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沖縄本島におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性コナギの発生について: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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(1)

Title

沖縄本島におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性コナ

ギの発生について

Author(s)

後藤, 健志; 二神, 和靖; 伊志嶺, 正人

Citation

沖縄農業, 44(1): 51-56

Issue Date

2010-08

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/10461

Rights

沖縄農業研究会

(2)

沖縄本島におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性コナギの発生について

後 藤 健 志 ・二 神 和 靖 】)・伊志嶺 正 人2)

(沖縄県北部農林水産振興セ ンター, 1)沖縄県農林水産部営農支援課, 2)沖縄県 中部農業改良普及セ ンター)

KenshiGOTO,KazuyasuFUTAGAMI,MasatoISHIMINE: Sulfonylurea-resistan tbiotypesofMonochoriavagmalisinpaddyfieldsof

OkinawaIsland,Japan.

は じめ に コナギ M onochria uaginalis) は, ミズ アオ イ科 に属す る一年生草本である.窒素吸収量が 稲 に比べて2倍程度 と高 く (千坂,1966),稲 と肥料養分 を競合す る水 田の主要雑草 の一つで ある.1980年代後半か ら水 田雑草対策 には,ス ル ホニル ウ レア系除草剤 (以下SU剤) が広 く 使用 され るよ うにな り,それ に伴 って1990年代 か らSU剤 に抵抗性 を示す雑草が確認 され始 め た.SU剤抵抗性 コナギ については,1998年 に 秋 田県 と茨城県で初めて確認 され (中荒井 ・森 田,2002), これ まで,青森,秋 田,福島, 山 形,茨城,長野,京都,徳 島,福 岡な どか ら報 告 されている (内野,2003;山本 ら,2008;井 上 ・山川,2006).SU剤抵抗性雑草が発生 した 圃場では,特定 の雑草のみが高密度で発生す る 事が知 られて いる (内野,2006).沖縄県名護 市川上地域 の水 田にお いてコナギ のみが高密度 で発 生す る状況 が見 られ,SU剤抵抗性 コナギ の発生が疑われた.抵抗性 の確認 について,内 野 (2006)は,発生 した雑草が抵抗性か感受性 かは外見か らは判断が難 しい為,直接植物体 に 対 して検定 を行 い判断す る必要性 を指摘 してい る.そ こで,名護市川上地域 の水 田にお いて発 生 した コナギ に対 してSU剤抵抗性検定 を行 っ た. また, 当地域 のコナギ の発生状況 とコナギ の発生 した水 田にお ける稲 の生育状況 について も調査 を行 ったので併せて報告す る. 材料および方法 1.SU抵抗性検定 調査地 とした,名護市川上地域 は,二期作 の 水稲栽培が行われて いる.調査 は2009年 9月 1 日に, コナギ のみが高い密度で発生 した5筆の 水 田で行 った. この地域 は,2009年8月 7日前 後 に二期 目の移植が行われてお り,8月20日ま で に除草剤が使用 されて いる. 選定 した5筆の水 田か ら 5株ずつ根 を傷つけ ないよ うにコナギ を採集 し,ユニパ ックに入れ た後,保冷剤 を入れた保温バ ッグに入れて実験 室 に持 ち帰 った. 検定は,ベ ンスル フロンメチルの入 った薬剤 中で の コナギ の発根 の有 無 によ ってSU剤への 抵 抗 性 を判 断す る発 根 法ITOキ ッ ト (吉 田, 2008)を用 いた. まず,採集 してきたコナギ を 水洗 いし,検定用チューブに入 る大 きさに葉や, 分げっ した部分 を切 り取 った. さ らに泥や腐植 部 分 を取 り除 いた後, 根 を2cmに切 りそ ろえ た.各水 田について,対照区チ ューブ2本,処 理区チ ューブ3本 を 1セ ッ トとして,それぞれ

(3)

52 沖縄農 業 第44巻 第1早 (2010) のチ ューブで コナギ を茎葉基部 まで薬剤 に浸 け, 25oCの明条件 のイ ンキ ューベーター 内 に静置 し た. また,発根 の確 認 は

,7

日後 に行 った. 2.コナギ の発生状況調査 調査 は,9月16日に名護市 川上 の水 田82筆 を 対象 とし,1筆ず つ畦畔 か らの達観調査 によ っ て コナギ の発生状況 を確 認 した.発生状況は, 水 田一筆 中のコナギ が発 生 して いる面積 の割合 によ って,発 生な しを 「0」,1%以下 の発 生 を 「1」, 1-25%を 「2」, 26-50%を 「3」, 51-75% 「4」,76-100%を 「5」の6段 階 に分 級 し,地 図上 に記録 した. 3.稲 の生育状況調査 調査 は,10月20日に登熟期 の 「ひ とめぼ れ」 と 「ミル キーサ マー」 を対 象 に行 った. 「ひ と めぼれ」 につ いては, コナギ の発 生 レベルが0, 3,5の水田を 1筆ずつ選定 し,「ミルキーサマー」 につ いては コナギ の発生 レベルが

0

,2

,5

の水 田を 1筆ず つ選定 し,各水 田にお いて30株 の全 長 と梓長 を計測 した. また,全長 と梓長 の差 を 穂長 とした. 結 果 1.SU剤抵抗性検定 コナギ を採集 した5筆 の水 田,全て にお いて 対 照 区,処理 区 ともに発根 が見 られ た. また水 田 Ⅴ か らは,処理 区の3本 中,1本 のみが発根 し, 残 り2本 か らは, 発 根 が見 られ な か った (表

1

)

.

2.コナギ発生状況調査 表2よ り,調査 を行 った82筆 の内, 「o」 の水 田は,35.5% (29筆),「1」 の水 田は,20.7% (17筆), 「2」 の水 田は22.0% (18筆), 「3」 の 水 田は,8.5% (7筆), 「4」 の水 田は,9.8% (8筆), 「5」 の水 田は,3.6% (3筆)であった. 調査 した水 田の半数以上 の64.6% (53筆) か ら コナギ の発生が確 認 された. また,発生状況 に 地 図上で の明確 な偏 りは見 られず,川上地域全 域 にコナギ の発 生が見 られ た (図

1

)

.

3.コナギの発 生状況別の稲 の生育状況 図2及 び 図3よ り,「ひ とめぼ れ」 と 「ミル キーサ マー」 の全長,梓長 は,各 コナギ発 生 レ ベル に有意 な差 が見 られ コナギ の発生 レベル が大 き くな るに従 って,全長,梓長 が短 くな る 表1.発根法ITOキットによる検定によって確認された発根数. 水 田N9 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 処 理 区(∩-3) 3 3 3 3 1 対 照 区(∩-2) 2 2 2 2 2 表2.コナギの発生レベル別の水田割合と水田数.

0

1 2 3 4 5 (発生なし) (1%以下の発生) (I-25%) (26-50%) (51-75%) (76-100%) %(筆 ) 35.4(29) 20.

7

(17) 22.0(

1

8

)

8.5(7)

9

.8(8) 3.6(3)

(4)

後藤 ・二神 ・伊志嶺 :沖縄本島におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性コナギの発生について 53 図 1.名護市川上の水田におけるコナギの発生状況. 0 0 0 0 8 6 4 2 ( 2 0 ) 仙 岬

3

コナギ の 発 生 レベル

E

Z

]全 長

田 梓 長

E

j穂長

図 2. コナギ発生 レベル別の 「ひとめぼれ」の全長,程長,穂長の平均値. ※全長,梓長,穂長 について各 コナギ レベル において異符号間は1%水準で有意であることを示す (Tukey-KramerHSD検定).

(5)

54 沖縄農 業 第44巻 第1号 (2010) 0 0 6 4 (

2

0 ) 仙 岬

2

コナギ の発 生 レベル

E

Z

)全 長

団 梓 長

E

j穂 長

図3.コナギ発生レベル別の 「ミルキーサマー」の全長,程長,穂長の平均値. ※全長,梓長,穂長について各コナギレベルにおいて異符号間は1%水準で有意であることを示す (Tukey-KramerHSD検定). 傾向を示 した. また 「ひとめぼれ」ではコナギ 発生 レベルが5の穂長のみ有意 に短かった. 考 察 検定結果か ら,コナギ を採集 した名護市川上 の5筆 の水 田にお いて

S

U剤抵抗性 コナギ の発 生が確認 された. また, コナギの発生状況調査 か ら,名護市川上の水 田では, コナギが広 く発 生 している状況が明 らか とな り,当地域 に広 く

S

U剤抵抗性 コナギが発生 して いる可能性が示 唆 された. さらに除草剤抵抗性雑草は,特定の除草剤 を 適用 す る ことによ って発 生 し (松 本 ・臼井, 1994),それぞれの地域 ごとに独立 して生 じる こ と が 指 摘 さ れ て い る (Ohsako and Tominaga,2007;稲垣 ら,2008).これ らの 事か ら,今回確認 された

S

U剤抵抗性 コナギ も, 当地域 にお いて

S

U成分 を含 んだ除草剤 の連用 によって発生 した と推察 される.沖縄県 内の他 地域 において も

,S

U成分 を含 んだ除草剤 を多 用 している場合 は

S

U剤抵抗性 コナギ の発生が 危倶 される. 沖縄県外か らは, コナギ以外 にも数種 の

S

U

剤抵抗性雑草が報告 されてお り (内野,2003), それ らの中にはアゼナ (Linderniaprocumbens) や アゼ トウガ ラシ (Lindeyniamicrantha), ミ

ゾハ コべ 旺Iatme tnandra), イ ヌホ タル イ (Scirpusjuncoides) な ど沖縄県 で も見 られ る (初島 ・天野,1994)種 も含 まれている.今後 は,沖縄県 において もコナギ以外 の

S

U剤抵抗 性雑草の発生に注意が必要であると考え られる. コナギの稲への影響について千坂 (1966)は,

(6)

後藤 ・二神 ・伊志嶺 :沖縄本島におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性コナギの発生について 55 コナギ の窒素吸収量 は,稲 よ りも高 く,肥料分 をめ ぐり競合す る事 を指摘 している. また コナ ギ が増加す ると稲 の穂数が減少す ることも明 ら かになっている (JhonL Breenetal,1999). 松江 ・尾形 (1999)は,稲 の梓長 と穂長が短 く なる と収量が減 り,食味 も悪 くなる ことを報告 して いる.本調査 にお ける稲 の全長,梓長及び 穂長が短 くなる結果 もコナギ による窒素分 の競 合 による影響である ことが推察 され コナギ の 発生が稲 の収量 の減少および品質 の低下 に影響 して いることが示唆 された. SU剤抵抗性 コナギ の対策では,SU成分以外 の除草剤成分 によって防除できる ことが明 らか になっている (内野,2006;山本 ・中野,2008; 内川 ら,2002).しか しコナギ の種子 は土壌 中 で シー ドバ ンクを形成 し10年以上生存す る事が 報 告 され て お り (千 坂 ら, 1985;小荒 井 ら, 1998),一度,SU剤抵抗性 コナギが発生す る と 長期間 に渡 る対策が必要 にな る事が指摘 されて いる (内野,2006).また, 同 じ除草剤 を連用 しない等 の除草剤抵抗性雑草の発生の予防策の 必要性 も指摘 されて いる (内野,2006).今後 はSU剤抵抗性 コナギ対策 を早急 に行 うととも に,SU剤抵抗性雑草の発生 を防 ぐ為 にSU成分 を含 んだ除草剤 を適用 しない除草体系の構築や 除草剤 のみ に頼 らな い雑草管理 について検討が 必要である. 謝 辞 本調査 を遂行す るに当た り沖縄県農業研究セ ンター名護支所長,高江洲賢文博士 には,懇切 な指導 をいただきま した. また,デ ュポ ン株式 会社 よ り発根法ITOキ ッ トを提供 して いただ き ました.本稿 をまとめるにあた り秋庭美由紀氏, 名和純氏か ら,多 くの助言 をいただきました. 上記の方 々に心 よ り感謝 申 し上げ ます. Summary Susceptibility ofMonochoria vagmalisto bensulfron-methylwasinvestigatedcollected from individuals in five paddy fields in KawakamireglOn,Nago clty OfOkinawa prefecture,wherethespecieshadbeengro w-ingprofusely.Thesusceptibilitywasassayed by studying their rooting responses in a bensulfron-methylsolution.Thesefivepaddy fields which occurred the Sulfonylure a-resistantbiotypeofM.vagmalis.

引用文献 千坂英雄 ・伊藤一幸 ・児島清 ・古谷勝 ・片 岡孝 義 ・宮原益次 1985.数種水 田雑草 の埋土種 子 の寿命.雑草研究 30(別):133-134. 千坂英雄 1966.水稲 と雑草の競争.雑草研究 5:16-22. 初 島住彦 ・天野鉄夫 1994.琉球植物 目録 (沖 縄県産生物 目録 シ リーズ 2).沖縄生物学会. 稲垣栄洋 ・今 泉智通 ・江光 熊 ・冨永達 2008. 静 岡県 におけるスルホニル ウ レア系除草剤抵 抗性 コナギ の分布.雑草研 究 53 (3):123 -127. 井上 由紀 ・山川敦 2006.山形県 内の水 田にお けるSU抵抗性雑草発 生実態調査. 日作東北 支部報 49:57-58.

Jhon L Breen,JamesE HillandTokuichi Kusanagi1999.Tillerdensltydetermines competitiveoutcomebetweenwaterseeded rice(073,ZaSalivaL.)andMonochoriavaginallS var.vaginalis.雑草研究.44 (3):180-188. 小荒井晃 ・森 田弘彦 2002.秋 田県お よび茨城 県 におけるスルホニル ウ レア系除草剤抵抗性 生物型 コナギ の出現.雑草研究 47(1):20 -28.

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56 沖縄農 業 第44巻 第1早 (2010) 中荒井晃 ・森 田弘彦 ・李度鎮 ・伊藤一幸 ・渡蓮 寛 明 ・柴 山秀 治次郎 ・宮原益次 1998.22年 間耕土下層 に埋土 した水 田雑草種子の発芽率. 雑草研究 42 (別):22-23. 松江勇次 ・尾形武文 1999. 北部 九州産米 の食 味に関す る研究 一得長 +穂長 の大 きさ別 の 穂 に着生 した米の食味および理化学特性-. 目作紀.68 (2):206-210. 松本宏 ・臼井健二 1994. 除草剤 は どのよ うに 作用 し代謝 され るか.化学 と生物 32(7): 447-454.

Ohsako,T.andT.Tominaga2007.Nucleotiden substitutionsintheacetolactatesynthase genesofsulfbnylurea-resistantbiotypesof

Monochoriavaginalis(Pontederriaceae).Genes GenetSyst.82:207-215. 内野彰 2003.雑草 の

ALS

阻害抵抗性 とそ の機 構.日本農薬学会吉志 28:479-483. 内野彰 2006. 日本の水 田雑草 におけるSU抵抗 性研 究 の現状 につ いて.雑 草 と作物 の制御 vol.2:2-14. 内川修 ・福 島裕助 ・永尾宏 臣 ・大段秀記 2002. 福 岡県 におけるスルホニル ウ レア系除草剤抵 抗性雑草の発生 と各種除草剤 の効果.雑草研 究 47(別):60-61. 山本善太 ・中野理子 2008.徳 島県 にお けるス ルホニル ウ レア系除草剤抵抗性雑草の発生 と 対策.徳 島農研報.5:1-6. 吉 田修一 ・伊藤健二 ・権 田重雄 2008.水 田雑 草のスルホニルウレア系除草剤抵抗性簡易キ ッ トの開発.雑草研究 53 (3):143-149.

参照

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