様式8の1の2 別紙2
論文審査の結果の要旨
専攻名 システム創成工学 氏 名 磯 光夫
(1,500字程度とし,1行43文字で記入)
本論文は,「鋼橋の長寿命化のための予防保全技術に関する研究」と題し,鋼板で覆わ れたコンクリート床版の打音法による非破壊検査技術と橋梁の洗浄技術に着目して,橋 梁の長寿命化を図るための予防保全技術について検討している.
本格的なメンテナンス時代を迎えようとしている我が国において, 損傷が明らかと なった後に対応する事後保全ではなく,顕著な損傷が明らかとなる前の予防保全の技 術を用いて橋梁などの構造物の長寿命化を図ることは,これからの社会資本整備にお いて極めて重要なことである.しかし,橋梁の予防保全の重要性は認識されているも のの,予防保全に関する技術はまだ十分に確立されていないのが現状である.
このような観点から,本研究では, 打音法による非破壊検査技術と橋梁洗浄技術 に 着目して,橋梁の長寿命化を図るための予防保全技術の開発を目指して.合成床版や 鋼板接着補強床版の実物大供試体,塗装鋼板やコンクリートの暴露供試体,および,
実橋などを用いて種々の試験を行っている.
このような観点から実施した本研究で得られた主な知見は以下のようである.
まず,鋼板で覆われたコンクリート床版の打音法による非破壊検査技術に関する研究 では,以下のような知見が得られた.
1) 本研究を通して開発した打音検査装置により,合成床版の健全,剥離,滞水状態を インパルスハンマによる打撃音の振幅比やフーリエ振幅の最大値などにより判断で き,判断するための閾値も設定することができた.
2) 鋼板接着補強床版の供試体を用いた予備的な試験ではあるものの,エポキシ樹脂と 底鋼板またはコンクリート間の健全,剥離,滞水状態の判断が可能であり,打音法 により鋼板接着補強床版の再劣化の状態が把握できた.
また,橋梁の洗浄技術に関する研究では,以下のような知見が得られた.
1) 汚れと塩分の付着性状の調査結果により,飛来塩分や凍結防止剤などの塩分は,塗 装鋼板では表面に付着し,コンクリートでは内部に浸透し,裸鋼板ではさびの中に 浸透することを確認した.この際,汚れは鋼 I桁橋の下フランジ上面に多く蓄積す ることを確認した.
2) 長寿命化効果に関する試験の結果より,洗浄による付着塩分や汚れの除去は,鋼材 の腐食抑制効果を有し,橋梁の長寿命化に効果があることを確認した.
3) 積雪寒冷地に架設された橋梁に付着した塩分や汚れの除去には,経済性,施工性な ど を 考 慮 す る と 吐 出 水 圧 5MPa, 吐 出 流 量 4~ 6L/分 , 吐 出 水 温 60度 , 洗 浄 速 度 約 50cm/分の温水を用いた2回洗浄で,橋梁洗浄の実用化が可能である.
本論文については,2013年8月1日に本学建設学科棟822番教室において,審査委員全員お よび学内外のこの分野の研究者,実務者などの出席のもとに公聴会が開催され,その研究 内容の発表と質疑応答が行われた.公聴会の後に,審査委員全員による学位審査委員会が 開催され,論文内容を詳細に検討した.その結果,本論文は工学的に価値が高く,研究内 容の学術レベルならびに研究としての独創性および有用性において優れたもとの判断した.
よって,本論文は博士(工学)の学位論文に値するものと認める.