Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
東京歯科大学千葉病院における過去6年間の入院手術症
例の臨床的検討
Author(s)
益田, 遼; 奥平, 貴人; 左, 右; 岩本, 昌士; 森川, 貴
迪; 成田, 真人; 髙木, 多加志; 柴原, 孝彦
Journal
歯科学報, 117(3): 262-262
URL
http://hdl.handle.net/10130/4260
Right
Description
目的:口腔悪性腫瘍手術は気道の一部と手術部位が 重なるため,手術に伴う組織の腫脹や解剖学的変化 による気道閉塞を早期に探知するための厳重な気道 管理が必要となる。当院では従来から,術後に気道 閉塞のリスクが高いと判断した症例に対して積極的 に気管切開術を行ってきた。しかし気管切開は患者 にとって侵襲の大きな処置であり,創部の感染,気 管内や皮下の出血,腕頭動脈損傷,食道損傷などの 合併症を引き起こす可能性に加え,カニューレ抜去 後には瘢痕を生じるデメリットもある。そこで, 2014年10月より術後に気道閉塞のリスクがある一部 の症例に対して,輪状甲状膜穿刺による予防的気道 確保を手術直後に実施するよう変更した。口腔悪性 腫瘍手術に対するこの手技の臨床的検討は過去に行 われていない。そこで今回,当院における輪状甲状 膜穿刺による予防的気道確保の成績を報告する。 方法:2014年10月から2016年12月までの間に当院口 腔外科および口腔がんセンターで頭頸部悪性腫瘍手 術に対して輪状甲状膜穿刺キット(ミニトラックⅡ セルジンガーキット,スミスメディカル・ジャパ ン)を用いて予防的に輪状甲状膜穿刺が行われた症 例を対象とし,診療録および麻酔記録からレトロス ペクティブに調査した。調査項目は,患者背景,輪 状甲状膜穿刺施術時間,施術中および術後合併症, 気管カニューレ留置期間とした。また,手術内容に 対する術後気道閉塞のリスク度を,東京歯科大学歯 科麻酔学講座で作成した術後気道確保の指針に従っ て点数化した。 結果:本研究の対象は52例であった。手術内容は片 側頸部郭清術が23例(44%)で最も多かった。これ らの手術に対する術後気道閉塞のリスク度を東京歯 科大学歯科麻酔学講座が作成した術後気道確保の指 針で評価すると最低3点,最高28点で,中央値は10 点であった。施術中に特記すべき合併症は認めず, 術後は皮下気腫が2例,縦隔気腫が1例認められた が,いずれも経過観察で軽快した。施術時間は2± 1分であった。気管カニューレ留置期間は最短1 日,最長5日で,中央値は1.5日であった。 考察:本研究では,全例気道系のトラブルは生じな かった。さらに,輪状甲状膜穿刺の施術時間は2± 1分であり,この手技の未経験者を含んでいたにも かかわらず短時間で終了していた。以上の結果よ り,輪状甲状膜穿刺は口腔悪性腫瘍術後の予防的気 道確保法としての選択肢の一つになり得る可能性が 示された。 目的:千葉病院口腔外科(当科)では,顎顔面領域 における腫瘍,嚢胞,先天異常,顎変形症,炎症, 外傷などの多彩な疾患に対する手術を行っている。 今回,当科における入院手術症例の動態を把握する ために臨床的検討を行ったので報告する。 方法:当科で平成23年1月から平成28年12月までの 6年間に手術室で手術を施行した全症例を対象とし た。日本口腔外科学会調査企画委員会が作成した疾 患症例調査票の分類に準じて,手術数,手術分野, 性別,手術時間,出血量について調査した。 結果:6年間の総手術数は3,398例であった。手術 数は増加傾向にあり,2016年度は最も多く,624例 であった。手術分野としては,顎変形症関連手術/ 異物除去手術が43.0%と最も多く,次いで良性腫 瘍・嚢胞・腫瘍形成性疾患等の手術が15.0%,癌/ 前癌病変関連手術が9.2%,歯・歯槽外科手術が8.2 %,口唇裂・口蓋裂関連手術が7.5%,顎顔面外傷 手術/異物除去手術が5.3%,再建外科手術が3.5%, 唾液腺関連手術が2.1%,消炎手術が1.6%,上顎洞 関連手術が1.4%,補綴前外科手術/顎堤形成手術/ 骨移植手術が1.1%,口腔インプラント関連手術が 0.4%,顎関節手術が0.2%,その他が1.3%であっ た。性別は男性46.6%,女性53.4%と女性が多く, 男女比は1:1.1であった。平均手術時間は157.2± 6.7分,最長は949分で,悪性腫瘍の手術であった。 平均出血量は107.7±14.6ml,最大出血量は2,460 ml で,顎変形症の手術であった。 考察:平成25年9月に大学の拠点を水道橋に移転 し,手術数の減少が予測されたが,本検討の結果, 手術件数は増加傾向にあり,手術分野も多岐にわ たっていた。これは千葉病院が地域における需要の 高さを表していると考えられる。今後も地域の基幹 病院として,手術内容や治療についての啓発を継続 していき,地域包括医療に貢献できるように努めて いく。