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長 谷 幸 香

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Academic year: 2021

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(1)

良い子と呼ばれる中学生の心理的特徴について

学校教育専攻 学校改善コース 長 谷 幸 香

1 .

研究の目的

本研究では、教師から見て良い子と思われる 生徒の特徴を検討する。良い子の中でも特に「無 理をしている良い子Jの特徴を知ることによっ て、表面上は何の問題もないように見える良い 子が抱えている以下の問題を明らかにすること が目的である。「無理をしている良い子」は、友 人関係よりも、親、教師との強いつながりを形 成する結果、親、教師が期待する理想像を追い 求める一方、現実の自分を直視できず、不安が 高いこと、自尊感情が低いことが予想される。

2 .

調査の概要 ( 1 )  予備調査

目的:中学校教諭が一般的にどのような生徒を 良い子と考えているか、その全体像を捉えるこ と、良い子がもっ特徴を把握することである。

方法:どのような生徒を良い子と思うのか、中 学校教諭へのインタビューを実施した。

インタビュー内容:今まで、受け持つた生徒の中 で良い子だと思う生徒について以下のことにつ いて話してもらった。①学年、性別、②友人と の関係、③教師との関係、④親子関係、⑤性格 や普段の様子、⑥学校での仕事の様子、⑦何か 成功(失敗)した時の様子、③自分に自信を持 っているか、⑨自分自身の評価は高いか、⑬成 績(良・悪)。⑪趣味。

結果:13人の良い子の特徴を書き出すと、 1人 だけ「無理をしている良い子」の特徴が表れて

指導教官 弓 削 洋 子

いた。その生徒の特徴は、友人に対して自分の 意見をあまり言うことができず、自分の中にた め込んでいる。自分が何か言うことによってト ラブルが起こることを恐れているのである。し かし、親には悩みなどを打ちあけており、友人 よりも親や教師との関係、が深い。また、完壁主 義の傾向が強く自己評価が低い。この結果から

「無理をしている良い子」の特徴として自己主 張をしない、友人よりも親、教師との強いつな がりが見られる、友人関係が対等ではない、成 績をとても気にする、自己評価が低い、完壁を 求める、ということが考えられる。

(2 )本調査

目的:I無理をしている良い子jにどのような心 理的特徴があるのかを中学生を対象に調査した。

また、担任教諭による自由記述と、アンケート 調査の結果と中学生による評価との比較を行い、

「無理をしている良い子」について教師はどの ように理解しているか検討した。

方法:調査対象はX県Y 中学校 2年生 3学級、

3

年生

3

学級、計

2 0 2

名である。そのうち記入 漏れなど回答が不充分なものを除いた結果、

194名(男子99名、女子94名、不明 1名)とな った。また担任教諭へのアンケートについては 6名(男性 4名、女性2名)を対象としどのよう な生徒を良い子だと思っているか、その生徒は どのような特徴を持っているのか自由記述を実 施した。また、生徒のアンケート項目と同じ項

‑44‑

(2)

目(5項目)と比較した。調査期間は H15年 9 月 18日から 1週間である。

生徒へのアンケート項目:①他者評価尺度、②

「良い子」を演じる尺度、③完壁を求める尺度、

④社会的不安を求める尺度、⑤自尊感情を求め る尺度、⑥感情表現と関係、性を求める尺度、⑦

「自立性」尺度、③失敗を恐れる尺度、⑨成績 を気にする尺度、⑬失敗をした時の対応につい ての尺度。以上 10尺度計82項目である。

担任教諭の自由記述・アンケート項目:Iその生 徒はいつも必要以上に完壁な自分を演じている と思いますか。JIその生徒は友人と本音で話し 合うことができる仲にあると思いますか。Jなど、

計 19項目である。

アンケートの分析方法:他者評価(級問:高・

中・低)

x

良い子を演じる程度(級間:高・低) の 2元配置の分散分析を実施した。生徒の中か

ら「無理をしている良い子jを抽出するため、

以下の手法を行った。「他者評価」尺度の得点を 高・中・低群に分けた。また、「良い子を演じるj

尺度の得点を高・低群に分けた。そして、「他者 評価」尺度高群で、かつ「良い子を演じる」尺 度高群の者を「無理をしている良い子」とした。

生徒対象の調査結果:I完壁を目指す尺度」では

「無理をしている良い子(1他者評価」高群でか っ「良い子を演じる」高群)Jは他の生徒に比べ て得点が高く、「無理をしている良い子」がより 完壁を目指しているということが示された。

「友だちとの関係を表す尺度jでは、「無理をし ている良い子」は良い子を演じる程度が低くか っ他者評価の高い子よりも友だちとの関係の得 点が低かった。したがって、他の生徒に比べて

「無理をしている良い子」は友だちと本音で語 り合う仲ではないということが示された。

「失敗をした時に無理をしてでも頑張る程度を

あらわす尺度Jは統計上有意ではないが「無理 をしている良い子」の得点が他の生徒に比べて 高かった。したがって、「無理をしている良い子」

は他の生徒に比べて苦手なことや失敗をしたこ とがあっても、あきらめず頑張る可能性が考え られる。その他の尺度については明確な有意な 結果が見られなかった。

担任教諭対象の調査結果:担任教諭が良い子だ と思う生徒として 28人が挙げられた。良い子 を演じる程度の高群(14人)と低群(14人)に分け て内容を考察した。「その生徒はいつも必要以上 に完壁な自分を演じていると思いますか。」とい う質問に対して教師は良い子を演じる高群 14 名のうち、 12名は演じていないと,思っていた。

しかし生徒のアンケート結果では「良い子を演 じる」高群の生徒の演じている度合いは高かっ た。「その生徒は友人と本音で話し合う仲にある と思いますか。」という質問に対して教師は良い 子を演じる高群 14名のうち、 10名は本音で語 り合っていると思っている。しかし生徒のアン ケート結果では他の生徒に比べて友人との関係 を表す得点は低かった。

3.

考 察

「無理をしている良い子」の特徴は完壁を目指 し友だちと本音で語り合うことができていなし10

本音で語り合っていないということは、本当の 自分を友だちに見せていと考えられる。また、

苦手なことや失敗したことに対して、無理をし てでも克服しようとする姿勢が他の生徒よりも

5

齢、ということが示唆される。

教師は、「無理をしている良い子jの心理的特徴 を把握できていなかった。教師は「無理をして いる良い子」の心理的問題を理解するためにコ ミュニケーションを充分にとり、支援にする必 要があろう。

UA4

参照

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