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板曲げを受ける面外ガセット溶接継手の疲労き裂の発生・進展挙動

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Academic year: 2022

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板曲げを受ける面外ガセット溶接継手の疲労き裂の発生・進展挙動

法政大学大学院 学生会員 ○木村 直登 法政大学 フェロー 森 猛

1.はじめに

鋼橋に生じる疲労き裂の中には,面外曲げによる圧縮応力 の繰返しにより生じるものも少なくない.例えば,鋼床版デ ッキプレートと垂直補剛材の溶接部のデッキプレート側に生 じる疲労き裂である.圧縮繰返し応力ではき裂が閉じ,き裂 は進展しないと考えられる.しかし,溶接部には引張残留応 力が生じており,この引張残留応力が原因で面外曲げ圧縮繰

返し応力によって,疲労き裂の発生・進展が生じたと考えられる.

本研究では,面外ガセット溶接継手が板曲げ引張繰返し応力と,板曲げ圧縮繰返し応力を受ける場合の疲 労き裂の発生・進展性状の相違について検討する.

2.疲労試験

試験体は図 1に示す片面面外ガセ ット溶接継手である.主板には板厚 22mmの溶接構造用圧延鋼材SM490

(降伏応力:375N/mm2,引張強度:

529N/mm2,伸び:26%)を用いた.

面外ガセットの溶接は,CO2法(電 流:240A,電圧:34V,溶接速度:

27~28cm/min)を用いて,すみ肉溶接で行っている.

疲労試験は,動的能力100kNの電気油圧サーボ式材料試験 機を用いて,支間440mm,荷重点間距離200mmの4点曲げ で行った.応力範囲Δσは100,120,150N/mm2の三段階であ り,図 2に示すようにガセットのない面に載荷する場合を正 曲げ,ガセット面を載荷する場合を負曲げとし,それぞれ2 体ずつ,計12体の試験を実施した.正曲げ試験体をT,負曲 げ試験体をCと呼ぶ.下限荷重は,すべての試験体で1kNと している.

疲労試験結果を表 1に示す.C5試験体を除 いて両側(L,R)の溶接部からき裂が発生し ており,溶接部に沿って進展した後,板幅方 向に主板を進展した.正曲げ試験体ではき裂 が主板の板幅を貫通し,負曲げ試験体では板 幅を貫通する前にき裂の進展が停留した.疲 労破面の例を写真 1に示す.負曲げ試験体の き裂形状比(a/b)は0.4以上であったのに対

キーワード 面外ガセット溶接継手,板曲げ,引張・圧縮,疲労き裂進展挙動

連絡先 〒184-8584 東京都小金井市梶野町3-7-2 法政大学大学院デザイン工学研究科 TEL 042-387-6287

120 200 120

440

ピン ローラー

ピン ローラー

120 200 120

440

ピン ローラー

ピン ローラー

図 2 試験体設置状況

正曲げ 負曲げ

図 1 試験体の形状と寸法

500 100

22 70

120

L R

写真 1 疲労破面写真

正曲げ T5 負曲げ C5

2b a

表 1 疲労試験結果

試験体 応力範囲

(N/mm²)

荷重繰り返し数 (×104)

き裂発生 位置

T1 150 97.5 L,R

C1 150 727.8 L,R

T2 120 173.8 L,R

C2 120 813.2 L,R

T3 100 357.4 L,R

C3 100 810.7 L,R

T4 150 99.0 L,R

C4 150 470.6 L,R

T5 120 167.3 L,R

C5 120 556.6 L

T6 100 385.1 L,R

C6 100 868.1 L,R

土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑743‑

Ⅰ‑372

(2)

し,正曲げ試験体ではき裂形状比は0.3以下であった.

3.き裂進展曲線

図 3に溶接止端から5mmおよび15mm離れた位置に貼付したひずみゲージから求めた荷重繰り返し数に 伴うひずみ範囲減少率 α(=(Δε0-Δεn)/Δε0、Δε0:初期ひずみ範囲,Δεn:繰り返し数 n 回時のひずみ範 囲)の変化を示す.図 4 に示す FEM 解析で求めたひずみ範囲減少率とき裂深さの関係からき裂深さと荷重 繰り返し数の関係を求めた.その結果の例を図 5に示す.負曲げは正曲げに比べて,き裂の発生が若干遅い.

しかし,き裂発生後のき裂進展曲線はほぼ同じとなっている.他の試験体においても同様の結果であった.

4.正曲げと負曲げの疲労き裂の発生・進展性状の相違 荷重とひずみの関係からき裂開閉

口挙動を観察した.正曲げではき裂 が常に開いていた.負曲げ試験で得 られた関係の例を図 6に示す.この ように負曲げではき裂の閉口現象が 確認できる.図 6中の傾きが変化し た荷重よりも下でき裂が閉じている と考えられる.き裂開閉口荷重とき 裂深さの関係の例を図 7に示す.き 裂深さ2mm以上になるとき裂の開 閉口が生じ,8mm以上になるとすべ

て閉口している.これがき裂停留の原因と考えられる.

図 8にき裂の進展領域ごとの疲労寿命と応力範囲の関係を示す.()

内の数値は正曲げの各疲労寿命に対する負曲げの疲労寿命の比を表し ている.正曲げに比べて負曲げの疲労き裂発生寿命(0~1mm)は2.5

~6.3倍と長いが,1~3mm,3~6mmまでの負曲げの疲労き裂進展寿 命は正曲げの1.5倍以下であり,疲労き裂進展寿命の差は小さい.

5.まとめ

正曲げに比べて,負曲げの疲労き裂発生寿命は長い.しかし,1mm から6mmまでの疲労き裂進展寿命は正曲げと負曲げでほぼ同じであ る.負曲げではき裂の進展が停留する.

0 10 20

0 0.5 1

ひずみα

き裂深さ(mm) 5mm 15mm 溶接止端からの距離 a/b=0.5

図 4 ひずみ範囲減少率αと き裂深さの関係

0 200 400

0 5 10

繰り返し数(×104

き裂深さ(mm

Δσ=150N/mm2

T4 C4

L R

5mm 15mm 溶接止端からの距離

図 5 き裂進展曲線

105 106

0~1mm 1~3mm 3~6mm

青:負曲げ 赤:正曲げ

応力範囲Δσ(N/mm2

労寿命N(cycles)

120 150

100 (2.5)

(1.3) (1.0)

(3.1) (1.2)

(1.4) (6.3) (1.3)

(1.1)

図 8 疲労寿命

図 7 開閉口荷重とき裂深さの関係 図 6 荷重とひずみの関係

−1200 −1000 −800 −600

−20

−10 0

ひずみ(μ)

荷重(kN

a=4.1mm C5L

き裂開口

き裂閉口

0 200 400

0 0.5 1

繰り返し回数(×104

ひずみ範囲減少率α

5mm 15mm C4L

図 3 ひずみ範囲減少率αと 荷重繰り返し数の関係

土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑744‑

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参照

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