台風 接 近 時 の港 湾 にお け る潮 位 の確 率 予 測 に関 す る二,三 の検 討
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(2) 312. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻. (2008). 各 コ ー ス が 分 担 す る確 率 も概 ね1%ず 整 した.図. っ と な る よ う に調. 中 の0は 予 報 円 の 中 心,Aは. Cは 左 端,Dは. 後 端,EはCと0の. 右 端,Bは. 前 端,. 中 点,FはAと0の. 中点. で あ り,こ れ らは109個 の点 に 含 ま れ て い る. (2) 海 面 気 圧,海 上 風,高. 潮の計算方 法. 台 風 接 近 時 に109本 の コ ー ス に対 して 高 潮 を 計 算 す る た め に は,海 面 気 圧 と海 上 風 の 分 布 を 経 験 的 台 風 モ デ ル で与 え ざ る を得 な い.本 研 究 で は,河 合 ら(2007)が. 瀬. 戸 内海 で 局 地 気 象 モ デ ル に比 較 的 近 い海 上 風 を 再 現 で き る こ とを 確 認 した モ デ ル を選 ん だ.す. な わ ち,海 面 気 圧. の 分 布 に はMyersの 式 を 用 い た.海 上 風 に は,傾 度 風 の つ り合 い 式 に台 風 の 移 動 の効 果 を 取 り込 む と と も に,風 速 低 減 係 数 を台 風 の 中 心 か らの 距 離 の 関 数 で与 え て 超 傾 度 風 を考 慮 す る も の(Mitsuta・Fujii,1987)を. 元 に した. 式 を用 い た.そ の 風 速Wは, 図‑2予. 表‑1. 報 円 に 対 す る台 風 コ ー ス. 補 助 円 とコ ースの配 置. (1). (2). (3) 予 報 円 の 中心 の 位 置 は,気 象 庁 が そ の 時 点 で 実 際 に発 表 した 位 置 で は な く,台 風 が 実 際 に進 ん だ位 置 と した.本. に よ っ て 与 え られ る.こ. 研 究 で は,過 去 の 特 定 の 台 風 で は な く,典 型 的 な台 風 に. 離,fは. よ る潮 位 の予 測 値 の 分 布 を調 べ る こ と に主 眼 を 置 い て い. は 台風 の 中心 か ら見 た方 向,△pは. るの で,こ. の密 度,r0は 最 大 風 速 半 径,Cは. の よ う な仮 定 に した.. 台 風 の予 報 円 の 半 径 に は,近 年 の気 象 庁 の 平 均 的 な予 測誤 差(気 象 庁,2008)と,予 %で あ る こ と を参 考 に,24時 250kmと,経. 報 円 内 に入 る確 率 が 約70 間 後 が125km,48時. 間後 が. 過 時 間 に比 例 す る値 を与 え た.ま た,現 実. こ に,rは 台 風 の 中 心 か らの 距. コ リオ リの パ ラ メ タ,VTは. k=2.5,X=r/r0,Xp=1/2で の距 離 の 関 数 で与 え,風. 台 風 の 進 行 速 度,β 気 圧 深 度,ρaは. 大気. 風 速 低 減 係 数,C∞=2/3,. あ る.吹. き込 み 角 は 中心 か ら. 速 低 減 係 数 の 最 大 値Gは1を. 超. え な い よ う に制 限 した. 気 圧 変 化 や 風 に よ る流 れ は,河 合 ら(2006)と. 同 様,. の 台 風 で は,停 滞 ・転 向 時 と偏 西 風 を受 け て 北 北 東 進 す. 天 文 潮 位 を 無 視 した単 層 ・線 形 長 波 方 程 式 の モ デ ル で 計. る時 とで,コ. ー スの 予 測 誤 差 の 分 布 に違 い が あ るか も知. 算 し た.図‑3に. れ な いが,本. 研 究 で は予 報 円 の 中 心 を原 点 とす る二 次 元. 1.8kmと した.得. の正 規 分 布 を仮 定 した.. 示 す よ う に,瀬. 戸 内海 で は格 子 間 隔 を. られ た 高 潮 偏 差 は調 和 定 数 か ら求 め た. 天 文 潮 位 と線 形 的 に足 し合 わ せ,潮 位 を 求 め た.. 設 定 した台 風 の コ ー ス は,予 報 円 に対 して 図‑2に 示 す. 以 上 の よ うな 演 算 を1台 の デ ス ク ト ッ プ ・パ ソ コ ン. 109点 を 通 る もの で あ り,そ の 詳 細 な諸 元 を 表‑1に 示 す.. (CPU. す な わ ち,予. と こ ろ,台 風1(実 時 間 で60時 間 分 の 計 算)の 場 合 で, 一 本 の コ ース につ き約9分 ,109本 で約18時 間 半 か か った.. 報 円 の 半 径 を1と した と き に,半 径 が0.03. 〜2 .25の 補 助 円 を描 き,そ. の 円上 に等 間 隔 で4〜16個 の. 点 を 配 置 した.た だ し,隣 り合 う補 助 円 で,中 心 か ら見 て 同 じ方 角 に点 が 配 置 さ れ な い よ う に,互 い 違 い に した.. Intel CoreTM2 Duo CPU. E6850. 3.00GHz)で. 行 った.
(3) 台風接 近 時 の港 湾 にお け る潮 位の確 率予 測 に関す る二,三 の検 討. 313. (a)109本 で最大. 図‑3. 図‑4. 高潮 の計 算領 域. (b)OACEFで. 最大. (c)OABCDで. 最大. 代 表地 点 にお け る最大 高 潮偏差(台 風1). 3. 設 定 す る 台 風 コ ー ス 数 に よ る最 大 高 潮 偏 差 の違 い. 図‑4は,台. 風1が 図‑1のaの 位 置 に あ る と きの 予 測 計 算 (d) 中 心 コー ス. で 得 られ た,瀬 戸 内海 周 辺 各 地 の 最 大 高 潮 偏 差 を示 す. 109本 の コー ス に よ る最 大 値Max(109)は,下. 関 港 や広. 島 港 で2mに 達 して い る.予 報 円 の 中 心 と左 右4点 を通 る コ ー ス に よ る最 大 値Max(OACEF),中. 心 と前 後 左 右 端. を 通 る コ ー ス に よ る最 大 値Max(OABCD)は,何 地 点 で もMax(109)よ. り小 さ く,そ の 差 は 下 関 長 港 や. 広 島 港 の よ うに 高 潮 偏 差 の顕 著 な地 点 で大 き い.な お, こ の 例 で は,予. 報 円 の 中 心 を 通 る コ ー ス の 値OがMax. (OACEF)やMax(OABCD)と. 一 致 す る地 点 が 多 い が,. これ は た ま た ま中 心 を通 る コ ー ス が お お む ね 最 悪 の コー ス で あ った こ とを 意 味 して い る.Min(109)は109本. 図‑5. れの. に. よ る最 小 値 で あ る.. は,0.3m以. 最 大高 潮偏 差 の分布(台 風1). 上 の差 が あ る.. 4. 予 報 円 内 外 の 位 置 に よ る 予 測 値 の 違 い (1) 最 大 高 潮 偏 差 の 分 布 図‑6(a)は,台. 風1が 図‑1のaの 位 置 に あ る と き の予 測. 計 算 で 得 た 最 大 高 潮 偏 差 を 示 す.そ. の 値 は予 報 円 の 左 右. 方 向 で 大 き く異 な り,こ の 例 で は両 港 と も に,予 報 円 の. 図‑5は 図‑4を 平 面 分 布 で 示 した も の で あ る.最 大 高 潮. 中央 付 近 を 通 る,す な わ ち両 港 の北 西 側 を 通 過 す る と,. 偏 差 の値 に違 い は あ る が,分 布 の パ タ ー ン は よ く似 て い. 高 潮 偏 差 が 顕 著 に な る.ま た,前 後 方 向 を 比 較 す る と,. る.周 防 灘 の 西 部 や 広 島湾 の 北 部,す. な わ ち 台 風 の コー. 前 方 で 大 き な値 に な って い る.前 方 の 場 合,台 風 の 移 動. ス に近 く,地 形 的 に も顕 著 な 高 潮 が 発 生 しや す い海 域 で. 速 度 が 速 く,台 風 の海 上 風 を構 成 す る場 の 風 が 強 くな る.
(4) 314. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻. (2008). a. (a) 台 風1 b. c. (b) 台 風2 図‑6. 各 コースの最 大高 潮偏 差. た め,そ の 吹 き寄 せ 効 果 に よ っ て高 潮 偏 差 も大 き くな る. 図‑6(b)は 台 風2が 図‑1のa'地. 点 にあ る ときの予測 計. 算 で 得 た最 大 高 潮 偏 差 で あ る.高 松 港 で は,予 報 円 の 左 前 方 の外 側,す. d. なわ ち高 松 港 の 西 方 を 通 過 す る と顕 著 な. 高 潮 偏 差 とな る.大 阪 港 で は,左 右 方 向 で は中 央 付 近, 大 阪 湾 の西 方 を 通 過 す る と顕 著 な高 潮 偏 差 と な る.図 の AとBの2箇. 所 に ピー クが 見 られ るが,こ. れ は予 報 円外 に. 設定 した コー ス の 間 隔 が粗 い た め に生 じた もの で あ り, 間 隔 を 細 か くす れ ば 連 続 した もの に な る と考 え られ る. 図‑7. (2) 最 高 潮 位 の 分 布 図‑7のaは,台. 風1が 図‑1のaの 位 置 に あ る と き の 予 測. 計 算 で 得 られ た最 高 潮 位(高 た潮 位 の 最 高 値,DL基. 準)で. 潮偏 差 と天 文 潮 位 を 合 わ せ あ る.瀬 戸 内 海 で は 天 文. 30時 間 前)に (約6時 間 前)に. 各 コ ー ス の 最 高 潮 位(台 風1). 予 測 値 の 幅 が0.8mほ. ど あ るが,dの. 位置. は0.2mほ ど に 狭 ま り,岸 壁 な ど 港 湾 施. 設 の浸 水 の 有 無 を判 断 しや す い状 況 に な って い る.高 松. 潮 差 が1.5〜4mと 大 き く,最 高 潮 位 は 最 大 高 潮 偏 差 の 起. 港 で は最 大 高 潮 偏 差 が 満 潮 と重 な った.一 方,広. 時 と満 潮 が 重 な る か ど うか に大 き く左 右 さ れ る.そ の た. は,天 文 潮 差 が4mほ. ど あ り,1〜2mの. 島港 で. 高潮 偏差 で あれ. め,最 高 潮 位 は予 報 円 の 左 右 方 向 よ り はむ しろ前 後 方 向. ば,満 潮 と数 時 間 ず れ る こ とで 潮 位 が 満 潮 位 を 超 え な く. で 大 き く異 な る.こ の 例 で は,高 松 港 で は予 報 円 の ほ ぼ. な る.そ. 中 心 で,広 島 港 で は予 報 円 の 後 方 で最 高 の 値 を得 て い る.. で も潮 位 が 満 潮 位 を0.2m以 上 超 え る確 率 は10%程 度 で あ. の た め,台. 風 がaの 位 置 の と き(約27時. 間 前). り,cの 位 置(約9時 間 前)で は ほ とん ど0%に な って い る.. 5. リー ドタ イ ム に よ る 予 測 値 の 変 化. 図‑8に は,台 風 が 図‑1のaの 位 置 の と き の 予 報 円 の 中 図‑7のa〜dは,台. 風1が そ れ ぞ れ 図‑1のa〜dの. 位置 に. 心0,右. 端A,前. 端B,左. 端C,後. 端Dを 通 る コ ー ス に対. あ る と き の予 測 計 算 で得 られ た最 高 潮 位 で あ る.台 風 最. す る予 測 値 も示 した.広. 接 近 ま で の リー ドタ イ ム はaか らdに 向 か って 短 い.台 風. よ る最 高 値(図. 接 近 に伴 って 予 測 値 の ば らつ き は小 さ くな って い る.. 中 心 を通 る コ ー ス に対 す る潮 位 の予 測 値(図. 図‑8は こ の予 測 値 を累 積 分 布 と して 示 した もの で あ る. 高 松 港 で は,台 風 が 図‑1のaの 位 置 の と き(最 接 近 の約. の ◇ 印)が. 島 で は,こ れ ら5本 の コ ー ス に 上 位5%以. 内 に 位 置 して い る. の ● 印)は,. 必 ず し も確 率 分 布 の 中央 値 に な る とは 限 らな い..
(5) 315. 台風接 近 時の港 湾 にお け る潮位 の確 率予 測 に関す る二,三 の検討. 図‑9. 高潮 推算誤 差 を考慮 した最高 潮位 の累積 分布(台 風1). 分 布 で 上 位5%以. 内 と な る こ と も あ る.予. 報 円 の中心 を. 通 る コ ー ス が 中 央 値 を 与 え る と は 限 ら な い. (3) 台 風 が 当 該 海 域 に 接 近 す る に つ れ て,最. 高潮位 の. 推 算 値 の バ ラ ツ キ は 小 さ く な る. 今 後 は,台. 風 の 海 面 気 圧,海. 評 価 す る と と も に,波 の 結 合,港. 浪,越. 波 や 構 造 物 の 破 壊 の予 測 と. 考. 文. 献. 河 合 弘 泰 ・平 石 哲 也 ・関 本 恒 浩 (1997): 防波 堤堤 体 の設計 に お け る不 確 定 要 因 が 被 災 遭 遇 確 率 に及 ぼ す 影 響, 海 洋. 最高 潮位 の累 積分 布(台風1). 開 発 論 文 集, 第13巻, pp.579‑584. 河 合 弘 泰 ・本 多 和 彦 ・富 田 孝 史 ・柿 沼 太 郎 (2005): 2004年 に 発 生 し た 台 風 の特 徴 と高 潮 の 予 測 ・再 現 計 算, 港 湾 空. 6. 高 潮 推 算 精 度 の 影 響 こ こま で は,高 潮 推 算 が 正 確 と い う前 提 の も と で,台 風 の コー ス に よ る最 高 潮 位 の 分 布 を議 論 して き た.と. こ. ろが 現 実 に は,高 潮 推 算 に 誤 差 が あ り,中 心 気 圧 や最 大 風 速 半 径 の 値 に も不 確 定 性 が あ る.し た が って,も. う少. し緻 密 に 最 高 潮 位 の確 率 分 布 を評 価 し よ う とす る な らば,. 港 技 術 研 究 所 資 料, No.1103, 34p. 河 合 弘 泰 ・橋 本 典 明 ・松 浦 邦 明 (2006): 確率 台 風 モ デ ルを 用 い た 地 球 温 暖 化 後 の 瀬 戸 内 海 に お け る高 潮 の 出 現 確 率 分 布 の推 定,海 岸 工 学 論 文 集, 第53巻, pp.1271‑1275. 河 合 弘 泰 ・川 口 浩 二 ・大 釜 達 夫 ・友 田 伸 明 ・萩 元 幸 将 ・中 野 俊 夫(2007): 経 験 的 台風 モデ ル と局地 気 象 モデ ル の風 を 用 い た瀬 戸 内 海 の 高 潮 推 算 精 度, 海 岸 工 学 論 文 集, 第 54巻, pp.286‑290.. 防 波 堤 の 被 災 遭 遇 確 率 や 期 待 滑 動 量 を 計 算 す る 際 に,沖. 気 象 庁(2008). 波 推 算,浅. p̲hyoka̲top.html, 2008年3月21日. 辻 尾 大 樹 ・熊 谷 健 蔵 ・高 谷 和 彦 ・岩 成 伸 夫. 海 波 浪 変 形 計 算 な ど の ば らっ きを 考 慮 す る. (河合 ら,1997)の. と同 様 な扱 い が必 要 だ ろ う.図‑9は,. 高 潮 偏 差 の推 算 誤 差 が 偏 り0,変. 動 係 数0.1の 正 規 分 布 に. した が う場 合 の,最 高 潮 位 の確 率 分 布 を試 算 した 例 で あ る.最 高 潮 位 の確 率 分 布 は,潮 位 の 高 い側 に伸 び,低. い. 側 は 満 潮 位 付 近 の 確 率 が 増 え て い る.. 本 研 究 で 得 られ た 結 論 は,以 下 の 通 りで あ る. (1) 台 風 予 報 円 に お い て,最 大 高 潮 偏 差 は 左 右 方 向 に,. (2) 予 報 円 の 中 心,左 右 前 後4端 の コー ス に よ る最 高 潮 率. (2007):. 兵庫県. 沿 岸 に お け る 簡 易 高 潮 リア ル タ イ ム予 測 シ ス テ ム の 開 発, 海 洋 開 発 論 文 集, Vol.23, pp.123‑128. 中 平 順 一 ・吉 田 武 司 ・高 山 知 司 ・間 瀬 肇 (2003): 高潮 ・ 高 波 の 簡 易 予 測 シ ス テ ム の 構 築 と そ の 運 用, 海 岸 工 学 論 文 集, 第50巻, pp.201‑205. 額 田 恭 史 ・山 本 忠 治 ・福 山 博 己 ス シス テ ム に対 応 し たNEWカ. (2003): 第 三 世 代 ナ ウ フ ァ ム イ ンズ の 構 築, 沿 岸 セ ン. 財 団 法 人 沿 岸 開 発 技 術 研 究 セ ン タ ー,. 山 口 正 隆 ・畑 田 佳 男 ・花 山 格 章 ・蘇 我 部 健 一 (1995): 台風 時 波 浪 お よ び 高 潮 の リア ル タ イ ム予 測 シ ス テ ム の 適 用 性, 海 岸 工 学 論 文 集, 第42巻, pp.316‑320.. Mitsuta, Y. and T. Fujii (1987):. 最 高 潮 位 は前 後 方 向 に大 きな 違 いが あ る.. の コ ー ス に よ る最 高 潮 位 よ り低 い が,確. http://www.datajma.gojp/fcd/yoho/typ̲kensho/ty. タ ー 研 究 論 文 集, No.3, pp.73‑76.. 7. お わ り に. 位 は,109本. れの推算精度 を. 湾 防 災 へ の 活 用 方 法 に つ い て も 検 討 し た い.. 参. 図‑8. 上 風,流. Analysis and synthesis of ty-. phoon wind pattern over Japan, Bulletin Disaster Prevention Research Institute, Kyoto University, Vol.37, Part 4, No.329, pp.169-185..
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