Title
学校教育における主体的学習を支援するツールとしてのデ
ィジタルコンテンツの開発と評価 : メディア・リテラシー
教育を単元事例として( 本文(Fulltext) )
Author(s)
隅田, 詠吉; 松原, 正也
Citation
[岐阜大学カリキュラム開発研究] vol.[25] no.[2] p.[11]-[18]
Issue Date
2008-03
Rights
Version
岐阜大学教育学研究科カリキュラム開発専修 / 岐阜大学総
合情報メディアセンター
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/23398
岐阜大学カリキュラム開発研究 2008.3,Vol.25,No.2,11-18
学 校 教 育 に お け る 主 体 的 学 習 を 支 援 す る ツ ー ル と し て の
デ ィ ジ タ ル コ ン テ ン ツ の 開 発 と 評 価
-メディア・リテラシー教育を単元事例として-
隅田詠吉
*1・松原正也
*2 教育の情報化やディジタルコンテンツの活用を促進することを目的として,オープンソースの LMS を授業 で利用することを検討した.学校での利用を想定したWeb サーバの構築や各種 LMS の比較を行い,学校教育 に適したLMS を評価し,その結果をもとに Moodle を選定した.授業実践においては,普通教科「情報」にお けるメディア・リテラシー教育を単元事例とした.その結果,ディジタルコンテンツや LMS における機能を 教師が授業の中で活用しながら,マスメディアからの情報について主体的に学ばせるような学習活動を通じる ことで,生徒が情報を批判的に捉えようとする意識が芽生えた.そして,コミュニケーションを伴う学習活動 を実施することができる授業が具体化できた.本研究により,オープンソースの LMS を活用した授業は,導 入・運用コストを抑えながらも,十分な効果と実用性を有することが示された. 〈キーワード〉 ディジタルコンテンツ,LMS,e-Learning,オープンソース,メディア・リテラシー,情報科教育 1. 緒 言 情報社会の進展に伴い,学校教育においても多数のコ ンピュータが導入され,IT を積極的に活用した教育が実 施されている.しかしながら,コンピュータを中心とし た情報機器にかかる膨大なコストと,維持管理のための 教師の負担を強いられる背景から対応が遅れており,教 育の情報化は不十分であると考えられる.特に,ディジ タルコンテンツの活用は,教師自らがコンテンツを作成 できる普遍的な方法が未だ整備されていない問題から, 現場への普及は十分でなく,効果が明らかであるとは言 えない.教師がこれらのコンテンツを独自に作成するに は,高度な技術と過多な時間を要することから,実用の 難しさが感じられる. そこで,学校教育における授業において,例えば高等 教育機関で実践されているような WBT を取り入れた e-Learning を用いることにより,教師が自在にコンテン ツを配信したりコミュニティサイトを準備できる環境 を整える方法を検討していく必要があると考えた. 一方,我々をとりまくメディアは大きく変化しつつあ る.メディア経由によって我々が日々触れている情報は, すべてが真実ではないことに注意を払われるべきであ る.こうした背景から,メディアとの付き合い方につい て学ぶメディア・リテラシー教育が,我が国における学 校教育においても実践が行われている途次である.そこ で,特に情報活用能力の育成を目指すための高等学校で 実施される普通教科「情報」(以下,「情報科」と略称す る)に適したカリキュラムの提案を明らかにしていく必 要があると考えた. 2.研究の目的 本研究の目的は,大きく二つに分けられる. 一つ目は,情報科におけるメディア・リテラシー教育 の目標を明らかにし,情報科におけるメディア・リテラ シー教育を単元としたカリキュラムの開発を行う. 二つ目は,ディジタルコンテンツを活用した授業方法 において,その有効性について検討する.とりわけ,メ ディア・リテラシー教育を達成するための学習活動を実 現することができ,かつ教師においてもディジタルコン テンツや学習活動のためのツール等の準備に負担の少 ない e-Learning の実用化を目指す.そして,授業実践 を通じて本ディジタルコンテンツの有用性を検証する. *1 大学院教育学研究科カリキュラム開発専修 *2 総合情報メディアセンター11
3.研究の経過 3.1. 情報科におけるメディア・リテラシー教育の目標 メディア・リテラシー教育のカリキュラムは,各学校 種ならびに各教科を一元化したモデルが確立していな いことが課題として挙げられる.また,情報科において も目標や取り扱う領域が明確ではない.このような現状 において,情報科ではメディア・リテラシー教育のカリ キュラムを,浅井[1]による先行研究の指摘から「情報社 会に参画する態度」に接近して取り扱うことにした.ま た,指導要領にある「情報化が生活に及ぼす影響を考え させる」という視点から,中心的に扱う「メディア」の 意味を明らかにすることにした.すなわち,情報科の中 ではマスメディアからの情報への対応を中心に学ばせ ることが適切であると考えた.さらに,中橋ら[2]がまと めたメディア・リテラシーの構成要素や,情報科におけ る3 観点の目標を取り入れるべきであるという考えから, 目標を次の3 点にまとめた. 1) マスメディアの特徴及び情報が及ぼす影響の理解 2) マスメディアからの情報に対する批判的思考の育成 3) メディアを用いた情報発信及びこれに関わるコミュ ニケーション さらに,本目標に基づいたディジタルコンテンツを作 成するにあたり,取り扱う素材やテーマを検討するため に,普通科の高校生320 名を対象としたマスメディアに 関する調査を実施した.調査においては,マスメディア の利用時間や影響度をはじめ,受ける情報の内容や,マ スメディアへの信頼度を把握した. この中で,マスメディアからの情報に対する批判的思 考の必要性という視点からマスメディアへの信頼度に ついて,本調査で実施した結果を表1 及び図 1 に示す. 「全て信用」と答えた回答者についての割合を算出し た結果,特に新聞では26.8%(p<.05),テレビでは 15.0% (p<.05)と高い数値を示した.さらに,それぞれのマ スメディアについて回答を選択した理由を自由記述で 求めることにした.ここでは,自由記述による回答に対 し,テキストマイニング法を応用し,大分類として「肯 定意見」・「否定意見」・「その他」に分け,さらに前者2 分類においては中分類として「積極的意見」・「消極的意 表 1:マスメディアの信頼度 あなたは普段,それぞれのメディアから,今まで知らなか った情報を受け取ったときに,内容についてどのぐらい信 用していますか.また,その理由も教えてください. N =320(無効票を含む) 横軸のカテゴリは「受け取った全ての情報を信用してい る」,「受け取ったほとんどの情報を信用している」,「信 用できる情報は半分ぐらいだと思っている」,「信用でき る情報はかなり少ないと思っている」,「全く信用してい ないことが多い」をそれぞれ略称したものである Mean:5 件法における回答を数値化したときの平均値 (5:全て信用/4:ほとんど信用/3:半分ぐらい信用/2: 信用は少ない/1:全くしない) S.D.:標準偏差 図 1:マスメディアの信頼度のグラフ 見」に区別してカテゴリ表を作成し集計を行った. 本調査の結果から,批判的に情報を捉えることができ る生徒には個人差があり,マスメディアからの情報を信 頼している生徒については,受動的な判断や好みによる 判断から肯定的に捉える姿勢が目立った.したがって, 批判的に情報を読み解く必要性に対する実感が備わっ ていない生徒には,主体的に情報を読み取る機会を与え ることで意識を見出させ,積極的に情報を読み解いたり 判断したりすることができる態度を育成することが望 ましいと考えた. 以上を踏まえ,利用時間と影響度の結果から,これら が高いテレビ及びインターネットを中心的な題材とし, 本調査で得た生徒が受容する情報の志向をもとに,身近 な素材を用いてテーマを構成していくことが適切であ ると考えた. 3.2. LMS の導入とディジタルコンテンツの開発
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WBT による e-Learning は,主として Web ブラウザ から閲覧可能なディジタルコンテンツの蓄積によるも のが一般的である.したがって,ディジタルコンテンツ を作成するにあたり,Web ページを作成するための HTML(Hyper Text Markup Language)の知識や,フ ァイルの管理といった特別な技術が必要となる.さらに, 掲示板やチャットのようなコミュニティサイトを用い る場合を考えると,専門的な知識を持つ教師においても その開発や運用は困難である. そこで,ディジタルコンテンツを活用した授業を実践 するにあたり,生徒自らが主体的に情報へアクセスする ことができる環境が実現可能な,オープンソースのLMS (Learning Management System)を授業で利用するこ とを検討した.LMS には,ディジタルコンテンツを Web ブラウザ上から作成できる機能や,学習者の成績や進捗 状況を管理できる機能のほか,学習者と指導者,あるい は学習者と学習者による交流を想定した Web サイトを 容易に提供できる機能が備わっている.LMS における 構成を図2 に示す. 図 2: LMS の構成 また,図3 に示すように,このようなシステムによっ て,学習者は Web ブラウザによるマルチプラットフォ ームに対応した利用環境で学習を行うことができる.さ らに,コンテンツのファイルや個人データ等の更新が, Web サーバで一元的に行われる点で有用である.したが って,クライアントコンピュータに情報が保存されない 点から,管理や作業負担の軽減が期待できる. 本研究では,Web サーバが学校内ネットワークに存在 しない条件下を想定し,はじめにLMS の導入を試みる ための Web サーバをオープンソースシステムで構築し た.また,オープンソースのLMS を実践の対象として 図 3: Web サーバとクライアントコンピュータ も多くの種類があり,これらのシステムの比較や選択に おいて田中ら[3]は,ユーザビリティやアクセシビリティ の視点から,利用する環境に適応するシステムの選択の 難しさを指摘している.そこで,学校教育に適した機能 や操作性を持つLMS の調査及び比較検討を実施した. なお,LMS に加え,いわゆる汎用型の CMS(Contents Management System)と呼ばれるものやその他の Web アプリケーションにおいても,学校教育の中で活用でき ると判断される機能を持つと考えられるものが存在す る.これらを含め,以下の 10 種類のソフトウェアをイ ンストールした. • Moodle • CEAS • XOOPS • Joomla! • PukiWiki • FreeStyleWiki • OpenPNE • WordPress • NetCommons • phpGroupWare この中で,LMS に特化した機能が多く,学校教育にふ さわしいと判断されるMoodle・CEAS・XOOPS のいず れかを活用し,授業への実践を検討していくことにした. これらのLMS の起動画面を図 4 に示す. さらに,学校教育に適したLMS を選定するにあたっ て,以上の3 種類の LMS に加え,市販の LMS として 主流の Blackboard 社における Blackboard Academic Suite を参考に,機能やシステム面に関わる実証的な評 価分析を行うことにした.評価項目の作成においては, WBT における評価項目や Web ユーザビリティに関する 先行研究[4]-[5]を参考に,本研究では「LMS 評価項目表」 としてまとめた.「LMS 評価項目表」における項目群を 以下に示す.
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図 4: Moodle・CEAS・XOOPS の起動画面 • システムに関する評価項目(9 項目) • 機能に関する評価項目 i. コンテンツ全般における機能について(3 項 目) ii. 指導者/学習者が利用する機能について(11 項目) iii. 評価に関する機能について(4 項目) • ユーザビリティに関する評価項目(5 項目) なお,それぞれの評価項目における評価尺度は項目毎 に設定し,2~3 段階評価としている.この中で,「ユー ザビリティに関する評価項目」においては,LMS のイ ンストール及びディジタルコンテンツの作成段階で明 らかとなる評価のみに留めている.したがって,LMS の操作や構成の分かりやすさにおいては,学習者におけ る立場から得られた評価を求めるため,選別した1 種類 のLMS のみとなるが,授業実践を通じ学習者へ向けて 調査することにした. その結果,総合評価が最も高く,生徒による情報発信 が可能な機能を有している点や,テスト機能等を用いて 評定を実施したり学習履歴を調査しやすいという面か ら,Moodle を活用した授業実践に決定した. なお,授業実践では知識を習得する活動にはじまり, 課題を実施したり情報を読み解き考える活動,その結果 を発信する活動等,様々な学習活動が考えられる.LMS は,あらゆる場面においてこれらをサポートし活用され ることが求められる.ここでは,LMS を用いた授業を 効果的に実施するにあたり,以下の3 点の学習形態を導 入した. 1) 個別/一斉授業の実現 主体的な学習を促すために,生徒が授業時間の中で同 期的に学習を進めながらも,個に応じることのできる 授業展開を学習活動の一部に取り入れた. 2) 協調学習の位置付け 目標に情報発信やコミュニケーションが含まれる点 や,学習動機や意欲を向上させる点から,生徒同士が 相互に討議や協力をすることで学び合ったり,新しい 知識が生まれるような協調学習をLMS の機能を活用 しながら実施した.教師は,生徒が発信した情報をも とに授業を展開した. 3) 学習プリントの併用 家庭学習の場面や学習内容のふりかえりの必要性を 想定し,ディジタルコンテンツに準拠する学習プリン トを作成した.学習プリントでは,学習のストーリー が明確に伝わりディジタルコンテンツとの相乗効果 が生じるよう,穴埋めのスライド形式を採用すること にした.学習プリント作成ソフトウェアにおいては, OpenOffice.org におけるプレゼンテーション機能 「Impress」を活用した.したがって,多様なプラッ トフォームにおいて無償で学習プリントの作成が可 能である.OpenOffice.org で作成される学習プリン トの一例を図5 に示す. 図 5: OpenOffice.org で作成される学習プリントの一例 4 授業実践 4.1. 授業実践概要 授業実践においては,高等学校2 校における実施が決
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定し,単元を4 時間で構成することにした.授業実践校 における教師と生徒の構成を表2 に示す. 表 2: 授業実践における高等学校の教員と生徒の構成 そのうちの 1 校は著者が教師として携わった.なお, 限られた時間の中での授業時数により,批判的思考を身 に付けさせるための,情報の読解や演習を中心に行うべ きであると考えた.本実践における学習の素材は,先に 示したマスメディアに関する調査結果を元に,次の視点 から作成したものである. • ねらいへ到達することができる,典型的な素材である こと. • 生徒における興味や関心が引き出せる素材であること. 生徒における • レディネスに対応した素材であること. う単元の流れとテーマの構成,ならびに oodle における学習活動のメニュー画面を図 6 及び図 7 に 本実践で行 M 示す.なお,図6 にある個別授業の四つのテーマにお いては,生徒自身の興味に応じて順不同で学べる内容と しており,個に応じた学習を展開した. 図 6: 単元の流れとテーマの構成 図 7: Moodle における学習活動のメニュー画面 ル とが 実践 行 定等の準備を行った.その結果, スを排除した.その結果,比較的安定し た 4.2. 授業実践の経過 授業にMoodle を利用する試みは,学習者において斬 新な印象を与える一方で,Moodle の操作やディジタ コンテンツへのアクセスに不慣れな場合,十分な効果を 残すことができない問題が想定される.また,Moodle を運用する教師側の立場を想定しても,Web サーバや LMS に関わるシステムの不測の事態が発生するこ 見込まれる. そこで,これらの問題に対しできるだけ対処すべく, 前段階のB 校において,生徒によるログインの予 演習や,パスワードの設 各々の生徒がほぼ同時にログインの作業を行ったとこ ろ,Web サーバにおいて集中的なアクセスに伴う負荷が 見られ,ページの切り替わりに多少の時間がかかるなど の不安定さが見られた.Web サーバのメモリの消費量や CPU の稼働率が上昇し,応答速度の低下を招いたと考え られる点から,メモリを増設し, Moodle から送出され る不要なリソー 稼動状況となったため,改めて本実践に臨むことにし た.なお,A 校においては実施前の段階であったため, すべての授業において改善後の Web サーバを用いて本 実践を行っている.さらに,授業日程の事情からA 校に おける予行演習の機会はなく,ログインの練習やパスワ ード等の設定は1 時間目の授業開始時に実施した. 一斉授業においては,教員による講義の時間が多くな ったが,随所にMoodle の機能を用いた学習活動を展開 した.例えば,投票機能を用いた「マスメディア利用調 査」においては,授業の対象者である生徒自身からマス 図 8: 「マスメディア利用調査」の出力画面
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メディアの利用状況をリアルタイムに調査することに より,その場での結果の出力や分析を可能としながら授 業が進行された.「マスメディア利用調査」の出力画面 を図8 に示す. 一方で,個別授業においては,テーマを順不同で選択 し取り組むようガイダンスを行い,授業時間中の教師は 机間巡視をしながら生徒を支援した.中には質問や疑問 点などを尋ねる生徒がいたものの,多くの生徒に対して フォローが必要となるような多忙感は感じなかった. さらに,掲示板への返信機能を用いた協調学習におい ては, で, われたとは言えず,交流そのものの難 し 図 10: 評定機能の画面 4.3. 事後調査による結果と考察 研究の一貫として,事後アンケートによる調査を実施 した.Moodle が持つユーザビリティや諸機能に関わる 評価,従来の授業と比べた学習効果等を4 件法で調査し た.一方で,授業内容においては線結び式内容分析法 [6]-[7]を用いて,生徒の情意の変容を把握した.本調査 で用いた線結び式内容分析法における調査表の一例を 図11 に示す. 今回の授業で感じたことを,3 列の言葉の中からそれぞれ 一つずつ選び線で結んでください. たくさん作れる場合は,印象の強いもの5 パターンを選ん で回答してください. 図 11: 線結び式内容分析法における調査表の一例 はじめに,Moodle のユーザビリティに関わる調査で は,特に「授業利用での役立ち感」や「ページ(情報) の見やすさ」について高い評価を得ることができた. Moodle が高等教育機関で利用されることが多い事情 から,懸念のあった「操作の分かりやすさ」においても, ガイダンスや予行演習等の時間を設けることで,おおむ ね支障なく利用できることが明らかとなった.これらの 他の生徒の意見を参照する時間を設けたこと 後の学習活動の理解を深められる作用が働いたと感じ られた.しかしながら,協調あるいは交流という面では, 返信の少なさや単調なコメントが多かった点から,十分 に活発な学習が行 さに課題が残ったと考えられた.掲示板での交流で得 られた結果の一例を図9 に示す. 図 9: 掲示板での協調学習で得られた結果の一例 画面について図10 に示す. 以上の経過を踏まえ,授業後における生徒の学習活動 を評価するには,例えばMoodle の評定機能の活用が挙 げられる.評定機能とは,生徒が実施したテストや掲示 板等の学習活動について,教師が予め評価基準を設定し ておくことで成績表が作成される機能である.テストに おいては予め解答を登録しておき,自動採点が行われる ことで教師の業務の効率化が図られるだけでなく,解答 や解説等を生徒へフィードバックすることも可能であ る.ここでは,教師が学習活動を把握するための評定の
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結果を図12 に示す. の諸機能に関わる評価においては,ディジタ ルコンテンツに位置付けられる「学習シート」が,授業 内容の理解や伝達に効果的であると答えた生徒が他の 諸機能の中で最も多かった. Moodle これは,先に述べた「授業 利用での役立ち感」とr=0.5 p<.05)と強く相関した. 0.51 p<.05 ら,ディジタルコンテンツの授業 たと感じた生徒の評価が高く,特に個別授業において意 欲的な意見が多く見られた.これらの結果を図 13 に示 す. 次に,授業内容における生徒の情意の変化について, 列A(学習活動)と列 C(現在の気持ち)に着目し,好 意群についてクロス集計を行った結果を図14 に示す. 5.結 言 本研究により,ディジタルコンテンツの利用や LMS の機能を活用した学習活動が,授業の理解や分かりやす さにおいて効果を発揮したことが示された.また,オー プンソースのLMS の実用を手段として,マスメディア について主体的に学ばせるような学習活動を実施でき た点から,生徒が情報を批判的に捉えようとする意識が 芽生えたり,コミュニケーションを取り入れたメディ ア・リテラシーの授業が具体化できた. 今後の課題として,安定的な動作が保証される Web サーバを位置付ける必要性と,LMS の機能を活用した 協調学習について効果的な学習へ改善していく方法を 見出すことが挙げられる. 8( また,同じく高い評価が得られたMoodle の利用が「効 果的な学習」であるとの調査項目ともr= ( ) と強く相関したことか 利用における有用性が示された.さらに,主体的な学習 活動に関わる調査においては,「積極的な参加」ができ 本実践のまとめにおいて,「学ぶ意欲が持てた」や「興 味が持てた」という情意が示された.この結果から,批 判的思考の必要性について生徒の意識の中で気付きが 出現したことを推測することができた.なお,最も選択 の数が多かった組み合わせは,協調学習を含んだ学習活 動であった.コミュニケーションの起点となるべき情報 が整わず,期待された学習環境を十分に準備できなかっ た課題が見られたにも関わらず,取り組みそのものは好 意的に捉えていることが分かった. 図 12: ユーザビリティに関わる調査結果 図 14: 授業の流れと情意の変化(好意群) 図 13: Moodle を活用した授業に関わる調査結果
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参考文献 [1] 浅井和行 『メディアリテラシー教育のカリキュラ 要素と実践事例分析』,日本教育工学会論文誌第27 号, 2003 年 [3] 田中裕也・井ノ上憲司・根本淳子・鈴木克明 『オー プンソースCMS の実証的比較分析と選択支援サイト の構築』,日本教育工学会論文誌第29 号,2005 年 [4] 財団法人機械システ 先進的WBT システム の調査分析と協調学習機能等に関する調査研究報告 須田亨・善方日出夫・松本啓太 『ウェブ 文集,2001 年 [7 ム開発と実践』,月刊視聴覚教育2006 年 6 月号, 2006 年 [2] 中橋雄・水越敏行 『メディア・リテラシーの構成 ム協会 『 書』,http://www.jipdec.jp/chosa/caittext/wbt/ h13w000-2.pdf,2002 年 [5] 仲川薫・ サ イ ト ユ ー ザ ビ リ テ ィ ア ン ケ ー ト 評 価 手 法 の 開 発』,ヒューマンインターフェースシンポジウム 2001 論 [6] 坂元昂 『授業改造の技法』,明治図書,1982 年 ] 坂元昂 『授業評価技法の実践研究』,明治図書, 1977 年