ムトスとムズの表現性-院政・鎌倉の片仮名文資料を中心に
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(2) じて、その特徴が様々に論じられ、その中でベシとの類似性なども. る語であることから、主にキリシタソ資料・抄物・狂言台本等を通. ズの特性もあると考えるので、参考のためにムの用例を付した。更. また、地の文・思惟文・会話文のいずれに出現するかを確認したの. ムトスとムズがそれぞれどの程度︵意志︶表現に用いられているか、. スの意味・機能との連続性なり、断絶︵或はムトスからムズへの変. る。ムズの成立はムトスと密接に関係したと認められるので、ムト. の表記の違いは意味・用法の相違をも反映する ︶ 7 ︵と考えられるので、. に、﹁ムトス︶ ﹂ については、漢字交り文におけるムトスとムト為と 6 ︵. が表1である。助動詞﹁ム﹂との比較から明らかになるムトスとム. 指摘されてきた︶ 。 5 ︵しかし、院政・鎌倉の和洪混拾文におけるムトス との断続関係等に関する検討は、必ずしも充分でないように思われ. 遷︶ なりが指摘し得ると考えるのである。従来、両者の異質性につ. め得る。従って、和漢混清文における意味・機能を検討することは、. 的に用いられ、漢文訓読とより密接な関係を持つものであったと認. 初めて行われた語法ではないが、和文よりも訓読系の文体中で積極. あまりなかったように思われる。また、ムトスは洪文訓読によって. るために用いられたもので、﹁ム﹂とは異質な語﹁ムトス﹂ の原義. 記の方である。即ち、ムト為は第三者の︵意志︶を客観的に括写す. う特徴的意味・機能を明確に有していると認められるのはムト為表. ︵意志に基づく動作︶を描写する客観的表現に専ら用いられるとい. の文体を特徴付ける語と見てよい。また、使用状況の全体を見ると、. 表Iに看取できるように、和漢混清文のムズも口頭語︵口語調︶. 表記によって区別した。. ムズの本質的な性格を明らかにする上で、有効かつ歪要であると考. を直接反映した表記と考えられる。それに対してムトス表記の方は、. いては多く触れられてきたが、同質性に着目して論じられることは. えるのである。. ムズを口頭語︵口語調︶としムトスを文章語︵文語調︶とする評価. それらの程度の相違であろう。ムトスの場合、動詞﹁ス﹂は既に形. という意味において︶未だ有していたか、形骸化していたか、或は. が、動詞の意味を︵実質概念は欠き乍も人の動作・状膣を描写する. 衷Iに見る限り、ムとの特徴的な差異を認め得ない。この差は﹁ス﹂. は、既にはぼ定着したかの観がある。更に、先学の論考を通覧して. 一、ムズの意志表現 ︵対地的意志︶. 特徴的なものとして、ムズの元来の意味は︵意志︶で表現主体の情. し、意味・用法もムに近くなっていたと見ることができようか。一. 骸化して実質的意味を持たず、ムトス全体が一語相当の資格で機能. 方、ムズは︵意志︶表現に用いられる割合が極めて低いことがその. 意的・主観的表現であるのに対し、ムトスは︵意志に基づく動作︶ を描写する客観的表現であるとする指摘が注目される。そこでまず、.
(3) ム . ズ. ム . そ. 意. そ. の. ム . ト ス 意. そ. の. 他. 志. ト 為. ム. 意. 他. 志. 意. そ. の. 表 I. 全 . の. 他. 志. 他. 用 . 例. 志. 7. 0. 11. 41. 5. 12 0. 153. 204. 地 . の . 文. 3. 0. 11. 0. 0. 7. 98. 113. 思 . 惟 . 文. l. 5. 0. 76. 36. 6. 33. 488. 510. 文. 10. 10. 3. 14. 29. 24. 12 1. 288. 315. ∠ゝ : Z三 地 . の . 文. 11. 13. 4. 11. 0. 0. 9. 131. 99. 思 . 惟 . 文. i. 16. 5. 48. 22. 11. 35. 474. 377. 古 文. 20. 18. 3. 3. 45. 3. 96. 34 9. 212. ∠ゝ 石 地 . の . 文. 37. 9. 10. 2. 1. 8. 181. 94. 思 . 惟 . 文. I. 46. 15. 29. 26. 3. 53. 521. 473. 会 . 話 . 文. 31. 35. 6. 28. 1 15. 32. 337. 790. 731. 地 . の . 文. 今. 53. 13. 32. 2. 1. 24. 410. 306. 思 . 惟 . 文. 67. 20. 153. 84. 20. 12 1. 14 8 3. 1441. 文. 土 ヒ l∃ 計. 2. 0. 1. 2. 0. 0. 10. 0. 一 ∠ゝ こ エ 三 地 . の . 文. 打. 1. 0. 0. 0. 0. 0. 8. 19. 思 . 惟 . 文. 開. 1. 2. 0. 1. 0. 0. 17. 17. 文. 集. 1. 0. 3. 4. 0. 0. 57. 8. . ∠ゝ 石 地 . の . 文. 閉. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 20. 32. 思 . 惟 . 文. 書. 0. 0. 2. 1. 0. 0. 37. 36. 会 . 話 . 文. 抄. 0. 0. 0. 7. 0. 0. 7. 7. 地 . の . 文. 指. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 1. 1. 思 . 惟 . 文. 帰. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 4. 8. 会 . 話 . 文. 注. 0. 0. 0. 4. 0. 0. 1. 1. 地 . の . 文. 明. 3. 0. 0. 0. 0. 0. 6. 5. 思 . 惟 . 文. 恵. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 1. 4. 会 . 話 . 文. 夢. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 1. 地 . の . 文. 却. 0. 0. 0. 1. 0. 0. 2. 6. 思 . 惟 . 文. 廃. 4. 0. 2. 0. 0. 14. 5. 舌 文. 忘. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. . ∠ゝ 云 地 . の . 文. 聴. 1. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 4. 思 . 惟 . 文. 集. 5. 1. 0. 2. 0. 0. 35. 19. 文. 記. 0. 1. 3. 16. 0. 0. 84. 42. ∠ゝ 石 地 . の . 0. 0. 0. 0. 0. 0. 14. 34. 思 . 惟. ・ 文. 宝. 0. 1. 4. 7. 3. 2. 10 4. 1 14. 会 . 話 . 文. 絵. 38. 7. 35. 1 48. 32. 337. 949. 79 0. 地 . の . 文. A 口. 58. 13. 32. 3. 1. 24. 46 1. 407. 思 . 惟 . 文. 84. 28. 159. 97. 23. 16 9 5. 1 64 4. 会. 48. 226. 248. 56. 3 10 5. 284 1. 11. J. 12 3 主 ; ; こ 4 &上. −3−. 1. 22. 文. 文 総 . 計 計 . :.
(4) ム . ズ. ム . 他. 自. 他. 者. 身. 者. ム . ト ス 自. ト 為. ム. 他. . 自. 他. 者. 身. 者. 表 II 自 く 意 志 の . 0. 0. 身 41. 0. 120. 用 . 〉 例. 身. 0. 204. 0. 地 . の . 文. 105. 思 . 惟 . 文. I. 401. 会 . 話 . 文. 10 11. l. 0. 0. 0. 0. 5. 2. 8. 1 0 ‘. 0. 22. 14. 22. 11. 109. 3. 0. 29. 0. 12 1. 0. 315. 0. 地 . の . 文. 4. 0. 0. 0. 6. 3. 10. 89. 思 . 惟 . 文. l. 1. 4. 9. 13. 16. 19. 68. 390. 文. 20. 3. 0. 45. 0. 96. 0. 212. 0. ∠ゝ コミ 地 . の . 文. 22. 7. 2. 2. 0. 5. 3. 24. 70. 思 . 惟 . 文. l. 17. 60. 413. 会 . 話 . 文. 31. 3. 12. 16. 10. 36. 6. 0. 115. 0. 337. 0. 731. 0. 地 . の . 文. 今. 11. 2. 2. 0. 16. 8. 42. 264. 思 . 惟 . 文. 4. 16. 47. 37. 74. 47. 237. 1204. 会 . 話 . 文. まL l∃ 計. 0. 0. 2. 0. 0. 0. 0. 0. 地 . の . 文. 打. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 19. 思 . 惟 . 文. 開. 0. 17. 文. 集. の . 文. 聞. 惟 . 文. 吾. 文. 抄. 0. 2. 0. 1. 0. 0. 0. 0. 4. 0. 0. 0. 8. 0. ∠ゝ . Zミ 地 . 0. 0. 0. 0. 0. 0. 4. 28. 思 . 0. 0. 0. 1. 0. 0. 6. 30. 0. 0. 7. 0. 0. 0. 7. 0. ノゝ フ三 地 . の . 文. 指. 惟 . 文. 帰. 文. 注.. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 1. 思 . 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 8. 0. 0. 4. 0. 0. 0. 1. 0. A フi 地 . の . 文. 明. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 5. 思 . 惟 . 文. 恵. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 4. 会 . 話 . 文. 夢. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 1. 0. 地 . の . 文. 却. 0. 2. 4. 思 . 惟 . 文. 廃. 文. 忘. の . 文. 聴. 惟 . 文. 集. 文. 記. 0. 0. 0. 1. 0. 0. 0. 4. 1. 1. 0. 0. 1. 4. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. ノゝ コミ 地 . 0. 0. 0. 0. 0. 0. 2. 2. 思 . 1. 0. 2. 0. 0. 0. 16. 3. 42. 0. ノゝ フ三 地 . の . 文. 惟 . 文. 宝. 文. 絵 ノゝ 口. 1. 0. 16. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 5. 29. 思 . 1. 0. 2. 5. 1. 1. 11. 10 3. 7. 0. 14 8. 0. 337. 0. 790. 0. ∠ゝ コ= 地 . の . 文. 11. 2. 3. 0. 16. 8. 55. 352. 思 . 惟 . 文. 6. 22. 52. 45. 75. 48. 27 1. 13 7 3. 会. 11 1 6. 17 2 5. 24 lL_. . . H. H. H. ___. 24. 45 し._ .__一 一一.. 56 L_.一 一一一 日− −4−. 文 総 . 計 計 . :.
(5) くとも訓読系︵和漢混清文も含む︶ の文体においては、ムズの本来. ように、漢文訓読色の強い文体ほどその特徴が際立っている。少な. 特徴として指摘できる。特に今昔物語集の天竺・霞且部が象徴する. えそうな性質が認められる。これはムト為・ムトスが表現主体自身. に及んで検討すると、極めて特徴的な︵対他︶的意志表現とでも言. そこから見えてくる特徴がない。しかし、その内容︵意味・用法︶. ムズが表現主体自身の意志表現に用いられた二四例を見ると、凡. の意志表現に用いられた場合にも、ある程度共通する性質である。. ﹁ム﹂ や﹁ムトス﹂との対比上の特異性を、主に意志表現以外の用. 的意味が直接︵意志︶に結びつくとは考え難い。ムズについては、. 第一に、意志︵に基づく動作︶が他者に向けられ、﹁︵某の為に・. そ次の三種に分けることができる。. 衷Iに見る限りでは、ムズとムト為・ムトスとは異質であるよう. といえる次の如き例である。. 某に対して︶ ∼してやろう﹂ の意になる点において︵対他︶的表現. 法の部分で発揮していたとも考えられそうである。. に見える。しかし、もう少し詳しく︵意志︶の用法に注目して分析. ○夢l庇ノ後ノ方=老夕遠来テ告テ云二汝ナ極ノテ糸惜ケレバ夫7ハ短い思テ. することで違う側面が見えてくる。そこで、意志表現に用いられた 場合、それが﹁表現主体自身の意志﹂ にかかわる表現か、﹁他者の. 呼ピーl遣乙パ明日,此。可来.然レパ其ノ来タ,▲人ノ云ハム事ll可随シ﹂ト云フト. 若テ不云ハ辛.目見センスルソ﹂ト被仰ッ″也 ︹今昔 巻二六︺. 意志﹂ にかかわる表現かを区別したのが、表Hである。意志表現に. O﹁今冒ハ見工不季候;若シ去七給ヒナム時。ソ必ス見工奉り侯ハムス″不然サ,ム. 見テ ︹今昔 巻一六︺. できる。表Iでは、ムトスの方がより﹁ス﹂ の形骸化を進めている. 限ハ影ノ如夕副ヒ奉テ侯ハムス″ソ﹂ト云チ立チ去ヌ ︹今昔 巻二九︺. ○殿⋮被仰″様﹁汝今日ノ内。我家工行着テ︵略︶トイへ若今日ノ内一−行. 為に、ムト為に比して、意志以外の用法も多く、助動詞ムとの相違. ○又真言−−心サシコトニアラバ大日経ノ疏ハシモヨマセソスル也云.. の人物の意志を表現するの.に用いられるという特徴的な偏りが確認. が明瞭に現出していない。しかし、意志表現に用いられたものに限. 用いられたムト為・ムトスは、ムとの対比において、表現主体以外. ると、ムとの違いは歴然としており、ムトスもムト為と同様に表現. ︹却廃忘記 上巻︺. い申し上げましょう⋮添ってお仕え致しましょう﹂﹁読ませてやろ. それぞれ﹁夫を添わせてやろう﹂﹁辛い目にあわせてやろう﹂﹁お会. 主体自身の意志表現に用いられるものが極めて少ない傾向にあるこ とが判る。即ち、ムト為・ムトスともに、第三者の︿意志に基づく. う﹂ の意であろう。いずれも、意志︵に基づく動作︶ が、他者とは. 動作︶を客観的に描写する表現法であり、﹁ムトス﹂ の原義を反映 したものといえる。一方、ムズには用例の数値だけを問題にすると、.
(6) を持ち或は他者を対象とする行為を伴うような外に現れる動作を表現. るにとどまるような、いわば内向性のものではなく、他者との関わり. 無関係に遂行されたり個人的であったり、或は一方的に意志を表明す. ○君答テ宣ク﹁鷹ヲ仕プル間。此ル雨風l−合テ可行キ方モ不思テ只馬ノ向,ル方。. した表現でしか用いられないのである。次の如き例が分顕される。. を表す場合、会話文以外には用いられない。対話の中で相手を意識. たい。ムズが疑問詞を伴って表現主体自身の意志︵に基づく動作︶. ょる意志表現の過半数がこの用法で、意志表現のムズを特徴付ける。. するものであり、いわば外向性の意志表現であることが判る。ムズに. 意志︵に基づく動作︶ が他者に働きかけられることになるものもあ. O﹁此度ハイミシキ事アリ﹂ト﹁エ思得シ﹂トオホシ食テ﹁何セムス. 閥や給ヒクル事ヤアル﹂ト云フ ︹打開集︺. ○シノビテ祖ノ軍lマウテ1﹁カール事コソアレイカゝセムスル若. ︹今昔 巻二二︺. 任セテ走セヅ″程.1家ノ見プレハ喜ヒ乍ラ此。来タル也何セムス″﹂ト. る。前者とはニュアソスを少し異にするが、意志に基づく動作が他. また斯かる表現はその性質から、前掲の用例にも見られるように、. 者に働きかけられるという意味において、これも同様に︵対他︶的. ル今度ハ更。エ思ユマシキ事﹂ ナド仰ラ″ ︹打開集︺. 第三は、自らの意志︵に基づく動作︶ ではあるが、それを第三者. 表現といえるものである。他者に行為の影響が及ぶ意志として表明 され、働きかけの対象者を必要とする次の如き例である。. のである。地の文で第三者の意志に基づく動作が語られる用法と同. 的に表現し、他者に説明するという意味で︵対他︶的表現になるも. じょうに、自らの意志︵に基づく動作︶を客観的に﹁語る﹂ のであ. 持来,リケル,守﹁此。暫シ這‡見ムスルソ﹂ト云テ乞取テケリ. ○守其レ一立チ﹁有ッル菟ノ子共ハ﹂ト問ケレハ取£老共各小舎人童ナト。抱セテ. ︹今昔 巻二九︺. る。単なる一方的・個人的な意志の表明ではなく、﹁∼するつもり. ハ不知ス随テ行‡ムスレハ形見。モ為ごトテ泣々ク取ラスレハ. ︹今昔 巻一六︺. O﹁此ノ年来ハ侶フ水有ラバト思渡ツル,不思係ス此ノ人具シテ行カムト云ヘハ明日. が分析される。. きに﹁∼するつもりだ﹂と説明するような用法である。次の如き例. なので∼﹂ のような条件・情況の説明や、行為の意図を問われたと. ○娘夫ノ兵衛ノ佐。﹁︵略︶宮仕ハ何テカ見苦クチモ御重只何空モ富力王様。. ︹今昔 巻三〇︺. 成り給へ﹂ト云ケレハ男糸惜クテ﹁何カテ見弄ムスルソ﹂トナト云テ尚接ケレトモ. 第二には、自らの意志を他者に問いかけたり訴えたりするという 意味において︵対他︶的表現といえるものがある。表現の質からい うと意志表現として扱うことに問題もあるかも知れないが、表現主 体の意志に基づく動作のあり様を﹁どうしよう﹂と問うものと捉え.
(7) 行テ食ムスル也﹂ト ︹今昔 巻〓ハ︺. 一に分類したもの︶を見ると、ムト為で約二割、ムトスで三.五割を. やろう﹂ の意になり、明確には区別し難い。そこで両用法︵ムズで第. 占める。この用法では、ムト為とムトスとの間に大きな異同はない。. ○此ノ女此,見テハ問テ云ク﹁其ノ蟹,ハ何ノ料工持行ソ﹂ト蟹持答テ云ク﹁持. ○女ノ童﹁何ト此ハシ給フソ﹂ト云ケレハ瀧口﹁タサリ将行テ抱テ寝ムスレハ逝モソ為. ○王智感,見テ語テ云タ﹁今一員ノ完閑タ″事有り其ノ故。汝,召シテ其ノ閑タル. ○僧一−向テ云ク﹁︵略︶今七日有テ我力有ヱ所,必尋テ来レ草,結ッーソ行カムト. 所。任‡ト為″也﹂ト ︹今昔 巻九︺. ト恩へハ也﹂ト云テ将行ク.1 ︹今昔 巻二七︺ 例えば、単なる意志表現ならは﹁食ム﹂ でも充分なところを、﹁何ノ 料l了ソ﹂ の問に応ずる為に、殊更に﹁食ムズル也﹂としたところに. 為〝其レ,見テ注トシテ可来シ︵略︶﹂ ︹今昔 巻一九︺. ト為ル也﹂ト宣給へハ ︹三宝絵詞 上巻︺. ○王答へ給フ﹁我ハ此ノ国ノ王也汝力出。入テ道ヲ行ナル,聞チ故三来テ供養セム. ︵対他︶的な表現性が認められる。特に判断・断定の助動詞﹁也﹂ が添えられたこともその感を強くする。即ち、意志表現に﹁也﹂ が. 其時一ラシャ命ハ断テソト為﹂ト云テ ︹今昔 巻二六︺. ○其猿,壬締テ﹁︵略︶今日=後案内モ知ヌ人ノ為l遠㌢為シ不吉事,モ至サハ. 添えられるのは、判断表現と同じように客観的に︵或は状態として︶ 意志を表出し訴える為で、相手を意識した対他的な説明の表現と見 ることができる。. 入ナムト二切ノ法ハ不久スシテ皆減有シ﹂ト宜テ ︹今昔 巻三︺. ○仏純陀一元ロテ宜バク﹁︵略︶我レ汝及ヒ一切衆生ヲ哀ハ▲カ為.一今日担架。. II取充テ被差テ死ナム一ス﹂ト云フ程一l ︹今昔 巻二九︺. ○女﹁︵略︶其レ冒構ナ這出給へ既。其ノ時一一漸ク成ヌ鉾,差下サハ我レ白,胸. さて、ムズが﹁ムトス﹂ から成ったものであれば、それと何らか. 作リナントス﹂ト云ヒ出,リ ︹今昔 巻一〇︺. ○使還り来テ云タ﹁︵略︶然,ハ来テ可教シ我力心一−叶ハ1用.ソ不叶スハ肝胎工. 二、ムトスの意志表現 ︵ムトスとムズとの連続性︶. の連続性を有している可能性が考えられる。そこで、ムト為・ムト. る︵疑問・反語︶ 表現は、ムト為で約四割を占めるのに対して、. 一方、疑問詞を伴って、意志を他者に問いかけたり訴えたりす. 必ス射殺シテソトス″ソ﹂ト云テ ︹今昔 巻二六︺. O﹁昔々己力命,ハ不断此=後若此辺。見エナ人′為一虚心.事,至サバ共時。. スが表現主体自身の意志表現に用いられた用法の性質についても先 の分類から検討してみたい。対象となる用例は、裏打に見るように、 ムト為五六例とムトス四五例である。 意志︵に基づく動作︶が他者に向けられる表現と、他者に働きか けられる表現とは、意味上ともに﹁︵某の為に・某に対して︶∼して.
(8) ムトスには三例しかない。この表現は、表現主体の意志に基づく. ︹三宝絵詞 中巻︺. 次にムト為・ムトスは、地の文で第三者の意志に基づく動作を客. 観的に措写するのが本質的用法であったように、表現主体自身の意. 動作のあり様を問題とするものであり、意志を外に表す即ち実行 に移すことのあり様にかかわる動作性の強いものであるといえる。. 志についても、それを客観的に表現・説明しながら語るために用い. ○正法蔵⋮宜ハタ﹁我レ年来病有テ苦シフ所多シ此ノ身,弄テムト為シ時夜″夢. 従って、動詞﹁ス ︵為︶﹂ の意義をより強く残したムト為の方に集. 〇二人′童ノ形.−成テ歎.云タ﹁我等此ノ医師ノ為。被傷レナ†ス何力可為.何. ノ中三ラ天子来ル︵略︶﹂ ︹今昔 巻六︺. られる。動詞﹁ス﹂の機能を色濃く残した最も基本的で特徴的な用. 所一;逝ケムト為〝﹂﹂石フーl ︹今昔 巻一〇︺. ○夢l∴︰母来テ告テ云タ﹁我レ悪業ノ故一成テ鹿ノ身,受テ︵略︶狩一或レ既。. 中する結果になったものと見られる。両者間に有意的な偏りが認め. ○主人此ノ男.∴:云タ﹁此ノ相子ノ喜ソサハ可云尽クモ蒐ケレトモ此ル旅一三何芸. 命終ナムトス多ノ射手ノ中,赴ケ遁レムト為″l疲チ弓箭ノ道l癌タル。依テ︵略︶﹂. 法といえる。ムト為で約四割、ムトスで約三割を占める。. ハ‡ト為″只此ハ志ノ初メ許,見スル也︵略︶﹂ ︹今昔 巻〓ハ︺. ︹今昔.巻一九︺. られる。. レ既。近タハ成−;リ何力苦い為ごトテ ︹今昔 巻二六︺. ○主ノ﹁︵略︶此浪ノ見始ノブ″時ハ百丈菅見エツルカ近ク成マ∴浪ノ長。ソ劣言. 揃へムト為ッ″,四三ノ使い云7老来テ語テ云ク︵略︶﹂ ︹今昔 巻二〇︺. O﹁我等先ッ汝力家。行チ問ッルエ︵略︶彼津l一行テ求ノ待タル。其所エシテ即チ. ︹今昔 巻三一︺. ト為″也其レ,此ク詩テ後土。梱埋ムテ三年可令有.也︵略︶﹂. ○島師,以テ鐘ヲ島サ‡リケ〝。錯力云ク﹁此ノ鐘,ハ槌ク人モ元クテ一二時。鳴サム. ○郎等共ハ⋮﹁︵略︶今一日ナト行チ。ソハ浅キ方冒廻テモ尋ネメ只今ハ底へ可 下.様モ敢テ元ケレハ何カセムト為″﹂ナト口々。 ︹今昔 巻二八︺ O﹁我レ既。汝力子,懐妊吉還来,ム程何力為ムトス″﹂ト ︹今昔 巻五︺ O﹁我弟形勝レナ父母実工悲ヒ給ヒツ;何工依テカ共.由プ;身,捨テ独り不返. シ給へ﹂ト宜チ ︹今昔 巻二︺. ○其督,謝シテ云ク﹁我レ汝力徳,不知スシテ愚l疫,罰セムトシケリ願クハ此ノ谷,免. ︹三宝絵詞 上巻︺. O﹁︵略︶其ノ人ノ姓ハ何ソ名,ハ何力云プ何ノ洲II有″人ソナト問ハムト;間。絶. ナリヌルト父母問ヒ給ハ、我等何カ;答へムトスル﹂ト呼ヒ泣ク. O﹁ケサ師ノ僧ツーカナクシテ俄。オバリタリ。マッハヲノレ一人. 入−;﹂ト語レハ ︹今昔 巻一〇︺. ○船ノ方,見ハ亀五頸,捧ケテ有り銭以″人立留りチ﹁ソハ何色ソ﹂ト、問ハ. シティカサマニテヲサメタテマツラムトスラム。次−一ハ師′飯一−カー リ給へル母イカニシティキ給タラムトスラム﹂ト云テ.
(9) いう意味において、ムズはムト為・ムトスとの連続性を有し、三者. の根幹的な意味・用法をこの特徴的な︵対他︶的表現という点に認. ﹁害シテ物。セムトスル也﹂ ト云ハ銭以ル人﹁其亀カハム﹂ト云ハ. めてよいように思う。その最も基本的で特徴的な部分を凝縮し、独. 自の特異性として発揮し続けたのがムズであるように思われる。. ︹打開集︺. ニノトヲウルフルハへラス。河,ミテノマムトスレハミナポム. O﹁ターウマレテハヘリシオリ一ティノミツヲエテハヘリシマゝ. ︹法華百座間書抄︺. るものもある︶ との特徴的な違いを明確にできない。他の場合と異. 例が約三割ある。表Iでも指摘したが、ムの意志︵或は推量と解せ. 因みに、ムトスには前三種表現型に収め得ない、次に示すような. ○雪山童子ノ云フ﹁此ノ身ハ後.1遂ヒ。死ナムトニッノ功徳ヱ得マシ今日フ法′. なり、スがあることの意義を見出せず、ムトス全体が一語相当の資. ラニマカリナリヌ。マシテクヒモノハ名字,ウケタマハラス﹂. 為。きたなく積カラバシ.身,拾テ後。仏ト成ムハ浄ク妙ナ″身ヲ可得シ土ノ器ヲ. 格で機能しているように思われる。また、それは総て文末に用いら. ○夢。旧事丁示シテ云ク﹁︵略︶共ノ後lニ兜率天ノ内院。生レナ慈氏尊,見事. ︹今昔 巻一二︺. O﹁我レ此ノ寺ノ事勤メ畢今ハ明後日ノ夕方帰ナムトス﹂ト云フ. 事只今也近ク来レ﹂ト宜へハ ︹今昔 巻三︺. ○仏⋮宣ハク﹁我ハ只今減度,見ルへシ永ク此ノ界,隔テエトス汝ナ我レ,見ム. れた例である点が注目される。. 拾テ、実ノ器′。替7ルカ如クl一重トスル也︵略︶﹂ ︹三宝絵詞 上巻︺. マタカへラストイヒツレハ津l−ユキモトメエタル。ソコニシテ. ○使ノ鬼ノ云ク﹁マツ汝力宅。ユキテ問ツル。アキナヒシニユキティ. 即トラヘムトシツルヲ四天王ノ使トイフ使トイフ物来テコノ人寺ノ 銭,ウケテアキナヒテタテマツルへシ。︵略︶﹂. 表現主体自身の意志表現の用法から見る限り、ムト為とムトスも. ,ムトス﹂ト云7ト見テ ︹今昔 巻一三︺. ︹三宝絵詞 中巻︺. ムズの三種の表現型のいずれかに分煩できる場合が殆どで、︵対他︶. テ行カムトス︵略︶﹂ ︹今昔 巻一九︺. ○入道⋮云ク﹁我レハ此冒酉。向テ阿弥陀仏ヲ呼ヒ奉テ金ヲ叩テ答へ給ハム所マ. O﹁己ハ水ノ上へ入ナムトス其水ノ上冒来ラム物,鬼。マレ神一;レ寄テ懐ケ﹂ト云ヒ. 的意志表現に与るという基本的な共通の性質が認められる。殊に、. 可能である。これらは助動詞﹁ム﹂との意味・機能の差異を、程度. 置ブ ︹今昔 巻二〇︺. ムト為はムズと全く同じように三種の表現型だけで解釈することが. の差こそあれ、動詞﹁ス﹂ の意義を残すことによって戯現し、ムと は異なる表現価値を持って存在し得ているものと捉えられる。そう.
(10) ム . ズ. ム . 他. 自. 他. ム . ト ス 自. ト 為. 他. 表 III く 意 志. 自. 以 者. 身. 者. 身. 者. 身. 外 . 用 . 〉 の 例. 7. 0. 11. 0. 5. 0. 地 . の . 文. 1. 2. 5. 6. 0. 0. ・思 . 惟 . 文. l. 5. 0. 41. 35. 5. 1. 文. 10. 10. 0. 13. 1. 24. 0. ∠ゝ 石 地 . の . 文. 11. 11. 2. 3. 8. 0. 0. 思 . 惟 . 文. i. 13. 3. 19. 29. 5. 6. 文. 20. 18. 0. 3. 0. 3. 0. ノゝ 石 地 . の . 文. 22. 35. 2. 3. 7. 0. 1. 思 . 惟 . 文. l. 37. 9. 20. 9. 1. 2. 文. 31. 35. 0. 27. 1. 32. 0. . ∠ゝ コi 地 . の . 文. 今. 47. 6. 11. 21. 0. 1. 思 . 惟 . 文. 昔. 55. 12. 80. 73. 11. 9. 会 . 話 . 文. 計. 2. 0. 1. 0. 0. 0. 地 . の . 文. 打. 1. 0. 0. 0. 0. 0. 思 . 惟 . 文. 開. 1. 0. 0. 0. 0. 0. 会 . 話 . 文. 集. 1. 0. 3. 0. 0. 0. 地 . の . 文. 開. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 思 . 惟 . 文. 書. 0. 0. 1. 1. 0. 0. 会 . 話 . 文. 抄. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 地 . の . 文. 指. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 思 . 惟 . 文. 帰. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 会 . 話 . 文. 注. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 地 . の . 文. 明. 3. 0. 0. 0. 0. 0. 思 . 惟 . 文. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. A 石 地 . 了打 11ニ Jヽ 夢. の . 文. 却. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 思 . 惟 . 文. 廃. 10. 1. 0. 0. 0. 0. 会 . 話 . 文. 忘. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 地 . の . 文. 聴. 1. 0. 0. 0. 0. 0. 思 . 惟 . 文. 集. 5. 0. 0. 0. 0. 0. 会 . 話 . 文. 記. 0. 0. 3. 0. 0. 0. 地 . の . 文. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 思 . 惟 . 文. 宝. 0. 0. 2. 2. 2. 1. 古 文. 絵. 38. 0. 34. 1. 32. 0. ∠ゝ 石 地 . の . 文. 52. 6. 11. 21. 0. 1. 思 . 惟 . 文. 71. 13. 83. 76. 13. 19. 98. −10−. 10 こ こ こ 1I こ こ _. l. 古 文. 会. A 口. 文 総 . 計 計 . ;.
(11) ができる。その三種は、いずれも意志やその内容・行動が他者とは無関. とムト為・ムトスの多くは三種の表現型のいずれかに分類すること. 以上見てきたように、表現主体自身の意志表現に用いられたムズ. 用いられることが判る。ムズとムト為・ムトスの本来的な表現性は、. の推量なども表現主体以外の他者に属することを表現するのに主に. 即ち、表Hからは他者の意志を主に表すこと、表Ⅲからは意志以外. 現主体自身のことを他者との関係で把捉し表現しようとする︵対他︶. こと︶と把握されるものを表現することにあり、その延長上に、表. 的意志表現という特徴的な性質が存したものと考えられる。ムズだ. 表I・H・mから明らかなように、表現主体以外の︵他者に属する. 向かって表明したり、働きかけたりすることを目的とした︵対他︶的意. けに関していえは、ムト為・ムトス以上に動作性︵動詞﹁ス﹂ の機. 係の個人的なものであったり、一方的な意志表明にとどまったりするよ. 志表現である点で共通する。殊にムズは、この様な特異性において助動. 憶︶ は弱めながらも、なお︵対他︶的な意識の強い表現という方面. うな、表現主体自身の内部に留まる︵内向する︶ものではなく、他者に. を持って存在していたものと考えられる。この特異性は、﹁ム﹂と異. の表現性を強めながら、﹁ム﹂ などの他の推丑の助動詞とは異質な. 詞﹁ム﹂と意味・機能上の分担を成し、﹁ム﹂ にない用法や表現価値. なり、未だムズが動詞﹁ス ︵為︶﹂ の意義を板底に含んでいたことの. 表現価値を明確にしていったのであろう。. 三、活用形から見た特徴. 現れであり、そこに﹁ムトス﹂ との連続性を認め得るのである。動. ﹁ム﹂ に比して、客観性を増した対他的な︵他者を意識した︶表現に. 詞﹁ス﹂ は外に現れる動作を表現するのであるから、﹁ムトス﹂は. ムズについて、ムとの比較とムト為・ムトスとの連続性を中心に. 考察したので、次にムト為・ムトスとの差異を中心に検討し、ムズ. なると見ることができる。表現主体自身の意志を表現する場合は、 意志に基づいて対他的に行動してみせることを意味し、対者に対する. 独自の特異性や表現価値について更に考えてみたい。. ムズやムト為・ムトスが︵対他︶的︵或は﹁他者に属すること﹂. 写になることが、﹁ムトス﹂ の基底にある特異性と位置づけられる。. ムズに比すると、未だ動詞﹁ス﹂ の意義を残していた ︵ために各活. ムと同じ活用形でしか出現しない。これはムト為・ムトスの方が、. 分類すると表Ⅳのようになる。表Ⅳから看取できるように、ムズは. の形︵活用形︶ においてである。三者の出現状況を活用形によって. まず、ムト為・ムトス・ムズの差異が明確になるのは、その出現. ふるまいとしてその意志の内容を述べることが基本的用法と考えられ. の︶表現に与ることを特徴とすることは、意志表現︵表H︶ からだ. る。従って、意志を外に表す即ち実行に移すことの対他的な表明や描. けでなく、意志以外の用法についてみた衷mからも裏付けられる。. 11.
(12) 丸 . 砂. m. ㊥. 猥. 苛. 苛. ト. 車. 融. 蕪. ゝ . 斗ト 砂. 〔u. 丁 . 融. 遍. 音. 命. 汚. 薪. 苛. 憩. 憩. 哉. 哉. 準. : : : !. U 姦 ト J. トJ A C〉 N CI. 高子;. トJ. N. ト・ J. ト J. 単 ・ . ノ ニ. 融. 車 … ・遍 車. 哉. ・  ̄ ふ. .ト 一 ニ ・ C「 日 料 ト ・ J ト J Ul : 読 . N. N . ニ. . ト ー ‘. ト ■: .. 二 Cか. ‘ 料 十 II T ̄ − ̄ ふ ニ[ . 忘: ; _ ; ∽ : 叫こ : :. lゝ. 弧. トJ CI. Jゝ. CI. C〉 Ul. ⊂) ⊂〕 C〕 N. ㌶こ : ;; ; ふ. 討 . 卜. 貰ト 毒〉 m. : ; 這 ̄  ̄  ̄ ; _ ト J : − : . こ LD : ト ・ J : : こ ; トーニ _ ー : か ト J ・ Jゝ .  ̄ N  ̄い んこ 計 u N. ト h. 軽 亙. 詣. 融. 米. 臣. 遍. 溝. 苛. 単 ! : 苛. 苛. 苛. ト J. Ul. ト 一. 念 . Cb. N. U. ト J. 定言 宰年 ト ・ J _ こ ; こ 示: : − ; 怒 ; ・ : : tエ〉 Ul. 浣. ㊥. 挟. 苛. 憩. u . Jゝ_ .ト J ト Jこ ・ 鉄こ  ̄ … … t、 〕 トJ. ト J. 畠…U ト J . C⊃ Ul. 丁 . く Jl. : : : ふニ ! ; ・ : トJ 8 N トJ − ヽ 】 C) ト ー . 、I N ト J. CI. CI. 潜 ニ. U. か 遜 . 鮒. ゆ. 憩 . 司. 法. 省. 糾 . 詰 8 舟 軸 トJ. 詰 ㊦舟 組 . U. ト ー. U. ト ・ J. U. 詰 8 舟 軸 . CI. CI. ト ー  ̄ナ14 ̄. 誇 ㊦舟. 組 トJ. 軸. 和. トJ 詰 日赤. ふニ i: 言 ・ : ・ ・. 甘. を二 き. 詩 8 舟. トJ. AトJ. U. ト○. ⊂) ヽ ヽ l. 軸. ト ー. : : ニ 品. . : ! . 一 言. こ 吏. 軸. 藩 8 舟. 軸 トJ. ぷ: 三 ; 一⊂〉 ⊂〉 ⊂〉 0】 000 _; ; 完 ̄ il ニ : : 事 ̄ : r ̄C 〉 ⊂) ⊂) N. く 8. : 完 こ. : ㌶[ ・. ト ー. N. Cn CD. ⊂) N. . N高. : . . ・ ・. C: ) U. 軸 . N. N. −12−. ⊂) C ). 缶 10 こ 読. N hJ Z U トー. 苗 覇 淋. 報 . ト ー. ト ・ J ト ・ J Z N C〉. iき 8 舟. 詰 8 舟. ii_ : トJ 心 こ. トJ Z ト ー C〉. ヰ 蝶 等. 軸 . ふ. _. 言: 1. ;:  ̄ こ 這 ̄ : ニ [. ⊂〉 く AI. 軸. t、 ] Ul. 蒸. ニ ふ. :. 軸. Jゝ. 詰 8 舟. 思 : :. トJ. 軸. N. 軽 . 昔. 弾. ト ・ J ト ・ J. N. 鞘. 抽. 三 田 等 芯 茹 帯 : 昌 子 三 囁 ト . lコ 熟 帥 淳 拾 組. 詰 8 舟. 出 抽 諮. 軸 . 坤. ト ー N U. ヽ ヽ J. Cn ⊂). 巨 :汁. 詩 日付. 等.
(13) ムと同じく﹁辞﹂的に用いられていたことの一つの現れであろう。. トシツルヲ四天王ノ使トイフ物来テ︵略︶﹂ ︹三宝絵詞 中巻︺. 〇位ノ鬼ノ云ク﹁︵略︶洋三キモトメエタルソコニシテ即トラヘム. ○其本意ハ諸仏ハ衆生ヲアハレム衆生諸仏,信ス ︵略︶衆生ノ心ヲ. 用形を完備している︶ と見得るのに対して、ムズは既に一語化して. ムズにない未然形と連用形のムト為・ムトスは助動詞ム・キ・ケ. ト為シ時猟師虎ノ難プ免カレムカ為ノl二略︶﹂ ︹今昔 巻こ. ○仏ケ説テ宣バク﹁汝善ク聴ケ此翁ハ⋮鹿ヲ射ト思テ待ナ立リシ間俄工虎来テ喰ム. れる。就中、ムト為の﹁為︵す︶﹂ は実質動詞としての性格を強く. が末だ動詞﹁ス﹂ の意義を残していることがより明確に特徴付けら. 右のムズにない未然形・連用形の用法においては、ムト為とムトス. ヤハラケテ仏界ニヒカムトシタルナリ ︹光言句義釈聴集記︺. ○而ル。唐。波ヱト為シ時。先ッ宇佐ノ宮。詣テ﹁道ノ間海ノ怖レ元クシテ平空渡. 持ちながら機能していると認め得る。同様に仮名表記のムトスも、. リ・ツ・クリや助詞テなどを下接する例である。. シ給へ﹂ト祈り申シ給ケルll ︹今昔 巻〓︺. マへテクモタムトシアヒテオハシマスカ故也. ○又善妙寺二我力流ハ多トマリテ侯也小事トモーソライタラテカ. 体ハ元ソサレハ其由,啓ルへキ也﹂ 云ケレハ ︹打開集︺. ○其ノ預カリノ云ク﹁和尚ハ早失給。キ葬送‡トテスル処。草鞋片足許アリテ身. ていない次の如き例もある。. 詞﹁ス﹂が実質的意味を持って機能するするのと同様に、一語化し. 助詞﹁トテ﹂を介する﹁∼ムトテス﹂ の場合や複合動詞の形での動. 捕テ命,被殺ムトセシ。男ノ慈ノ心,発シテ亀買取テ命,助ケチ︵略︶﹂. ○小僧出来テ云タ﹁︵略︶ 此′男ハ我力為工恩ヲ施セル老也⋮海人ノ為。被引. ︹今昔 巻一七︺. ︹三教指帰注︺. ○陶朱雷人ヲ見テ我レ田ヲ作テ徳付カントセシカトモ更。徳ツカス. 〇人ノ頸キラレハソレニカバリテ頸ヲモキラレテシニナムトセソト 思ヰテ侯へハイカサてこモ学問モナニモソノ時はシサームスル. 御棺ノ荷ハムト為給7時ユ大地震動シ世界不安ス ︹今昔 巻二︺. ○葬送ノ時。仏末世ノ衆生ノ父母ノ養育ノ恩ヲ不報サラム事,試シノ給ハムカ為ノ▼−. ケム時百官マテ位,ウケム時一−ハマツ菩薩ノ戒ヲウクへシ諸ノ仏悦. ○梵網経杯乃玉ハク﹁モシ国王ノ位,ウケムトセん時転輪王ノ位,ウ. り稀薄になり、﹁ス﹂が実質的意味を失って形式化したものもある。. しかし、仮名表記ムトスの方は、ムト為に比して、その動作性がよ. ︹却廃忘記 上巻︺. ○アクイヵ子アリ毒イトナック毒イトイフコトハセメテノ悪人ナ. 給﹂ トイヘリ ︹三宝絵詞 下巻︺. 事也 ︹却廃忘記 上巻︺. ックルナリケリ ︹法華百座間書抄︺. リケレハムマレムトシケルニ毒ノフリケルニヨリテ毒イトハナ. 13. ︵8︶.
(14) のもあるのである。. どと同じく、ムトスが一語相当の資格で機能していると見なせるも. の問に、有意的区別や意味・用法上の差異は認め難い。即ち、ムな. 右例では、﹁位,ウケムトセん時﹂と後続の﹁位,ウケム時﹂ 二例と. 心とするという特徴的な傾向が看取できる。即ち、ムト為の特徴を、. た接続助詞的用法︶ などが圧倒的多数を占めており、文中用法を中. 詞﹁ニ・ヲ﹂や時を表す形式名詞﹁時・程・間﹂︵多くが二を伴っ. まず、ムト為の九割が集中する連体形の下接語を見ると、接続助. 四一例を数える。しかも、終止形と同じく、連体形もその多くが文. 就中、意志表現において顕著で、終止形の四例に対して、連体形は. 者の出現状況である。ムズの場合、連体形に多い点が特徴的である。. まり、文中でムト為が︵多く接続助詞等を伴って︶用いられる表現. お機能・意義上働き続けていることの現れと見ることができる。つ. 中に用いられて、達文となっている。これも動詞﹁為︵す︶﹂ がな. 連体形以外を合わせ見ても、五四〇例中の四一八例︵約八割︶ が文. 発言の途中で叙述を展開する達文機能を持っている点に認め得る。. 末に用いられたものであることが留意される。そのことの意味や特. 型は、行為の継起や並列を表したり、後句に対して原因・理由或は. 次に特徴的な偏在を認められるのが、終止形と連体形における三. 性については後で考察する。一方、ムト為・ムトスを見ると、その. 目的や情況などを説明したりする為の︶ 型であり、いずれも︵意志に 9 ︵. ○馬ヲ折返サムl芸所手車ソ馬冒下リムト為ル‡鐙ノ下ハ造ナル谷l;有レハ可下キ所. 基づく︶動作を描写したものと見ることができるのである。. 出現状況は一様でなく、両者が同一の意味・用法で全く同一の語の 異表記であるとは考え難い程に、有意的な偏りのある分布を示すこ. 克シ馬少シ動力ハ落人ナムトス谷,下セハ十余丈許ナ〝下[ ]也見〝.1日モ暗. とが判る。即ち、ムト為が連体形に集中し︵全体の九割︶、ムトス が終止形に集中している︵全体の七割︶ ことが特徴的な傾向として. レテ谷底モ不見工東西占心レヌ魂,イッキ心騒テ只今馬ト共。死ナムトス. の三二一例︶ が文末終止に用いられるという極めて特徴的な傾向が. 一方、ムトスの方は終止形に多く、しかもその殆ど︵三二三例中. 死ナム﹂ト思テ ︹今昔 巻二〇︺. ま其後ハ我レ告.事不有シ然レハ我か身忽。成ナムス同死一首此老佃。取付テ. ○然レパ若僧寄来テ男ノ懐,捜ムト為ル一−男ノ思バク﹁我力懐ll刀有定ノテ捜田ナム. ︹今昔 巻一こ. 注目されるのである。この偏在がいかなる意味を持つかについては、 下接語の種煩と性質などを合わせて考察することによって明らかに なる。. 四、下接語から見た特徴 そこで、ムト為・ムトス・ムズの下接語を、活用形別に整理した のが次の一覧表である。. 14.
(15) 昏 到. 認 淳 拝 辞 ・ 甘 封 U . 昏 認 . 融. か 呈 出沖 G 米 巴 詣 臣 丁 臣事 注 せ ) 1竜 璃針 掛+ ・ ㌫ ㌢−至 芸 三 三 三 惹 冨 〇. て 華‘ ! 羊 . . . ノ ー . . 茸 量 減 針 葺 0 − ニ Y − こ. 容 . 苛 淋 的 封. 、 −ノ ° ° °・ ・ 主 翼 這 警 告. 丁 ° 畏 . ) ( 、 − ′ ト ー ) ) FOO ̄ j く = ) ). 憩 臣詣. 退 塾. i融. 昏 容 譲‡ 瞥 呈 出昏 村 封 遡 瞥 封 詣 臣 時t T ㌫ ヾ ヾ \l 詣 卜 餌 ) ㍍ ヾ =〇 ト ) ′ 一 ヽ ) ′ . ヽ G ノ N ト ー ヽ ヽ d. ′ ̄ ヽ ヽ ノ ) 7. ( 巾 昏 津 別 . 沸淋 昏 澄 辺 卜. や ( Ul ) . 丁. N ). 討. 葦+ 滞 .. 昏 詳 封 . 尋己か 淋 芸 題河 か 芯 米 遡 ) 詣 臣 匝 \ ) ll 昂 ㌫ ( ( ( ( ( ) Jゝ ト J ト J トJ . 」 、 一 一 ′ ) ) 達 し ). 昏 劃 せ 国 臣 米 梓 謡 ; ニ 臣 ヽ ヽ − ノ ( ノ ー ト ー ( ) Cn. ’ 弟 lt ( \ Jゝ ( ノ ) ト ー ) ヾ 十 二. ) 拝 ( ‘ 7て 舟. . ( N . ト J ( ) ト ー ). . 昏 遡 . 国 ※ 詣 拝 ヽ ( ノ. Cn サ ( 、 ヽ _ ノゝ Jゝ 亡 ㌫ ). 溶・ + 遡 . 昏 昏 封 . 昏 浬 別 . 昏 昏 苗 杵 昏 芝目 罫 融 離 到 瞥 遜 劃 せ 務 拝 臣 華 、 車 載㌢〇 時1 7 ; ㌫ ヾ ト 帥 告 芯 て ニ G か ) ㌫ ノ! ㌣ ) ) CD ( ) ト J ) 丁 恥 、 キ ヾ = ヾ ニ 寸 土 ( ( ヾ=巴 ト J ト 3 騎 ) 巴 ト ー 吟 瞥 到 ( ト J ヽ ヽ . . ノ. 苛 か 昏 y ♭別 〉 ヰ瞥 〉 ヰ か ㍍ 米 別 封 到 ミ皇 詣 詣 臣 臣 匝 簿; 車最強; 1 11 培 昂 備 品 凍 :丁 〇 宗;密接辛 霊葦 ) 〇 ㍍==+ ・ e 幸は 事 巴 とH 等 蒜寝 装 G ) ) − 宗 丁 爵 ( 舟 ・: 璧 jjY 1‘ . . . . ノ) ’ 呈 鵠 翫 挙 警 ト ・ J ) 加 . 油 こ こ . ヽ −′ ;ト J \ ) ) . ヰ・ト ( ( 01 . q ) ) . ト. 丁. ゝ. 昏 到 . 如こ 志嵐 ; 欝. 昏 瞥 到. 篭. 仝. 讐. 五 . 品. こ 〆 . こ ヽ J ̄ こト ー ノ ー 、 鞍ヽ ‘ . . . . 品) 巴. 卜. 丸. 卜丁渉・卜TN・卜親8J痛由−椚. 迂津田.
(16) や已然形など︶ も含め、単独で文末に位置するものが最も多いが、. 認められる。終止形以外の副詞や係助詞などをうけるもの ︵連体形. 象徴されるように、それはまず文末に於いて陳述を担うことによっ. ある。それらを合わせた全体を見ると、ムトスは七割強︵74%︶ が. 表記の相違が意味・用法の相違を反映していると見ることができる 。 ︶ 0 1 ︵. スとは、前述のように、その性質の総てを同じくするものではなく、. ところで、外形上は﹁ムトス﹂ の異表記と見られるムト為とムト. て助動詞化するところから始まったのではないかと考えられる。. 文末用法である。即ち、ムトスは、発言の末尾で結論的に述べて文. その解り易い具体的な例が、両者が同じような意味を有しながら、. 助動詞ケリ・ラム・ナリや助詞等を伴って文末に用いられるものも. 脈をひとたび止める機能、いわば言い納め機能を石した語というこ. 連続する文脈の中で出現する次のような場合にも確認できる。. ○帝釈此ノ中ス所ノ事ヲ次第。具一癖給ヒチ既l云衰現ハレテ死ナムト為ル天人,. とができる。これは、動作性の﹁ス﹂が拡大して意味が広がり、文 末の陳述を担うようになったと見ることができようか。その意味で. ︹今昔 巻二︺. 見給7召テ宣7様﹁汝ナ既。命終ナムトス彼ノ大臣ノ子ト成ナ願ヲ溝テ﹂ト. ができる。しかし、純粋の一語助動詞﹁ム﹂ などとはその表現性を. ○身。茄.病,受7日来,経テ既l−死ナムトス其ノ時。此ノ人ノnU。火ノ申見エケリ此. も、文末のムトスは一語相当の資格で﹁辞﹂的に働く語と見ること. 異にしている。それは、動詞﹁ス﹂がある程度形骸化し乍も、陳述. レア見言リ後病人⋮一人′智リ有ル僧ヲ呼テ問テ云ク﹁我レ年来︵略︶罪ヲ. 右例は共に意志性のない表現である。ムトスとムト為との相違は、. を担うという点で、未だその機能を残しているためであると考えら. 意味の違いに基づくのではなく、文末に用いるか文中に用いるかと. ハ罪造″老地獄二堕ット云フ事ハ突言ソ﹂ ︹今昔 巻一五︺. ﹁ス﹂ の形骸化が一段と進み、一語化︵助動詞化︶ の程度を強くし. いう用法上の違いに基づくものと考えられる。特に﹁既。死ナムトス。. 造ル事,不止スシテ今死ナムト為ル時一−臨テ日ノ前。火ノ市来テ我レ,迎ヘムトス然レ. ているが、﹁ム﹂ と同質に扱えるほどには熱合しておらず、動詞. 其′時.﹂ ︵断止︶ と﹁今死ナムト為″時▼﹂ ︵連続︶ との関係などは、そ. つまり、ムトスは、文中で達文機能を持つムト為に比して、動詞. ﹁ス﹂ の機能が陳述を担うという点で残り、専ら文末でその機能を. れる。︵ムトスには娩曲の用法が無いのもそのことの一つの表れか。︶. 発揮していたものと思われる。このように、文末に来ることが多い. の典型的な姿である。ムト為が達文機能に関わる表記形態であるこ. ○其ノ家′主ノ物,酒。造テ共,人。与へテ員,増シナ得ムト為ル。其ノ時ll斑ナル小. とは、次の如き例も亦左証となる。. ︵文末用語といえる︶ という特徴が、ムトスの性格を象徴している と考えられる。これらのことから推測すると、中世以降﹁ムトス﹂ は漸次動詞の意が薄れて助動詞化を強くして行くが、ムトス表記に. 16.
(17) 浴シテ浄キ衣,着テ ︹今昔 巻一五︺. ○境炒⋮言,吐ナ云ク﹁境妙力最後ノ病此レ也此ノ度必ス死ナムトス﹂ 云チ沐. 助詞﹁lこと﹁其ノ時lことが、同じ意味・機能を持つにも拘わらず、. ○増祐弟子,呼チ云ク﹁我レ既一−死ナムト為ル事近ク来レリ早ク葬ノ具,可儲シ﹂. 牛出来テ薬王寺′内−1人テ常工塔ノ本.−臥ス ︹今昔 巻二〇︺. 重榎して用いられ﹁ムト為ルニ﹂となるのは、ムト為が達文の表記. ︹今昔 巻一五︺. それらの基準は、既に述べたように、ムトスとムト為との間の相違. 基準に使い分けられたようにも見える次の如き例もあるが、しかし、. く動作の描写かそれ以外か、或は地の文か会話文や思惟文かなどを. このムズラムは、純粋な地の文に用いられることがなく、﹁∼ムズ. ムズの終止形七八例中の八割強がラムを下接していることになる。. 例、ムトスラムが八例であるのに対して、ムズラムは六四例を数えハ. とは、助動詞﹁ラム﹂が突出して多いことである。ムト為ラムが七. 次に、ムズについて見ると下接語一覧から看取できる特徴的なこ. ]仙凸. 形態であったことの現れであろう。また一方では、︵意志︶に基づ. を特徴付けるものではない。この場合もやはり、文の断続関係が用. 三三例︵ゾ一例、ヤ二三例、カ一例、コソ八例︶・疑問詞の結び一. た、六四例の総てが文末に位置するものであり、かつ係助詞の結びー. 文︵二四例、内﹁∼ムズラムト思﹂ 六例︶ に限って用いられる。ま 17. ラムト思﹂の型で思惟の内容を引用・説明する文︵四〇例︶か会話一. 法上の優先的な基準として両者の相違を特徴付けている。 ○彼′従者鱗。寄テ刀,以テ大安力頭,刺シ洞ス︵略︶共時。大安驚十倍チ従 者,呼フ従者寄チ此レ,見テ刀,抜カント為竺死ナムトス ︹今昔 巻六︺. 汝。告夕今供フ事既。畢ナムトス何,甚夕理。非スシテ苦,受ケム﹂ト云畢テ走り出ヌ. ○母⋮女一−告チ云タ﹁︵略︶家。帰ラムト為。強。尚我レヲ打ヅ然レハ我レ走り来テ. 三例︵何二、何カ、イカニ、イカガなど︶ として文末に位置してい. ラムスラムトオモヒヤスラシヒホトニカフレリケム授記ハ. ○舎利弗日連ナトノヒトタヒニ授記呈カフラサリシカハイカゝア. ることが、その特徴と認められる。. ︹今昔 巻九︺ 更に、次に示す例は同一の文脈・説話内に出現するものではないが、 この三例の関係を見ても、文の種類や動作・状態の主体或は表現主 体などによる相違ではなく、文の断続関係が優先的な基準であると. ○真瞭老工臨テ身l一病有テ既。命終ヱト為″日弟子長教ト云7個,呼ヒ寄セテ. ○書生・︰母。云ク﹁︵略︶娼共何空シ給ハムス,ムト思フナム被殺″難堪‡呈増. ハ祖何一虚立給ハムスラム﹂ト思ヘトモ ︹今昔 巻九︺. ○心ノ内工思フ様﹁我力祖ノ財,買ハムカ為.1隣ノ図。遣プル鎖,以チ亀,買テ止ノシ. ︹法華首座聞書抄︺. 告テ云ク﹁我レ必ス今日死ナムトス而〝ll汝ナ未,受ケ不学サ″金剛[ ] ノ印. 理解せざるを得ない使い分けのあることが確認できる。. 契真言有り其レ速▼−可教シ﹂ト云チ ︹今昔 巻一五︺.
(18) 〇個﹁︵略︶ 然レト.法師か侯フ房。ハ規′小法師一人冒外。人モ不供え糸徒. テ悲.今ハ早り入給呈︵略︶﹂ ︹今昔 巻二九︺. て確認できる。特に、意志表現以外の文に用いられたムズが他の二. ムト為・ムトスに比して、高い割合を占めることが、次の表によっ. はし難く、二語が一体化した情意的な推量の表現となっていると見. るが、この期のムズラムでは既にムズとラムとの問に積極的な弁別. 本来ラムは現在推量などの意味を担って機能していたものと思われ. 二其ノ支度ヲシテ説キ給フナリ ︹光言句義釈聴集記︺. ○悌ノ軍痴キ給フヲ聞力如クナル支度ヲハ引lセの、封のト云. スル也﹂ トコタフ ︹三宝絵詞 中巻︺. ○乞食﹁ナニワサヲシ給ハムスルソ﹂卜1へハ﹁法花経,講セムト. 者を圧倒している点が注目される。. 得る。この情意的表現という性質は、次に述べるように、実はムズ. ○随求タラニナトヨミテオハシマサム某甲力門流ニテコソオハシ. 然一−テ佗ソクコソハ思サム;ノ﹂ト云ヒテ語ヒ行ク。 ︹今昔 巻一七︺. が単独でも有している特性と考えられるので、ムズラムによる表現. マサムスレl‡ ︹却廃忘記︺. ○祖ノ軍lマウテ1 ﹁カール事コソアレイカゝセムスル苦闘ヰ給ヒ£. はムズの情意的な推量や疑惑などをラムによって強調する表現とい うことができる。. ︵二〇例︶、多くは助動詞ラムや助詞ゾ・ニヤ・ニカ・ニコソ・カ. 単独で終止形で文末に位置したのと異なり、単独では連体形になり. る。但し、先の下接語一覧からも看取できるように、ムトスの方が. い納め機能を有した語といえる点で、ムトスとの連続性が認められ. られるものが全体の八割近く︵二二八例中の一七三例︶ を占め、言. ○物ノ心少知タ〝老共ハ奇異シヰ態ヲモ為ムスルカナト思ヒケリ ︹今昔 巻一九︺. 。成ムス笠ヤ﹂ト思テ ︹今昔 巻〓ハ︺. ○男ノ思ハク﹁我レ観音ノ示現。依テ︵略︶生返テ我力馬ト成テ布三段か此馬. ヶルヲ ︹今昔 巻一五︺. ○此ノ訴′畢テム事今六月許。成ヱ程。聖人ノ﹁講畢ラム日死ナムス″ソ﹂ト云l一. 痛サハ去ネトヤハ云ハムスル︵略︶ 不可痛ス﹂ト宣テ ︹今昔 巻五︺. ○国王′宜バク﹁地獄。堕テ銅燃燈火−−身,被焼レ刀山火樹一−身,交ヘム時ノ. 市ヤアル﹂ト云フ ︹打開集︺. ナ・カシ等を伴い、或は名詞・形式名詞を下接して体言化するなど、. ここで前に返って、文の断続の挽点で見ると、ムズも文末に用い. 単純な終止にならない。更に、係助詞はムズの下接語として特徴的. レハ ︹今昔 巻二三︺. ○殿此,開食丁委ク問や給ハムス″カシト思。何空思食ケル言問.給事モ無シテ止。ケ. 係助詞・疑問詞と関わって用いられるという特徴は、前述のムズラ. ○益元キ事。依テ身ヲ徒一−成サムスルカナト恩へトモ ︹今昔 巻二七︺. であるばかりでなく、ムズが係助詞の結びに位置することも多い。. ムでは特に顕著であるが、ムズの用いられた表現全体を見た場合も、. 18.
(19) ○弟子;有ケ″此レ,聞テ怖レナ﹁老ノ浪。極キ恥見給ハムスル御l房カナ﹂ト云テ. ︶ 0 の % 54. 全 L.け. 脚相似. の % 22. 全 34 け. 体.2 討. イカ ゞ( 2) 何 ( 22) 争 ( 1) 誰 ( 1) 軒 嫁. 全 1 2 は. コ ソ(12). 体 . 2 〃. 何 テカ ( 1) 何 ( 5) 誰 ( カバ) ( 2). ︹今昔 巻二八︺. イ ドコニ カ( 1) 何 ( 46) 誰 ( 3). ○女﹁︵略︶此様l一為ル事既一三庄一l成一吾此冒後モ亦此ノミ。ソハ候ハムスレ ︵略︶﹂ト云チ ︹今昔 巻二九︺. ︹今昔 巻三二. ○暫許有レハ同様ナル人十余人許出来タリ船ノ人﹁我等ヲハ翠:ス〝也ケリ﹂. 以上のことからムズの性質を考えると、ムズは、単なる意志や推 最を表すのではなく、上に係助詞や疑問詞などを伴い、或は下に終 助詞や係助詞などを伴うような、非平叙の情意性の強い表現文に与 ることを特徴として、他の語とはその表現価値を興にしていたので. コソ( 1). イカ ゞ( 1) 何 ( 8). 4. 8%. はないかと考えられるのである。. むすびに ここまでの考察で指摘し得たことを基に、推論も交えながら、ム. ナニ ゝカ( 1). 何 カニ カ( 1) 何 ( 2). 0. 6%’. 0. 8%. ス. トスとムズの表現性に関することを中心に簡単にまとめてむすびと. では、ムトスとムズの表現性を普遍的に論じ得た訳ではなく、はじ. し、卑見に対する大方のご批正を仰ぐことにしたい。ただし、本稿. めに断ったように、飽くまでも﹁院政・鎌倉時代﹂ の﹁和漢混清文﹂. ソ( 3) ヤ ( ハ) ( 24) カ ( ハ) ( 2). ズ. ヤ(1). 8. ゾ( 1). ム. コソ(1). ト. 1. 7% 10 . 5% 為. 他 の そ 志 意 . カ( 1). ゾ( 1). ム. における場合の特徴として指摘できる表現性について卑見を述べた. ト. ゾ( 1) ナ ム( 1) ヤ ( 3) カ( 2) ム. ものである。和文に用いられる国語助動詞﹁むとす﹂﹁むず﹂ の場 合も全く同一の性格のものとして捉えてよいかどうかは改めて検討. 係助詞・疑問詞の結びに関わるもの.
(20) せねばならないが、本質的には通ずるものと考えられる。. 因みに、ムトスとムズとの変遷について推論を述べるならは、ム. 或は他者が意識された︵対他︶的表現に用いられるという性格であ. あれ推量であれ、︵他者に属すること︶と把握されるものの表現、. たと考えられる。その過程の〓楠が、本稿で指摘し得た事象の中に. 文末に於いて陳述を担うことによって助動詞︶ 化 2 1 ︵するところから始まっ. が動作性を弱めて漸次一語化︵助動詞化︶ して行くが、それはまず. ズは既に三⋮助動詞として機能しており、ムトスも亦、動詞﹁ス﹂. る。従って、﹁意志表現﹂に用いられる場合は、表現主体以外︵他. ムトスとムズの表現性で最も基本にあるのは、その意味が意志で. 者︶ の意志や意志に基づく動作を描写するための語として機能する. は、文末に位置し、発言の末尾で表現主体の思想・感情や意見・判. 窺える。即ち、院政・鎌倉時代の和漢混琉文におけるムトス・ムズ. 断などを結論的に述べる、いわば言い納め機能を有する点を、基本. ことが第一義的用法といえる。しかし、相対的には少ないが、表現 主体自身の意志に関わる表現に用いられる場合もある。その場合、. 的な特徴として認めることができるのである。. 以上は、ムトスとムズとの共通性︵連続性︶ を認められる部分で. 表現主体自身の意志そのものや意志に基づく動作が、他者に向けら れたり働きかけられたり、或は他者への訴え・問いかけであったり. した場合、ムズの方は、単なる意志や推量を表すのではなく、情意. あるが、一方では両者の相違を認めることもできる。ムトスと比較. ち、表現主体自身のことも他者との関係で把握し表現しようとする. 性の強い非平叙の表現文に用いられる性格のものと捉えられるので. 説明であったりするような表現に用いられることを特徴とする。即. ︵対他︶的な意志表現に与る点を、ムトスとムズが共通に有する特. を眼底に未だ残していることの現れであると考えられる。機能拡大. このムトスとムズに共通する表現性は、両者が動詞﹁ス﹂ の意義. いると見ることもできようか。︶換言すれば、ムトスもムズも︿他. る。︵これは、ムズのズが濁音であるという、音の強さが関係して. たムズの方がより強く発揮しているためであると考えることができ. ある︶ 。それは、両者が共通に持つ︵対他︶性を、一語化を更に進め 3 1 ︵. した動詞﹁ス﹂が形骸化しながらも、外に現れる動作︵特に意志に. 異な表現性として位匿づけることができる。. 基づく動作︶を描写するという他者性・対他性、或は文末で陳述を. られるが、ムトスが他者に属することを他者のこととして︵場合に. ょっては自らのことさえも︶客観的に捉えた叙事性の対他的表現に. 者に属すること︶の表現或は︵対他︶的な表現に与る語と位置づけ. の推量の助動詞﹁ム﹂などの表現とは異質な表現価値を持っていた. なることを特徴とするのに対して、ムズは他者のことでも幾分自分. 担うなどの点でその機能を僅かに残すことによって、その部分で他. のではなかろうか。. 20.
(21) ▽ 会話︵対話︶ の世界では、表現主体︵会話主︶ がその責任にお. の強い表現であることを物語っている。. いて断り言い納める表現が多くなると考えられる。一方、発言の. の側に引きつけ、表現主体の感情や判断を交えた叙情性の対他的表 現になることを特徴とすると言えそうである。斯る点で、ムズは特. 末尾で結論的に述べる言い納め機能を有することが、ムズの特性. の一つとして指摘できる。つまり、そういうムズの特性と会話の. て存在したものと考えられる。 最後に、特にムズに関して、その最も本質的な表現性を他者を意. る。. 世界の表現の特性とは密接に関係するものであることが認められ. 徴的表現性を明確にし、他の推量の助動詞とは異なる表現価値を持っ. によってムズの特徴として指摘されてきたことと矛盾するものでは. 平叙文に用いられることを、ムズの特徴として捉えることも可能. ことができる。また、対他的に情意や主観に基づいて表現する非. ▽ その情意性・主観性の高じた表現は、強調・詠嘆の表現と見る. ずる。. ムズがあまり用いられない︵相応しくない語︶ということにも通−. 組みになることの多い ︵或はそれを要求する︶ 地の文の表現には、 21. その表現は情意的主観的表現にな。易い。このことは、論理的骨一. 表現主体の思想・感情・判断に基づいて表現することであるから、. ▽ 更に、表現主体の責任において断り言い納めるということは、. 識した︵対他︶的表現という点に認める立場は、これまでに諸先学. なく、諸先学の指摘と本稿での指摘とは緊密に関連し得るものであ ることを確認しておきたい。尚、先学の高論を極簡単に整理すると、 ︵1●︶. 次のようにまとめられる。ムトスとの対比から指摘された点は、和 文︵系資料︶・会話文・ロ ︵頭︶ 語調の文に用いられる語であるこ と、心理的描写・自然的状態的表現に関与すること、確信をもって の推量を表すことなどであった。また、その他にムズの特質として、 作者の主観的立場の表現・切迫した事態の推孟・主観的推量・強い. ▽ ︵対他︶的表現は、表現主体と対老︵聞き手︶ とで構成する場. であった。つまり、ムズの最も基本的な特質である対他性と言い. 意志・ベシの持つ表現との類似性などが指摘されてきた。. において、それぞれの立場が意識的に明確にされた表現であると. のが強調・詠嘆のよ入ノな非平叙の表現文であり、そのような表現. 納め機能とが会話文末で発揮され、情意性︵叙情性︶ を強めたも. に与る点に、ムズの特徴的表現価値が存したものと考えられる。. いえる。その場とは主に会話︵対話︶ の世界であり、そこに用い. 口頭語調の文に偏在するという慣向が項著に表出することになる。. 疑問詞や係助詞・終助詞などと伴に用いられる比率の高さは、そ. られるような対他性を特徴付ける語であれば、当然会話・談話・. ムズの特徴として指摘されてきた口頭語性は、正にそれが対他性.
(22) ういう一面が象徴的に表出したものと見られる。 ▽ 以上のようなムズの特性があるからこそ、推量表現ならは主観. ﹁むず﹂・﹁むとす﹂ の用法﹂︵﹃国語と国文学﹄39・3、昭和三七年三月︶・. 同﹁﹁むず﹂ ︵んず︶ の成立﹂ ︵﹃国語国文﹄31・8、昭和三七年八月︶・小. 林芳規﹁中世片仮名文の国語史的研究﹂︵﹃広島大学文学部紀要﹄3、昭和. 四六年三月・同﹁鎌倉時代の口頭語の研究資料について﹂ ︵﹃鎌倉時代語研. 究﹄11、昭和六三年五月︶・関一株﹁平安和文における推哀辞﹁むず﹂ と. 的 推 量 或 は 確 信 を も っ た 推 量 、 意 志 表 現 な ら ば 強 い 意︶ 志 5 1 ︵を 表 す と され、地の文に用いられた場合は、作者の主観的立場の表現で、. 物語用語﹁むとす﹂﹂ ︵二二二︶ ︵山口大学﹃文学会志﹄ 41、平成二年一. までに論じてきた。そこでは、和漢混清文においては、付属語の意味・用. 論者は、付属語においても同一語の語法的対立が認められることを、これ. ているが、自立語︵例えば副詞の如き︶ に限られているように思われる。. 対立︶ だけでなく、その位相差は語法上の対立関係もあることが指摘され. 従来着目され、その性格が論じられてきた。単に語形対立︵類義語の二形. ︵4︶和文語と漢文訓読語という位相差が語彙のレベルで認められることは、. 三年五月︶. ︵二︶ ︵山口大学﹃文学会志﹄41、平成二年一二月・﹃山口国文﹄ 14、平成. ︵3︶閃一雄﹁平安和文における推量辞﹁むず﹂ と物語用語﹁むとす﹂﹂︵こ・. 絵詞︵日本古典文学影印葉刊﹃三宝絵詞 明恵上人伝﹄︵貴重本刊行会︶︶. ︵東京大学出版会︶︶・却廃忘記︵同上︶・光言句義釈聴敷記︵同上︶・三宝. ︵武蔵野書院︶︶・明恵上人夢記︵高山寺資料致欝﹃明恵上人資料第二﹄. 教指帰注︵築島裕・小林芳規﹃中山法華経寺亭三二教指帰注総索引及び研究﹄. 法華百匹閲書抄︵小林芳規﹃法華百座間吉抄総索引﹄︵武蔵野書院︶︶ 二二. ︵岩波昏店︶︶・打開集︵東辻保和﹃打開集の研究と総索引﹄︵清文堂︶︶・. 書院︶、但し未刊・欠巻部分については、日本古典文学大系﹃今昔物語集﹄. 今昔物語集︵東京大学国語研究室資料叢書﹃今昔物語集一∼六﹄︵汲古. ︵2︶本稿で調査対象とした資料は次の通りである。. ズ﹂小考﹂ ︵﹃鎌倉時代語研究﹄14、平成三年一〇月︶. 二月・﹃山口国文﹄14、平成三年五月︶・菅原範夫﹁延慶本平家物語の﹁ム. 心理的・情意的表現であると捉えられることになるものと考えら れる。 ▽ ムズについてベシの持つ表現との類似性が指摘されることもあ る。本稿で問題にした対他性という観点からも、両者間に類似性 が認められるように思う。特に意志表現についてみた場合、ベシ の意志表現は、ムのそれに比して、対他性を強く持つ点を特徴と するという主旨のことを以前論じたことがある。 ︼ 5 1 ︵ ▽ ムズは和文資料に多く用いられる。ことがら本位にその伝達を 主とし、叙述における論理のl質をめざした訓読文に少ないのに 対して、聞き手への語りかけを心がけるという聞き手本位の﹁か な散文﹂ ︵和文︶ に多く用いられるのである。このことも、ムズ の情意性や対他性という特徴の一面を象徴していると解釈できる のかもしれない。 注. 点語と訓点資料﹄19、昭和三六年一一月︶・同﹁中古・近古における推畳語. ︵1︶吉田金彦﹁今昔物語集における推量語﹁むず﹂﹁むとす﹂ の用法﹂ ︵﹃訓. 22.
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