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第13回国際社会性昆虫学会議に参加して

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ミツパテ科学20(1):43-45 HoneybeeScience(1999)

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回国際社会性昆虫学

会議 に参加 して

吉田 忠晴

国 際社 会 性 昆 虫 学 会InternationalUnion fortheStudyofSocialInsectsIUSSIの第

13回大 会 が オ ー ス トラ リア ・アデ レー ドで 1998年 12月29日∼ 1999年 1月3日の間, 開催 された.これまで多 くの大会 は8月に行わ れて きたが,南半球での開催で もあるため真夏 の12月 とな った. さ らに期間中に新年 を迎 え るなど想 い出に残 る大会であった. 日本 の約3倍 の面積 を持 つ南 オ ース トラ リ ア州, その州都であるアデ レー ドは,整然 と区 画 された通 りに緑豊かな公園のある美 しい街並 みが広が っていた.会場 となったアデ レー ド大 学 は,市 の中心 か ら北 に位置 す る大通 りに面 し,キ ャンパ ス内は歴史 を感 じさせ る校舎が立 ち並んでいた (図 1).近 くには州議事堂,博物 鰭,美術館,植物園,動物園などが点在 してお り,会議 の合間に もそれ らの場所 を訪れ,楽 し む ことがで きた. 大会のエ ンブレムは, オース トラ リア大陸上 に措 か れ た ア リ,- チ, シロア リで あ る (図 2).講演要 旨集の表紙 にはアボ リジニ絵画の ミ ツア リが (図 3),またプ ログラムの表紙 には, ヒメ-ナバチ科 の一種が描かれている. 大会 には 35か国か ら480名が参集 した. 日 本 か らは総勢40名 以上 と多 くの方 々が参加 し, その中で若手研究者 が多数見 られたのは, 頼 もしい限 りであ った.玉川大学か らは筆者 と 中村純講師の2人が参加 した.

大会組織およびプログラム

会長Crozier教授,事務長Schwarz教授,会 計01droyd教授, プログラム委員長Hogendo orn教授 を中心 と して, 12名 による組織委員 図1 会場となったアデレード大学 会が大会の運営 にあたった. 会議 は,基調講演が7題,シンポジウムは38 の分野で320題 の口頭発表,140題 のポスター 発表 と盛況であ った.12月29日は会議登録, 夕刻 には歓迎会があ り,再会の輪が広が ってい た.1999年元旦 は,1日エクスカーションが組 まれたが, 残 りの 4日間 は 8時30分か らと午 後の最初 に基調講演が行われた.各 シンポ ジウ ムの口頭発表 は8つの部屋で進行 され,活発な 議論が繰 り返 された. ポスター発表 は大会期間 中継続 して張 り出され, 口頭発表終了後 に討論 の時間が設 けられていた.各発表者 のアブス ト ラク トが掲載 された535ペー ジか らな る分厚 い大会予稿集 の タイ トルは 「21世紀 を迎 え る 社会性昆虫」. 次回2002年の大会 は, 21世紀 での最初の開催 となる. ミツバチ関連の シンポ ジウムは,12月30日 にFuchs博士,DeJong教授,Fries博士が企 画 し, 口頭発表11題か らなる 「ミツバチへギ イタダニー ミツバチの寄生者一寄主関係 の共適 応 と有害性」, またアデ レー ド大学のPaton博 士 とGross博士が企画 し,口頭発表5題か らな る 「自然生態系への ミツバチ導入の影響」が行 われた.31日にはKoeniger教授 とWongsiri 教授の企画 した 「アジアの在来種 ミツバチと導 入種 セイ ヨウ ミツバチ」で は,14題の口頭発表 と8題のポスター発表があった.年があけた 1 月2日には, Rinderer博士 とGonsalves教授 が企画 し,白頭発表 7題,ポスター発表 3題か らなる 「アメ リカ大陸におけるアフ リカ蜂化 ミ ツバチ」が行われた.その他の シンポジウムで

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_ト1 図2 大会のシンボルマーク (-チの左の触角の先端 がアデレー ド) ミツバチに関連す る発表が34題 あった. 筆者 と中村講 師 は,Koeniger教授 と Won-gsiri教授 の シンポ ジウムで 口頭発表 を行 った ので, その内容 について紹介 したい. Wongsiri教授の挨拶の後,Koeniger教授の 進行 によ って講演 が ス ター トした.最初 に タ イ ・チュラロンコン大学 のDeowanish博士が 発 表 した.Deowanish博 士 は1997年3月 に 玉川大学で博士号 を取得 してお り,今回の発表 は松香教授,中村講師 との連名で 「ミトコン ド リア

DNA

PCR-RFLP

法 によ る タイ産 ト ウヨウ ミツバチの変異」と題 して,62サ ンプル の解析か ら, タイの トウヨウ ミツバチが北部 ・ 中部 タイ と南部 タイの2群 に分 け られ ること を報告 した. 同 じくチュラロンコソ大学 Won-gsiri教授 の 「タイの ク口コ ミツパ テとコ ミツ バチの比較生物学 と分布」では, ク口コ ミツパ テとコ ミツパテの形態,行動,生態の相違や ク 口コ ミツバチはタイを含む東南 アジア地域 に広 く見 られるのに対 して, コ ミツバチはマ レー半 良, イ ン ドネシア, フィ リピンで生息が確認 さ れていないことを述べた.休憩後,筆者 は 「日 本の対馬 においてニホ ンミツ/ヾチ雄蜂 とセイ ヨ ウ ミツバチ女王蜂問で誘発 された交尾」 と題 し た発表を行 った.ニホン ミツバチだけが生息 し ている長崎県対馬 に,実験的 に導入 した15匹 のセイ ヨウ ミツバ チ女王蜂 の内,11匹が ニホ ンミツバチ雄蜂 との異種間交尾を成立 させたは じめての観察 について, また交尾 した女王蜂の 産 んだ2倍体 の卵 は雑種 で全 く脚化 しない こ と,さらに2匹の女王蜂か ら例外的に 5匹の働 き蜂が羽化 したこと, この働 き蜂の

DNA

解析 を行 っていることを報告 した.イ ン ドネ シア ・ 森林研究開発局Hadisoesilo博士 の 「イ ン ドネ シア ・スラベシ島の クロオ ビミツバチの分布 と 生物学」 では, 1996年 に新種 となったクロオ ビミツバチの分布や クロオ ビミツパテ雄蜂の交 尾飛行 時間 は トウヨウ ミツバ チよ り2時間遅 いこと,雄巣房の蓋が柔 らか く, トウヨウ ミツ バチ雄巣房で見 られ る蓋 の中央 にある小孔が ク ロオ ビミツバチでは存在 しないことについて述 べ た. ドイ ツ ・フランクフル ト大学 のG.Koe -niger博士 によ って 「トウヨウ ミツバチ とサバ ミツバチの異種間人工授精 と雑種

と題す る興 味深 い発表があ った. トウヨウ ミツバチの女王 蜂 にサバ ミツパテ雄蜂の精子を人工授精 した結 果,働 き蜂や雄蜂の口吻を持つ もの,刺針のな いもの,働 き蜂や雄蜂の肢が混 ざっているもの などのギナ ン ドロモルフ (雌雄両型)の雑種が 出現 した. さらに雑種女王蜂の作出の可能性 に ついて も示唆 した.ベ トナム ・農業林業大学の Tan氏 は 「オオ ミツバチ女王蜂の多回交尾飛行 の観察」を発表.女王蜂 は羽化6日後 に最初の 飛行 を行 い,定位飛行 は3分以下であること, 交尾飛行 は日没後 に開始 され, 15分間に2-4 回の飛行を行 ったこと,交尾 した女王蜂 は550 万の精子が受精嚢 に見 られた ことを報告 した. 野外 に人為的に造 られたオオ ミツバチの観察用 コロニーと未交尾女王蜂 の導入方法などに質問 図3 講演要旨集の表紙に描かれたアボリジニ絵画 の ミツアリ

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115 図 4 ポスター発表会場 が集 ま った. またカナダ ・ゲル フ大学Otis教 授 か らは,新種 とな った ヒマ ラヤオオ ミツバ チ, ク口コ ミツパテ, クロオ ビミツバチなどの 生物地理学的検討や生息地域の拡大 の可能性 に ついて発表があ った.昼食後, アジアの ミツバ チの核 と ミトコン ドリアDNA配列か らの系統 発生 の推論 について, アメ リカ ・ワシン トン州 立大学Sheppard教授か ら発表があった. ドイ ツ ・ホ ッへ ン- イム大学Vorwohl教授 の 「北 ボル ネオに同所的 に生息 す る4種 ミツバ チの 花粉採集 に関す る比較研究」では,オオ ミツバ チ,サバ ミツバチ, トウヨウ ミツバチ, ク口コ ミツバチの巣房内貯蔵花粉 の分析か らココヤ シ など11種が主要花粉源植物で,その内 ココヤ シ,オ ジギソウの一種 など5種が 4種の ミツバ チで共通 に見 られたことを報告 した. ドイツ ・ フランクフル ト大学N.Koeniger教授か らは, コ ミツパテの コロニーか ら女王蜂を取 り除 いた 後の働 き蜂の行動,卵巣発達,働蜂産卵につい ての発表があった.午後 の休憩 の後,オース ト リア ・ダ ラー ツ大 学 のKastberger教授 か ら は,オオ ミツバチの コロニー防衛 に関す るメカ ニズム, タイ ・チ ュラロ ンコ ン大学 のThapa 博士か らオオ ミツパテの コロニーが 占有す る営 巣場所 について,筑波大学の松山博士か らは, ニホ ンミツバチの情報化学物質 について,特 に ローヤルゼ リー中の遊離脂肪酸 と働 き蜂の加齢 による大顎腺成分の変化 をセイ ヨウ ミツバチと 比較 した結果 につ いて, それぞれ発表 が あ っ た.最後 に中村講師が 「異種間交尾女王蜂でみ られた雌性単為生殖」題 した発表を行 った. こ 図5 中村講 師の発表 れは対馬でニホン ミツパテ雄蜂 と異種間交尾 し たセイ ヨウ ミツバチ女王蜂か ら羽化 した働 き蜂 をマイクロサテライ トDNAで解析 した結果, 女王蜂の単為生殖 によって生 まれた働 き蜂であ ることやそのメカニズムについて報告 した.異 種間ではあるが自然交尾女王蜂で雌性単為生殖 が見 られた報告 はな く,興味深 い結果 に関心、が 持たれた. 1998年 12月 31日の朝 の 9時 30分 か ら夕 刻 の5時 まで熱心 な討論 が繰 り広 げ られた こ の シンポジウムに参加す ることができ, さらに 筆者 らの発表 に対 して も質問やア ドバイスを多 数受 けることがで きた有意義な1日であ った. トピックス 約1000名の会員を もち世界を 9地区に分 け て活動 しているIUSSIの 日本地区会 (会長伊藤 嘉昭博士)は,2002年 の 14回大会を 日本で開 催 すべ く,誘致委 員会 を組織 して活動 して き た.1997年 11月 には IUSSI事務局長 の コロ ラ ド大学Breed博士が,大会立候補地視察のた め札幌市や北海道大学 を訪れている. 14回大会 の開催 につ いて は,1月 2日の コ ミッティ会議で投票が行 われ,19票対 12票で ベル リンを破 り, 2002年, 札幌 ・北海道大学 での開催が決定 した.現在,大会 に向けての組 織 ・運営委員会の準備が進め られている.大会 の成功 に向けて玉川大学 の関係者 も協力 したい と考えている.世界中の研究者が集 う3年後の 札幌が今か ら楽 しみである. (〒194-8610町田市玉川学園 6-卜1 玉川大学 ミツバチ科学研究施設)

参照

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