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高齢者に多い目の病気 ~加齢黄斑変性について~

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第644回健康教育講座

高齢者に多い目の病気 ∼加齢黄斑変性について∼

平成18年1月10日(火)

名古屋市立大学大学院医学研究科視覚科助教授

吉田宗徳

加齢黄斑変性という病気をご存知でしょうか?白内障や緑内障、結膜炎などと違って加齢 黄斑変性をご存知の方は少ないと思います。ところが実はこの加齢黄斑変性は米国では成 人の失明原因の1位を占める病気なのです。そして、わが国でも最近加齢黄斑変性の患者 さんが急増しています。加齢黄斑変性のなかで網膜(目の中で光を感じる神経の膜)の下 にたちの悪い血管(脈絡膜新生血管)ができて、そこから血液の汁がもれたり、出血を起こし たりして視力が低下するのが滲出型加齢黄斑変性と呼ばれる病気です。滲出型加齢黄斑変 性にかかると視力は急激に低下し、わずか1年ほどの間に0.1以下になってしまうよう な症例が多く見られます。このように加齢黄斑変性は大変恐ろしい病気です。 今回は今後ますます増えると思われる加齢黄斑変性についてなるべくわかりやすくお話を させていただきます。 加齢黄斑変性になるのはもちろん加齢(年をとること)がもっとも大きな原因といえますが、 生まれつきの体質や生活習慣も大きく発症に関与していると考えられています。特に、強 い光と喫煙は加齢黄斑変性の危険因子として知られています。逆にビタミン C やビタミン E、亜鉛などを食品やサプリメントなどの形で積極的に摂取すると加齢黄斑変性の発症は押 さえられるという報告もあります。これは主に眼内での活性酸素の産性や活性酸素による 組織傷害を抑制することによります。 しかし、いくら予防をしていても加齢黄斑変性になることはあります。その場合はやはり 早期発見、早期治療が望ましいと言えます。加齢黄斑変性の初期症状としては視野の中心 部がゆがんで見えたり、小さく見えたり、中心が暗く見えたりすることが多いです。また、 色が変わって見えることもあります。これらの症状が出てきたら早めに眼科を受診される ことをお勧めします。また、通常は片目に病気が起こっても反対の眼で補ってしまうので 気がつかないことがあります。それには、時々片目を閉じて片目ずつの見え方をチェック してみるとよいです。 加齢黄斑変性の治療ですが、ほんの数年前まではほとんど有効な治療がありませんでした。 というのも、滲出型加齢黄斑変性の治療は脈絡膜新生血管を攻撃して汁のもれや出血をお さえ、最終的には新生血管を縮めてしまうということが行なわれますが、脈絡膜新生血管 を攻撃することはその上にある網膜そのものを同時に攻撃することになり、逆に視力を低 下させてしまうことが多かったからです。特に脈絡膜新生血管が網膜の中心部(中心窩)の下

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にある場合には、まったく手が出しにくい状況にありました。しかし、この数年加齢黄斑 変性の治療は大きく進歩し、従来は治療不可能と思われていた症例にも治療を行なうこと ができるようになって来ました。現在行なわれている治療として、代表的なものは光線力 学的治療(PDT)です。この方法は、そのままでは治療薬としての効果がないが、光を当 てることで活性化されて効果を発揮する特殊な薬剤(光感受性薬剤)を腕から注射し、脈絡膜 新生血管に薬剤が行き渡ったところで弱いレーザーを患部に照射するという2段階の方法 で行なわれます。患部で活性化された薬剤が脈絡膜新生血管だけを攻撃し、網膜にはあま り影響がない優れた方法です。これ以外にも薬を目の後ろに注射する方法や、レーザーに よる治療、経瞳孔温熱療法という患部を温める治療、放射線を当てる治療、手術によって 直接新生毛血管を取り除く治療など新しい治療がたくさんあり、それぞれ患者さんの状態 によって使い分け、あるいは組み合わせて治療をしています。新しい薬もこれからどんど ん出てくる予定です。 今のところ、治療をしても視力が改善する率はそれほど高くなく、2割程度にとどまって いますが、視力を維持できる率はかなり高くなってきており、放っておけばどんどん視力 が低下する病気ですから治療の意義は大きいと思います。また今後は治療技術が進歩し、 さらによい治療結果が得られるようになるものと期待されています。

愛知県医師会

名古屋市中区栄4−14−28

TEL052−241−4143

参照

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