小学校低・中学年における国語科教育の実践的研究
一ー確かな読みのカと言葉を通した人間形成をめざして一一
教科・領域教育専攻 言語系(国語)コース 演 井 明 子
1 研究の目的
学習指導要領が改訂されるたび
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基礎的・基本的な内容の定着を図る J という文言が盛り 込まれてきた。低学年から,その学年で身にっ けなければならないことを確実に定着させてい くことが肝要である。そのためには,長期的な 見通しの中で発達段階を踏まえた系統性のある 指導内容を明らかにする必要がある。また,学 級集団としての教育を考えるならば,人として 生きる,共に伸び合い学び合う,という視点を 外しではならないと考える。
そこで,本研究では,小学校低・中学年にお ける国語科教育の内容を明らかにし,確かな読 みのカと言葉を通した人間形成をめざした教育 を研究することを目的とする。
2 論文の構成
本論文は,序章・結章の他,次の 4章で構成 する。
第1章発達の筋道と発達の節目
第2章 小学樹底・中学年における葱護・基本 第3章 国語科教育実践の展開
第 4章 国 語 科 教 育 実 践 の 計 画
一第1学年 第4学年までの構想一
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論文の概要第1章では,発達の筋道をたどる中で, 10
指 導 教 員 村 井 万 里 子
歳前後,小学校4年生に発達の節目があること を考察した。教育学の立場や概念発達の面,脳 の神経細胞の発達状況の観点から 4年生頃に 特徴的な時期を迎えることが明らかになった。
またそれは,教育実践の立場からも確かめられ た。人間形成の面からは,発達の筋道にそって,
節目を意識しながら,意図して働きかけていく ことが必要で、ある口
第2章では,小学校低・中学年における基礎
・基本となる,学習指導内容について明らかに した。学習指導要領の改訂を経ながらも残され てきた項目を取り出すことで,小学校6年間の 系統性を見ようとしたが,はっきりとした系統 性を見出すことができなかった。学習指導要領 で示されたものを一つの目安と考え,子ども達 の実態に応じて実践に位置づけていくことが大 切であると考えるに至った。そこで
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話すこ と・聞くこと Jr
読むこと Jr
書くこと Jの具体 的な学習指導内容について,先行研究をもとに それぞれ明らかにした。人間形成における基礎・基本については,野地潤家の7つの提言にそ って,素水光子の実践を取り上げ,その具体的 な内容とした。
第3章では,国語科教育実践の展開について 考察し,授業のとらえ直しを図った。授業を,
教室の今ここで起きている出来事の意味と関わ りを編み直す「反省的実践j としてとらえるこ
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とが必要であることを確認した。「反省的実践J としてとらえるには,外から観察し,残された 記録をもとに授業研究するだけでは分からな い。それを明らかにする手だてとして,佐藤学 らの研究により明らかになった,教師が「反省 的実銭Jにおいて形成し,機能させている 5 つの思考様式(①即興的思考,②状況的思考,
③多元的思考,④文脈化された思考,⑤思考の 再構成)を用いて授業分析を行った。その結果,
取り上げた素水光子の授業では 5つの思考が 巧みに組み合わされていることが明らかとなっ た。特に,深い教材研究に裏づけられた豊かな 文脈化された思考と,しっかりとした指導の観 点と人間形成の視点をもった多元的思考とが数 多くなされていた。国語科教育の構造化では,
1年間の見通しの中で,
A アンソロジーの土台づくり
B 学習と自舌からの「ことば辞典jづくり C 中心となる学習
D 基本的なドリル学習
の4つの柱を立て,相互に関連させながら,国 語のカの習熟を図っていた。「読むことjの指 導では,認識カを養うことの必要性を見出し,
f人として知っておくべきことJを思索に生か していく学習を位置づけていた。素水は,長期 的な見通しの中で,国語科と生活とを結びなが ら,主体的な学習者の育成と言葉を通した人間 形成をめざしていたのである。
第4章では,確かな読みの力と言葉を通した 人間形成をめざした学習指導計画を構想、した。
確かな読みの力とは,自己の読みが集団思考を 経て再び自己に位置づくことであり,言葉を通 した人間形成とは確かな読みのカをつける集 団思考において言葉にこだわり,言葉を転ばせ,
響かせる中で,自分にとって大切な言葉を選び
増やしていく過程においてなされるものである ととらえた。そして,小学校4年生で迎える発 達の節目を視野に入れて,早い時期から人間と
して生きるという自覚を育てるための支柱を立 てる必要があることを確認した。第1学年から 第4学年までの指導計画を構想するに当たり,
長期的な見通しの中で,習得するべき国語のカ を明らかにし,繰り返して習得させる機会を位 置づけようと努めた。教科書の関連教材や全学 年で取り上げる「戦争jについての単元,アン ソロジーを組み込んで,学習の生活化をねらっ た。学習や生活の中で自己の読みを高め,再び 自己に位置づけることで,確かな読みのカはつ いていくと考える。そして,学習が授業の中だ けに終わらず, じっくりと言葉と向き合い,理 解と思索を結ぶとき,言葉を通した人間形成が 実現すると考える。
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今後の課題今後の課題は,以下の3点である。
1.
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国語科教育実践の計画Jを実践し,練り 上げることo 教科書教材を使いこなし,そ れをどう超えていくか。2.教科書関連教材やアンソロジーを開発,収 集していくこと。
用意するべき教材は,自分の人格を通して 深く掘り下げたものでなくてはならない。
3.指導者としての自己研鎖に努めること白
①理論や他の実践に学ぶこと。「第2歩にな っていよいよそのものとしての第1歩が必 要だJという,先達の理論や実践があるに
ちがいない。
②教師の言葉への対応が,学習者にとっての 典型となるような,自己の言語感覚を磨き,
言語能力を高める。
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