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ブレイクアウトセッションと全体での意見交換報告

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Academic year: 2021

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31 ― ―

Ⅰ.ブレイクアウトセッション報告

オンライン会議システム Zoom は,参加者が 複数のグループに分かれて意見交換可能な「ブ レイクアウトセッション」という機能を有して いる。そこで,本交流会では,145 名の参加者 (セッション開始時には 10 名程度が中座) を 4 人または 5 人,約 30 のグループに分けて (自動 グループ分け) 意見交換を行った。1 回目は約 25 分,その後再度グループ分けを行い,2 回目 は約 15 分の意見交換を行った。以下,4 名の参 加者 (地方公立高校教員,都立高校教員,研究 開発学校教員,大学教員) によるセッションの 参加報告と感想,問題提起である。 報告1 Zoom を通して行われた地理教育学会オンラ イン交流会において,ブレイクアウトセッショ ンという,ランダムに振り分けられた 4 人前後 のグループで話し合う機会を得た。私自身も県 外の地理仲間と情報交換する機会をもっている が,それ以外には十分に情報を得る機会がない ため,このような場で情報交換できることはあ りがたい。セッションでは各校の生徒の登校状 況やオンライン授業の実施状況を互いに共有 し,意見交換を行った。オンライン授業の実施 状況では,一律でタブレット端末を持たせてい る学校では比較的スムーズに導入できているこ とや,独自のオンラインプラットフォームを採 用する学校の苦労話などの話題があがった。 一方,公立学校では設置者が導入を決めても 実施に至るまでに多く時間を有し,まだオンラ インでの授業は実施できていないといった意見 もあった。授業の内容については,特にリアル タイムでのオンライン授業を実施できていない 学校で悩みを抱えている様子がうかがえた。授 業理解の一部として NHK 高校講座を扱うこと についても話題が挙がり,高校講座を視聴させ ることに対し,生徒・保護者から,また,同僚 から手抜きだと思われるのではないかという声 が挙がったが,我々が普段授業で提供できない ような多くの資料映像を多くもつ利点を生かし て効果的利用を進めていきたいといった意見も あった。 このセッションを通して,学校ごとのそれぞ れの課題に対し,工夫して対応されている話を 聞きこれからのヒントを得ることができた。 with コロナで我々が手にしたスキルを post コロ ナの世界でも十分に発揮できるようこの困難な 状況下で努めていきたいと強く感じた。また, 今回のセッションでは自宅にいながら都市部か ら離島まで様々な地域の先生と話をすることが できた。地理空間の概念が変わってしまうよう なオンライン会議システムが短い機会で広く広 がったことに驚きつつこの場を得られたことに 感謝したい。 (麻生慶彦) 新地理

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ブレイクアウトセッションと全体での意見交換報告

麻生慶彦

*1

・金田亜妃子

*2

・松岡洋介

*3

・志村 喬

*4

・三橋浩志

*5 *1 富山県立富山中部高等学校  *2 東京都立墨田川高等学校  *3 徳島県立脇町高等学校  *4 上越教育大学 *5 文部科学省

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32 ― ― 報告2 1 つ目のブレイクアウトセッションは,東京 都 2 名,広島県 1 名,大学教員 1 名の計 4 名。 現在の勤務校の状況や取り組みについて話し た。東京都は教科書,副教材,プリントを使っ ての自宅学習を生徒の登校時,または学校の HP を使って指示するといった対応を基本とし つつ,スタディサプリや Classi といった補完的 役割に置いていた教育コンテンツサービスを, 生徒と遠隔でつながれるツールに格上げするな どして対応。オリジナル教材のオンライン配信 等も行っている。広島県では,自治体によって 感染者は一桁程度。全国で状況が大きく異なる ことを実感した。今は再開ベースの話の方が強 く,どういう体制で生徒を迎えるかの議論に なっている。大学では,GW 明けからオンライ ン授業開始となっているところが多い。大抵の 学生は自力で環境を整えられるが,スマホのみ の学生や通信量制限の問題が挙がっている。 2 つ目のブレイクアウトセッションでは,東 京都 2 名 (公私 1 名ずつ),埼玉県 1 名,福島 県 1 名の 4 名で,オンライン学習を具体的にど のように行っているか,注意点等について話し た。福島県は首都圏ほどの感染状況にはなく, 4 月は 2 週間程登校できた。二度目の休校に入 り,オンライン学習に向け本格始動という流れ にある。埼玉県では Google のサービスをベー ス に 生 徒 と つ な が り を 持 て て い る。HR, 授 業,自宅学習コンテンツ配信等を行っている が,初めにルールやマナーを明確に提示するこ とが大切だと感じている。私立学校では入学時 にタブレット等を購入しているところが多い。 幸い学習活動は継続できているが,完全オンラ インでの体制作り,授業作りには苦労した。情 報を整理・精査して生徒に届けることが重要だ と感じる。 こうした話し合いから,各教員が今の状況下 で何ができるのかを考え,実践していることが 分かった。「できることから始める」というの はその通りで,その「できること」に新たな ツールを使うことを含められるかが問われてい ると感じる。これはそろそろ「その分野には明 るくないから」と億劫がる気持ちを乗り越えよ うという側面と,「できることから始めたが故 に,できる環境にある生徒とできない環境にあ る生徒とで差を広げる結果を生んでいる」とい う葛藤につながる側面を孕んでいる。「できる 子だけができるようになっていく」という状況 は,手放しで喜べないものであり,理想論かも しれないが「皆ができるようになる」ことに向 けて,さらに工夫が必要な未来が待っていると 感じた。 (金田亜妃子) 報告3 (

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)意見交換の内容 1 回目:高校教員 3 名 (愛知県・京都府) と大 学教員 1 名 (北海道) ・各学校の現状と課題 ・ 大学ではすでにオンライン講義が行われてお り,グループの中心でいろいろと成果や問題 点をお話しいただいた。 ・ 全国から生徒を受け入れる全寮制の高校で は,全校生徒が授業再開時に揃うことが難し いので,通常の授業とオンラインを活用した 授業のスタイルについて共有した。 2 回目:高校教員 4 名 (広島県・神奈川県・静 岡県) ・各学校の現状と課題 ・オンライン教材の作り方と活用法・工夫点 ・ オンライン授業を開始して 1ヶ月になる学校 では,これまでの教材づくりの苦労や問題点 (Zoom 授業に保護者が参加して困る,生徒か らの質問にうまく答えられない,生徒が理解 しているのか不安) などを,メンバーで共有 し,話し合った。 (

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)ブレイクアウトセッションの感想 コロナ渦の先の見えない不安な状況の中で, 今回の交流会は多くの先生方から刺激を受け, 今後の不安を一掃する機会となった。Zoom を

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33 ― ― た。①私立学校では ICT 環境が学校・家庭とも ほぼ整備されているためオンライン授業が進む 一方,公立学校では両環境に課題があるため郵 送媒体対応が主であり,私立・公立との差が極 めて大きい。② ICT を活用した授業への取り組 みでは,教員の専門科目や年齢での差がうかが え,若手地理教員は前向きであり先進的展開が 期待される。③ NHK for School のようにオン ライン授業と組み合わせて活用できる既存教材 があるが,それが十分に認知・共有されている とは言いがたく,提供側・使用側ともより一層 連携した活動が望まれる。 時間制約から,上記認識共有でセッションは ほぼ終わったが,各地・各状況下での具体的実 態を知ることができたのは極めて有益で,各自 のこれからの対応に示唆を与えるものであっ た。筆者の場合,セッション内容を本交流会前 半部の全体発表内容と重ね次の論点を考えた。 第 1 は,上記①に見られるような社会空間的 な差異(社会空間的不平等)を,どう地理教育 的に認識し,社会科教育に関連づけるかという 教育内容的論点である。アメリカ地理学会会長 も務めた地理教育研究者 S. ベドナルズは『空 間 市 民 性 教 育 』(E.Shin & S. Bednarz eds. (2019) Spatial Citizenship Education. Routledge) を昨年刊行した。社会科教育研究者も寄稿する 同書は,GIS・ICT の発達でデジタル地理空間 社会になった現在,地理空間的思考力と市民的 資質の双方を備え,それを活用して社会問題解 決ができる市民育成が必要と主張する。上記① は,コロナウイルス禍でみえた社会空間問題で あり,この社会問題を地理的に分析・認識し, 解決について思考・表現することは同書の言う 空間市民性である。これは,日本の社会科・地 理教育が現在目指している学力(資質・能力) と一致しており,感染終息後は②③と連携させ た取り組みが必要である。第 2 は,従来の教室 空間での対面型授業とオンライン授業の比較検 討という教育方法的論点である。オンライン授 業の場合,個に応じた指導が容易との声が今 始めて 1 ヶ月の私にとって,不安を抱いたまま の参加だった。ブレイクアウトセッションは, グループ分けや時間管理,グループの入れ替え もスムーズに行われ,大変有意義な時間であっ た。今後,オンライン授業の中でも,ブレイク アウトスタイルは,グループ学習やジグソー学 習のような機会も可能にできるのではないかと 感じた。 ひとたび情報交換といっても,地域的な制約 でこれまではなかなか積極的には行えなかっ た。今回の情報交換会は,このような状況の有 無にかかわらず,今後の新しい情報交換のスタ イルとなり,全国の先生方との距離を縮めるこ とができ,小・中・高・大学の枠を超えた交流 ができるものとして,大きな期待を持つことが できた。 本校は研究指定校ということもあり,様々な 形態のアクティブラーニング型の授業を取り入 れている。オンラインでもグループ学習ができ るということは大きな発見であった。オンライ ンと聞くと,タイムラグや通信障害などのトラ ブルを思いがちであったが,多くの先生方と, スムーズに意見交換できたことで,今後の授業 の幅が広がるものとなった。今回のブレイクア ウトセッションがきっかけで今後に向けて,オ ンラインアクティブラーニングの実施や,他校 の先生とオンラインで結んでの授業,校内の先 生とオンライン教科横断型授業などを実践でき るかを,すでに検討し始めている。また,交流 会で教えていただいた,授業実践や助言を活か した授業づくりを行い始めているところであ る。このような貴重な機会を与えていただいた ことに感謝したい。 (松岡洋介) 報告4 参加した 2 つのセッションは,中等学校教 員・大学教員・報道機関職員から構成されてい た。各自の自己紹介・現状報告およびその後の 話し合いで得られた主な共通認識は次であっ

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34 ― ― して指導する重要性が提起された。 中谷教諭からは,オンラインに参加できない 生徒のケア (例:電話や郵送など) を巡る課題 が報告された。また,オンライン上で発生しか ねないコミュニケーションを巡る課題 (例:子 供たちの「いいね」,「怒り」スタンプ利用,子 供たちのチャット・グループ編成による仲間は ずれの懸念等) などに配慮した実践の重要性が 提起された。 柴田教諭からは,地理教育が ICT を使うこと で生徒の理解が深まっている現状が改めて報告 (例:グーグルアースなどで世界中の場所を見 ることが可能)され,生徒の興味を深める地理 授業の可能性が指摘された。同時に,ICT を活 用することで,教員と生徒が共に世界中の地理 的事象を探究することが可能になる等の新しい 学びの可能性も提起された。 今野教諭からは,知識理解に関してはスタ ディサプリ等を活用することで自学自習が展開 されているなか,オンラインによる双方向授業 の役割や位置づけ(例:生徒の意見交換,教科 書の行間解説等)などを踏まえた実践の重要性 が提起された。 最後に,中村光貴教諭が勤務する筑波大学附 属高等学校のオンライン授業の取組紹介と,オ ンライン研究会 ( 5 月 30 日 (土) 開催) に関する 情報提供がなされ,本交流会は終了した。 井田会長の「全国の地理教育関係者が多数連 携できたことは大きな成果」との総括コメント のとおり,今後の「with コロナ,post コロナ」 に向けた地理教育実践の深化を期待させるオン ライン交流会であった。 (三橋浩志) 回,多く聞かれた。それは利点と先ずは捉えら れようが,人間集団社会に生きる者を育成する 社会科・地理教育の立場からすれば,同じ時空 間で複数が非言語的コミュニケーションも活用 して学ぶ意味は大きい。両者の利点を組み合わ せた授業環境・方法の創出も課題である。 (志村 喬)

Ⅱ.全体意見交換会報告

ブレイクアウトセッション終了後,井田会長 による司会進行のもと,5 名の報告者による全 体意見交換会が行われた。その後には,各セッ ションから討議内容や論点等の報告を行い参加 者全員での情報共有が予定されていたが,今回 は 30 を超えるグループで討議が行われたため, 時間の関係で省略となった。 井田会長より,①オンライン授業のメリット と限界や課題,②地理教育としての方向性,③ 地理教員のネットワークづくり,の論点が提示 され,5 人の報告者がそれぞれ意見を述べた。 三橋調査官からは,オンライン授業で期待の 高まる教材の共有化について,そのメリットが 指摘された。同時に,一人一人の生徒の指導を 大切にするには,教材の共有化と個別化のバラ ンスが重要であり,教育課程編成権をもった各 学校長の役割がますます高まっている,との提 起がなされた。 河合教諭からは,ブレイクアウトセッション の使い方や機能の補足説明とともに,オンライ ンと対面授業のコミュニケーションの違いが指 摘された。オンラインによる対話の方が深まる 生徒間のコミュニケーションと,対面でしかで きないコミュニケーションの違いを教員が理解

参照

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