VTE
の臨床試験と課題:実臨床データがどう適合するか
www.medscape.org/roundtable/noacs-vte-realworld VTEの臨床試験と課題:実臨床データがど う適合するか Jan Beyer-Westendorf, MD:こんにちは。ドイ ツのドレスデン大学病院で助教授をしておりま すJan Beyer-Westendorfです。本日お届けする プログラムのタイトルは「VTEの臨床試験と課 題:実臨床データがどう適合するか」です。 パネリスト 本日こちらバルセロナで開催中のESCからお 届けするプログラムにお招きしているのは、イ タリアのヴァレーゼ大学病院内科学準教授の Walter Ageno先生です。ようこそ、Ageno先生。Walter Ageno, MD:Beyer-Westendorf先生、よ
ろしくお願いします。 Dr Beyer-Westendorf:そして、オンタリオ州ハ ミルトンのマクマスター大学の医学・生化学教 授で、血栓症とアテローム動脈硬化症研究所エ グゼクティブディレクターをされていらっしゃい ますJeffrey Weitz先生です。Weitz先生、そして 聴講の先生方、ようこそお越しくださいました。
Jeffrey I Weitz, MD, FRCP(C),
FACP:Beyer-Westendorf先生、お招きありがとうございます。
VTEの臨床試験と課題 �
実臨床データがどう適合するか
�
モデレータ� ��� ����������������� ��� ドレスデン⼯科⼤学医学部� カール・グスタフ・カールス⼤学病院� ����� (ドイツ、ドレスデン�� � パネリスト� Walter Ageno, MD, P�D� ヴァレーゼ⼤学病院� 内科学準教授�� (イタリア、ヴァレーゼ�� Jeffrey I. Weitz, MD, � FRCP(C)� マクマスター⼤学�� 医学・⽣化学教授� (カナダ、オンタリオ州ハミルトン�� �プログラムの目標 Dr Beyer-Westendorf:本日のプログラムでは、 静脈血栓塞栓症治療に関する実臨床とランダ ム化臨床試験のデータについてお話し、実臨床 エビデンスが静脈血栓塞栓症患者さんにどのよ うな意味があるのかを考察し、理解を深めて参 りたいと思います。 Weitz先生、いま世界が抱える静脈血栓塞栓症 の問題点について簡単にご説明いただけます か。 VTEは世界でトップクラスの死因[1-3] Dr Weitz:世界では4人に1人が塞栓症で亡くな っています。VTEについては、心筋梗塞(MI)や脳 卒中後にみられる血管性の死因の第3位となっ ています。欧州では、毎年50万人を超える方が 静脈血栓塞栓症で亡くなり、米国にいたっては 毎年15万人超が静脈血栓塞栓症で亡くなって います。
プログラムの⽬標
以下の知識を深めていただけます� • VTEに関する実臨床とランダム化⽐較試験データ� • 臨床診療への適⽤時に予測されること�� 本プログラムは、⽶国内での使⽤が承認された医薬品の適応 �使⽤����内�������a. Raskob GE, et al. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2014;34:2363-2371; b. Cohen AT, et al. Thromb Haemost. 2007;98:756-764; c. Gould MK, et al. Chest. 2012;141(suppl):e227.�
VTE
は世界でトップクラスの死因
• 世界では4⼈に1⼈が塞栓症で死亡[a]�
• 欧州では毎年50万⼈超が死亡[b]�
VTEのNOAC治療に関する臨床試験[4-11] Dr Beyer-Westendorf:静脈血栓塞栓症に対 するNOACの短期投与と延長投与での安全性 と有効性のエビデンスは、複数の大規模な臨 床試験で確立されています。apixabanについ ては、AMPLIFY試験とAMPLIFY-EXTENSION 試験です。dabigatranについては、RE-COVER 試験とRE-SONATE試験、そしてRE-MEDY試 験。rivaroxabanについては、EINSTEIN-DVT 試験、EINSTEIN-PE試験、そしてEINSTEIN CHOICE試験がありました。edoxabanについて は、Hokusai-VTE試験が行われました。 Walter先生、このように、臨床試験で得られたエ ビデンスはありますが、実臨床のエビデンスに はどのようなものがあるでしょうか? Dr Ageno:はい。確かに臨床試験でのエビデン スはあり、主要な臨床試験のいくつかも完了間 近です。薬剤も入手できる状態になっています。 第III相試験後は、確実に第IV相試験からのさら なるエビデンスが必要だと思います。4剤すべて で目覚ましいデータが得られた心房細動とは逆 に、VTEのデータは新しいデータが出始めたば かりです。 実臨床データ[12-16] 現在、レジストリまたは観察研究が数件行われ ており、進行中または最近終了したといった状 況です。最初に発表される予定なのはXALIAで、 直接経口抗ウイルス薬として最初に登場した rivaroxabanの静脈血栓塞栓症治療薬としての 承認を目指した試験です。XALIAには、XALIA EL という関連研究があり、これは世界各地で実施 されました。XALIA ELも最近終了しました。 GARFIELD-VTEレジストリのほうですが、これは 世界5大陸からの登録が行われた世界規模のレ ジストリで、つまり直接経口抗凝固薬の臨床使 用の実際を非常に幅広い視野でみることができ ます。このレジストリでは薬剤1つだけでなくす べての薬剤を対象にしており、もちろん従来の 標準治療薬も含まれています。 RIETEレジストリですが、これは現在も進行中で 数年前にスペインで開始されましたが、のちに 他の多くの国も参加するようになりました。最初 はwarfarinで治療を受けていた患者さんが対 象でしたが、今ではDOAC治療の患者さんの登 録も行われています。研究や調査はほかにもた くさんあります。国内規模と国際規模の両方が あります。 Dr Beyer-Westendorf:それでは、XALIAのデ ータについてもう少し詳しくお話いただけます か?
VTEのNOAC治療に関する臨床試験�
apixaban�• AMPLIFY[a] 、AMPLIFY-EXT[b]�
dabi�a��an�
• RE-COVER[c] 、RE-SONATE、RE-MEDY[d]�
�i�a�oxaban�
• EINSTEIN-DVT[e]、EINSTEIN-PE[f] 、EINSTEIN CHOICE[g]�
edoxaban�
• Hokusai-VTE[h]�
a. Agnelli G, et al. N Engl J Med. 2013;369:799-808; �
b. Agnelli G, et al. N Engl J Med. 2013;368:699-708; �
c. Schulman S, et al. Circulation. 2014;129:764-772; �
d. Schulman S, et al. N Engl J Med. 2013;368:709-718; �
e. EINSTEIN-PE Investigators, et al. N Engl J Med. 2010;363:2499-2510; �
f. EINSTEIN-PE Investigators, et al. N Engl J Med. 2012;366:1287-1297; �
g. Weitz JI, et al. N Engl J Med. 2017;376:1211-1222; �
h. Hokusai-VTE Investigators, et al. N Engl J Med. 2013;369:1406-1415.�
a. Ageno W, et al. Lancet Haematol. 2016;3:e12-e21; b. ClinicalTrials.gov. NCT02210819; �
c. ClinicalTrials.gov. NCT02155491; d. Weitz JI, et al. Thromb Haemost. 2016;116:
1172-1179; e. RIETEウェブサイト��
実臨床データ�
•
XALIA、XALIA-LEA
�a,b��•
GARFIELD-VTEレジストリ
�c,d��XALIA[12] Dr Ageno:XALIAは最初に登場し、発表された 研究です。XALIAはrivaroxabanの登場と共に開 始されました。患者さんをこれら新薬でどのよう に治療するかについて、多くの注目が集まって いました。それはまた、rivaroxabanが、いわゆる heparin投与に始まる治療が不要な単剤投与ア プローチに使用できる可能性がある初の薬剤で あるということも理由です。 XALIAでは、rivaroxabanで治療を受けている患 者さんの情報、そしてもちろん標準的な治療を 受けている患者さんの情報を収集することをね らいとしていました。具体的には、まずはどうい った患者さんに新規治療薬が投与されているか を観察すること、次に全患者の最低1年の追跡で rivaroxabanの有効性と安全性を評価すること でした。この約3年におよぶ研究で観察されたこ とは、最初は医師が慎重になっていたという点 です。それは当然といえましょう。ご想像のとお り、rivaroxabanは通常、より年齢が若く、より健 康状態が良好な患者さんに投与されており、が ん患者さんに投与されたケースはほとんどあり ません。 最終的に、XALIAのrivaroxaban群は、EINSTEIN に登録した患者集団と非常に類似していまし た。 EINSTEIN-DVTとXALIA:転帰[8,12] このような結果と、VTE再発および出血イベント から観察されたことは、XALIAは、EINSTEINの結 果を実臨床の患者集団で証明したという点で す。患者集団は、年齢と併存症の面で第III相試験 であるEINSTEINの登録患者と類似していたので す。ここからまず主に言えることは、「結果は非常 に類似し、EINSTEINの結果は強く確証された」と いうことでした。 また、rivaroxaban群と標準療法群の転帰を比較 することも計画されています。ここでの比較は非 常に慎重に行われる必要があります。私はやは り、この研究は、EINSTEINの結果を支援するをこ とが目的になると思います。 というのも、標準療法群の患者さんはより健 康状態が不良で高齢であったため、このとき の両治療の比較は困難です。ここで言えるの は、rivaroxaban群における再発および出血イベ ントは非常に少なかったこと、そして両群をより 類似させるためのプロペンシティスコアマッチ ング時には統計的有意差はみられなかったとい うことです。これだけが導くことができる結論だ と、私は思います。XALIAは、有効性と安全性を 確認した非常に優良な研究だったと思います。 ��
EINSTEIN Investigators, et al. N Engl J Med. 2010;363:2499-2510; Ageno W, et al. Lancet Haematol. 2015;3:e12-e21. �
EINSTEIN-DVTとXALIA:転帰�
特性� EINSTEIN-DVT� XALIA� 年齢 (歳)� 55.�� 5�.3� 男性 (%)� 5�.4� 54.5� � VTE既往あり (%)� 19.4� 24.1� ベースラインの 活動性悪性腫瘍 (%)� 6.�� 5.6� ⾎栓� 形成傾向 (%)� 6.2� 6.0� 0.�� 2.1� 0.�� 1.4� 0 0.5 1 1.5 2 2.5 ��⾎� VTE�発� 発⽣率 ( 患者の割合 �%)� EINSTEIN-DVT XALIA臨床試験と実臨床データ比較 Dr Weitz:Beyer-Westendorf先生、先生が最も ご存知だと思うのですが、先ほどおっしゃったよ うに、実臨床データから特定の集団でそれら薬 剤がどのように作用するかを確認することは本 当に重要です。まず、ランダム化臨床試験という のは、厳しい選択基準や除外基準が設定され、 綿密な追跡が行われるといったように、希少な 条件の下で行われます。われわれが欲しい情報 は特定の集団の設定での状況です。実臨床研究 に関してですが、XALIAでは何が良かったかと申 しますと、前向きコホート観察研究であったとい うこと、しかし綿密な追跡が行われ、出血やVTE 再発、死亡などの評価項目は中央評定委員会に よって評価が行われたことです。 どちらかと言えば臨床試験的な要素が強いも のの、それでも実臨床下の患者さんを対象にし ています。実臨床データの研究や調査の種類に は、エンドポイントが委員会により評価されるこ ういった前向きコホート研究があります。これ はおそらくエビデンスレベルとしては最高だと 思われます。そしてレジストリ、さらに後向きに 行われる保険請求データベースの分析もあり ます。 Dr Beyer-Westendorf:最高レベルのエビデン スとは、実臨床内でのということですか? Dr Weitz:実臨床内です。何を申し上げたいか と言いますと、ランダム化臨床試験では最高の 情報が得られるということです。実臨床データを みるときは、エビデンスレベルも考慮しなくては なりません。XALIAは厳格なタイプの実臨床研 究でした。大出血と再発の確率は、EINSTEIN-PE 試験およびEINSTEIN-DVT試験のものと類似し ており、そのため、rivaroxabanには、より幅広い 集団設定の場合でもそれらの臨床試験と同様 の成績が期待できるだろうと思われます。 Dr Beyer-Westendorf:同感です。これは、実 臨床エビデンスが得られる心強い条件つきの 研究だと言えます。というのも、実臨床という状 況では、患者選定が各薬剤で異なるときに薬 剤と薬剤の比較ができないこともあるでしょう し。Weitz先生、GARFIELD-VTEレジストリについ てはどうですか?
a. Ageno W, et al. Lancet Haematol. 2015;3:e12-e21; �
b. EINSTEIN Investigators, et al. N Engl J Med. 2010;363:2���-2510.�
ÈÒ²ºSÈÒiEgµÔ
• 実臨床データはその集団設定で薬剤がいかに作⽤するかを 把握するために重要� • 臨床試験では厳格な選定/除外基準が設けられ、綿密な追 跡調査が⾏われる� • XALIAは前向きコホート研究であり、綿密な追跡調査が⾏ われた。エンドポイントには出⾎、VTE再発、死亡が設け られ、中央評定委員会による評価が⾏われた� – 臨床試験の要素が強いが、実臨床下の患者が対象� – ⼤出⾎と再発の発⽣率は、EINSTEIN-PE試験および EINSTEIN-DVT試験と類似[a,b�� – rivaroxabanは、より幅広い集団設定の場合でも臨床試験と 同様の成績が期待できる�GARFIELD-VTE[15] Dr Weitz:GARFIELD-VTEレジストリは、Walter 先生もおっしゃったように大規模な国際レジス トリです。長年にわたってVTEであると診断され た患者さん5,000人を連続する2つのコホートに 登録する計画で始まりました。登録は非常に迅 速に行われました。 GARFIELD-VTE:患者集団[17] 登録患者は11,000人を少し上回ります。中に は、VTE診断が客観的に確認されなかったため 除外された例もありました。追跡調査で初回治 療、長期治療、延長治療、治療薬の種類、転帰、 出血、死亡、VTE再発などに関する情報の蓄積を 試みて血栓後症候群の数年間の全体像を把握 し、他には経済的な影響や地理的な違いなどと いったデータがこのレジストリで収集されます。 レジストリは現在も進行中です。患者登録は完 了しました。6ヵ月時の患者さんほぼ全員の追跡 調査にたどり着いたところというのが現在の状 況です。 Dr Beyer-Westendorf:それでは、GARFIELDレ ジストリで、これまでにみられた治療パターンに ついてお話しいただけますか?
Weitz JI, et al. Thromb Haemost. 2016;116:11�2�11��.�
GARFIELD-VTE:�
前向き国際疾患レジストリ�
����� • 先駆的な独⽴した学術研究活動 • 新規にVTEと診断された28ヵ国1万878⼈ kƟ¿zÊŔ • 国内の代表的VTE治療施設を無作為に選出 • 患者は前向き任意抽出され経続的に登録 • ½ñÐişƭæþOP • ¸kãý`wek£L ����� • 全eCRFの10%を基となる資料と照らし合 わせてモニタリング • 全データ変更を電⼦的に監査証跡 • 重要変数は追加監査の対象とした • ヘルシンキ宣⾔に準拠 適格性を評価 � (n=11,842)� 解析⽇:2017年4�24⽇�� データ提供:���� ����T��ル���2017年7���GARFIELD-VTE:患者集団�
悪性腫瘍の既往� (n=662; 6.2%)� (n=9034; 84.6%)�悪性腫瘍の既往なし� 活動性の悪性腫瘍� (n=981; 9.2%)� VTEの診断が客観的に確認され登録 � (n=10,677) � スクリーニング後に除外 (n=964)� • 参加拒否 (n=444) � • プロトコルが定義した選択/除外基準を 満たさない (n=459)� • 同意取得前に死亡 (n=61)�GARFIELD-VTE:診断前後30日以内のAC治 療パターン[17] Dr Weitz:はい。興味深い傾向がみられていま す。連続コホート2つが設けられているのは、医 師がNOACの使用に慣れるにしたがって、2つ目 と1つ目では治療パターンに変化が出てくる可 能性を考慮してのことなのですが、登録は非常 に短期間の中で迅速に行われたため両コホー トの間に時間的な大きな開きはなく、治療の傾 向は2コホート間では異ならず、似通ったものに なっていました。 全体では、およそ50%にNOACが投与されてい ました。そのうち半数には最初からNOACが投 与されており、約半数には非経口での抗凝固薬 による治療導入後にNOAC投与が行われていま した。残りの50%ですが、悪性腫瘍合併例には 低分子ヘパリンの投与が行われ、他はビタミン K拮抗薬が投与されていました。 Dr Beyer-Westendorf:静脈血栓塞栓症の発症 については、両コホート間で違いはありますか? たとえば深部静脈血栓症のみか、または血栓塞 栓症を発症しているか、など。 GARFIELD-VTE:VTE発生部位別の初期治 療パターン[17] Dr Weitz:いいご質問ですね。NOACの使用に 抵抗のない医師ほど、DVT患者にNOACをすぐ に使用する傾向がみられました。PEに対しては ご想像のとおり、NOACが使用される場合では、 多くが数日間の低分子ヘパリンによるブリッジ 後にNOACに移行というパターンでした。 Dr Beyer-Westendorf:GARFIELDの転帰です でに発表されているデータはありますか? Dr Weitz:Ageno先生、現在出ている6ヵ月時点 のデータをご紹介していただけますか? 解析⽇:2017年4�2�⽇�� データ提供:����������������2017年7���
GARFIELD-VTE
:
診断後30⽇以内のAC治療パターン
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 患者 割合 ����� ������� VKAのみ (5.3%) NOACのみ (25.9%) ⾮非経⼝口投与 + NOAC (25%) ⾮非経⼝口投与 + VKA (29.2%) ⾮非経⼝口投与のみ (14.6%) *DVTには上下肢の⾎栓症、⼤動脈、⾮典型的な部位が含まれる�� データ提供:���������T���������������GARFIELD-VTE:�
VTE発⽣部位別の初期治療パターン�
13 15.6 29.9 28.8 33.5 19.8 19.1 30 4.5 5.8 0 5 10 15 20 25 30 35 40 �E�DVT���������� DVTの������������� 患者 ������GARFIELD-VTE:ベースライン特性[18] Dr Ageno:GARFIELDの最初のデータは最近の 国際血栓止血学会(ISTH)で発表され、私どもが 発表したのは主にベースライン特性に関する結 果です。 GARFIELD-VTE:0〜6ヵ月時の転帰[19] 追跡6ヵ月時の暫定的結果もいくつか発表しま した。もちろん登録患者さんの追跡は現在も続 行中です。6ヵ月時の最初のデータですが、これ は全体的に非常に心強い結果だという風に申 し上げたいです。大出血の初回発症は比較的低 い数になっていました。私どものコホートでは 過剰な出血は認めていませんが、VT再発率は 予測できうる範囲にとどまっていました。 死亡率はいまのところ約10%です。これは、非常 に大人数の任意抽出集団においては比較的想 定内の数字であると思います。そしてこれら最 初のデータはまさに、非常に実臨床を反映した 現実的な集団の観察ができていることを示唆し ているように思います。得られたデータは私が 予測したものと同様でした。 GARFIELD-VTE:VTE発症後6ヵ月間の死 因[19] Dr Weitz:死亡については先生方も他の試験デ ータから予想されたかもしれませんが、死亡の およそ半数は悪性腫瘍に関連した死亡でした。 Dr Beyer-Westendorf:Weitz先生、それは重要 なポイントだと思います。GARFIELDでの悪性腫 瘍を合併していた集団についてもう少しお話い ただけますか? データ提供:Kakkar AJ。ISTHベルリン。2017年7⽉。�
GARFIELD-VTE:ベースライン特性�
• 患者の37.5%が⼀過性の誘発危険因⼦を最低1つ有する� (���3�⽉�内)� 変数 (%)� ��10��77� ⼿術� 12.5� ⼊院� 12.0� 四肢の外傷� 7.�� 急性内科疾患� 5.�� ⻑距離旅⾏� �.�� ⼥性患者 (%) � � � 5�300� 妊娠� 3.�� 経⼝避妊薬� �.�� ホルモン補充療法� 2.7� 主要評価項⽬� 発⽣率, /100 ⼈・年 (95% CI) � 全死亡� 9.7 (8.8, 10.6)� VTE再発� 3.6 (3.1, 4.2)� ⼤出⾎� 2.2 (1.9, 2.7)� 副次的評価項⽬� 何らかの出⾎� 13.6 (12.5, 14.7)� ⼼筋梗塞� 0.9 (0.7, 1.2)� 脳卒中/TI�� 0.8 (0.6, 1.1)� データ提供:Turpie ����I�T� �����2017年7���GARFIELD-VTE:����������
死因 (%)� n����� 悪性腫瘍関連� ����� ⼼⾎管関連� ���� VTE関連イベント (PEを含む)� ���� 出⾎� ���� 脳卒中� ���� その他� ����� 不明� �����GARFIELD-VTE:�
VTE�����������
� 解析⽇:���������⽇�� データ提供:Turpie ������T� ベ��ン��������� �GARFIELD-VTE:診断後30日間の抗凝固療 法[20] Dr Weitz:登録患者さんの約10%が活動性の悪 性腫瘍を合併していました。そしてこの患者さ ん方こそが、血栓症が診断された時点には悪性 腫瘍の治療を受けていた方々になります。こう いった患者さんにみられた興味深い点は… そ うです、経口抗凝固薬よりも非経口での抗凝固 療法がより頻繁に行われていたという点です。 それでも、約25%がNOACで治療が行われてい ます。それには非経口の抗凝固薬での初期治 療後にNOACに移行するケースと、ダイレクトに NOACを開始するケースがみられました。 ガイドラインではVTE患者には低分子ヘパリン の使用を推奨しているのですが、NOACはすで に臨床に浸透しはじめているように私は思いま す。ご存知のとおり、悪性腫瘍を合併する患者さ んには、モニタリングが嫌だということでビタミ ンK拮抗薬を断固拒否されるケースや、注射が 嫌だということで低分子ヘパリンを拒否される ケースがみられます。ということで、NOACが使 用され始めている傾向がみてとれると解釈しま す。悪性腫瘍合併例での低分子ヘパリン使用と NOAC使用を比較するデータがさらに必要だと 思いますが。 Dr Beyer-Westendorf:そうですね、とくに、活 動性の悪性腫瘍を合併している患者さんのデー タではなく、悪性腫瘍が既往にある方のデータ が必要かと。おそらく化学療法が今でも… Dr Weitz:…低分子ヘパリンが使われる動機に なっていますね。今のところ、低分子ヘパリン投 与が不要であろう治療がいくつかあります。 Dr Beyer-Westendorf:たとえば、悪性腫瘍の 初期などですね。 Dr Weitz:ほかは、骨髄腫でthalidomideまたは lenalidomideが投与されていて血栓形成が認 められた場合もそうですね。そういう場合に、低 分子ヘパリンではなくNOAC投与が無理だとい う理由はありません。 データ提供:Weitz JI。ISTH ベルリン。2017年7⽉。�
GARFIELD-VTE:�
��������������
���1� 1���� 1���� 12��� 2��� 1���� 2���� 2���� 2��1� ���� ��2� �1�7� 2��1� 27��� ��1� 0 10 20 30 40 50 60 ⾮経⼝投与� NOAC��� VKA��� 患者 ���� 活動性の悪性腫瘍 悪性腫瘍の既往 悪性腫瘍の既往なし ⾮経⼝投与� + VKA � ⾮経⼝投与�+ NOAC �VTEへのrivaroxaban投与に関する実臨床 エビデンス[12, 21-25] Dr Beyer-Westendorf:まさにその通りです ね。Ageno先生、このあたりで他の進行中のレジ ストリに移りましょう。 Dr Ageno:そうですね。ここまで、最初の研究 調査ということでXALIAについて、そしておそら く最大規模ということでGARFIELDについてお 話してきましたが、確かに他にも研究調査があ ります。私も先ほど、RIETEについて少し触れま したが、これは前向き研究になります。しかし、 他の観察研究をご紹介する前に、最初のほうで Weitz先生が触れておられた点に一旦戻ってお くことが非常に、非常に、重要だと思いますの で、そこからお話します。今後、さらに多くの観察 研究や調査が発表されていきます。これについ ては、慎重な取り扱いが必須です。こういった研 究はすべて同じというわけではないのです。 VTEへのrivaroxaban投与に関する実臨床 エビデンス[26-28] レトロスペクティブな保険請求のデータベース もいくつかあります。それらにはもちろん質的な 差があります。こういった種の調査は、集団とい う側面でより包括的です。データの入手可能性 やこれらのデータの精度は前向き研究とは違 い、とくに調査で客観的な判定が行われるよう な場合では違います。 その他の実臨床エビデンス[16,13] RIETEは前向きです。最低3ヵ月の追跡が実施さ れますが、より長い期間実施することも可能で す。あらゆるタイプの抗凝固薬での治療を受け る再発例を登録しており、主な焦点は静脈血栓 塞栓症です。 最初のほうで、XALIAを補完したXALIA-ELに触 れましたが、XALIAは主にヨーロッパを対象に した研究でした。一方、XALIA-ELは世界を対象 にしており、中でもとくにアジアや西アフリカ は、Weitz先生もGARFIELDの話の際に触れてお られた治療パターンの違いをみられるという点 で重要です。 *プロペンシティ補正またはプロペンシティマッチングされた集団、†��患�は��ント����出��
a. Ageno W, et al. Lancet Haematol. 2016;3:e12-e21; �
b. Gaertner S, et al. Int J Cardiol. 2017;226:103-109; �
c. Keller L, et al. Blood. 2016;128:2618; �
d. Larsen TB, et al. Lancet Haematol. 2017;4:e237-e244; �
e. Kucher N, et al. Thromb Haemost. 2016;116:472-479; �
f. Sindet-Pedersen C, et al. Thromb Haamost. 2017;117:1182-1191.�
VTEへのrivaroxaban投与に関する�
実臨床エビデンス�
研究・調査名� (⼈)�患者 � ��プ� ⼤出⾎ �(%)� VTE再発 �(%)� ����� XALIA�a�� 2,505*� 前向き � ⾮介⼊研究� 0.8� 1.4� ���239�� REMOTEV�b�� 280� 前向き � ⾮介⼊研究� 1.1� 1.4� 6��� Dresden NOAC�c�� 407� 前向き登録研究� 3.2� 1.0� ��762�� Larsen�d�� 1,734*� 前向きコホート/� 登録研究� 1.1†� 4.3†� 6��� SWIVTER�e�� 417*� 前向き登録研究� 0.5� 1.2� 3��� Sindet-Pedersen�f�� 5,411� 前向きコホート/� 登録研究� 2.3� 3.0� 6���a. Peacock W, et al. Chest. 2016;150(suppl):286A; �
b. Wang L, et al. Circulation. 2016;134(suppl I). Abstract A13140; �
c. Coleman CI, et al. Clin Appl Thromb Hemost. 2016. pii:10�6029616661415�
VTEへのrivaroxaban投与に関する�
実臨床エビデンス(続き��
研究・調査名� (⼈)�患者 � タ��� ⼤出⾎�(%)� VTE再発�(%)� ����� US DoD�a�� 9,638� 後向きデータベース� 1.3� �� �� Wang�b�� 203� 後向きデータベース� 2.0� 3.0� 退院後� 90�� Coleman�c�� 3,466� 後向き������� 0.2� 1.�� 2��� a. RIETEウェブサイト� �. ������a�T��a��.��� ��T��������.��������������
RIETE���� • 最低追跡期間:���� XALIA LEA���� • 中南⽶およびメキシコ、EMEA、アジア�RE-COVERY:試験デザイン[29,30] たとえばRE-COVERYのように、特定の薬剤を検 証した研究もいくつかあります。RE-COVERYの フェーズは2つで、最初のフェーズでは、臨床の 実際を本当に幅広い視野でみることができま す。また非常に大規模で、世界中の多くの地域 で実施されています。このRE-COVERYで最も重 要な部分は、dabigatranの有効性と安全性の評 価です。とくにこの設定で、dabigatranの評価が できるようにデザインされています。 ETNA-VTE[31] ETNA-VTEでは、これも、edoxabanの使用状況 を把握することが可能な研究です。こういった研 究や調査からは多くのことが分かるのではない かと思います。あとは、研究から何が明らかにな るのかということと、観察研究の結果を過大評 価してはいけない場合について認識しておく必 要があります。第III相試験の結果を確証するに は、明らかにすべきことが多くあります。観察研 究のデータを第III相試験の代わりのように扱う ことはできません。こういった研究調査から得ら れる情報量は膨大ですから。 Dr Weitz:実臨床エビデンスは非常に重要です が、結果については非常に慎重に扱い、そして それはちょうど、ランダム化比較試験や症例対 照研究の場合の異なるエビデンスレベルのよ うに、実臨床研究のエビデンスレベルにも異な るものがあることを認識しておかねばなりませ ん。中には解釈するのがより複雑なものもあり ます。データを解釈しすぎることも避けねばなり ません。結局、AFに関する事柄については実臨 床データがランダム化臨床試験で得られた結 果を裏付けていて、XALIAとGARFIELD-VTEで得 られている結果は同様のことがVTEにも当ては まることを示唆しているという風にまとめられる ように思います。 Dr Ageno:それは医師にとって非常に心強い結 果ですね、もちろん。 ����������� VKA (地元診療)�
RE-COVERY: デザイン�
DVT/PE� イベント� ベースライン� 全DVT/PE� 患者 � (第I相)� 3ヵ⽉後� 追跡調査� 追跡調査�6ヵ⽉後� 12ヵ⽉���� 実臨床におけるDVTおよびPEの治療の安全性と有効性についてdabigatranと VKAの場合を⽐較。追跡調査期間は1年。(第II相) �ClinicalTrials.gov NCT02596230; Ageno W, et al. Thromb Haemost. 2017;117:�15��21.�
��������T������������T�2��3��3��
(#)(
• ��診療�にお����18ヵ⽉の������������ • ��11ヵ�の��2�����を��� • 専⾨医および⾮専⾨医、診療所形態の施設が参加�� • ベースラインと追跡調査データ� (1ヵ⽉、3ヵ⽉、6ヵ⽉、12ヵ⽉、18ヵ⽉時)の記録を� 実施� • 症候性のVTE再発と死亡データ� は後向きに取得�まとめ Dr Beyer-Westendorf:ではここでまとめには いります。現在得られている静脈血栓塞栓症治 療の実臨床エビデンスには、静脈血栓塞栓症の 治療および2次予防においてNOACが安全かつ 有効であるという一貫性のあるパターンがみら れています。同時に、NOACはビタミンK拮抗薬 に比べてシンプルな治療を提供し、また低分子 ヘパリンよりも簡便であるということから、長期 療法を要する患者さんの服薬アドヒアランスや パーシスタンスの改善にも寄与する可能性があ る、ということが言えます。 本アクティビティにご参加いただき、ありが とうございました。 Ageno先生、Weitz先生、本日はお越しいただき ありがとうございました。本アクティビティにご 参加いただき、ありがとうございました。
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NOACによるVTEの治療と2次予防に関する実臨床エビ
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NOACはVKAにくらべて治療がシンプル�
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⻑期治療を要する患者の服薬アドヒアランスとパーシ
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ご参加いただき、�
ありがとうございました��
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略語 AE = 有害事象 AC = 抗凝固薬 AF = 心房細動 DOAC = 直接経口抗凝固薬 DoD = 国防省 DVT = 深部静脈血栓症 eCRF = 電子症例報告書 ISTH = 国際血栓止血学会 LMWH = 低分子ヘパリン NOAC = 非ビタミンK拮抗性経口抗凝固薬 PE = 肺塞栓症 TIA = 一過性脳虚血発作 US DoD = 米国国防総省 VKA = ビタミンK拮抗薬 VTE = 静脈血栓塞栓症
免責事項 本文書は教育を唯一の目的として作成されたものです。本文書を読むことで医学生涯教育(CME)の単位を取得することはでき ません。このアクティビティに参加ご希望の方は、 www.medscape.org/roundtable/noacs-vte-realworld にアクセスしてくだ さい 本アクティビティの内容に関するご質問は、アクティビティ提供者[email protected]までお問い合わせください。 技術的なサポートについては[email protected]までお問い合わせください。 上記の教育アクティビティには、症例に基づいた模擬的シナリオが含まれる場合があります。これらのシナリオにおいて描写さ れる患者は架空のものであって、実際の患者との関連性を意味するものでも、ほのめかすものでもありません。 ここで示した資料は、medscape.org の教育プログラムを支援する企業や Medscape, LLC の見解を必ずしも反映するものでは ありません。これらの資料では、米国食品医薬品局の承認を受けていない医薬品や既承認医薬品の適応外使用についての検 討が行われている場合があります。取り上げられているいずれの医薬品についても、使用前に有資格の医療者への相談が必要 です。参加者は、患者の治療または本アクティビティで示された療法の適用を行う前にすべての情報とデータの確認を行ってく ださい。