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裁判員裁判における市民の役割

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Academic year: 2021

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(1)裁判員裁判における市民の役割 重村. 博美*. The Citizen’s Role in the “citizen judge system” Hiromi Shigemura. Abstract : One year has passed since the citizen judge system was adopted. Though many problems were pointed out before the system was adopted, the results of the current survey indicate that over 90% of the people who have served as citizen judges answered that "It was nice to participate in it". This report, based on the discussions at the time when the system was adopted, points out the role citizens are required to play in a citizen judge trial. Keyword. :. citizen judge system , criminal judge , citizen’s role , judge’s role. はじめに 1. 当初、裁判員裁判は「違憲のデパート」5とも称され、制度自 体の導入に懐疑的な意見も多くありました。とはいえ、導入後 1. 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律、いわゆる裁判員法. 年を経過した現在、裁判員裁判という言葉は広く認知されてき. が制定されて 1 年が経過しました。最高裁判所の発表によりま. ました。まだ制度としては、始まったばかりですが、選挙人名. すと、平成 22 年度 5 月末現在では、554 件の裁判員裁判が実施. 簿に登載されている国民であれば、誰しも裁判員となる可能性. され、全国で 3369 名の国民が裁判員になっておられます 。. があります。もしかしたら、本日こちらにご参加の皆様のなか. 本年 5 月に公表された裁判員経験者のアンケート によります. にも、裁判員経験者の方がいらっしゃるかもしれません。. 2. 3. と、裁判員として裁判に参加したことは、 「非常に良い経験だと. もし私たち国民が裁判員に選ばれたならば、どのような役割. 感じた」そして「よい経験と感じた」とするものを足しますと、. を果たしていくことが求められているのか。また、国民と裁判. 実に 96.1 パーセントの方がよいとする感想を述べておられます。. 官との関係は、どのようなものが望ましいのか。本日は、概略. しかし、これらの回答をされた方が、裁判員に選ばれる前にど. 的ではありますが、お話をしていきたいと考えております。. のようなお気持ちをもっておられたかというと、積極的な参加 意向「積極的にやってみたい」 ・ 「やってみたい」とするものは、. 1 裁判員裁判の導入経緯. わずか 33.8 パーセントに過ぎません。それに対し、 「あまりやり たくなかった」ないしは「やりたくなかった」と答えた方は、. ではなぜ、わが国で裁判員裁判が実施されることとなったの. 52.9 パーセントとむしろ消極的な参加意向の方が優位していま. でしょうか。わが国では、戦後 60 年以上もの間、職業裁判官に. す。実際に裁判員として裁判に参加してみると、審理について. よる裁判がおこなわれてきました。これまで職業裁判官が判断. は、わかりやすく、また評議については話しやすく、充実した. をすることについて、批判的な見解は目だって見受けられなか. 議論を行えたとの感想をもたれたことが、このような高評価に. ったように思います。ある世論調査機関が実施した「社会の信. つながったものと考えられます 。そしてその根底には、裁判員. 頼感調査」では、裁判官に対する信頼度は、警察や国会議員な. の方々の高い意識があったことが伺えます。. どに比して、高いものがあるのとの結果を出しています 6。これ. 4. は、法的・専門的素養があり、訓練を積んだ裁判官が、 「司法権 の独立」の要請のもと、公正かつ公平な立場で判断をおこなう *近畿大学工業高等専門学校 総合システム工学科(共通教養). ことから、良質の裁判を確保できていたからだと考えられます。 しかし、私たち国民は、裁判に対する信頼は持っていても、 「裁.

(2) 判所との関わり合いをもつ」といったことは、あまりというか、. ついて若干の説明をしますと、参審制とは一般国民から選ばれ. ほとんどなかったというのが実情だと思います。わが国では、. た国民と職業裁判官から構成されるものです。フランスでは、. 「和をもって貴しと成す」という聖徳太子の言葉ではありませ. 一定の重大犯罪に限定されていますが、ドイツでは軽微な犯罪. んが、他人と争うことを好まない傾向があるといわれます。で. を除き原則すべての事件が対象となります。いずれの国におい. すから、争いごと、ましてや裁判に関わることは、できれば避. ても、有罪・無罪の判断だけでなく、量刑も判断をします。い. けたいといった気持ちを持っているのではないでしょうか。ま. ずれにおいても選挙人名簿に基づき名簿作成がなされますが、. してや裁判員裁判では、有罪・無罪を決定するだけでなく、有. 最終的な選任は、抽選によるフランスと選考委員会が選任する. 罪の場合に量刑までも決めます。それまで裁判所に関わること. ドイツと、それぞれ異なります。また任期についても、フラン. のなかった市民が、裁判過程に加わり、自分の意思を形づくり、. スでは裁判所が開廷する数週間、ドイツでは 5 年と違いがあり. それを表明することを求められるということが、心理的・精神. ます。. 的負担となることは容易に想像できます。それに加え、裁判の. これに対し、アメリカで実施されている陪審制では、選挙人. 期間中は、仕事や育児・介護といった日常の生活とは異なる生. 名簿などにより無作為抽出された 12 人が事件ごとに選任され、. 活を要求されることから生じる様々な物理的問題が生じます。. 全員一致でなおかつ量刑の判断をなしえないという条件が付き. これまでの職業裁判官による裁判に大きな不安要因がないとい. ますが、有罪・無罪の判断をします。しかも、陪審裁判とする. った状況のなかで、なぜ裁判員裁判を導入するのか、あるいは. か職業裁判官による裁判とするかは、被告人自身で選択ができ. なぜ国民の司法参加が必要なのか、理解したがいというのが当. ます。参審制ならびに陪審制それぞれにメリットあるいはデメ. 初から市民の意見として持たれていたことと思います。裁判員. リット、双方あるといわれています。陪審裁判で近年注目され. 裁判の導入が、当初なかなか国民の理解を得られなかった理由. たのは、先年亡くなったマイケル・ジャクソンの幼児虐待をめ. というのも、そこにあると考えます。. ぐるものではないでしょうか。マイケルの裁判では、最終的に 無罪の評決がだされましたが、自らに有利な判断をすると見込. では、国民の司法参加が、これまでわが国でなされたことは. まれる陪審員をマイケル側が、忌避という制度を利用し、恣意. なかったのでしょうか。答えは、否です。現在停止されており. 的に選んだことにより、無罪評決に結びついたとする憶測が流. ますが、大正 12 年には陪審法なるものが制定され、昭和 18 年. れるなどしました。ここから陪審制の光と影、両方の部分が見. に停止されるまで 484 件もの陪審裁判が実施されたとの記録が. えてきます。有罪が明白でない限り、市民の良識が反映されて. あります。また、昭和 23 年からは、検察審査会が機能しており. 無罪の評決がなされるという光の部分と、その逆に、無罪をお. ます。ご記憶にある方もいらっしゃるかもしれませんが、明石. 金の力で、あるいは直接的には見ることのできない部分の力で、. の歩道橋事故で当時の警察副所長の不起訴をめぐって遺族の. 勝ち取ることができるのではないかとする影の部分です。その. 方々が、検察審査会に何度も申立てをおこなったという報道も. ため、実際に陪審裁判を選択する被告人は、数パーセントに過. なされました。当初は、 「起訴相当」の議決を検察審査会がした. ぎないとのデータがあります。. 後に、検察官が再び不起訴処分としたならば、その検察官の判 断に従わざるを得ませんでした。しかし平成 20 年(2008 年). しかし、わが国では、陪審裁判が一旦採用され、16 年間の間. の法改正により、検察官の不起訴処分の判断の後に、検察審査. に、400 件あまりも実施されたにもかかわらず、その後なぜ、陪. 会は再審査を行い、再び起訴相当の判断をすれば、その議決を. 審法停止という形で、終焉を迎えたのでしょうか。一説には、. して起訴に持ち込めることとなりました。現在までに 50 万人以. 先ほど述べましたように、陪審制という制度が「お上」による. 上の方が検察審査員あるいは補充員に選ばれ、約 14 万件以上が. 裁判といいましょうか、争いごとをよしとしない国民性といい. 審査されています。平成 21 年までの統計ですが、最近 5 カ年で. ましょうか、日本の古くから持っている物の見方・考え方にそ. は年間 2500 件以上の市民からの申し立てがあります 。これら. ぐわなかったとする見方もあります。そのことも一面では言い. 二例をもとに、ただちに国民全体が司法参加を歓迎していると. 当てているのではないかと思います。だけれども、それ以前に. 読み取ることは難しいですが、ただ、わが国でも裁判員裁判を. いえることは、制度を定めている法律そのものに、問題があっ. 受け入れる素地は、 「ある」のではないかと受け止めることので. たということだと思います。陪審法制定当初から、 「裁判官ノ裁. きるのではないでしょうか。. 判」を保障した大日本帝国憲法 57 条に違反するとの主張があっ. 7. たこと、そしてなによりも、陪審員の資格を有産階級に限定し とはいえ、なぜ、わが国では国民の司法参加の方法として裁. たこと、陪審の答申に拘束力がなく、裁判所は裁判官の判断に. 判員裁判という形が採用されたのでしょうか。諸外国の実施例. 一致するまで何度でも陪審を更新できたこと、そして判決に不. をみると、ドイツやフランスなどの「参審制」か、あるいはア. 服でも控訴ができなかったこと、陪審費用の被告人負担など、. メリカの「陪審制」に分類されます。ちなみに、これら制度に. 法そのものに欠陥があったことが原因だとするという見方の方.

(3) が正鵠を得ているように思われます。. 導入については、審議会の委員の間にも支持者はいましたし、. とはいえ、陪審制導入については、陪審法停止後も、日本弁. 先述いたしましたように、日本弁護士連合会でも、今般の改革. 護士連合会や市民団体などにおいて、これまでも議論されてお. よりもずっと以前、明治時代からその導入が主張されていまし. りました。しかしその議論の中心に存在をしていたものは、戦. た。戦後のわが国では、日本国憲法制定時・1960 年代の臨時司. 後採用された新たな刑事司法制度の下での、職業裁判官に対す. 法制度調査会、そして今回の審議会と、これまでに 3 度の大き. る批判の対軸としての陪審制の導入議論であったように思われ. な司法制度改革をめぐる議論がなされました。いずれにおいて. ます。これに対し、今回の裁判員裁判というのは、陪審制でも. も、司法そのものに対する不信があってのことではないのです. 参審制でもない、わが国独自制度としての国民の司法参加の形. が、特に、2 度目の臨時司法制度調査会では、死刑囚の再審事件. です。これは多くの方が仰っておられることですが、これまで. などを契機に、職業裁判官に対する批判がだされ、このことか. の議論の流れからすると、国民の司法参加がこんなにも早く実. ら職業裁判官の対軸に置かれた陪審制についての議論がなされ. 現するとは、誰も予想しえなかったことです。なぜ、このよう. たのです。とはいえ、それが具体的な形にならなかったのは、. なことが成し得たのでしょうか。この点についても若干お話を. 法曹三者だけの議論だけに終始したため、それぞれの利害のみ. します。. が際立ってしまったことにあると考えられています。特に、裁 判所内部では、最高裁判所事務総局を頂点としたキャリア裁判. 今回の裁判員制度の導入を始めとする司法制度改革の流れは、. 官制度が敷かれていました。裁判所はこのキャリア裁判官制度. 経済界からの要請が背景に大きく影響したといわれています。. を背景に、裁判や裁判官の正統性を主張していました。このた. 1994 年 6 月に経済同友会が、個人にとって身近な司法の確立の. め陪審制といったキャリア裁判官制度を真っ向から否定するよ. 必要性を説き、抜本的な司法改革に着手することを要請したこ. うな制度を受け入れることには、硬かったと考えます。. とに始まります。. これらの状況とは異なり、今回の司法制度改革では、それま. 司法制度改革の以前は、政治改革、行政改革が議論されてい. での裁判所の態度とは大きな変化が見受けられます。その頑な. ました。それらの議論の結果、社会の流れを、それまでの事前. な態度を転換させる契機となったのは、審議会の第 30 回の意見. 規制の形から規制緩和へと事後的な問題解決方法へと形を変え. 交換の場です。ここで始めて最高裁判所は、国民の司法参加に. ることに成功しました。司法改革は、これら一連の改革のなか. ついて容認はするものの、最終的な判断については裁判官に委. で最後に行われたものですが、このような社会の変革に伴い、. ねる形での、陪審制あるいは参審制の導入の示唆をしました。. また経済界の後押しもあって、司法もそのあり方を変えざるを. この発言は、他の意見からするといささか消極的な感じは否め. 得なくなったというのが実情でしょう。. ませんが、これまでの経緯からすると、画期的なことだといえ. 1999 年 6 月に設置された司法制度審議会は、 「二十一世紀の. ます。国民の司法参加が現実味を帯びた瞬間といえるかもしれ. 我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、国民. ません。裁判員という言葉がはじめて審議会のなかで示された. がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、. のは、2001 年 1 月に行われた第 45 回の審議会において、参加. 法曹の在り方とその機能の充実強化その他の司法制度の改革と. する国民を示す言葉として委員の一人が仮の用語としてではあ. 基盤の星美に関し必要な基本的施策について調査審議する」 (司. りますが、用いたものです。このような形で、裁判員裁判制度. 法制度審議会設置法 2 条 1 項)ことを目的として設置されまし. の枠組みが作られ、ここから具体的な裁判員裁判制度の制度設. た。このなかでは、裁判員制度だけではなく、法曹人口拡充の. 計がなされていくことになります。. ための方策や、裁判官の選任方法のあり方など、これまでわが 国の司法制度が抱えていた問題の全般について議論検討が行わ. そして 2001 年 6 月 12 日、司法制度審議会は、意見書を当時. れました。この審議会の特徴は、その委員に当事者である司法. の小泉首相に提出しました。司法の利用者である国民の視点に. すなわち現役の裁判官が誰ひとりとして加わっていないことに. 立って司法制度を見直したとされるその内容は、国民の期待に. あります。13 人の委員は、学識経験者 5 人、経済界、労働界、. こたえる司法制度の構築、司法制度を支える法曹のあり方、国. 消費者団体関係者から 4 人、法曹関係者各 1 人(いずれも委員. 民的基盤の確立という 3 本柱を立てています。それまでの国民. 就任時は弁護士) 、作家 1 人であり、 「一般国民の声を背景に、. 不在とされた裁判所から、国民の視点に立った大改革を成し遂. 21 世紀の司法はいかにあるべきかという観点から議論」するこ. げたといえるのではないでしょうか。. とを目的に委員が構成されています。ここで国民の司法参加の 方法を議論する形が整ったともいえるのではないでしょうか。. 裁判員裁判に関する記述ももちろん見受けられます。 「刑事訴 訟手続において、広く国民が、裁判官とともに責任を分担しつ. しかし、国民の司法参加について、どのような形でなされる. つ協働をし、裁判内容の決定に主体的、実質的に関与すること. ことが望ましいのかについては、当初は、参審制ではなく、陪. ができる新たな制度を導入すべきである」との提言をしていま. 審制の方が強く支持されていたように思われます。陪審裁判の. す。ここでは、裁判員という言葉をまだ仮のものとして用いら.

(4) れていましたが、裁判員と裁判官との関係については、共に評 議し、有罪・無罪の決定及び刑の量刑を行うこと、また、裁判. では、この問題点を、先ほど述べた刑事訴訟法の改正でどの. 員は評議において、裁判官と基本的に対等な権限を有し、審理. ように克服したのでしょうか。まず、調書主義が公判中心主義. の過程においては、証人等に対する質問権など適当な権限を有. に改められました。すなわち、時間に制約のある裁判員に膨大. すること、など裁判官ならびに裁判員、どちらか一方の力関係. な調書を読み込むよう求めることは、無理があります。また熟. が作用することのないような制度設計がなされることのないよ. 練した裁判官ならいざ知らず、裁判員にその中から何が争点に. うに要請しています。. なっているのか理解せよと求めることも無理があります。この. 司法制度改革審議会意見書の内閣への提出後、内閣は、2001. ため、何が争点となっているのか明確にするための方策として、. 年 12 月に司法制度改革推進本部の設置をし、制度設計に必要な. 公判前整理手続が採用されました。また調書作成の際の取調べ. 細部についての検討が 2004 年 1 月まで断続的に行われました。. についても、ビデオによる撮影などの可視化がとられるように. そして、2004 年 3 月「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律. なりました。それに加え、裁判は原則として連日的法廷とされ. 案」として政府案・民主党案の両案がそれぞれ国会に提出され. ました。それまで月に 1 回とか 2 か月に 3 回とか言ったペース. ました。衆・参での審議の後、平成 16 年 5 月 21 日に賛成 180、. で開かれていた法廷を、裁判員の負担を軽くするという目的、. 反対 2 という圧倒的多数で政府案が可決されています。. または裁判員の記憶の散逸を防ぐために、連日的開廷としたも のです。さらに「裁判の迅速化に関する法律」が定められ、第. 2 裁判員制度導入後の変化. 一審の訴訟手続については 2 年以内のできるだけ短い期間にこ れを終結させることを目標としました。. 裁判員裁判制度は、以上のような審議を経て、またその後の 5 年間の周知期間ののち、 平成21 年5 月から運用され始めました。. このように刑事裁判は、裁判員裁判導入前と後で、随分と変. では、裁判員裁判導入以前と導入後の刑事裁判では、どのよう. 化をしました。裁判員裁判制度は、市民の感覚を裁判に反映さ. な変化が見られたのでしょうか。. せることを目的としています。そして実施後 1 年間余り経過し. 実は、裁判員裁判制度の法案可決と日を同じくして、成立を. た現在、刑事裁判のありようは一変をしています。例えば、被. した法律があります。それは「刑事訴訟法等の一部を改正する. 害者参加制度です。被害者参加制度とは、被害者または法定代. 法律」です。とはいえ、この法律の名称をお聞きになっても、. 理人が検察官を通じて申し出たときに、裁判所は「被害に関す. 即座に本日のお話とどのように結び付くのか、と思われた方も. る心情その他の被告事件に関する意見」を陳述させるとするも. いらっしゃるかもしれません。しかし、この法律は、刑事裁判. のです(刑事訴訟法 292 条の 2) 。比較的最近では、和歌山で被. の充実、迅速化、被疑者への国選弁護人制度の導入など、裁判. 害者参加による裁判員裁判の判決が出されました。女性を絞殺. 員裁判を実効的に行うため、必要不可欠の法律なのです。. したとして殺人罪に問われた被告男性に対して、被害者の両親. 裁判員裁判制度が導入される以前の刑事裁判はといえば、い. が「事件の詳細を聞きたい」というその一心のお気持ちで証人. わゆる凶悪事件と呼ばれる事件の裁判報道をなどご覧になって. 尋問に立たれたそうです。 この事件では、 求刑懲役20年に対し、. お感じになられるように、裁判には時間がかると思われている. 17 年の判決がだされました。新聞記事によりますと、裁判員ら. のではないでしょうか。その原因は個々の事件の特殊性もあっ. は「 (母親の証言に)涙が出た。法廷でハンカチを出すわけには. て一概にはいえないのですが、事実の争いのない被告人が全面. いかなかった。どうしても感情移入してしまう部分があった」. 的に認めている事件であっても平均 3 か月、事実に争いのある. 「遺族の訴えには裁判員を動かす力があった」8などと話してお. 事件に至っては、一つの審級だけで数年ということもあります。. られます。この記事から裁判員の心情を全て推測することは難. このように裁判が長期化する理由の一つとして、調書主義とい. しいですが、被害者参加制度が裁判員裁判での裁判員にもたら. う刑事裁判の原則があるとされています。この調書主義とは、. すインパクトは無視できないものとなっているのではないでし. 一般に検察官が積み上げた膨大かつ緻密な調書に基づき、裁判. ょうか。. が行われるものです。そもそも裁判所は、直接主義・口頭主義 という原則の下で、裁判所自らが公判廷でその他の証拠を直接. 裁判員裁判における裁判員の役割は、大きく分けて 3 種類あ. 調べて評価をし、当事者の口頭の弁論に基づいて裁判をするこ. ります。まず事実の認定、そして法律の解釈は除きますが、法. とが要請されていました。ところが、実際の刑事裁判は、特に. 令の適用すなわち有罪・無罪の判断、さらに刑の量定です。い. 事実の争いのある場合ですが、裁判官の心証形成において、検. ずれにおいても裁判員と裁判官は、対等な権限をもっています。. 察官が作成した調書に過度に依存するといわれています。しか. ただし、有罪・無罪の判断ならびに有罪の際の量刑判断につい. も、その調書についても、不当な取り調べによって作成された. て裁判員法は、 「構成裁判員及び裁判員の双方の意見を含む合議. 可能性もあったのではないかとの指摘がなされています。. 体の員数の過半数の意見とする」 (67 条 1 項) と規定しています。.

(5) 例えば、評議を尽くした結果、有罪・無罪かの判定において、. 判断されますが、量刑に関しては検察官の求刑意見や弁護人の. 裁判員 5 人が「有罪である」という意見であったのに対し、裁. 量刑意見そして、裁判員裁判用の量刑検索システムによる量刑. 判員 1 人と裁判官 3 人が「無罪である」という意見を述べたな. 資料(量刑分布グラフ)を参考にして、具体的な量刑意見を交. らば、結論として、無罪になります。これは、裁判員による意. 換しながら判断することになりました。. 見だけでは被告人に不利な判断をしてしまう可能性があるので. 興味深い研究報告があります。これは裁判員裁判が導入され. はないかと危惧されたからです。これは裁判官と裁判員が協働. る以前の平成 17 年に、裁判官と国民を対象に、量刑に関する意. して裁判の内容を決めるという裁判員制度の趣旨と、法による. 識や感覚がどのようなものであるかについてのアンケートをと. 公平な裁判を受ける権利を保障している憲法の趣旨を考慮した. ったものです 10。それによりますと量刑については、裁判官と. ものといわれています。また、量刑の判断についても同様です。. しての経験年数が長い人の方が、量刑結果が狭い範囲にまとま. 裁判官 1 人と裁判員 3 人が懲役 15 年、裁判官 2 人と裁判員 3. る傾向がみられます。これは先ほどお話した「量刑相場」の存. 人が懲役 13 年とする意見であれば、後者の懲役 13 年が採用さ. 在が大きく作用しているといえます。刑事裁判において、裁判. れることになります。. 官が量刑においても、平等性・公平性という裁判の原則を重視. とはいえ、裁判員が有罪・無罪の判断をするだけでなく、量. した結果ともいえます。とはいえ、裁判員裁判では、市民の意. 刑まですることに問題はないのでしょうか。裁判員裁判の対象. 見を判決に反映させることが求められています。その結果、こ. 事件は、裁判所法によれば「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮. れまでの職業裁判官による裁判のなかで培われてきた量刑相場. に当たる罪に係る事件」と「故意の犯罪行為により被害者を死. といったものが、覆る可能性もあります。実際、これまでに実. 亡させた罪に係る事件」です。具体的にいえば、殺人罪(刑法. 施された裁判員裁判での量刑判断を概観すると、性犯罪につい. 199 条) ・現住建造物等放火罪(同 108 条) 、強盗致死傷罪(同. ては厳罰化、介護疲れによる殺人については軽減化の傾向がみ. 240 条) 、傷害致死罪(同 250 条) 、強制わいせつ等致死傷罪(同. られるようです。寝たきりの夫を殺害した妻に執行猶予判決を. 181 条) 、遺棄等致死罪(同 219 条) 、身代金目的略取誘拐罪(同. 出した裁判員は「両親の介護経験があり、実情を頭の中に描い. 225 条の 2) 、危険運転致死罪(同 208 条の 2) 、営利目的による. た。高齢化社会全体の問題として考えていくべきと感じた」と. 麻薬等の輸入の罪(麻薬及び向精神薬取締法 64 条 2 項)などが. 話しておられます 11。裁判員自身が判断をする際、問題を自ら. 該当します。. のことと置き換えて判断すること、法律や裁判官の判断に捉わ. このなかで、殺人のケースを挙げてみましょう。刑法 199 条. れることなく、自らの感覚で判断をすること、そのことがこの. は、次のように定めています。 「人を殺したる者は、死刑若しく. ような判断結果を導いたと思われます。市民が参加することの. は5 年以上の懲役に処する」 。 この規定の文言を素直に読むと 「死. 意義がここに見出されると思います。しかしこのことが負の方. 刑もあれば、懲役もある」 。つまり有罪の判断をしたのち、量刑. 向性に作用してしまった時、裁判員が過度の感情移入をしてし. を決めていくわけですが、法で規定する刑罰には、大きな幅が. まうことの危険性も、そこに見え隠れします。. あることを意味しています。では、量刑をどのように決定する のでしょう。これまでの職業裁判官による裁判では、これまで. 3 裁判員の役割. 裁判所が過去の同種の事件で出された判断を基に、 「量刑相場」 なるものが存在をしていました。その量刑の判断の方法につい. さて、これまで裁判員制度が導入されるに至った経緯、そし. ては、このように考えられていました。 「当該犯罪事実自体とそ. て裁判員制度が導入された後の刑事裁判の変化について、お話. れに関する情状(違法性や責任に関する事情) 、すなわち、犯行. をしてきました。とはいえ、やはり現実問題として、ご自身が. の動機、方法、結果、社会的影響、さらには被害者側の行為や. 裁判員に選ばれた時のことを考えると、不安に感じられる方が. 事情も含めた犯行の誘因、共犯者との関係、加功の程度、常習. やはり多いはずです。人の運命を左右することにできる限り関. 性などにより、行為責任に応じた刑の大枠を決め、その幅の中. わりたくないと思うこと、ましてや刑罰を科すという重大時に. で、具体的な事案に即して、犯人の年齢、性格、経歴、環境、. は、関わりたくないと考えることに、何ら不思議はありません。. 犯罪後の反省の態度、示談の成否、被害感情等といった『一般. しかし、今回の裁判員裁判の導入は、そういった感情をも凌. 情状』が考慮され、その中に、一般予防や特別予防という刑事. 駕する新たな刑事裁判の幕開けといえるのではないでしょうか。. 政策的な目的が勘案されていくとされている」 。このように量. 裁判体のなかに市民が入り、裁判官と対等な立場で判断すると. 刑を決定する場合には、さまざまな判断要因があり、実際の判. いうのは、これまでのわが国の裁判では考えられなかったこと. 断では、それらを複合的に勘案していくことが求められていま. です。これまで見てきたように裁判員裁判導入以前のこれまで. す。しかし、経験を積んだ裁判官ではない裁判員に、このよう. の刑事裁判に対して、国民から大きな非難や不信があったわけ. な判断が可能なのかと思われるでしょう。今回の裁判員裁判の. ではないにも関わらず、なぜ今回、裁判員裁判が導入されたの. 実施に伴い、もちろん一次的には、当事者の主張を根拠として. か。そこに裁判員に求められる役割があると考えます。. 9.

(6) 先述した司法制度審議会意見書は、裁判員制度における市民. いて思い浮かべられたのは、 「殺すつもりであった」かどうか、. の役割について次のように示しています。つまり、市民は「裁. であると思います。しかし、計画的ではない衝動的な殺人の場. 判官とともに責任を分担しつつ協働し、裁判内容の決定に主体. 合は少し事情が異なります。法律用語を用いるならば、 「未必の. 的、実質的に関与する」こと。そしてどのように裁判官と裁判. 故意」という用語がありますが、それをどのように裁判員に説. 員が「協働」していくかについては、次のように示されていま. 明をしていくのか、わかりやすく誤解されない形で説明をして. す。 「国民が司法に参加する場面において、法律専門家である法. いく必要があります。例えば、この場合、 「相手が死ぬかもしれ. 曹と参加する国民は、相互の信頼関係の下で、十分かつ適切な. ないが、それでも構わないと思い、あえて行為に及んだか」と. コミュニケーションをとりながら協働をしていくこと」 。この 2. いう説明だけでなく、さらに詳細に「人が死ぬ危険性の高い行. つの文章に共通に見られるのは、裁判官と裁判員が「協働」 、協. 為をそのような行為であると分かっておこなったかどうか」が. 力して働くという関係にあるというものです。裁判員法では、. 判断のポイントであることを説明する必要があるでしょうし 13、. 事実の認定・法令の適用・刑の量定について、裁判員と裁判官. それ以上の説明を必要とするかもしれません。. との「協働」関係にあることを規定しています。例えば、評決 について裁判員法 67 条 1 項は、 「・・裁判官及び裁判員双方の. これらのことから裁判に関わる法律家は、これら法律家が裁. 意見を含む合議体の員数の過半数の意見による」と規定してい. 判のなかで用いてきたことを当たり前のこととせず、法律の素. ます。これによりますと裁判官そして裁判員、いずれの一方に. 人にもわかる裁判へとすることが求められるでしょう。また裁. 偏ることなく判断することを求めています. 。しかし、裁判の. 判官には、裁判官に求められている役割、すなわち専門家とし. 準備手続であるとか、判決書の作成などは、裁判官がおこない、. て行うべき役割を十分に果たすために、より専門性を高める必. 裁判員はその部分に関与しません。法律と先例を前提にして証. 要があると思います。裁判官が職責を全うすることで、市民の. 拠に基づいて事実を認定し、それを当てはめるという役割は、. 司法に対する信頼が高められ、裁判員裁判に対する理解度も増. 従前のままに裁判官の役割ということになります。このように. 進し、ひいては市民にとって身近な司法となることが期待され. 考えると裁判員と裁判官、それぞれに求められている役割は、. ます。. 12. おのずと異なってきます。. おわりに では、裁判員に求められている役割は、どのようなものでし ょうか。私たち市民は、法律に従って生活をしています。逆の. 裁判員裁判制度は、当初「市民が主役の制度である」ともい. 見方をすれば、法律により、私たちの生活は守られているとい. われていました。勿論、裁判員裁判制度は、市民の方々がいら. えます。とはいえ、私たちの日々の生活において、あまり法律. っしゃらなければ成立しないものです。しかし本日、私がお話. の存在を意識して生活をすることはないはずです。ですから、. をさせていただいたのは、裁判員と裁判官の関係は対等のもの. ある日裁判員に選ばれたからといって、訓練された法律家と同. であり、協働関係にあるということです。これは、本日最初の. じレベルで法律を論じるよう求めることにも無理があると思わ. 部分でお話をさせていただいた裁判員裁判制度が想定されたと. れます。このことからも推測できるかと思いますが、裁判員に. きからのスタンスです。裁判官ならびに裁判員は、それぞれの. 求められているのは、専門的な法律知識ではありません。法の. 役割に応じて、その職責を果たすことを求められているに過ぎ. 空白の部分といいますか、法では一義的に解釈できない部分、. ないのです。職業裁判官には、法令の解釈を行うこと、そして. つまり解釈に幅のある部分について、裁判員それぞれが市民生. 裁判員には、法令の解釈に幅がある部分について社会常識を反. 活のなかで見たことや感じたこと、一般市民の社会常識を反映. 映させること、これが裁判員裁判で裁判官ならびに裁判員両者. させていくことが求められているのではないかと考えます。裁. に求められた役割です。. 判官と裁判員が協働して裁判体を構成するということは、裁判. 確かに、国家が国民に対し「くじ」という偶然の出来事で、. 官の専門的な知識と一般市民の社会常識、その両者を信頼関係. 裁判員に選ばれたからといって裁判員になるように義務づけを. で結び、対等な立場に置くことを意味します。ですから、いず. することは、憲法 18 条の定める「苦役」にあたるとする見解も. れの立場が優位するというものではありません。. あります。裁判員に課された義務に違反した場合は、法律上、. 今回の制度導入に際しては、裁判官に対して 3 つの義務が課. 罰が予定されています。このような見方をすると、裁判員裁判. されました。公判前整理手続を必ず行うこと(裁判員の参加す. 制度不要論が出てきても何ら不思議なことではありません。と. る刑事裁判に関する法律 49 条) 、迅速でわかりやすい審理に努. はいえ、このことは本日、最初にお話をした裁判員経験者に対. めること(同 51 条) 、そして法令の説明・評議の整理に係る裁. するアンケートの答えで否定できるのではないかと思います。. 判長の配慮義務(同 66 条 5 項)です。例えば、殺人罪の場合、. 「非常に良い経験をした」あるいは「よい経験であった」とす. 殺意があったかどうかが問題とされます。とはいえ、殺意と聞. るものが9 割強もあることは、 時間はかかるかもしれませんが、.

(7) この制度が国民のなかに根付き、また必要な制度となっていく ことを示しているのではないかと考えます。裁判員が一時的に ではあるにせよ、事件と向き合い、それを自らのことに置き換 え、自らの意見を導きだす。これにより司法を「お上」のもの として自分には無関係な存在であるとする見方・考え方から、 身近な存在へと思考の転換をすることができるのではないでし ょうか。 裁判員裁判制度は、まだ開始されてから 1 年しか経過してい ません。これまで裁判員裁判の対象となった事件は、比較的裁 判員の判断しやすいケースであったともいわれています。また 実施後に、運営上の問題点も多数指摘されました。3 年度には見 直しが予定されています。制度が発展的に維持されていくため には、問題とされた部分の改善はもちろんではありますが、市 民おひとりおひとりの司法に対する意識改革、これこそが最も 必要なことだと思います。そのためには、公教育においても実 践的な法教育を施すだけでなく、普段の社会生活のなかでの出 来事に関心をもつこと、これこそが司法制度改革審議会意見書 が 3 本柱として指し示す司法に対する「国民的基盤」の確保に 繋がるのではないかと考えます。. (注) 本稿は、平成 22 年 7 月 30 日、三重県生涯学習センターでの 「みえアカデミックセミナー2010~心豊かな人生へのアクセス ~」において表題の講演を行った際の講演原稿である。なお、 本紀要掲載に際して、統計データなどの再度の見直しをした。 また、講演に際して、近畿大学法学部石田榮仁郎教授ならびに 土屋孝次教授から、有益なご教示をいただいた。ここに感謝の 意を表したい。 2 本数字は「裁判員裁判の実施状況について(制度施行~平成 22 年 5 月末・速報) 」5 頁、 http://www.saibanin.courts.go.jp/topics/pdf/09_12_05-10jissi_j youkyou/02.pdf(平成 22 年 8 月 3 日現在) 。 3 本数字は、 「裁判員等経験者に対するアンケート調査結果報告 書(平成 22 年 1 月~4 月分)7 頁」平成 22 年 7 月より。 http://www.saibanin.courts.go.jp/topics/pdf/09_12_05-10jissi_j youkyou/h22_tyousa.pdf(平成 22 年 8 月 3 日現在) 。 4 同上 8 頁。 5 裁判員裁判について憲法違反との主張は多く存在するが、さ しずめ、大久保太郎「 『違憲のデパート』裁判員裁判制度実施の 不可能性(上) ・ (下)予想される制度の実態の考察」判例時報 1883 号 3 頁、同 1884 号 3 頁(2005) 。 6 社団法人中央調査社「 『議員、官僚、大企業、警察等の信頼感』 調査(調査結果の概要) 」 (2010 年 3 月 16 日付) 。 http://www.crs.or.jp/pdf/trust09.pdf (平成22 年8 月3 日現在) 。 この調査結果によると、医療機関、裁判官、自衛隊、銀行、警 1. 察、教師、大企業、マスコミ・報道機関、国会議員、官僚とい った 10 の項目のうちで、裁判官は医療機関に次いで信頼感があ るとの調査結果が出されている。この調査は、無作為に選んだ 全国の 20 歳以上の男女個人 1258 人から、それぞれの機関・団 体の信頼感を 5 段階の成績評価で答えてもらったもの。裁判官 は、平均評価 3.4 で、医療機関の 3.5 に次いで高い。ただし、 「た いへん信頼できる」 (評点 5)としたものは、全体の 9.5%にも上 り、すべての項目のうち最も高い評価が出された(ちなみに次 点の医療機関は、9%) 。 7 http://www.courts.go.jp/kensin/pdf/jyuri_giketu_kensuu.pdf (平成 22 年 8 月 3 日現在) 。 8 平成 22 年 7 月 6 日、毎日新聞朝刊(和歌山市内版) 。 9 原田國男『量刑判断の実際(第 3 版) 』53 頁(2008、立花書 房) 。 10 司法研修所編『量刑に関する国民と裁判官の意識についての 研究-殺人罪の事案を素材として-』175 頁(2007)。 (前田雅英 「第 5 刑事法学的視点から見た今回の結果の意味するもの」 ) 。 11 平成 22 年 7 月 9 日、朝日新聞朝刊(大阪本社版) 。 「check 裁判員時代(各地の裁判員の言葉から) 」より。 12 池田修『解説 裁判員法(第 2 版)立法の経緯と課題』39 -41 頁(弘文堂、2010) 。 13 司法研修所編『難解な法律概念と裁判員裁判』9-19 頁(法 曹会、2009) 。 [参考文献(主要なもの] ・青木人志『 「大岡裁き」の法意識―西洋法と日本人』光文社新 書(2005) ・石松武雄・伊佐千尋『裁判員必携―批判と対応の視点から』 ちくま新書(2009) ・小田中聰樹『裁判員制度を批判する』花伝社(2008) ・川嶋四郎『日本人と裁判-歴史の中の庶民と司法」法律文化 社(2010) ・川島武宜『日本人の法意識』岩波新書(1967) ・佐藤幸治・竹下守夫・井上正仁『司法制度改革』有斐閣(2002) ・土屋美明『裁判員制度と国民-国民的基盤は確立できるか』 花伝社(2009) ・日弁連司法改革実現本部『司法改革-市民のための司法をめ ざして』日本評論社(2005) ・日弁連創立五〇周年記念行事実行委員会編『日弁連五十年史』 日本弁護士連合会(1999) ・柳瀬昇『裁判員制度の立法学-討議民主主義理論に基づく国 民の司法参加の意義の再構成』日本評論社(2009). 本稿は、近畿大学工業高等専門学校の研究助成(別枠研究費) ならびに近畿大学における学外研修の成果である。.

(8)

参照

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