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立位におけるバランス戦略の評価方法に関する検討

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 194 43 巻第 2 号 194 ∼ 195 頁(2016 年) 理学療法学 第 43 巻第 2 号. 平成 26 年度研究助成報告書. (4th thoracic vertebra;以下,Th4) ,第 3 腰椎(3rd lumbar vertebra; 以 下,L3), 右 大 転 子( 以 下,Hip) に 加 速 度 計. 立位におけるバランス戦略の評価方法に 関する検討. (ATR-Promotions 社製,WAA006,sampling200 Hz)を装着 し, 床 反 力 計(KISTLER 社 製,Multicomponent force plate Type 9260AA6,sampling200 Hz)上で立位保持課題を行った。. ─足圧中心と頭部・体幹制御における姿勢調節の. 計測条件 1 では 30 秒間の静止立位を,計測条件 2 では両上肢. 特性に着目して─. 前方水平挙上位で体重の 1/10 の錘を両手で把持した立位を可 能な限り長く保持させた重錘立位を実施し,身体の加速度と. 髙田 勇. 1)2). ,八木崇行. 1)3). ,遠松哲志. 1). 4). ,野口健人 ,. 田村妃登美 1),吉田育恵 1),藤野宏紀(MD)1),宮下大典 1), 5). 冨田昌夫 ,古山宣洋. 6). COP を計測した。解析について,加速度は 2 次の Butterworth filter 処理(5 Hz 高域遮断)と,傾き補正や移動平均 filter に よるドリフト除去を行い,左右前後とも時間積分した変位 データを身体動揺とした。COP は 2 次の Butterworth filter 処. 1). 理(10 Hz 高域遮断)を行った。そこから各部位の身体動揺. 2). と COP の左右前後の L/TP(mm)を算出し,加えて身体動. 3). 揺 L/TP からは部位間の比率(Head/Th4,Head/L3,Head/. 4). Hip,Th4/L3,Th4/Hip,L3/Hip)も算出した。. 5).  統計学的解析は,COP-L/TP の計測条件間の比較には Mann-. 6). Whitney U 検定を行った。身体動揺 L/TP とその部位間の比. 医療法人鉃友会宇野病院リハビリテーション部 東京農工大学大学院工学府応用化学専攻 総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻 独立行政法人地域医療機能推進機構湯河原病院 藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション学科 早稲田大学人間科学学術院. 率の比較には,それぞれ方向と部位あるいは部位間を要因と キーワード:バランス戦略,姿勢調節,体幹制御. する二要因分散分析を行い,有意差を認めた場合,Bonferroni 補 正 の Mann-Whitney U 検 定 で 多 重 比 較 を 行 っ た。 ま た, Spearman の 順 位 相 関 係 数(Spearman’s rank Correlation. はじめに  立位バランスや姿勢制御の研究は,国内外かつ幅広い分野. Coefficient;rs)を用いて,COP-L/TP と身体動揺 L/TP の相. で多数行われ,その研究手法のひとつに足圧中心(Center of. 関分析を行った。なお,有意水準は 5%とした。. Pressure;以下,COP)動揺がある。筆者らも,過去に COP.  本研究は,ヘルシンキ宣言に従い,倫理委員会の承認(2014. の軌跡長(Length;以下,L)を変曲点(Turning Point;以. 年 9 月 17 日付)の下,対象に口頭と紙面にて説明し同意を得. 下,TP)の数で除した変曲点間の平均動揺距離(L/TP)によ. て実施した。. る姿勢調節の特性について報告した 1)。しかし,静止立位のよ. 結  果. うな直立姿勢維持の評価方法の有効性がコンセンサスを得てい.  COP-L/TP は,左右前後とも静止立位より重錘立位で有意に. るとは言い難いという指摘もある 2)。ここで,姿勢制御におけ. 大きく(左右;P = 0.0095,前後;P = 0.0034) ,身体動揺 L/. る体幹の重要性に関する報告は数多く存在し,近年は COP だ. TP は,左右前後ともすべての部位において静止立位と重錘立. けでなく身体各部の動揺もより詳細に分析する試みがなされて. 位で有意差を認めなかったが,重錘立位で高値を示す傾向で. いる. 3). 。しかし,依然として立位を倒立逆さ振り子や二重逆さ. あった(表 1)。COP-L/TP と身体動揺 L/TP との相関関係(表. 振り子のようなモデルとして捉え,姿勢制御の主動関節は足関. 2)について,静止立位は左右で Th4(P = 0.0284) ,前後で. 節や股関節と考えられやすく,それらは静的で部分的な表現に. Th4(P = 0.0006) ,Hip(P = 0.0155) の L/TP と COP-L/TP. 限られるという問題が指摘されている 4)。また,立位バランス. が有意な正の相関を示した。また,重錘立位は左右で L3 以外. や姿勢制御の重要な構成要素である,平衡反応が出現する頭頸. (Head;P = 0.0016,Th4;P = 0.0101,Hip;P = 0.0036) ,前. 部・体幹の制御や,その空間的パターンが考慮されていないと. 後ですべての身体部位(Head;P = 0.0312,Th4;P = 0.0078,. いう問題点もある。. L3;P = 0.0005,Hip;P = 0.0379) の L/TP と COP-L/TP が.  本研究では,加速度計で計測した身体動揺についても冒頭に. 有意な正の相関を示した。身体動揺 L/TP の部位間の比率(表. 挙げた L/TP という指標を適用し,頭部や体幹の制御特性と姿. 3)は,前後では Head/Th4 が静止立位より重錘立位で有意に. 勢調節の特性との関係を分析した。またその結果から,Klein-. 大きく(P = 0.0247),左右では Head/Th4,Head/L3,Head/. 5). vogelbach が分類した 「錘の釣り合いによるバランス戦略 (Counter weight を活性化する戦略;以下,CW 戦略) 」と「拮. Hip が重錘立位で高値を示す傾向であった。 考  察. 抗筋活動によるバランス戦略(Counter Activity 戦略;以下,.  筆者らは過去,片麻痺者の COP-L/TP が大きく,姿勢調節. CA 戦略)」を,冨田らの体幹運動に関する報告 6) を参考に,. が粗大である可能性を報告した 1)。本研究では,身体動揺にも. 立位において評価する方法を検討した。. L/TP という指標を適用し,計測条件間や,COP と身体動揺間,. 対象と方法. 身体動揺の部位間の関係から,頭部や体幹の制御特性と姿勢調.  対象は,計測条件 1 では健常成人 20 名(男性 11 名,女性 9. 節の特性の関連性を分析した。. 名,26 ± 4 歳),計測条件 2 では健常成人 6 名(男性 3 名,女.  結果,静止立位と比較して重錘立位では,COP-L/TP が有. 性 3 名,26 ± 6 歳)とした。頭頂部(以下,Head),第 4 胸椎. 意に大きく,身体動揺 L/TP が高値を示す傾向であり,また.

(2) 立位におけるバランス戦略の評価方法に関する検討. 195. 表 1 COP-L/TP と身体動揺 L/TP 計測条件 静止立位. 重錘立位. 方向. COP-L/TP. Head-L/TP. Th4-L/TP. L3-L/TP. Hip-L/TP. 左右. 0.68 ± 0.41. 9.35 ± 3.71. 5.54 ± 2.22. 3.65 ± 1.26. 4.01 ± 2.15. 前後. 0.90 ± 0.49 * 1.66 ± 1.10 *. 12.20 ± 4.51. 6.37 ± 2.03. 5.23 ± 2.01. 5.17 ± 1.80. 左右. 37.44 ± 20.60. 13.60 ± 7.92. 9.40 ± 5.57. 12.04 ± 7.60. 前後. 2.68 ± 1.87. 52.68 ± 27.90. 15.71 ± 9.46. 12.93 ± 7.50. 21.87 ± 13.70. **:p < 0.01(単位;mm,平均値±標準偏差). 表 2 COP-L/TP と身体動揺 L/TP との相関関係 計測条件. 方向 左右. 静止立位 前後. 左右 重錘立位 前後. Head-L/TP. Th4-L/TP. L3-L/TP. Hip-L/TP. 0.3635. 0.2629. rs. 0.3407. 0.4896*. P値. 0.1416. 0.0284. 0.1152. 0.2627. rs. 0.0646. 0.7023**. 0.1420. 0.5329*. P値. 0.7866. 0.0006. 0.5505. 0.0155. 0.9675**. 0.9169*. 0.8004. 0.9509**. P値. 0.0016. 0.0101. 0.0558. 0.0036. rs. 0.8521*. 0.9270**. 0.9808**. 0.8365*. P値. 0.0312. 0.0078. 0.0005. 0.0379. rs. *:p < 0.05,**:p < 0.01. 表 3 身体動揺 L/TP の部位間の比率 計測条件 静止立位. 重錘立位. 方向. Head/Th4. Head/L3. Head/Hip. Th4/L3. Th4/Hip. L3/Hip. 左右. 1.50 ± 0.32. 2.32 ± 0.70. 2.10 ± 0.93. 1.56 ± 0.37. 1.43 ± 0.63. 0.92 ± 0.34. 前後. 1.28 ± 0.36. 1.61 ± 0.73. 2.29 ± 1.03. 1.28 ± 0.46. 1.75 ± 0.45. 1.51 ± 0.64. 左右. 3.06 ± 2.14 *. 4.28 ± 2.26. 2.91 ± 1.21. 1.57 ± 0.45. 1.08 ± 0.24. 0.72 ± 0.16. 前後. 3.31 ± 1.57. 3.20 ± 1.06. 4.18 ± 1.99. 1.04 ± 0.24. 1.30 ± 0.28. 1.31 ± 0.47. *:p < 0.05(平均値±標準偏差). COP-L/TP と身体動揺 L/TP との相関が非常に強かったことか. て胸椎の動的な安定化を実現している可能性が考えられ,それ. ら,重錘立位の姿勢調節は粗大であったと考えられる。ここで,. がいわゆる CA 戦略を主体とした姿勢調節であると推察された。. 身体動揺 L/TP の部位間の比率は,静止立位より重錘立位にお.  姿勢調節の特性を示すと考えた L/TP は,COP と身体動揺. いて,前後では Head/Th4 が有意に大きく,左右では Head/. の関係から,立位におけるバランス戦略を評価できる可能性が. Th4,Head/L3,Head/Hip が高値を示す傾向であったことか. 示唆された。今後の課題は,この評価指標が脳卒中患者などに. ら,重錘立位の姿勢調節は Th4 や L3,Hip に対して Head の. 対しても適応可能か否か,検証する必要がある。. 制御がより粗大であると示唆された。これは,支持面からより. 文  献. 遠い身体部位である頭部の動きが大きくなる,いわゆる CW 戦 略を主体とした姿勢調節であると考えられた。一方,静止立位 では,COP-L/TP と身体動揺 L/TP との相関について,左右で Th4,前後で Th4,Hip の L/TP と COP-L/TP が有意な正の相 関を示したことから,特に Th4 の制御特性と姿勢調節の特性 との関連性が示唆された。ここで,Dynamic Stabilization,い わゆる動的安定性とは,効率的な運動や動作によく現れる活動 状態のことであり,直立姿勢では胸椎の動的な安定化によって 5) 実現される 。また,胸部前面は筋以外の支持組織で被われて. いることから,胸椎の動的安定性は,胸椎の生理的後弯に伴う 前方の重量に対して,伸筋活動の調整のみで得ている 5)。これ らのことから,Th4 と COP の L/TP が小さく,すなわちそれ らが細密に調節されている場合,胸椎の伸筋活動の調整によっ. 1)田村妃登美,冨田昌夫,他:脳卒中患者が示す姿勢制御の 特性について.第 30 回東海北陸理学療法学術大会.2014. 2)野崎大地:静止立位中の身体動揺データから時間的・空間 的パターンを抽出する.リハビリテーション医学.2005; 42: 325‒333. 3)Sasagawa S, Ushiyama J, et al.: Effect of the hip motion on the body kinematics in the sagittal plane during human quiet standing. Neurosci Lett. 2009; 450: 27‒31. 4)Bardy BG, Marin L, et al.: Postural coordination modes considered as emergent phenomena. J Exp Psychol Hum Percept Perform. 1999; 25(5): 1284‒1301. 5)Klein-vogelbach S: Functional Kinetics. Springer-Verlag, Berlin Heidelberg, 1990, pp. 74‒143. 6)冨田昌夫,佐藤房郎,他:片麻痺の体幹機能.PT ジャー ナル.1991; 25(2): 88‒94..

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