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研究ノート: 平等概念の実体に関する一考察

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Academic year: 2021

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(1)研究 ノー ト:平 等概念 の実体 に関す る一考察. 西 條. NOTE. : A Study. on Su bstantive. Jun. 1.は. 潤*. Content. of Equality. SAIJO. じめに. わ が 国最 高裁 判 所 は 、憲 法14条1項 14条1項. の法 意 につ き次 の よ うに説 示 して い る。 憲 法. は、 「 国民 に対 し、法 の下 の 平等 を保 障 した も ので あ り、右 」 条 項 「に列 挙. され た 事 由 は例 示 的 な も ので あっ て 、必 ず し もそれ に限 る もの で ない と解 す る のが 相 当で あ る」 。同条項は、「 国 民 に対 し絶 対 的 な平 等 を保 障 した もの で は な く、差 別 す べ き合 理 的 な理 由 な く して差 別 す る こ とを禁 止 して い る趣 旨 と解 す べ きで あ る か ら、事 柄 の性 質 に即 応 して 合理 的 と認 め られ る差 別 的 取扱 をす る こ とは、な ん ら右 」条 項 「 の 否 定 す る とこ ろで は な い 」1)。 これ に 対 し、学 説 にお い て は 、ア メ リカ 合 衆 国 の判 例 理 論 を範 とす る以 下 の見 解 が 、 近 時 有 力 に 主張 され て い る。 そ れ は 、憲 法14条1項. 後 段 列 挙事 由に 特別 な意 味 を見. 出 しつ つ 、後 段 列 挙 事 由 を 区別 の 基礎 と して 用 い る法 的 分類 は合 憲 性 の 疑 わ しい 分類 で あ り、厳 格 な司 法 審査 に服 せ しめ られ るべ き で あ る、 とす る見解 で あ る2)。 もっ と も、 この 見解 は次 の よ うに批 判 され る こ と もあ る。 つ ま り、 こ の見 解 は 「14 条1項 前 段 と後段 の書 き分 け に 、違 憲 性 の推 定 や審 査 基 準 に お け る技 術 的 な相 違 以 上 の もの を」認 め てお らず 、 「 『平等(保 障)と は何 か 』 とい う問い か け 自体 を無 意 味 化 す る ほ どに 、 平等 概 念 の脱 実体 化 を 敢行 して い る」 との批 判 で あ る3)。 た しか に、 上 記 の見 解 に つ い て は、 どの よ うな 基 準 に照 ら し合 わせ て一 定 の 分類 の合 憲性 が疑 わ しい も の と評価 され るの か 、判 然 と しな い と こ ろが あ る。 そ こ で、本 稿 にお い て は 、司 法 審 査 基 準論 の母 国 で あ る ア メ リカ合 衆 国 の判 例 ・学 説 を手 がか りと して、 こ の 問題 に. *近 畿大学 工学部教育推進 セ ンター.

(2) 26. 西條. 潤. つ い て 探 る こ と に す る。そ の 際 、合 衆 国 憲 法 修 正14条 PaulStevens裁. 判 官 とAnthonyM.Kennedy裁. 2.Stevens裁 判 官 の 平等 保 護 論 「 平 等保 護 条 項 は 、た だ1つ vBorenに. の 平 等 保 護 条 項 に 関 す る 、John. 判 官2人. の解 釈 論 に注 目 した い。. 「 公 正 な 立法 者 」 論 しか 存 在 しな い」4)。これ は 、Stevens裁 判 官 がCraig. お け る同意 意 見 中で 述 べ た言 葉 で あ る。 自明 の こ とが ら をあ え て確 認 した. こ の言 葉 に は、 あ る こ とが 含意 され て い る。 そ れ は 、平 等保 護 条 項 違 反 の争 われ る立 法 の 合 理 性 を 審 査 す る際 に 用 い られ る 、 厳 格 審 査(strictscrutiny)、 (intermediatescrutiny)お. 中間的審 査. よび合 理 的 根 拠 テ ス ト(rationalbasistest)か らな る、3段. 階 の審 査 枠 組 み(three-tierframework)へ. の批 判 で あ る。 この こ とは 、 冒頭 の言 葉 の. 後 に続 く、 「 平 等保 護 条 項 は、 裁 判 所 に 対 し、事 案 ご と に異 な る審 査 基 準 を適 用 す る こ と を求 め て はい な い の で あ る」 との言 葉 に よ く表 れ て い る5)。つ ま り、 冒頭 の言 葉 は、平 等保 護 条 項 が複 数 存 在 す るか の よ うに 審 査 の厳 格 度 を 変動 させ る こ とに対 す る 異 議 を表 明 した もの な の で あ る。 で は 、Stevens裁. 判 官 は 、平 等保 護 条 項 違反 が争 われ て い る立 法 を どの よ うに審 査. す る とい うの だ ろ うか。 この 点 に つい て 、Stevens裁 判 官 は、問題 と され て い る立法 の 「 合 理 的根 拠(rational basis)」 の 有 無 を 吟 味す るべ きで あ る と答 えて い る6)。 もっ とも、 合 理 的根 拠 の有 無 を審 査 す る とい って も、そ の 内実 は、 当該 立 法 が正 当な 目的 と合 理 的 関連 性 を有 して い るか 否 か を審 査 す る通 常 の合 理 的根 拠 テ ス トとは異 な る。Stevens裁 判 官 に よれ ば 、 問題 と され てい る立 法 に合 理 的 根拠 が あ る とい え る の は、次 の 場 合 で あ る。そ れ は す な わ ち、 「当該 立 法 は 不利 な扱 い を受 ける集 団 の構 成 員 の 被 る不利 益 を上 回 る正 当な 公 共 的 目的 に資 す る もの で あ る と、公 正 な(impartia1)立 法者 で あれ ば 論 理 的 に考 え る で あ ろ う」 とい え る場合 で あ る7)。 つ ま り、Stevens裁. 判 官 の見 解 に お い て は、 あ る. 立 法 が 平等 保 護 条 項 に違 反 す るか否 か は、 当該 立法 の もた らす 利 益 と不利 益 の衡 量 作 業 を公 正 な 立法 者 の 見 地 か ら行 うこ とに よ って決 せ られ る こ とに な る。 とは い え 、公 正 な立 法 者 が行 うで あろ う利 益 衡 量 とは 、 どの よ うな 基 準 に依 拠 して な され る もの なの だ ろ うか。 この 点 につ い て 、Stevens裁. 判 官 は 、次 の 点 に着 目す べ. き こ とを示 唆 して い る。 そ れ は 、あ る立 法 に よっ て不 利 な扱 い を受 け る こ とに な る集 団 の構 成員 で さ え、合 理 的 に思 考 す れ ば 当該 立法 に賛 同す る こ とが で き る、 とい え る か否 か とい う点 で あ る8)。つ ま り、Stevens裁. 判 官 に よれ ば 、 あ る立 法 に よ って 不利. な扱 い を受 け る こ とに な る集 団 の構 成 員 が 当該 立 法 の も た らす 利 益 と不利 益 を 合 理 的 に衡 量 して も なお 当該 立法 に賛 同 で き ない な ら、当該 立法 は、平 等保 護 条 項 の要 求 す る合 理 的根 拠 を備 え て い ない の で あ る。 しか しな が ら、 これ で は ま だ 、あ る立 法 が 平等 保 護 条 項 に違 反 す る もの か否 か を判 断 す る基 準 と して は 不 十分 で あ る。 とい うの も、 あ る立 法 に よ って 不利 な扱 い を受 け.

(3) 研 究 ノ ー ト:平 等 概 念 の 実 体 に 関 す る 一 考 察. 27. る こ とに な る集 団 の構 成 員 が 当該 立法 の も た らす 利 益 と不利 益 を合 理 的 に衡 量 す る とい うこ との意 味 が 依然 と して 明 らか に な って い ない た め 、公 正 な立 法者 の見 地 か ら 当該 立 法 を評 価 す る こ とがで きな い か らで あ る。 くわ えて 、Stevens裁 判 官 の理 論 に は次 の よ うな根 本 的 な疑 問 もあ る。Stevens裁 判 官 に よ る と、 「 平 等保 護 条 項 は、 す べ て の 州 に対 し、 公 正 な統 治 を行 う(governimpartially)こ と を要請 してい る」9)とさ れ るが 、あ る立 法 が 平 等保 護 条 項 に違 反 す るか否 か を公 正 な 立法 者 の 見 地 か ら評 価 す るべ きな の は、 一 体 なぜ だ ろ うか。 これ らの 点 につ い て 考察 す る うえ で参 考 にな るの が、JohnRawlsの JohnRawlsは. 理 論 で あ る。. 、 社 会 を規 律 す る正義 の原 理 の 内容 を決 定 す る 際 には 、 この作 業 に 参. 加 す るす べ て の個 人 が 無知 の ヴ ェイル に覆 わ れ るべ きで あ る と論 じて い る。無 知 の ヴ ェイ ル とは 、あ る意 思決 定 が 特 定 の個 人 に とっ て のみ 有 利 ま た は不 利 に は た らく こ と に な らな い よ う、当該 個 人 を特 定 し うる情 報 を 当該 意 思 決 定 に 際 して利 用 不可 能 な ら しめ る概念 装 置 で あ る。 この無 知 の ヴェ イル に覆 わ れ た原 初 状 態 に お いて は 、個 人 は 自分 に とっ て有 利 な と りき め を得 るの に必 要 な 自分 固有 の 情報(自 らの社 会 的 地位 、先 天 的 資 質 な ど)を知 りえ ない た め10)、 特 定個 人 のみ を益 した り害 した りす る こ と とな る不 公 正 な正 義 の 原 理 が選 択 され え な くな るの で あ る11)。つ ま り、無 知 の ヴェイ ル に 覆 わ れ た 状態 で意 思 決 定 が行 わ れ るな らば、換 言 す れ ば 、あ る意 思 決 定 に よ り生 じ る 便 益 お よ び負 担 が どの個 人 に どの よ うに分 配 され る こ とに な る か が 不確 実 な 状 態 で 意 思 決 定 が行 われ るな らば、 当該意 思 決 定 が 特 定個 人 の み を益 した り害 した りす る も の とな る こ とは な い。 こ の と き、 当該 意 思決 定 は 、各 人 の利 害 関 心 を平 等 に顧 慮 し、 各 人 を平 等 な存 在 と して扱 うもの とな って い るの で あ る12)。 この よ うに 、Rawls理 論 は、あ る 立法 が無 知 の ヴェイ ル に覆 われ た 状 態 の あ らゆ る 立 場 の 個 人 に よ って 賛 同 され うる もの か否 か を 問 うこ とを 通 じて、 当該 立 法 が各 人 の 利 害 関 心 を 平等 に顧 慮 し、各 人 を平等 な存 在 と して扱 うもの で あ るか 否 か を判 断 す る 枠 組 み を提 供 す る もの で あ る。 このRawls理. 論 の 枠組 み に即 した形 でStevens裁. 判. 官 の理 論 を理 解 しな おせ ば、 同理 論 に関 す る先 述 の 疑 問 を払 拭 し、以 下 の よ うに同 理 論 を補 完す る こ とが で き よ う。つ ま り、 あ る立 法 に よ って 不利 な扱 い を 受 け る こ とに な る集 団 の構 成 員 が 当該 立法 の もた らす 利 益 と不利 益 を合 理 的 に衡 量 す る とStevens 裁 判 官 が い う とき、そ れ は 、無 知 の ヴェイ ル に覆 われ た 状 態 で立 法 を行 う とい うこ と を意 味 して い る。 こ の よ うな枠 組 み を通 じて 、公 正 な立 法者 の見 地 か らあ る立 法 を評 価 す るべ き で あ るの は 、各 人 の利 害 関 心 を平 等 に顧 慮す る こ と に よっ て、各 人 を平 等 な存 在 と して扱 う立 法 を行 わせ るた め な ので あ る。 3.Kennedy裁. 判 官 の平 等 保 護論. 「 法 の 中 立性 」 論. 平 等 保 護 条 項 の要 請 を公 正 さ とい う観 点 か ら明確 化 し よ う とす る試 み は 、 実 は 、 Stevens裁 判 官 の み に 限 られ る もの で は ない 。Kennedy裁. 判 官 もま た 、州 民投 票 に よ.

(4) 28. 西條. 潤. り修 正 され た コ ロ ラ ド州 憲 法 修 正2条30節b(以. 下、 「 州 憲 法 修 正 」 と略 記 。)がア メ. リカ 合 衆 国憲 法 修 正14条 の平 等 保 護 条項 に違 反 す る と したRomereEvansに. おいて、. 同様 の 理解 を示 して い る。 Romer事. 件 に お い て問題 と され た州 憲 法修 正 は、 次 の よ うに定 め て い る。. コ ロ ラ ド州 及 び そ の機 関 は、 ホモ セ ク シ ュ アル 、 レズ ビア ン又 はバ イ セ ク シ ュア ル の志 向 、行 為 、 プ ラ クテ ィス又 は 関係 を 、マ イ ノ リテ ィ と して の 地位 、 ク ォー タ制 に お け る優遇 、保 護 され るべ き地位 若 しく は差別 の適 法 性 を 争 う法 的 主 張 の根 拠 とす る、 又 はそ れ らに対 す る権利 を個 人 又 は集 団 に与 え る法律 、規 則 、条 例 若 し くは基 本 方針 を制 定 し、採 用 し、 又 は執 行 して は な らない 。 同性 愛 志 向 を もつ 個 人 を差 別 か ら保 護 す る た め に 同性 愛 者 差別 禁 止 法 を 制 定 す る こ と を不 可能 な ら しめ る こ の州 憲 法修 正 は、Kennedy裁. 判 官 を して、 「この種 の立 法. は 、合 衆 国 憲 法 の伝 統 的 枠 組 み(constitutionaltradition)の な か に存 在 しえな い もの で あ る」13)とま で言 わ しめ る も ので あ っ た。 この 州 憲 法修 正 を違 憲 と した 法廷 意 見 の 冒頭 に お い て 、Kennedy裁 よ うに 述 べ てい る。 「1世紀 前 にHarlan裁 こ と(classesamongcitizens)を. 判 官 は、 次 の. 判 官 は、合 衆 国憲 法 は"市 民 に 階級 があ る. 知 りも しな けれ ば 、そ の よ うな も の を許容 して もい な. い"と 、 法 廷 意 見 に警 告 した。 そ の 言 葉 は 、 当 時 は顧 み られ な か っ た が 、今 日で は 、 個 人 の 権利 がか か わ る場 合 にお け る法 の 中立 性(law'sneutrality)へ の コ ミ ッ トメ ン ト を示 した もの として 理解 され て い る。 平 等保 護 条 項 は この原 理 を具現 して お り、 当裁 判 所 は 同条 項 に基 づ き州 憲 法修 正 を違 憲 と判 断 しな け れ ば な らな い 」14)。Kennedy 裁 判 官 に よれ ば、 平 等保 護 条 項 の核 心部 に は 中立性 とい う原理 が存 す るの で あ る。 な らば 、 中立性 とは 、具 体的 に どの よ うな意 味 を もつ も のな の だ ろ うか 。 こ の点 に つ い て 、Kennedy裁. 判 官 は以 下 の よ うに述 べ て い る。 「 国 家 お よび そ の機 関 はそ の保. 護 を求 め るすべ て の個 人 に 対 して公 正 な条 件 で 開 かれ て い な けれ ば な らない(remain openonimpartialtermstoallwhoseekitsassistance)、. との原 理 が 、 法 の支 配 とい. う理 念 の核 心 に も、合 衆 国 憲法 に よ る平 等保 護 の 核 心 に も存 す る。 ・… ・・同原 理 を尊 重 す れ ば 、なぜ 、不利 益 処 遇 され るべ き法 的 地位(disfavoredlegalstatus)に め、 ま た は包 括 的な 不 利 益処 遇(generalhardship)の. つ け るた. た め に 、国 民 の な か の あ る一 定. の集 団 を選 び 出す 法 が まれ にみ る もの な のか 、説 明 が つ く。 あ る集 団 が 国 家 に よ る支 援(aid)を求 め る こ とを他 のい か な る集 団 よ り も困難 な ら しめ る こ と とす る、 と一 般 的 に宣 言 す る法 は、そ れ 自体 で 、も っ と も字義 どお りの意 味 にお い て(inthemostliteral sense)、 法 の平 等 保 護 を拒 否 して い る 」15)。Kennedy裁. 判 官 は こ の よ うに述 べ た うえ. で、 「 州 憲 法 修 正 は 、 広 範 か っ 画 一 的 な 不利 益 を、 名 指 し した 一 集 団 に対 して 課 す (imposingabroadandundifferentiateddisabilityonasinglenamedgroup)と. い う. 特 異 な 性 質 を有 して い る。 これ は 、ま れ に み る、 当裁 判 所 の説 明す る とお りの 、違 憲 無 効 な 形 態 の立 法(invalidformoflegislation)で この よ うに 、Kennedy裁. あ る」16)と結論 してい る。. 判 官 に よれ ば 、 平 等保 護 条 項 の 根 底 に あ る 中立 性原 理 に.

(5) 研 究 ノ ー ト:平 等 概 念 の 実 体 に 関 す る 一 考 察. 29. 違 背 す る こ とこそ が 、州 憲 法 修 正 が平 等 保 護 条 項 に違 反 す る違 憲 無 効 な 形 態 の立 法 で あ る所 以 な の で あ る。 しか しな が ら、Scalia裁 判 官 の 手 に よ る反 対意 見 は、以 下 の よ うに述 べ て 、法 廷 意 見 を批 判 して い る。 先 述 の とお り、法 廷 意 見 は 、 「 あ る集 団が 国家 に よ る支 援(aid)を 求 め る こ とを他 の い か な る集 団 よ りも困難 な らしめ るこ ととす る、 と一般 的 に宣 言 す る法 は、そ れ 自体 で、 もっ とも字 義 どお りの意 味 に お い て(inthemostliteralsense)、. 法 の 平等 保 護 を. 拒 否 して い る」17)と述 べ て い る。 これ に 対 してScalia裁 判 官 は 、法 廷 意 見 の こ の説 示 が依 拠 す る前 提 を額 面 どお り受 け とれ ば 、 民 主制 はお よそ機 能 しえ な くな る とい う。 Scalia裁 判 官 に よ る と、法 廷 意 見 の説 示 の 前提 とは、民 主 制 にお け る意 思決 定 を通 じ て利 益 を得 、ま た は不 利 益 を 回避 す る こ とを 、あ る集 団 に つ い て のみ 他 の集 団 よ りも 困難 な ら しめ る こ とは 、平 等保 護 条 項 に 違反 す る、 とい うもの で あ る。Scalia裁 判 官 に よれ ば 、法 廷意 見 は この 前提 か ら、 困難 な 州 憲法 修 正 を 経 な けれ ば 特別 な保 護 を受 け られ な い 同性 愛 者 は 法 の平 等 保護 を拒 否 され て い る、 との結 論 を引 き 出 してい る と い う。 しか しな が ら、民 主制 を通 じて な され る州 憲 法修 正 や 立 法 は 、あ る集 団 に対 し 回避 困 難 な 不利 益 を課 す こ とが 常 で あ るた め、法 廷 意 見 の依 拠 す る前 提 に立 て ば 、 こ れ らの 法 はす べ て 平 等保 護 条 項 違反 とな り、結果 と して 民 主制 は機 能 しえ な くな る と い うの で あ る18)。つ ま る と ころ 、Scalia裁 判 官 に よれ ば 、あ り とあ らゆ る 立法 を違 憲 とす る こ とに な る よ うな 中立 性原理 を平 等 保 護 条項 の核 心 部 に措 定 す るKennedy裁 判 官 の 理論 は破 綻 して い る ので あ る。 さ らにScalia裁. 判 官 は 、Kennedy裁. 判 官 の依 拠 す る 中立性 原 理 を批 判 した返 す刀. で、 独 自の 中立 性 原 理 を も とに、州 憲法 修 正 を違 憲 とす るに あ た りKennedy裁. 判官. が提 示 した も う1つ の論 拠 を も論 難 して い る。 Kennedy裁. 判 官 に よれ ば、 「 州 憲法 修 正 は 、 それ を正 当化 す るた め に提 示 され た 諸. 理 由 とあ ま りに一 貫性 を もた な い た め 、そ の適 用 を受 け る集 団 に対 す る敵意 以 外 の 何 も のに よっ て も説 明 で き ない 」、つ ま りは 、 「 正 当 な政 府 利 益 との合 理 的 関連 性 を もた ない 」 た め 、平 等 保護 条項 に違 反 す る19)。DepartmentofAgriculturev.Morenozo) が 明 らか にす る とお り、 「`法の平 等 保護'と い う憲 法 上 の概 念 が何 らか の意 味 を もつ とす れ ば 、最 低 で も、政 治 的 に不 人 気 な集 団(politicallyunpopulargroup)を. 加 害 した. い とい う剥 き 出 しの …願 望 は正 当 な政 府 利 益 を構 成 しえ な い とい う こ とを 意 味 して い な けれ ば な らない 」21)。州 憲 法 修正 は 、州 の 掲 げ る立 法 目的 か ら導 か れ る範 囲 を超 えて あ ま りに広 範 囲 に わ た り同性 愛者 に不 利 益 を課 して い るた め、 当該 立 法 目的 は信 用 しが た い22)。 「 州 憲 法修 正 は 、 明 らか にす る こ とので き る正 当 な何 らか の 目的 ま た は独 立 した 目的(anyidentifiablelegitimatepurposeordiscreteobjective)に. 向けら. れ て い る とはい い が た い。 州憲 法 修 正 は 、正 当 な利 益 との 関連 性 を認識 し うるい か な る事 実 的 文脈 か ら も切 り離 され た 、 地位 に基 づ い た立 法(status-basedenactment)で あ る」23)。「 州 憲 法 修 正 は適 切 な 立 法 目的 を促 進 す るた め で は な く、 同性 愛 者 を他 の.

(6) 30. 西條. 潤. いか な る個 人 とも平 等 な らざ る者 とす るた めに彼 らを分 類 して い る」24)。 しか しな が ら、Scalia裁 判 官 は 、Kennedy裁 とる もの で あ る とい う。Scalia裁. 判 官 の この理 論 こそ 中立 性原 理 に も. 判 官 に よれ ば 、 「同性 愛 に反 対 す る こ とが人 種 ま た. は宗 教 に対 す る偏 見 と同様 に非 難 され るべ き こ とで あ るか ど うか は、州件 憲法 修 正 を 生 ん だ 文化 闘争(culturaldebate)1こ ほ か な らない 」25)。「 同性 愛 者 は 、同性 愛 者 に対 す る不 本 意 な が らの 社 会 的寛 容(grudgingsocialtoleration)で. は な く完 全 な社 会 的 受 容. (fUllsocialacceptance)を 実 現す るた めに 政治 力 をふ る う」26)。「同性 愛者 は 、 同性 愛 者 以 外 の社 会 構 成 員 と同 じ く、 自分 た ち の道 徳観(moralsentiments)を. 強化 す るた め. に法 体 系 を利 用 す る資格 を有 して い る。 しか しなが ら、 同性 愛者 も ま た、適 法 な民 主 的 対 抗 策(democraticcounter-measures)に. よ っ て対 抗 策 を講 じ られ る こ とが あ るの. で あ る」27)。同性 愛 に反 対 す る こ とが人 種 ま た は宗 教 に対 す る偏 見 と同様 に非 難 され るべ き こ とか 否 か とい う問題 につ い て 、 「 合 衆 国憲 法 は何 も語 っ て い な い た め、 当該 問題 は 、民 主 的 に州 憲 法 に 新 た な条 項 を 付 け加 え る こ とを含 め、通 常 の 民 主的 手 段 に よ る解 決 に委 ね られ るべ きで あ る。 当裁 判 所 は 、同 性愛 に対 す る"敵 意"は 邪 悪 な も ので あ る と宣言 しつ つ 、当裁 判 所 の裁 判 官 が 選 出 され るエ リー ト層 の 好 む解 決 法 を合 衆 国民 に 押 しつ け る権 限 な どもた な い ので あ る」28)。要 す るに 、本 件 に お い て ア メ リ カ 合 衆 国連 邦最 高 裁判 所 は、民 主 的政 治 過 程 を 通 じて解 決 され るべ き こ とが らに関 し て、 中立 で あ るべ き立 場 を崩 して不 当な 介入 を行 った 、 とい うの が、Scalia裁 判 官 に よ る批 判 の骨 子 で あ る29)。 はた して 、Scalia裁. 判 官 に よ る これ らの批 判 は 的 を射 て い るだ ろ うか。Kennedy. 裁 判 官 の理 論 の深 層 に あ る 中立 性原 理 とは、 どの よ うな も のな の だ ろ うか 。 こ の点 に つ い て 、AkhilReedAmarとRoderickHills,Jr.が Amarに. 興 味深 い分 析 を してい る。. よれ ば、 州 憲法 修 正 が 法廷 意 見 を して 「 違 憲 無 効 な形 態 の 立 法 」 とまで 言. わ しめ た の は30)、これ が 私権 剥 奪 法 に ほ か な らない た め で あ る31)。以 下 、Amarの. 見. 解 につ い て詳 説 す る。 合 衆 国 憲 法1条9節3項32)お とは、 重 大犯 罪(highcrimes)を. よび 同 条10節1項33)に. よっ て禁 止 され る 私権 剥 奪 法. 行 った 個 人 ま た は集 団 を名 指 し し、 ま た は特 定 して 、. 当該 個 人 ま た は 当該集 団構 成 員 に 死刑 を科 す こ とを定 め、 これ らの者 に"汚 名 を着せ (attainting)"、さ らに、これ らの者 の財 産 の相 続 を禁 止 す る立 法 を指 す34)。も っ と も、 これ は 私権 剥 奪 法 の 典型 で あ って 、私 権 剥 奪 法禁 止 条 項 の適 用対 象 は これ のみ に と ど ま らな い。 同条 項 は よ り広 く、① 名 指 しで個 人 ま た は集 団 を選 び 出 し、 ② 当該 個 人 ま た は集 団 が どの よ うな人 物 また は そ の集 ま りで あ る か を理 由 と して 、③ 敵意 に基 づ い て 、換 言 す れ ば 、 汚名 を伴 う刑 罰 ま た は徴 表(badge)を 用 い て 、 当該 個 人 また は集 団 に不 利 益 を課 す 立 法 を禁 止 して い るの で あ る。 典 型 的 な私 権 剥 奪 法 の制 定 が 禁止 され るの は 、これ が 権 力 分立 原 理 お よ び適 正 手続 原 理 に 抵触 す るた め で あ る。私 権 剥 奪 法 は 、立 法部 に よ る司 法作 用 の纂 奪 で あ るた め 、 権 力 分 立原 理 に違 背 す る。 くわ え て 、私 権剥 奪 法 は 、告 知 ・聴 聞 の機 会 を 与 え る こ と.

(7) 研 究 ノ ー ト:平 等 概 念 の 実 体 に 関 す る 一 考 察. 31. な どに よ っ て適 正 な手 続 的処 遇 の担 保 され た 司 法過 程 を経 ず に刑 罰 を 科 す もの で あ るた め 、適 正 手続 原 理 に も抵触 す る ので あ る。 もっ とも、 私権 剥 奪 法 が 禁止 され るの は、 よ り原 理 的 な理 由 に よ る。 そ れ は、 合 衆 国 憲 法1条9節3項. お よび 同条10節1. 項 が 同 一 条項 中で 私権 剥 奪法 と事 後 法 の双 方 を禁 止 して い る点 に表 れ て い る。 これ ら の条 項 は 、立 法 部 に対 し、 一般 的 に適 用 可能 で、 か つ 、将 来 にお いて 適 用 され うる刑 罰 法 規 を制 定す べ き こ とを要 請 して い る。一 体 な ぜ 、連 邦 お よび 州 の 立 法権 に対 して この よ うな制 約 が 設 け られ た の だ ろ うか。 それ は、次 の よ うな理 念 が は た らいた か ら に ほか な らない 。 っ ま り、 立法 部 は 自 らの好 まな い個 人 を選 び 出 した うえで 、 当該 個 人 が もはや 変 え る こ との で きな い過 去 の経 歴 を理 由 として 、す な わ ち当該 個 人 が どの よ うな 人物 で あ るか とい うこ とを理 由 として 、当該 個 人 を 処罰 して は な らな い との 理 念 が は た らいた の で あ る。 連邦 お よび 州 の 立法 権 に対す る上 記 の 制約 は、 どの よ うな 人 物 か とい うこ と次 第 で個 人 を処 罰 す る 立 法 は許 され な い との理 念 を 具 現化 す る た め に設 け られ た の で あ る35)。 さ らに 、私 権剥 奪 禁 止 条 項 の適 用 対 象 は 、特 定 の個 人 ま た は集 団 に 対 して刑 罰 を科 す 立 法 の み に 限 られ な い。 同条 項 は よ り広 く、名 指 しで 選 び 出 され た 個 人 ま た は集 団 に汚 名 を着 せ る 目的 お よ び効 果 を もつ立 法 を適用 対 象 と して い る ので あ る。す なわ ち 、 名 指 しで選 び 出 され た個 人 にス テ ィグマ を押 しつ け るか 、ま た は 当該 個 人 の地 位 を格 下 げす る意 図お よび 社 会 的意 味 を もつ 立法 、換 言 す れ ば 、 当該 個 人 に 汚名 を着 せ る ("taint"or"stain")、. つ ま りは 、 当該 個 人 は 他 の個 人 と同程 度 の価 値 を もた な い. か、ま た は他 の個 人 と同程 度 の 尊 重 も しくは信 頼 に値 しな い との意 味 づ け を一 方 的 に 行 う(labe1)意図お よび 社会 的意 味 を もつ 立法 もま た 、私 権 剥 奪法 に該 当 す る こ とに な る36)。合 衆 国連 邦 最 高裁 判 所 もま た 、名 指 しで選 び 出 した個 人 に刑 罰 を 科 さない 連 邦 議 会 制 定 法 で あ って も私 権 剥 奪 法禁 止 条 項 に違反 し うる こ とを認 めて い る37)。 この よ うに 、私権 剥 奪 法 禁止 条項 は、典 型 的 な 私権 剥 奪 法 を超 え て、 よ り広 い 範 囲 で適 用 され る た め、州 憲 法 修 正 も私 権 剥 奪 法 に該 当す る可能 性 はあ る。 とは い え 、州 憲 法 修 正 は私 権 剥 奪 法 で あ る とKennedy裁 こ に も見 当 た らない。 しか しな が ら、Amarに. 判 官 が 明言 した 箇所 は、 法 廷意 見 中の ど よれ ば 、Kennedy裁. 判 官 が そ の よ うに. 解 して い る形 跡 は法 廷意 見 中 に散 見 され る とい う。 第1に 、 法廷 意 見 は 、州 憲 法 修正 が 「 名指 しされ た あ る ク ラス 、つ ま り、 われ わ れ がホ モ セ ク シ ュア ル 、 また は ゲ イお よび レズ ビア ン と呼 ぶ ク ラス 」 に対 して 「 広範か つ 画 一 的 な 不利 益 」 を課 してい る こ とに着 目 して い る38)。つ ま り、私 権 剥 奪法 の構成 要 素 で あ る名 指 し とい う概 念 に焦 点 を あて て い る法廷 意 見 は 、州 憲 法 修 正 が私 権 剥 奪 法 で あ る こ とを示 唆 して い るの で あ る39)。 第2に 、法 廷意 見 は 冒頭 で 、「 合 衆 国憲 法 は 、"市民 に階 級 が あ る こ と(classesamong citizens)を知 りも しな けれ ば 、 そ の よ うな も の を許 容 して もい な い"」 とす るHarlan 裁 判 官 の 言 を 引 用 して い る40)。 こ の 引 用 に は 実 は 、 「国 家 は 、 行 為 を分 類 す る (classifyingconduct)立 法 を行 うこ とは で き る が 、市 民 が 何 を行 うか で は な く市 民 が.

(8) 32. 西條. 潤. どの よ うな 人 物 で あ るか と い う こ と を根 拠 と し て 市 民 の な か に 階 級 を生 み 出 す (createclasses)立 法 を行 っ て は な らな い 」 とい う、州 憲 法修 正へ の批 判 的意 図が 込 め られ て い る41)。つ ま り、同性 愛行 為 を行 った か らで はな く同性 愛 志 向 を 有 してい る人 物 で あ るか ら とい う理 由 で 当該 個 人 を不 利 に扱 う州 憲 法 修 正 は 、当該 個 人 が どの よ う な人 物 で あ る か とい うこ とを理 由 と して 当該 個 人 を 不利 益 処遇 す る 私 権 剥 奪 法 に ほ か な ら な い42)。 法 廷 意 見 が 州 憲 法 修 正 を 「地 位 に 基 づ い た 立 法(status-based enactment)」 、 「 階 級 立法(Classlegislation)」. と評 した こ とは43)、この 文脈 にお い て. 適 切 に 理解 し うるだ ろ う44)。 第3に 、法 廷 意 見 は 、州 憲法 修 正 は 「 不 利 益 処遇 を受 け る集 団 に属 す る 人 々 に対 す る敵 意 」、す な わ ち 「 政治 的 に不 人気 な集 団(politicallyunpopulargroup)に. 加 害 した. い とい う剥 き 出 しの …願 望 」に 基 づ くもの で あ る として い る45)。同性 愛者 を差 別 か ら 保 護 す る こ とを禁 止 す る州 憲 法 修 正 は 、同性 愛 志 向 を もつ 個 人 か らな る集 団 を、不 可 触 民 の よ うな排 除 され るべ き存 在 へ と財 め る こ とに な る。つ ま り、州 憲 法 修 正 は 、当 該 集 団 に 属す る個 人 は他 の個 人 と同 じ地 位 にな い 、排 除 され るべ き存 在 で あ る とい う 社 会 的 意 味 を もつ もの で あ るた め に 、当該 集 団 に対 す る敵 意 に根 ざ して い る と理 解 さ れ るの で あ る46)。こ の よ うな社 会 的意 味 を もつ 立 法 は 、 ま さ し く私権 剥 奪 法 で あ る。 この よ うに 、州 憲 法修 正 が 「 違 憲 無 効 な 形 態 の立 法 」47)とされ たの は 、 これ が私 権 剥 奪 法 で あ る か らに ほ か な らない とす るAmarに. 対 し、RoderickM.Hills,Jr.は. 権 剥 奪 法禁 止 条 項 の適 用 範 囲 は よ り狭 く、Amarの る こ とは で き ない とい う48)。HillsはAmarの Amarは. 、私. 理 論 に よっ て法 廷 意 見 を正 当化 す. 理 論 を以 下の よ うに批 判 して い る。. 、私 権 剥 奪 法禁 止 条 項 は個 人 また は集 団 を名 指 し して不 利 益 処遇 す る立 法. を禁 止 して い る とみ る点 で正 しい49)。 しか しな が ら、Amarの. 理論 は 、違 憲 の疑 義 を. 生 ぜ しめ る 「 名 指 し」 とい う概 念 を明確 化 で きて い ない50)。Amarは. 、個 人 の行 為 で. は な く地位 に基 づ い て 、す な わ ち、個 人 が どの よ うな人 物 で あ るか を理 由 と して 当該 個 人 を分 類 対 象 とす る立 法 の合 憲 性 は 疑 わ しい と して 、 「 名 指 し」 とい う概 念 の具 体 化 を試 み て い るが51)、この説 明は 、あ る立 法 が個 人 また は集 団 を名 指 し してい るか ど うか 、つ ま り、 どの よ うな立 法 が個 人 また は集 団 を特 定 して お り違 憲 とな る か を判別 す る基 準 を提 示 で きて い ない52)。あ らゆ る 法 は 、年 齢 、障 害 な ど個 人 の もつ特 徴 を分 類 の基 礎 と して お り、そ れ らの特 徴 は 、個 人 が どの よ うな 人物 で あ るか を 明 らか に す る もの の 一部 で あ る53)。つ ま る とこ ろ、法 は すべ て、個 人 が どの よ うな 人物 で あ るか を理 由 と して 、 当該個 人 を分 類 して い る ので あ る。 この よ うに 、個 人 が どの よ うな 人物 で あ るか を理 由 と して 当該 個 人 を 分類 対 象 とす る立 法 の合 憲 性 は疑 わ しい とす るAmarの. 理 論 に よれ ば、あ らゆ る立 法 の合 憲 性 が 疑. われ る こ とに な ろ う。 で は、 どの よ うに理 解 す れ ば 、名 指 し とい う概 念 が 明確 にな る とい うの だ ろ うか 。 この 点 につ い て 、Hillsは 次 の よ うに述べ てい る。 「 変 え るこ とので き な い何 らか の 特徴 を もつ 人 々 か らな る閉 鎖 的集 団(closedclass ofpersonswithsomefixedcharacteristic)に. 関す る定 め を お くと きに のみ 、法 は諸 個.

(9) 研 究 ノ ー ト:平 等 概 念 の 実 体 に 関 す る 一 考 察. 33. 人 を"名 指 し して い る"」 と理 解す るべ きで あ る54)。閉鎖 的集 団 とは 、 「 法 的 問題 と し て、 当該集 団 が定 義 され た時 点 で 当該 集 団 の構 成 員 で あ る こ とが変 え られ な い もの と な る、 つ ま り、構 成 員 をや め た り構 成 員 に加 わっ た りす る こ とが で き な くな る」 もの を指 す55)。固有 名 詞 を用 い て個 人 を指 定す る立 法 は も ち ろん 、構 成 員 の 変化 しない集 団 を指 定す る立 法 は 、名 指 しをす る立法 の好 例 で あ る56)。 Hillsに よれ ば、 合 衆 国連 邦 最 高 裁 判所 も 同様 に 私 権 剥奪 法 禁 止 条項 を解 釈 して い る とい う。 かっ て の 南部 連 合 国 支持 者 が様 々 な職 業 に就 く こ とを制 約 す る連 邦 議 会 制 定 法 の 合 憲 性 が争 わ れ たCummingsvMissouri57)お. よびExParteGarland58)に. おい. て、合 衆 国 連 邦最 高裁 判 所 は違 憲 判 断 を 下 してい る。問 題 と され た 法 に よっ て不 利 益 処 遇 を受 け る個 人 は 、不 可逆 的地 位(irreversiblestatus)1こあ る が ゆ えに 同 法 に よ る制 約 に服 せ しめ られ て い る とい うこ とが 、同判 決 の論 拠 で あ っ た。 これ に対 し、徴 兵 登 録 を しな か っ た学 生 に対 して は連 邦 資金 に よ る教 育支 援 を行 わ な い こ と とす る連 邦 議 会 制 定 法 の 合 憲 性 が 争 わ れ たSelectiveServiceSystemV.MinnesotaPublic InterestResearchGroup59)に. お い て 、合 衆 国 連 邦最 高 裁 判 所 は上 述 の 事 案 と対 照 的 な. 判 断 を して い る。 同判 決 に お け る決 定 的 な理 由 は、学 生 は 当該 法 に した が い徴 兵 登録 をす るだ け で 同法 の課 す 不 利 益 を免 れ うる、 とい うもの で あ った 。つ ま り、 これ らの 事 案 に お い て合 衆 国連 邦最 高 裁 判所 は 、法 の 生 み 出 した あ る集 団 の構成 員 を容 易 に 特 定 し うるか ど うか 、 した が っ て 、違 法 な特 定化 ま た は名 指 しが な され て い る か ど うか を判 断 す るに あた り、 当該集 団 の構 成 員 が 固定 され て お り、当該 集 団 の構 成 員 の変化 が不 可 能 で あ るか ど うか を 問題 に して い るの で あ る60)。 この よ うに 、Amarの. 理 論 とは異 な り、 「 私 権 剥奪 法 禁 止 条 項 は 、必 ず しも地 位 に. 基 づ い て 法 的 不利 益 を課 す こ とそ れ 自体 を禁 止 してい るわ けで は な く、"不 可 逆 的" 地 位 に 基 づ い た分 類 を設 け る こ と、す な わ ち 、閉鎖 的 な 法 的 分類 を設 け る こ とを禁 止 して い る」 の で あ る61)。 以 上 の とお り、AmarとHillsは. 、私 権 剥 奪 法 の捉 え方 に つ いて 見解 を 異 に して い. る。 しか しなが ら、両 者 の 見解 は、私 権 剥 奪 法 が禁 止 され るべ き理 由に つ い て は軌 を 一 に して い る 。AmarとHillsは とも に、 私 権 剥奪 法 が 禁 止 され るべ き理 由 を、 無 知 の ヴ ェイル とい う概 念 に依 拠 しつ つ 以下 の よ うに説 い て い る。 既 述 の とお り、無 知 の ヴェ イル とは 、 あ る意 思決 定 が 特 定 の個 人 に とっ て のみ 有利 また は 不利 に はた ら くこ とに な らな い よ う、当該 個 人 を特 定 し うる情 報(自 らの社 会 的 地 位 、先 天 的資 質 な ど)を当該 意 思決 定 に際 して利 用 不 可能 とす る概 念装 置 で あ る。こ の無 知 の ヴェイ ル に覆 われ た 状 態 で意 思 決 定 が行 われ るな らば 、換言 す れ ば 、 あ る意 思 決 定 に よ り生 じる便 益 お よ び負 担 が どの個 人 に どの よ うに分 配 され る こ とに な る かが 不 確 実 な状 態 で 意 思決 定 が 行 われ る な らば 、当該 意 思 決 定 が特 定 個 人 のみ を益 し た り害 した りす る もの とな る こ とは な くな る。そ の場合 、 当該 意 思決 定 は 、各 人 の利 害 関心 を平 等 に顧 慮 し、 各人 を平 等 な 存在 と して扱 うもの に な っ てい るの で あ る62)。 この 無知 の ヴ ェイ ル に覆 われ た 状態 で あれ ば 、立 法 者 が 自 らの忌 み 嫌 う集 団 のみ を.

(10) 34. 西條. 潤. 選 び 出 して不 利 益 処遇 す る こ とは な い。 自分 自身 が 当該 集 団 に属 す る可 能性 が あ るた め、 立法 者 は 、 自 らが 不利 益 処 遇 され る こ とに な りかね な い リス クの あ る 立法 を行 い は しな い か らで あ る。 しか しなが ら、Rawlsの. い う原 初 状 態 にお いて な ら ともか く、. 現 実 に は 、無 知 の ヴ ェイ ル の も とで 立 法 を行 わせ る こ とは不 可 能 で あ る。 どの よ うな 個 人 が 立 法 の適 用 対 象 とな るか を 知 らない ま ま 立 法者 が 立 法 に のぞ む こ とは 、あ りそ うにな い。 もっ とも、 無知 の ヴ ェイル の も とで 立法 が行 わ れ る こ と を確 保 す る のは 不 可 能 で あ っ て も、無 知 の ヴェイ ル に覆 われ た の と同 じ不 確 実 な状 態 の も とで立 法 を行 わせ る こ とは、可 能 で あ る。そ うす る に は、一般 的 に適 用 され うる法 を制 定す る よ う、 立 法 者 に 義務 づ けれ ば よ い。 こ うす る こ とで 、立法 者 は 利 益 ま た は不利 益 を課 す べ き 対 象 を特 定 で き な くな り、特 定 個 人 のみ を益 した り害 した りす る立 法 は行 われ な くな る63)。 Amarに. よれ ば、 私権 剥 奪 法 禁 止条 項 はま さに こ のや り方 で 、無 知 の ヴェイ ル に覆. われ た の と同 じ不 確 実 な状 態 の も とで立 法 を行 わせ よ うと して い る とい う。私 権 剥 奪 法 禁 止 条項 は、 一般 的 に適 用 可能 で、 か つ 、将 来 にお い て適 用 され る刑 事 立法 を行 う こ と、 す な わ ち 「 適 度 に 個 別 的 事 情 を 捨象 す る無 知 の ヴェ イ ル の 背 後 で(behinda suitablyimpersonalveilofignorance)」 い る64)。Amarに. 刑 事 立 法 を行 うこ と を、立 法 部 に義 務 づ けて. よれ ば 、立法 部 に対 す る こ の よ うな制 約 は、個 人 を特 定 して不 利 益. 処 遇 す る こ と、す なわ ち、 どの よ うな人 物 で あ る か とい うこ とのみ を根 拠 と して 特 定 の個 人 を 不利 に扱 うこ とを不 可 能 な ら しめ るた め に設 け られ た も ので あ る。私 権 剥 奪 法 禁 止 条項 の この 趣 旨に鑑 み れ ば 、あ る立 法 の適 用 対 象 とな る個 人 が 特 定 され る蓋 然 性 が高 くな るに つれ 、換 言 す れ ば、 立 法部 を覆 う無 知 の ヴ ェイ ル が薄 くな る につ れ 、 当該 立 法 が私 権 剥 奪 法 に あた るお それ は強 ま る65)。こ のた め 、行 為 で は な く地 位 に 着 目して 個 人 を選 び 出 した うえで 当該 個 人 を不 利 に扱 う立 法 は 、立 法 部 が 特 定 の個 人 を 不 利 益 処遇 しよ うと して い る蓋 然性 が高 い との推 定 の も とで 、私 権 剥 奪 法禁 止 条 項 に 違 反 しな い か否 か を厳 密 に審 査 され るべ き こ とに な る66)。な お 、Amarに. よれ ば 、不. 人 気 な 個 人 ま た は集 団 に対 し、 その 地位 ま た はア イ デ ンテ ィテ ィー を根 拠 と して 、ス テ ィ グマ を押 し付 け るこ とに な る不利 益 処 遇 を行 っ て はな らな い との 理念 は 、私 権 剥 奪 法 禁 止 条項 と平 等保 護 条 項 に通底 す る もの で あ る とい う67)。 Hillsも また 、 私 権 剥 奪法 禁 止 条 項 は 立法 者 に無 知 の ヴェイ ル を覆 い被 せ る もの で あ る とす るAmarの. 論 旨に 同調 しつ つ 、さ らに 、無 知 の ヴェ イル に覆 わ れ た の と同 じ. 不 確 実 な状 態 の も とで 立法 を行 わせ る理 由 につ い て 、以 下 の よ うに説 い て い る。 立 法 者 は 、自 らの 忌 み嫌 う個 人 ま た は集 団 に 共通 す る不 変 の アイ デ ンテ ィテ ィー を 分 類 の 基礎 と して 用 いれ ば、 当該 個 人 ま た は集 団 の み を不 利 に扱 うこ とが で きる。 つ ま り、 立法 部 は 、 閉鎖 的集 団 を対 象 とす る立 法 を通 じて、 自 らの忌 み 嫌 う集 団 のみ を 選 び 出 して 当該 集 団 を 不利 益 処 遇 す る こ とが 可 能 に な るの で あ る68)。この よ うに、閉 鎖 的 集 団 を 生み 出す 立 法 は、立 法 の適 用 対 象 とな る個 人 の 特 定 を不 可 能 な ら しめ る無 知 の ヴ ェイ ル を破 い て しまい 、 そ の こ とに よ っ て 、 「 腐 敗 した 立 法 目的 が 立法 に影 響.

(11) 研 究 ノ ー ト:平 等 概 念 の 実 体 に 関 す る 一 考 察. 35. を与 え る事態 を招 い て しま う」の で あ る69)。こ の よ うな 、閉鎖 的集 団 を対象 とす る立 法 、す な わ ち私 権 剥奪 法 を禁 止す る こ とに よっ て、 私権 剥 奪 法禁 止 条 項 は 、合 衆 国 憲 法 に深 く根 付 い た最 低 限 の 公 正 性(minimalimpartiality)と. い う伝 統 を維 持 す る こ と. に資 して い る70)。最 低 限 の公 正 性 とは 、あ る個 人 また は 集 団 の便 益 の た め に他 の個 人 ま た は集 団 に 犠 牲 を 強 い た い とい う単 な る願 望 に基 づ い て 統 治 を行 っ て は な らな い 、 とい うもの で あ る71)。この最 低 限 の公 正 性 は、平等 保 護 条 項 の要 請 と して は次 の よ う な形 で 具 現す る。 それ は、 法的 分 類 は 、不 利 に扱 われ る集 団 を確 定 す るだ け で あっ て は な らず 、当該 不利 益 処 遇 を 正 当化 しな けれ ば な らな い 、との 要請 で あ る72)。 っ ま り、 最 低 限 の公 正性 は、あ る アイ デ ンテ ィテ ィー を 有す る こ との み を理 由 と して 当該 ア イ デ ンテ ィ テ ィー を もつ 諸 個 人 か らな る集 団 に不 利 益 を課 す こ とを禁 止 す るの で あ る 73)0 以 上 の とお り、AmarとHillsは. とも に、 あ る価 値 理 念 が 私権 剥 奪 法禁 止 条 項 お よ. び 平 等 保護 条 項 に通 底 してい る こ とを示 唆 して い る。 それ は、 どの よ うな 人物 で あ る か とい う こ とのみ を根 拠 と して 、換 言 す れ ば 、あ る アイ デ ンテ ィテ ィー を有 す る こ と のみ を根 拠 と して特 定 の個 人 を不 利 に 扱 うこ とは許 され な い 、 との価 値 理 念 で あ る。 私 権 剥 奪 法禁 止 条 項 が 、無 知 の ヴェイ ル に覆 わ れ た の と同 じ不確 実 な 状 態 の も とに 立 法 者 をお くこ とに よっ て 、個 人 を特定 して 不利 に扱 う立 法 を制 定 しえな くす る こ と も、 平 等 保護 条項 が、 「 法 的分 類 が 独 立 した正 当な 立 法 目的(independentandlegitimate legislativeend)と 合理 的 関連rを. もつ こ と を要 求す る」74)ことに よ って 、 あ る集 団 を. 敵 意 に 基 づ き不 利 益 処遇 す る立 法 を禁 止 す る こ とも 、これ らの立 法 が この価 値 理 念 に 違 背 す る もの で あ るか らに ほか な らない 。 以 上 の 分析 を も とにす れ ば、平 等保 護 条 項 は 法 の 中立 性 とい う原 理 を 具 現 して い る とす るKennedy裁. 判 官 の 理論 は 、 以 下 の よ うに読 み 解 くこ とがで きる。AmarとHills. に よれ ば 、立 法 を行 うに あた っ て 各人 の アイ デ ンテ ィテ ィー のみ を分類 の基 礎 と しな い こ と、換 言 す れ ば 、立 法 に 際 して は 各人 が 自 由に 形成 ・保 持 す るア イ デ ンテ ィテ ィ ー の問 で優 劣 の序 列化 を 図 らず これ らを平 等 に 尊重 す る こ とが 、各 人 を 平等 な存 在 と して 扱 うこ とで あ り、それ こそ が 私権 剥 奪 法 禁止 条 項 と平 等保 護 条 項 の 基底 に あ る価 値 理 念 で あ る。Kennedy裁. 判 官 の理 論 の 深 層 に この よ うな考 えが 下敷 き とな って い. る とす れ ば 、同裁 判 官 の い う中 立性 原 理 とは 、各人 のア イ デ ンテ ィテ ィー のみ を分類 の基 礎 と しない 、す なわ ち、各 人 の アイ デ ンテ ィテ ィー の 間 で優 劣 の 序 列化 を 図 らな い とい う意 味 で の 中立性 を立 法 に 求 め る もの で あ る とい え よ う。以 上 の 理解 か らす れ ば、同性 愛者 と異 性 愛者 とい うア イデ ンテ ィテ ィー の優 劣 が 民主 的 政 治過 程 を通 じて 決 せ られ るこ とを認 め るScalia裁 判 官 の 立場 は、た しか に 、民主 的 政 治過 程 を通 じて な され た価 値 判 断 の いず れ に も 与 しな い とい う意 味 で の 中 立性 を 体 現 す る もの で は あ るが 、 しか しな が ら、平 等 保護 条項 の求 め る中 立性 の 浸食 を許 す もの で あ って 看 過 しが た い の で あ る。.

(12) 36. 西條. 潤. 4.結 び に代 えて 本 稿 にお い て は 、平 等 保 護 条 項 の根 底 に どの よ うな価 値 理 念 が潜 ん で い る か を 、2 名 の裁 判 官 の理 論 を読 み解 くこ とを通 じて 明 らか しよ うと試 み た。そ こで 明 らか に な った こ と と して、 両裁 判 官 の理 論 は、平 等 保護 条項 は各 人 を 平等 な存 在 と して扱 うべ き こ とを 要請 して い る と読 み 解 く こ とので き る点 で共 通 して い る、 とい うこ とが あ げ られ る。 もっ と も、各 人 を平 等 な 存 在 と して扱 う とい うこ との 具 体 的意 味 とな る と、 そ の捉 え 方 は一 様 で は な い。Rawls理 論 の 視 角 か ら読 み解 い たStevens裁. 判 官 の理論. にお い て は 、立 法 を行 うに あた っ て各 人 の利 害 関心 を公 明 正 大 な観 点 か ら評 価 す る こ と、換 言 す れ ば 、立 法 に 際 して 各 人 の利 害 関 心 を無 知 の ヴェ イル の も とで 平等 に顧 慮 す る こ とが 、各人 を平 等 な 存在 と して 扱 う とい うこ との具 体 的 意 味 で あ る。 これ に 対 して 、AmarとHillsの. 理 論 を下 敷 き と して 読 み解 いたKennedy裁. 判 官 の理 論 にお い. て は、立 法 を行 うに あ た って 各 人 の アイ デ ンテ ィテ ィー の み を分 類 の 基礎 と しない こ と、換 言 す れ ば 、立 法 に 際 して は各 人 が 自由 に形成 ・保 持 す る アイ デ ンテ ィテ ィー の 間で 優 劣 の序 列 化 を図 らず に これ らを平 等 に尊 重す る こ とが 、各 人 を平 等 な存 在 と し て扱 うとい うこ との 具 体 的意 味 で あ る。 この よ うに 、平等 保 護 条 項 が何 を要 請 して い るか とい う点 につ い て は、論 者 に よっ て捉 え方 が様 々で あ る。特 にRomer判. 決 を め ぐっ て は 、本稿 にお い て 論及 したAmar. とHillsの 見解 の他 に も、 た だ1つ. しか ない 平 等保 護 条 項 を め ぐ り、 文化 闘争 な らぬ. 解 釈 論 争 が 百家 争 鳴 の様 相 を呈 して い る。 しか しな が ら、 これ は 、た だ1つ. しかな い. 平 等 保 護 条 項 の実 体 を あ い ま い に した ま ま 平等 保 護 条 項 が複 数 存在 す る か の よ うに 審 査 の 厳格 度 を変 動 させ て"平 等"を"保 ろ うか 。 「 平等 保 護 条 項 は 、た だ1つ. 護"す. るこ とよ りも、健 全 な 姿 で は ない だ. しか存 在 しな い 」75)とい う言 葉 の 意 味 を、 今 一. 度 重 く受 け とめ るべ き で あ る よ うに 思 われ る。 1)最 大判 昭 和39年5. .月27日 民 集18巻4号676頁 。 2)芦 部 信 喜 『憲 法 学II人 権 総 論 』(有 斐 閣 ,1999)22-32頁 三 版 〕』(青林 書 院,1995)477-478頁. 、佐 藤 幸 治 『憲 法 〔 第 参 照 。 さ らに 、 司 法 審 査 の 厳 格 度 が 二 段 階 に. 分 か れ る の か そ れ とも 三 段 階 に分 か れ る の か とい う点 に つ い て も、 見 解 が 分 か れ て い る。 こ の議 論 の概 要 と司 法 審 査 の 厳 格 度 の 変 化 す る根 拠 に つ い て は 、 君 塚 正 臣 「 司 法 審 査 と平 等 権 一. 性差 別 事 例 を 中 心 と して 」 自 由人 権 協 会 編 『憲 法 の現. 在 』(信 山社,2005)23頁 以下参 照。 3)棟 居 快 行 『人 権 論 の新 構 成 』(信 山社 ,1992)116-117頁. 参 照 。 竹 内康 江. 「 平等. 原則 につ いての覚書 学 説 の現 況 と 問題 点 」 法 律 時 報 五 四巻0号(一 九 八 二) 一 四六頁 もまた 、「 『合 理 性 』 の 内 実 を 明 らか にせ ず 、 そ の 認 定 の 方 法 とい う技 術 問題 だ け が精 緻 化 され て い っ た 」 と し 、 この 見 解 を批 判 す る。 4>Craigv .Boren,429U.S.190,211(1976)(StevensJ.,concurring). 5)Id .at211-212. 6>CityofCleburnevCleburneLivingCenter. ,473U.S.432,452(1985).

(13) 研 究 ノ ー ト:平 等 概 念 の 実 体 に 関 す る 一 考 察. 37. (StevensJ.,concurring). 7)Id . $>Id .at454.SeeDeborahJonesMerritt,CommunicableDiseaseand ConstitutionalLaw:ControllingAIDS,61N.Y.U.L.Rev.739,785(1986). 9>Craig ,429U.S.at211-212. io)SeeJOHNRAWLS ,ATHEORYOFJUSTICE12(1971). 11)Seeid .at17-22. 12)W .キ ム リ ッ カ 『新 版 現 代 政 治 理 論 』(日 本 経 済 評 論 社,2005)92-96頁 ia)Romere .Evans,116S.Ct.1620,1628(1996).. 参 照。. 14>Id .at1623. 15>Id .at1628. is)Id .at1627. i7)Id .at1628. 18)Seeid. .at1630-1631.反. 対 意 見 は 、以 下 の よ うな 例 を挙 げ て 、法 廷 意 見 を批 判. し て い る 。 市 が 市 長 ま た は 市 議 会 議 員 の 親 類 な ど の 関 係 者(relatives)と. 契 約 を締. 結 す る こ と が 州 法 に よ り 禁 止 され て い る と 考 え て み よ う。 こ の 場 合 、 市 長 ま た は 市 議 会 議 員 の 親 類 な ど の 関 係 者 は 、 市 当 局(municipality)を. 説 得 す る だ けで 足 り. る 他 の ど の 州 民 と も 異 な り、 州 立 法 部 を 説 得 し て 州 法 を 改 正 ま た は 廃 止 さ せ な い か ぎ り、 市 と 契 約 を 締 結 す る こ と が で き な い 。 た し か に 、 こ の 場 合 、 市 長 ま た は 市 議 会 議 員 の親 類 な どの 関 係 者 は 、 他 の集 団 よ りも 民 主 制 に お け る意 思決 定 を通 じて利 益 を得 る こ とが 困 難 と な っ て い る。 19>Id .at1627. 20)DepartmentofAgriculturev 21>Romer 22>Seeid. .Moreno,413U.S.528(1973).. ,116S.Ct.at1628. .at1629.. 2a)Id 24>Id . 25)IQ7 2s)Id .at1634. 27>Id . 28>Id .at1629. 29)Scalia裁 判 官 は 、 同 性 間 で 逸 脱 し た 性 交 渉(deviatesexualintercourse)を た 個 人 を 処 罰 す るTexas州. 法 が 合 衆 国 憲 法 修 正14条. 違 反 す る と さ れ たLawrencevTexasに. 行 っ. の デ ュ ー ・プ ロ セ ス 条 項 に. お い て も 、 自身 の 手 に よ る反 対 意 見 中 で. 同 じ 立 場 を 表 明 し て い る 。 同 裁 判 官 は 、Lawrence判. 決 法 廷 意 見 に っ い て 、 「中 立. 的 な 監 視 機 関 と し て 、民 主 的 な 取 り 組 み 方(democraticrulesofengagement)が. 行. わ れ る こ と を 確 保 す る 役 割 か ら逸 脱 し て 、 文 化 闘 争 の 一 方 に 与 し て い る 」 と 評 し て い る 。LawrencevTexas,539U.S.558,602(2003)(Scalia,J.,dissenting). ao)Romer ,116S.Ct.at1627. 31)SeeAkhilReedAmar Mich.L.Rev.203,226(1996).. ,AttainderandAmendment2:Eo盟. θノsRightness,95.

(14) 38. 西條. 32)U. .S.CONST.art.1,§9,cl.3.. 33)U. .S.CONST.art.1,§10,cl.1.. s4>LAURENCEH. 潤. .TRIBE,AMERICANCONSTITUTIONALLAWァ10-4,at. 641(2ded.1988).SeeAmar,supranote31,at206-210. 35)SeeAmar 36)Seeid. ,supranote31,at210-211. .at212-213.. 37>SeeUnitedStatesvLovett. ,328U.S.303(1965).;UnitedStatesv.Brown,. 381U.S.437(1946). 38>Romer. ,116S.Ct.at1627.. 39>SeeAmar. ,supranote31,at225-226.. 40)Romer. ,116S.Ct.at1623.. 4i)SeeAmar 42)SeeId. ,supranote31,at222(emphasisomitted). .at227-228.. 4a)Romer. ,116S.Ct.at1629.. 44>SeeAmar. ,supranote31,at222.. 45)Romer. ,116S.Ct.at1628.. 4s)SeeAmar. ,supranote31,at223-224.. 47>Romer. ,116S.Ct.at1627.. 48>RoderickM. .Hills,Jr.,ISAMENDMENT2REALLYABILLOF. ATTAINDER?SOMEQUESTIONSABOUTPROFESSORAMAR'S ANALYSISOFROMER,95Mich.L.Rev.236(1996). 49>Seeid. .at238-239.. 50>Seeid. .at239.. 5i)SeeAmar. ,supranote31,at217.. 52)SeeHills 5a)Seeid. ,supranote48,at239-240. .240.. 54>Id. .at236-237.. 55>Id. .at240.. 56)SeeId. .Hillsは. 、構 成 員 の 変 化. し な い 集 団 を 指 定 す る 立 法 の 具 体 例. 北 戦 争 中 、 ア メ リ カ 南 部 連 合 国(Confederacy)を 指. 支 援. と し て 、 「 南. し て い た す べ て の 個 人 」 を 名. し す る 立 法 を あ げ て い る 。. 57>CummingsvMissouri. ,71U.S.(4Wall.)277(1866).. 58>ExParteGarland. ,71U.S.(4Wall.)333(1866). 59>SelectiveServiceSystemvMinnesotaPublicInterestResearchGroup. ,468. U.S.841(1984). so)SeeHills. ,supranote48,at241.. 61)Id. .. 62)前. 掲 注12)Wキ. ム. ss)SeeAdrianVermeule YaleL.J.399,411-412(2001). s4)Amar 65)Seeid. ,supranote31,at210. ,at210&233-234.. リ ッ カ. 『新 版. 現 代 政 治 理 論 』92-96頁. ,VeilofIgnoranceRulesinConstitutionalLaw,111. 参 照. 。.

(15) 研 究 ノー ト 平 等概 念 の実体 に関す る一考 察. 66>Seeid. .. 67>Seeld. .n.23.. 68)SeeHills. ,supranote48,at241-242.. 69>Seeid. .at241.. 70)Seeid. .at242.. 71)Seeld. .. 72)SeeId. .at241-242&253.. 73)Seeid. .at253.こ. の こ と と 関 連. し て 、Stevens裁. 判 官 も 、 「不 利 に 扱 わ れ る 集 団. に 不 利 益 を 課 す こ と が 立 法 者 の 明 確 な 目的 で あ る場 合 に は 、 立 法 者 は 公 正 で は な い と の 疑 義 が 生 じ る こ と に な る 」. と 述 べ て い る 。UnitedStatesR.R.RetirementBdv.. Fritz,449U.S.166,180-181(1980)(StevensJ.,concurring). 74>Romer 75>Craig. ,116S.Ct.at1628. ,429U.S.at211.. 39.

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参照

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