206 (90) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ソ ネ ヨリ コ曽根依子(昭和3
博士(医学) 乙第1254号平成4年2月21日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
心血管手術麻酔におけるジアゼパムの効果 一血中ジアゼパム濃度,血行動態,血漿カテコラミン濃度との関係一 (主査)教授 藤田 昌雄 (副査)教授 小柳 仁,相川 英三論 文 内 容 の 要 旨
目的 本研究は,心血野手例時のジアゼパム(DZ)一フェン タニール麻酔におけるDZの薬理学的効果をみるため その血中濃度を測定し,同時に血行動態や交感神経系 〔血漿カテコラミン(CA)濃度〕へ及ぼす影響を検討 した. 対象と方法 研究1:症例は,弁置換術6例,冠動脈再建術6例 の12例で,麻酔導入にDZを投与し,麻酔導入時から DZ投与後60分までの経時的血中DZ濃度,血漿CA濃 度ならびに血行動態を測定した.. 研究2:冠動脈再建術12例で,麻酔導入にDZを使 用し,さらに体外循環離脱時にDZ(5mg)の追加投与 を行い,気管内挿管,外科的侵襲ならびに体外循環離 脱後の血中DZ濃度,血漿CA濃度ならびに血行動態 を測定した. 血中DZ濃度と血漿CA濃度の測定は高速液体クロ マトグラフィー法で行った. 結果および考察 研究1:麻酔導入時,DZの就眠量(0.12±0.03mg/ kg)静脈内投与5分後血中濃度は最高値513±265ng/ mlを示し,その後経時的に減少し算出された分布容積 は0.32±0.201/kgであった. DZの投与後血漿CA(ノ ルエピネフリソ:pく0.05)濃度は減少し,交感神経緊 張の昂進は抑制されていることが示唆された.その抑 制効果は,DZ投与後60分まで継続した. DZ投与後5 分で,心係数の低下により平均動脈圧が麻酔導入前値 に比較し低下したが,その後血行動態に有意な変化は 示さなかった. 研究2:DZの就眠量(0.12±0.04mg/kg)静脈内投 与5分後血中濃度は最高値587±230ng/mlを示した. DZの投与後血漿CA濃度は減少し,交感神経緊張の 、昂進は抑制され,気管内挿管,外科的侵襲においても 抑制されていた.体外循環離脱直後の血中DZ濃度は 66±24ng/mlであり,血漿エピネフリン(E)濃度は麻 酔導入前値に比較し有意に上昇(p〈0.05)していた. DZ(5mg)の追加投与後血中濃度は300±85ng/m1で, 血漿E濃度,末梢血管抵抗の上昇を抑制した.しかし, 薬理学的活性を有する代謝産物デスメチルジアゼパム が24例中5例において術中に検出され,その作用を考 慮してDZの追加は過量にならぬよう注意すべきであ る. 結論 心血管手術麻酔における麻酔導入時に使用した就眠 :量のDZにより血行動態に過大な変化を来すことなく 交感神経緊張の昂進を抑制することができると考えら れた.しかし,体外循環後にはDZの血中濃度が低下し ており交感神経緊張の昂進を抑制するためにDZの追 加投与は有用であると思われる. 一810一207