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アオムシコマユバチの寄生活動に関する研究 XVI 成虫の性比について-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

飴8義貞1号(1956)

アオムシコマエバチの寄生活動に関する研究

ⅩⅤⅠ成虫の性比について場

於 沢

寛,甲 斐 富 徳☆☆

129

Investigationsontheparasiticactivitiesof Apanieles glomeralus

XVIOnthe sexratioofadult wasps.

Hir.oshiMATSUZAWA(LaboratoryofAppliedEntomology,FacultyofAgriculture,KagawaUniversity二) and ShigenoriKAI(LaboratoryOfBiology,MiyazakiUniversity) (ReceivedSeptember19,1956) 緒 寄主モシシPチョウヂ加雨・Sγ郎〃βでγ〟め〃ダαの幼虫にアオムシコマエバチ4か跳ね柁.Sgわ∽βγαわ‘Sが寄生する場合 に.,寄主に対して盈込まれる卵の数は1回の産卵でも20∼25個位の多数に上.しかしながら木寄生蜂も,他の (2) 蜂類と周様に単性生殖Pa工仏enogenesisをも行い得るので,1回の産卵によって1寄主体内に遜込まれる卵から は,事情に・よっていろいろの牲比をもって成虫が現われて来るに.ちがいない.たとえ産卵する雌成虫が,すでに交 尾済であったと.しても,必ずしも次代に雌ばかりが現われるとも限らず,適宜彼等に次代の性を調節する能力も具 / って1、るものと予想せられる.かかる問題を明かに.・す−るために東研究を企図し,従来すで打者干の成績を得ること が出来たので,茨に大要のみ報告して参考に.供することに.する. 木文に・はいるに当って,日頃より懇篤なる御指導をた一まわる恩師元京都大学教陽∴現岡山大学教授者川忠曽博 士,京都大学教授内田俊郎博士,始終何かと研究に御便宜と激励をたまわる東学蕗学部長最上泰治博士,並びに.常 に親しく研究に・協力を惜しまれない本学富永裕三蹴教野,岡太秀俊氏,野崎伸夫氏に対して深く感謝の窓を表した い.

研 究 方 法

春,鼠秋の各季節にアオムシコマユ・バチの寄生を受けたモソシロチョウ幼虫を多数野外から採集し,窃主ごと に個体飼育の後之より脱出羽化する寄生蜂成虫をそのまま一定期間飼育して,そのそれぞれの寄主についての寄生 蜂の性比を調査した小一・■方実験的に十分に交尾を待った本寄生蜂雌成虫を用いて1寄主1固の産卵を連覇的に寄主 をかえて5∼10固時に20回余得わしめて,後に到り寄主体より脱出羽化した成虫の性比を検討した小(未交尾の雌 はPartbenogenesisに・よって雄のみを生ずることは明白であるので,改めて特に突験は施行せず)、.但し,此 際の産卵■方法はガラス管瓶申に予め寄生蜂を入れておき,それに小輩の突端にのせた第2合の寄主を接近させて管 瓶内で産卵を次次に府わしめた」而して処理を終った寄主は個体別檻2.4×9.Ocmのガラス管瓶申に.キャベツ生薬 と共に収めて240cの湿度下で飼育した.勿論餌の取換えは毎日之を行い,叉,管瓶内の糞の除去等も努めて厳密 に・行って寄主の碍病することを極力防止した. 性別の調査は,肉限では確実を期し難し、ので,常にルーペ又は双眼解剖蚕徴鋭を用いて行ったが,常に屈も確実 である産卵管の有無を日当に之を行うことに.した. 研究成績及び考察 筆者等の従来の経験からすれば,木寄生蜂1繭塊から生ずる成虫の性比は,概して非常にまちまちのようであ #香川大学農学部応用昆虫学研究室業績No小25 舶宮崎大学生物学教室(学芸学部)

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(2)

香川大学教学部学循覇億 1:30 る〃従って何等かの傾向なり,一散性なりを見出そうとするならば,どうしても同じ時期に・なるべく多くの圃場か ら水寄生蜂の寄生をうけたモソシロチョウ幼虫を採集してえ.る必要がある.そこで先づ春野外から一博に得た材料 から検討してみ.ることにする 春野外から得た寄主から現われるアオムシコマユバチは,時に全部が雄蜂はかりのことや,大部分堆蜂で僅かの 嘩蜂を混えていることもあるが,殆んどのものが多数の雌蜂軋何頭かの雄蜂が配されている・今雌雄の割合を百分 率に.で示した春材料についての1例を示すと第11因(上)のごとくである・ 100 第1図からも明らかなように.,春季に於いて\はアオムシコマ・ユ・バチもよく 交尾を行い,寄主に対してよく受精した卵を産込んでいること.が分るが,雌 ばかりのこともないではないが,とに角何頭かの雌蜂に対して大抵少数では あるが何頭かの雄蜂が現ゎれるように.仕組まれた彼等の産卵‘方法は真に合理 的と云える小初夏の供の野外材料では一・肢に.もつと斯様な組合せのものが多 く,雄ばかりとか,大部分雄蜂で少数の雌蜂を混えているとかいう場合は殆 んどない. しかし秋材料となるとまた事情が臭って来る..即ら鉄材料では春材料と臭 って雌蜂が割合に少くなって来る.・一一俄に雄蜂ばかり現われる頻度が高く, 叉少数の雌蜂に多数の雄蜂が湿っているような場合も非常に多く,多数の雌 蜂に少数の堆蜂を混えているような場合が予想外に少くなって来る.今秋材 料に.ついての1例を示すと第1因(下)のごとぐである. 秋材料で斯様に・雄蜂の現われる率の高いのは,恐らく気温の低7等に・よつ て十分に.交尾を終った個体が非常に少いからで,従って単性的に・産出した卵 が多く寄主体に慮込まれているのであろう.このことは本寄生蜂に関して注 意すべき点の:1づであると考えられる. 十分交尾を行った雌蜂の産出する卵は,−・一肢に・よく雌蜂(少数の雄蜂を節 す)に.なるようで,単性的に雄蜂ばかりになる卵を産■下すことも殆んどない ︿U O ︵‘ ︵笠︶ 山﹂<三 80 60 40 eO 血0 ℡0 60 40 20 一O FEMALE U射 Fig.1.Sex:r8tiod∴現物頭痛S gJo∽♂γαねsin per■centage insprlng andinautumn ようである.アオムシコマユバチの産卵能力はすでに報じたごとく非常に旺盛なもので,改野寄主数丈でも数十頗に

(3) 及ぶ。それ等の性比がどのようになっていくかは評かでないが,十分に.交尾を行わしめた:雌蜂を用いて5−10匝漣

郎勺に寄主を与えて産卵せしめた結果をここに示すと/第1真のごとぐで,毎回共多くの雌蜂に少数の雄蜂を泥えた 組合せで寄主体への産卵が行われて いることが分る.交尾をすでに終え ている場合の産卵は恐らく斯様な組 合せがno工・malのようで,然らざる 場合には雄蜂ばかり現われるのであ ろう.しかし大部分雄蜂で,少数の雌 蜂を泥えるという組合せについては 十分納得は出来ないが,交尾が不確 契であるためか,受精が不十分であ るためなのか,或いほまた雌蜂体内 の卵発育等の関係で斯様な組合せを 生ずるのであろうか.之等について は更に研究を要するものと考える. 次に本寄生蜂の純然たるPa工tbe− nogenesi式により産卵されそれより 生ずる繭塊の割合が自然状態でどの 程度あるかについて換討したいぃ前 に示した第1因の100%雄のみと Tablel.The Sex ratio of adult waspsemerged

from the hosts which were attacked by the matured female wasps.

Total−21+104==125】44+・193=237】45+183=228138+190=228

Total(%)i16…8:83・2 l 18.6:81.4】19..7:80い3116..7:83“3

(Inthe present experiment,the hosts were givenin turn to the

parasite wasp onevery attack)

(3)

革8巻第1・草(1956) 131

いう場合は勿論これに.該当するものであるが仁他の成疏を以って改めて考察を行ってみること.とする..第2表ほ.各 Table2.Frequency of paIthenogenesisinAbanleles glomeralus

innaturalcondition. 楊Beginming ofmonth,舶Endofmonth 季節毎に野外から採集した被寄生寄主より得られたSO又は100個の繭塊から現われた成虫の性比を,堆のみ窺われ た場合(全くのPartbenogesis)と雌雄湿って現われた場合(成虫が両性生徒を行っている)とに分けて集計した 成際である.この表から吾膏は暖かい季節程よく交尾を行って授精した卵を顔出し,又PaIthenogenesisの頻 も低いことを知ることが出来るが,勿論斯様なことは粗方に.より又多少の時期のちがい等によってこ幾分の差は存す るものと考えられる.聾者の1人松沢(1955■)は香川県田中村小袋より11月に得た材料について20%はおろか30% 又はそれ以上の高率で全くのParthenogenesisによる繭塊の生ずること/を見ているが,秋急激に.気泥が下降して くる興であるので,当然斯様な事態が現われて来ると/考えられる一.従つで本寄生蜂の越冬形態が宮崎地方のごとく 明らかに寄主体内における幼虫であっても,さもなくて繭中で嫡のままで冬を過しても,とに角翌春初発の頃に出 艶する蜂は雌の割合に」は雄が多いということがありそうに思われる. 倍寄生蜂類の性比に関して他の興味ある事実はBARBER(1937)(1)によって認められているけ 即ち同氏軋よると rタgC∂gγα研桝αなどでは寄生の度が高まるにつれて羽化する蜂が次第に.づ、形化し,それと同時に雄の割合が次第に 多くなったという.これに関してほ雌の発育より雄のその‘万が一俄に速いために堆が発育を妨害することに.起因す ると説朗されている.恐らくこの様な浣象は十分忙あり得ることと思われ,松沢等(1955)は本寄生蜂の場合にも 似た結果を得たことがあるが,・一腰に・3回程度の攻撃産卵迄ほそれ程斯様な発育競争が厳暑に起るとは考えちれな い.しかしこのことに.ついては倫契験を憲ねた上で検討してみたい 摘 要 1寄主体内に座下されるアオムシコマユバチの卵から発育する成虫の性比が如何なる組合せになっているかを知 るために本研究を行い次のごとき成続を得た. 1)春季野外から得た寄主より脱掛する成虫は雌が非常に多いが,大抵それに少数の堆蜂が混じている..時に磯蜂 ばかり出ることもあるが,初夏の材料から出る蜂は堆蜂ばかり現われるような場合は殆んどない. 2)鉄材掛から現われる蜂はしかしながら,非常に雄蜂が多く,全く雄蜂はかりのことや,多数の雄蜂に少数の雌 蜂を混えていることが非常に多い. 3)十分に・交尾を行わしめた雌蜂の座下する卵からは殆んど多数の雌蜂に少数の雄蜂を混えた組合せの成虫が現わ れる. 4)単性生殖によって全く雄のみを生ずるような繭塊は,春にも或極度見られるが,秋に特に多い

参 考 文 献

1)B1RBER,G..W..:A仰.月〝f“5∂C..A桝♂γ.リ30,

55)

263・−・268(1937) 3) ,宮本袷三,岡未秀俊:香川農大学術報 2)放沢 貿:香川柴犬学術報告,7(1),60」一66(19 乱7(軌(1956)

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学遊学部学痛報嚢

132

R畠S um昌

一nor・dertoknowthesexratioofthe adult waspsemergedfromeacも.c6coonmassof Apanteles

g10mCralus andits changes;PreSent reSearChes weremadewiththefo1lowingresults;

11)Alarge numberof the female wasps emergedfr・Om the cocoonmasses which were obtained

fromthe wild hostsin spring,although a sma11number ofthe male wasps were observedin

themnInsprlngWe COuldoccasionally′Observedthemale waspsonly,but we could not observed

SuCh state at allin early summer.

2)The waspsobtaiヱIedfrom the hostiユ1autumnWeremOStly malesandvery oftencasesofmales

Only or of alarge number of malewasps with a smallrrumber of female wasps were also obser−

Ved.

3)Fromtheeggswhichwerelaidbythematured female wasps,alargenumberofthefemale

WaSpS emergedin generalwith a smallnumber・Of male wasps.

4)Thecocoonmassesfromwhichonlythemalewaspswereemergedastheconsequenceofpa−

thenogenesis were observedinspringalittle,butit wasnumerousinautumn..

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