• 検索結果がありません。

児童同士の考えをつなげる授業づくり -教師の児童への働きかけに着目して-

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "児童同士の考えをつなげる授業づくり -教師の児童への働きかけに着目して-"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

児 童 同 士 の 考 え を つ な げ る 授 業 づ く り 一教師の児童への働きかけに着目してー 高度学校教育実践専攻 教 員 養 成 特 別 コ ー ス 土 山 由 利 華 I. 課題設定の理由 筆者は,児童同士の考えをつなげる授業づ くりを目指している。その理由は

2

点ある。 1点目は,仲間を大切にし,自分のことも 大切にできる子どもを育てたいからである。 そのためには,授業において,児童同士が互 いの考えを聴き合い,考えがつながることで 学習課題が解決できた経験や仲間から自分 の考えを認められる経験を積み重ねていく ことが大事だと考える。そうすることで,仲 間や自分のよさを感じ,大切にしていくこと ができると考えるのである。 2点目は,児童同士の考えをつなげる授業 を通して,人と協働して物事を成し遂げられ る子どもを育てたいからである。 そこで,授業において,児童同士の考えを つなげる教師の働きかけが重要になってく る。そのことを示す例として.

2

0

1

2

5

月 に鳴門教育大学附属小学校で観察した授業 が挙げられる。この授業では,教師が,一人 一人の児童が考えをもてる発聞をしたり,本 時の目標に迫る児童の発言を取り上げたり していた。その結果. 1人の児童の発言に他 の児童が説明を重ねていく姿が見られた。児 童同士が考えをつなげる中で,学習内容を理 解していた。そこで,児童問士の考えをつな げる授業をつくるためには,教師は児童へど のような働きかけをするべきなのか研究し 実 習 責 任 教 員 端 村 達 也 実 習 指 導 教 員 木 下 光 二 専 任 教 員 葛 上 秀 文 たいと考え,本主題を設定した。 II.研究にあたって 児童同士の考えをつなげる授業とはどうい うものなのかを考えていく。

c

l

l

考えをつなげるとは 佐伯氏(1995)は.

r

日常生活では,人はなに かが『問題になる』からこそ,その問題を解 決しようとする。だから.

w

考える』という 活動が自然に発現する

J

と述べている。本研 究では,児童が問題に直面し,問題について 考えた結果生まれたものを「考えJと定義す る。考えをつなげることについて,一柳氏(平 成22年)は.

r

他者の理解や考えをとりいれ, それを自分のものとする過程が生起する教 室では,子どもたちの言葉がつながり,考え がつながり,そして理解がつながり深まって いく」としている。このことから,児童同士 の考えをつなげることで,自分の考えが磨か れ,学習内容について深く理解することがで きるものだと考える。 (2)教師の児童への働きかけとは 教師の働きかけによって,児童同士の考え をつなげることができる。愛知教育大学附属 岡崎小学校(1985)は.

r

子どもたちのなかには, 開いている子どもにも教師にも,何を言おう としているのかがわからないような発言を してくることがしばしばある。…しかし,そ

(2)

うした発言にも,その子だけがもっ鋭い気づ ある。実施日と単元を以下に示す。 きや考えがかくされていることがある こ うした発言を学級の中に位置づけ,ほかの子 の考えとの結びつきを明確にさせていく教 師の出を『つなぐ』とよんでいる」と述べて いる。児童同士の考えをつなげる教師¢働き かけとしてその子どもの発言を取り上げ,

w

o

o

君の言ったことはこういうことだよ。 どう思う?Jlと解説してやって関連に気づか せていく場合J,

r

その子に何度も発言させて, 考えの同じ所と違うところを明確にさせて ア イ ウ ζ工 [授業実践1]算数科「いくつといくつj

(

2

0

1

3

5

2

3

日実施) [授業実践

2

1

算数科「おおきさくらべJ

(

2

0

1

3

9

2

6

日実施) [授業実践

3

1

音楽科「ょうすをおもい うかべよう『はるなつあきふゆJlJ

(

2

0

1

3

1

1

2

1

日実施) [授業実践

4

1

国語科「本はともだち『ず うっと,ずっと,大すきだよJlJ

(

2

0

1

3

1

2

1

0

日実施) いく場合J,

r

自分の考えが語り切れない子ど これら 4つの実践を分析・考察し,明らか もf:;は,同じような考え方をしている子ども になった研究課題に関する主な成果と課題 を出させることで,その子と自分の考えの結 を次に挙げる。 びつきに気づかせる場合」があるとしている。 ①細案を作成し,児童一人一人に考えをもた ill. 研究の目的と方法 (1)研究の目的 本研究の目的は次の2点である。第 1に, 児童同士の考えをつなげる授業をつくるた めに,教師の働きかけを考えることである。 第

z

に,自身の授業の課題を明らかにし, 改善していくことである。 (2)研究の方法 ①細案を作成し,児童一人一人に考えをもた せる発聞を設定する。 ②児童同士の考えをつなぐ時間や場を確保 する。 ③ 1人の児童の考えを学級全体で明確にする。 ④児童一人一人に考えをもたせたり,児童同 士の考えをつなげられたりする板書,教具 や教材を提示する。 N. 授業実践の分析と考察 授業実践の対象学年は,第

1

学年

2

3

名で せる発聞を設定する。

e[

イ]教卓と入り口の長さを比べるとき, 1人の児童が考えた比べ方について問い返 しを行うことで,間接比較の要点を考えさ せようとした。だが,発聞が不明瞭だった ため,児童は発表できなかった。考えた比 べ方をしたことがあるか尋ね,

r

どうやって 比べたの?やってみて」と比べた方法につ いて具体的な発問で問い返すことで,間接 比較の要点を考えさせることができたので はないかと考える。

o[

1

児童がそれぞれの場面の様子を思い 浮かべられるように,季節の場面について 具体的に発問をした。その結果,児童は, 「ぐわーj と言いながら,両手を広げてく じらを表現したり,体を使って「こりすが ちょろり」という様子を表現したりするこ とができた。 o [エ]児童が題名や挿絵から物語の話を予 想できるように,目標に合った主発聞を設

(3)

定し.

r

自分の想像で」という児童の考えや 経験に働きかける言葉を入れて発問した。 その結果,児童は,自分の考えや経験から 物語の話を予想することができた。 ②児童同士の考えをつなぐ時間や場を確保する。 ・[ア]ゲーム結果を発表させ,暴板に結果 の図を貼り,その図についての発問をした。 児童からの発言がなかったので,次々とヒ ントを言った。しかし,発聞をしたら,児 童がじっくり考えられる時間を取るべきで あった。それでも考えをもてないときは, 隣同士で友達の考えと比較しながら話し合 わせ,児童同士の考えをつなぐ時間や場を 確保する必要があるニとも分かった。

O[

イ]直接比較の要点を全体で押さえるた めに 1人の児童に,鉛筆やひもの長さの 比べ方を全員の前でさせる場を確保した。 その結果. 1人の児童の考えを全体で知る ことができた。さらに,他の児童が直接比 較の要点を押さえた発言を重ね,全体で共 有することができた。 ③1人の児童の考えを学級全体で明確にする。 ・

I

ア]ゲーム結果の図を見て気づいたこと を発表させたが,教師と児童の 1対 1対応 で終わっている。 1人の児童の気づきゃ考 えを取り上げ,全体に投げ掛けるべきであ った。また.

r

自分の考えと比べながら友達 の考えを聴きましょう」という友達の考え を聴く観点を入れた発聞をすることで,児 童同士の考えをつなげることができたので はないかと考える。 ・[ウ]それぞれの季節をどのような感じで 歌うか全体で明確にしようとした。しかし, 本時の目標に合う児童の発言を取り上げら れなかったため,明らかにすることができ なかった。本時の目標に合う児童の発言を 取り上げ,広めるべきであった。

O[

エ]児童同士の考えをつなげるために, I人の児童の発言について「言葉をつなげ て言える ?J という言葉掛けをした。その 結果,児童は言葉をつなげて発表すること ができた。 ④児童一人一人に考えをもたせたり,児童同 士の考えをつなげられたりする板書,教具 や教材を提示する。 O [ウ]季節のイメージをもちやすくするた めに,歌詞や挿絵を黒板に提示した。その 結果,歌詞や挿絵に出てくるものになりき った動作をしながら歌う児童の様子が見ら れた。 O [エ]挿絵を提示し,児童の心に残ったわ けを板書することで. 1人の児童の考えを 全体で共有しようとした。その結果,児童 が挿絵や板書を見ながら言葉を考えてつな いでいく姿が見られた。また,タイミング よく挿絵を提示したことで,児童に考えを もたせることに効果が上がった。

v

成果と課題についての考察 授業を実践したことで得られた成果と課題 を整理したことで明らかになった「児童同士 の考えをつなげる授業づくり」のために必要 な教師の働きかけは以下の通りである。 ①細案を作成し,児童一人一人に考えをもた せる発問を設定する。 児童一人一人に考えをもたせるためには, 細案を作成するときから,本時の目標に合う 主発問を設定し,主発問について児童に考え させる。本時の目標に合う児童の発言を取り 上げ,具体的な発問で問い返しを行うことで,

(4)

本時の目標に迫った考えを児童にもたせる ことができる。理由を訊く発問も具体的に行 わなければならない。児童の考えや経験に働 きかける言葉を入れて発問することも有効 である。 ②児童同士の考えをつなぐ時間や場を確保する。 1人の児童の考えを全体の場で発表させた り,動作化させたりすることで 1人の考え を全体で共有することにもつながった。また, 授業者の発問について,隣同士で話し合う時 間や場を設けることは,児童同士の考えをつ なぐきっかけとなり,目標を達成することに もつながる。 ③ 1人の児童の考えを学級全体で明確にする。 1人の児童の考えを取り上げ,全体に投げ 掛ける。そのとき,本時の目標に合う児童の 発言を取り上げて広めることで,児童の発言 を基に,児童同士が考えをつなげながら,学 級全体で本時の目標に迫ることができる。さ らに, 1人の児童の発言について「言葉をつ なげて」という言葉掛けをすると,児童同士 の考えがつながっていくきっかけになる。 ④児童一人一人に考えをもたせたり,児童同 士の考えをつなげられたりする板書,教具 や教材を提示する。 歌詞や挿絵等を提示することで,児童一人 一人が考えをもちやすくなる。教具や教材は 一目で課題や話題が共有できる。つまり,可 視化されるので児童同士の考えをつなぐこ とにも有効である。加えて,児童の言葉を板 書に残すことで, 1人の児童の考えを全体に 広めることができる。また,児童の思考の流 れを踏まえ,教具や教材を提示するタイミン グを図ることも重要であることも分かった。 羽. 研究のまとめ 本研究を通して,児童同士の考えをつなげ る授業をするためには,教師の児童への適切 な働きかけが重要であることが分かつた。そ の働きかけとは,本時の目標に合う児童の考 えを取り上げ,具体的な発問で全体に問い返 すことである。さらに言葉をつなげて」 という言葉掛けをすると児童同士の考えが つながるきっかけとなることが分かつた。 以前の筆者は,児童から考えを引き出すこ とができず,児童同士の考えをつなげること もできなかった。授業を実施・改善していく 中で,本時の目標に沿う授業構成を立案し実 践すること,児童に課題を与えて考えさせる ことができるようになってきた。落ち着いて 児童と向き合えるようにもなった。 また,児童同士の考えをつなげる授業を実 現させるためには,児童たちが互いを尊重し, 友達の話をきちんと聴き合える学級をつく っていくことも重要であると感じている。 本研究で学んだことを生かし,児童同士の 考えをつなげる授業ができるように,これか らも努力していく。授業を通して,仲間や自 分を大切にし,人と協働して物事を成し遂げ る子どもを育てていきたい。 引用・参考文献

O

佐伯貯編(1995)

W

学びへの誘い[シリーズ 「学びと文化J

1

1

l

J

0

秋田喜代美(平成

2

2

)

W

教師の言葉とコミ ュニケーション』教育開発研究所

0

愛知教育大学附属岡崎小学校(1985)

W

子ど もとともに創る授業

J

明治図書出版

参照

関連したドキュメント

問についてだが︑この間いに直接に答える前に確認しなけれ

現実感のもてる問題場面からスタートし,問題 場面を自らの考えや表現を用いて表し,教師の

式目おいて「清十即ついぜん」は伝統的な流れの中にあり、その ㈲

本学級の児童は,89%の児童が「外国 語活動が好きだ」と回答しており,多く

児童について一緒に考えることが解決への糸口 になるのではないか。④保護者への対応も難し

目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例

ユース :児童養護施設や里親家庭 で育った若者たちの国を超えた交 流と協働のためのプログラム ケアギバー: 里親や施設スタッフ

脱型時期などの違いが強度発現に大きな差を及ぼすと