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プログラムによる計測・制御における「計測」学習の実験授業と評価

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Academic year: 2021

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(1)プログラムによる計測・制御における「計測」学習の実験授業と評価 犀川 誉之*. 佐々木 恵太**. 但馬 文昭***. Experimental class and assessment for learning automatic measurement in the field of automatic measurements and controls via computer programs in technology education Yoshiyuki Saikawa,* Keita Sasaki,** and Fumiaki Tajima*** 要約 中学校技術・家庭科(技術分野)の情報に関する技術の教育内容については,現行の指導要 領においても新指導要領でも計測・制御の仕組みに関わる学習が取り上げられている.これま での計測・制御に関する学習では,計測はセンサで行われているとされており,日本工業規格 の定義とは異なっている.また,計測の実質的な処理がアナログ・デジタル変換であることを 学習できる構成にはなっていない.本研究では,計測の仕組みを分かり易く学習するために, 「数当て学習法」を考案して中学校において授業実践を行い,その有効性を明らかにした. 1.緒言. 目録に搭載された教科書[1,2]では「計測」は. 近年,化学技術の発展に伴い身の回りにロ. センサが行うものとしか記載されておらず,. ボットや人工知能(AI)などの先端技術の導入,. JIS の定義[3]とは異なっている.この点に関. 普及が進み IT の重要性が高まっている.そ. しては理解しやすい指導を行う教育的配慮が. のような環境のなかで,政府は 2020 年より. なされている可能性はあるが,センサが計測. 小学校から高等学校においてプログラミング. の処理をすべて行っているというイメージが. 学習を必修化することを決定している.. ついてしまう.そうするとセンサを扱うプロ. 平成 29 年に発表された学習指導要領には,. グラミング学習の際に生徒が部品と機能に矛. これまで通り技術分野の情報の技術における. 盾が生じることに気づくことは明らかである.. 目標として「計測・制御システムの仕組みを. 実際は,センサは温度や長さなどの情報を電. 理解し,安全・適切なプログラムの制御,動. 気信号に変換する部品である[4].そして制御. 作の確認及びデバッグ等ができること」とあ. に関する教科書の記述は豊富であるが,計測. る.プログラミング学習を進めていくうえで. については記述が少なく計測とはどういうこ. 計測・制御についての基本的な仕組みの理解. となのかという核心的な説明がないため,計. は不可欠であり,正しい指導がなされる必要. 測についての基本的な仕組みを理解するには. がある.しかし,文部科学省が定めた教科書. 不十分だといえる.計測の本質的部分である. ------------------------------------------------------------. アナログ・デジタル変換(デジタル化)に関. *. 砺波市立庄西中学校(富山県). しては他のページで取り扱ってはいるものの,. **. 横浜国立大学教育学部附属横浜中学校. 計測と結びつくとは考えにくい.. *** 横浜国立大学教育学部. こうした現状はあるものの,計測の仕組み 1.

(2) 10.166…. Va. ⑤デジタル出力. -. 10.166…>8. ①アナログ入力. +. 1XXX=8~16. ④比較器. Vb. 1. ②比較の際. ③D/A. 0. に基準とな. 変換器. 0. る値を与え. 0. る部分. 図1 逐次比較型 A/D 変換器(4bit)の概略[6]. や考え方を理解することは決して難しいもの. 2.1 学習指導要領に基づいた指導事項. ではない. 「測る」という行為において人間と. 技術・家庭科 技術分野 D 情報に関する技. コンピュータには差異はなく,それは「数あ. 術(3)プログラムによる計測・制御 「ア. て」といった簡単なゲームによって説明でき. コンピュータを利用した計測・制御の基本的. る.この「数あて」を通して計測の仕組みを. な仕組みを知ること.」より,生徒が計測の正. 理解することができれば,プログラミング学. しい意味を理解し,計測の仕組みを学習した. 習において正しい思考・判断ができるだろう.. うえでそのメカニズムは我々人間が行う「測. 以上の点を踏まえ,本研究では「計測」学習. る」という行為と差異はないと理解させる.. の問題点を改善することでこれからの情報の 技術をよりよい学びに発展させることを目的. 2.2「計測」の仕組み. とした「今まで触れられてこなかった計測学. 計測の本質となるのは A/D 変換である.. 習」の授業実践に試みた.具体的には,JIS 定. A/D 変換とは,アナログ信号をデジタル信号. 義に基づいた計測の意味と仕組みを理解させ. に変換することである[5]. 様々な A/D 変換の. るために考案した「数あて学習法」による指. 方式があるなかで,本研究では最も一般的な. 導である.この指導を含めた授業計画を行う. 「逐次比較型」と呼ばれる変換方式をもとに. とともに,実際に中学校で実験授業を行い,. 図 1 により計測の仕組みを説明する.. 実施するアンケート結果等から実験授業の評. ①ではセンサから得られた情報(温度,圧. 価・分析することを目的とした.. 力など)を電圧として入力する.②では①で 出力された値と比較する際に基準となる値 (ものさしの役割)を D/A 変換器に送る.③. 2.授業の構成 2.

(3) 1~15 のある数値 X を当てよ. 回答③ 8. ヒント:11 より小さい. ヒント:8 より大きい. 回答① 6. 回答④ 10. 正解. 回答④ 12. ヒント:6 より大きい. ヒント:12 より小さい. 回答②. 回答⑤ 11. ヒント:13 より小さい. 図2 数あて学習法の流れ では②で与えられたデジタルな値を①の値と. ③回答者が 1~15 のうち1つ数字を答える. 比較するため,アナログな情報=電圧に変換. ④出題者は回答が答えより大きいか小さいか. している.④では①と③の値を比較している.. を伝える. ⑤は比較の結果を踏まえて①の値をデジタル. ⑤当たるまで③④を繰り返す. な情報として出力するのである.この仕組み. 「数あて」を効率化させたものが一般的な. は,人がものさしを使って線の長さを測るこ. A/D 変換である逐次比較型 A/D 変換の仕組. とと差異はない.. みと全く同じである理由を図3に示す. 2分法を用いて 1~15 までの値で必ず4回. 2.3授業における指導の方法 生徒に指導する場合は,より理解し易い内 容で指導する必要がある.そこで提案するの が「数あて学習法」を利用した指導である.. X. この「数あて学習法」は,設定した数を予 想して当てていく簡単なゲームであるが,こ の「数あて」を効率化させたものが一般的な A/D 変換である逐次比較型 A/D 変換の仕組 みと全く同じである.これを用いて指導を行 う. (図2). 23. 数あて学習法のルールは以下の通りである. ①出題者と回答者に分かれる. 2 進数 1 図3. ②出題者は 1~15 の値を決めておく 3. 23 + 22. 0. 23 + 21. 1. 23 + 21 + +20. 0 =10. 数あてと計測の関係性.

(4) で数値を確定することができる.これは数あ. 測・制御が簡単そう,やや簡単そうと答えた. てゲームの必勝法(効率化したもの)となん. 生徒は1割程度であったが,授業後は3割程. ら変わりはなく,逐次比較型 A/D 変換の仕組. 度に向上した.向上はしたものの,いまだに. みと同じである.. 難しそうだと答える生徒が多く,課題が残る. この「数あて学習法」は計測の意味とデジ. 結果となった.. タル・アナログの学習をしたのちに行う.指. 質問3では,面白そう,やや面白そうと答. 導上は「計測とは測る対象(アナログ)と基. えた生徒が 88%から 85%になり,計測・制. ジタル)で表すこと」として指導するので,. 御に対する関心はあまり変化していないとい. 準となる量(ものさし)を比較し,数値(デ. える.分からなかったことを理解したために. 「数あて学習法」はこの概念的な考え方を生. 興味が薄れた可能性もあるので,次のステッ. 徒に定着させる目的も備える.. プに移れるような発展的な課題を示す必要が あったかもしれない.計測学習が計測・制御. 3.授業実践. 全体と結びつかなかった生徒が多かった可能. 3.1 授業の対象. 性もあり,計測・制御全体に発展できるよう. 横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学. な問いや課題を示すべきだった.. 校において,第3学年(1学級 45 名,3クラ. 質問4では,人とコンピュータの「測る」. ス計 135 名)を対象に技術・家庭科〈技術分. が別物だと思うと回答した生徒が 20%か. 野〉の授業実践を行った.授業時間は1単位. ら4%に減少し,差があると思った生徒も. 時間 45 分である.. 45%から 31%に減少した.あまり差はない と思うと回答した生徒が 27%から 57%に 向上したことから,全体を通して差がない. 3.2 分析方法. 授業を受ける生徒に対し,授業前,授業. 方向へ変化していったことがわかり,良い. 後にアンケート調査を実施し,回答の割合. 結果が出たといえる.. を調べることにより学習目標を達成したか. 質問5では, 事前アンケートではアナログ・. どうか分析し,実験授業の有効性を判断す. デジタルに対して間違ったイメージをもつ生. る.. 徒が多かったが,96%の生徒がアナログ・デ ジタルについて理解していると答え,授業後. 4.結果と考察. はほとんどの生徒が理解することができたと. 事前, 事後アンケートの結果を表1 (次頁). いえる.. に示す.質問項目は実際に質問した内容を簡. 授業で扱ったワークシートからも生徒の理. 略化させたものである.. 解の様子が見て取れた. 数あての仕組みを 「範. 質問1では,授業前から 68%もの生徒は. 囲を狭くしていく」 「半分にしていく」という. 身の回りの機器に対しに関心があることが. 解釈ができている生徒がほとんどだった.樹. わかった.授業後はその関心がさらに向上. 形図から数あてを効率化させて値を絞ってい. し,8割以上の生徒が計測を行う機器に対. くといった図を描いている生徒もおり,多く. して関心を持つことができた.. の生徒が数あてと計測の関係性を理解できて. 質問2では,授業前はプログラムによる計. いると思われる. 4.

(5) 表 1 アンケート結果 事前アンケート結果. 事後アンケート結果. 質 項. 身の回りにある情報を読み取る機器 授業を終えて,身の回りにある機器の計. 問 目. に興味があるか. 測の仕組みに興味がわいたか. 1. 結. 1.よくある(17%). 1.わいた(25%). 果. 2.少しある(51%). 2.少しわいた(57%). 3.あまりない(28%). 3.あまりわかなかった(16%). 4.ほとんどない(4%). 4.わかなかった(2%). 質 項. プログラムによる計測・制御と聞い 授業を終えて,プログラムによる計測・. 問 目. てどのようなイメージがあるか. 制御に対する印象はどうなったか. 2. 結. 1.簡単そう(4%). 1.簡単そう(6%). 果. 2.やや簡単そう(7%). 2.やや簡単そう(25%). 3.ややむずかしそう(55%). 3.ややむずかしそう(56%). 4.難しそう(34%). 4.難しそう(13%). 質 項. プログラムによる計測・制御と聞い 授業を終えて,プログラムによる計測・. 問 目. てどのようなイメージがあるか. 制御に対する印象はどうなったか. 3. 結. 1.面白そう(50%). 1.面白そう(31%). 果. 2.やや面白そう(38%). 2.やや面白そう(54%). 3.あまり面白くなさそう(11%). 3.あまり面白くなさそう(11%). 4.面白くなさそう(1%). 4.面白くなさそう(4%). 質 項. 「コンピュータが測る」場合と「人 「コンピュータが測る」場合と「人間が. 問 目. 間が測る」場合において仕組み,考 測る」場合において仕組み,考え方は違. 4. え方は違うものだと思いますか?. うものだと思いますか?. 結. 1.全く別物だと思う(20%). 1.全く別物だと思う(4%). 果. 2.差があると思う(45%). 2.差があると思う(31%). 3.少し差があると思う(27%). 3.少し差があると思う(57%). 4.差はないと思う(8%). 4.差はないと思う(8%). 質 項. 「アナログ」と「デジタル」と聞い 「アナログ」と「デジタル」の意味につ. 問 目. て思い浮かぶ言葉をあげよ. いて理解できたか. 5. 結. 記述の例. 1.理解できた(51%). 果. アナログ:古い,ブラウン管,時計, 2.やや理解できた(45%) 3.あまり理解できなかった(3%). 黒電話,和式トイレ,手動 など. デジタル:新しい,薄型テレビ,時 4.理解できなかった(1%) 計,スマホ,電気,洋式トイレ,自 動 など. 5.

(6) 他にも,人が「はかる」こととコンピュー. 徒が減少したことが分かった.さらに計測の. タが計測することの違いを比較するといっ. 意味や仕組みについて理解を深めることが. た記述を行った.共通点では,基準となる. できた生徒の数が大幅に増加した.つまり,. 値と比較すること,考え方は人とコンピュ. 「数あて学習法」を含めた今回の実験授業は. ータのでは変わらないなどの記述がみら. 計測を理解するための学習法として期待で. れ,授業の効果があったと思われる.異な. きるといっていいだろう.. る点では,電気信号を用いること,人間に は測れない,測りにくいものを測れるなど. [参考文献]. の記述があり,多くの生徒が学習内容を理. [1]技術・家庭 技術分野 P225 開隆堂 2016. 解できていた.. [2]技術・家庭 技術分野 P236 東京書籍, 2016 [3]JIS 計測用語. 5.結言. http://kikakurui.com/z8/Z8103-. 「数あて学習法」を含めた「今まで触れら. 2000-01.html. れてこなかった計測学習」を考案し,で生徒 がよりプログラムによる計測・制御を理解し. [4]谷腰欣司:新時代のメカトロニクスを拓く. てこれからの学習を発展させることを目的. センサーのしくみ-基礎知識の習得から. として実験授業を実施した.授業を評価する. 回路設計の実務まで-,電波新聞社,P12-. ために生徒に対して授業のアンケート調査. 25,2004 [5]鳥居孝夫:計測と信号処理,コロナ社 ,. を実施し,その結果を分析した.. P2-7,1997. アンケート調査の結果やワークシートの 記述から,本研究で行った実験授業によって. [6]但馬文昭,峯岸努,松延秋廣: DA・AD 変. 生徒の計測に対する関心が向上し,プログラ. 換処理過程の視覚化教具の開発と実験授. ムによる計測・制御が難しそうだと答える生. 業の試み,科学教育学会,P227-233,1997. 6.

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参照

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