高硬度硬脆材料の切断加工の研究
―アルミナセラミックスのD砥石切断―
向山芳世
緒方勲
(昭和51年8月31日受理)Study on Cutting Process of High-Hard and Brittle Materials
-On Cut-off of Alumina Ceramics by Diamond Cutting
Wheel-YoshitsuguMUKOYAMA IsaoOGATA
AU〕stract I。,ecent y,ars, high−h・・d and b・ittl・m・t・・i・1・,・u・h・・apPhi・e・nd・lumina ce・ami・・’ have been useful in the fields of industry, and there are many technical requirement for high accu,acy・nd high・伍・i・n・y machi・i・g,・b・ve all th・p・・bl・m・n・utti・g P・・cess th・t is basic working in machining is most lmportant. The c。tti。g,e、i・tance・f ce・ami…f・1・mi・・g・・up i・m・a・u・ed t・6・d the cutti・g ,伍。i。n,y whi。h i・di丘・・d with the cutti・g v・1・m・p・・unit・n・・gy・and i・af・nd・m・nt・1 。f。h。ice。f。ptim。m・utti・g 9・i・d・・, selecti・n・f m・・t・uit・ble cutti・g・・nditi・n and deci・i・・ of machinability of materials which are much necessary matters for cutting process. In th。、e exp。,im・nt・, v・・i・u・kn・w1・dg・・can b・・bt・i・・d, and・・e inv・・tig・t・d・b・ut 。utti。g、h。,act・・i・ti・,・nd f・・th・・, m・ke c1・a・the effecti・・m・th・d・f p・actica1・utti・g process・ 1. まえがき 近時サファイヤー,アルミナ系セラミックスなどの 高硬度硬脆材料の宇宙産業,電子部品への用途がます ます拡大し,それらの高精度,高能率加工技術の開 発,改善が要望されているが,材料加工の基本的工程 である切断加工に関する高精度化,高能率化の問題は 最も重要な課題である。 従来ゲルマニウム(Ge),シリコン(Si),水晶,ガ ラスのように比較的硬度の低い硬脆材料の切断加工に ついては多くの研究報告があり,実際の加工において も問題が少なくなってきているが,高硬度硬脆材料の 加工については明確でない点が多い。そこでダイヤモ ソド砥石を用いアルミナ系セラミックスの切断加工に おける切断抵抗と切断特性について検討した結果を報 告する。 *昭和45年度精機学会山梨地方講演会にて発表 2. 実験装置および方法 硬脆材料の切断には通常ダイヤモソド砥石が有効で あり多く使われているが,本実験においても切断砥石 としてダイヤモソド砥石を用い,切断装置は砥石軸ま たは被切断材料(工作物)を往復運動させて加工する Transferタイプで,外周形のものを使用した。切断 部への加工液の供給は,装置が作業性向上のために全 密閉式のもので,砥石の下部が加工液に浸っており, 砥石の回転によって加工液は砥石カバーを伝わって上 方に汲みあげられ,潤滑,冷却などを十分行うように なっている構造であるが,砥石の回転が低い領域では 加工液が砥石カバーを伝わって上方に十分あがってい かないので,この場合はホースにて上方から供給する 方法をとった。切断砥石は切断代を少なくするために 一般に薄いものの使用が多くなってきているが,セラ ミーックスは半導体材料のように高価でなく,半導体ほ ど厳しく切断代を問題にしないこと,実験上の便宣な表一1Al203の物理的機械的性質の比較
\\竺料
\\
99.5%アルミナ磁器 水 晶 シリコン(Si) ゲルマニウム(Ge) Diamond比 重 3.7∼3.97 2.59∼2.66 2.23 5.35 3.45∼3.56
融 点(℃)1
2050 1600 1415 960 3500∼3700 比 熱 (Cal/9・°C)線膨張係数
(×10−6/℃) 熱 伝導 率 (Cal/cm・sec・°C) 引 張 強 さ (kg/mm2)縦弾性係数
(kg/mm2×102) 圧縮 強 さ (kg/mm2) 曲 げ 強 さ (kg/mm2) (20℃) 0.21 (500°C) 0.25 (25∼200°C) 6.0 (25∼700°C) 7.7 (20°C) 0.0489 (500°C) 0.0169 26.0∼26.6 364 (ガラス 55∼72) 299 29.0∼33.0 (12∼100°C) 0.188 (0∼80°C) Z軸平行 7.97 Z軸直角 13.37 Z軸平行 0.32 Z軸直角 0.17 Z軸平行 16 Z軸直角 13 Z軸方向 104.9 XY軸方向 79.5 Z軸平行 245 Z軸直角 224 Z軸平行 13.7 Z軸直角 9.2 (18∼99°C) 0.181 (40℃) 7.63 0.270 174 0.073 15×10−6 0.151 141 1.34×10−6 0.33∼0.445 900ヌープ硬さ
2000 820 950 750 8000 どの点から,比較的厚い0.25∼0.8mm厚さの砥石を 主として用いた。ダイヤモンド砥石は国内2社のもの 8種類,国外1社のもの2種類を使用し,RIPPLE1) らの砥石選択データを参考にしてコンセソトレーショ ン100を基準のものとした。工作物は表一1に示す特性 をもつ99.5%アルミナセラミックス(基準大きさ12 ×12×85mm)である。 砥石の切断性能を判定し,工作物の切断特性を知る ためには,切断加工の際の切断抵抗を知ることが,必 要かつ重要であると考えるので,8角形弾性リングと ストレーンゲージの組合わせを用い,切断抵抗の変化 をゲージの弾性歪の変化として取出す方法で測定し た。この弾性リングは図一1に示す形状であり,接線主 分力は(5)(6)(7)(8)のゲージで,垂直(法線)分力は(1)(2) (3)(4)のゲージで2分力(2成分)を同時に測定できる が,弾性リングの製作に当たり,切断抵抗の測定精度 をあげるために切断の剛性に比較してこの装置の静剛 性が十分大きいこと,装置の固有振動数を十分高くす ること,ダンパを加えて減衰比を最適値にすることな どに細心の注意を払った。またストレーンゲージの選 定と,はりつけ,さらに切断液による吸湿などの問題 にも予備実験を繰返し行い万全を期した。 抵抗測定装置の特性曲線は図一2のようになり,荷重 とペン書きオシロの読みの関係は直線関係にある。8 角形弾性リングを実際に加工が行われる切断装置に取 付ける場合は,送りテーブル上に設置する必要があ り,やや片持ちの形となるので,これと同一な状態に 弾性リング 「’1/工作物⇔ \
/工作物保持具蕊
諺 嶋
⑦ ②一 ① ’ 一 一 ◎−R ④晶 ⑥ 68 94 3 20 怒15 ‘ξ 艮k10
蜘 ,x 5て 図一1切断抵抗測定装置 O水平方向荷重 △垂直方向荷重 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 荷重〔9〕 図一2切断測定装置特性曲線 おける荷重とペン書きオシロの読みの関係と,剛性の 大きい厚さ150mmの石定盤上にこれを置いた場合の 荷重とペン書きオシロの読みとを測定し比較すると, 加工装置上の弾性リング設置の条件より剛体に近い石 定盤上の結果の方が小さくでるが,その差は1∼2%程度であり,実測の上であまり影響がない。 3.結果および考察 3.1切断抵抗 切断条件に対する接線切断抵抗(F,)と法線切断抵 抗(F。)の測定結果の一例を図一3,図一4に示す。一般 に切断速度(v)が増すと接線切断抵抗,法線切断抵 抗ともに増加し,砥石周速度(V)が増すと両者とも に減少する。砥粒による加工であるこの切断方式にお いては,砥粒1個の切れ刃が材料を切削するに必要な 切込み深さ(g)が問題であり,この深さは切断速度 vを増すとこれに比例して増加し,砥石の周速Vを増 すとこれに反比例して減少することになり(g・Cv/V), 4000 回 ξ 遼 累3000 叢 董 『 三 遼
吋
砥石外径:157.30mm 砥石厚さ:0.651mm 切断液:混合油B −◇一一V=1538m/min PtX−V=1797m/min −rふ一V=2045m/min 冗鰐≡盛≡三三三三三三’ヨ 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 切断速働〔mm/min〕 図一3 切断速度と切断抵抗の関係 4000 芭 富 憂3000 嚢 穎 ボ2000 ぎ § 藁1… 責 砥石外径:157.30mm 砥石厚さ:0.651mm 切断液:混合油B −一梭鼈黷磨≠X.9mm/min _→x_v=6.5mm/min −一△一一v=4.8mm/min 9−;三三三三三三三荘≡…≡十 1750 2000 砥石周速度〔m/min〕 図一4 砥石周速度と切断抵抗の関係 砥粒1個の切込み深さが増すと切断砥石を形成する砥 粒1個,1個に働く切断抵抗が増加することになるの で,切断速度を増すと切断抵抗は増加し切断砥石の周 速を増すと砥粒1個1個に働く切断抵抗は減少する。 このことは被切断材料の硬度に関係なく成立する事項 であり,重要なのは材料の硬度により,切断抵抗の絶 対値がどの程度の値を示すかである。 砥石研削切断における接線切断抵抗F‘,法線切断抵 抗Fnの関係2)は jF・ ・・ 」Pmap+・・F・ ・= IPm [ap+詞 Fn一ノ1㌦血 で表される。 ここに 1;同時研削砥粒数 P.;被切断材料の降伏応力(kg/mm2) a。;砥粒と被切断材料の接触面積を負荷方 向に直角な平面に投影した面積(mm2) ap;砥粒と被切断材料の接触面積を引かき 方向に直角な平面に投影した面積 (mm2) μ;砥石と被切断材料との間の摩擦係数 である。また, μb;結合剤または目づまりした削り屑と被 切断材料との間の摩擦係数 μg;砥粒と被切断材料との間の摩擦係数 とすると μb一μ 況==一一一 μ〇一μ9 であり 荒一・・晋+μ となる。 各種硬脆材料のヌープ硬度(Knoop Hardness)は 硝子320(kg/mm2), Ge 750(kg/mm2), Si 950(kg /mm2), A砥粒1950∼2050(kg/mm2),ダイヤモンド 8000∼8500(kg/mm2)程度であり,実測による切断 抵抗は被切断材料のヌープ硬度(Hn)にも関係し,硝 子,Si, Geなどのヌープ硬度および切断抵抗の実測値 と比較すると,ヌープ硬度の小さい領域ではその影響 は小さいが,ヌープ硬度が大きくなるとその影響は非 常に大きくなり切断抵抗も急激に増大するようにな る。また,被切断材料の硬度が増加するにつれて,砥 粒切れ刃の摩耗も進み,目こぼれ現象までの「切れ刃 の自生作用」が極めて少ないといわれるD砥粒では, 目こぼれまでの段階で砥粒切れ刃先端の曲率半径が順 次大きくなって切断抵抗は更に大きくなる。物質の正常な結合状態を破壊しようとする力に対する抵抗力の 大小が硬度であり,ヌープ硬度と切断抵抗の関係も切 断特性を知る上の一つの目やすとなる。この切断にお いては目づまりの起こる割合いは小さく,結合材ある いは目づまりした削り屑と被切断材料との間の摩擦係 数はあまり変化しないが,摩耗した砥粒の集合体であ る砥石と被切断材料との間の摩擦係数μが比較的増 し,結果としてxが小さくなるから法線抵抗F。が大 きくなり,通常の砥石研削などにおけるFn/F、・・1.5 ∼2.5より大きく,約3∼7の数値となる。いずれに しろ通常の研削加工に比較して砥石切断加工では,砥 石の単位時間,単位面積当りの加工量は非常に大きい ので,被切断物材料の機械的性質と砥粒と被切断材料 間の現象が特に問題となり重要である。 切断抵抗に影響する因子は切断速度と切断抵石の周 速度の外に切断砥石の幅,切断断面積,接触弧,切れ 刃として作用する砥粒の円周方向の平均間隔,切断液 の特性などである。切断砥石の幅が増すと当然同時研 削砥粒数が増加し,切断研削抵抗は接線方向,法線方 向共に増大することになる。被切断材料厚さと切断距 離できまってくる切断断面積と切断抵抗の関係は切断 断面積が増すと切断抵抗が増加するのが通常の形であ る。しかし,砥石切断においては他の切断条件による 目づまり,目こぼれなどの現象により切断抵抗が変化 することも注意を要する。それは切断断面積が増すに つれて切断抵抗が増大する傾向を示すものと,切断断 面積のある点に切断抵抗の最大値が存在し,それ以後 は切断断面積が増しても切断抵抗は減少する形のもの とがある。砥石が目づまりすると切断抵抗は切断加工 の進行につれて増加していき,やがて切断砥石が破損 するところまでいってしまうが,切断断面積のある点 で切断抵抗のピークを示す場合は,切断砥石が目こぼ れの条件にあり,切断抵抗の増加により,摩耗した砥 粒が砥石面から脱落して切れ味の良い砥粒が順次露出 して切断抵抗は減少することになる。 本実験におけるように被切断材料が極めて高硬度の 場合は,材料の強度が大きいので,切断抵抗が大きく, 通常の切断砥石では目こぼれの形態を示す(図一5)。目 こぼれ現象により切断抵抗の減少するのが切断断面積 の非常に小さい領域でおこるのが高硬度材料切断の特 長であることも注目すべき重要な事柄である。切断速 度,切断砥石の周速度などの他の条件と加工精度,砥 石寿命の関連もあるが,切断抵抗の点からは加工精度 を抵下させない範囲で,できる限り薄い切断砥石の使 用が切断抵抗の小さい良好な加工を可能にすることに 3000
3
ξ ・2000 巴 B1000 砥石外径:157.04inm 砥石厚さ:0.505mm v/V:3.12×10−6 切断液:灯油 2000 4000 6000 8000 10000 切断断面積〔mm2〕 図一5 切断断面積と切断抵抗 なるが,高硬度材料の切断用砥石は切断抵抗が大き く,砥石地金部の座屈による砥石破損をきたす。そこ で砥石地金部材質の強度と切断抵抗による砥粒の適当 な目こぼれ現象の発生が砥石寿命の点から十分考慮さ れるべきであるが,本実験のv/Vの範囲においては 通常のメタルボソド砥石でこの両者の要求を満足して 十分使用できるようであるが,砥石寿命をあげるため には砥石ボソドの方法に改良を加える必要がある。 v/Vは平均砥粒切込み深さ(g)に比例する量であ るので,これをパラメーターとして切断抵抗を整理す ると現象説明に便利なことが多い。図一6はv/Vに対 する切断抵抗の結果であるが,前述のように〃/Vは砥 粒の平均切込み深さgに比例する量であり,gの値の 増加により切断抵抗は増すことになる。切断接線抵抗 F,および切断法線抵抗F。と(v/V)の関係はGe切断 の場合はFt ・C (V/V)°・32, F。 ・c(V/γ)°・21∼°・52であり, Si切断では、Fz㏄(v/V)o・8,、Fπ㏄(v/V)o’8である3)が, アルミ系セラミックス切断においてはFt CC (V/V)O・65A’ o・75CFn(v/V)o・ 65”o・ 75であり, Geに比較して(v/V) の切断抵抗に及ぼす影響が大きく,Siと同じ程度であ る。 切断砥石が被切断材料に接触している範囲である接 触弧は切断砥石と被切断材の大きさおよび切断砥石の 切込み量とによって決まる量であり,切断砥石と被切 断材料との相対関係により図一7(a),(b)∼(d)のような形 となり,図(a)の場合は接触弧Lは L・=2R・iガ音であり 図(b)∼(d)では a≦∼/2Rb−b2ならば切断長さ1は 0≦1≦∨21∼b−b2+α となり 0≦1≦a では L−R(・in−i 2警一∂・i・→㎡2R6元∂一’)500 回400 言300 憂 繋200 1001
1㎜
鎌
ボiii砥石外径:157.40mln
砥石ダイヤ層厚さ:0.823mm2 3 4 567
v/V ×10−6砥石外径:157.40mm
砥石ダイヤ層厚さ:O・823mm。切断液:灯油O
o
。8 °
o o
o
O
(a)J
2 3 4 567
v/V ×10−6 (b) 20 一一 C幽
・αら 誼 @ 一一’@1
ヨ
500 連400 二 巴 300 緊200砥石外径:157.30mm
砥石ダイヤ層厚さ:0.651mm 切 断 液:灯油 oo (a) o o o (c) (b) 1001o
oo
o
o2 3 4567
v/V ×10−6
砥石外径:157.30mm
砥石ダイヤ層厚さ:0.651mm互
図一7接触弧 (・) (d) 2000 切 断 邑 信 這 H. く) 蛋1000 塞900 。°超800 0
畜7000
ボ600500
4001
液:灯油o
O
oo
OOo
o o o2 3 4 567
v/V ×10−6 図一6v/yと切断抵抗の関係 (d) 0≦1≦N/2Rb−b2では L−R(・in−1疏呈2−1+a−・in−1亘b元b判
㎡2Rb−62≦1≦㎡2Rb−b2十aにおいては L−R(・in−1−−tRtRb−b t+a) となる。 ここに R;切断砥石の半径(mm)b;被切断材料の厚さ(mm)
本実験においては直径の小さい切断砥石使用の場合 は図(a)の形態であり,大きい砥石を使用するときは図 (b),(c),(d)の条件となる。いずれにしても切断抵抗は 接触弧の影響をうけるが実測でも切断砥石と被切断材 料の大きさが大きくきいてくる。硬度の高い材料の切 断においては,切断精度,砥石寿命などの点から被切 断材料の大きさに応じて,切断砥石の大きさの選択使 用が必要であり,接触弧を小さくする考慮を特にはら うべきである。 通常砥石切断加工においては,最適切断砥石の選 択,最適切断条件の選定,切断機械の選定が最も重要 な事柄となり,これらに関する事項を十分解明把握し ておれぽ実際の加工の問題解決が容易になる。最適切 断砥石の選択,最適切断条件の選定や切断性(材料の 切断の難易)の判定などには単位エネルギー当りの切 断容積で定義する切断能ηが基準になる。 切断能ηは4) Vm/Vu, で表す。 η= w ここに Vm;単位時間当りの切断容積(mm3/min) Vw;単位時間当りの砥石損耗量 (mm3/min) W;切断所要動力(kW) であるが,砥石損耗量Vwが問題にならない程度に少 ないときは
・聯となり
Vm−b・B・v, W−F,・Vで示すことができる。した がって bB・v η=F‘v b;被切断材料の厚さ(mm) B;ダイヤモソド砥石の厚さ(mm) v;切断速度(mm/min) F,;接線切断抵抗(kg) V;砥石周速(m/min) セラミックスの切断能ηはGe,ガラスなどの1/10∼ 1/20,Siの1/5程度の値であり,これらと比較して非 常に小さく切断加工がし難い材料であることが解か る。 v/γに対する切断能ηはv/Vの適当値で切断能が 最大となる形をとり(図一8),v/Vの小さい領域では切 断能が増加する。これはv/Vの増加につれて平均砥粒 切込み深さが増して砥石の切れ味が良好となっている ことを示しているが,v/γがある程度増すと切断能が 減少するのは,v/Vの増加による切断抵抗(F,)の急 激な増加によるものであり(図一9),このあたりから切 砥石外径:157.30mm 砥石厚さ:0.651mm/!! 0・3 ・←\ ? ぎ・・2 § 二 翌 60.1 v/v 石匹石夕桁±R:157.30mm 500 砥石厚さ:0・651mm 回400 ε 曇3°° 璽… ボ iOO 図一8v/Vと切 ×10’6@断能の関係
㌫
.ノ
2 4 v/v 図一9v/Vと切 6×10−6 断抵抗 断砥石の目こぼれ現象が大きくなり始め,単位時間当 りの砥石損耗量γmが増大して,この項が無視できな くなるので,実質的には切断能ηは点線のような傾向 を示すことになる。目こぼれ現象が増すと切断能は良 好になるが,砥石の損耗との関係で必ずしも有効な方 法とはいえなくなり,実用的でなくなってくる。v/V と切断能の関係はGe, Siに比較してv/Vの小さい領 域に切断能のピーク値があり,Siの約1桁低いv/V 値である。切断能からのv/Vの選定には必要以上の目 こぼれの防止などから切断速度vの増加は高硬度材料 では好ましくなく,砥石周速度を増加する方法が有効 と考えられる。 砥石切断において切断液の使用は不可欠の条件であ り,その選定も重要な課題である。本実験では水(水 道水),灯油,灯油とマシソ油(No.120)との混合油 を使用し比較したが,比較的薄い切断砥石(<0.4mm) 使用の場合の切断抵抗は水が一番小さく,次いで灯 油,灯油80%マシソ油20%の混合油囚,灯油60%マシ ソ油40%の混合油(B)の順に大きくなる。切断砥石の厚さが大きくなると(>0.5mm)粘性の大きい混合油で も潤滑性能の良好な油になると切断抵抗は減少する傾 向を示す。しかし潤滑性能の小さい水の場合は,切断 速度vを増すと,砥粒の脱落損耗が極端に増し,切断 砥石の振れの増大なども起こり切断精度も悪くなって 好ましい結果が得られなくなる。切断能の点から好ま しい切断液は灯油80%,マシン油20%の混合油Aであ り,適当な冷却性と潤滑性をもち,更に浸透性の点で も優れていることになる。セラミックスの加工屑は粘 性をかなりもっており,加工が進むと切断液の粘性が 増してくるので,マシソ油などが多く含まれる切断液 は浸透性が一層悪くなり,切断部に液が十分供給され ず切断能を悪くする。この関係は砥石の厚さに当然関 係し,厚いものほど粘性の大きい切断液の使用が可能 になり,混合油Bの方が混合油A使用の場合より切断 抵抗は減少するが,切断代の問題が砥石がある程度厚 くなると無視できなくなりこの点考慮が必要になって くる。 3.2 切断特性 切断特性として重要なのは切断能率,切断所要動 力,切断精度,砥石損耗などであるが,前述の切断抵 抗測定により切断能率,切断所要動力の項目は明確に なったので,ここで検討を必要とするのは切断精度と 砥石損耗の問題である。切断精度には切断試片の切断 代,平行度,面あらさが検討対象となる。 切断代(30∼50μ)は切断速度が増加し てもあまり変化がないが,砥石周速度が増 すと切断代は増加(1000m/minで約30μ程 度の増加)する。切断速度が大きくなると, 砥粒の平均切込み深さが大となり,砥石周 速度が大きくなると砥粒の平均切込み深さ は減少するから,切断代は当然切断速度の 増加につれて増し,砥石周速度の増加によ り減少することになるが,切断速度,砥石 周速度の増大につれて,切断装置の振動お よび切断砥石の振れなどが大きくなり,砥 粒切込み深さの変化以上に切断代に影響す ることになる。このことは切断装置および 切断砥石などの剛性と精度について,高硬 度材料の切断加工の場合は特に十分な考慮 を必要とすることを示している。 なお本実験の切断装置の静的精度はテー ブル運動とその上面の左右方向の平行度が 42μ/全ストローク,砥石主軸先端部の振れ は6μ,砥石取付け後の砥石(φ150mm, to.6mm)最大振れは軽く手動で回転させて25μ程度 である。 切断砥石の動的振れは切断断面積が増加するにつれ て順次小さくなり,精度が良好になってくるが,これ は切断の進行にともない材料側面で砥石が拘束され, 砥石の振れがある程度矯正されるからであり,被切断 材料が高硬度の場合は切断距離が短いうちに矯正され るのが特長である。 切断面の平行度は30∼50μ程度であり,Ge切断など に比較して相当大きい値である。平行度と切断速度, 砥石周速,切断液などの関連は明確ではないが,v/V が大きくなるとやや平行度が悪くなるようである。 切断面あらさは切断砥石粒度によっても当然変わる が,露出砥粒平均径(測定値)170μの砥石使用の場 合, v/V=3.0×10−6の条件で3.0∼3.5μRm。。, v/ V−6.5×10−6で4.5∼5.O,ctR.。x程度の値であり,切 断速度が増すとあらさは悪くなり,砥石周速度が増す と面あらさは小さく良好になるが,切断条件,切断装 置および切断砥石の精度より砥石粒度が一番面あらさ には大きく影響するようである。 切断断面の電子顕微鏡写真にみられるように(写真一 1),切断面は貝がら状破面であるが,切断砥石の粒 度,切断条件によってその破面の形状が異ってくる。 (a)は粒度の大きい砥石(露出砥粒平均径170μ),(d)は (a) (c) (b) 写真一1切断面写真(直接×1500) (d)
砥石A 表一2切断断面積と砥石損耗量 切断面積 mm2