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<論説>現代立憲主義国家において国家法として民法を制定する意味(四・完)--民法と憲法の関係および民法と行政法の関係についての一考察

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(1)現代立憲主義国家において国家法として民法を制定する意味(西・完). 現代立憲主義国家において国家法として 民法を制定する意味(西・完) 一一民法と憲法の関係および民法と 行政法の関孫についての一考察一一. 宮. 第一章. 津. 正売. 主久. 昭. 民法と憲法の爵採についての現在の議論状況と本語の課題. 第一節はじめに 第二節. 民法と憲法む関係についてむ現在の議論状況と本穣の課題. 第三節. 本請における考察の規角と本稿む構成. 第二章現代立憲主義富家において冨家法として民法が制定される意味民法と憲 法の関鋒および民法と行政法の麗孫 第一節問題の所在 第二部. こ認められる性賓一憲法学の議論を基礎にお 現代立憲主義のもとで国家 i いて. 第三節. 環代立憲主義冨家において富家法として民法が制定される意味一民法と 憲法および民法と行政法の欝係の理論的枠組. 一.はじめに. 一. 現代立憲主義における私法秩序の形成の位置づけ. 三.現代立憲主義国家において富家法として民法が制定される意味一民法と憲 法の関係および民法と行政法の関孫の理論的枠組. ( 1 ) 近代立憲主義冨家において冨家法として民法が制定される意味一民法と 3 巻 l号 〉 憲法の関係についての理論的枠組の考察(以上5 出. 現代立憲主義国家において変わらないことと変わること一私法秩序に対 する国家の介入の法的位置づけ. 第 四 部 小 話 ( 誌 上5 3 巻 2号〉 第 三 章 憲 法2 9条 1項および 2項の解釈一現代立憲主義冨家において国家法として 民法が制定される意味を基礎において〈以上 5 3 巻 3 ・4号 〉 第呂章本稿の結論と今後の譲題(本号). -1-.

(2) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第. l号. 第四章本稿の結論と今後の課題. 第一節. 本語における考察の概観と結論の射程. 一.本稿における考察の概観 ( 1 ) 本稿の目的. 現在の E本法においては,民法学,憲法学,行政法学などの伝統的な法 領域のそれぞれにおいて形成されてきた法理論について,地の伝統的な法 領域においても考察を行う必要があると考えられる倒。このように複数の 法領域にまたがった考察を行うにあたっては,各法領域を共通の基盤のう えに位置づける必要がある叱本語においては,そのような共通の基盤と しての民法と憲法の関係についての理論的枠組の構築をめざした考察を行っ てきた叱. ( 2 ) 第一章の援要 まず,第一章においては,民法と憲法の関係についての現在の議論状況 を検討した叱その結果,本稿における具体的な課題を,. r 憲法に対する. 民法の独自性・自律性j と f日本法体系における培麗構造上民法が憲法の 下位規範になること j のそれぞれを基礎づけ,かっこの両者を整合的に矛 盾なく説明しうる民法と憲法の関採についての理論的枠組の構築としたおも また,その考察においては「近代立憲主義を基礎におく現代立憲主義国家. *本稿においては敬称を略させていただきました。 ( 間 ) 本語第一章第一節(富津稜曜「現代立憲主義国家において富家法として民法 を制定する意味〈ー) J 近 法5 3 巻. 1号 5 6( 1 4 3 )5 7( 1 4 2 )頁 ( 2 0 0 5 年))参照司 岡 本稿第一章第一節(宮葎・前掲注側,) 5 6(14 3 )5 7( 1 4 2 ) 頁〉参照。 ( 7 時 本語第一章第一節(宮翠・蕗揖注側 5 6( 14 3 )5 7( 1 4 2 )頁〉参照。 備本稿第一章第二節(宮津・龍掲注偶~57 ( 1 4 3 )1 0 5( 9 4 ) 頁〕参照。 制 本稿第一章第二節三. (宮署・前掲詮鵠 1 0 4( 9 5 )1 0 5( 9 4 )頁)参照。 - 2-.

(3) 現代立憲主義国家において国家法として民法を制定する意味〈回・完〉. において国家法として民法を制定する意味j という開題をその諜角として 設定した円. ( 3 ) 第二章の概要 第二章において誌,蔀述の具体的な課題として示した民法と憲法の輿孫 についての理論的枠組の構築に向けた考察を行った。その結果として,次 のような民法と憲法 C 関係についての理論的枠組を導き出した叱. ( a ) 近代立憲主義富家における民法と憲法の関係 まず,近代立憲主義国家も環代立憲主義国家も先行して存在する社会む ために存在すること域社会において辻,私人間の関係において実力とし ての強制力をもって実現されるべきであるとされる規範の集合であるとこ ろの私法秩茅が既に自生的に存在していること内近代立憲主義および近 代立憲主義を基礎におく現代立憲主義のもとでは実力としての強制力を国 家が独占していること内をそれぞれ基礎として,私法秩序に含まれてい る規範の実現は,国家の義務として捉えられる叱 そして,大陸法体系をもっ爵家においては,一定の規範を,司法権の震 する国家機関であるところの裁判所による強制力の行捷の規準とするため に誌,それが立法権の属する国家機関によって法律として定められている. 締本稿第一章第三部一. ( 2 ) (宮署・前掲注(15 3 ) 10 7( 9 2 )1 0 8( 91)頁)参類。 側. 以下に示す員法と憲法の関係についての理論的枠組についてのまとめに関し てより詳しくは,本稿第二章第四第一.および関二. (宮窪俊昭「現代立憲主. 3 巻 2号 1 4 5( 3 6 0 ) 義国家において国家法として民法を制定する意味(二)J近法5 2 0 0 5 年))を参黒s 1 5 4( 3 51)頁 ( 側. 本稿第二章第二宣告二. ( 1 ) (宮翠・前掲注側 1 1 1( 8 8 ) 夏)参 R 号、。本積におけ 1 ) (宮津・ る「国家」及び「社会」の用語詮については本稿第一章第三箆ー. ( 5( 9 4 )1 0 6( 9 3 ) 頁)参照。 前揚注侭)10. 鰍 本 稿 第 二 章 第 三 節 二 . (宮津・前掲注締 1 1 7( 8 2 )1 1 8( 8 1 ) 頁〉参類。 鱗本稿第二章第二第二. ( 2 ) (宮揮・前掲注脂~112 ( 8 7 )1 1 3( 8 6 ) 頁)参照。 締本稿第二章第三部三. ( 1) ( a ) (宮窪・前掲注侭D 1 1 8( 8 1 )1 2 0( 7 9 ) 頁)参照。. -3-.

(4) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第. 1号. 必要がある叱そのため,冨家が私法秩序に含まれている規範を実現する にあたっては,その私法秩序に含まれる規範の内容が,立詮権の嘉する菌 家機関によって裁判規範としての国家法として,すなわち民法として制定 されることが必要となる粍このように鎚定される民法は,国家が国家法 として範定する以上,憲法の下位規範としての法律として制定することに なるため,国家は民法を制定するにあたって,自家は私法秩序と憲法の両 方に拘束されるということになる守備九. ( b ) 現代立憲主義国家における民法と憲法の関係 近代立憲主義を基礎とする現代立憲主義国家. 的. 以上同に示した理論構成は,近代立憲主義の考えが基礎におかれる現代 立憲主義国家においても雑持される側先. 綱本稿第二章第三節三. ( 1 )( c ) (宮津・前掲注鱗 1 2 2( 7 7 )1 2 5( 7 4 )頁)参照。 1 ) ( c )(宮葎・前掲注織 1 2 2( 7 7 )1 2 5( 7 4 )頁)参照。 閥本稿第二章第三節三. (. なお,裁判読は立法権の麗する国家機関の都定した法律とともに裁判時の私詮 1 )( c ) ( アi(宮翠・前掲注(時 1 2 2( 7 7 ) 秩序に拘束される(本語第二章第三第三. (. 1 2 3( 7 6 )頁)参照、〉。また,本穣において「裁暫規範としての民法」という 言葉に特殊な意味を持たせていないことについて,本稿第二章第三節三. ( 1 )( c ) (ア)注側(宮津・前掲注鱗 1 2 3( 7 6 )頁)参照。. 的 。 立法権の属する国家機関による私法秩序む国家法としての制定あるいは裁判 所による法形成にあたっては,その私法秩茅に含まれる規範を法技徳的概念及 び法技術的構成を用いて表現する必要があると考えられる(本稿第二章第三第 三. ( 1 )( d ) (宮津・萌謁注側 1 2 5( 7 4 )1 2 8( 7 1 )頁))。 1) ( e ) (宮津・前掲注抑H 28( 7 1 )1 3 0俗説夏)参照、。 側本語第二章第三節三. (. ここで,. 0 0家法としての民法の制定の際の私法秩序による掲束とは,社会にお. いて形成される私法秩序に含まれる規範の内容を裁判規範としての国家法の内 容としなければならないという意味をもっ G これに対して憲法による拘束とは, 憲法によって定められた制限む枠内においてのみ国家が菌家法を定めることが できる,という意味における拘束である〈以上について,本稿第二章第三第三. ( 1 )( e ) (宮揮・詰掲注側 1 2 9( 7 0 )1 3 0( 6 9 )貰〉参照)。 ( 7 i ゆ 本 語 第 二 章 第 三 節 三. ( 2 K a )( 宮津・前掲註鰍 1 0 4( 4 01 )1 0 5( 4 0 0 )頁)参照。. (7~時. 本章の考察から導き出した以上のような民法と憲法の関採についての理論講/. -4-.

(5) 現代立憲主義国家において国家法として民法を制定する意味〈四・完〉. 4 イ }. 環代立憲主義国家における裁判規範としての民法に対する国家の介入. 地方,近代立憲主義国家から現代立憲主義国家への変化に持って,国家 による社会への介入が一定程度是認されるというかたちで,国家の役割に 変化が生じた叱このような国家む社会への介入のあらわれのーっとして, 私法秩序において形成された規範の内容と異なる内容を裁判規範として制 定するというかたち〈裁判規範としての民法に対する国家の介入〉があ る叱このような分入は,国家が私法秩序に拘束されていることを理由と して, I 自律的に形成された私法秩序の惨正 j として行われることが求め られる加もこのような裁判規範としての民法に対する冨家の介入の限界に ついては, I 国家であることによる憲法上の制約Jから導かれる限界と,. f自律的に形成された私法秩淳の惨正であること Jか主導かれる隈界が存 在する叱 ( ウ ) 現代立憲主義国家における行政法を通じた富家の分入と民法の関孫. また,国家の社会への分入は,私法秩序から生じる爵題を諺正するとい う役割が行政法の役割として加わるというかたちでも現れる{九このよう ¥、或は,本稿の課題である f 憲法に対する民法の独自性・自律性j と「百本法体 系における階屠構造上民法が憲法の下泣規範になること」を整合的に矛震なく 説明しうる理論的枠組であることについては,本穣第二章第百節一. (宮葎・ 前掲詮閥 1 4 5( 3 6 0 )1 4 9( 3 5 6 ) 頁)参類。 締本稿第二章第二節二. ( 5 ) (宮津・前掲注同 1 1 4( 8 5 )1 1 6( 8 3 ) ) 参照。 O 7 1 ) 本稿第二章第三節三. ( 2 ) ( b ) ケ ' ) (宮津・前掲詮鰍 1 0 5( 4 0 0 )1 0 7( 3 9 8 ) 頁). 参照0 1 ( 7 2 ) 本稿第二章第三節三. ( 2 ) ( b ) ケ) (宮津・前掲注鰍 1 0 5( 4 0 0 )1 0 7( 3 9 8 ) 頁) 参照 0 0 1 3 ) 本稿第二章第三第三. ( 2 ) ( b ) 仔) (宮津・前掲注側 1 0 7( 3 9 8 )1 1 3( 3 吉2 ) 頁) 参照。それぞれの具体的内容については,本稿第二章第三節三. ( 2 )倒 的 i) 〈宮津・蔀謁詮撤回 7( 3 9 8 ) 頁)および同 i i ) (宮津・前掲注閥 1 0 8( 3 9 7 )1 1 3 ( 3 9 2 ) 頁)参照。 制本稿第二章第三節三. ( 2 ) ( c ) ( ア ' ) (宮津・前掲注側 1 3 0( 3 7 5 )1 3 2( 3 7 3 ) 頁) 参照。. - 5.

(6) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 l号. な行政法領域における変化によって,民法の規需の対象となる領域と行政 法の規律の対象となる領域に重なる部分が生じる陀そして,この重なる 部分における行政法上の規定を通じた国家の社会への介入が私法秩序から 生じる問題に対する修正であると考えられることから,理論的に可能な限 りで,前述した民法と行政法の重なる部分の範囲内において,行政法上の 規定に裁判規範としての民法上の規定と毘じ位量づけを民法の領域におい て与えること(行政法上の規定の民法内在的な設置づけ〉が要請されてい ると考えられる叱このような行政法上の規定の民法内在的な位量づけに あたっては,既に存在している民法の制疫を修正するという形で裁判規範 として民事紛争の解決の規準となることの認められる場合がある,という 法的構成をとることが必要となる粍 以上のような法的講或むもとで行政法上の規定む民法内在的な位量づけ を認めるための理論的基礎として,行政法上の規定と民法の制度の間に辻 規律の対象となる主体関係および規律の目的となる和益について「国費性j を認めうる場合のあること,並びに規律主体の栢違及び和害調整を行う制 鱒方法の椙違という両者の「異賞性j は抜然として存在し,この異質性が 行政法上の規定の民法内在的な位置づけに影響を与えること,がそれぞれ 重要となる陀 岡本稿第二章第三節三. ( 2 ) ( c ) ( イ)i)①(宮葎・諒掲注側 1 3 2( 3 7 3 )1 3 4( 3 7 1 ) 頁)参照。 岡 本稿第二章第三節三.出納付)i)①(富津・前掲注側 1 3 2( 3 7 3 )1 3 4( 3 7 1 ) 頁〉参照。なお,本稿においては,問題となる行政法上の規定が,憲法理論及 び行政法理論などに基づいて正当・違法とみなされることを前提としている (本稿第二章第三節三. ( 2 ) 例 的 i)①〈宮窪・前掲注側 1 3 3( 3 7 2 )1 3 4( 3 7 1 ) 頁〉参照)。 的本稿第二章第三節三. ( 2 ) ( c ) め i) ②(宮津・前掲注側 1 3 5( 3 7 0 )1 3 6( 3 6 9 ) 頁〉参照。 同本稿第二章第三節三. ( 2 } ( c ) 仔)註) (1)'"-'③(宮津・前掲注側 1 3 6( 3 6 9 )1 4 5. ( 3 6 0 )頁)参照。 -6-.

(7) 現代立憲主義国家において国家法として民法を制定する意味(四・完). 行政法上の規定と民法の制度との聞の主体関係および目的となる利益に ついての毘質性を基礎として,行政法上の規定の民法内在的な位置づけが 認められるための条件として,次の三つが示される O それは,①問題とな る民法の制度と行政法上の規定との間で規律の対象となる主体関孫の一致 すること,②行政法上の規定の規律の目的となる公益が「私益の集合j と して提えられること,及び争当該民法の制度の規律の対象となる利益と行 政法上の規定の規律の対象となる利益とが同質であることをそれぞれ示す ことによって,行政法上む規定と民法の制震の聞に「私益毘の利害調整j と~ )う場面で機能するという意味における実体法上の同質性が認められる. こと,である叱これらの条件に加えて,行政法上む規定と員法の制度と の間において存在する,規律を実現する主捧の相違および利害調整を行う 制御方法の相違という「異質性Jを基礎として,参集合的・公共的和益を 規律の吾的とする行政法上の規定を民法の鎮域に位童づけることを基礎づ ける民法理論の示されること,および⑤既存の民法の制震に存する機能が 当該行政法上の規定による修正によって失われないこと,もそれぞれ行政 法上の規定を民法内在的 i こ栓置付けるための条件となる叱 ( 4 ) 第三章の概要. 第三章においては,第二章において提示した民法と憲法の理論的枠組を 基礎において,員法と憲法との関連で大きな意味を持つと考えられる財産 権に関する憲法2 9 条 1項及び同 2項の解釈について考察を加えた。ここで は,まず,憲法2 9条 1項及び 2項の解釈に関する現在の議論状況をについ. 喝 。 行政法上の規定と民法の制度との間の主{本関孫および E的となる利益につい ての同質註を基礎として導かれる条件については本稿第二章第三第三. ( 2 ) ( c ) 何) 註〉①および号(宮揮・前掲詮鰯 1 3 6( 3 6 9 )1 4 2( 3 6 3 )頁〉参照。 ( 喝. 行政法上の規定と民法の制度との聞の規律主体の相違及び利害課整を行う制. 御方法の相違という「異質性」を基礎として導かれる条件については本稿第二. 2 ) ( c ) 付)註) @ (宮津・前掲注倒 1 4 2( 3 6 3 )1 4 5( 3 6 0 )頁)参類。 章第三節三. ( 7-.

(8) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 1号. て,近年発刊された憲法の概説書・体系書を基礎として議論の構造を整理 し,それに検討を加え,その議論についての論点およびそれについての理 論上の問題を導き出した叱そののちに前章で示した理論的枠組を基礎 とした考察から憲法 2 9条 1項及び関 2項 の 解 釈 理 論 の 構 或 を 示 し た 叱 最 後に,その理論構成が従来の議論と整合性を保てるのかという点,及び現 在む議論における問題を解消しうるのかという点について,従来の議論の 検討から導き出した論点を読角とした検証を加えた叱. 二.本稿の結論とその射翠 本宣言一.に示したように,本穣で辻,複数の法領域にまたがった考察を 行う繋の共通の基盤としての民法と憲法の関係についての理論的枠組の構 築をめざした考察を行ってきた。そして,第二章において提示した理論的 枠組が,それにあたるということになる O この結論たる理論的枠組の射程 は次のように考えられる G 第二章において提示した民法と憲法の関係についてむ理論的枠組は,ま さに民法と憲法の関孫を対象としているがゆえに,民法の領域と憲法の領 域にまたがった議論についての共通の基盤となりうる O また,この理論的枠組のなかでは,行政を通じた国家の介入と私法秩序 の関係を論じるなかで,行設法上の規定の民法内在的な位置づけについて も論じている O そのため,この理論的枠組は,行政法の領域 i こおける議論 を民法の領竣に位置づけるための基盤となりうる G さらに,こち理論的持 組においては,行政法領域のなかで現代立憲主義国家において拡張した部. 締本福第三章第二節参照。導き出した論点および理論上の問題に関しては,本 議第三章第二節三.参照。 締本語第三章第三館参照。 鱗本語第三章第四節参照。. 8.

(9) 現代立憲主義国家において国家法として民法を制定する意味(回・完〉. 分を私法秩!亨に対する国家の介入というかたちで捉え,さらにその介入を, 新たな私法秩序の影成ではなく,私法秩序の穆正として捉えている G いい かえれば,この部分においては,そもそも民法の領域の議論が,行政法の 領域の議論を行ううえでの基礎となっていることとなる O そのため,本稿 において提示した理論的枠組辻,行致法の領域むうち私法秩序の修正を日 的としていると捉えられる領域に関して,民法の領域における議論を行政 法の領域に並置づけるための基盤となりうるとも考えられる C さらに,この理論的枠組辻,民法の領域と重ならない近代立憲主義国家 における行政法の領域と,民法の領域と重なる現代立憲主義国家において 拡張した行政法の領域の質的差異を提示する理論のーっと捉えることもで きる。前者の領域に関しては,民法の領域と交わることなく憲法の領域と 関捺するのに対して,後者の領域では,そのような宣接の関係のみならず, 民法の領域を媒介とした憲法との関孫も存在することとなる O このような 構造を提示するこの理論的枠組は,憲法と行政法にまたがった議論を行う にあたって,情らかの示唆を汲み取る源となる可能性もありうるのではな いかとも考えられる叱 以上に加えて,本稿における考察の組み立て方は,民法と憲法,民法と 行政法,憲法と行政法のそれぞれの関孫以外の議論,例えば,民法と閣法, 刑法と憲法などそ白地の複数の実体法領域にまたがる議論を行うにあたっ ても一定の示唆を与えうるものと思われる O. 制} 掬えば,行政と私人の関係を二酉関係と提える場合と,それを三面関採と捉 える場合の理論的根拠に何らかの違いが出るという可能性を示しているように も思える。この関題に関する考察を今後の課題とすることについて,本章第二 節二. ( 3 )参照。. -9-.

(10) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第. 1号. 第二節今後の課題に対する序論的挨討 一.本稿で考察の対象とした摺却の法鎮域における課題 ( 1 ) 民法の問題として. ( a ) 総論的課題 的歴史的な視点からの課題. i)日本民法の制定と国家の介入の関係について 今後の課題のーっとして,日本民法の制定における国家の分入と,本稿 において示した理論的枠組との関捺の考察があげられる O 本穣における理論的枠組のもとでは,社会において自律的に形成された 私法秩序に国家は拘束される粍そして,近代立憲主義国家においては, 私法秩序に含まれる規範と異なる内容を立法権の嘉する国家機関が裁判規 範としての民法として制定することは認められない欄。また現代立憲主義 国家においては,国家の私法秩序に対する介入は,一定の限界のなかでの み認められうるものとなる叱 ここで問題となるのが,明治期に行われた日本民法の制定が,不平等条 約撤震という政治的課題を大きな理由としていたことである開。そして現 在,伝統的規範と E本民法の一致と零離という問題設定のもと,この不平 等条約撤廃という問題に着目して,いわゆる法典論争は家族法・相続法の 領域に関するものであり,財産法に関しては日本社会の伝統的規範は取り 入れられていないという理解,および日本民法の制定はフランス・ドイツ .ベルギー・スイス・イタリアなどの近代法典の規定の比較の中から優れ. 怖) 本稿第二章第三筋二. (宮津・前掲注( 1 5 3 ) 11 7( 8 2 )1 1 8( 81)夏)参照。 胸) 本稿第二章第三節三. ( 1 ) ( e ) (宮津・前掲注締 1 2 8( 7 1 )1 3 0( 6 9 )頁)参照。. ( 2 )(宮津・蔚掲注側 1 0 4( 4 0 1 )1 4 5( 3 6 0 ) 貰)参照。 僻) 小柳春一郎「民法典の誕生」正中俊雄=星野英一編 F 民法典の百年 1 J 7頁 (有斐器, 1 9 9 8 年〉。. 締本稿第二章第三節三.. - 10-.

(11) 現代立憲主義国家において国家法として民法を髄定する意味(西・完〉. たものを取り出すという「ヨーロッパ化j の傾向が前面に出ているという 理解,がそれぞれ示されている叱この理解は,少なくとも財産権む領域 について,. I 伝統的規範と日本民法の草離」を強調する理解であると考え. られる O そして,このような理解を基礎とすれば,明治期の日本民法の制 定は,本稿の理論的枠組では説明できないことになる O しかし,ボアソナード、が中心となって作成された 1 8民法の規定について, 家族法・相続法の領域においては伝統的な規範・震習から大きく黍離して いたために大幅な諺正を求める動きがおこったのに対し,財産法の額域に おいては伝統的な規範・噴習か込む葉離が小さかったために大幅な修正を 求める動きがおきなかったというかたちで,. I 伝統的規範と B本民法の一. 致 j から明治期の民法説定を提えるという可益性はないのであろうか倒。 坂に,このような捉え方が可能であるならば,明治期の日本民法の制定を, 本稿で示した理論的枠組に基づいて説明しうることとなると思われる O こ のような可能性をふくめて,法典論争を中心とした民法制定期に関する民 法学および E本法制史における議論を基礎において,本語で示した理論的 枠組の検証を行うことが今後の課題となる粍. 糊) 加藤新太郎=松本恒雄=大村敦志〈司会) =議克佳男=小粥太部「討論(脅. 一一一外国法とのかかわりを中心に ) J 民商 1 3 1巻 集:日本長法の歴史と展望 2. 8. 号7 8 2 7 8 3頁〔潮見佳男発言) ( 2 0 0 5 年 〉 。 憾 なお,財産法む領域において大幅な修正を求める動きが起こらなかったこと 慣習 j の並置づけとの関謀も検討される について詰,財産法の領域における f べきと考えられる〈本稿の考察と慣習との関諜については,後述{院ケ)参照〉。 相) I 私法秩序 j に関しては,本積第二章第三節二. (宮津・蔀掲注側 1 1 7( 8 2 ). 頁〉を, I 誌技箭的構成・法技術的援念」に関しては,本稿第二章第三節三. ( l )( d ) (宮葎・龍掲注側 1 2 5( 7 4 )1 2 8( 7 1 ) 頁〉参照、。また, I 法技箭的概念」. 「法技術的構成j の基礎となる歴史的蓄震は, I 私法秩序j の基礎となる歴史的 蓄積と詩ーの経過をたどったものである必要はないことについて,本稿第二章 1} ( d ) 注 ( 郷) 1 (宮翠・官官掲注側 1 2 7( 7 2 )頁〉参照。 第三節三. (. -11-.

(12) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 1号. 話)外国法における歴史的規点からの本稿において示した理論的枠組の検 証 本稿において提示した理論的枠組は,現在の B本における民法学,憲法 学および行政法学の議論を基礎においている O しかし,本語においては, 日本にのみ存在する持殊な事情を基礎としているものではなく,近代立憲 主義国家を基礎とする現代立憲主義冨家の性質を基礎として理論を組み立 てた陀そのため,立憲主義をとる諸外国における民法制定の過程につい ての議論を基礎において,本稿において提示した理論的枠組の検証を行う ことが今後の課題となる倒。 め民法解釈方法論について 本稿においては既に,本稿で示した理論的枠組を基礎として,民法解釈 方法論について仮設的な検討を加えている粍この仮設的な検討も踏まえ て,民法解釈方法論に関する考察を進めることも今後の課題となる O なお,この問題の考察にあたっては,本穣において,私人語の関採にお いて実力としての強制力をもって実現されるべきであるとされる規範の集. 鱗本稿の考察で基礎においた患家の性賓については,本稿第二章第二第二. (宮津・前提注側 1 1 1( 8 8 )1 1 6( 8 3 ) 頁)参拐、。 鱗椀えば,日本民法に大きな影響を与えたフランス民法に関して,民法典起草 委員会の委員の一人であるボルタリス ( P o r t a l i s ) の著した. F 民法典序論』. 1 1 9頁(日本評論社, (翻訳としてボルタリス〔野田良之訳) Ir民法典序論J1 1 9 4 7 年))における言説を基礎においた検証〈現在の議論においては,ボルタ リスの議論の検討を基礎において「公事としての私法」という捉え方を提示す. 1 2 0頁,特 る大村敦志「民法と民法典を考える j 同『法典・教育・員法学J1 に1 7 2 9夏〈有斐閣, 1 9 9 9 年,初出・ 1 9 9 6 年)がある〉が,同様に自本民法が. 強 L、影響を受けたドイツ民法に関して,その民法典編纂における歴史法学の位 置づけを基礎とした検証(ドイツ民法典の編纂期に関する文献として,石器種 亮 編 Fドイツ民法典の編纂と法学J(九州大学出販会, 1 9 9 9年)がある)が, それぞれ考えられる。 5 4( 3 5 1 )1 7 1( 3 3 4 ) 夏) 締 本 稿 第 二 章 第 四 節 三 . (嬬論) (宮津・前掲註締 1 参張。. 1 2.

(13) 現代立憲主義冨家において冨家法として民法を制定する意味(西・完). 合であるところの私法秩序の存在を基礎において理論的枠組を構築してい ることが,重要立視点のーっとなる。この視点を基礎として,私人爵の関 孫における規範について,その規範が実力としての強制力をもって実現さ れるべきであるか否かを判断するための基準・方法論の提示に向けた議論 を行うことも,この問題に関する重要な課題の一つになる粍 耕民法の現代化について 20例年 1 2月 18に公布され, 2005 年 4月 1日に施行された「民法を一部. J によっていわゆる「民法の現代語 改正する法律(平成 16年法律第 147号) 北」が達成された叱民法学における議論で誌,この民法の現代語化に続 く今後の課題として, I 民法の環代化」が示されているのも 本積において示した理論的枠組のなかで、は,現代立憲主義国家において. 側. この課題 i こ関連する近年の文書主として,規範の正確や位置づけを考えるため の座標軸として,. r 規範の形成主体」と「国家によるエンフォースメントの有. 無 j というこつの視点から四つむ類型を示したうえで,私人が自発的に作り上 げる謁a嬰習・取引横行を裁判所が裁判規範として取り込みエンフォースするこ 規範の私的影成と冨家 i こよるエンフォー との可否に関して考察を加える藤田友敬 f スメント:商彊習誌を素材として JCOE ソフトロー・ディスカッション・ペー ー・シリーズ COESOFTLA W-2006 ー 2( h t t p : / / w w w . j .ut o k y o . a c . j p / c o e l a w /. ノf. COESOFTLAW-2006-2.pdO ( 2 0 0 6 年)がある。また,憲法2 9条 に お け る 財 産権に関する考察も,この課題に密接に関連する(後述( 2 ) ( b ) 参黒〉。 0 9 6 ) 民法の現代語化に関しては,中田裕康「民法の現代語化j ジュリ 1 2 8 3号8 6頁. ( 2 0 0 5 年),池罰真顔編『新しい民法一一一現代語化の経緯と解説 j 1 1 2 2頁 〈 有 斐寵, 2 0 0 5 年)などを参照、。 現代語化』と民法の『現代化JlJNBL8 0 0 号6 7頁 ( 2 0 0 5 納潮見佳男「民法の F 年),中国・前掲注締 9 9 1 0 0頁,地田編・前掲注7 ( 時1 5 1 8頁〔池田執筆〕など を参照。関連して,. ドイツおよびフランスにおける畏法改正の動向についての. 研究も進んでいる。ドイツに関しては,期見佳男「ドイツ債務法の現代化と日. 3 9頁(有斐閣, 2 0 0 4 年,初出・ 本債権法学の課題j 同『契約法理の現代化Jl 3 2 0 0 1年),同 fドイツ員法の環代化と司本民法解釈学j 畏蕗 1 3 1巻 4・5号 5 8 9頁 ( 2 0 0 5年)などが,フランスに関しては,北村一郎「フランス民法典 2 0 0年記念 とヨーロッパの影j ジュリ 1 2 8 1号 9 2頁 ( 2 0 0 4 年),金山直樹「フランス民法典 改正の動向j ジュリ 1 2 9 4 号9 2頁 ( 2 0 0 5 年〉などが,それぞれある。 - 13-.

(14) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第. 1号. 国家法としての民法を制定するということは,私法秩序に含まれている規 範の強制力を通じた実現のために,立法権の属する国家機関が,その私法 秩序に含まれる規範 C 内容を裁判規範としてむ国家法として都定するとい うことを意味する叱また,. r 私法秩序」を基礎イずける歴史的蓄積と「法. 技術的概念Jイ法技術的構成j を基礎づける歴史的蓄積とが異なりうるこ と域および説定された国家法と私法秩序との関の時関の経通に伴って翻 語む発生しうること悶のそれぞれについても理論的枠組のなかに註童づ けている O このような本稿で示した理論的枠組は,なぜ民法を現代化する 必要があるのか,という開題の理論的基礎づけに寄与しうるとも考えられ る。民法の現代化と本稿の理論的枠組との関係についての考察は,今後の 課題となる O 同新たな法技衝的概念の開発について 本稿において示した理論的枠組によると,立法権の属する国家機関によ る私法秩序の国家法としての制定あるいは裁判所による法形成にあたって は,その弘法秩序を法技徳的概念及び法技第的構成を用いて表現する必要 がある肢もさらに,たとえ強制力を通じて実現されうるという性質をもっ 私法秩序に含まれる規範が社会において自律的に形成されているとしても, その規範を言語的に表現するための法技術的援念・法技術的構成が春在し なければ,強制力を独占している富家がその規範の内容を強制しえないと いう状態となる倒。そのため,そのような場合には,新たな法技術的譲念 あるいは法技衛的構成が開発される必要があると考えらえる。 以上から,どのような論点に関して~'\かなる基準のもとに議論を行うの. { 抑 } 本稿第二章第三蕗三. ( 1) { c ) (宮津・前掲注側O 1 2 2( 7 7 )1 2 5( 7 4 )頁)参類。. 締本稿第二章第三蕗三. ( 1 ) ( d ) 注側〈宮津・前掲注総 1 2 7( 7 2 )頁)参照。 側} 本稿第二章第三節三. ( 1 )( c ) 附 註 ) (宮津・前掲注側1 ) 1 2 4( 7 5 )夏〉参照。 {脚本稿第二章第三節三. ( 1) ( d ) (宮津・前掲注側 1 2 5( 7 4 )1 2 8( 7 1 )頁〉参照。 繊本稿第二章第三第三. ( 1 ) ( d )注総(宮津・前掲詮鱗 1 2 8(71) 頁)参類。. 1 4.

(15) 現代立憲主義昌家において国家法として民法を制定する意味〈四・完). か,という意味における議論の枠組も含めて,法技能的概念あるい辻法技 術的措成を新たに開発するための方法論の講築,およびその実践としての 法技術的概念の開発が今後の課題となる陀 ( b ) 各論的課題. ( ア ) 民法9 2条と!日法例 2条の関係について. 2条は,法律行為の当事者が漬習に依る意思を有していると認めら 民法9 れる場合には,慣習は公の秩序に関しない規定に優先することを規定して いる O 他方,旧法例 2条(法の適患に関する通則法 3条,以下「旧法例 2 条Jと記述)は,公の秩序又は善良む風俗に反しない積習は,法令の規定 によって認められたもの又誌法令 i こ規定されていない事項に関するものに 摂弘法律と同ーの効力を有すると規定している。この両者の関係につい て,本稿に示した理論的枠組から検討すると,次のような問題状況として 捉えられることになる蛇 民法9 2条および 1 8法例 2条における「慣習」を,共通して「当事者の権 利義務を重接に定める慣習」と捉えたとすると,本稿に示した理論的枠組 にいう「私法秩序」と同賓の概念となる鰯。そして,本稿に示した理論的 鰯. その一つの試みとして,集合的・公共的利益に対する私法上の権利の法的構 成について,本寝に引き続いて考察を加える予定である。. 側. 2条と i 日法椀 2条の関係についての議論に関して誌,]11島武宣=平井宜 民法9 雄編. F 薪按注釈民法( 3 ) 総期 ( 3} J l2 5 9 2 6 5頁〔淡路樹久執筆) (有斐毘 2 0 0 3年). 参照。 織. [ 8法部 2条における「慣習j を法的確信ないし 2条における「蜜習」を 義務意識を伴う雲行としての「慣習法」と解し,民法9 なお,現在の議論において,. 法的確信ないし義務意識を伴わな Lγ慣行としての「事実たる慣習 j と捉える晃 i. 解が通説とされている〈捌えば,西宮和夫=能見善久 F 民法総期(第 7版 ) J. 1 6 5頁(弘文堂, 2 0 0 5年))。しかし,この見解をとるとされる概説書・捧系書 [島=平井・前掲注(蛸 2 6 0頁 の公刊は時期をある程度遡らなければならないひ f. )。他方,近年公腎された概説書・体系書はこの通説とされる見解 〔淡蕗執筆J i こ対して批判的な論調であるとされるひf[島=平井・前掲詮鱗 2 6 1 2 6 3頁〔淡. 路執筆))。. 1 5.

(16) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第. l号. 枠組のもとでは,裁判官誌,立法接関の定めた富家法に拘束されるのみな らず,私法秩序〈慣習)にも拘束されることになる吐この私法秩序〈漬 習)は絶えず変化をしているものである叱しかし,法律を制定するにあ たっては,ある時点での私法秩序('[貫習)に圏定されることとなる民こ こに,弘法秩序(慣習) ,こ含まれる規範と国家法の定めている規範 i こ麗額 の生じる可能性が生まれる。民法9 2条は,そのように趨麗の生じた場合,. E家法に定められた規範ではなく私法秩序〈慣習)に含まれる規範を基礎 として,法的三段論法の大前提の位置を占める命題の意味確定(法解釈〉 を行うことを裁判官に認める機能を果たしていると考えられる粍 さらに,日本民法の制定においては,起草者の一人である梅謙次蕗が次 のような認識を持っていたことが指摘されている叱すなわち,西欧の法 典は実際に広く行われている慣習に従って法律を作っているのに対して,. E本では潰習を調べたが中々わからないので,結局西洋の学問を土台とし て法典を作っており,はたしてこれが日本む社会に良くあてはまるかに問 題があるから,弛の法典以上に噴習の効力を認め,これに反しないように 努力しなければならない,との認識である叱このことは,. B本民法の制. 定に擦して,そもそも私法秩序(慣習〉に含まれる規範と国家法の定めて いる規範に薗離の生じている可能性が認識されており,その可能性が,国 家法に定められた規範ではなく私法秩序 ( 1 震習〉に含まれる規範を基礎と 綱本稿第二章第三節三. ( 1 ) ( c ) (宮津・前掲詮締 1 2 2( 7 7 )1 2 5( 7 4 )頁〉参照。 腕本稿第二章第三節三. ( 1 ) ( c ) 的註) (宮揮・前掲詮鰍 1 2 4( 7 5 )頁)参照。 ( 腿 ) 本語第二章第三節三. ( 1 } { c ) 純 益 ) (宮津・前掲注倒 1 2 4( 7 5 )頁)参照。. ( 鵬. 本稿第二章第四節三. ( 2 ) 倒的 i) ②(宮津・蔀掲注偶) 15 8( 3 4 7 )1 6 0( 3 4 5 ) 1. 頁〉参照。 側星野英一「編纂過程か§見た民法拾遺 民法9 2 条・法例 2条論,民法9 7 条 .5 2 6 条・ 5 2 1条 J同『畏法論集第 1巻I J1 6 5貰(有斐麗, 1 9 7 0 年,初出・ 1 9 6 6 年 〉 。 ( 8 1 1 ) 星野・前掲注側 1 6 5頁 。. -1 6.

(17) 現代立憲主義富家において国家法として民法を説定する意味(酉・完). して法解釈を行うことを裁判官に認める民法9 2条につながった,という捉 え方に結びつくことも考えられる O 本稿に示した理論的枠組を基礎とした以上のような問題の捉え方から, 民法9 2条と旧法例 2条の関係について慣習法の民法上の註置つ守けも視野 に入れて,従来の議論を踏まえて考察することが今後の課題となる。 i 同公序良俗論について. 0条における公序良裕に関する議論において辻,契約正義を 現在の民法9 基礎においた見解剥と,憲法上の基本権を基礎においた見解翻があるとさ れる叱このうち前者は,私法上の原理としての契約自由とならぷ原理と して契約正義が存在し,公序良信規範はこの原理を実現させる役割を担う ものとして位置づけられるとする見解である処他方,後者は,私的昌治. 3 条により要請される基本権と理解 め原則および契約自由の宗期を,憲法 1 したうえで,公淳良俗規範を契約自由に対する制限であると位置づけ,さ らに,このような公序良諮規範による基本権の制限が正当北されるのは基 本権保護ないし基本権支援の場合であるとする見解である叱 以上のような議論のなかで,本語に示した理論的枠組においては,私法 秩序に含まれる規範の実現が,国家法として民法を制定する意味の中 J L ¥に 事 l 寺 大村敦志『公序良俗と契約正義J(有斐寵, 1 9 9 5 年,初出・ 1 9 8 7 年),同「取 引と公序j 胃 F 契約法から消費者法へJl 1 6 3頁(東京大学出版会, 1 9 9 9 年,初 出・ 1 9 9 3年〉。註お, 1 契約正義」に関しては,星野英 - 1 契約思想・契約法の 歴史と比較法J同『民法論集第 6巻 J2 4 2 2 5 1真,同 2 6 6 2 7 3頁(有斐隠, 1 9 8 6 年,初出・ 1 9 8 3 年)も参照。. 2 0 0 0年,初出・ 1 9 9 5 1 9 9 9年)。 事 1 4 ) 民法における公序良俗論の現在の議論状況に関しては,大村敦五 f 公序良俗 J1 5夏(存斐閣, 2 0 0 5年入 一一ー最近の議論状況J同『もう一つの基本民法 1l 山本敬三「民法における公序良俗論の現況と課題」民謁 1 3 3巻 3号 1頁 ( 2 0 0 5 自 l 草 山本敬三『公序良俗論の再構成Jl (有斐関,. 年〉を参照。 事 1 5 ) 大村・蔀掲註車l 母F 公序良信Jl3 6 7 3 6 9頁,大村・前掲注事4 1 ) 16 夏 。 搬 出本・前掲注~13)18-37真,同 100頁参照。. -1 7.

(18) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 1号 位置づけられる。他方,憲法による拘束は,あくまで国家が私法秩浮に含 まれる規範の実現主体となることから導かれるものである。そのため,本 稽に示した理論的枠組は,契約正義を基礎においた見解に親和的であると 考えられる。このように,本稿において示した理論的枠組との関連で,民. 0条における公序良搭に関する議論を考察することも今後の課題となる鰍!も 法9 ( 2 ) 憲法の問題として. {詩人権と公共の福祉の関孫について こおいて示した理論的枠組を基礎においた憲法 2 9条 1項 及 び 2項 の 本稿i 解釈理論の考察のなかで,憲法上の公共の福祉概念に関して検討を加え た 事l もこの検討からは,憲法上の人権の体系と公共の福註の関係について 示唆を汲み取りうるとも考えられる叱この点に関する考察を行うことが 今後の課題となる。. ( b ) 財産権について 本稿第三章第三第二.において,本稿に示した理論的枠組を基礎におい. 9 条 1項 お よ び 同 2項 の 解 釈 理 論 を 提 示 し , ま た 本 稿 第 三 章 第 三 節 た 憲 法2 三.において,従来の議論における論点との関係を検討した。 なお,公序良f 谷論を憲法上の基本権に対する割強と位置づけ(山本・前掲注 総3 5頁,山本・前掲注側 1 4 夏),かつその制限の正当化を基本権ないし立法府 による政策呂的の実現に求める〈山本・前掲注( 8 1 3 ) 5 8頁),という構成をとる以 上,それを純粋な憲法理論として並置づけたうえでの考察を行うことが求めら 3 ) (宮翠・前掲注側 7 6( 12 3 ) -84 れると考えられる(本稿第一章第二節一. ( ( 1 1 5 ) 夏〉においては,民法と憲法の関係という読点からではあるが富家の基 本権保護義務論に関する考察を行った)。 事1 8 ) なお,民法9 0 条と憲法上の規定との関係については,本節二. (1)(訟を,行政 法上の規定に違反する行為の私法上の効力については,本節二. (訟を,それぞ れ参照。 締本稿第三章第二第二. ( 3 ) 並びに同第三節二. ( 2 )および同 ( 3 ) 参黒。 繊 本稿第三章第三館二. ( 3 ) ( e ) ( ア)i)参照。なお,憲法上の公共の福祉鑑念につ いての憲法学においての議論の状況に爵しては,松本和章「公共の福祉の概念」 7 号1 3 6頁 ( 2 0 0 5 年)参照。 公法 6 事l 号. - 18-.

(19) 現代立憲主義母家において国家法として民法を髄定する意味(四・完). この問題に関わる今後の課題としては,本稿において示した憲法 2 9 条1 項および毘 2項の解釈理論を,財産権を正当化する根拠という視点から考 察すること,および歴史的視点から,とりわけ「既得権j という競念の歴 史的展開という視点から考察することが,それぞれ挙げられる叱また, 今後の課題として,森林法 1 8 6条違憲判決(最粍 1 9 8 7 (昭和 6 2 ) 年 4月 2 2. E民 集4 1巻 3号4 0 8頁)について,本稿で示した解釈理論に基づいた考察 9条 3項の解釈理論に関する考 を 行 う こ と も 挙 げ ら れ る 叱 さ ら に , 憲 法2 察も,今後の課題となる O ( 3 ) 行政法の問題として. 同. 行政法上の規定を通じた国家の社会への介入について 本稿においては,行政法上の規定 i こ基づいて行われる国家機関たる行政. の社会への介入試いかなる理論的課拠のもとに行われるのか,そしてその 介入はいかなる摂震まで認められるのか,という議論を,考察の対象から 外している唱えそのため,この問題を本稿に示した理論的枠組に位置づけ 斡) 1 苗者の封産権の正当化根拠の問題に関しては,一方では,財産権(所有権). について「自己所有権」論を基礎においた自然権的根拠を主張する森村進「財 産権の理論J(弘文堂,. 1 9 9 5 年)が,他方では財産権(所有権)の根拠として,. 稽費財・非生産財 i こ関しては財の捜用の独古性・排地牲を確保するという要請, 生産財に関してはこれに加えて生産量の極大北をはかるという社会的要請をそ. J(三省堂, れぞれ主張する加藤雅信『所有権の誕生I. 2 0 0 1年〉が,それぞれ示. されている O 地方,後者の「既得権」という概念の霊史的展開に関しては,柳 瀬良幹「説得権の理論一一一匡権の一般的張界としての既得権学説の素描」同. f I f i 致法の基礎理論J1 2 1 1 7 1頁(清水弘文堂書房, 1 9 6 7 年,初出.1 9 3 4 年〉参 9 条における f 財産権」の按念を分 照。また「説得権J概念を基礎として憲法 2 析する,石川護治「財産権①」小山間=鞠村圭吾編 F 論点探求憲法I J2 0 0 2 2 3 頁〈弘文堂, 2 0 0 5 年),詞「財産権②」同書 2 1 4 2 2 7頁も参照。 繊. その擦には,安念溜司「憲法が財産権を保護することの意味一一森林法違憲 リーディングス現代の憲法 j 1 3 7 1 5 3頁〈日 判決の再検討」長谷部恭男編著 F 9 9 5 年)において提起されている論点が重要となると考えられる。 本評論社, 1. 総本稿第二章第三第三.. ( 2 ) 判 的 i)②〈宮津・前掲詮蹄 1 3 2( 3 7 3 )1 3 4( 3 7 1 ). 頁)参照。なお,この問題に関しては,民法の領域と重ならない近代立憲主義ノ. -1 9.

(20) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第. l号. るために公法学における現在の議論状況を考察することが今後の課題と なる叱. ( b ) 国家機関たる行政の介入義務について 本稿において辻既述の通り,近代立憲主義から現代立憲主義へという流 れのなかで国家の役割が変化したことを,国家機関たる仔政による介入の 理論的な基礎としている。そのため,行政法上の規定に基づいた国家の分 入が義務づけられる場合がある,という結論までは導くことができない蛇 行政法上の規定に基づいた国家の介入が義務づけられているとの結論を導 くためには,別調の法理論的被拠が提示される必要がある O 行政法上の規 定に基づいた国家の介入が関しては,現在の議論を整理・検討し,本稽に 示した理論的枠組のなかに位置づけることが今後の課題となる陀 ¥、国家における行政法の領域と,民法の領域と重なる現代立憲主義富家において 拡張した行政法の領域の質的差異〈本章第一節二.参照)がどのような意味を 持つのか,ということも論点のーっとなると考えられる O 総本語第二章第三節三.. ( 2 ) 判的i)①〈宮津・前掲注倒 1 3 2( 3 7 3 )1 3 4( 3 7 1 ). 頁〉参類。また,本語第二章第三節三. ( 2 ) ( c ) 仔)i) CD注閥(宮津・前掲注側. 1 3 4( 3 7 1 )1 3 5( 3 7 0 ) 頁),並びに本稿第三章第三節二. ( 2 ) { b ) 仔)温)①〈 β) 注側,および同② ( β 〉註(齢も参照。なお,塩野宏「行政作用法論」間 F 公 法と私法Jl 2 2 8頁(有斐閣,. 1 9 8 9 年,初出・ 1 9 7 2年〉では,. r ……,行政法(解. 釈学〉を,憲法の枠内で立法者によって選択された具体の法目的の実現の技術 に関する法(解釈学)として徹底せしめるべきであると忌われる j とされてい 行政の法システム〈上) [新版]l J 3頁,同 る(この点に隠しては,阿部泰隆 F. 3 0頁(有斐隠, 1 9 9 7年〉も参照)。憲法が,国家の接関を定めてそれぞれの機 関に国家作用を授権するという喪権規範であるとともに,権力を制限するとい う制限規範であること(芦部信喜『憲法学 I憲法総論J4 6 5 0頁(宥斐関,. 1 9 9 2. 年))に鑑みれば,行政の社会への介入の理論的課拠,および介入の限界の問 題は,国家議際たる行政にそもそももゆ三なる富家作用が授権されているのかとい う視角,および国家機関たる行設への載限はいかなるものかという説角からの議 論の整理が必要となると考えられる。この持題に隠しては,本節二. ( 3 )も参照。. ( 2 } { b ) ケ)注僻(宮窪・前掲注側 1 0 5( 4 0 0 )1 0 6( 3 9 9 ) 頁〉および再 ( c ) め i)①注意玲(宮津・前掲注掛 1 3 5( 3 7 0 ) 頁〉参照。. 鰯本積第二章第三節三. 綿. この行政法を通じた国家の介入義務に関する考察は,二つの設諸に分けられ/. 2 0.

(21) 現代立憲主義富家において富家法として民法を制定する意味〔四・完) ( c ) 私人が行政の介入を求めることを基礎づける行政実体法上の権利につ. いて 本稿の考察を基礎におくと,何らかの理論的根拠のもとで,行政権む属 する国家接関を通じて社会に対して介入ことが国家に義務づけられている ことが示された場合でも,私人が国家機関たる行政に対して司法(裁判) を通じて童接介入を請求することを基礎づける権利の法理論的根拠はさら に別個に必要となると考えられる叱この問題は,私人の行政実体法上の 権利に関する議論と提わるものであると考えられる O この問題についても, 従来の議論を整理・検討したうえで,本稿に示した理論的枠組のなかに位 量づけることが今後の課題となる叱 ¥ると考えられる。一つは,立法権む属する国家機関が,行政権の嘉する国家機 関による社会への介入のための立法を義務づけられるか否か,という設措であ る。もう一つは,行政権の属する富家機関による社会への介入を榎拠づけるた めの行政法上告規定が既に存在している場合に行政権の属する毘家機関が社 会への介入を義務づけられるか否か,という段階である。前者の段階は,jE会 憲 の立法裁量(立法の不作為〉と関わる問題となると考えられる(佐藤幸治 F 法〔第三版リ 3 4 6 3 5 0頁(青林書院, 1 9 9 5年〉のほか,立法の諌念に慢する論 考である赤坂正浩「立法の概念j 公法6 7号1 4 8頁 ( 2 0 0 5 年〉など参照〉。他方, 後者の段階については,行政裁量の議論と関連する問題であると考えられる (議論の状況について,亘理格「行政裁量の法的統制 J芝治義一=小早川光郎= 宇賀克也編『行政法の争点(第 3版 ) J1 1 6頁(有斐麗, 2 0 0 4 年〉等委また行政 義務付け訴訟と仮 庁の裁量と裁判所の判断権謀との関係について,山本隆司 f の義務付け・差止めの活用のために(上〉ードイツ法の握点から j 自研8 1巻 4. 号7 0 頁,間「同(下 ) J 毘 5号9 5 頁仏、ずれも 2 0 0 5 年〉参照、)。 2 ) 制 的 i)①詮純(富津・前掲注{瑚 1 3 5( 3 7 0 ) 頁) 腕本稿第二章第三節三. ( 参照。 鱗 2 0 0 4 年i こ成立した[行政事件訴訟法の一部を改正する法律J&こ関連して,小 阜J I I光郎=斉藤浩=芝池義一=鶴間稔彦=中 1 1 1丈久=村田斉志=亘理格「く研 9 2頁 究会〉改正行政事件訴訟法j 小早川光郎編『改正行政事件訴訟法研究 j 1 1 1丈久発言) (有斐閣, 2 0 0 5年〉は, 1……。諒告適格や非申請型義務づけ 〔 中1 訴訟との関係では,いわゆる現代型行政法,規制的行政法が,民事法や民事特 別法とどう連続し,どう違うのか,いわば現代型行致実体法の法律解釈方法論 というものも,これから展開される必要があるように思います。……。『救済ノ - 21-.

(22) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第. l号. 二.本稿で考察の対象とした法領域同士の関係についての課題 山民法と憲法む関係の問題として. ( a ) 民法を基礎づける「私法秩序j と憲法を基礎づける「根本規範Jの関 係について 本穣において示した理論的枠組のもとでは,国家法としての民法は,そ の基礎に,私人関の関係において実力としての強寄せ力をもって実現される べきであるとされる規範の集合であるところの私法秩序を置いている尺 地方,憲法の基礎には「根本規範j が存在しているとされる叱 ここで問題となるのは,患家の意思形成を担うのは私人の集合であり, ¥すべきもの辻救済する i というとき,それは行訴法から導かれるのではなく, いわゆる値別法ないし行政実体法や,憲法から出てくるはずだ,行訴法は司法 救済の範題を決めたり隈界づけたりしている法律ではない,という認識を明確 にすることです」としている(この点に関して詰,中間丈久 の. r ;f子政訴訟として. F 確認訴訟』む可能性j 民高 1 3 0 巻 5号 3 5 5 5夏 ( 2 0 0 4 年〉も参照、〉。 また,改正行政事件訴訟法取消訴訟の原告適格および義務づけ訴訟および差. 止訴訟の訴訟要件に関連して行政処分の根拠法令を何らかの操作 i こより実体法 上の主観的権利に組み替える作業が不可避であることが,民事訴訟法学の視点 から指摘されている〈出本弘「民事訴訟法学の見地から見た行致事件訴訟法改 正j 民 商1 3 0巻. s 号6 1 6 6 頁. ( 2 0 0 4 年),このほか,出本和彦 f 員事訴訟法理論 6巻 1号 1 0 8 1 0 9夏 ( 2 0 0 4年〉においては, から見た行致訴訟改革論議J法 時 7. 行政訴訟の講或として,訴訟類型的構成ではなく請求権構成が望ましいとされ たうえで,ト…・,具体的な制度構成の題点、からは,このような請求権が行政 実体法上現在十分に定立されているか,また定立可能であるかという問題があ る。民事法の世界でも,請求権構成は,個別のアクチオが拡大・統合する長い 歴史を経た最柊的な車j 達点であり,このような前提む整備が十分でなければ,. r. 実際上相当の混乱をもたらすおそれは否定できな L三」とされている o 請求権」. J(創文社, 概念に関して詰,奥田昌道『語求権概念の生成と展開I. 1 9 7 9 年)を. 参照)。 事2 9 ). 本稿第二章第三館二. (宮津・前掲注側 1 1 7( 8 2 ) 頁)並びに詞三. ( 1) ( c )注. 側(宮津・蕗掲注閥 1 2 2( 7 7 )1 2 5( 7 4 ) 頁〉および ( e ) (宮津・前掲注側 1 2 8. ( 7 1 )1 3 0( 6 9 )頁〉参照。 繊 憲 法 の 根 本 規 範 に 関 し て 誌 , 芦 部 ・ 前 掲 註 繊4 6 4 9頁,長谷部恭男「根本規. 9 2号5 4 5 8頁 範」法教 2. ( 2 0 0 5年〉参照。 内/ハ︼. ワ 山.

(23) 現代立憲主義国家において国家法として民法を制定する意味〈西・完). こむ集合は私法秩浮を形成する集合と重なる,という点である O このよう な同ーの主捧の集合によって形成される忍法秩序と根本規範との関係を明 らかにすることが,今後の課題となる。 制. 「憲法の民法化j と「民法の憲法化Jについて 憲法の民法化 j および「民法の憲法化j とい 現在の議論においては, I. う言葉を基礎において民法と憲法の関係を考察する必要性が指摘されてい る叱「憲法の民法化」とは,憲法規範によって定められていることがらが 民法の内容として受容され,私人爵で実現されることを指し, I 民法の憲 法化Jとは,民法規範によって定められていることがらが憲法規範の意味 として受容され,立法をも拘束するものになることと捉えられることを指 す 組l L. 本稿に示した理論的枠組においては,裁判規範としての民法を制定する にるたって立法権の属する富家機関 i こ対する憲法による拘束,および富家 に対する私法秩序による拘束が,それぞれ導かれる O これらはそれぞれ 「憲法の民法化」および f 民法の憲法イむという言葉の内容に対応してい るという可能性があるとも考えられる G 以上のような視角からこの問題を 考察することが今後の課題となる G. 部) 1 樋口陽一「憲法規範の私人罰適用と,私法規範の F 憲法化j 一一フランスと. F 立憲主義とデモクラシ-l J1 92 6頁(敬文堂, 2 0 0 1 年),司「憲法・民法的条・『社会意識JlJ栗域古稀『日独憲法学の創造力上巻』 日本j 憲法理論研究会編著. 1 4 4 1 4 7頁〈信出社, 2 0 0 3 年)。また,大村敦志「フランスにおける『憲法と民 法j]J詞『法源・解釈・民法学一一フランス民法総論訴究j]3 5 1 3 6 4 頁(有斐誌 1 9 9 5 年,初出・ 1 9 9 4 年〉も参照。 事 時 樋口・前掲注斡U I 社会意識J1 4 5頁。ただし, I 憲法の民法化J!こしろ, I 民 法の憲法化j にしろ,いずれも人によってそれぞれむ含意を負わされて用いら れていることが指擁されている(樋口・前掲詮側「社会意識J1 4 5頁)。. - 23-.

(24) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 1号. ( c ) 人権む私人間効力論について 的総論的課題 現在,憲法において定められている基本的人権に関する規定が,私人間 の関係においても適用されるのか,という論点について議論がある。伝統 的な憲法理論においては,国家権力との関捺で保障される富良の権和・自 由であると考えられてきた人権の効力を私人間の関係に及ぼすことが論じ られる背景として,人権が,公権力だけではなく,私人とくに私的自体に よってより多くより広範に脅かされるという事態の生じたことが示されて いる陀そして現在,人権の弘人間効力に関しては,無適用(無効力〉説, 毘接適用〈間接効力)説,直接適男〈直接効力〉説のほか,国家の基本権 保護義務論を基礎とした説が主張されている叱 この人権の私人間効力論の基礎理論に関して,本語において示した理論 的枠組を基礎におけば,次の二つの点を指描することができる O 第ーは,人権の私人間効力論を論じる以前に,国家が関わる限りにおい て,憲法上の規定が私人間の関係についても論じるれなければならない, ということである粍本積に示した理論的枠組を基礎とすれば,国家は, 私法秩序に拘束されると同時に,それとは別に,当然に憲法にも拘束され. 線) 芦部信喜. F 憲法学宜人権訟論J2 7 92 8 0頁〈有斐閣, 1 9 9 4 年 ) , i 左藤・前掲注. 側4 3 5 4 3 6頁 。 僻) 人権の弘人爵効力論に関する現在の議論の状況については,小山離「私人間. における権利の保障 j 高講和之=大石曇編 F 憲法の争点〈第 3寂 )J 5 4 5 7頁 9 9 9 年〉参照。 (有斐麗, 1 艇) 以下,第-o 指摘における記述は,すでに君塚正臣の指摘するところである 2 ) (宮津・前掲注側 1 0 1( 9 8 ) 頁)参照。また,山本 (本稿第一章第二第二. ( 敬三 f 現代社会におけるリベラリズムと私的自治(1)J論叢 1 3 3 巻 4号 3頁 0 993 年)では, I 私人関における基本権の葎突という現象は,決して特殊な例外現 象ではな L、それはむしろ,基本権を有する市民民士が接触しあう社会ではつ まか,松井 ねに問題となりうることである。 J とC 認識が示されている。この i 茂記『百本国憲法く第 2践 3 2 5頁〈有斐毘 2 0 0 2 年)も参照。. > J. 2 4.

(25) 現代立憲主義国家において国家法として民法を制定する意味〈回・完). るO このことを前提として私人間の紛争が裁判所に持ち込まれた場合を考 えると,基本的人権に関する憲法上の規定が私人間の関係に効力を及ぼす か否かを関わず,冨家機関たる裁判所は,憲法によって定められた制践の 枠内においてのみ,私人間の関係について法を適用し宣言することによっ てこれを裁定することができる,ということとなる叱このことは,当該 紛争におけるいずれの当事者についても,冨家機関たる裁判所による権力 的#用によって憲法において規定されている基本的人権が侵害されるとい う結果がもたらされることは認められない,という帰結を必然的に導き出 す叱そのため,人権む私人間効力論を論じる以前に,私人間の紛争を国 家機関たる裁判所が裁定する摂りにおいて,そもそも憲法上の人権規定は 論じられなければならないということとなる粍 ま,私入閣の関係についての誇題に関して,蔀述の第ーの指諸にお 第二 i いて述べたかたちでの憲法上の規定 D 取り扱いをもってしても問題の解決 は図れないという伍値判断が憲法学においてなされた場合でーも,憲法上の 規定の私人間の関孫における適用を問題とするまえに論じられるべきこと がらが存在するのではないか,ということである G すなわち,そのような. { 聴. なお,ここでは言法権の定義について通説に従った記述をしているが,その. 他の定義を採用したとしても,憲法の枠内でのみ富家機関たる裁判所が活動で きるという点には変化はないと考えられる(司法権の定義に関して詰,本稿第 二章第二節二. ( 4 ) (宮津・前掲注( 7 5 3 )114 ( 8 5 ) 夏)参類、〉。 制. 木下智史「私人間における人権探障と裁判所・再考」佐藤還麗『現代立憲、主 義と司法権~. 2 3 4 2 3 6頁〈青林書院, 1 9 9 8年〉は,私人間効力論の問題状況を. 国家・鑓害者・被侵害者という三者の相互関係による f 三面モデル」であると したうえで「このモデルの下で考えると,私人たる侵害者・被浸害者む関係は 私人閣の民事紛争ではあるが,その紛争が裁判所という富家機関に持ち込まれ, いずれか一方に有利な判決が下される過程では,盟家権力対私人という,憲法 学にとってはなじみの問題状況を顕在化させることができる」と指摘している。 鱗. 立法権の嘉する富家機関および行政権の属する屋家機関に関しても,毘様の ことが言える O. - 25-.

(26) 近 畿 大 学 法 学 第 54巻第 I号 判断がなされた場合には,まず i ま私法秩厚内でその解決のための法的構成 が可能か否かを考察すべきではないか,ということである叱さらに,た とえ,そのような私法秩序に含まれる規範として存在しない,あるいは存 在していたとしても法技術的概念・法技衝的構成の提示が論理的に不可能 とされた場合においても,やはり憲法上の規定の私人間の関孫における適 用を問題とするまえに,憲法において授権されている枠内において,富家 が社会への介入として何らかの手当てをする〈たとえば立法権の属する国 家機関によって立法を行う)と構成する可能性を探るべきではなかろう. か$$0 以上に示した二つの点を踏まえて,人権の私人関効力論を考察すること が今後の課題となる O ( イ ) 各論的課題. i)二つの視角から分析する必要性 人権の私人間効力論については,首述(ア)において指摘したような総論的 な議論に加えて,具体的な私人間の紛争の事例において,民法上の規範と 憲法上の規定がどのように関係するのか,という問題も各論的に議論され ている。本稿に示した理論的枠組を基礎とすると,このような各論的問題 は,次の二つの視角から分析を行う必要があると考えられる。 第ーの視角は,開題となっている事案を対象とする私法秩序に含まれる 規範が存在しているか否か,という視角である O. ここでは,既存の法技衛的観念・法技術的講成む枠内での考察のみならず, 新しい法技術的被念・法技衝的構成の開発という意味での考察も含まれる。 搬 なお,私法秩序に含まれる規範が存在しないにもかかわらず,立法権の属す る臣家機関によって私人間の関保を規律する規範が定立されるとする理論構成 こ示した理論的枠組からは示されな L、。この問題については,憲法学 は,本積 i における議論を分析・検討したうえで,本稿に示した理論的枠組との龍係を考 察することが今後の課題となる。 繊. 2 6.

(27) 現代立憲主義国家において国家法として民法を制定する意味(回・完〉. 第二の規角は,開題となっている事案を対象とする私法秩淳に含まれる 規範の存在または不存在を基礎において裁判所によって裁判の行われるこ とが,憲法に定められた制課を逸脱しているか否か,という視角である叱 逸説していると評舗されるのであれば,国家機関たる裁判所がそのような 内容の判決をすることは認められないこととなる O このような視角からの考察の必要註を基礎において,以下で詰,従来の 議論において特に問題とされてきた公序良俗違反の法律行為の無効を規定 する民法 90条,および不法行為に関する民法 709条について,序論的な検 討を加える叱 ー〉民法 90条と憲法上の規定の関係についての序論的検討 ①. 西つに場合分けされる問題状況 民法 90条は,法律行為 i こ関して, I 公の秩浮または善長の愚f 谷に反する. J と定めている。前述 i)に 事項を目的とする法律行為は,無効とする o 示した二つの視角を分けて分析することによって,議論されるべき問題状 況を次にしめす ( α )'""(o) の四つに場合分けすることができる闘。すな わち,. ( α 〉当該法律行為を無効とすべきであるという私法秩浮に含まれる公序 斜!}現行法上の窮語として,裁判とは, I ……,一般の狭義の裁判所(裁判官に より構成される裁判機関〉のする,意思,判断の表示として,その内容に即し た効力を持つ法律行為を意味する j とされる(兼子ー=竹下守夫『裁判法〔第 四 版J J I3 1 3頁(有斐寵, 1 9 9 9年〉参照)。 鱗. なお,個別の具f 本的な規定の場合と,一般条項を塁別すべきとの見解も示さ れている〈君塚正臣「第三者効力論の新世紀(2・完)一一日本の憲法学は憲. 0巻 6号 1 2 9頁 ( 2 0 0 1年) 法の私人関効力をどのように考えているのか」関法 5 参照)。この点を含めて,以下で行う浮論的検言ぎを踏まえた考察が今後の課題 となる O 鰯. なお,以下では,私法秩序 i こ含まれる規範に基づいて当該法律行為は成立し ていること,および無効あるい誌寂浩を基礎づける他の規範が適用されないこ とをそれぞれ前提として検討を進める。. - 2 7.

(28) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第. l号. 良俗規範〈以下「無効を基礎づける公淳長俗規範Jと記述)が存在してい ない場合で,かっ裁判所がその規範の不存在を基礎として当該法律行為を 有効とする裁判(裁判において当該法律仔為を有効なものとして扱うこと も含む。以下同じ〉を行うことが憲法に定められた昔話設を逸脱しない場合,. r. (β) 無効を基礎づける公序良岱規範j が存在していない場合で,かつ裁. 判所がその規範の不存在を基礎として当該法律行為を有効とする裁判を行 うことが憲法に定められた制限を逸脱する場合,. (7) r 無効を基礎づける公序良岱規範j が存在している場合で,かっ裁判 訴がその規範の存在を基礎として当該法律行為を無効とする裁判を行うこ とが憲法に定め§れた制張を逸説しない場合,. (6) r 無効を基礎づける公序良信規範j が存在している場合で,かっ裁判 所がその規範の存在を基礎として当該法律行為を無効とする裁判を行うこ とが憲法に定められた説援を逸説する場合, の四つの場合である O ②. 今後の考察にむけたそれぞれの場合についての序論的検討 前述①に示した四つの場合のうち, ( α 〉の場合には,裁判所が,当該. 法律行為を有効とする裁判を行うことに開題はないと考えられる O また,. (7) の場合に,当該法律行為を無効とする裁判を行うことにも開題はな いと考えられる O 問題となるのは〈 β〉の場合と (6) の場合である O (β) の場合については,まず,そもそもこのような場合に当てはまる. 事案が存在するのか否かを具体的に事案に却して考察する必要がある O 仮 にそのような事案が存在した場合,本稿に示した理論的枠組を基礎とする. 0条と憲法上の規定はなんら関係なく,まったく部恒に遠足され と,民法9 β 〉の場合には,私法秩序 i こ基づけば,それを無効とする るO そして, (. 公序良俗規範が存在しないため,法律行為は有効に成立する。すなわち,. - 28-.

(29) 現代立憲主義国家において国家法として民法を制定する意味〈四・完〉. 当該法律行為に関して国家機関たる裁判所がまったく関与しなかったとき に辻,当事者聞において,当該法律行為は有効なものとして或り扱われる こととなる叱地方,憲法上の制約があるために,国家機関たる裁判所は, 当該法律行為を無効とする公序良信規範が春在しないにもかかわらず,当 該法律行為を有効とする裁判を行うことができな ~\o そむため,裁判所は. 当該法律行為を有効とする裁判を行うことも,裁判において当該法律行為 を有効なものとして扱うことも認められな~. ¥0. ここで問題となるのは, ( β 〉の場合にあてはまる異体的な事案におい て,詰述のような当該法律行為についての取り扱いを,裁判所は裁判にお いてどのように表現するのか,という点である O ここでは,次の二つの構 成が考え§れる O 第ーは,裁判所が冨家機関であることに着自する構或である O この講成 のもとでは,. r 私法秩序のもとでは当該法律行為を無効とする公序良俗規. 0 条の適患はないが,当該法律行為を有効と扱 範が存在しないために民法9 うことが憲法上の制援を逸脱するために,裁判所としては,当該法律行為 を有効として扱うことができな Lリ旨を裁判において表明することになろ. つO 第二は,裁判規範としての民法9 0 条にいう「公の秩序」のなかに憲法上 の規定が含まれるとする構成である O この構成のもとでは,私法秩序のも とで当該法律行為を無効とする公序長裕規範が存在しなくとも,裁判所と. 0 条の適患として表現することができ しては,憲法上の制限の逸説を民法9 る。ただし,本稿に示した理論的枠組を基礎におけば,国家法としての民 法は,国家による私法秩序に含まれている規範の実現のために立法権の震 する国家機関が私法秩序に含まれる規範の内容を裁判規範としての制定し 制} といっても,実力としての強制力は富家によって独出されているので,当該. 。、. 法律行為に基づいて発生する権利の実現を,権和者は強制することはできな L. - 29-.

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