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『竹取物語』の構造と主題に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)『竹取物語』の構造と主題に関する研究                     教育内容・方法開発専攻           文化表現系教育コース言語系教育分野(国語).                         M111651                            東崎雅樹. 1 研究の目的.  第二節.  本研究は、『竹取物語』の作者が意図した主題. 第三章. は何であったかということに論究することを目.  第一節. 的としている。主題については、およそ四段に分. 蓬來・竜宮・月の都の空間性 「月の都」とかぐや姫. 日本と中国の月と『竹取物語』におけ る「月の都」. けられている(かぐや姫の生い立ち、五人の貴公.  第二節. 子の求婚難題言草、帝の求婚、かぐや姫の昇天)そ. おわりに. 『竹取物語』の主題性. れぞれの場面、もしくはいくつかの場面に焦点を あてて論じられることが多い。しかし、物語全体. 3 研究の概要. を通した繋がりについてはあまり触れられてい. 第一章. ない。この物語には空想的・浪漫的な冒頭と末尾、.  第一章では、第一節に玉人の求婚者と帝、翁の. そして調剤的な求婚難題詞というそれぞれの場. 変化を見ることによって、彼らが天人であるかぐ. 面での主題に加え、物語全体を通して一貫した主. や姫に変化させられたということを示した。そし. 題が設けられていると考えられる。. て、第二節でかぐや姫もまた、彼らによって天人.  そのため、それぞれの場面、人物を通して物語. としてのかぐや姫から人間としてのかぐや娘へ. を最初から最後まで考察することにより、物語構. と変貌・させられていったということを確認した。. 造の有機的な繋がりをとらえ、そこから作者の意. このように見ると、人物相互で関連し合っており、. 図する主題は何であったのかを論究してみたい。. さらにかぐや姫の変貌は物語が進むにつれて 徐々に深まり、五人の求婚者の最後で「あはれ」. 2 論文の構成. という感情を獲得することに至った。かぐや姫の. はじめに. 変貌は、昇天の場面になって『竹取物語』全体の. 第一章 登場人物の変化. 主題生を浮き上がらせる役割を持つという足が.  第一節 五人の求婚者と帝、翁. かりを示した。.  第二節 天人としてのかぐや姫と人間として      のかぐや姫. 第二章. 第二章 求婚難題謂と月への昇天.  第二章では、かぐや姫が出したそれぞれの難題.  第一節 天竺・唐土・内裏の空間性. の場所について見ることで、その場所が持つ空間.

(2) 性を考察し、天竺・唐土・内裏は水平の構造、蓬. はずの月の世界に一矢報いたものこそが「あはれ」. 來・竜宮は垂直の構造であることを示した。この. であり、この『竹取物語』で作者が読者に投げか. 国と神仙境を交互に持ってくることにより、バラ. けたものであったと結論づけた。. ンスの取れた構造になっている。さらに、現実的 な要素と空想的な場所を交互に出すことで、物語. おわりに. 世界を空間的にも内容的にも立体的なものにし.  おわりにでは本研究の再確認として、『竹取物. ようとする狙いがあったと言える。これによって、. 語』はそれぞれの場面が明確な意図を持っている. 求婚難題講と昇天の場面を繋ぎながらも、それま. ことを再提示し、その一方で、場面と場面が有機. で出てくることのなかった月が、物語の最後で大. 的な繋がりを持つことによって、物語全体を通し. きく浮かび上がってくるのである。最後に出てく. た主題を表していることもまた確かなようであ. る月は、その根拠として、人間には行くことので. ることを示した。翁から五人の求婚者へ、五人の. きない場所であるという点、そこに住む人(天人). 求婚者から帝へ、そして帝から天人へと。それぞ. は人間の持っていない、不思議な力を持っている. れの存在を超えるものが現れることによって、次. という点から、神仙境とはいえ、蓬來や竜宮と同. の場面へと物語が転換していく。. じように垂直の構造であることも確認した。.  最後には、かぐや姫が帝に不死の薬を残してい く。これにより、帝はある意味で地上の世界を脱. 第三章. することが可能になった。しかし、帝が不死の薬.  第三章では、日本と中国の月と『竹取物語』に. を燃やして破棄することによって、地上の世界の. おける「月の都」、そして『竹取物語』の主題に. 「あはれ」を生きることを決める。無常な地上の. ついて考察した。中秋名月という儀式が、中国か. 世界にもきよらかで不老不死の月の世界にはな. ら日本へと渡り、『竹取物語』がそれを取り入れ. いものがある。それこそが、地上の世界で経験す. ることによって、「月の都」を縞麗に描き出して. ることのできる「あはれ」であったということを. いる。そして、「天人」という考え方は、『竹取物. 本稿で示した。. 語』以前にも存在していたが、羽衣を持つという こと、空を飛ぶことは書かれているが、月へ昇る ということは書かれておらず、『竹取物語』に初. めて見られるものであった。この発想は、中国の 『准南子』に見える婦蛾からヒントを得た可能性 がある。また、『竹取物語』全体を通して、「あは. れ」というものがこの物語の主題であるというこ とを確認した。地上の世界は「きたない所」であ. るが、そこに生きている人間が持っているrあは れ」という感情は、清らかな月の世界に生きる天 人には理解できないものであり、月の世界と相対. 主任指導教員 山口眞琴. 化され、無力である地上の人間が、何もできない.   指導教員 山口眞琴.

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