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急性心不全患者に対する早期理学療法の安全性と効果に関する多施設共同研究

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 146 43 巻第 2 号 146 ∼ 147 頁(2016 年) 理学療法学 第 43 巻第 2 号. 平成 25 年度研究助成報告書. 対  象  2011 ∼ 2014 年 4 月末までに北里大学病院心臓血管センター. 急性心不全患者に対する早期理学療法の 安全性と効果に関する多施設共同研究. に急性心不全で入院し,急性期の心臓リハビリテーションを施 行した患者のうち,入院後 7 日以内および退院前に運動機能評 価が可能であった 180 名(年齢 69 ± 13 歳,男 121 名,入院時 左室駆出率 41 ± 17%)を対象とした。対象者の除外基準は,. 1). 神谷健太郎 ,齋藤 洋. 2). 3). ,米澤隆介. ,濱崎伸明. 1). ,. 田中伸弥 1),遠藤佳子 2),松沢良太 1),若梅一樹 3), 野崎康平. 1). 4). ,前川恵美 ,松永篤彦. 5). ,増田 卓. 5). 運動機能評価が困難な認知機能障害を有する患者と歩行に支障 をきたす運動および感覚麻痺を有する患者とした。なお,本研 究は北里大学医学部・病院倫理委員会の承認を得て実施した。 測定項目および測定時期. 1).  運動機能の指標として,足関節背屈可動域,片脚立位時間. 2). (最大 10 秒),SPPB 1),10 m 快適歩行速度とした。足関節背. 3). 屈可動域は,臥位膝伸展位の状態で他動的関節可動域を測定. 4). し,両側の平均値を解析値とした。SPPB は静的バランス能力. 5). (SPPB バランススコア) ,5 回立ち座り時間(SPPB 立ち上が. 北里大学病院リハビリテーション部 亀田総合病院リハビリテーション室 北里大学メディカルセンターリハビリテーションセンター 北里大学医学部循環器内科学 北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科. りスコア) ,4 m 歩行時間(SPPB 歩行スコア)からなる身体 要旨:本研究は,心不全の急性増悪によって入院した症例に. 機能評価指標である。本研究では SPPB の合計スコアに加えて,. 対する急性期の集中的な運動療法の効果を多施設で検証する. 3 つの SPPB サブスケール,5 回立ち座り時間,4m 歩行速度の. ことを主目的としている。本中間報告では,介入試験におけ. 指標も個別に評価指標として取り入れた。. るプライマリーエンドポイントを決定することを目的とし,急.  運動機能の測定時期は,初期評価を入院後はじめて 50 m ま. 性心不全患者の運動機能の特徴をヒストグラムで,急性期の運. たは 100 m 歩行を行う日に施行し,約 2 週間の後に退院時評. 動療法介入に対する運動機能指標の反応性を標準化反応平均. 価を施行した。. (SRM)で評価した。対象は急性心不全で入院した患者 180 名.  これらの指標に加えて,退院時に等尺性膝伸展筋力体重比,. (年齢 69 ± 13 歳)で,入院後 7 日以内と退院時に運動機能評. 10 m 最大歩行速度,6 分間歩行距離を測定した。さらに,退. 価を施行した。運動機能は,足関節背屈可動域,片脚立位時間,. 院 5 ヵ月後の実用的な歩行能力の指標として,質問紙により連. short physical performance battery(以下,SPPB) ,10 m 快. 続歩行距離を調査した。. 適歩行速度を評価した。これらの指標の中でもっとも反応性が. 急性期運動療法の開始時期および内容. 大きかったのは 10 m 快適歩行速度であり,SPPB は中程度の.  運動療法の開始条件は,起座呼吸がないこと,高容量のカテ. 反応性を示した。バランス機能指標や SPPB においては,高齢. コラミン投与が必要な低心拍出症候群がないこと,その他の運. 者であっても初期評価の時点で天井効果を示す症例が多く認め. 動療法遂行の阻害因子がないこととした。急性期運動療法の内. られた。これらの結果をもとに介入試験のプライマリーエンド. 容は,歩行練習,バランス練習,自重を用いたレジスタンスト. ポイントを設定し,平成 26 年度には多施設前向き介入試験を. レーニング,機器用いた有酸素運動を中心に施行した。. 施行する予定である。. 解  析. キーワード:急性心不全,運動機能,早期理学療法.  初期評価時の各運動機能指標の分布をヒストグラムを 用 い て 表 し た。 運 動 機 能 指 標 の 反 応 性 を 標 準 化 反 応 平 均. 背景と目的. (standardized response mean; 以 下,SRM) で 評 価 し た。.  慢性心不全患者に対する運動療法は運動耐容能の改善のみな. SRM は介入前後での変化量の平均値を標準偏差で除して求め. らず,心不全の再入院や心事故を減少させることが明らかと. た。SRM の目安として,0.5 以下,0.5 ∼ 0.8,0.8 以上でそれ. なっている。しかし,心不全の運動療法効果に関する報告はほ. ぞれ反応性が小,中,大と判断される。退院 5 ヵ月後に屋外で. とんどが安定期の心不全患者であり,急性心不全患者に対する. 歩行が可能か否か,連続して 1 km の歩行が可能か否かを退院. 早期運動療法の安全性や効果に関するエビデンスはほとんど. 時の運動機能から予測可能か否かを評価するため,各運動機能. ない。. 指 標 の Receiver-operating characteristic( 以 下,ROC) 曲 線.  本研究は,心不全の急性増悪によって入院した症例に対する急. の曲線下面積(以下,AUC)を用いてその予測能を評価した。. 性期の集中的なリハビリテーションの効果を多施設で検証する. 結  果. ことを目的とする研究である。本研究は上記の目的を達成するた. 1.急性心不全患者の運動機能の分布. めに①急性心不全患者における理学療法介入の効果指標探索,②.  足関節背屈可動域,10 m 快適歩行速度は正規分布を示した. 多施設共同無作為化比較対象試験による理学療法の介入効果検. のに対し,その他の指標は正規分布を示さなかった。バラン. 証,の大きく 2 つに分けて実施をしている。②の介入試験に関し. ス機能の指標では初期評価時に天井効果を示す患者が多く,. ては,①の効果判定指標を探索した後に開始をし,参加施設すべ. SPPB では 65 歳未満で約 50%,65 歳以上 84 歳以下の患者で. ての倫理委員会の承認を得て現在症例を蓄積中である。本報告書. 約 30%の患者が天井効果を示した。. では①の効果判定指標に関する研究結果を報告する。.

(2) 急性心不全に対する理学療法. 147. 2.急性期における運動機能指標の反応性. かった。一方で,バランス機能指標の反応性は低値を示した。.  SRM を用いて評価した急性期運動療法に対する運動機能指. この原因として,本研究で用いたバランス機能指標では,初期. 標の反応性を,全症例および年代別で算出した。SRM が 0.8. 評価の時点で天井効果を示す患者の割合が高かったことが関与. 以上であった指標はいずれの年代においても 4 m 快適歩行速. していると考えられる。整形外科疾患や虚弱高齢者の運動療法. 度と 10 m 快適歩行速度のみであった。SRM が 0.5 ∼ 0.8 で中. 介入においてプライマリーエンドポイントに用いられている. 程度の反応性を示したのは,SPPB 合計点と SPPB 歩行スコア. SPPB は 2),本研究の対象者では 65 歳未満で約半数,65 歳以. で,75 歳未満では 5 回立ち座り時間も中程度の反応性を示した。. 上 84 歳以下の患者で約 30%の患者が天井効果を示していた。. SPPB のバランススコアおよび立ち上がりスコアはいずれの年. 近年,心疾患患者の急性期運動療法開始時期は早期化されてお. 代においても SRM は 0.5 以下であった。. り,初期評価の時点であってもバランス機能低下を示す患者が. 3.退院 5 ヵ月後の歩行能力と退院時の運動機能指標との関連. 少なかったことが天井効果の要因と考えられる。.  退院 5 ヵ月後に屋外で歩行が可能か否か,連続して 1 km の.  退院 5 ヵ月後の自宅での実用歩行能力を反映する指標として. 歩行が可能か否かを退院時の運動機能から予測可能か否かを評. は,6 分間歩行能力の予測能がきわめて高く,続いて,最大歩. 価するため,各運動機能指標の ROC 曲線の曲線下面積を用い. 行速度,快適歩行速度の予測能が優れていた。. てその予測能を評価した。屋外歩行が可能か否かを判別するた.  これらの結果から,本研究における多施設介入試験フェーズ. めの指標として,予測能が高かったものから順に 6 分間歩行距. では 6 分間歩行距離をプライマリーエンドポイントに設定し,. 離(AUC = 0.88) ,最大歩行速度(AUC = 0.79) ,快適歩行速. 急性期のリハビリテーションによってこれらをより改善できる. 度(AUC = 0.78) ,等尺性膝伸展筋力体重比(AUC = 0.71)で. か,また,セカンダリーエンドポイントとして安全性に関する. あった。また,連続 1 km の歩行が可能か否かについても,6. 評価指標を調査し,急性期理学療法の効果と安全性を検証して. 分間歩行距離(AUC = 0.84) ,最大歩行速度(AUC = 0.80) ,. いく予定である。. 快適歩行速度(AUC = 0.79),等尺性膝伸展筋力体重比(AUC. 文  献. = 0.70)の順に高値を示した。 考  察  本研究は,急性心不全で入院し入院期の運動療法を施行した 患者を対象として,入院早期および退院時に運動機能評価を行 い,運動機能指標の分布と反応性を評価した。その結果,急性 心不全患者でも容易に測定可能な 10 m 快適歩行速度がもっと も高い反応性を示した。4 m 快適歩行速度は SPPB の評価指標 のひとつとなっているが,10 m 快適歩行速度より反応性は低. 1)Guralnik JM, Simonsick EM, et al.: A short physical performance battery assessing lower extremity function: Association with self-reported disability and prediction of mortality and nursing home admission. J Gerontol. 1994; 49: M85‒M94. 2)Latham NK, Harris BA, et al.: Effect of a home-based exercise program on functional recovery following rehabilitation after hip fracture: A randomized clinical trial. JAMA. 2014; 311: 700‒708..

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参照

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