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山田谷 政幸

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Academic year: 2021

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(1)

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

報 告 番 号

博(生)甲第238号

氏 名 山田谷 政幸

学 位 審 査 委 員

主査 松 尾 博 文

副査 樋 口 剛

副査 辻 峰 男

副査 阿 部 貴 志

・ 論文審査の結果の要旨

山田谷政幸氏は、平成5年3月に埼玉大学工学部電子工学科を卒業し、平成7年3月に 埼玉大学大学院理工学研究科博士前期課程電子工学専攻を修了した。平成7年4月に富士 電機株式会社に入社し、その後分社化を経て現在、富士電機システムズ株式会社に在籍し、

現在までの約16年間、スイッチング電源用半導体集積回路ならびに電源回路に関する研 究開発に従事している。平成19年4月より在職のまま長崎大学大学院生産科学研究科博 士後期課程に入学し、現在に至っている。

同氏は、大学院博士後期課程においてはシステム科学を専攻し、所定の単位を取得する とともに、主として、小型スイッチング電源とその並列運転に関する諸研究を行い、多く の研究業績を上げ、その結果を学位論文「小型スイッチング電源モジュールとその並列運 転に関する研究」としてまとめ、審査付論文3編を含む参考論文4編および審査付学会への 投稿論文1編を添えて長崎大学大学院生産科学研究科教授会に博士(工学)の学位を申請した。

長崎大学大学院生産科学研究科教授会は、これを平成22年12月15日の教授会に付 議し、受理を決定後、上記の審査委員を選定した。審査委員は、主査を中心に論文内容に ついて最終試験を行い、論文の審査及び最終試験の結果を平成23年2月16日の研究科 教授会に報告した。

本研究では特に、高効率化、小型・軽量化、そして使いやすさに大きな特徴を持つ電源シス

テムの構成を実現することを目的とし、並列運転による高効率化、並列運転に用いる電力変換

部分のモジュール化、そしてこれらの組み合わせによる電源システムの最適化、という一連の

提案を行った。具体的には電力変換を行うパワーステージをモジュール化し、これを並列運転

することで、大電流供給時の損失低減を図ることで高効率化を実現し、さらに負荷の大きさに

応じて常に最高効率で動作させるために、並列運転数を切り替えて効率の最適化を図ることを

提案し、理論的および実験的に検討した。

(2)

第1章では、電子機器の進展およびこれらに使用する半導体集積回路の微細化と高機能化が 低電圧、大電流を必要としている技術的動向と背景を説明し、電源回路として大電流化に対応 する手段として、電源回路のパワーステージの並列運転が高効率化に大きな効果があることを 示し、電源回路をモジュール化して並列運転に適用することで、高効率、小型でかつ使い易い 電源システムの実現の可能性を示した。

第2章では、パワーステージのモジュール化に着目し、組み込み型インダクタを使用した昇 圧型 DC/DC コンバータ・モジュールの提案を行った。インダクタを母材として IC チップと一 体化した昇圧コンバータ・モジュールを構成することで、シリーズ・レギュレータ並みの使い 勝手の良さで、かつ電源性能を満足する結果が得られた。モジュールのサイズは 2.5mm×2.5mm

×0.9mm、出力は 0.5W で、開発時点で世界最小のインダクタ内蔵電源モジュールを実現した。

インダクタ値は小型化したことで制約があることから、高周波動作が必要となるため電流検出 については増幅器を用いない新方式を考案し、2MHz 動作に対応した。これにより並列運転に必 要な小型・軽量化、高効率化、そして使い易さを実現する電源モジュールについて設計法の確 立の目途が付いた。

第3章では、電源回路の並列運転において、軽負荷から重負荷まで、常に最高効率で動作さ せるために、並列運転数を切り替えることで効率の最適化を行う手法について提案を行った。

この中で、電源回路の電力損失は負荷電流をパラメータとする二次関数に近似できることを新 たに提案し、この二次関数を基に効率を最適化する並列運転数の切り替え点を計算で求めるこ とができることを示した。そしてその切り替え点は±20%程度のばらつきが生じた場合でも、

効率の低下は 0.5%程度にとどまり、十分に実用的であることを確認した。これにより、並列運 転数を負荷に応じて切り替えることで効率を最適化する具体的な方法の有効性が示された。

以上のように、本論文はスイッチング周波数 2MHz、出力 0.5W の昇圧型小型電源モジュールを 大きさ 2.5mm×2.5mm×0.9mm、最大効率 93%を実現し、また小型電源モジュールの並列運転に際し、

その数を切り替えることで効率を最適化する手法について研究を行ったものである。

以上の研究成果は電子通信分野ならびにエネルギーエレクトロニクス分野における技術の進歩

発展に貢献するところ極めて大であり、博士(工学)の学位に値するものとして合格と判定した。

参照

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