ラジエーターバルブの役割
ラジエーターバルブがラジエーター内に一定の圧力をかけますと、冷却水が120.3℃まで沸騰し
なくなる。(大気圧98kPa+ラジエーターバルブ88kPa=186kPa)そして冷却水の水
泡の発生を抑え、エンジンの焼きつきを防ぎます。また高くなった沸騰温度差を利用して冷却水の放
熱効率を高めています。もう1つの役割は、ラジエーター内とサブタンク間の冷却水を効率よく循環
させる事です。ラジエーター内の温度と圧力により、冷却水が不足になったり、過剰になったりしま
す。サブタンクは冷却水を扱う銀行のようなものです。必要の時にはラジエーター内へ冷却液を供給
し、不必要な時には、ラジエーターがサブタンクへ冷却水を貯蓄します。この管理をラジエーターバ
ルブは行なっています。ただのフタには出来ません。
ちなみに圧力が低い富士山頂付近では、水は約88℃で沸騰します。ラジエーターバルブは加圧する
ことでこの逆の現象を起こしています。
たとえば外気温が20℃あるとしましょう。そこで40℃のシャワーを浴びて体を温めて外に出ます
と、20℃の温度差によって体はすぐに冷えます。しかし30℃のシャワーを浴びた場合は、温度差
が10℃のため、体は中々冷えません。ラジエーターバルブはこの温度差を大きくすることで、冷や
す効率を高めています。外気温が同じ20℃の場合でも、冷却水は120℃にもなる為、温度差は1
00℃にもなります。
主圧弁
負圧弁
ラジエーター内へ
主圧弁
負圧弁
サブタンクへ
ラジエーターバルブが車に及ぼす影響
ラジエーターバルブが車に及ぼす影響としては、直接的な面と間接的な面があります。
下図には車の循環・冷却システムのポイントとなる部分を記載しています。この5つのバランスが保た
れているからこそ、車は快適に走行出来るのです。ところが1つでもバランスを欠いたらどうなるので
しょうか?
ラジエーターバルブに不具合が起きている場合を例にとって説明します。ラジエーターバルブの冷却効
果が低下していると、その他の冷却システムで補おうとします。電動ファンを回し冷却を行い、その電
源となるバッテリーが消費します。またラジエーター本体やLLCはラジエーターバルブの不具合を直
接受け、早く劣化したり、負担が増えます。オイルによってもエンジンは冷却されますが、ラジエーター
側の効果が少ない為に、負担が増え早く劣化します。最も交換されているのはオイルですが、オイルが
汚れていたりすると、エンジンの冷却効果も低下しています。ということはラジエーター周りも影響を
受けていると考えても過言ではありません。オイル交換の際にも、『オイルが汚れていた事でラジエー
ターにも負担がかかり、交換しないとすぐに劣化してしまいます』の一言でラジエーター周りの点検・
交換が簡単に可能になります。
これら影響を受けますと、様々な要因が複合的になり結果として、馬力が落ちる、燃費が落ちる等の体
感出来る問題に発展します。こうなってはすぐに点検・交換をしませんと、色々なところにガタがきて、
最悪はエンジンが壊れることもあります。
5つのバランスが良好のとき
ラジエーターバルブ
バッテリー オイル
電動ファン ラジエーター本体
(LLC)
5つのバランスが不良のとき
ラジエーターバルブ
バッテリー オイル
電動ファン ラジエーター本体
(LLC)
ラジエーターバルブの点検・交換マニュアル
①
濡れたタオルを準備します。
②
タオルをラジエーターバルブの上に乗せ、ゆっくりと
回します。2段階でゆるみますので、途中で止めラジ
エーター内の圧力を抜いてください。
③
バルブをゆっくりと回した後、開栓して下さい。熱
い時に一気に開けますと熱湯が吹き出すことがあり
ます。
④
外したバルブの水分を拭き取り、テスターの
アダプター部に取り付けます。(2段階で締ま
りますので、確実に回して下さい)
⑤
2∼3回ポンプを作動させ圧力を測定します。
⑥
テスターの値が許容限度範囲内(−0.1)以下
なら、交換を勧めて下さい。(メーターで赤の範
囲は交換対象です)
⑦
必ず車種別適用表からお車に合うバルブを選ん
で下さい。製品は国産車限定ですが、特殊な車
両やトラックには使用不可です。
⑧
ラジエーター本体とバルブがしっかりと取り付けら
れているかを確認して作業は終了です。バルブは2
段階で締まりますので確実に。
熱い冷却水
の
扱いに注意して
ラジエーターバルブのセールスマニュアル
① ターゲット
SSに立ち寄ったお客様すべてがターゲット!とにかく全車総点検が目標。少なくてもPITに入る車は全て点検!
作業時間は1台あたり1分足らず。
② 交換の目安
・ラジエーターバルブテスターを使用した場合、適正値の−0.1以内であればOK!それを超えた場合は交換時期です。
・バルブを開けた時、冷却水が開栓口一杯まで入っていない場合。
・目でチェック。バルブ裏のゴムパッキンがへこみ・変形している場合。
・スプリングが錆びている場合。
③ アプローチ
1‥給油作業中にも出来る。洗車時間にも出来るオープンボンネットの声かけ
2‥ラジエーター内のクーラント残量・バルブ本体の錆び・劣化の目視による点検
3‥バルブテスターを利用した圧力の点検(視覚的効果)
セールストーク
1‥ラジエーター内のクーラントが不足の場合は補充・バルブの交換を薦めましょう。その場合『サブタンクからラジエー
ター本体に冷却水が流れていない為にクーラントが足りていない状態です。』と知らせます。
2‥『車が止まってしまう前から、オーバーヒートは始まっています。』予防としての交換を促しましょう。
3‥車が止まってしまわなくても、オイルの劣化・燃費のダウン・馬力ダウンは始まっています。
④ 交換
1‥突沸に注意しラジエーターバルブを軽くまわし、1度圧力を抜きます。その後ゆっくりと更にまわし外します。
2‥適用表に従い適用品を取り付けます。冷却水が減っていれば補充も勧めます。
3‥交換後、ラジエーターバルブがスプリングとゴムパッキンを使用している構造上、あくまでも消耗品であることをお
客様に伝えましょう。
4‥1年に1回が交換の目安です。
⑤ 注意!
ラジエーターバルブを新品に交換することにより、劣化したラジエーターホースやラジエーター本体が破損する場合があ
ります(昭和年式の車種は特に注意)。万一、そのようなことが起こっても、ラジエーターバルブの交換によりその箇所
が発覚したと考えて下さい。この点は点検・販売時にお客様にご説明下さい。
パッケージにも赤文字で記載していますが、『トラック』への装着はしてはいけません。
キャンペーン成功例
① A特約店(28SS所有)の場合
28SSを3つのグループに分け、勉強会を実施。グループ毎に目標数を設定し『達成率賞』『最多販売賞』を設け
10,000個の実売を達成。
② B特約店(3SS所有)の場合
3SSで1,000個を目標にキャンペーンを開始。点検販売の徹底で目標達成!
③ ショップ(38店舗)の場合
店舗毎に目標数を設定しピットにて徹底した点検販売を実施。2ヶ月間で6,000個の実売。キャンペーン終了後も
点検販売が自主的に行われ年間20,000個の実売を達成!次年度は50,000個に挑戦した。
その他にもまだまだ成功事例はあります。そんな中でのキャンペーン成功の秘訣は
① 勉強会の実施
PIAA担当者がお手伝いします。セールススタッフの意識付けには欠かせません。しかしメーカー主導による勉強会
だけでは全てを補うことは困難です。実際の販売店を熟知している担当営業や代行店・指定店の皆様がラジエーターバ
ルブを理解して頂くことが重要です。理解と実践をすれば簡単に売れてしまう商品を取り扱っていることを認識して下
さい。
②目標を設定する
目標の決め方は様々です。昨年実績をベースにしたり、保有台数から割り出したりしています。初めてのチャレンジな
ら低過ぎず、無理をせずに!キャンペーン実施が2回目以降ならより大きな目標にチャレンジ!!
③徹底した点検を!
解っているけどつい忘れがちです。テスターを使って結果をお客様に見せてあげる事が最大のポイントです。良し悪し
をハッキリ数字でお客様にアピールできる数少ない商品がラジエーターバルブです。ツボにはまればワイパーブレード
より販売は簡単です。
積極的な声かけ・点検・販売が、必ず結果となる商品です!!