trans. JSAE, 50-2(2019), 297-302. 0 1 2 3 0 50 100 150 200 600 700 800 2.6ms 6.0ms tota l [-] CN40 tinj tASOI=3.9ms tASOI=5.7ms p id 6.1ms 4.7ms 3.9ms 5.7ms Tem per at ur e [ K ]
Axial distance from nozzle [mm] tASOI=3.9ms