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地域の若者による小諸城CG復元プロジェクト

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Academic year: 2021

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(1)地域の若者による小諸城 CG 復元プロジェクト CG Restoration Project of Komoro Castle by Regional Youth 櫻井千寛 望月宏祐. 田中法博 . 長野大学 企業情報学部. 24. SAKURAI Chihiro MOCHIZUKI Kosuke TANAKA Norihiro Faculty of Business and Informatics, Nagano University. 1.プロジェクトの概要. 従来法の課題に対して、我々のプロジェクトでは計測デー. 長野大学企業情報学部の学生は、小諸フィルムコミッション. タから照明環境や建造物の材質の質感を精密に再現しながら. の牧野和人会長を中心とした小諸市の人々とともに小諸城の. も、膨大な建造物のデータを簡便かつ少ないメモリ容量で記録. CG 復元プロジェクトを進めている。地域の文化財は、地域の. し、精度低下を最小限に抑えて城を CG 復元できる技術を開発. 人々のアイデンティティをシンボリックに表したものであり、. することができた。我々はこの技術をさらに改良し、古文書の. 極めて重要なものである。こういった地域に存在する文化財の. 情報から当時の小諸城の情報を復元する手法を開発した。この. 情報を後世まで伝えていくことは重要であるが、その後継者不. 結果、単に対話的にユーザが城の仮想空間内を歩き回れるだけ. 足が多くの地域でも問題となっている。地域の文化を深く知る. でなく、3D ヘッドマウントディスプレイという装置を用いて、. 人々が高齢化しており、このプロジェクトでは学生自身が積極. 当時の建物内で日の差込といった照明環境も体験しながら、小. 的に地域文化財の情報を後世に残していく活動をすることで、. 諸城の CG 空間内に自分自身が入り込んで自由に歩き回ること. 地域の情報を残すとともに学生自身が、その後継者となってい. ができるシステムが開発できた。. くことを目指している。年齢の高い地域の人々は、地域文化に. さらに、このシステムは地域の人々にとても歓迎され、小諸. ついて多くの知見を持っているが、それがどこにも伝えられな. 高原美術館で「小諸城展」を開催し、広く小諸市の人々に自分. いままになってしまっているので活動の継続性を維持していく. たちのシステムを使ってもらえたり、小学校で地域文化を教え. ことは極めて重要である。. るための授業にも使われたりすることができた点は大きな成果. このプロジェクトは、大きく3つの目的がある。一つ目は地. となった。また、国立歴史民俗博物館の企画展示である「デジ. 域の人々と学生が交流し、共同で地域の文化的な情報を残して. タルで楽しむ歴史資料」でも本システムが展示される予定であ. いく活動をすること、二つ目は、実際に多くの人々に小諸城の. る。. CG を体験してもらえるシステムを開発すること、三つ目は、. . この活動を単発的に終わらせるのではなく長く継続していける. 3.活動実績. ようにすることである。. このプロジェクトの活動は学生と地域の人々との協働で行わ. . れている。図1は、小諸高原美術館において小諸市教育委員会. 2.プロジェクト発足の経緯. が保存している小諸城の古文書を計測している様子である。図. この活動を振り返って見ると、実際の地域文化財を対象にす. 2は、実際の小諸城の地形や現存する建造物を計測している様. る以前は、自分達が所属する大学のキャンパスを対象に建造物. 子である。ここではドローンを用いて空撮を行ったり、地元の. をデジタルアーカイブする研究を進めていた。そのときに小諸. 企業に地形の測量に協力いただいたりしながら、詳細な地形情. 市の人々との出会いがあり、地域の人々の小諸城に対する強い. 報などを計測した。ここでは地元の企業の全面的な協力で高精. 愛情を感じる機会があった。小諸城は既に多くの建造物が失わ. 度な地形データを得ることができた。図3は、小諸高原美術館. れているが、城郭絵図などの膨大な古文書に当時の情報が詳細. で開催された「小諸城展」の様子である。この展示会も学生と. に記録されている。我々は、この古文書の情報から、小諸城の. 地域の人々との協働で準備作業を行った。図4は、小諸城展開. 姿を現代に蘇らせたいと強く考えた。. 催記念シンポジウム「地域文化財の活かし方」の様子である。. 従来の歴史建造物の CG 復元の研究は CG の計算量が膨大で. ここでは、県内外から大勢の参加者が集まったが、地域の歴史. あるため、建造物の情報を簡略化した CG 映像にするか、リア. や文化をいかに保存していくかについて小諸市の人々、小諸市. ルタイム性が確保できず、バーチャル空間の建造物内をユーザ. 長、長野大学の学生、教員が一緒に考えることができた。図5. が対話的に自由に歩き回ることができないという問題があっ. は、このプロジェクトをさらに発展させるべく、学生たちが開. た。. 発した小諸城 CG 復元システムを小諸市長や小諸市教育委員会. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-3 No.95 2017.

(2) の方々に体験していただいている様子である。図6は、小諸城 CG 復元システムを地域文化の教材として活用し、学生自身が 講師となって、地元の上田市や小諸市の小学校で地域文化体験 授業を行っている様子である。小さい頃から IT に慣れている 子供たちも没入型の CG システムで小諸城を体験したことはと ても喜んでくれた。図7は、小諸城関係者の方々に小諸城 CG 復元プロジェクトの経過報告を行っているところである。小 諸城関係者からは、活動資金も含めて全面的な支援を受けた。 図8は、2016年に長野大学で開催された日本デザイン学会の オーガナイズドセッションで、長野県の古城のデジタルアーカ イブについてのパネルディスカッションを行っている様子であ る。長野大学の地元である上田市でも上田城の CG 再現を行っ ているが、我々とは異なるアプローチでプロジェクトを進めて いる。ここでは小諸城と上田城のそれぞれの CG 復元プロジェ クトについて、それぞれの立場で意見を交換することができ た。. 4.今後の活動について 今後、長野大学企業情報学部の田中ゼミ、望月ゼミが地域の 人々と協働で小諸城 CG 復元の取り組みを進めていく。今後は、 まず、小諸城だけでなく、同じ地域の活動として上田城の CG プロジェクトとの連携を深めていきたい。 また、特に地域の人々と連携した文化財情報の保存や、CG 復元アプリを維持していくためには、細々であっても絶え間な く継続した活動にしていく必要がある。これは我々だけではで きない活動であるため、地域との連携をどのように進めていく のか、その体制づくりが本プロジェクトを成功させ維持させて いく鍵となろう。. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-3 No.95 2017. 25.

(3) 図1 学生と地域の人々との協働による古文書のデジタルアーカイブ作業(小諸高原美術館). 図2 学生と地域の人々との協働による小諸城跡の実地計測(小諸懐古園). 26. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-3 No.95 2017.

(4) 図3 小諸城展の様子(2016年9月10日~10月16日小諸高原美術館にて). 図4 小諸城展開催記念シンポジウム「地域文化財の活かし方」(2016年10月8日小諸高原美術館 _ 白鳥映雪館にて). デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-3 No.95 2017. 27.

(5) 図5 小諸城3DCG 復元プロジェクトのプレゼンテーションのため小諸市長を訪問(2016年8月10日小諸市). 図6 小学生向けデジタルアーカイブ講座の様子. 28. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-3 No.95 2017.

(6) 図7 地域の人々に向けた小諸城3DCG 復元プロジェクトのプレゼン テーション(懐古神社). 図8 日本デザイン学会オーガナイズドセッション「「真田丸」ゆかりの古城のデジタルアーカイブ」の様子(2016年7月3日長野大学). デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.24-3 No.95 2017. 29.

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参照

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