40 香川大学農学部学術報告
ドクガEt4)”Ctisj7ava BREMERの生態学的
性質に関する小実験*
(四国地方に.おける主要衛生害虫の生態学的研究 Ⅴ)
岡 本 秀 俊,松 沢
寛 J 緒 ロ ドクガ助♪グ鋸洪s./7αぴαBREMERやチャドクガE.♪S銅材“0”J♪♂75αSTRANDなどの幼虫は,貯化後相当長時 間にわたって集団のまま生活を行い,室内で単独又は少数個体飼育を行うときわめて高い死亡率を示して容易に飼育 に成功しないことが知られている.この原因が一価何であるかを知ることは,かような昆虫の集団座活の生物学的意 義を明らかにすることであって,それ自体,生態学的見地からひじように興味深い問題である.しかしながら太問題 に関する太格的な探求ほ今後にまつこととし,太報でほドクガについて衛生害虫の生態といった立場でごくかんたん にその集団件を論じてみたいい Ⅱ 研究材料と方法 この研究ほ19占0年4月,香川県木田郡三木町f」近に.おいて採集した幼虫を飼育し,それよりえた成虫を交尾産卵さ せ,その卵から帰化した1令幼虫(締化24時間後)を供試虫として行った.飼育期間は,1令第2日目の7月占日か ら越冬開始期の11月4巨l(14令)までである.飼育にほ12×5cmの中型シャーレ(上蓋にはふつうの坂ガラスを使 用)を用い,その中に食餌植物としてクヌギQ〝β′■“は‘鋸協わび5∠■椚αCARRUIHの生菓を入れて供試虫を放った.器 内の乾燥を防止する目的で,シャーレ中にほ1日1回かるく水をヌプレイし,食菓は2日おきに新鮮なものととりか えた.発育或は死亡の状態は毎日1回定時に観察した.飼育幼虫の集団の大きさと死亡率,死亡時期,発育日数の関 係をみるための試験区としてほ前記の12cmシ/ヤーレにJ/ヤーレ当り1,2,4,8,1占,個体の幼虫を放飼して5 種類の集団区を設定したル各区の反覆はそれぞれ12,7,5,5,4である.集団の大きさと移動性の関係をしら ぺるためにほ,いろいろな集団サイズの幼虫群について.−=定時間後の移動距離を測定すれば良いわけであるが,幼虫 群はたとえそれが密集状態を示している場合でもあるひろがりをもっている.したがって群中の或る特定個体の移動 を追跡しないかぎり距離として移動の程度を把捉することはむづかしいそれでぺ−パー クロマトグラフイ−用の スプレーでFuchsin水溶液を噴霧して染色標識した個体舶をどの幼虫群の中にも1個体ずつ配置し,一・定の時間間 隔内にこの標識個体が移動した距離をカリパーで測って.直線的な移動距離をもとめた..この場合,供試幼虫はいず れも¢=12cmのレヤーーレq】のクヌギ新鮮基の表面に放飼して−調査を行った.また供試したクヌギ新鮮其の葉蘭積, 新鮮皮,硬さ,その他ほ区庭よって差異を生ずることのないようにじゅうぶんな配慮のもと紅選択したものを用い た. Ⅱ 研 究 成 績 1.幼虫集団の大きさと死亡率および死亡時期 集団の大きさをかえて飼育したドクガ幼虫群の死亡率と死亡時期に関する成鍛は筋1表のとおりである、.集団の大 きさと死亡率との関係をみると,死亡率は1頭区で最も高い.2−8頭区の死亡率ほ,1頭区紅ふくらべると低いが 2,4,8頭区相互闇紅ほ全く差がみられない。1占頭区の死亡率はこれらの区にくらぺていちじるしく低い.かよう な結果から死亡率と集団の大きさとの問には相当密接な関係があることがわかる..死亡の最も顕著な時期と集団の大 きさとの間紅ほあまりはっきりした関係はみとめられないようで,どの区とも2令期紅おける死亡がもっともいちじ ヰ香川大学農学部応用昆虫学研究室業絞No.5る 瑚染色個体の行動性は別途に対照実験を行ない.非染色個体との間に全くなんらの差がないことをたしかめた41 欝14幾筋1号(1962)
Tablel.,rrhe rate of death of thelazVae Of Far Eastern Urticating Moth,EuタY’oCtis BREMER,rearedin different sizes of association
Death rate in percentage る占一.7 50 50 50 2占.、る
Number of deathsin eachinstar
NumbeI of individuals in asscciation
1st 2nd 5rd 4th 5th 6th∼15th lst−15th
0 0 0 0 8 0 0 1 0 7 4 0 0 0 10 0 1 0 0 12 5 2 ロ 0 17 5 5 0 占 0 る 1 10 2 10 1 2 4 8 1占 るしい..しかし傾向的には集団のサイズが大きくなるはど1令期で死ぬ個体よりもむしろ5令或ほ4令期で死ぬ個体 のカが多少多くなるようにも思われる. 2,幼虫集団の大きさと発育速度 第Ll表に示したとおり,この実験においてほそれぞれの集団の構成員が実験の途中でかなり多数死亡した.しかし ながら死亡にもとずく欠損個体の補充をまったく行わずに実験をすす−めた… そのため各飼育区における集団の大きさ は実験当初とそれ以後ではそこ.に或る程度の差異を生ずることとなった.集団の大きさが前項でのべたような幼虫期 での死亡率の高低に影響するだけでなく,死亡をまぬがれて一生き残った個体の発育状態に.まで或る作用を及ばし,し かもその作用する時期が幼虫の死亡期と重複するか或は死亡期以後であると,実験開始当初紅規定した集団の大きさ にもとずいく集団の大きさと発育状態との関係を考察するのほ適切でない,かような理由で,実験開始当初,2令当 初,4令当初といった発育段階での集団サイズ毎に成績をとりまとめて示すと第2表a−Cのようになる 令期間についての個々の数値は(i)飼育開始当初のサイズ毎にまとめた場合と,(ii)2令当初のサイズ紅つ いてまとめた場合,或は(iii)4令当初の集団の大きさ毎にまとめた場合とでは多少おもむきな異常するようであ る.しかし,(i)および(ii)の場合ほ2令,る令,7令時の令期間の長さと集団の大きさとの間に相渕(2,占令 でほ負の相調,7令では正の相調)があるように思われ,又(iii)の場合にも占令期間ほ負の相関,7令期間ほ正の 相関がみとめられそうである… 次に各令期間を通算した越冬紅ほいるまでの全発育日数をみると,1令当初のサイズ にしたがってまとめた場合,1d頭区を除けほ集団サイズが小さくなるはど概して発育日数がみじかくなる傾向がある ようである,しかし,第2表の成続からうかがえるとおり,どの集団とも区内変動(このデ・−サーでは1頭区の他は 集団飼育をしたわけであるから,発育日数の変動は最大値と最小値との差つまり変異の幅としてしか把捉されてはいTable2.Relation between the duration of eachinstar and the size ofIeaIing association
of thelaIVa
(a)The arranged data based onthe number ofindivid11alsin association at
thelstinstar.
Peliods Number of
individuals in
association n 2 ・●し S d 三J 4 .皿 ・T 5 h t ′O .血 t 7th 8th 9th lOth llth12th l.5th lst15th
5︶ 4︶ 9︶ 2︶ 8︶ ・5 ・5 ・9 ・1 ・4 72 91 7〇︵ 51 0ィ1 0︵ 0︵ 11 ■l︵ 1︵ 0′︶ 8︶ 8ヽ1ノ 9︶ 7︶ t7 ・7 ・′0 ・7 ・′0 5︵ 4︵ ′0︵ ′0︵ 4︵ 7︶ 7︶ JO︶ JO︶ 7〇︶ ・7 ・nU ・2 ・1 ・5 2︵ nU1 5︵ 4︵ 2︵ 1 1︵ 1 1 1 7︶ 5︶ 2︶ 1︶ 9︶ ・5 ・5 ・5 ・1 ・0 0︵ 0︵ 1′1、1︵ 91 ︵ 1 1 1 1 7︶ 5︶ ︶ 1︶ 9︶ ・4 ・9 2 ・5 ・1 9︵ 9︵ 9︵ nU′19︵ 9︶ 2︶ 5︶ 51 ︶ ・9 ・7 ・2 .2 0 8︵ イ1︵ nU︵ nU′\ 0︵ 1111 7︶ ︶ 1︶ 7︶ 8︶ ・5 8 ・4 ・1 ・2 8︵ 2︵ nU︵ ○′︵ nU︵ 7︶ 5︶ 7︶ 7︶ 2︶ ・2 ・4 ・1 ・2 ・2 ′人︶︵ ∠U︵ 7︵ 8︵ 9︵ 5︶ 8︶ 7︶ 7︶ ︶ ・2 ・1 ⋮1 ・1 2 nU︵ 07︵ 9︵ 9︵ 9︵ 7︶ ︶ 5︶ 5︶ ︶ ・2 nU 小4 ・1 1 JO︵ 7︵ 8︵ 7︵ 8︵ ′b︶ 7︶ ︶ 7つ︶ 8︶ ・1 ・1 ∩︶ ・1 ・1 7︵ 7︵ 7︵ 7︵ 7/\ 5︶ 5Iノ ︶ 5︶ 2︶ ・2 ・1 〇 .1 .1 4︵ 4︵ 5︵ 4︵ 4︵ ︶ 5︶ 9︶ 9︶ 7′︶ nU ・1 ・1 .1 .1 5︵ 5︵ 2︵ 2︵ 2′\ てJ、ノ 5︶ 1︶ 1︶ 5︶ ・1 ・1 .2 ・1 .1 2︵ 2︵ 2︵ 2・・し 2︵ 1 2 4 8 1占
42 香川大学農学部学術報告
(b)The arranged data based on the size of association at the2ndinstar.
Numbe工Of individuals in association PeIiods 2nd −・▲ h t 7 t皿 t ′O L皿 t 5 h t 4 d 5 8tb 9tb t h †皿 t 2 t ▼皿 n︺ 15tI12nd∼15th 5︶ ︶ ︶ 5︶ 4︶ 2︶ 5︶ .OU ノ0 1 ・4 =4 ・2 ・1 5︵ 7︵ 0︵ ′○︵ 5︵ ′0︵ 5︵ 1 1 2 イま 1 1 1 ︶ ︶ ︶ 8︶ 07︶ 7〇︶ 5︶ 2 nU l ・1 ・1 ・1 ●∩︶ 21 4︵ ▼〇︵ 5︵ 4︵ 1︵ 5︵ 1︵ 1 1 1 1 1 1 ′○︶ 5︶ ︶ 5︶ 5︶ ︶ 7︶ .5 ・1 1 ・1 ・1 0 −1 nU︵ 0︵ 2︵ 1︵ 1︵ 5︵ ノ0︵ 1 1 1 1 1 1 5︶ ︶ ︶ ︶ 2︶ ︶ OU︶ ・9 4 1 ∩︺ け1 nU ●1 07︵ nU︵ 0︵ 9︵ 07︵ nU︵ 9︵ 1 1 7︶ ︶ ︶ 5︶ 4︶ ︶ ︶ .2 0 ∩︺ ・2 ・2 nU nU
91 nU︵ nU︵・1︵ nU︵ nU︵ nU︵
︵ 1 1 1 1 1 1 9︶ ︶ ︶ 5︶ 7︶ ︶ ′0︶ .5 nU l ・1 ・1 nU ・2 91 nU︵ 2︵ 8︵ 9︵ 1︵ nU︵ ︵ 1 1 ′0︶ 5︶ ︶ ︶ ︶ ︶ 5︶ .4 .7〇 ∩︶ 0 nU nU ・2 ′0︵ ロU︵ 8︵ 8︵ 8︵ 9︵ 9︵ 0︶ ︶ ︶ ︶ \ノ ︶ 1︶ .5 0 nU nU O nU ●1
nU′し 9︵ nU︵ nU︵ nU︵ 9 − 9 −
111 8︶ 5︶ ︶ ︶ ︶ ︶ nU︶ ・2 ・5 nU nU nU nU ●1 ′0︵ 9︵ 7︵ 7︵ 7︵ 8︵ 8︵ ′0、− ︶ ︶ ︶ 5︶ ′○\ノ 9︶ .1 0 0 0 ・1 ・1 ■1 7︵ 7′︵ 7︵ 7′︵ 7′︵ 7︵ 7︵ ZJ︶ DU︶ ︶ ︶ 5︶5︶ 2︶ ・2 ・nU nU n︶ ・1 ●1 ●1 4︵ 4/\ 5︵ 5︵ 4︵ 4︵ 4︵ 1︶ ︶ 9︶ ︶ 9︶ 8︶ 7︶ ・nU nU ・nU O ・1 ・1 ⋮1 る︵ ツ〇︵ 2︵ ウ〇︵ 2︵ 2︵ 2︵ 1 1 1 1 1 1 nU︵ 1︵ 1− 1 0 1 52 51 ′人U︵ 0︵ 8︵ 2︵ ・9 ・1 ・0 ・0 ・∩︺ ・0 ′0︶ 5︶ 9︶ 8︶ 8︶ 2︶
(c)The simi1ar data based on the size of association at the4thinstar‖
N11mbe工・Of individualsin association PeIiods 1n t 8 h t 7 h t ′○ h t 4 9th lOtb t 一.n ZJ l h t 2 1 b − 1 4th(ノ15th ︶ 5︶ 4︶ 1︶ 2︶ 5︶ ︶ .
↑人4
1 1 1 1 1 1 1 4︶ 8︶ 9︶ ︶ 5︶ ︶ ︶ .2 ・1 ・1 nU ・1 0 nU 21 7つ︵ 4︵ 1︵ 1︵ 5︵ 4︵ 1︵ 1 1 1 1 1 1 7︶ 5︶ 5︶ ︶ ︶ 4︶ ︶ ・5 ・1 2 nU nU ・1 nU O︵ 1︵ 1︵ 5︵ 7つ︵ nU︵ ZJ︵ 1 1 1 1 1 1 1 ノb︶ ︶ 2︶ ︶ ︶ ′b︶ ︶ ・9 0 ・1 nU nU ・0 nU 9︵ 9︵ 9︵ 0︵ 0︵ 9︵ nU︵ 1 1 8︶ 5︶ 4︶ ︶ ︶ ︶ ︶ ・2 ・2 .2 0 nU O O 91 1︵ nU︵ 0︵ ∩︺︵ 0︵ nU︵ ︵ 1 1 1 1 1 1 1︶ 5︶ 7︶ ︶ ︶ ︶ 1︶ ・ZJ ・1 ・1 0 nU nU ・2 01 8︵ 9︵ 2︵ 0︵ 0︵ 1︵ 1︵ 1 1 1 1 ︶ ︶ ︶ ︶ ︶ ︶ 9︶′0 nU nU O nU O ・2
7︵ 8︵ 8︵ 8︵ ∩︶︵ nU︵ 8︵ 9︶ ︶ ︶ ︶ ︶ ︶ 11︶ ・ZJ nU nU O n︺ 0 ・1 9︵ nU︵ ∩︺︵ 9︵ 9︵ 9︵ 9︵ 11 2︶ ︶ ︶ ︶ ︶ ︶ 9︶ ●′O nU nU O ハリ nU ・1 7︵ 7︵ 7′︵ 8︵ 8︵ OU︵ 7︵ 5︶ ︶ 5︶ 8︶ 4︶ ︶ 7︶ .1 nU ・1 ・1 ・1 0 ・1 7︵ 7︵ 7︵ 7︵ 7︵ 8︵ 7︵ 100.2 (50) 102.8 (5) 101.4 (5.7) 104.9 (01 105.1 (0) 102.5 (1) 105.7 (○) 1 4 る 9 11 12 14 ないが)がかなり大きいことから考えると,果して−鼻差といえるかどうかよくわからないハ 2令当初或は4令当初の 個体数にもとずく成績では集団の大きさと全発育日数の間には.一・定の傾向ほみとめられない. 集団の大きさと同→・区内での個体間変動の大小(いいかえれば発育テンポのそろいぐあい)との間の関係を明らか にすることは集団の大きさと発育の状態の闇の関係を論ずるに当つて,その内容を−・段と豊富にするのに役立つこと である.しかしながら個体飼育実験の場合,ふつう変動係数の大小紅よって示される個体闇変動ほ,さきはどのべた とおり1頭区以外ではいわゆる変動の幅としてのもの以外はつかみえない.そのため集団の大きさと発育のテンポの そろいぐあいとの闇の関係をこ.こではっきりさせることはむづかしいように思われるが,いちおう幅だけについてみ ると各令期間,仝発育日数のいずれとも集団サイズが大きいはうがふれが小さくなる傾向がある. 5.集団の大きさと移動性 Fuchsin水溶液の虫体噴霧によって標識した個体をいろいろな大きさの幼虫群中に1個体宛配置し,この個体を群 のスタンダードとして集団の大きさと移動性の関係をしらべた結果を第5表および筋4表として示す.放飼20分後よ り10分間隔で毎10分間の歩行移動距離を追跡した場合には,どの大きさの集団ともかなり活発な移動をつづけ,結 局,120分までの成紡では第5表のとおり集団の大きさによる差ほない.しかし,これらの幼虫群の新しい環境に対43 第14巻第1号(1962)
Table5.Degree of wandering distance ofthelarvaein each association released
on the freshleaf of Quercus acuiisima(a)Walked distanCe Of thelarvaein each size of association for eveIy
ten minutes after twenty minutes from releasing.
(b)Resultof the$imilar obse工Vation after eighteen houIS。
44 香川大学農学部学術報曹 するtt慣れ”がじゅうぷんに確立されたと考えられる放飼18時間後から同様な観測を行った場合には,第d表のとお り集団の大きさが大きいはど移動距離は小さかった.この成績で特に興味をひくことは,4頭区とか8頭区といった 比較的小さな飼育区の間でほ,たとえ集団の大きさが2倍になっても飼育区間の差はあまり大きくはないが,1る頑区 のごとく或る程度大きな飼育区とこれらの小集団区間の差ほずっと大きいことであるい この場合の羞は単独区と比較 的小さな集団との間の差よりも大きいい また各回の移動距離ほ.1る頭区の場合,かなり平均された値をとるのに対し, 小員数集団,或は単独区では大きな他がやや不規則に連続する傾向がみられる. Ⅳ 論 議 緒言の填でも述べたとおり若令期のドクガならびに同属のチャドクガ幼虫集団を人為的に解体し,単独のまま,或 ほどく小員数の個体隔離的な飼育をつずけると,多数の個体が発育の完了をまたずに比較的若い令期で死亡すること がこれまでの研究で明らかにされてル、る(1346)= また,ドクガとほその分類学的な位層がだいぶ異なるニカメイチエ ウC翫わざα如γβ55αJ∠\sWALKERの幼虫でも,分散期以前の時期の死亡率ほ廃合区よりも単独区の方が高いという興 味ある事実が報告されている(5). ドクガについて・行った筆者らの成績でほ同じドクガを用いた絹方(8)の場合とちがって,単独区或は1口頭区以 ̄下の小 員数集団のものが若令期(少なくとも7令まで)にすべて一死亡するというようなこ.とほなかった〃とはいうものの,単 独或は小員数集団区での死亡率にほ相当顕著なものがあり,1占頭区のような或る程度大きな集団との間にはかなりの 差があることほたしかで,集団の大きさが小さいと死亡する個体が多いというドクガ或はチャドクガについてのこれ までの説と太質的にほま/)たく・一・致する.緒が6)と筆者らの成繚との間にみられる或る程度の差ほおそらく,飼育 上のテクニークのちがいに起債するものと思われる..単独あるいほ小員数の集団として飼育することによってひきお こされる死亡現象が,幼虫のどの令期においてもっともいらじるしいかということは,袋田を形づくることの生態学 的な意義が幼虫のどの時期でもっとも強調されねばならぬかということに直結する問題であるい太実験の成騎では前 項でのぺたとおり最高死亡率を示す令期は幼虫群のサイズの大きさによるちがいほなく,すべて第2令期と考えられ るい 次位の死亡率を示す令期ほ後で述べる死亡のおこりほじめおよびおわりの時期と同様集団の大きさによって少し らがい,1令叉ほ5令のいずれかである.前記した棉方の研究によると攣独或ほ2頭区,5頭区でほ4令までに,10 頭以下の飼育でほ7令までに全部の個体が死亡したのに対し,20個体以上の区でほ越冬までの間死亡はまったくみら れなかつたというい この成績では2頑区,5頑区,或ほ10頭区での死亡がそれぞれ4令或は7令までの間に散発的に おこったのか,それとも死亡頻度の高い特定の令期が存在したかが述べられていないので,最高の死亡率を示す令期 ほはっきりはわからないい しかし,個体隔離的な飼育にもとずく死亡が,幼虫の若令期に限って−おこることはたしか で,ドクガの場合にも水田(4)がチャドクガについて述べたのとまったく同じように幼虫の集合性はト5令期における 生存に対して特に冠こ義深いといえるであろう∩集団の大きさが大きくなるにつれ最終死亡令期が後にずれることは前 記の緒方の成続からみて明らかであるが,筆者らの成絞からも或る程度肯定できる.集団の大きさが小さいほど集団 解体の悪影響が強くあらわれることほ,はじめに述べた死亡率そのものからただちに理解できることであるが,死亡 時期のかようなずれからもまたうかがえることのようである. 集団構成員数の多少ほ上述のとおりまず芳命期における幼虫の生存率に大きな影響せ及ばすことが明らかとなった が,かような構成員数の影響ほ越冬までの経過命数,死亡がおこるまでの発育の速さ或ほ生き残った個体の発育の速 さにまで及ぼされるであろうか.太実験では集団のサイズが小さい場合,その影響ほまず高率の死亡というかたらで 若令期にあらわれたわけであるから,もし発育速度に影響が及ばされるとしたらその影響はやはり,高率の死亡がおこ つた令期,或ほその直前および直後,又ほこれに近接する令期においてあらわれることが期待されるけ かような観点か ら考えると研究結果の項で述べた2令期間と集団サイズの間の負の相関ほ,集団構成員数の多少とは蘭関係紅おこり うるしかも偶発的な発育調節現象にもとずくみかけ上のものというよりは,やはり集団構成員数に依存的なもののよ うで,集団サイズの大小は鼓高の死亡率を示す令期戎ほその前後の令期において発育の速さに或る桂皮の影響を及ぼ し,もしその員数が相当少ない場合にほ−一発育おくれ”がおこるものと思われる.しかし,かような影響はすぐ次の5 令或はそれ以後の令期にまで持ち越されることはないょうで集団の大きさを1令当初の大きさで規定した場合には, 1令から14令到達までの通算発育日数は小員数区はどかえって短かくなる傾向があり,5令到達までの発育おくれほ それ以後の発育によって,充分恢役可能な比較的軽度のものと考えられる“ドグガについてのこれまでの研究結果に
第14巻第1骨(1962) 45 よると,20,50,100頭といった多員数集団飼育の場合,集団の大きいはど発育のテンポが早く,各令期間は短縮し て越冬までに蛋ねる令の数が増加し(¢),一方チャドクガの場合,細谷(l)によれば小員数集団で飼育するはど畳ねる令 の数が増して幼虫期間が長びく傾向がみられ,また,水田r4)は将化虐後から集団の大きさをかえて飼育した場合に, これと同様の結果をえただけでなく,いろいろな令期からかような隔離を行ってみると,早い時期に隔離したはど命 数の増加が著しく,命数の変異の悔も大きくなることを明らかにしている.しかし,筆者らの成績は今のべたよう 紅,各令経過の様相として−みると1,2の令期で多少発育がおくれるようではあつたが,決して持続的なものでほな く,越冬にはいるまでの仝発育日数軋ついてみると,集団の構成員数が少なくなるはどかえって短縮するか,或はほ とんど大した差のない結果となり,集団サイズの大小紅よって発育のテンポがめだって変ったり,重ねる命数がちが ったりするような傾向ははとんどないといってよいのでほなかろうか.これまでの成紡と筆者らのそれとの間の差の 原因ほよくわからないが,20−100頑というかなり大きな集団を対象としてそれらの実験が行われた点に問題があるの かもわからない. 以上,越冬にはいるまでの幼虫期間について考察を行ったのであるが,チャドクガでは蛸期間,終令幼虫の頭幅の 大きさ,蛸の体墓,成虫の蔵卵数などは集団の大小∴或は隔離期の早晩紅よって特に差を生じないこと,同じドクガ 科わ椚α〝f′∠f♂αβの1種であるマイマイガエγ椚α〝わ′∠−αd査\s♪αグーLい,でほチャドクガとらが.。て−飼育群の個体数が 大となるはど蛸明間,幼虫の頭幅,蛸体重,成虫の蔵卵数などが減少し(ただし,幼虫期間だけは中間区が最小), 越冬後のドクガは越冬前のものとらがって,飼育群の個体数が少ないはど幼虫の発育その他が順調で,蛸化率,羽化 率なども良く,個体数が多いはど幼虫の体色ほ黒化するという.太報告ではこういった点について深くふれることを しないが,ドクガの場合越冬後碓飼育群の個体数が多いとかえって’’こみあい(Over crowd)”の影響がみられるよ う把.なる事ほ筆者らもその観察経験から肯定したい 集団の大きさと移動性の間には,集団の大きさと死亡率の間にみられたのと同じような,負の相関があるこ.とがわ かった小 この▼・致は偶然的なものなのであろうか..太実験の成絞でほ集巨lのサイズが小さいと,幼虫の移動性が大で あることがわかったわけであるが,この場合の移動性の大小はただ単に活瀾雁移動す−るかどうかを示すだけでほな い.筆者らの観察によると,かなり発育のすすんだ令期の幼虫ほ別として,若令期のドクガ幼虫の場合,移動性と移 動中の摂食時間或ほ摂食頻度との間にほ,あきらかに負の相関がみとめられる..したがって移動性が大であること ほ,同時に摂食時間が短かいことをも意味する.集団のサイズは移動性を通じて幼虫の摂食時日軋ひいては発育或ほ 生存のための栄養摂取鼠に大きな作用を及ばすことに.なる.、すでに述べたとおり,矧司のサイズが小さい場合,幼虫 は殆んど休止することなく酒蔵に歩行移動をつづけ,その間あまり損金を行わない.これに対して集団のサイズが比 較的大きい場合,幼虫ほどく小規模の移動を行うのみで,全体が絶えずひとかたまりになって,かなり西鶴的に摂食 をつづける.したがって集闇lのサイズが小さい場合に.は,幼虫は活磯な移動によるエネルギー・の大迫の損失をつく■■な い,さらに個体維持(発育と生存)に必要とされる新しいエネルギ−の披得がまったく不可能となるわけで,保有ェ ネル単一が生存に必要な鼠を割るところで死亡がおこるのでは.ないかと考えられる..ここでつけくわえておきたいこ とほ,集団サイズの大小はただ単に移動性を通してのみ幼虫の生存紅影響するのかどうかということである.集団の サイズが小さい場合の幼虫の行動を観察して気付いたことであるが,ほじめ幼虫は後ほど述べる同胞幼虫の体毛と の接触刺戟を求めていわゆる†’さまよい歩き(Wandering)’’をつずける,この行動ほ.もらろん集団の大きさが/J、さ いはど頑著なわけであるが,幼虫ほこの間まったく摂食動作を示さぬのではない。.集団の大きさが大きい場合にくら べるとたしかにその頻度は小さいが,決して皆無でほないい しかし摂食を試みる動作そのものはみられても,実際の 摂食が行われることが少なく,かじる動作を中断して杓び歩行しはじめることが多いようである.それほある見カを すれば同胞体毛との接触刺故に対する欲求だけが摂食動作を中断させるようにもうけとれる… しかし,チャドクカ では食草の表皮紅傷をつけると個体飼育が可能であるという事実(1)とか,筆者の1人間太がドクガ幼虫頭幅および 頭幅の成長をしらべた成粘から明らかなごとく,ドクガ幼虫の成長比は他の鱗週目昆虫紅比較して非常に/トさく(平 均成長比は1い15および1.14),とくに1令から2令紅かけての成長比は1.1未満できょくたん紅小さいこと(7),ま た,1令幼虫の体の大きさそのものもかなり小さいこと,ニカメイチ・ユ・ウの場合かなり成育の進んだイネを食物とし て飼育した場合に単独区の死亡率が高くなること(6),などから考えると,食草の物理的な性質の如何によっては単独 でそれをじゅうぶんにかじりとることができぬのではあるまいか一.もしこの考え方が正しければ,集団の大きさと死 亡率の間の負の相関ほただ単に同胞体毛との接触刺戟に対する欲求に蘭を発するということの他に,もう一つ別の要
香川大学農学部学術報告 46 素を考え併せて儲明しなければならない.この点は今後明らかにするつもりである. 集団のサイズと移動性の間になぜ負の相関関係が保たれるかということもまた興味をそそられる問題である.とほ いうものの太実験でほ.特軋実験の項目として:とりあげなかったのではっきりしたことほいえない.しかしながら移動 性に関する実験の際に観察されたこと,すなわち幼虫は個体間に或る程度の間隔がある間は活蔵匿歩行を連続する が,いったん他の個体の体毛虹技触するとかような歩行移動は急激に衰えることから推して,同胞体毛に対する顕著 なjfLの接触走性Positive thigmotaxisが関係して.いるのではないかと考えられる. このことはすで紅緒方もみとめており(6),筆者の1人松沢もふれていることである(2).かような性賀はおそらくチ ャドクガでも同様であろうと思われる. Ⅴ 摘 要 同・−・卵塊紅由来するドクガ幼虫な1,2,4,8,1釧週休よりなる5組の集団にわけて牒司脅し,各集団における越 冬開始時までの発育速度,死亡率,岩令親における移動性を室内で実験した.その結果を要約すると次のとおりであ る. (1)死亡率と集団の大きさとの間にほ明らかに負の相関があった. (2)脱皮回数と集団の大きさとの間にほ.相関ほなかった巾 (3)2令および占令期間は集団の大きさが大きくなるにつれて軽度に延長したが,7令期間はこれと逆に短縮し た.他の期間に関してほ各令期間と集団の大きさとの間に†・定の関係はみとめられなかつた.越冬開始までの発育期 間(各令期間の合討)は集団の大きさが縮少するにつれて多少短縮する傾向があったが,延長するような傾向はなか った.集団の大きさが小さいことによってひきおこされる発育速度の低下ほまったくみとめられなかった. (4)各集団における2令幼虫の移動の程度ほ集団の大きさと密接な関係があり,放飼18時間後からの毎10分間の歩 行距離は集団の大きさの増大に伴って減少した.越冬までの幼虫期死亡率と集団の大きさとの間の関係は,移動性と 集団の大きさとの間の関係によって説明可能なことを指摘した㊥ (5)幼虫行動の観察結果から,君命幼虫集団の移動性に関しては,同胞体毛に対する幼虫の正の接触定性の役割り が重要なことが示唆された. 主要参考文献 (11細谷純子:衛生動物,7,77“82(195る). 招)水田国康:応動昆,4,1舶−152(19る0) (2)松沢 寛,藤井幸彦:香川大恩学報,12,242・−254 (5)森本尚武:同上,4,197−202(19る0) (19る1) (6)緒方一・番:衛生動物,9,205−227(1958) (3)南川仁博:茶菜技術研究,る,15−22(1952) (7)岡本秀俊:香川大農学報,15,1占5イ75(19る2)
Some experiments on the development and some ecologicalcharacters
Of the Far Easte工n Urticating Moth,EuProciisflava BREMER
(Ecologicalstudies on someimportantinsects from sanitary view
in Shikoku V)
HidetoshiOKAMOTO and HiroshiMATSUZAWA
Summary The rea工ing experiment especially on the development,the moItality and the degree of
Wandering of thelarva of Far Eastern Urticating Moth,Euprocti5 jlava BREMER,Which originated fron one eggma$S and dividedinto five diffe【ent Sizes of association such asl,2,4,8,16individuals,
WaS Carried out d11ring the ante・hibernationalpeIiod(the duration between hatching and the time of entering hibernation)..The results of experiment are summaIized as follows:
(1)An apparent negative correlation was observed between the rate of death of thelarvae and the size
第14巻欝1号(1962) 47 (2)The number of time of ecdysis of thelarvae had no connection with the number ofindividualsin
association
(3)Durationin days of the 2nd andthe6thinstar was prolonged slightly with theincrease of the nl】mber ofindividualsin association,but the7thinstar period was conversely shortened.In otherinstaI periods of thelarva,nO definite orIegular relation between each duration and the association size was
recognized.The totaldevelopmentalduration from hatch tothe beginning of hibeInation had a tendency to be shortened more orless with the decrease of the number ofindividualsin association.The decrease
Of the developmentalvelocity caused by the fewness of the number ofindividualsin association was not recognized atal1
(4)The degree of wandering of the2ndinstarlarvaein each association was closelyIelated with the Size of the association and the distance of wandering for ever・y ten minutes after eighteen hours from
releasing decIeaSed with theincrease of association sizeいIt was poinfed out that the corIelation between theIate Of deathin thelarvalstage and the association size may be explainable by the relation observed among the wandered distance and the association size.
(5)As theIeSult of observation on the behavior of younglarvae,it was suggested that the positive thigmotaxisofthelarvae tc>the body hairs of otherindividualsisanimportantfactorof the wanderingOf
tbelaIVae