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Academic year: 2021

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強度変調回転照射の品質管理に向けた精度検証手法の開発

公益財団法人 がん研究会有明病院

診療放射線技師  松林 史泰

(共同研究者)

公益財団法人 がん研究会有明病院 診療放射線技師 佐藤 智春

       診療放射線技師 伊藤 康

       診療放射線技師 髙橋 良

       医学物理士    橘 英伸

   北里大学大学院 医療系研究科 教授         丸山 浩一

はじめに

近 年、X 線 を 用 い た 放 射 線 治 療 に お い て、 強 度 変 調 回 転 照 射 法(Volumetric Modulated Arc Therapy:VMAT) という新しい照射方法が臨床利用され始めてきている。この方法はリニアックと呼ば れる治療装置のガントリーが回転している間に、MLC(Multi Leaf Collimator)の開口形状や単位ガ ントリー角度あたりの出力(ΔMU/Δθ)、つまり、ガントリー回転速度(Δθ/Δt)と線量率(ΔMU/Δt) をダイナミックに変化させる方法である。現在、多くの施設で利用されている強度変調放射線治療法 (Intensity Modulated Radiation Therapy:IMRT)と比較して、効率的な線量処方が可能であるため、

正常組織への線量を低減することができる可能性がある。また治療時間が短縮されるため、この方法 を利用することで患者さんが得られるメリットは大きい。

このような高精度な放射線治療を安全に遂行するためには、機器の品質管理が不可欠である。IMRT においては、ガイドライン[1]に従って各施設で品質管理を行い、適切な治療精度を担保している。

治療装置の動作において VMAT が IMRT と異なる点は、(ΔMU/Δθ)を変化させる点である。従って、 VMAT を行うにあたって(ΔMU/Δθ)の変調精度を検証する必要があるが、その方法は確立されていない。 そこで、(Δθ/Δt)や(ΔMU/Δt)の測定方法を今回新たに考案し、(ΔMU/Δθ)を確認できるよう なシステムを構築した。この方法はプラスチックシンチレータ(Plastic Schintilator:PS)という 放射線を照射すると発光する物質を用いて治療用 X 線を可視化し、その発光の量や飛跡から治療用 X 線照射中のリニアックの動態を解析する方法である。この方法を用いて VMAT の精度検証が可能かど うかの検証を行った。 方 法 PS の発光は、波長が 423nm にピークを有する連続スペクトルであり、放射線を照射すると青色の 発光として観測できる。入出力特性や時間特性において、PS は放射線検出器として優れた性能を有

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今回使用した PS はディスク状(直径 200mm、厚さ 10mm)である。背面には外部光源の写り込み防止 のための遮光紙を貼り付けた。 機器の配置図を Fig.1 に示す。レーザーポイン タを用いて PS をアイソセンタ(リニアックの照射 中心)に配置し、発光を記録するための CCD カメ ラ(DFK31AU3,Imaging Source 社製)を対面する 位置に配置した。カメラの視野に PS が広く映る ように、カメラと PS との距離は 55cm とした。測 定の際には部屋の照明を落とし、外部光源がカメ ラに写り込まないように工夫をした。発光の様子 は CCD カメラを接続した PC で動画として記録し た。使用したソフトウエアは IC Capture (Imaging Source 社製)である。動画の収集条件は、解像 度 :1024pixel × 768pixel、シャッタースピード :1/15sec、フレームレート :15fps とした。 動画収集から解析までの流れを Fig.2 に示す。 動画は AVI 形式で一旦保存し、後に 0.5 秒ごとの BMP 形式の静止画に切り出した。それらの静止画を 画像処理ソフトウエアの ImgeJ を用いて解析した。 まず、PS の中心から発光の飛跡に沿って直線を引 き、ガントリー回転開始角度からの角度変化量を 測定した。静止画は 0.5 秒ごとに生成されている。 従って、(Δθ/Δt)は角度変化量を時間微分することで算出した。また、PS の中心に直径 3cm の円形 の ROI(Region of Interest)を配置し、その ROI 内の輝度を測定した。測定した輝度を(ΔMU/Δt) に変換するために、あらかじめ輝度から(ΔMU/Δt)を算出するための変換式を用意し、その変換式 を用いて線量率の算出を行った。(ΔMU/Δθ)は(ΔMU/Δt)を(Δθ/Δt)で除することで算出した。 今回の測定に使用した照射プランの設定条件を Table1 に示す。幾つかの VMAT の照射プランを作成し、 本測定のために X 線ビームの開口径を 5cm × 5cm で一定になるように修正して使用した。使用したリ )LJ  ᐃࡢ㝿ࡢᶵჾࡢタ⨨

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Fig 3 照射条件 1 における出力の変化 Fig 4 照射条件 2 における出力の変化 Fig 5 照射条件 3 における出力の変化

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ニアックは、Clinac21EX(Varian Medical Systems 社製)である。VMAT の照射プランを作成した際には、 計画された(ΔMU/Δθ)が記録される。その計画値と本方法で測定した実測値を比較し、計画通りに リニアックが動作しているかどうかの検証を行った。 結 果 それぞれの設定条件における(Δθ/Δt)と(ΔMU/Δt)を上記の方法で測定し、(ΔMU/Δθ)を求めた。 Fig.3 から Fig.5 にそれぞれの設定条件における実測値と計画値の比較のグラフを示す。実測値に統 計的な誤差が見られるが、実測値と計画値は概ね良好な一致度であった。 考 察 今回新たに考案した方法を用いて、VMAT における(ΔMU/Δθ)を測定した。計画値と実測値は概ね 良好な一致度であり、VMAT という照射技術において、リニアックは計画通りに動作していることが確 認できた。実測値には統計的な誤差が観測されたが、この理由として、計画値と実測値の時間的な誤 差が生じていることが挙げられる。計画値にはガントリー角度が 2 度ごとの(ΔMU/Δθ)が記録され ている。本方法では、瞬間的な(ΔMU/Δθ)を測定している。従って、両者には時間的差異が生じて しまい、誤差として観測されていると考えられる。著者は本方法で瞬間的な出力変化を検出すること が可能であることを報告している[2]。つまり、本方法を用いて VMAT におけるリニアックの瞬間的な 動作を確認出来ていると言う事が出来る。 VMAT において、(ΔMU/Δθ)は放射線量の処方精度を左右する一つの因子である。従って、その精 度が担保されているかどうかを確認する必要がある。従来不可能であった測定を、本方法を用いるこ とで簡便な手順で可能になると考える。 VMAT は非常に有用な照射方法である。従って、今後は多くの放射線治療施設に普及していくことが 予想できる。本方法は比較的安価で導入することが可能であるため、VMAT の発展に寄与できると考える。 要 約 近年、X 線を用いた放射線治療において、強度変調回転照射法という新しい照射方法が臨床利用さ れ始めてきている。この照射方法の特徴は、ガントリーが回転している間にガントリー回転速度や線 量率を制御し、単位角度あたりの出力を変調させる点である。我々は出力の変調を測定によって確認 する必要があるが、その方法は確立されていない。この度、プラスチックシンチレータと CCD カメラ を組み合わせた、強度変調回転照射における出力の変調を確認できる方法を考案し、その方法を用い て計画通りにリニアックが動作しているかどうかの検証を行った。結果、リニアックは計画通りに動 作していることが確認できた。強度変調回転照射法において、単位角度あたりの出力の変調は放射線 量処方精度を左右する一つの因子である。本方法を確立できたことで放射線治療の品質管理のための

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文 献 [1] 奥村雅彦、熊崎祐、小島徹、他:詳説 強度変調放射線治療 物理・技術的ガイドラインの詳細。2010, 中外医学社 [2] 松林史泰、伊藤康、高橋良、他:プラスチックシンチレータを用いた回転照射における線量率変 化の新たな測定法。 日本放射線腫瘍学会第23 回学術大会報文集:p143、2010.

参照

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