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とうきょう会議リレートーク

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Academic year: 2021

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地域生活支援センター リヒト 東貴宏 20070721:とうきょう会議 • 現在、「相談支援」は、トランプのジョーカーの ように扱われている • 「相談支援」について、考えるべきことの論点を 揃える 相談とは何を指しているか • 「相談」は対人援助だけの専売特許ではない • しかし、いつしか「相談」は「日常的な営みから 離れた、専門的な仕事」になった • すりかえの道具としての「相談」 • 「自分にとって、何をすることが相談か?」が問 われている 相談支援は何を求められているか • 「指定相談支援」と「委託相談支援」 • 相談支援=ケアマネジメントの矮小化 • 「地域活動支援センター名称問題」の意味 • 「相談」は何も求められていないのかもしれな い 相談=「杖」をめぐる議論 • 「精神障害者にとっての『相談』とは、杖のよう なものである」 ‒ (とうきょう会議設立プレ企画:2007.01.20) • 相談=「杖」論は、支援者にとって新しい視座を与え る – 「杖」を引き受ける私とは誰なのか – 身体・知的の知見から学ぶこと まとめー相談支援はどこにあるのか • 「相談」は、共通言語ではない曖昧なもの • 相談のもつ暴力例への配慮 • 行政が考える「相談」の貧困さ • 相談=「杖」が与える視座 – 「杖」を引き受ける支援者自身への問いかけ – 他領域からの知見の学び

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0.あいさつ

みなさん、こんにちは。 狛江市にあります地域生活支援センター リヒトの東貴宏ともう します。本日は、「相談支援はどこにあるのか」というテーマで、お 話をさせていただきます。

1.相談支援はマジックワード

現在、相談支援という言葉は一人歩きしています。 行政が使っている「相談支援」も、医療機関で使用している「相 談支援」も、地域を舞台にした障害福祉領域でさえも、身体障害・ 知的障害・精神保健福祉それぞれに違った意味合いで「相談支援」 という言葉が用いられています。 加えて、たちの悪いことに、「相談支援」という言葉が示している 範囲や用途が、それぞれの立場によって違っているにもかかわらず、 あたかも共通の「相談支援」の姿があるかのように思われています。 現在、「相談支援」は、そのようなトランプのジョーカーのような 立ち位置で、支援者から語られているように、私は思います。 今日は、この得体の知れない「相談支援」について、考えるべき ことの論点を揃えます。

2.相談とは何を指しているか

そもそも、「相談」は対人援助職だけで使用されているわけではあ りませんでした。相談が目に見えるものとしてあらわれた最も古い もののひとつに、読売新聞の家庭欄ではじまった身上相談1がありま す。また、現在でも結婚相談所や、生命保険会社の相談、市民相談 や法律相談など、民間の団体や企業において相談は様々な場所で行 われています。 このように、そもそもの「相談」は対人援助だけの専売特許では ありませんでした。しかし、ことソーシャルワークの領域では、「相 談」はいつしか「普通に生活の中で成される行為から、ある場所や 枠組みを持ち、日常的な営みから離れた専門的な仕事」になったの

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です。 では、行政では「相談」をどのように使用していたかについて考 えましょう。行政において「相談」の占める位置はずいぶんと低い ものだったようです。 元横浜市職員で、現在愛知県立大学教授の須藤八千代は、自らが 福祉事務所に勤めていた経験から、行政における相談の位置につい て、著書2の中でこのように記述をしています。 まず、行政の職員は「生活保護の申請受理や社会福祉施設への入 所措置、また諸手当の支給決定などのような行政処分に至らない相 談に、組織の人びとは関心を持たなかった」と述懐します。そして、 「経済的なニーズや介護・保育ニーズを持って福祉事務所に来た人 の制度利用を抑制するため「慰め」や「励まし」で帰すことに相談 ということばが用いられる現実があった」とも述べています。 そして、このような「生活保護の受給を抑制する力として相談が すりかえの道具として利用されていた」現実を明らかにしました。 このように須藤は、著書の中でそうした相談の持つある種の暴力 性を吟味しながら、論を進めています。 この須藤の語りから、私たちは何かを学ぶ必要があると思います。 「自分にとって何をすることが相談だと思うか」という問いに眼を 向けることが示唆されているからです。

3.相談支援は何を求められているのか

では、実際のところ現在の相談支援では、何が求められているの でしょう? 障害者自立支援法での相談支援は、都が指定する指定 の相談支援事業と、市区町村が指定相談支援事業者に委託する委託 の相談支援事業とがあります。 ここでは、自立支援法の目玉のひとつとして登場した「指定相談支 援」について触れます。指定相談支援事業は、俗に「障害者ケアマ ネジメント」とも呼ばれるものです。しかしこの事業の対象となる 人は思ったよりも少なく、都内でも活発に行われているところはそ う多くないと耳にしています。 障害者自立支援法がケアマネジメントを「相談支援」のひとつと

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自立支援法が相談支援という概念を狭める可能性も浮き彫りになっ てきました。このままいけば、残念ながら、相談支援イコール障害 者ケアマネというように、支援者たちにも理解されてしまうでしょ う。現時点での精神保健福祉分野のケアマネジメントは、実際のと ころフォーマルなサービスは「ヘルパーの調整」だけしかなく、当 事者が社会資源から何かを選ぶという形式にはなっていないのです。 加えて、ケアマネジャーはサービス量の調整をする事も出来る役回 りです。先に須藤を引いて説明した、生活保護ワーカーのような役 回りも、障害者ケアマネジャーにはついて回るのです。 次に、市町村から委託されている相談支援事業について触れます。 都下の多くの地域生活支援センターが、2006 年 10 月に自立支援 法に定める相談支援事業所に移行しました。しかし、多くの支援セ ンターが自らの名称を地域生活支援センターから地域活動支援セン ターに変更しあるいは/させられ、「相談支援事業所」というアイデ ンティティを剥奪されるような出来事がおこりました。すべての支 援センターが先に述べたようではないですし、市区町村側からの強 い要望、あるいは指導の結果、渋々名称を変更したという事例もあ ると支援センタースタッフの名誉のために一言付け加えておきます。 しかし、市町村などが「相談支援」をどのように理解しているの かを測る尺度として、この『支援センター名称問題』は、市区町村 が相談についいてどのように理解しているかと言うことを、明らか にしてくれているようにも思えます。地域生活支援センターは、自 らが進んで望んでいないのにもかかわらず、相談支援事業所と地域 活動支援センター1型に分断され、しかも、相談支援事業所である というアイデンティティすら、市区町村が認めていないという、二 重苦三重苦の事態が理解できるからです。 「相談」に限って言えば、「障害者を通わせ」、「創作的活動などを する」という国の規定は、何の意味も持ちません。 おそらく、国も市町村も「相談」をそれほど必要なものと理解し ていないのです。「相談」には、何も求められていないのかもしれま せん。

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4.相談=「杖」をめぐる議論

しかし、本当に「相談」には、何も求められていないのでしょう か?行政から不当に低い位置に置かれ、値踏みされているとしても、 私たちが行なう「相談」の意味について、その認識を深め共有して いく必要があるとおもいます。 そこで、ヒントとなるのは、JDの常務理事であり、きょうされん の理事でもある藤井克徳が、とうきょう会議のプレ・イベントの講 演において語った言葉です。 藤井は、精神障害者にとっての相談の意味を次のように述べまし た。 「精神障害者にとっての「相談」とは、杖のようなものである」3 藤井なりのこの定義を、私たちはどのように理解すればよいでし ょうか。 「杖」が表現するものは、歩けない人にとっての車いす、私のよう に目が悪い人の眼鏡でしょうか。もしそうだとするならば、様々な 問いが浮かび頭の中が忙しくなってきます。 たとえば、精神しょうがい当事者にとって「相談」が暮らしの一 部になるのではないかという問いが浮かびます。また、相談を受け 持つ人間である援助者としての私が「杖」だとすれば、「杖」を引き 受ける私とは誰なのかと、問いを続けることも可能です。 藤井の語る相談=「杖」論は、精神保健福祉領域の支援者にとっ て新たな視座を与えてくれるもの4だと考えます。 これに加え、障害福祉サービスの他の領域、つまり、身体障害者 福祉における「相談支援」と、知的障害者福祉における「相談支援」 の知見からも新たに学ぶ必要があると思うのです。

5.まとめ

では、このお話をまとめます。 まず、相談支援という言葉が指し示すもの自体が、非常に曖昧な ものだと言うことを申しました。そして、相談の持つ暴力性につい て須藤の記述を紹介しながらお伝えしました。

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るイメージの貧困さを指摘した上で、私たちが現実に行っている実 践現場に引きつけた「相談支援」の有りようを、藤井の言葉を借り つつ考えました。 加えて、他の障害福祉領域からの知見からも学ぶ必要がある点を 指摘しました。 残念ながら、精神障害者の地域生活支援をする私たちは、未だ「相 談支援」について、充分に語る言葉を持っていません。今後、この とうきょう会議の場で「相談支援」について理解を深めていこうで はありませんか。 最後に、「相談支援はどこにあるのか」という最初の問いに戻りま す。結論は、簡単です。ここにあるのです。精神保健福祉に限った 話になるかもしれませんが、相談を受ける「杖」としての私たちが 相談支援の核心です。少なくとも、当事者の人たちに必要ないと言 われないように、杖としての私の有り様を考えること。これが、相 談支援はどこにあるのかという問いに対する、現時点で私なりの結 論です。 支援者としての私たちの営み、そして私たちがが存在し・働いて いる意味も含め、とうきょう会議で考察を重ねていきましょう。 1 須藤八千代ら編・著(2005):相談の理論化と実践, 相談の女性学から女性支援へ, 新水社 2 1)に同じ。 3 2007.01.20「とうきょう会議設立プレ企画」における、藤井克徳の記念講演より引用 4 筆者はこのことについて、「相談をサービス利用のための調整に矮小化せず、利用者(クライ エント)と支援者との関係性そのものが、生活を支える基盤となるものとして考えること」と 理解した。ここでは、援助者とクライエントとが二者関係へ埋没することへの危惧についてや、 社会構成主義の立場からみた「援助者側がクライエントを管理すること」への危険性に関して は、触れていない。その意味で不十分な議論である。それを理解した上で、こう述べた。

参照

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