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Cognitive Studies, 19(3), (Sep. 2012) The role of phonology in visual word recognition has been widely researched. Specifically, it is worth

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●研究論文●

漢字二字熟語の同音判断と韻判断に

構音抑制が及ぼす影響

森田 愛子・齊藤 智 

The role of phonology in visual word recognition has been widely researched. Specif-ically, it is worth investigating whether the phonological processing of Japanese kanji is the same as that of an alphabetic writing system. The current study systemati-cally examined articulatory suppression effects. Although articulatory suppression is a research tool often used to explore phonological processing in reading, it does not impair all types of phonological processing. Experiment 1A and 1B examined whether articulatory suppression disrupts rhyme judgments. Participants were shown pairs of two-kanji compound words and asked to judge whether they contained the same vowel. In both experiments, participants made more errors under an articulatory suppression condition. Experiment 2A and 2B examined whether articulatory suppression disrupts homophone judgments. The stimuli of Experiment 2A were the same as experimental stimuli of Experiment 1A. The results showed no articulatory suppression effect. The non-homophone pair was a phonologically similar pair in Experiment 2B. The results suggest that articulatory suppression had some interference effect on homophone judg-ment. The articulatory suppression effect on phonological processing of two-kanji words was similar to that of alphabetic writing system. Articulatory suppression must impair the segmentation process, irrespective of task type.

Keywords: articulatory suppression(構音抑制), homophone judgment(同音判断), rhyme judgment(韻判断), kanji(漢字)

1. 問題と目的

1.1 アルファベット言語の視覚的単語認知にお ける音韻情報処理 視覚的に呈示された単語の認知において,音韻情 報が早い段階で活性化することが知られている.最 も強力な説は,語彙アクセスが,音韻情報の活性化 を介して生じるという説である.Van Orden (1987) をはじめとして,この説を支持する結果も多い(e.g., Frost, 1998; Lesch & Pollatsek, 1993; Lukatela & Turvey, 1994; Maris & de Graaff Stoffers, 2009). それに対し,Coltheart (e.g., Coltheart, 1978)な

Articulatory Suppression Effects on Rhyme and Homophone Judgments of Two-Kanji Compound Words, by Aiko Morita (Graduate school of Educa-tion Hiroshima University), and Satoru Saito (Grad-uate school of Education Kyoto University).

どによる二重ルートモデル(dual route model)で は,音韻情報を介して語彙アクセスが行われる音韻 ルート(phonological route)よりも,音韻情報を介 さずに語彙へアクセスする直接ルート(direct route またはorthographic route)のほうが速く意味情報 にアクセスできると考えるのが普通である.ただし 後者の場合も,両方のルートがあるため,音韻情報 の活性化が常に意味情報の活性化よりも遅いとい うことにはならない.いずれにしても,視覚的単語 認知の早い段階で音韻情報が活性化することにつ いては,多くの研究が支持しているといえる(e.g., Ferrand & Grainger, 1992; Humphreys, Evett, & Taylor, 1982; Jared & Seidenberg, 1991; Luo, 1996; Rayner, Pollatsek, & Binder, 1998).

近年では,脳波や脳画像を用いた研究も,それを 支持している.例えばNewman & Joanisse (2011)

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は,fMRIを用いて,語彙判断課題の遂行時に音韻 情報処理と書字情報処理が相互作用して語彙アクセ スに貢献していることを示した.Wilson, Tregellas, Slason, Pasko, & Rojas (2011)も,やはりfMRI を用い,視覚的単語認知において音韻情報処理が有 効な役割を果たしていることを支持する結果を得て いる. 1.2 漢字の視覚的単語認知における音韻情報 処理 漢字は表意文字であるため,少なくとも直感的に は,音韻情報処理への依存が小さいと考えられがち である.しかし,比較的最近の研究では,漢字の音 韻情報はかなり早い段階で活性化することがわかっ ている.例えばTan & Perfetti (1999)は,中国語 の二字熟語を用いて,音韻情報と意味情報の活性化 の順序を調べた.2つの単語を呈示するSOAを操 作し,その2つの単語の意味判断あるいは同音判 断を求めた結果,同音異議語対が呈示されたとき, 意味判断に干渉が生じた.このような結果から,音 韻情報が早い段階で活性化すると主張している.こ れと同様の結果は,1文字の漢字を用いた場合にも 得られている(Perfetti & Zhang, 1995).また,日 本語の二字熟語を用いた同様の研究でも,やはり音 韻情報が早い段階で活性化することが示されている (Morita & Matsuda, 2000).

他の課題を用いた研究でも,例えばPollatsek, Tan, & Rayner (2000)は周辺視野からのプレビュー 効果を検討し,漢字の音韻情報処理が早い段階で行 われていることを示している.さらには脳研究に も,漢字の意味情報の活性化より音韻情報の活性 化のほうが早いことを示しているものがある(例え ば,Liu, Perfetti, & Hart, 2003; Zhang, Zhang, & Kong, 2009). ただし漢字の場合,そのような初期段階で活性化 する音韻情報だけでは語彙の同定には不十分であ ることを示した研究や,書字が類似している場合 にのみ音韻情報が課題のパフォーマンスに影響す ることを示唆している研究もある.例えば,Zhou & Marslen-Wilsonは中国語の漢字を用いた一連の 研究を行い,語彙判断課題や音韻判断課題,命名課 題などにおいて,同音効果や偽同音効果が生じる かを検討している(e.g., Zhou & Marslen-Wilson, 1999, 2000, 2009).そして,音韻情報が早く活性 化して判断に影響するのは,書字が類似していると きに限ること,したがって書字情報から語彙アクセ スを行う直接ルートのほうが優位であることを示唆 した.また,Chua (1999)は,中国語の漢字を用い たカテゴリ判断課題やイディオム判断課題を行い, 音韻情報の活性化は速いが,それだけでは語彙の同 定には不十分であることを示している.日本語の二 字熟語を使用した研究でも,Sakuma, Sasanuma, Tatsumi, & Masaki (1998)やWydell, Patterson, & Humphreys (1993)が,意味カテゴリ判断課題 を用い,音韻情報の活性化が意味的な判断に干渉す ること,しかしそれは書字が類似している場合に限 ることを示している.これらの研究からは,漢字の 視覚的単語認知においても音韻情報が単語認知の早 い段階で活性化はするが,書字情報がどの程度語彙 アクセスの手がかりとなるかによってその早さが異 なる可能性があること,また音韻情報と書字情報の 優位性については疑問が残っていることがわかる. ここまで,視覚的単語認知における音韻情報の活性 化について述べてきたが,音韻情報が早い段階で活 性化すること自体は,アルファベット言語でも漢字 でも概ね一致した主張であるといえよう.表記形態 の違いについてPerfetti & Liu (2005)は,音韻情 報処理は単語認知の一部であり,語彙アクセス後に 生じるのではないが,表記形態により書字情報と音 韻情報との対応などが異なると述べている. 1.3 2種類の音韻情報処理 ここまで音韻情報処理とひとくちに述べてきた. しかし,上に挙げたような研究成果を考慮すると, 語彙アクセス前に行われる音韻情報処理もあり,語 彙アクセス後に生じる音韻情報処理もあると考える のが妥当であろう.また,課題によって求められる 音韻情報処理は異なる.Besner, Davis, & Daniels (1981)や Besner & Davelaar (1982)で提唱され ているように,何かを読むときに行われる音韻情報 処理には,少なくとも2つのタイプがあることが わかっている.構音コントロール過程を経るタイプ の音韻情報処理と,経ないタイプの音韻情報処理で ある.本論文では,前者をarticulatoryな音韻情報 処理,後者をnon-articulatoryな音韻情報処理と 呼ぶ. これらを区別する際によく行われるのが,構音抑 制である.構音抑制とは,参加者が課題を行ってい

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るときに,同時にその課題とは無関係な音,例えば “ダ,ダ,ダ”を繰り返し発音するというものである (e.g., Murray, 1968).構音抑制をかけると,構音 コントロール過程を経る音韻情報処理が妨害され, articulatoryな音韻情報処理を行っている場合には パフォーマンスが低下すると考えられている.その 根拠は主に,文字列や単語の系列再生課題を用いた 実験結果である(例えば,Baddeley, Lewis, &

Val-lar, 1984).系列再生課題において構音抑制をかけ ると,語長効果,すなわち短い文字列や語のほうが 多く記憶できるという効果が消失する.あるいは音 韻類似性効果,すなわち互いに音韻が類似した文字 列・語のセットは類似しているがゆえに順番に再生 するのが困難であるという効果も,文字列や語が視 覚呈示された場合には構音抑制によって消失するが, 聴覚呈示された場合には残る.このように,構音抑 制によって,視覚呈示された文字列を音韻へ変換す る過程およびリハーサル過程の少なくとも一部が 妨害されることは研究者間で一致した見解であると いえよう.しかし,明らかに音韻情報処理を行って いるにもかかわらず,構音抑制によって妨害されな い場合がある.このときには構音コントロール過程 を経ない音韻情報処理,すなわちnon-articulatory な音韻情報処理が行われていると考えられる. 音韻情報処理を含む課題のうち,どのような課題 が構音抑制によって妨害され,どのような課題が妨 害されないのかについて結果は一貫していない.ま た,表記形態が違う場合に構音抑制の影響が異な るか,異なるとしたらどのように異なるかについて も,明らかにはなっていない. 1.4 韻判断課題と同音判断課題における構音抑 制の影響 音韻情報処理を含む課題のうち,どのような課題 が構音抑制によって妨害され,どのような課題が妨 害されないのかについて,韻判断課題および同音 判断課題の2つの代表的な課題を用いた先行研究 を紹介する(詳しくは,Nickels, Howard, & Best, 1997; Tree, Longmore, & Besner, 2011).

まず韻判断課題とは,呈示される2つの単語が 韻を踏んでいるか否かを判断する課題である.こ の課題を用いた場合,ほとんどすべての研究で,構 音抑制の影響がみられる(e.g., Arthur, Hitch, & Halliday, 1994; Barron & Baron, 1977; Besner et

al., 1981; Brown, 1987; Johnston & McDermott, 1986; Tree et al., 2011; Wilding & White, 1985). これらの結果から,音の分離のような操作を行う 場合,また,分離した音を比較するような複雑な判 断を行うために長く音韻情報を保持する場合には, articulatoryな音韻情報処理が行われると考えられ ている.韻を踏んでいるか否かを判断するためには, 単語としての読み方を知っているだけではなく,そ れを音素に分け,特定の子音の部分を切り離して比 較する必要がある.そのような処理を音の分離と呼 んでいる.そして韻判断については,日本語の漢字 を用いた場合も,やはり構音抑制の影響がみられる (Kinoshita & Saito, 1992).

一方,同音判断課題とは,呈示される2つの単語 の読みが同じか否かを判断する課題である.この課 題を用いた場合,構音抑制の影響はみられないこと が多い(e.g., Baddeley & Lewis, 1981;

Richard-son, 1987).そのため,視覚的に呈示された単語の

書字情報から語彙アクセスを行う際,そしてその語 彙情報に含まれる音韻情報を検索する際には,

non-articulatoryな音韻情報処理が行われると考えられ

てきた.しかし,同音判断課題に構音抑制の影響 がみられるという研究もある(e.g., Besner et al., 1981; Brown, 1987).近年,Tree et al. (2011)は, 同音判断課題を行った際に構音抑制の影響がみられ たことから,同音判断を行う際にもarticulatoryな 音韻情報処理が行われると主張している. アルファベット言語において,同音判断は少なか らず書字の影響を受けると考えられる.しかし漢字 には非常に多くの同音漢字が存在し,書字が互いに 全く異なる同音語も多い.したがって,書字の類似 の影響を全く受けないで音韻の類似性を操作するこ とが可能であり,かつ不自然ではない.Kinoshita & Saito (1992)は,日本語の漢字二字熟語を用い て構音抑制の影響を検討しており,同音判断課題で は構音抑制をかけると誤反応が増えるという結果を 得ている.Kinoshita & Saitoは,実験に用いた漢 字熟語は少なくとも3音節あるいは4音節から成っ ており,アルファベット言語での実験で用いている 刺激よりも音節数が多かったため,同音判断を行う 際にワーキングメモリに依存する程度が大きかった のではないかと推測している. このように,特に同音判断を行う際に構音抑制 の影響がみられるか否かについては結果が一貫し

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ておらず,articulatoryな音韻情報処理とはどのよ うなものかが明言できないのが現状である.また, Kinoshita & Saito (1992)は,構音抑制の影響がみ られた原因として,日本語の漢字単語の特性を挙げ ているが,その特性が原因か否かは未確定のままで ある. 1.5 音韻情報処理を説明するモデル 本研究は,モデルの検証を行うことを目的として いるわけではないが,構音抑制によってどのような 音韻情報処理が妨害されるかを説明するために,構 音コントロール過程を含む音韻情報処理を表すモデ ルについてここで簡単に説明する. 音韻情報処理のみを対象としたモデルには Badde-ley (1983, 1986),Besner (1987),Monsell (1987) などがあり,現在でもこれらのモデルに基づいて 検討が行われている(Nickels et al, 1997; Tree et

al., 2011).いずれのモデルにおいても,構音抑制 によって妨害されるのは,音韻情報を保持するスト アやバッファと呼ばれるコンポーネントではなく, ループやリンクなどと呼ばれる,情報を送ったり変 換したりする過程である.韻判断課題では単語の音 を分離せずに判断することはできない,すなわち, 語彙情報にアクセスしてその語彙の音韻情報を検 索しただけでは判断ができない.同音判断課題で は,語彙の音韻情報がわかれば,それだけで判断す ることができる.そのため,同音判断よりも韻判断 のほうが判断までに必要な過程が多く,ループやリ ンクなどと呼ばれる過程を経ると考えられている (Nickels et al, 1997; Tree et al., 2011).

したがって本研究においても,語彙アクセスに よって検索された音韻情報を用いて判断する場合に は構音コントロール過程を用いる前のコンポーネ ントでの判断,すなわちnon-articulatoryな音韻 情報処理を行っていると想定する.そして,それが できない場合には,構音コントロール過程を経た 後のコンポーネントで判断が行われる,すなわち articulatoryな音韻情報処理を行っていると想定す る.ただしその詳細については,次のセクションで 述べるように,本研究で検討する. 1.6 本研究の目的 本研究ではarticulatoryな音韻情報処理と non-articulatoryな音韻情報処理の違いを検討する.第 1の目的は,漢字の音韻情報処理においてもアル ファベット言語で想定されている処理が当てはまる か否かを調べることである.漢字の音韻情報処理に ついて,体系的に構音抑制の影響を調べた研究は, Kinoshita & Saito (1992)以降,ほとんどみられ ない.また,上述したように,Kinoshita & Saito で得られた結果,すなわち韻判断も同音判断も構音 抑制によって妨害されるという結果をどのように解 釈するかについては,さまざまな可能性が残されて いる.そこで,Kinoshita & Saitoの結果と同様の 結果が得られるか,その結果をどのように解釈すべ きかについて,刺激や課題を変えて体系的に検討す る.実験1Aと1Bでは韻判断課題を用い,実験2A と2Bでは同音判断課題を用いて検討を行う.

もし,刺激を変えてもKinoshita & Saitoと同 様,両課題が構音抑制によって妨害されるのであれ ば,少なくとも,日本語の漢字熟語を用いた同音判 断時にはariticulatoryな音韻情報処理が行われや すいといえる.アルファベット言語を用いた場合と は,2種類の音韻情報処理の区別のされ方が異なっ ている可能性があり,漢字熟語の音韻情報処理がな ぜarticulatoryなのかを検討する必要がある.一 方,刺激,特にディストラクタを変えることで同音 判断が構音抑制によって妨害されないという結果が 得られる可能性もある.その場合は,Kinoshita & Saitoが挙げた音節数による説明や,漢字特有の音 韻情報処理であるという説明は成り立たない. 第2の目的は,そもそもarticulatoryな音韻情報 処理とnon-articulatoryな音韻情報処理は何が異 なるのか,アルファベット言語などによる先行研究 を含め,必ずしも一致した結果が得られてこなかっ たのはなぜかを調べることである.本研究では,課 題タイプや課題要求を操作し,音の分離が求められ る場合にはarticulatoryな音韻情報処理が行われ, 構音抑制の影響がみられるという仮説について検証 する. そこで,実験1Aと2Aは,課題の影響を明確に するため,共通の漢字刺激を用いて実験を行う.同 じ刺激を用いた漢字二字熟語の類義語判断(Morita & Saito, 2007)では,同音語対が呈示されると誤 反応が多くなるという同音語効果が生じたが,その 同音語効果は構音抑制をかけても減衰しなかった. この結果から,意味情報へのアクセスが求められ る課題遂行時にはnon-articulatoryな音韻情報処

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理が行われることがわかっている.もし同一の刺激 を用いたにもかかわらず韻判断でのみ構音抑制の 効果がみられれば,音の分離が求められる場合には articulatoryな音韻情報処理が行われるといえる. さらに,課題タイプが同じであっても,参加者へ の課題要求によって結果が異なる可能性がある.例 えば2つの単語を呈示して同音判断課題を行う場 合,音韻的に全く異なるディストラクタが呈示され る同音判断課題であれば,音の分離は全く必要ない であろう.一方,音韻的に類似しているが同音では ないというディストラクタが呈示されれば,一音一 音に着目して判断する必要がある.韻判断のように 母音と子音を切り離す必要はないものの,単語より も細かく,音節に分離する操作が行われる可能性が ある.後者の場合に構音抑制の影響がみられれば, やはり音の分離が求められる場合にはarticulatory な音韻情報処理が行われるといえるだろう.

2. 実験 1A  韻判断課題 A

2.1 方 法 2.1.1 参加者 大学生および大学院生20名 (女性10名,男性 10名)が実験に参加した.平均年齢は20歳9ヶ月 であった. 2.1.2 実験計画 構音抑制(あり・なし)の1要因参加者内計画で あった. 2.1.3 課 題 参加者は,2つの漢字熟語が韻を踏んでいるかを 判断した. 2.1.4 刺 激

主な刺激は,Morita & Saito (2007)が類義語 判断課題で用いた非類義語対と同じものであった. coreの熟語,その同音語,および非同音語(意味も 音も類似しておらず,韻も踏んでいない)の3つか らなるセットを54セット用意した.例えば,core が“ 承認 ”,その同音語が“ 証人 ”,非同音語が“ 曖 昧 ”のようなセットである.書字については,二字 熟語のうちの一字あるいは漢字の一部分の形態が 共通であることによって類似とみなすことが多い が(例えば,Sakuma et al., 1998; Wydell et al.,

1993),本研究ではどのセットでも,core,同音語, 非同音語の形態は共通しておらず,書字は類似して いなかった.また,同音語と非同音語の間で,熟語 の出現頻度(天野・近藤, 2000より算出),モーラ数, および画数が等価になるよう統制を行った.Morita & Saito (2007)の類義語判断課題と同様に,同音 語あるいは非同音語がcoreと対になって呈示され たが,同じcoreが1人の参加者に2回呈示される ことがないようカウンターバランスをとった.した がって,27の同音語対と27の非同音語対が呈示さ れたことになる.さらに,韻を踏んでいる刺激はす べて同音という状況になるのを防ぐため,2種類の ダミー刺激を加えた.まず,同音ではないが韻を踏 んでいる熟語対(例:単元-探検)を15対追加した. また,熟語の1文字目では韻を踏んでいるが2文 字目では韻を踏んでいない熟語対(例:因果-臨時) も15対加えた. 2.1.5 実験装置 刺激はディスプレイに呈示された.刺激の制御と 記録には,SuperLab version2.0を用いた.参加者 は,キーボードの“M”のキー(青い色をつけた)と “Z”のキー(赤い色をつけた)を押して反応した. 2.1.6 手続き 個別実験を行った.1試行の流れは次のとおりで ある.まず注視点として“+”が画面中央に200 ms 呈示された.続いて300 msのブランクの後,2つ の熟語が横書きで水平に並んで呈示された.熟語の 文字の大きさはすべて28ポイントであり,フォン トはMSゴシックであった.熟語対は,参加者が キーを押して反応するまで呈示されていた.同音語 対27対と非同音語対27対については,coreは常 に右側に呈示され,それと対になる同音語あるいは 非同音語は左側に呈示された.ダミー刺激について は,coreとそれに対応する語は規定されていない ため,左右の別はなかった.参加者には,2つの熟 語の母音が同じであるかどうかを判断し,なるべく 速く正確にキーを押して答えるよう求めた.同じだ と判断した場合には青いキー (M),違うと判断し た場合には赤いキー(Z)を押すように教示した. 全84試行を6つのブロックに分けて行った.6 ブロック中3ブロックは構音抑制あり条件,残りの 3ブロックは構音抑制なし条件で実施した.構音抑

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表1 韻判断課題(実験1A)における誤反応率(%) 同音語 非同音語 2条件の平均 誤反応率 SD 誤反応率 SD 誤反応率 SD 構音抑制あり 2.6 (3.5) 3.4 (6.5) 3.0 (4.2) 構音抑制なし 0.8 (2.3) 1.5 (3.1) 1.1 (1.7) 表2 韻判断課題(実験1A)における反応時間(ms) 同音語 非同音語 2条件の平均 反応時間 SD 反応時間 SD 反応時間 SD 構音抑制あり 1323.9 (430.4) 1825.8 (942.3) 1575.2 (684.0) 構音抑制なし 1417.0 (484.3) 1936.5 (804.5) 1667.5 (617.0) 制あり条件では,1試行の開始を表す注視点の呈示 時点から反応終了までの間,“1,2,3”と繰り返し 声に出して言うよう参加者に求めた.1秒に1回, “1,2,3”のまとまりを言うペースでの練習を行い, 構音抑制に慣れてもらった.構音抑制なし条件では 黙って課題を遂行してもらった.参加者のうち半分 は,構音抑制あり条件の3ブロックを先に,構音抑 制なし条件の3ブロックを後に実施した.残りの半 分は,逆の順序で実施した.1ブロック中,刺激の 呈示順序はランダムであった.本試行を実施する前 に,8試行の練習を行った. 2.2 結 果 先行研究および後述する実験2Aとの比較のため, 同音語と非同音語に対する正反応の反応時間と,誤 反応率を指標とした. 2.2.1 誤反応率 全参加者の平均誤反応率を表1に示す.同音語と 非同音語,およびそれらを併せた場合の誤反応率を示 している.まず,Kinoshita & Saito (1992)と同様, 同音語と非同音語を併せた場合の誤反応率を用いて 分析を行った.角変換後の値を用い,構音抑制(あ り・なし)について,1要因分散分析を行った.構音抑 制の効果は参加者分析で有意傾向(F1(1, 19) = 3.66, p < .10, M SE = 26.79, η2= .16),項目分析で有意 であった(F2(1, 53) = 4.64, p < .05, M SE = 53.39, η2= .08).構音抑制あり条件のほうが誤反応が多 かった.なお,同音語と非同音語を分け,2 (同音・ 非同音)×2 (構音抑制あり・なし)の2要因分散分 析を行った場合に,交互作用は有意ではなかった. 2.2.2 反応時間 反応時間の分析において,平均から2 SD以上離れ た反応時間は,その境界の反応時間と置き換えた.全 参加者の同音語条件および非同音語条件の試行のう ち26試行,すなわち1人あたり1.3試行,2.4%を置 き換えた.表2には,同音語と非同音語,およびそれ らを併せた場合の正反応の平均反応時間を示してい る.まず,Kinoshita & Saito (1992)と同様,同音語 と非同音語を併せた場合の反応時間を用いて構音抑 制(あり・なし)について1要因分散分析を行った.参 加者分析においても項目分析においても,構音抑制の 効果は有意ではなかった(F1(1, 19) = 0.36, p > .10, M SE = 236071.40, η2 = .02; F2(1, 53) = 2.00, p > .10, M SE = 102706.98, η2= .04).なお,同音 語と非同音語を分けて2要因分散分析を行った場合 に交互作用は有意ではなかった. 2.3 考 察 実験1Aの目的は,音の分離を行う必要のある課 題である韻判断課題を行い,この刺激を用いた場合 に構音抑制の影響がみられることを確認することで あった.

Kinoshita & Saito (1992)などの 先行研究と同 様に,誤反応率に構音抑制の効果がみられ,構音抑 制が韻判断を妨害することが確認された.同様の刺 激を用いた漢字二字熟語の類義語判断 (Morita & Saito, 2007)では構音抑制の効果がみられなかった が,構音抑制の手続きとしては有効であったことも 確認された. したがって,音の分離が求められる場合に artic-ulatoryな音韻情報処理が行われるという仮説は, 実験1Aの結果からは支持されたといえる.

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ただし,誤反応率に表れた構音抑制の影響はそれ ほど大きくない.また,反応時間とのトレードオフ が生じているようにも見える.その原因として,本 実験では,韻を判断するためにダミー刺激を混在さ せたものの,同音語の刺激対が多く含まれていたこ とが考えられる.同音語であれば自動的に韻を踏ん でいることになるため,まずは同音語か否かを確認 し,もし同音語でなければ韻を踏んでいるかどうか を判断するという方略を参加者がとっていた可能性 は否定できない.全般的に,同音語より非同音語に 対する反応時間が約500 ms長いという結果も,そ のような方略の可能性を示唆している.それでも誤 反応率に構音抑制の効果がみられたため,この刺激 を用いて構音抑制の効果を確認するという主な目的 は果たすことができたが,より純粋な韻判断課題で その効果を確認しておく必要はあるだろう. そこで実験1Bでは,構音抑制が韻判断課題に影 響を及ぼすことを確認するため,純粋な韻判断課題 を実施する.

3. 実験 1B  韻判断課題 B

3.1 方 法 3.1.1 参加者 大学生および大学院生22名 (女性12名,男性 10名)が実験に参加した.平均年齢は20歳9ヶ月 であった. 3.1.2 実験計画 構音抑制(あり・なし)の1要因参加者内計画で あった. 3.1.3 課 題 参加者は,2つの漢字熟語が韻を踏んでいるかを 判断した. 3.1.4 刺 激 実験1Aのcoreの熟語を主とした54の熟語と, それと韻を踏んでいる熟語を準備し,押韻語対とし た(例:普及‐夢中,失踪‐実行).押韻語対の熟語 としては,coreと母音は共通だが子音が異なる熟語 を選定した.押韻語対の組み合わせを変えた対を非 押韻語対とした(例:普及‐実行,失踪‐返品).し たがって,押韻語対と非押韻語対において,熟語の 平均出現頻度,モーラ数,および画数は同じであっ た.実験1Aと同様,どの対においても熟語の漢字 は共通しておらず,書字は類似していなかった.同 じcoreが1人の参加者に2回呈示されることがな いよう,カウンターバランスをとった.したがって, 27の押韻語対と27の非押韻語対が呈示されたこと になる. 3.1.5 実験装置 実験1Aと同様であった. 3.1.6 手続き 実験1Aと同様であった.全54試行を9試行ず つ6ブロックに分けて行った.6ブロック中3ブ ロックは構音抑制あり条件,残りの3ブロックは構 音抑制なし条件で実施した. 3.2 結 果 押韻語対および非押韻語対に対する正反応の反応 時間と,誤反応率を指標とした. 3.2.1 誤反応率 全参加者の平均誤反応率を表3に示す.角変換 後の値を用い,構音抑制 (あり・なし) について, 1要因分散分析を行った.構音抑制の効果は有意で あった(F1(1, 21) = 5.44, p < .05, M SE = 60.94, η2= .21; F2(1, 53) = 4.06, p < .05, M SE = 124.00, η2= .07).構音抑制あり条件のほうが誤反応が多 かった.なお,押韻語と非押韻語を分けて2要因分 散分析を行った場合に交互作用は有意ではなかった. 3.2.2 反応時間 反応時間の分析において,平均から2 SD以上 離れた反応時間は,その境界の反応時間と置き換 えた.全参加者の全試行のうち49試行,すなわち 1人あたり2.2試行,4.1%を置き換えた.平均反 応時間を表4に示す.構音抑制 (あり・なし) に ついて1要因分散分析を行った.構音抑制の効果 は有意ではなかった (F1(1, 21) = 0.43, p > .10, M SE = 63599.22, η2 = .02; F2(1, 53) = 1.27, p > .10, M SE = 46065.26, η2= .02).なお,押 韻語と非押韻語を分けて2要因分散分析を行った場 合に交互作用は有意ではなかった.

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表3 韻判断課題(実験1B)における誤反応率(%) 押韻語 非押韻語 2条件の平均 誤反応率 SD 誤反応率 SD 誤反応率 SD 構音抑制あり 22.4 (18.6) 5.0 (6.0) 13.6 (8.9) 構音抑制なし 11.7 (8.1) 4.4 (7.6) 8.0 (5.5) 表4 韻判断課題(実験1B)における反応時間(ms) 押韻語 非押韻語 2条件の平均 反応時間 SD 反応時間 SD 反応時間 SD 構音抑制あり 2105.5 (812.7) 1927.5 (480.9) 2016.5 (623.0) 構音抑制なし 2114.0 (702.0) 1814.8 (432.9) 1964.4 (528.5) 3.3 考 察 実験1Bの目的は,純粋な韻判断課題を行い,構 音抑制の影響の有無を確認することであった.実験 1Aと同様に,誤反応率に構音抑制の影響がみられ, 構音抑制が韻判断に影響を与えるということが再度 確認された.やはり,先行研究と同様に,日本語の 漢字単語においても,韻判断ではarticulatoryな音 韻情報処理が行われていることが示唆された. また,実験1Aに比べ,実験1Bのほうが誤反応 率が高く,韻を踏んでいる場合の反応時間も長かっ た.実験1Aでは,同音判断を行ってから韻判断を 行う方略をとった参加者がいた可能性がある.しか しその場合にも構音抑制の影響がみられたことに なる.

4. 実験 2A  同音判断課題 A

先に述べたように,同音判断においては当然音 韻情報処理が行われるが,この際の音韻情報処理が articulatoryな処理かnon-articulatoryな処理かに ついては研究によって主張が異なっている. そこで実験2では,同音判断課題における構音抑 制の影響を調べる.特に,実験2AではMorita & Matsuda (2000)やMorita & Saito (2007),およ び本研究の実験1Aと共通の刺激を用いる.Morita & MatsudaやMorita & Saitoにおいて,類義語 判断課題中に同音語対が呈示された場合にも同音語 効果が生じることが確認されており,かつそれは構 音抑制の影響を受けなかったこともわかっている. また実験1Aから,同じ刺激を用いて韻判断を行っ た場合には,構音抑制の影響を受けることも示され た.同じ刺激を用いて同音判断を行った場合には, 構音抑制は影響するのだろうか. 4.1 方 法 4.1.1 参加者 16名の大学生および大学院生(女性10名,男性 6名)が実験に参加した.平均年齢は20歳8ヶ月で あった. 4.1.2 実験計画 構音抑制(あり・なし)の1要因参加者内計画で あった. 4.1.3 課 題 参加者は,2つの漢字熟語が同音語かどうかを判 断した. 4.1.4 刺 激

刺激は,Morita & Saito (2007)における類義語 判断課題で用いた非類義語対と同じものであり,実 験1Aで使用した54セットであった.実験1Aと同 様に,同音語あるいは非同音語がcoreと対になっ て呈示されたが,同じcoreが1人の参加者に2回 呈示されることがないよう,カウンターバランスを とった. 4.1.5 実験装置 実験1A,1Bと同様であった. 4.1.6 手続き 個別実験を行った.1試行の流れは実験1A,1B と同様であった.参加者には,熟語対が同音語か否 かを判断し,なるべく速く正確にキーを押して答 えるよう求めた.同音語だと判断した場合には青い キー (M),同音語ではないと判断した場合には赤

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表5 同音判断課題(実験2A)における誤反応率(%) 同音語 非同音語 2条件の平均 誤反応率 SD 誤反応率 SD 誤反応率 SD 構音抑制あり 6.4 (5.8) 5.2 (7.5) 5.8 (4.4) 構音抑制なし 6.0 (4.7) 3.6 (7.2) 4.8 (4.2) 表6 同音判断課題(実験2A)における反応時間(ms) 同音語 非同音語 2条件の平均 反応時間 SD 反応時間 SD 反応時間 SD 構音抑制あり 867.9 (145.1) 887.3 (133.6) 877.7 (136.9) 構音抑制なし 859.3 (146.2) 911.3 (156.6) 883.9 (145.0) いキー(Z)を押すように教示した. 全54試行を6つのブロックに分けて行った.6 ブロック中3ブロックは構音抑制あり条件,残りの 3ブロックは構音抑制なし条件で実施した.参加者 のうち半分は,構音抑制あり条件の3ブロックを先 に,構音抑制なし条件の3ブロックを後に実施した. 残りの半分は,逆の順序で実施した.1ブロック中, 刺激の呈示順序はランダムであった.本試行を実施 する前に,6試行の練習を行った.同音語対と非同 音語対が3試行ずつ,ランダムに呈示された. 4.2 結 果 4.2.1 誤反応率 全参加者の平均誤反応率を表5に示す.実験1A と同様,角変換後の値を用い,構音抑制(あり・な し)について1要因分散分析を行った.構音抑制の 効果は有意ではなかった(F1(1, 15) = 0.76, p > .10, M SE = 21.63, η2= .05; F2(1, 53) = 0.25, p > .10, M SE = 140.56, η2= .00).なお,同音語と非同音 語を分けて2要因分散分析を行った場合に,交互作 用は有意ではなかった. 4.2.2 反応時間 正反応の反応時間の分析において,平均から2 SD以上離れた反応時間は,その境界の反応時間と 置き換えた.全参加者の全試行のうち38試行,すな わち1人あたり2.4試行,全体の4.4%を置き換え た.平均反応時間を表6に示す.構音抑制(あり・な し)について1要因分散分析を行った.構音抑制の 効果は有意ではなかった(F1(1, 15) = 0.18, p > .10, M SE = 2602.93, η2 = .01; F2(1, 53) = 0.08, p > .10, M SE = 3147.19, η2 = .00).なお,同 音語と非同音語を分けて2要因分散分析を行った場 合に,交互作用は有意ではなかった. 4.3 考 察 同音判断課題において,構音抑制の影響はみられ なかった.明らかに音韻情報を用いて判断している にもかかわらず,構音抑制をかけてもかけなくても, パフォーマンスに変化はない.この結果は英語など のアルファベット言語を用いた研究の多くと一致し た結果であり,語彙アクセスによって語彙の音韻情 報を検索する場合に,そして同じか否かの比較を行 う際に, non-articulatoryな音韻情報処理が行わ れていることを示唆している.

しかし,実験2Aの結果は,Kinoshita & Saito

(1992)における漢字二字熟語の同音判断課題の結 果とは異なっている.この違いが生じた原因は何で あろうか.考えられる原因の1つは,参加者にとっ ての課題要求が異なっていたということである.同 音判断課題という課題が共通であっても,必ずしも 参加者が同じ課題要求を受けたということにはな らない.本研究の実験 2Aでは,非同音条件の熟 語対は音韻的に全く類似していないが,Kinoshita & Saitoにおける統制条件の熟語対は,例えば“ 確 率 ”と“ 改札 ”のように音韻が比較的類似した熟語 であった.本研究の実験2Aよりも,細かい音の違 いに着目する必要があったと考えられ,一音一音を 分離していたかもしれない.アルファベット言語で 同音判断課題を行い,構音抑制の影響がみられた Tree et al. (2011)も,非同音条件の単語の一部が 音韻の類似した単語である実験を行っていた. そこで実験2Bでは,実験2Aとは異なる刺激を 作成し,非同音条件の熟語対の音韻類似性を変化さ

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表7 同音判断課題(実験2B)における誤反応率(%) 同音語 非同音語 2条件の平均 誤反応率 SD 誤反応率 SD 誤反応率 SD 構音抑制あり 9.2 (9.3) 4.2 (6.0) 6.7 (5.8) 構音抑制なし 4.6 (4.0) 5.8 (5.1) 5.2 (3.1) 表8 同音判断課題(実験2B)における反応時間(ms) 同音語 非同音語 2条件の平均 反応時間 SD 反応時間 SD 反応時間 SD 構音抑制あり 1130.8 (269.0) 1193.4 (244.4) 1162.1 (250.5) 構音抑制なし 963.5 (164.2) 1096.7 (187.0) 1030.6 (169.3) せて同音判断課題を実施した.

5. 実験 2B  同音判断課題 B

5.1 方 法 5.1.1 参加者 24名の大学生および大学院生(女性14名,男性 10名)が実験に参加した.平均年齢は21歳0ヶ月 であった. 5.1.2 実験計画 構音抑制(あり・なし)の1要因参加者内計画で あった. 5.1.3 課 題 参加者は,2つの漢字熟語が同音語かを判断した. 5.1.4 刺 激 刺激として,まず同音語対40対を準備した(例: 歓声-完成).それとは別に,非同音語対を40対準 備した.ただし,非同音語対の熟語は,左側の漢字 の読みが共通であり,かつ熟語全体として韻を踏ん でいた(例:失恋-湿原,成功-製造).どの対でも 漢字は共通しておらず,書字は類似していなかった. 同音語と非同音語の間で,熟語の出現頻度(天野・ 近藤, 2000より算出),モーラ数,および画数が等 価になるよう統制を行った.参加者には,同じ熟語 が2度以上呈示されないようカウンターバランス をとった. 5.1.5 手続き 実験2Aと同様であった.全80試行を4つのブ ロックに分けて行った.4ブロック中2ブロックは 構音抑制あり条件,残りの2ブロックは構音抑制な し条件で実施した. 5.2 結 果 5.2.1 誤反応率 全参加者の平均誤反応率を表7に示す.構音抑制 (あり・なし)について,1要因分散分析を行った.構 音抑制の効果は有意ではなかった(F1(1, 23) = 0.89, p > .10, M SE = 19.53, η2= .04; F2(1, 79) = 1.23, p > .10, M SE = 123.81, η2= .02).しかし,同音語 と非同音語を分け,2 (同音・非同音)×2 (構音抑制 あり・なし)の2要因分散分析を行った場合,交互 作用が有意傾向であった(F1(1, 23) = 3.85, p < .10, M SE = 109.01, η2= .14; F2(1, 78) = 3.76, p < .10, M SE = 119.53, η2= .04).下位検定を行ったとこ ろ,同音語条件においてのみ構音抑制の単純主効果 が有意であり,構音抑制あり条件のほうが誤反応率 が高かった. 5.2.2 反応時間 正反応の反応時間の分析において,平均から2 SD以上離れた反応時間は,その境界の反応時間と 置き換えた.全参加者の全試行のうち47試行,す なわち1人あたり3.9試行,全体の4.9%を置き換 えた.平均反応時間を表8に示す.構音抑制(あり・ なし)について1要因分散分析を行った.構音抑制 の効果は有意であった(F1(1, 23) = 19.47, p < .001, M SE = 10656.65, η2 = .46; F2(1, 79) = 41.85, p < .001, M SE = 14434.51, η2= .35).構音抑制あ り条件のほうが反応時間が長かった.なお,同音語 と非同音語を分け,2 (同音・非同音)×2 (構音抑 制あり・なし)の2要因分散分析を行った場合,交

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互作用は有意ではなかった.

5.3 考 察

実験2Bでは,構音抑制をかけると同音判断の反 応時間が長くなった.そして,同音語の場合のみで はあるが,誤反応率も高くなっている.類似した実 験を行ったKinoshita & Saito (1992)では,誤反 応数に構音抑制の効果がみられた.したがって,構 音抑制の影響がみられたという点では,実験2Bと Kinoshita & Saitoの結果は類似しているといえる. 実験2Aとも併せて考えると,課題が同音判断であ るかということではなく,単語単位の音に着目して 判断するか,より細かく一音一音を分離して判断す るかによって,構音抑制の影響の有無が異なると考 えられる.

また,Kinoshita & Saito (1992)では同音語と非 同音語を分けた分析は行われていない.しかし実験 2Bにおいては,同音語の場合のみ構音抑制によっ て誤反応が多くなるという結果が得られた.実験 2Bでは非同音語対の熟語も音韻が類似しているた め,一音ずつ分離して同音か否かを判断したほうが 正確に判断できる.同音語対が呈示された場合も, 参加者は一音一音を分離し,その全てにおいて違い がないという判断をしていたのではないかと推測さ れる.すなわち,同音語対が呈示された場合には, 構音コントロール過程を経る音韻情報処理である音 の分離を行い,4つの音を全て保持しつつ判断をす ることになる.一方非同音語対が呈示された場合に は,3つめの音が違っているため,2つの音のみを 保持した状態で判断が可能である.そのため,非同 音語対の場合は構音抑制の影響が小さかった可能性 がある.

6. 総 合 考 察

本研究の第1の目的は,漢字の音韻情報処理にお いてもアルファベット言語で想定されている処理が 当てはまるか否かを調べることであった. 実験1Aと1Bの結果からは,多くのアルファベッ ト言語での研究と同様(Arthur et al., 1994; Bar-ron & BaBar-ron, 1977; Besner et al., 1981; Brown, 1987; Johnston & McDermott, 1986; Tree et al., 2011; Wilding & White, 1985),構音抑制が韻判 断に影響を及ぼすことが確認された.

実験2Aの結果からは,漢字二字熟語を用いた場

合も,従来いわれてきたように(e.g., Baddeley & Lewis, 1981; Richardson, 1987),構音抑制が同音 判断に影響を及ぼさないという結果が得られた.特 に,実験1Aと実験2Aは同じ刺激を用いているた め,韻判断を求めた場合にのみ構音抑制の影響が あったことがわかる.しかし,実験2Aで構音抑制 の影響がみられなかったのは,同音判断という課題 の種類の性質というよりは,判断時にどのような処 理を行う必要があるかによると考えられる.それは 実験2Aと2Bにおいて構音抑制の影響が異なって いたことによって実証されているが,その考察につ いては後述する. これらの結果はいずれも,従来のアルファベット 言語を用いた研究結果の多くと一致している.ただ し,同音判断に関しては,本研究の結果も先行研究 の結果も一貫しているわけではない.その点につい て,次に考察する. 本研究の第2の目的は,articulatoryな音韻情報 処理とnon-articulatoryな音韻情報処理は何が異な るのか,課題によって必ずしも一致した結果が得ら れないのはなぜかについて検討することであった. 実験1A,1Bのように韻判断課題を用いた場合, 先行研究とも一致し,一貫して構音抑制の影響がみ られる.韻判断課題においてarticulatoryな音韻情 報処理が行われることについては異論がないであろ う.つまり,問題と目的のセクションで紹介したモ デルでいえば,構音コントロール過程を経た後のコ ンポーネントで韻判断が行われると考えられる.一 方,同音判断課題においては,明らかに音韻情報処 理が行われているにもかかわらず,構音抑制の影響 がみられない先行研究が多かった(e.g., Baddeley & Lewis, 1981; Richardson, 1987).しかしTree

et al. (2011)は,構音抑制の影響がみられたこと を報告しており,同音か否かを比較するという過程 においても,構音コントロール過程にあたるプロ セスを経ると解釈している.同音判断課題を用いた これらの研究において,課題要求は必ずしも同一で はないのではないだろうか.本研究の実験2Aのよ うに,単語単位の音韻情報のみで比較判断が可能な 場合であれば,non-articulatoryな音韻情報処理が 行われる.つまり,構音コントロール過程を経る前 の,語彙アクセスによって語彙の音韻情報を検索す るコンポーネントにおいて判断が可能である.しか し本研究の実験2Bのように,参加者が単語中の一

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音一音を分離する,あるいは韻判断のように音素を 分離することが求められる場合は,構音コントロー ル過程を経た後のコンポーネントにおいて判断が 行われるのであろう.構音コントロール過程を経る 前のコンポーネントでは,分離のような操作を行え ないためである.漢字二字熟語を用いた場合でも, Kinoshita & Saito (1992)のように音韻が類似し たディストラクタを多く用いた同音判断課題は,細 かい音の違いに着目した判断を求めるため,音の分 離を行う必要があり,構音抑制の影響を受けたと考 えられる. また,課題の要求によって,構音コントロール過 程への依存度が異なる可能性もある.実験1A,1B において構音抑制の影響が誤反応率に表れたのに 対し,実験2Bでは主に反応時間に表れた.韻判断 でも本研究の実験2Bの同音判断でも,単語よりも 細かい単位への音の分離が求められる点では同じ であるが,韻判断では子音と母音を切り離して,母 音だけを比較して判断する.すなわち同音判断より もさらに細かい単位への音の分離が必要である.し たがって,構音コントロール過程への依存度がより 高かったのかもしれない.そのため,特に純粋な韻 判断課題を用いた実験1Bでは,構音抑制あり条件 で誤反応が多くなったのではないか.実験2Bの同 音判断課題でも構音コントロール過程を経て判断が 行われると考えられるが,母音を切り離して比較す る必要はない.そのため,誤反応にまではなりにく く,主に反応時間に構音抑制の影響がみられたのか もしれない.

ただし,Kinoshita & Saito (1992)の同音判断 課題では,本研究とは異なり,誤反応数に構音抑制 の影響がみられている.また,アルファベットを用 いた先行研究の結果をみると,韻判断においても誤 反応率のみに影響がみられた研究,反応時間と誤反 応率の両方に影響がみられた研究が混在している (Tree, et al., 2011).反応時間と誤反応率への構音 抑制の効果の表れ方については,参加者の構えなど の影響も大きいと考えられるため,上の説明は解釈 の1つにとどめるべきであろう. なお,判断を行うコンポーネントは同一だが判断 の複雑さの程度が異なるという考え方もある.本 研究の結果だけをみれば,より複雑な判断を行う場 合に構音抑制の影響を受けると解釈することも可 能である.しかし失語症患者を対象とした実験結果 (Nickels et al., 1997)など,複雑さの程度では説明 できない実験結果も報告されているため,コンポー ネントの違いで説明するほうが妥当であろう. いずれにしても,本研究の結果は特に漢字の視覚 的単語認知において異なる2種類の音韻情報処理 が行われていることを示した.さらにその2種類の 違いについて,従来の課題による区別とは異なる観 点を示している.問題と目的で述べたように,漢字 の音韻情報処理についてはその活性化の早さについ て矛盾した結果も得られてきたが,2種類の音韻情 報処理を仮定すれば,non-articulatoryな音韻情報 処理はかなり早く活性化し,articulatoryな音韻情 報処理が比較的遅いと考えることができるのではな いか.

7. ま と め

本研究は,漢字二字熟語を用い,韻判断や同音判 断に構音抑制が影響するか,その影響のしかたがア ルファベット言語と異なるかを検討した.漢字を用 いた場合でも,アルファベット言語と同様の結果が 得られた.そして,articulatoryな音韻情報処理と non-articulatoryな音韻情報処理の違いは音の分離 を行って判断するかどうかであること,同音判断課 題という同一の課題タイプであっても,課題の中で 音の分離が必要か否かが異なると,構音抑制の影響 が異なることが明らかになった. ただし本研究では,例えば音韻の類似性を操作 したり,単語と非単語の比較をしたりはしていない ため,アルファベット言語の結果に比べれば十分な 実験が行われているとはいえない.また今後は,判 断時の脳画像を調べるなどの手法を用いることで, articulatoryな音韻情報処理とnon-articulatoryな 音韻情報処理の違いがより明確になるのではないか と考えられる.  謝 辞 本論文の作成にあたり,大変有益なコメントをく ださった2名の査読者の先生方と担当編集委員の先 生に,この場を借りて厚く御礼申し上げます.

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 文 献

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(Received 7 March 2012) (Accepted 27 June 2012)

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森田 愛子(正会員) 2003年広島大学大学院教育学研 究科博士課程後期教育人間科学専 攻修了,博士(心理学).日本学術 振興会特別研究員(PD),福岡教 育大学教育学部講師,准教授を経 て,2008年より広島大学大学院教 育学研究科准教授.文の読みにおける単語認知や音 韻情報処理について,また音韻情報処理と読みのス キルと関連について研究を行っている.日本心理学 会,日本教育心理学会,日本認知心理学会等の会員. 齊藤 1965年生.1993年京都大学大 学院教育学研究科博士後期課程学 修認定退学.博士(教育学).鳴 門教育大学,大阪教育大学を経て, 2002年より京都大学大学院教育学 研究科教育認知心理学講座助教授 (2007年より准教授).2000年∼2001年,ブリス トル大学客員研究員.2006年よりマンチェスター 大学Honorary Reader.人間の記憶の機能とメカ ニズムに関する認知心理学的研究に従事.日本心理 学会,日本教育心理学会,日本認知心理学会, Ex-perimental Psychology Society, Association for Psychological Science会員.

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