ダ ンスにお ける技術 と学習内容 に関す る一考察
A Remark On the Technique and
Learning Program Of Dance
体育教室
佐 分 利
育 代 は じ心うに 学校 におけるダンスが、既成作品習得か ら創作へ と学習内容 を転換 したのは、1947年である。そ れか ら10年,ダ
ンスにおいて も系統性が追求 され技術構造の明確化が試み られた。 さらに10年, 運動技術論 と共 に、ダンスは理念か ら方法論へ と問題点 を移行 しなが ら指導法中心の技術論を展開 した。今や,創
作 ダンスが とり入れ られて30年
,系統学習が唱 えられて20年
である。ダンスにとっ て具体的な指導論 こそ必要 な時期 といえる。すなわち,「創作ダンスの基礎 とは何か」 さらに,「段 階的な学習内容 をいかに具体化するか」が明確 にされ るべ きである。 この課題 は,教
育 目標 の中でダンスは何 を教 えられ るかの問題 に立返 って考 える時 に明 らかにさ れ る。それは,教
育 目標 の中でダ ンスは,手
段的な価値 を持つか目的的な価値 を持つかの問題であ り、 ダンスが本来持 っている,発
見的,創
造的な活動 としての特殊性 によ り論ずることがで きる。 すなわち,ダ
ンスは,そ
の終結点が多様 であるという特殊性 と,表
現媒体 としての動 きの体験 自体 に教育的価値 を持たせ るべ きであるということである。 したがって,ダ
ンス学習指導の課題 は,創
作 ダンスの本質的な体験*1を どうした らさせ られ るか,そ
のために何 をどの位与 えることがで きる のかにあるといえる。 本稿では,ダ
ンスにおける技術 の考察 と,各
学年での学習内容の考察 を通 して,よ
り具体的なダ ンス学習指導の手がか りを得 ることを目的 とした。ダ ンス にお ける技術
(1)芸
術 としてのダンスにおける技術芸術の教育的価値は
,行
為とその経験においてみ出すことができる。ハーバート
・リード
'は,審
美教育の包括するものとして
,①
あらゆる知覚および感覚の自然の強度を保存すること
,②
諸種の
知覚および感覚を
,相
互にかつ環境に応じて調和的に働かせること
,③
感情を人に通じる形で表現
すること
,④
表現しなかったならば
,部
分的にあるいは全面的に無意識で終ったかも知れない諸種
の精神的経験を人に通じる形で表現すること
,⑤
思想を必要な形で表現すること
,を
あげている。
そして
,教
育は児童や成人に音響
,像 ,運
動
,道
具
,器
具の作り方を教えること
,す
なわち表現方
法の涵養で ある とも定義 してい る。 デ ユウイー動もまた
,芸
術 とは行 為 また は製作 の行程 を表 わす もので ある とし,粘
上 を担 ね,大
理 石 を刻 み,青
銅 を鋳造 し,絵
具 を塗 り重 ね,建
物 を築 き,歌
を唄 い,楽
器 を奏 で,舞
台 で演 技 し, 舞踊 で は律動運動 をす るな どの働 きが芸術 の中 に含 まれ る としてい る。 そ して芸術 で は,活
動 的 ま た は `行為 的″側 面 が極 め て顕著 であ る と述 べ,ジ
ョン・ スチ ュアー ト・ ミルの,「 芸術 は表現 に船 ける完成 への努力 であ る」 あ るい は,マ
シュ ウー・ アー ノル ドの「天衣無縫 の純粋 な技価」 の言葉 を引用 してい る。 この よ うに,芸
術 自体 が,行
為 の側面 を持 ち,デ
ュ ウィーが美的 として と りあ げて いる ところの 鑑賞 的,認
識 的,享
受 的経験 にお いて意味 を持 って いる といえる。 で は,芸
術 にお いて技術 として客観 的 に伝達 し教 え得 る もの は何 であ ろ うか。技術 について,ハ
イデ ッカー は9,「技術 は露 わ に発 くこ と,従
って真理 が,生
起 す る領域 の中 に存在 している。」とし, 芸術 もまた,「真理 を輝 け る もの の光 の中へ出で一来 た らす〕露 わ な発 きの ひ とつで あるキ2。 Jと して い る。 また,S,K.ラ
ンガー°も,「芸術 は技術 で あ る。 だが それ は,あ
る特別 な 目的,す
なわ ち, 表現形 式,つ
ま り,本
然 の人 間感情 を打 ち出 して,視
覚,聴
覚 また は想像 力 を通 して知覚 で きる形 式 を創造 す ることを目的 とす る技術 で あ る。Jと
述 べ て い る。一方,技
術 と芸 術 との相違 につ いて, L.マ ンフオー ド01ま ,「芸 術 を技術 か ら区別 で きる意味 だ けか らいえば,芸
術 は まず何 よ りも個人 の 領域 に係 ゎ る もので あ ります。J「 芸術 とは,人
間個性 の十分 な刻印 をの こ して い る ところの技術 の 一 部 であ り,技
術 とは,機
械 過 程 を促 すため人 間性 の大部分 が そ こか ら排 除 され て しまった ところ の 芸術 の表現 である。」 として い る。 この よ うに,表
現形 式 として の芸術作 品 を創造 す る行為 としての芸術 は,人
間個性 を含 んだ技術 で あ る。 そ して この行為 は為 す こと,す
なわ ち経験 においてひ とつの意 味 を持 つ。 とい うの は,物
質 的素材 (ダンスにお いて は身体)んゞ芸術 とい う行為 によって受 ける変化 と同様 の変化 が,内
的素 材 に も行 われ,内
的素材 は,作
り直 し,深
め られ,処
理 され る とす るデ ュ ウイーの指摘 の ように, 表現 は混 濁 した感情 を明瞭 にす るか らであ る。 リー ドがあげている教育 的価値 もここか らみいだす こ とがで きる。 リー ドは,教
育 は表現 方法 の養成 であ る とし,作
り方 を教 えるこ とであ る としてい るが,こ
の教 え得 る もの,技
術 として伝達 し得 る もの は,マ
ン フォー ドの言葉 を借 りれ ば,芸
術 か ら人 間性 の大 部分 を排 除 した部分 として とらえ られ る。 この人 間性,あ
るいは,個
性,す
なわ ち,技
術 を芸 術 た らしめ,作
品 を芸術 的 な もの としている条件 について,デ
ュウイー は,`愛″と`美 的″をあげてい る。`愛″とは、手掛 ける主題 や 内容 に対 す る深 い心 や り,`美的″とは,享
受 し受容 す る認識 のた め形成 されな けれ ばな らない とい う芸術作 品 としての条件 で あ る。ハ イデ ッカー にお いて も,真
実 と美 の中へ,出
で一来 た らす こ とを芸術 としてい るが,美
とは,人
間性 や個 性 の介在 に よって形成 され る領域 と考 え られ る。 そ して,芸
術 とい う創造 の行為 か ら,人
間性 の大 部分,あ
るい は,人
間 個性 を取 り除 いた部分 としての技術 とは,外
界 よ り内面化 されたイメー ジや感情 や観念 を外部化 す るた めの媒体 の持 つ一般 的 な表現原理 であ る。 つ ま り,技
術 は,各
表現形 式 に固有 な媒体 の感情表 出性 として とらえ る こ とが で き る。 ヴ ィグマ ン°は,「 舞踊 はその意義 が人 の 自然 の動 きの表現 と関係 が あ る こ とを尊重 して心 に留 め る ときにのみ理解 で きる」 ので あ って,舞
踊 家 の ゼ スチ ュアの基礎 ともな る個人 的 な解釈 の裏 に, 常 に万人 共 通 の意 義 が あ る として い るが,こ
の万人共通 の意義 がす なわ ちダ ンス固有 の媒体 の持 つ 一般 的な感情表 出性 で ある。 つ ま り,ダ
ンス にお ける技術 として は,ダ
ンス固有 の媒体 で ある,身
鳥取大学教育学部 教育科学 第 20巻 第 2号 体 運 動 の 持 つ一 般 的 な感 情 表 出性 を と り出 す こ とが で き る。
(2)身
体運動の技術 としてのダンスにおける技術 ダンスにおける技術 は,身体運動 を媒体 としたダイナ ミックイメージの一般的な表現原理であ り, 感情表出性 を持 つ身体運動の技術 として考 えることがで きる。 運動技術 とは何 かを論ずる中で小林一敏りは,「技術 とは,一
定の目的を達す るのによ く適合する ように定型化 され,自
動化 された行動様式である。J「技術 とは,客
観的存在 としてのいわ ゆる近代 技術が個人の能力 として立体化 された (身についた)ものである。」という,技
術教育 の方面 での定 義 をあげ,こ
れが体育 の教科 にも通用する とする猪飼の見方 をとりあげている。 ここに,技
術 に関す るもうひ とつの条件,「個人の能力 として身 についた もの」が加 えられ る。高 部岩雄°もその体育学原論において,「運動技術 とい うものは,主
体的に即 した もの,身
についた も の,
という再認識 する必要があるだろう。」と述べている。 この「身 についた もの」は,新
修体育大 辞典9によると,技
能 として厳密な意味での技術 と区別 されている。小林 は,運
動技能 を,「目的 と す る運動 を達す る能力」,運
動技術 を,「目的 とする運動 に必要な準備情報」 として区別 し,そ
の関 係 を,「運動技能一運動体力 ×運動調整力 ×運動技術」のように とらえている。彼の論 によると,運
動技術 は感覚的,科
学的な運動の知識,運
動調整力 は練習の効果,そ
して運動体力 は運動効果機構 にあたる。 この運動技術の とらえ方か ら,ダ
ンスにおける技術 を再考察するなら,そ
れは,媒
体 としての身 体運動の持つ感情表出性 に関する知識 あるいは準備情報であるといえる。 そして,ダ
ンスにおける 技術の明確化の問題 は,身
体運動の感情表出性 に関す る知識や情報 とな り得 るものは何か を明 らか にす ることで具体的な ものになる。 ダイナ ミックイメージの媒体 としての身体運動の技術 は,経
験 を通 して技能 として身 につ き,個
性の介在 によって芸術 としての意味 を持 つ。(3)ダ
ンスにおける技術 小林 の論 における技術の流れの構造キ3によると,運
動状態(ダンスにおいては,ダ
イナ ミックイメー ジ)を
認識 し,表
現するための第一段階 としての要素への着 目が準備情報 としての技術 を明 らか に する。全 は,ダ
ンスのための準備情報,及
び,そ
の要素 とは何であろうか。それは,ダ
イナ ミック イメージの媒体 としての身体運動の持 つ感情表出性 に関す る知識であ り,一
般 に動 きの表現要因 と して把握 されている。 この要因についての論 には,ダ
イナ ミックイメージその ものの要因 を明確 に しようとするもの と,創
作の方法 を要因に分 けているものがあるが,動
きや構成 における表現性 と い う点では共通する見方が多い。 表①のA.Bは
,教育におけるダンスの立場から,表 現運動の構成要因をとらえた ものであ り,C.
Dは
芸術舞踊家が創作の立場か らとらえた表現原理 を教育現場 に応用 しようとしているものであ る。表①
表現要因
A B C D 水 谷光
m
松 本 千 代 栄1〕 五 十 嵐 英 子切 江 口 隆 脚 間 間 体 団 時 空 身 集 閥 性 円 性 態 間 時 形 崚 力 動 運 リ ズ ム 空間 (表
現) 表 現 運 動 (七つの変化) 空 間 構 成 時 間 構 成 速 ア ク セ ン ト リ
ズ
ム 方
向 高
さ 大
き
さ 進
路 デ ザ イ ン 身 体 の 面 動 か す 部 位 5蛮 度 応 密 対 遅 テ リ 除 時 高 移 直 対 距 位 向 強 ア 漸 持 休 集 密 ク 軸 的 な 運 動 空 間 移動 を伴 う空 間運 動 タ イ ミ ン グ ア ク セ ン ト テ ン ポ(スピー ド) 反
復 タ ク ク ト 高
さ 面 線 質 踊
frai
七つの変化身体の部分 高・ 低 移
動 ア ク セ ン ト タ イ ミ ン グ 向 ア 反 タ 空 舞 体 統 調 ポ 復 ト 間 (場) 形 不日 バ ラ ン ス ク ラ イ マ ッ ク ス 変 舞踊身体育成法 空間形成法等、 邦正美の創作舞 踊の基本科 目に よると思われる。
4者
が共通 にあげているのは,速
度,高
さ,移
動,ア
クセン トである。これ らは,時
性,形
態性, 空間性,力
性 の表現運動の構成要因にあてはめて考 えることがで き,身
体運動の感情表出性 に関す る最 も簡単で一般的な準備情報のひ とつ と言 える。 表現要因 (表現運動の構成要因)は
,単
一の 要因が持つ感情表出性か ら,そ
れぞれの性質が係わ りあった,よ
り多様 な感情表出性 を持つ動 きヘ と準備情報 としての幅 を拡 げる。この意味で,力性 と時間性の係わ りあいにおいて リズムを とらえ, 力性 と時間性及 び空間性の要因の質の変化 によるエ フォー ト・アクシ ョンの考 え方を展開 している,V.プ
レス トンリの論 は注 目できる。 また,松
本千代栄 らによる,「動 きの感情価」に関す る研究*4も 客観的で伝達可能な動 きの感情表出性の探求 として意味 あるもの と考 えられ る。 要因の係 りあいは,さ
らにク リエイテ ィブな方向へ も,技
術 として具体化,客
観化 され得 る可能 性 を持つ。すなわち,動
きの感情表出性 は,い
わゆる創作法 として,よ
り多様 で複雑 な,あ
るいは 深い感情表出性へ と幅 を拡 げる。このように,ダンスにおける技術 として知識や情報 とな り得 る一教 え得 る― ものは,身
体運動の持つ感情表出性であ り,表
現要因 と,表
現要因の性質がイメー ジ とし て浮かびあがるための構成の一般的方法が含 まれ るといえる。 さて,松
本千代栄171は,「創作するとい う独 自的,特
殊的な活動 をはばみ規制す ることな く『教 え うる一般的な もの』 は何であろうか」 として鳥取大学教育 学部 教育科学 第20巻 第2号 ①素材 としての身体
,そ
の動 きの改造 ②媒体 としての動 きの感情表出性 をあげ,ダ
ンス指導に際 し探求 しなければならないこととして指摘 している。 このうち②は,こ
れ まで論 じできたダンスにおける技術であるが,①
の素材 としての身体は,小
林の論の中の運動体力 にあたると考えられる。素材 としての身体は,ダ
ンスの準備情報 としての技術を駆使するために無 視で きないものである。 そ して,素
材 としての身体やその動 きの改造 は,い
わば素材づ くりという さらにアンダーな時点での身体運動の技術であ り,身
体 を表現の素材 とす るダンスに特有の もの と いえる。 したが って,素
材づ くりの技術 は,時
としてダンスその ものの技術 と混同され,特
に体力 面重視 における体育 の教材 としてダンスを認 めようとする際 に前面 に出された。 ここで改めて,ダ
ンスの意味が,そ
の行為 と,鑑
賞的,認
識的,享
受的経験 にあることと,ダ
ンスの教育的価置 も, 媒体 としての身体運動の経験 にあることを確認 しなければな らない。 すなわち,ダ
ンスの学習内容 としては,素
材づ くりの技術 と,媒
体 の表現性 に関する技術が含 ま れるべ きであるが,ダ
ンスにおける技術 は,媒
体 の表現性一身体運動の持つ感情表出性― に関す る 知識や情報であることを押 える必要がある。 II.ダンス の 学 習 内 容(1)ダ
ンスの基礎 限定 された授業時間内でのダンスの学習指導に とって「何 を,
どれ位,
どの様 な方法で習得 させ れば,ダ
ンスの基礎 といえるのか」は不可欠の問題である 。そして,こ
の問題 はまず,「ダンスの基 礎」を「ダンスの基礎的技能」と置 き換 えて考 えることによって解決の手がか りを得 る。すなわち, 「ダンスの基礎Jと
は,ダ
ンス創作のためにいつで も使 うことがで きるように,最
低限身につける 必要のあるもの ととらえられ る。 したが って,「ダンスの基礎」 は,身
体運動の技能の とらえ方 よ り, ① 各表現要因 とその様々な構成 による一般的な感情表出性 の知識や情報 としての技術一媒体 としての動 きの知識 ② 素材 としての運動体力 ③ 技術の体験や練習を通 して得 られる運動調整カー身体運動を媒体たらしめる運動調整力 の相乗作用によって身につけられる。この中で,「ダンスの基礎」のために,教
え得るものは,動
き の感情表出性の一般的な知識や情報 (表現要因及び,媒
体の構成の方法すなわち創作方法に関する 知識 も含んだ)と
,身
体 と身体運動の意識化や改造の方法である。そして,身
につけられた技能 は 「踊 る」「創る」「観る」の観点から理解 され評価される。 これらは,ダ
ンスとしての総合的意味を 持つ技能を;表
現の媒体,表
現の主体,表
現の鑑賞者 (主体 をも含む)の
それぞれの角度か ら区別 したものである。 身体運動の感情表出性 は,常
に素材 (学習者の発達や学習段階,経
験 による運動体力等)を
考慮 しなが ら教 えられ るべ きであるし,一
方の身体や身体運動の改造 も感情表出性 と結 びつけなが ら教 えられ,「ダンスの基礎Jと
して習得 されなければな らない。基礎的な技能 は,「踊 る」「創 る」「観 る」の総合的な もの として,学
習者の年齢や経験 によって指導の方法や技術の程度 を考慮 された う えで,学
習 目標 として掲 げ られ る。そ して,ダ
ンスの技術 は,ら
線状 を描 きなが ら練習,習
熟 され,技能 としてダンス創作の際の拠 りどころとな り得 る。 したがって指導の問題 は
,
この技術の習得のために,ど
れだけダンス としてTh二:験をされ られ る かにあるといえる。 それは,習
得 させ るべ き表現要因にいかに して出合わせ るかにかかってお り, 具体的には題材選択の問題 として指導者 にかか って くる。学習 目標 を含 む題材 による表現の経験 を 通 して,基
礎的技能 は身 につけられ,同
時に学習者 は個性の領域 を拡大 し,整
理す る機会 を得 る。 指導者 はこの題材 によって,「あたか も教 えていなかったようにJ教える。題材の選定 は,指
導法の 前提 として重要な問題 である。題材 は,表
現要因を含むばか りでな く,身
体や身体運動 を意識化す る機会 も含 んでいる。新 しい題材 によって,学
習者 は新 しい表現性 と新 しい動 きを経験 する機会 を 得 る。 このように,ダ
ンスの学習内容 としての,表
現要因 と素材づ くりは,別
々 に学習 されることもあ るし,同
一の題材の中に含 まれ ることもある。 しか も常 に双方 を含んだ,す
なわち,ダ
ンス として の内容 を持つ もの として指導 され学習 される。(2)ダ
ンスの段階的 な学習内容 ダンスにおける技術 はどのような段階 をた どって技能 として身 につけ られ るのであろうか。 表② は,水
谷光が,「生徒の実態 に即 した段階的な指導」の 目標 としてい るもの と,中
学生用準教 科書 に松本千代栄が学習のポイン トとしてあげているもの (したが って指導 目標ではないが)を
抜 き出 した ものである。 表② ダンス学習の段階 による目標 水谷 光 ダンス指導ハンドブック 大修館書店 1975 松 本 千 代 栄 中 学 窪 凍 解 旧阜無雪器株 式会社 初 歩 的 段 階 (1)リ ズ ミカ ル に動 くこ との楽 しさを体 得(2)感
じの あ る動 きがで きる (3)いろい ろ な題 や 内 容 を と らえて デ ッサ ン で きる(4)グ
ルー プで 動 く楽 し さを体 得 す る 表 し 方 題 材の選 択 と動 きの素描 リズ ミカルな動 き (1)動 きのい ろい ろな性 質 と感 じ (2)反 対要素 を持 つ動 きo簡
単 なまとま り や や 進 ん だ 段 階 (1)リ ズ ミカ ル な運 動 を連 続 して、 フ レー ズ で 動 け る(2)感
じの あ る動 きを,フ レー ズで動 け る (3)いろい ろ な題 や 内 容 を と らえて,内
容 に ふ さわ しい動 きの フ レー ズ がつ くれ る(4)グ
ル ー プで 対 応 した表現 がで きる 表 し 方 Ⅱ 動 きの フ レーズ (1)力 の変化 (2)反 復 と連 続 (3)動 きのデザ イ ン (4)フ レーズの変化 とま とま りO表
現 の 中核 にふ さわ しい フ レーズ を発展. ・全体 として感 じの こもった表現. さ ら に 進 ん だ 段 階 (1)内容 にふ さわ し くつ くつた動 きの フ レー ズ を変 化 。発 展 させ る (2)つ くった い くつ かの フ レー ズ をつ な げて 短 い作 品 をつ くれ る(3)グ
ル ー プの学 習 が 自主 的 に楽 しくで き る(4)グ
ル ー プ文↓グル ー プで 対 応 す る動 きがで きる(5)作
品 を発 表 して 見 せ 合 い鑑 賞 がで きる 表 し 方 Ⅲ 作品倉」作 (1)集 団 の変化 とま とま り (2)作 品全体 の変化 とまとま り (3)場 の変化 とまとま り 創作 と手)贋 発表 と鑑 賞Oク
ライマ ックス,統
一 の しかた,全
体 の性 質 (動きの は こび方) 望 ま し い 段 階(1)作
品 創作 の 手 順 を知 って,グ
ルー プで 自 主 的 ・計 画 的 に学 習 を進 め,楽
しい作 品 が 創 れ る (2)つくっ た作 品 にふ さわ しい伴 奏 音楽 を く ふ う してつ け られ る(3)作
品 の発 表 会 を開 き,よい作 品 を鑑 賞 し, 評価 で きる鳥取大学教育 学部 教育 科 学 第20巻 第2号 両 者共 に,身体 運 動 の感情 表 出性 を中心 に段 階的 な技能 を整理 してい るが,技能 の段 階 の最 初 には, 「直観 的 に とらえ表 わすJをあ げてい る。 そ して次 の段 階 で は,「 少 し長 さのあ る もの にす る」さ ら に,「 ただ長 く続 け られ るだ けでな く
,変
化 を とらえ表 現 す る」,最
も進 んだ段階 で は,「変 化 を,よ
り表現性 のあ る ま とま りとす る」の よ うに とらえ られ ている。 これ よ り,ダ
ンスの段 階的 な学 習 目 標 と,学
習 内容 とな る技術 を表③ の ように考 えた。表③段階的な学習目標 と学習内容
学 習 の 段 階 (学習目標,技能) 学習内容としてα 技術 (身体運動C 感情表出性) 学 習 内 容 と し て の 各 表 現 要 因 の 例 形 態 性 時 間 性 力 性 空 間 性 と ら え る 直 観 的 一 時 的 感 じ デ ッ サ ン 感 じの あ る 動 き,リズ ミ カ ル な動 き 形 の み 単発的 な動 き 瞬 間的 な動 き 遅 ・ 速 ;全 ・目耳 そ の 場 で つ づ け る 続 け 方 組 み合 わせ 感 じので る 長 さ 続 け て 動 く 続 け て 動 く 強 や弱 を続 け る 移 動 す る 直線,曲線, 前後 変 化 さ せ る と ら え 方 強 調 の 仕 方 い ろいろな形 違 う動 き だ ん だ ん速 く だ ん だん遅 く リズ ムの変化 漸 強 (弱) ア クセ ン トの 変化 直 曲 の組 み合 わせ い ろい ろな方 向 ま と め る 全体 と して感 じの こ もった 表現 盛 り上 が りと ま とま り 感 じが出 るよ うに組合 せ る 効 果的 な変化 とまとま り 効 果的 な速 度 の変化 必要 な長 さに ま とめ られ る ク ライマ ック ス とまとま り 効果 的 な場 の 使 い方 各表現要因については,そ
れぞれの段階で考 えられ る取 り扱 いの例 を示 したが,こ
れ らは単独 で 経験 させ ることはほ とん どな く,他
の要因 との係わ りあいによってその性質を教 え,情
報 として与 えることになる。 その際,一
方の要因の性質 を同 じものに してお きなが ら他方の要因を変化 させ る ことによって,変
えた方の要因の持つ感情表出性 をきわだたせ る。(3)ダ
ンスの学年別学習内容 ダンスの基礎的技能 は,各
学年で どの程度押 えられた らよいであろうか。 表④ は,実
際に行われている授業が,学
年 によって どの ような学習 目標 を持 っているかを,過
去 10年間の体育関係の雑誌等19か らぬき出 した ものである。(学年区分 は,小
学校低学年,中
学年,高
表④
過去
lo年間の資料における学習目標
-1
OF口身体運動の感情表出性(倉Jる,観る) △ ク
媒体としての身体運動(踊る) ☆ ク 態 度
表⑤
過去
lo年間の資料における学習目標
-2
標 本 小学校低学年の指導者 15名 中学年 ク 8″ 高学年 ク 9″ 中 学 校 ク 16″ 高 等 学 校 ク 4″ (計 52名) 学 習 内 容 動 き の 特 徴 を と ら え て 模 倣 で き る Э 自 由 に 表 現 が で き る ○ 沢 山 と ら え ら れ る ︹ 長 く 紛 け ら れ る Э 話 の 筋 に 従 っ て 動 け る 一9 調 子 良 く 動 け る △ 大 き く の び の び と 動 け る △ 役 を か わ り あ っ て で き る Э 友 だ ち と 工 夫 で き る Э 仲 良 く 遊 べ る ︹期
囃
深 ︲ こ
位
椰
る
模
倣
に
よ
り
動
く
こ
と
を
楽
し
む
☆
ね ば り 強 く 創 り ぬ く ☆ 感 じ の 特 徴 を と ら え て 表 現 で き る ヘ 感 じ の あ る 動 き が で き る △ 組 み 合 わ せ 、 続 け て 動 け る D 変 化 を も た せ な が ら 統 け ら れ る ︹ 動 き で 表 現 す る に ふ さ わ し い 題 材 を み つ け ら れ る Э 集 団 の 動 き で と ら え ら れ る ⊃ 盛 り 上 か り の あ る ま と ま り が で き る ︹ 表 現 の で き ば え を た し か め 修 正 で き る Э 絲 習 し 発 表 で き る Δ 自 己 の 表 現 意 図 か 伝 え ら れ る △ 感 じ に ふ さ わ し く フ レ ー ズ を 変 化 発 展 で き る Э 変 化 と ま と ま り の あ る 作 品 が つ く れ る ︹ 思 い 切 り 力 を 出 し 切 っ て 踊 れ る △ 鑑 賞 で き る ︵ 表 現 意 欲 か も て る す な る に 表 現 で き る ☆ ス テ ッ プ パ タ ー ン が つ く れ る フ ォ ー ク ダ ン ス を 基 本 と す る 創 作 が で き る 自 主 的 に 発 表 会 が で き る ☆ 高 校 I I I 中 学 校 I I ト ー 上 局 学 年 十 L I I 中 学 年 十 1 1 1 低 学 年 ︱ ︱ ︱ ・ ・ ︰ ・ t ・一
一
一稲
岬二
一榊
一一
とまとまりのある 自 主 的 な 発 表 会 自 主 的 な 発 表 会 感 じにふ さわ しく 練 習 し 発 表 きで表現す るにふ さ り上 が りの あ る 自己の表現意 図 を 集 国 の 動 き で で きばえをた しかめ をもたせながら もたせながら 感 じ の 特 徴 感 じ の あ る 動 き 役をかわりあつて 動 き の 特 徴 大 き くの び の び と鳥取大 学教育 学部 教育科学 第20巻 第2号
表⑥
過去
10年間の資料における学習内容
(準備情報としての技術
)卦
時 間 挫 空 間 性 形 態 性 力 挫 動 き 方 感 じ 変 化 デ ス ツケ サ ツ ンチ 中 内 核 容 幕 巧 上 り 連 焦 く り 返 し ま と ま り 話 の 筋 グ ル ー プ そ の 他 リズム そのfr 低 1 ① ○ 0 O 学 年 ① ⑫ ∪ 7 O O 9 ① ∪ ⑫ O O ① 0 ① ○ O Э O 中 ○ 1 ○ 〇 O 1 0 学 年 ① ① ① ○ ○ ○ ① O ○ ○ 0 ∩ 局 O ○ ○ ∩ ∩ 0 O ∩ O O 学 0 0 0 O 年 0 0 0 0 0 0 O 〇 ① 0 ① O ① O ① ① ⑫ 中 学 校 ⑫ ⑫ ∪ ∩ 0 O ① ∪ ① ∪ ∪ O ∩ 0 ○ O Э 〇 ① ① O O O ⑫ O ○ O ∪ 0 0 ○ ⑫ からだ ○ ∩ ∩ 0 0 0 0 O O O O O ∩ ∩ 0 0 ∩ ヾレエ の 基 礎 一島 校 ○ O O O O 0 O ∩ ∩ 時 間 性 空 間 性 形 態 性 力 性 動 き 方 感 じ 変 化 ス ケ ッ チ デ ッ サ ン フ レ ー ズ 中 内 核 容 盛 り 上 り 連 続 く り 返 し ま と ま り 話 の 筋 グ ル ー プ そ の 他 リズム その 犯 /11 9 8 6 2 0 4 2 8 0 0 0 1 2 /a 4 4 0 0 /e 5 3 7 3 4 4 4 2 0 1 1 甲一局 /11 1 6 R 3 5 /4 2 2 2 1 1 1 1 0 0 0 計 /1` 6 7 4 4 6学年
,中
学校,高
等学校 とした。数字 は,各
項 目を目標 としてあげている指導者の人数である。)こ の内容 を,題
材,創
る技能,踊
る技能,観
る技能,集
団の技能,態
度の6項
目に分 け,段
階別 に見ると表⑤のようになる。また
,前
項
(表③
)の
学習の段階と合わせて考えると
,低
学年では直観的
あるいは一時的にとらえる段階
,中
学年は続ける
,高
学年では変化させる
,中
・高では全体の変化
とまとまりをつける段階のようにあてはまる。
さらに,技
能習得のために,客
観的な情報 として与 えられている技術 を同一資料 よ り拾い出 した ものが表⑥である。 この うち リズムは,「リズ ミカルな動 き」や,「動 きの リズム」な どの形で各学 年共多 くとりあげられているので特 にぬ き出 し記入 した。すなわち リズムは,ダ
ンスの基本的,本
質的な もの として扱われているィことがわか る。 また,
リズム と同 じように変化 について も低学年か ら高等学校 まで全段階で教 えられている。 し たが って,変
化 についての知識 は,ダ
ンス本来の性質である リズム と並んで,感
情表出および構成 の最初の要因 として教 えられ るべ きものであ り,そ
の後 も押 えられるべ き技能 とされていると言 え る。 表全体 をみると,低
学年では学習内容 として,表
現要因のみが とりあげられているのに対 し,高
学年か らは,フ
レーズの知識が教 えられ,よ
り大 きな まとまりのある動 きの感情表出性 の情報が与 えられ る傾 向があることがわか る。 これ は,先
に考察 した学習の段階 と一致す る。 一方,表
現要因では,力
性 のみが低学年では全 くとりあげられていない。 これ は,「力」の概念 は 低学年では理解困難であ り,情
報 とな り得ない と考 えられているため と思われ る。 この ことか ら, 筆者が大学生 を対象 に実施 した授業キ5で,「手がか り」として与 えた力性 は,大
学生 に とっては有効 な情報 となったが,小
学校低学年 に対 して有効 な情報 とな り得 るか どうか確かめる必要があること がわかる。しか し,力 性 は リズム と関連 して重要な要因であ り,取 り扱 い方によっては低学年 に とっ て も充分有効 な情報 にな り得 ると考 えられ る。 また,表
には一括 して記入 したが,時
間性 については,低
学年では,「速 い一遅 い」の性質のみが 教 えられている。 これは,第
一段階の技能が,「直観的,一
時的に とらえる」と考 えられ ることか ら 妥当 と言 えるが,時
間性の うちで最 も初 めに教 えられ るべ き性質が,「速い一遅 い」であると言 うこ ともで きる。、
以上より
,各
学年で学習される技術として表⑦のようにまとめることができる。
表⑦
各学年における技術
睡亜□
((聯
昂
中核・盛り上がり。まとまり鳥取大 学教育学部 教 育科 学 第20巻 第2号 これ らの技術が技能 として身につ くために適切 な経験がなされなければならないが