• 検索結果がありません。

香川県立高等学校の特別支援教育におけるスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーとの連携の実態-香川大学学術情報リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "香川県立高等学校の特別支援教育におけるスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーとの連携の実態-香川大学学術情報リポジトリ"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

香川県立高等学校の特別支援教育におけるスクールカウンセラーと

スクールソーシャルワーカーとの連携の実態

小 方 朋 子 ・ 山 本 木ノ実

<要 約>  特別支援教育における多職種連携に対して以前から期待は高く、学校現場ではスクールカウンセ ラーやスクールソーシャルワーカーを含めたチーム支援は重要であるという認識がある。本稿では 香川県立高等学校の特別支援教育におけるスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーと の連携の実態について聞き取り調査を行った。取材した高等学校の特別支援教育コーディネーター は、生徒の実態に合わせたカウンセリングの設定や役割分担ができていると考えていた。しかし、 複数の高等学校に勤務しているスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーからの聞き取 りによると、学校によって差はあるものの、勤務時間の少なさもあって、まだ専門性を十分に生か すには至っていない。今後安定した勤務条件、勤務時間の十分な確保、専門性への理解や協働して 生徒の支援に当たることのできる環境の整備などが必要である。 キーワード:高等学校、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、       特別支援教育コーディネーター 1.はじめに  昨今、学校現場の閉塞感多忙感などを打開す る策として多職種連携への期待は高い。教育再 生実行会議(2015)の第5次提言には、「(略)教 師の勤務時間や授業以外の活動時間が世界的に 見て格段に長いことを踏まえ、教師が子供と向 き合う時間を確保し、教育活動に専念できるよ うにする観点から、学校経営を支える管理・事 務体制の充実、スクールカウンセラーやスクー ルソーシャルワーカーなどの多様な専門職の配 置や活用が進むよう、制度面・財政面の整備を 行う」とある。  また2015(平成27)年7月に出された文科省 (2015)の「チームとしての学校の在り方と今後 の改善方策について」(チームとしての学校・ 教職員の在り方に関する作業部会中間まとめ) では「スクールカウンセラー、スクールソー シャルワーカーを学校等において必要とされる 標準的な職として職務内容等を法令上、明確化 することを検討」及び、「日常的に相談できる よう配置の拡充、資質の確保を検討するととも に、将来的には学校教育法等において正規の職 員として規定し、国庫負担の対象とすることを 検討する」とされた。  もちろんここには「特別支援教育のため」と 項目をわけて書かれているわけではない。しか しスクールカウンセラーの主な業務内容(児童 生徒へのカウンセリング、教職員、保護者に対 する助言・援助等)やスクールソーシャルワー カーの主な業務(福祉関係の関係機関・団体と のネットワークの構築、連携・調整、保護者、 教職員等に対する支援・相談・情報提供)の仕

(2)

事の一部に入っていることは間違いないだろ う。  文科省(2014)の「平成26年11月21日付初等中 等教育分科会チーム学校作業部会資料6」によ ると、我が国の教員の置かれている現状とし て、教員以外の専門スタッフが諸外国と比べ て少なく、「教員が非常に幅広い業務を行って いる」「授業等の教育活動に集中しづらい」と いうこと、「児童生徒の個別のニーズが多様化 しており、教員に求められる役割が拡大」そし て、「教員の1週間当たり勤務時間は日本が最 長」が挙げられている。また、チーム学校の実 現に向けて①教職員の定数改善②資格等を有す る専門スタッフについては、「学校の実情に応 じ、補助金等により拡充」として、「心理と福 祉の両面から専門的なサポート」するスクール ソーシャルワーカー、スクールカウンセラーを 増員することになっている。  田中(2010)は「これまでの伝統的な学校教育 や教師の専門性の範囲では対応できなくなった ということであり、外部の専門家に、それも、 関係する様々な専門職の人たちの助けを求めざ るを得なくなってきた」と指摘している。不登 校やいじめ対策として配置されたスクールカウ ンセラーではあったが、特別な支援を要する児 童生徒の対応も含めて、学校内で教員でない専 門職が関わって、業務を分担することへの期待 は大きい。  加瀬(2010)は多職種連携の背景や課題の視 点を検討し、「よい多職種連携」を推進するた めの人間関係のポイント等を検討している。ま た小野(2010)は特別支援教育コーディネーター の立場から支援の対象を限定してしまう特別支 援教育ということばの定義の見直しやチームア プローチの重要性を指摘している。また山中 (2010)はスクールソーシャルワーカーの立場 から「スクールソーシャルワーカー活用事業」 の明確なビジョンの必要性を述べている。  岩田・山崎(2011)は、学校現場において「児 童生徒の心のケアや福祉的ニーズ(療育手帳の 取得や各種福祉制度の申請)に対応できる専門 職(スクールカウンセラー、スクールソーシャ ルワーカー)配置へのニーズが高い」と報告し ている。これは小中学校に限らず高等学校も同 じであり、特別な教育的ニーズは簡単に虐待、 不登校とはっきりと分けられないことから、ス クールカウンセラーやスクールソーシャルワー カーの認知度も上がってきていること、協力し て対応していること、問題解決につながって いったことなどが報告されている。  事例研究として、小野寺・池本(2014)は、「ス クールカウンセラーの対応事例のうち54%に発 達の偏りが見られ、スクールカウンセラーが特 別支援教育の視点に立った支援を提供する必要 性が示唆された」とまとめ、「発達の偏りがあ ることで二次的な障害に陥り、あるいは発達障 害があることで学校生活に適応できず、不登校 や問題行動等の状態にある児童生徒は非常に多 く、スクールカウンセラーの関与が必要である と言える」とし、「『生徒指導提要』では生徒の 問題行動の背後に発達障害があることを認識す る必要があること、スクールカウンセラーとの 協働を視野に入れることなどが盛り込まれた」 と述べている。またスクールカウンセラーの関 わる内容を分類し、「生徒支援」「教員支援」「保 護者支援」「幼~高校連携方法」「アセスメント 心理検査」「授業観察」なども必要であると指 摘している。  スクールカウンセラーやスクールソーシャ ルワーカーの導入以降の問題点として、緒方 (2010)は、2005年以来学校の中で活動するこ とになったスクールカウンセラーが、不登校や いじめ対策として取り入れられた経緯もあり、 「特別支援教育システムの中にスクールカウン セラーは必ずしも明確に位置づけられてはいな いと思われる」と述べている。石橋他(2010)も また、スクールソーシャルワーカーの文科省の 定義はスクールカウンセラーと特別支援教育 コーディネーターとの違いが明確でない、と指 摘した。稲垣(2009)は、実際、学校内の具体 的な活動になると、「学校全体や管理職の方針 によって左右される面があり、自らの意思に よってのみ決定することは『困難』であり、臨 機応変な対応が必要であり、柔軟な姿勢」が重

(3)

要だと指摘している。  そこで、本稿では、香川県の教育委員会と協 力して行った実態調査をもとに、スクールカウ ンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連 携がうまくいっていると回答した高等学校の特 別支援教育コーディネーターに対して聞き取り 調査を行い、実際にスクールカウンセラーやス クールソーシャルワーカーが高等学校において どのように活用されているのか、専門職等との 連携の実態を明らかにした。県教育委員会と共 同で行った高等学校の実状については概要をま とめているが、アンケートの文言だけではなか なかわからない具体的な事例等を聞き取ること にした。また複数の高等学校へ勤務しているス クールカウンセラー2名とスクールソーシャル ワーカー2名にそれぞれの立場から連携の実態 や今後の課題を述べてもらった。 2.方法 1)聞き取り調査の対象 ・小方(2014)の香川県内公立高等学校に対す るアンケート調査をもとに、その内容につい て県内の公立高等学校3校の特別支援教育 コーディネーターと管理職に対して聞き取り を学校ごとに行った。 ・香川県内で活動するスクールカウンセラー2 名とスクールソーシャルワーカー2名から活 動状況について聞き取り調査を行った。 2)時期 2015年1月~3月、7月~8月 3)内容 スクールカウンセラーおよびスクー ルソーシャルワーカーの勤務形態、業務内容 (生徒へのかかわり方、カウンセリング、授 業へのかかわり、家庭訪問など)特別支援教 育コーディネーターとの連携、校内委員会と の連携、守秘義務についての考え方、など。 3.結果 1)アンケート調査の結果と特別支援教育コー ディネーターからの聞き取り  香川県教育委員会の協力で高等学校の特別支 援教育コーディネーターにアンケート調査を行 い、スクールカウンセラーやスクールソーシャ ルワーカーとの連携についてたずねたところ、 83%の高等学校が「協力している」と答え、「情 報交換程度」が14%と答えている。  どのように分担しているのかを自由記述で尋 ねると、「校内の情報収集、ケース会の設定に ついては、特別支援教育コーディネーターが担 当し、それを受けての保護者との面談、専門機 関との面談についてはスクールソーシャルワー カー、またはスクールカウンセラーが中心とな り、状況によってはコーディネーターも一緒に 参加し、取り組んでいく。」「特別支援教育コー ディネーターは担任や教科担任、養護教諭など から問題のある生徒の様子を聞き、スクールカ ウンセラーやスクールソーシャルワーカーに伝 え、支援方法についてのアドバイスをもらって いる。ケースによってスクールカウンセラーは 実際に該当生徒のカウンセリングや、保護者と の面談などをおこなうなど、連携をとりながら 取り組んでいる。」「相談や問題等が起こった場 合は、スクールソーシャルワーカーとスクール カウンセラーの両方に知らせており、双方から アドバイスをもらっている。その後の指導につ いてもアドバイスを参考にしながら進めてい る。」「例えば、問題を抱えた生徒本人のカウン セリングをスクールカウンセラーが、その家族 へのアドバイスをスクールソーシャルワーカー が担当し、連携を図った。」など、校内の調整 を特別支援教育コーディネーターが担当し、生 徒や保護者へのカウンセリングはスクールカウ ンセラーが、家族や外部連携などを担当する、 という分担も行われている。  また生徒への指導についてもスクールカウン セラーやスクールソーシャルワーカーからアド バイスをもらいながら指導するという記述もあ り、ほとんどの高等学校がスクールカウンセ ラーやスクールソーシャルワーカーと連携して 指導していることがうかがわれた。  以下、実際に「うまく連携している」と答え た高等学校3校で具体的な活動について聞き取 りを行い、特徴を次の6点にまとめた。 ① 勤務形態・時間等  スクールカウンセラーは3校とも週1回勤務

(4)

で4時間と5時間があった。授業中の取り出し はどの高等学校も原則していないということな ので、休み時間と放課後が主な相談時間であっ た。予約をし、時間調整をするのは教育相談部 の特別支援教育コーディネーターであった。3 校とも特別支援教育コーディネーターは教育相 談部に属しており、教育相談部長を兼ねてい た。香川県の高等学校では教育相談部と特別支 援教育コーディネーターを兼任しているところ が多い。  13時から17時の中で休み時間と放課後では時 間が足りないくらい相談者は多いそうである。 一人20分としてもなかなか20分では終わらな い。A高等学校では15時半から17時までに毎週 2、3人ずつの相談になっている。まだ生徒の 授業時間中である13時からは保護者との相談時 間に充てている。  香川県の高等学校では、スクールソーシャル ワーカーは数校に1人配置してある。基本は月 に1、2回の勤務となっている。複数の学校に 勤務しているので、何か事件が起こったときに 急に対応してもらうことは難しい。事件後教員 と一緒に家庭訪問に行けたらよいが、前々から 予定していた家庭訪問でない場合、急な対応は 難しいということであった。スクールカウンセ ラーとスクールソーシャルワーカーも同席した ケース会を開きたいときがあっても勤務日は同 日にはならず、なかなかできない状態である。  スクールソーシャルワーカーは特に外部機関 との連携や家庭訪問などの特別な事情がない限 り、スクールカウンセラーと同じように生徒の 相談を受けている。C校では、スクールカウン セラーとスクールソーシャルワーカーのどちら に相談するかは、相談内容などを勘案して特別 支援教育コーディネーターが振り分けている。  また担任の相談にものっており、担任支援も 業務の一部となっている。 ② 発達障害のある生徒に対して  A校のスクールカウンセラーは、発達相談に 長年かかわってきており、発達障害について詳 しい。他校のスクールカウンセラーも長年にわ たってやってきている。特に発達障害の生徒に 特別に何かをしているわけではないが、問題行 動や何かのつまずきに発達障害があると思われ ることがある。  B校では発達障害のある生徒を把握している が、自分からすすんで相談に来ることはないの で、定期的にカウンセリングを受けるように指 導している。友達との間に何かトラブルはない か、何か嫌な出来事はなかったかをスクールカ ウンセラーに聞き出してもらっている。イライ ラをため込んでいかないように、何らかのトラ ブルや困ったことが起きていなくても定期的に カウンセリングを受けることでトラブルの発生 を減少させようという指導である。  C校においては、スクールカウンセラーへつ なぐきっかけとして、遅刻が多い、忘れ物が多 い、成績不良といったことを捉えて、「一度相 談に行ってみなさい」とすすめることにしてい る。背景には発達障害がある場合があるが、本 人も保護者もその認識はないことが多い。 ③ 守秘義務について  A校のスクールカウンセラーは、自分は高等 学校に勤務している職員なので校内全体での守 秘義務があると判断している。必要だと判断し たら教育相談部の教員や担任と情報を共有して いる。それが生徒や保護者の利益となると考え ているからである。  C 校の場合は、特別支援教育コーディネー ターによると、情報はスクールカウンセラーで とどめておくもの、特別支援教育コーディネー ターまででとどめておくもの、そして担任へ伝 えるものという三段階になっている。担任に伝 えておいた方が良いと相談部側で判断したもの は、生徒に担任に伝えて良いかときいて、担任 に伝えることがある。(ただしほとんど担任に もすでに話していることが多い。) ④ 情報共有について  校内委員会の開催は高等学校によって回数が かなり違っている。昨年度の調査では、校内委 員会よりも週1回の連絡会を開いていると回答 した高等学校もあり、年に1回と回答した高等 学校もあった。聞き取りを行った高等学校で は校内委員会を年3回から5回ほど開催してい

(5)

る。しかし今回の聞き取りでは、定期的な校内 委員会の開催よりも、もっと短時間でも頻繁 に、実際にその生徒に関わる教員が日頃からで きるちょっとした情報共有が有効だという話で あった。朝礼直後の職員室で顔を合わせた際に 1、2分で日々簡単に情報交換できることが有 効な支援につながっている。 ⑤ 活動の工夫  個別相談だけでなく、本人、保護者、担任、 教育相談担当教員(特別支援教育コーディネー ター)とでケース会を開くこともある。例えば、 担任から生徒の就職についての相談を受け、ス クールカウンセラーは校内で情報を収集し、保 護者と面談し、今後の支援の在り方を提案して 保護者の理解を得たケースがある。  またスクールカウンセラーがクラスメイトに 対して発達障害や統合失調症についての理解教 育をおこなったケースがある。障害の特徴や多 様性への理解、当該の生徒とうまく付き合って いく方法、将来社会に出たときに様々なタイプ の人とのつきあい方や、他人と上手に距離を とっていく方法などの授業である。担任や教科 学習の担当とは異なる雰囲気での授業で生徒達 の印象に残り、その後の担任からの指導にも 有効だったということである。またC高ではス クールカウンセラーによる自尊感情を高めるた めの授業を実施した。 ⑥ 特別支援教育コーディネーターから見た連携  基本的にはスクールカウンセラーは生徒と保 護者を支援し、スクールソーシャルワーカーは 保護者支援や外部との連携という役割分担をし ている。しかし香川県の場合、スクールソー シャルワーカーは月1、2回の勤務であり、ス クールカウンセラーとスクールソーシャルワー カーの勤務日も違うために、一堂に集まって ケース会を開くのはむずかしい。何か急な対応 をせまられたときも、複数の学校に勤務してい るので、予約がすでに他校で入っている場合が 多く、拠点校でない学校ではすぐに対応できな い。  発達障害の診断がついた生徒の入学は増えて いると感じられるが、なかなか中学校からの情 報が十分でないという不満が高等学校にはあ る。ほとんどの高等学校は、生徒指導について の情報を合格後手分けして中学校をまわって集 めている。また合格者招集日に保護者に対して プリントを渡し、個別の配慮が必要な場合は申 し出るよう促している高等学校もある。しかし 個別の教育支援計画を持ってくる生徒は少な く、何か問題が起きてからの対応となることが ある。今回の聞き取りでは、どの高等学校から も中学校での具体的な支援方法を高等学校の指 導へとつなげたいという希望があった。  3校ともスクールカウンセラーとスクール ソーシャルワーカーと高等学校との連携はとて も有効であり、今後もさらに継続、発展してい くべきであるという認識であった。特別支援教 育コーディネーターが、生徒やその保護者、担 任とスクールカウンセラーやスクールソーシャ ルワーカーとをうまくつないでいること、時間 のやりくりや役割分担ができていて、チームと して機能しているという認識があり、まずは特 別支援教育コーディネーターがその役割を果た しているということは重要だと考えている。 2)スクールカウンセラーとスクールソーシャ ルワーカーから見た高等学校の特別支援教育 における連携  県内複数の高等学校で勤務しているスクール カウンセラーとスクールソーシャルワーカーに 聞き取り調査をし、彼らの側からみた現在の状 況と意見をまとめると以下のようになる。 ① スクールカウンセラーとスクールソーシャル ワーカーから見た高等学校の特別支援教育  ここ数年、高校における特別支援教育は進ん できた。以前は、生徒が学校になじめず、学習 についていけなかったら退学するかどうかがす ぐに選択肢にあがっていたが、発達障害のある 生徒に対しては、支援をすることが当たり前の 雰囲気になってきている。  特別支援教育について自主的に勉強して、理 解のある教員が増えてきている。入学時にアン ケートを実施して保護者から、特別な支援の希 望の有無をきき、中学校からの情報提供を受け、 校内で共有しようとする動きも増えてきた。

(6)

② 情報共有について  基本は、教育相談部に属しているので、そこ からの情報が主であるが、気軽に多くの関係者 と情報交換ができることは重要である。職員室 に専用の机があることは有効である。職員室の 一角に小さなテーブルがあって、小さなケー ス会議ができるスペースがあること、まめに 「ちょっと打合せしよう」と、話し合いができ る環境、またすぐに授業を見に行くことができ るかどうかも重要である。実習・演習の多い学 校であると、教室よりも観察しやすく、生徒の 普段の姿を見ることができる。また声もかけや すい。  ケース会を開くときは日程調整して、管理 職、スクールカウンセラー、スクールソーシャ ルワーカー、特別支援教育コーディネーター、 教育相談部の教員というメンバーが集まり、心 理、特別支援教育、福祉それぞれのアセスメン トの比較をして今後の対応策を決めていくこと ができるのが一番良いが、なかなか全部が集ま ることはむずかしい。 ③ 教育相談部によるコーディネートの重要性  高等学校の特徴は教育相談部という組織が しっかり存在していることであり、スクールカ ウンセラーとスクールソーシャルワーカーも教 育相談部に所属して活動している。なにより一 番重要なことは、教育相談部の主任(教頭・特 別支援教育コーディネーターなど)が時間の配 分だけでなく、誰と情報を共有して、誰とケー ス会を開くのか、家庭訪問が必要であればス クールソーシャルワーカー、本人の話を聞くこ とが必要であればスクールカウンセラーという ように、ケースごとに対応する人をコーディ ネートできることである。  かなり認知度が上がってきたとはいえ、まだ 学校側のスクールカウンセラーとスクールソー シャルワーカーの専門性への理解がまだ不足し ている場合もある。スクールカウンセラーとス クールソーシャルワーカーの仕事の違いがわ かっていない、教職員への周知が不十分、保護 者に対する周知も不十分な学校もある。年度は じめの授業参観やPTA総会時に保護者の前で紹 介したり、顔写真入りの「教育相談部便り」を 発行したりする学校もあれば、全くそのような 紹介がない学校もある。職員への支援、保護者 への周知なしにスクールカウンセラーやスクー ルソーシャルワーカーの活動はあり得ない。  学校によってはスクールソーシャルワーカー の活動内容がスクールカウンセラーと同じよう になっているが、本来の役割は違うので、そこ はコーディネートする立場にある人が、彼らが できることを把握して仕事を配分するべきであ る。 まとめ-高等学校における特別支援教育での連携  高等学校の特別支援教育においてスクールカ ウンセラーとスクールソーシャルワーカーとの 連携は教育相談部が拠点である。現在のような 勤務が週1回や月2回程度の状況であれば、特 別支援教育コーディネーターとしては、これま ですべて教員が担ってきた仕事を部分的にでも 担当してくれるスクールカウンセラーやスクー ルソーシャルワーカーの配置や協働に不満はな いが、スクールカウンセラーやスクールソー シャルワーカーの側からするとまだまだ十分に 活動できているとは言い難い。  特別な支援を必要とする生徒に気付き、担任 の相談にのることができ、スクールカウンセ ラーやスクールソーシャルワーカーの有効な活 用方法を理解し、校内委員会などを活用した職 員間の情報共有の工夫ができる特別支援教育 コーディネーターの資質がまず重要である。  今後はこれら連携の実績をさらに検討し、ス クールカウンセラーとスクールソーシャルワー カーの適切な勤務時間や形態を明らかにし、学 校種による違いや、スクールカウンセラーやス クールソーシャルワーカーのもつ専門性や経験 の違いで配置や時間を変えるなど、有効かつ適 切な活用方法を探っていくべきである。また彼 らを有効活用して、高等学校が特別支援教育体 制を更に進めていくためには、中高連携のあり 方、個々の教員の資質向上のための研修のあり 方、及び校内支援体制のあり方をあわせて検討 する必要がある。

(7)

 またスクールカウンセラーもスクールソー シャルワーカーも非常勤であり、雇用は県の場 合も市町村の場合もある。スクールソーシャル ワーカーは、資格も福祉専門職や退職教員など 様々である。今後専門職として更に活躍しても らうためには、研修制度も含めた環境整備も課 題である。 文献 稲垣 馨(2009):高等学校におけるスクールカウン セラー活用についての検討―発達障害に対する取 組の必要性という視点から―、純真紀要 No.50、 25-36. 石橋裕子、林 幸範、佐藤広崇他(2010):特別支援 教育における地域連携に関する研究(1)―スクー ルソーシャルワーカーを中心にして―、日本教育 心理学会総会発表論文集(52)、717. 岩田雅美・山崎由可里(2011):和歌山県下の小中学 校での特別支援教育における各種関係機関・専門 機関との連携の現状と課題、和歌山大学教育学部 紀要 教育科学、61、51-58. 加瀬 進(2010):特別支援教育の時代における多職 種連携に関する研究課題の検討―小学校における 多職種連携に関する聞き取り調査を手がかりに―、 SNEジャーナル、16(1)、5-25. 教育再生実行会議(2014)平成26年7月3日「今後の 学制等の在り方について」(第5次提言) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/pdf/ dai5_1.pdf(2015.9.17閲覧) 文部科学省(2014)平成26年11月21日初等中等教育分 科会チーム学校作業部会資料6 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/052/ siryo/_icsFiles/afieldfile/2014/12/15/1354014_6.pdf (2015.9.17閲覧) 文部科学省(2015)「チームとしての学校の在り方と 今後の改善方策について」(チームとしての学校・ 教職員の在り方に関する作業部会中間まとめ) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/ chukyo3/052/sonota/1360372.htm(2015.9.17閲覧) 小方朋子(2015):公立高等学校における特別支援教 育の現状と課題について―香川県立高等学校の 事例から―、香川大学教育学部研究報告第1部 (143)、11-18. 緒方登士雄(2010):特別支援教育におけるスクール カウンセラーの役割―通常の学級に在籍する発達 障害のある児童生徒への支援を中心にして―、東 洋大学文学部紀要 教育科学編、64、1-7. 小野學(2010):特別支援教育コーディネーターから 見た多職種連携の課題、SNEジャーナル、16(1)、 26-35. 小野寺利律子・池本喜代正(2014):通常の学校にお ける特別支援教育体制へのスクールカウンセラー の関与(その1)―生徒と教員への働きかけ―、宇 都宮大学教育学部教育実践総合センター紀要、37、 183-190. 田中良三(2010):特別支援教育時代における多職種 連携、SNEジャーナル、16(1)、3-4. 山中徹二(2010):スクールソーシャルワーカー活 用事業からみた多職種連携の現状と課題、SNE ジャーナル、16(1)、36-50.

参照

関連したドキュメント

このような情念の側面を取り扱わないことには それなりの理由がある。しかし、リードもまた

また、学内の専門スタッフである SC や養護教諭が外部の専門機関に援助を求める際、依頼後もその支援にか かわる対象校が

ハンブルク大学の Harunaga Isaacson 教授も,ポスドク研究員としてオックスフォード

一貫教育ならではの ビッグブラ ザーシステム 。大学生が学生 コーチとして高等部や中学部の

 英語の関学の伝統を継承するのが「子どもと英 語」です。初等教育における英語教育に対応でき

 学部生の頃、教育実習で当時東京で唯一手話を幼児期から用いていたろう学校に配

倫理委員会の各々は,強い道徳的おののきにもかかわらず,生と死につ

 学部生の頃、教育実習で当時東京で唯一手話を幼児期から用いていたろう学校に配