1852
諸種斜視手術の眼内圧に及ぼす影響について
第4報紅茸揚法
金沢大学医学部眼科学教室(主任倉知教授)
松 井 正 作
8ゐ08α乃賜血Z8幅 (昭和30年9月8日受附)
第1章緒
私は,先に人眼における斜高手術の後転術,
前転術或いは前後転併用術施行が眼内圧に及ぼ す影響について実験観察し,その結果を前3報 によって報告した.それを約言すると,一直筋 の後転術施行により眼圧は一般に術前より下降 し,これに反して一直筋の前転術施行及び一直 筋の後転術とその反対筋の前転術の同時施行の 場合は,眼圧は一般に術前より上昇し,三者共 に時間の経過と共に術前圧に復帰する。しか
論
し,以上の何れの場合にも定型的な経過をとら ないものも少数認められる.角膜表面轡曲度は,
上記各手術を行うことにより殆んど変化しない か,変化してもシェッツ眼圧計による計測値に 影響する程度のものではない.
本報においては,同じく人眼について筋縫揚 法施行の場合の眼圧の経過を観察報告したいと
思う.
第2章 実
実験材料は,金沢大学附属病院眼科入院患者6名で,
その6眼について実験した.
手術方法は,テソドンタッカーを用いて一直筋の筋 縫揚短縮を行った.術前の眼圧計測並びに手術時の麻
験 方 法
酪,術後の眼圧計測二間は前3報と同じである.角膜 表面三曲度の計測も,2例について前3報と同檬に行
った.
第3章実 験成績
眼圧の経過は,第1表に示す通りであるが,
手術直後の眼圧の変動については,全6例共に 術前圧より2〜17mmHgの下降が認められる.
次に,術後1時聞以降の変動を見るに,1時 聞後なお術前圧より低いものが3例見られる が,これらも時間の経過と共に回復し,6時間 時迄に,第2例と第3例は術前圧近くに,第5 例は全く術前圧に復している.他の3例は1時 間後には術前圧に復帰している.
この実験でも,筋の短縮量と眼圧の変動量と の間には関連は認められなかった.
角膜表面晶晶度の変化を検したのは,全6例 中第5,第6の2例であるが,第1表に見られ
るように,第5例は16mmH9,第6例は2mm
Hgの眼圧下降が術直後に認められる.第2表 によってこれらの例の術前,術直後,20時間後 の角膜表面轡曲度を示したが,第5例は手術に より殆んど変化が見られず,第6例は術直後,【134】
諸種斜覗手術の眼内圧に及ぼす影響について 1853
第 1 表
番号
1 2 3 4 5 6
実験例
1(・M・♀
M・N・3 Y・M・♀
Y・Y・♀
M・0・♀
R・S・ε
縫揚筋
左下直筋 左外直筋 左下直筋 左下直筋 右下直筋 右内直筋
短縮量
(粍)3 5 4 2 3 6
眼 圧 経 過(mmHg)
直前 直後 17 11 25 8 25 17 25 16 25 9 15 13
1時閻 17 15 22 25 17 15
3蒔 間__
6時2塒 の圧差
間 19 23.5
23 25 25 17
闇
髄直後
i(mmH9)
17 22 22 25 22 17
23
25 15
_6
_17
_8
_9
_16
−2
第2表
番暮
5
6
実験例
M・0・♀
R.S・δ
角膜表面攣曲度の変化
1術前直後
20時間 垂直水李 垂直 水牢
47.0 46.9 46.9 46.5 46.4 46.5
47.2 49.0 49.0 45.6 47.9 47.8
垂直軸,水雫軸共に轡曲度の増加が見られた が,眼圧の完全に回復している20時聞後にもそ の変化は続いている故,シエザン眼圧計による 計測値には殆んど:影響がないと見なすことが出
来る.
(鱗丁度はヂオプトリP)
第4章小
以上の実験成績を概括すると,次の如くな
る.
人眼に対する一直筋の筋縫揚法施行により,
眼内圧は術直後下降し,その後は回復傾向をと り,時間の経過と共に術前圧に復帰してゆく.
括
筋の短縮:量と眼圧の変動量との間には関連は 認められなかった.
筋縫揚法を行うことにより,角膜表面轡曲度 は殆んど変化しないか,変化してもシェソツ眼 圧計による計測値には影響しない.
(文献後 出)
【135】