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高等学校普通科におけるオントロジー工学的アプローチに基づく職業記述を用いたキャリアプランニング支援に関する研究

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(1)平成19年度 学位論文 高等学校普通科における. オントロジー工学的アプローチに基づく 職業記述を用いたキャリアプランニング支援に 関する研究. 兵庫教育大学大学院. 学校教育研究科 学校教育学専攻 教育内容・方法開発コース. MO6041C 田 村 賀 永.

(2) 目 次. はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 1. 第1章 高等学校におけるキャリア教育・・・・・・・・…. 5. 1.1 キャリア教育の歴史・・・・・・・・・・・・…. 5. 1.2 高等学校学習指導要領におけるキャリア教育・…. 6. 1.3 学校設定教科「産業社会と人間」 ・・・・・・…. 10. 1.4 高等学校のキャリア教育における体験的な学習の取組. 12. 1.5 高等学校におけるキャリア教育の現状と課題・…. 12. 1.6 本研究の立場・・・・・・・・・・・・・・・…. 17. 第2章 将来的な職業的アイデンティティ形成のための十全参加に おいて必要となる資質としてのコンビチンシー・・…. 20. 2.1 面接時の応対における行動特性と職能適性から 推測される将来的なパフォーマンス・・・・・・…. 2.2 職業的アイデンティティ・・・・…. 20. ●●●.’●’22. 2.3 十全参加に必要な資質としてのコンビチンシー・…. 23. 2.3.1 コンビチンシー・・・・・・・・・・・・…. 23. 2.3.2 コンピテンシーラーニング・・・・・・・…. 24. 2.3.3 コンビチンシー・オントロジー・・・・・…. 24. 2.3.4 十全参加に必要な資質としてのコンビチンシー・26 2.4 職業的アイデンティティの形成に向けた 学びの手がかり・・・・・・・・・・・・・・・…. 28.

(3) 第3章 授業案・・・・・・・・・・・…. 。 。 。 ・ ・ ● ・ ● .31. @ 31. 3.1 教育目標・・・・・・・・・…. 。・・・・・…. 3.2 教育内容・・・・・・・・・…. …. 3.3 授業計画・・・・・・・・・…. ● ・ 。 ● 。 ● ・ 。 ・ 32. 3.4 教材作成に向けての事前調査…. ● . ・ ● 9 ・ 。 。 ・ 35. 3.4.1 調査Aについて・・・…. ● 唇 ● ● ● ◎ ● ● ● 35. 3.4.2 調査Aの結果・・・・…. ● . . ● ● ● ● ・ ・ 36. 3.4.3 調査B・・・・・・・…. 。 ● ・ ・ ・ …. 3.4.4 調査Bの結果・・・・・…. 。 ● 。 …. ・ ・ ● ・ …. 32. ●41. ● 42. 第4章 オントロジー工学的アプローチに基づく職業記述を用いた 教材開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 44. 4.1 オントロジー工学的アプローチに基づく 職業世界記述・・・・・・・・・・・・・・・・…. 45. 4.2 オントロジー工学的アプローチに基づく 職務記述・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 48. 4.3 記述の活用・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 51. 4.4 授業方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 51. 第5章 キャリアプランニングについて・・・・・・・・・… 54 5.1 :事前学習・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 54. 5.2 事後学習・・∴・・・・・・・・・・・・・・… 55 5.2.1 単元⑤就業体験のまとめについて・・・・…. 55. 5.2.2 単元⑥進路目標の設定について・・・・・…. 55. 5。3 学習環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 56.

(4) 第6章 ループリック・・…. ・59. 6.1 評価の概要について・. ・59. 6.2 評価規準について・・. ・60. 6.3 評価基準について・・. ・61. おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 64. 引用・参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 65. 謝辞. 資料.

(5) はじめに. わが国を取り巻く社会的・経済的状況が急速に,大きく変化する中で,. 若者の勤労観・職業観も変容し,学校生活から社会・職業生活への移行. が円滑に行われていないという指摘が多くなされるようになった(岩 永・稲垣2003,久木元2003,山田2004).また,キャリア形成について は,初職が始めての本格的職業経験であり,次職以降の職業的連鎖が始 まったり,長期継続雇用による職業キャリアを形成していく現実から,. キャリア形成の初期,特に初職の選択が以後のキャリア形成への影響が 大きいことも指摘されている(労働政策研究・研修機構2005). 今日,「ニート」という言葉に象徴されるように,若者の働くことへの. 意欲や態度の形成をめぐって様々な課題が指摘されている.その背景に は,生活環境等の変化による生徒たちの発達の変化,産業・経済の構造 的変化や雇用・労働市場の多様化・流動化の進展等が考えられる.文部 科学省(2006b)では,「生徒の勤労観,職業観の希薄化や社会人・職業. 人としての基礎的・基本的な資質をめぐる課題,高い早期離職率,ブリ ーター志向の広まりやニートと呼ばれる若者の存在等が社会問題となっ ている」と述べている.離職に関する調査(厚生労働省2004)から明ら かになったことの中で特徴的なものとして,. 1.高校新卒者のうちで就職してから3年以内に離職した高卒者は 47.5%(データは平成9年を参考). 2.離職理由のトップは「仕事が自分に合わない,つまらない」であ. り,離職理由のうちの39.1%を占めていること(データは平成9 年における1年未満の離職者を参考). 1.

(6) が挙げられる.このことから,高校新卒者の職業に対する理解と自己の 職業適性に関する認識が不足していることが伺える.. 生徒が今後直面するであろう様々な課題に柔軟にかったくましく対応 し,社会人・職業人として自立していくことができるようにすべきであ るという社会的要請に応えるためにも,学校現場には,従来の出口指導 にとどまらない,生徒の進路発達にかかわる諸能力を健全に育成してい くためのキャリア教育が求められている.. 一方で,就職時の進路選択はその地域の特色や生徒のレベルにも依存 するため,文部科学省(2006b)において,「現在,高等学校教育,特に. 普通科は,極めて多様化している.このような中では,一律にどの学校 にも対応できるキャリア教育の指導計画モデルを示すことはできない」 と述べているように,各学校の実態に応じたカリキュラム開発を通して,. それぞれの学校が特色ある学校づくりを推進していくことが求められて いる.. 現在のキャリア教育においては,小・中・高の各発達段階を考慮した 活動がなされており,児童・生徒の体験活動が重視されている.文部科 学省(2004)は上述の離職率の高さを問題視し,それを解決すべく,高 等学校の職業的発達段階では,「自己理解の深化と自己受容」,「選択基準 としての職業観・勤労観の確立」,「将来設計の立案と社会的移行の準備」,. 「進路の現実吟味と試行的参加」という4つの職業的発達課題を挙げて いる.. そこで,本稿では高等学校普通科(特に進路多様校)におけるキャリ ア教育をテーマとした授業についての改善案を述べる.具体的には,. 2.

(7) ● 学習者の職業理解の深化. ● 学習者の希望する職業に対する自己の適性について認識の深化. の支援を目的とし,最終的に現実的なレベルでの進路選択,つまりキャ リアプランニングを支援する.. 本研究においても,従来のキャリア教育と同様に,学習者の希望する 職種・業種の代表として,特定の企業におけるインターンシップを取り 入れる.その中で,先輩従業員の観察から得られたものを構造化させ,. 当該の職種・業種の業務において,必要な,もしくは,より効率的にそ れらをこなしていくための知識・技能を明らかにさせ,それらと現在の 自分が持つ適性との比較を行わせる。しかしながら,当該の職種・業種 での業務とそこで用いられる知識・技能を明らかにしていく作業は,学 習者にとって容易ではないので,適切な足場がけが必要となる.. 本研究においては,事前に教師が作成した職種・業種ごとの職業・業 務モデル図を学習者に利用させ,インターンシップで体験する具体的な 業務をその中に関連付けさせるようにする.さらに,インターン先での 先輩従業員とのインタラクション(観察と対話)によって得られた業務 をこなすための知識・技能についてもその中に関連付けさせるようにす る.. 本研究では企業における人材育成を目的とした先行研究を参考に,上 記の作業の中で利用させるモデル図の記述方法については,オントロジ ー工学に基づくものを採用した.. まず,第1章では,高等学校におけるキャリア教育の現状と問題を述 べ,改善の必要性を明らかにする.. 次に第2章では,本論におけるキャリア教育のスタンスを明らかにし, 3.

(8) 支援の方法を明らかにする.. 第3章では,インタビューによる事前調査で得られたデータについて 考察する.. 第4章では,インターンシップで体験した職業世界に存在する概念と それらの間の関係を明示的に示すため,オントロジー工学的アプローチ に基づいたキャリア支援に関する授業を提案する.. 第5章では,インターンシップ前後の学習におけるキャリアプランニ ング支援と学習環境について述べる.. 第6章では,授業実践に向けたループリックについて考察する.. 4.

(9) 第1章 高等学校におけるキャリア教育 キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書(2004) によれば,「キャリア」と「キャリア教育」を以下のように定義している.. キャリア:個々人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役割の連鎖 及びその過程における自己と働くこととの関係付けや価値 付けの累積. キャリア教育:児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し,それぞれ にふさわしいキャリアを形成していくために必要な意 欲・態度や能力を育てる教育 本章では,本研究のテーマである高等学校におけるキャリア教育につ いて述べる.. 1.1 キャリア教育の歴史 職業観・勤労観をテーマにした教育改革については,平成正1年中央教 育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」にお いて,その推進が提唱された.その後は,国立教育政策研究所生徒指導 研究センターによる「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進に関 する調査研究」(平成13年∼14年)及び文部科学省初等中等教育局児童 生徒課による「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究」(平成14 年∼16年)を経て,平成16年度から「新キャリア教育プラン」,平成18 年度には「小学校・中学校・高等学校キャリア教育推進の手引」,「高等 学校におけるキャリア教育の推進に関する調査研究協力者会議報告書」 でさらに推進が図られ(図1−1),現在では小・中・高校でそれぞれの発. 達段階を考慮した教育活動がなされている.高等学校でのキャリア教育 において重要とされている体験活動については,「インターンシップ」「職. 5.

(10) 場の見学」「卒業生の体験発表」といった,将来の生き方に対する現実的 な探索や社会への試行的参加が求められている.. 平成11年中央教育審議会答申 u初等中等教育と高等教育との接続の改善について」. 平成13年∼14年国立教育政策研究所生徒指導研究センター u児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進に関する調査研究」. 文部科学省による「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究」 @. (平成14年∼16年). 平成16年度 文部科学省による「新キャリア教育プラン」. 平成18年度 文部科学省による. @. 「小学校・中学校・高等学校キャリア教育推進の手引」. u高等学校におけるキャリア教育の推進に関する調査研究協力者会議報告書」. 図1−1 キャリア教育の歴史. 1.2 高等学校学習指導要領におけるキャリア教育 現行の学習指導要領におけるキャリア教育に関連する事項は相当数に 上っており,指導計画の作成や内容の取扱い,また,教育課程の編成・ 実施に当たっての配慮事項等にも,生き方にかかわる指導や体験活動の 充実及びそれらの計画的,組織的な実施を求める記述がなされている.. 高等学校学習指導要領(1999)においてキャリア教育に関しては,第. 1章 総則,第2章 各教科,第3章 特別活動において記述がされて いる(表1−1).. 総則では, 第1款 教育課程編成の一般方針において,「学校におい 6.

(11) ては,地域や学校の実態等に応じて,就業やボランティアにかかわる体 験的な学習の指導を適切に行うようにし,勤労の尊さや創造することの 喜びを体得させ,望ましい勤労観,職業観の育成や社会奉仕の精神の酒 養に資するものとする」としている.. また,特別活動においてはホームルーム活動,学校行事において体験 的な学習を中心とした内容になっている.. 7.

(12) 表1−1 高等学校学習指導要領におけるキャリア教育に関連する主な目標・内容等 1不. “. の一. 4 学校においては,地域や学校の実態等に応じて,就業やボランティアにかかわる体験的な学習の指導を適切に 行うようにし,勤労の尊さや創造することの喜びを体得させ,望ましい勤労観,職業観の育成や社会奉仕の精神 の洒養に資するものとする。. 第2款 各教科・科目及び単位数等 5 学校設定教科 (2)学校においては,学校設定教科に関する科目として「産業社会と人間」を設けることができる。この科目の目標, 内容,単位数等を各学校において定めるに当たっては,産業社会における自己の在り方生き方について考えさせ,. 社会に積極的に寄与し,生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度を養うとともに,生徒の主体的な各教科・科 目の選択に資するよう,就業体験等の体験的な学習や調査・研究などを通して,次のような事項について指導す ることに配慮するものとする。. ア 社会生活や職業生活に必要な基本的な能力や態度及び望ましい勤労観職業観の育成 イ 我が国の産業の発展とそれがもたらした社会の変化についての考察 ウ 自己の将来の生き方や進路についての考察及び各教科・科目の履修計画の作成. 第4款総合的な学習の時間 2 総合的な学習の時間においては,次のようなねらいをもって指導を行うものと2総合的な学習の時間におい ては,次のようなねらいをもって指導を行うものとする。 (2)学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の在 り方生き方を考えることができるようにすること。. 総. 則. 3 各学校においては,上記1及び2に示す趣旨及びねらいを踏まえ,総含的な学習の時間の目標及び内容を定め, 地域や学校の特色,生徒の特性等に応じ,例えば,次のような学習活動などを行うものとする。 イ 生徒が興味・関心,進路等に応じて設定した課題について,知識や技能の深化,総合化を図る学習活動 ウ 自己の在り方生き方や進路について考察する学習活動 6 総合的な学習の時間の学習活動を行うに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 (2)自然体験やボランティア活動,就業体験などの社会体験,観察・実験・実習,調査・研究,発表や討論,もの づくりや生産活動など体験的な学習,問題解決的な学習を積極的に取り入れること。 第6款教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項 4職業教育に関して配慮すべき事項 (1)普通科においては,地域や学校の実態,生徒の特性,進路等を考慮し,必要に応じて,適切な職業に関する各 教科・科目の履修の機会の確保について配慮するものとする。 (3)学校においては,地域や学校の実態,生徒の特性,進路等を考慮し,就業体験の機会の確保について配慮する ものとする。. (4)職業に関する各教科・科目については,次の事項に配慮するものとする。 ア 職業に関する各教科・科目については,就業体験をもって実習に替えることができること。この場合,就業体 験は,その各教科・科目の内容に直接関係があり,かつ,その一部としてあらかじめ計画されるものであること を要すること。. 5教育課程の実施等に当たって配慮すべき事項 以上のほか,次の事項について配慮するものとする。 (2)学校の教育活動全体を通じて,個々の生徒の特性等の的確な把握に努め,その伸長を図ること。また,生徒が 適切な各教科・科目や類型を選択し学校やホームルームでの生活によりょく適応するとともに,現在及び将来の 生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるよう,ガイダンスの機能の充実を図ること。 (4)生徒が自己の在り方生き方を考え,主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ, 計画的,組織的な進路指導を行うこと。 1 三眠 望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、集団や社会の一員としてよりよい 生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てるとともに、人間としての在り方生き方についての自覚を深め、 自己を生かす能力を養う。. 第2内容. Aホームルーム活動. ホームルーム活動においては,学校における生徒の基礎的な生活集団として編成したホームルームを単位とし て,ホームルームや学校の生活への適応を図るとともに,その充実と向上,生徒が当面する諸課題への対応及び 健全な生活態度の育成に資する活動を行うこと。 (2)個人及び社会の一員としての在り方生き方,健康や安全に関すること。 ア 青年期の悩みや課題とその解決,自己及び他者の個性の理解と尊重,社会生活における役割の自覚と自己責 任,男女相互の理解と協力,コミュニケーション能力の育成と人間関係の確立,ボランティア活動の意義の理 解,国際理解と国際交流など。 イ 心身の健康と健全な生活態度や習慣の確立,生命の尊重と安全な生活態度や習慣の確立など。 (3)学業生活の充実,将来の生き方と進路の適切な選択決定に関すること。 学ぶことの意義の理解,主体的な学習態度の確立と学校図書館の利用,教科・科目の適切な選択,進路適性の 特別活動 理解と進路情報の活用,望ましい職業観・勤労観の確立,主体的な進路の選択決定と将来設計など. C学校行事. 学校行事においては,全校若しくは学年又はそれらに準ずる集団を単位として,学校生活に秩序と変化を与え, 集団への所属感を深め,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。 (5)勤労生産・奉仕的行事 勤労の尊さや創造することの喜びを体得し,職業観の形成や進路の選択決定などに資する体験が得られるよう にするとともに,ボランティア活動など社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うこと。. 第3指導計画の作成と内容の取扱い 1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。 (D学校の創意工夫を生かすとともに,学校の実態や生徒の発達段階及び特性等を考慮し,教師の適切な指導の下 に,生徒による自主的,実践的な活動が助長されるようにすること。その際,ボランティア活動や就業体験など 勤労にかかわる体験的な活動の機会をできるだけ取り入れるとともに,家庭や地域の人々との連携,社会教育施 設等の活用などを工夫すること。 (2)生徒指導の機能を十分に生かすとともに,教育相談(進路相談を含む。)についても,生徒の家庭との連絡を 密にし,適切に実施できるようにすること。 (3)学校生活への適応や人間関係の形成,教科・科目や進路の選択などの指導に当たっては,ガイダンスの機能を ること るよう’・一ムルーム1 の旨を工. 8.

(13) 各教科の「目標」の中でキャリア教育に関連が深いと思われる箇所. 国語を 切に現し. に理. るヒカ. し、 え口う. 局める. に、思 力を 1し心目を かに. し、言語感覚磨き、言語文化に対する関心を深め、国語を尊重してその向上を図る態度を育てる。 「国語表現1」. 国. 語. 国語で適切に表現する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力を伸ばし言語感覚を磨き,進んで 表現することによって社会生活を充実させる態度を育てる。 「国語総合」. 国語を適切に表現し的確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力を伸ばし心情を豊か にし,言語感覚を磨き,言語文化に対する関心を即め,国語を尊重してその向土を図る態度を育てる。 亀が国及 世 の形 の歴 ・剛 と ・ の ・. についての理解と迂言を深め、国.∬に 体 地理歴史 的に生きる 主的、…和的な玉自・ 会の一員として必要な 覚とり を養う。 い見野に呈って、現 の 五について 体・に 隅させ、理解 深め せる と に、 日としての り 生 き方についての自覚を育て、民主的、平和的な国家・社会の有為な形成者として必要な公民としての資質を養う。 「現代社会」. 人間の尊重と科学的な探究の精神に基づいて,広い視野に立って,現代の社会と人間についての理解を深めさ せ,現代社会の基本的な問題について主体的に考え公正に判断するとともに自ら人間としての在り方生き方につ いて考える力の基礎を養い,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。 公. 民. 「倫理」. 人間尊重の精神に基づいて,青年期における自己形成と人間としての在り方生き方について理解と思索を深め させるとともに,人格の形成に努める実践的意欲を高め,生きる主体としての自己の確立を促し,良識ある公民 として必要な能力と態度を育てる。 「政治・経済」. 広い視野に立って,民主主義の本質に関する理解を深めさせ,現代における政治,経済,国際関係などについ て客観的に理解させるとともに,それらに関する諸課題について主体的に考察させ,公正な判断力を養い,良識 ある公民として必要な能力と態度を育てる。 子に’ける な概忍や原理づ則の理解を深め、事象を 子・に考 し処理 る能力を局め、数子・5 を通して創造性の基礎を培うとともに、数学的な見方や考え方の良さを認識し、それらを積極的に活用する態度を 育てる。. r数学基礎」. 地. 学. 数学と人間とのかかわりや,社会生活において数学が果たしている役割について理解させ,数学に対する興味 ・関心を高めるとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識し数学を活用する態度を育てる。 「数学1」. 方程式と不等式,二次関数及び図形と計量について理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,それ ばすとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識できるようにする。 らを的 に活用する能力を. 然に・心木・心局、凋罵、ま付い、ミ子・に木・ ‘て に. の事象・現象についての理解を深め、科学的な自然観を育成する。 「理科基礎」. 理. 科. 科学と人間生活とのかかわり,自然の探究・解明や科学の発展の過程について,観察,実験などを通して理解 させ,科学に対する興味・関心を高めるとともに,科学的な見方や考え方を養う。 「理科総合A(B)」 自然の事物・現象に関する観察,実験などを通して,エネルギーと物質の成り立ちを中心に(生物とそれを取 り巻く環境を中心に),自然の事物・現象について理解させるとともに,人間と自然とのかかわりについて考察 然に対する’△的な見方や え方を養う。 させ して、 涯に こって の口 ・3 についての て bλ、 心 計画的に運動に親しむ資質や能力を育てるとともに、健康の保持増進のための実践力の育成と体力の向上を図り、 明るく豊かで活力ある生活を営む態度を育てる。 「体育」. 保健体育. 各種の運動の合理的な実践を通して,運動技能を高め運動の楽しさや喜びを深く味わうことができるようにす るとともに,体の調子を整え,体力の向上を図り,公正,協力,責任などの態度を育て,生涯を通じて継続的に 運動ができる資質や能力を育てる。 「保健」. 芸. 術. 個人及び社会生活における健康・安全について理解を深めるようにし,生涯を通じて自らの健康を適切に管理 し 釜してい ◎ や を てる 心・目 て に、脚 局 、五 の言 』 云 の畠 い, して、 涯に こ【筑馳 ばし、 かな 品を養う。. 国語 して、言貢。 に・ 理 深め、 _・にコミュニ ーション 翼 フ 態 の “ り、情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現したりする実践的コミュニケーション能力を養う。 「オーラル・コミュニケーション」. 外国語. 日常生活の身近な話題について,英語を聞いたり話したりして,情報や考えなどを理解し,伝える基礎的な能 力を養うとともに,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。 r英語1」 日常的な話題について,聞いたことや読んだことを理解し,情報や考えなどを英語で話したり書いたりして伝 える基礎的なヒカを うとともに 的にコミュニケーシ ンを“ろうとする態 を てる。. のよ }の呂み口・にりλ、採・琢の息、琢・琢耳の、、‘について. 解させるとともに、生活に必要な知識と技術を習得させ、男女が協力して家庭や地域の生活を創造する能力と実践 的な態度を育てる。 「家庭基礎」. 人の一生と家族・福祉,衣食住,消費生活などに関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,家庭生活の 充実向上を図る能力と実践的な態度を育てる。 家. 庭. 「家庭総合」. 人の一生と家族,子どもの発達と保育,高齢者の生活と福祉,衣食住,消費生活などに関する知識と技術を総 合的に習得させ,生活課題を主体的に解決するとともに,家庭生活の充実向上を図る能力と実践的な態度を育て る。 「生活技術」. 人の一生と家族・福祉,消費生活,衣食住,家庭生活と技術革新などに関する知識と技術を体験的に習得させ, 活…題を主 的に ご るとともに 自庭この ・上を翼る」力と 的な態 を てる。 情. 報. 目 目 馳}. この面 」の. して、同に. 3子・ま. λ. っ. もに、社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ、情報化の進展に主体的に対応できる能 力と態 を てる。. 専門教育 。 旨 に関する. 各教科. 九」. ま 西. 騒の深 、 ロ. “. に、ロ. ユのヒ. 、昌阻・ま午. を育てる。. 「工業技術基礎」や「ビジネス基礎」など各専門教育における基礎科目は専門領域への興味関心を高め、現代社 △における 『 の意 や役自を理 るとともに、 Aの を翼る創弛的な」力と 的な態 を てる. 9.

(14) キャリア発達については児童・生徒が行うすべての学習活動が影響す るため,高等学校の教育課程における普通教科,専門教科などの各教科 等とキャリア教育の関係は図1−2のようになる.. 道徳、特別活動. 各教科・科目. 総合的な学習の時間. 1 普通教育 : 専門教育 1(職業教育). …. コロコロロロロロコロココ コロコ ココロコロコ ロ ロコ ロ ロ. ゆロロロロロ. 1 ≡. キ ャ リ教ア育. =. 1 = つ. ロ コ ココ コ. コロ. コ. i. 毛 ≡ =. ≡ 5 ■■■■■■■■■■■■■匿謄■■■■■■謄φ ロ. ロ. ロ. ロ. 舳. 図1−2 各教科等とキャリア教育 資料出所 文部科学省(2006a)キャリア教育推進の手引. さらに,キャリア教育の推進を図るため,現行の学習指導要領から,. 総合的な学習の時間とは別に教科・領域にこだわらない教科として,学 校設定教科・科目に「産業社会と人間」を設けている.. 1.3 学校設定教科「産業社会と人間」 キャリア教育に関する授業としては,学校設定教科・科目として,「産 業社会と人間」(標準単位数2∼4)が挙げられる.「産業社会と人間」 については,総合学科において入学年次の必履修教科・科目である. 「産業社会と人間」の目標・内容等として学習指導要領(1999)では,. 10.

(15) 表1−2のように述べられている。. 表1−2 産業社会と人間の目標・内容等 産業社会における自己の在り方生き方について考えさせ,社会に 積極的に寄与し,生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度を養 うとともに,生徒の主体的な各教科・科目の選択に資するよう,. 就業体験等の体験的な学習や調査・研究などを通して,次のよう な事項について指導することに配慮するものとする.. ア 社会生活や職業生活に必要な基本的な能力や態度及び望ま しい勤労観,職業観の育成. イ 我が国の産業の発展とそれがもたらした社会の変化につい ての考察. ウ 自己の将来の生き方や進路についての考察及び各教科・科目 の履修計画の作成. 就業体験等の体験的な学習や調査・研究などを通して,自己のあり方 生き方を考えさせ,卒業後の進路選択に向けて学習意欲を高めることは,. 高等学校におけるキャリア教育の理念と一致しており,従来の普通教育 や職業教育にとらわれない,キャリア教育の中核となるにふさわしい目 標を掲げた教科・科目である.. 11.

(16) 1.4 高等学校のキャリア教育における体験的な学習の取組 高等学校における体験的な学習に基づくキャリア教育については,普. 通科(特に進路多様校)や専門学科を中心に,大きく分けて3つの取組 がなされている(図1−3).. インタ≒ンシンプ. 起業家教育(アントレヴレナーシヅガ. 就業体験. チャレンジショヅズ電子商取引(株 取引・ショッピングモrlのなど. 専門教育(スペシャリス』養成) 高度資格取得など. 図1−3. 高等学校におけるキャリア教育に関わる取組例. 代表的な取組として就業体験があり,総合的な学習の時間や特別活動 の時間の中で実施されている.その事前指導としては,「自分発見」・「進. 路探索」・「職業学習」などの自己啓発をテーマにした進路学習用副教材 「進路ノート」の活用,地域で働く人を招いた講演会などがある.. 1.5 高等学校におけるキャリア教育の現状と課題 産学連携教育日本フォーラム(2005)によれば,「1997年が日本にお けるインターンシップ元年である」とされている.高等学校においても,. 就業体験をテーマとした教育活動は未だ確立されたものではなく,多く の学校では総合的な学習の時間(1単位),特別活動という枠組みの中だ. けに留まってしまい,その取組は断片的なものとなっている.結果とし て,生徒,保護者,教員の就業体験に関する認識が「数多い学校行事の 一つ」にとどまっており,結果として,組織的・系統的なキャリア教育. 12.

(17) の実現に至っていない(文部科学省2004).. また,高校新卒者が就職後に職業不適応に陥り,職業社会に対する帰 属意識を持てずに早期離職する場合も少なくない(小杉2003).厚生労 働省(2004)によれば,高卒の約5割が入社後3年以内で離職しており, その理由のトップは「仕事が自分に合わない,つまらない」であった(図 1−4,図1−5).. ㊤曲. 團. 80 アo. bU 50 40. 3ア.ア 纏儲. 40.94ロ.539.341・9 餓プ. 13」11.9152 重ア.准. 腿. ,ゴ. 30 20. 10. 一簸. 1α4. P」. P2. P72. P6.9. e2蜘72・・㌔1・39。姐、4・・45・一8’14了5“臥3. z. 14薩13.z. でア.7 19.8. ,晦. 蟻ア. 甑鍵 繍、12.6. 152. 14.7. 1臼.8. Q1.台. Q1.5. 18.ア. @ド’亭. ョ、. 蟻12.019.9. 辱1.O Iε.1. 148. Q15. Q1.2. Q04 19.3. 麹. 1発漂’. 2薯. 14.B. 13.臼. 132. 14.δ 25.2. Q4. Q4.面. Q3.臼. Q4 252. 3臼.6. 0. 昌翫畔59年畔51年52年53年元年2年3年凹田昨7年畔9年鷹11年12年. 資料出所若年者の職業生活に関する実態調査厚生労働省 図1−4 新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移. On laO 20.0 30.0 40.O. 50.o %〉. !. 仕事が自分に合わない、つまらない. ノ9 ”. ・“ ”. ・ド ’’. ’. 9.1. ”. 122. 賃金や労働旧寺間≒琴の条件カミよくな、、. 鴇. 人間関係がよくない. 諾. 他にヰ)強たいこと力鴇つたから. ’. 累. 326 2.7 $.3. 143 ’ 陸“ ♂’. 含皇4. ,駕 。’. 5.. 会社に将来性炉ない キャリア形成の見込み購ない 通勤時間跡長い、通勤の便が悪い 健康上の理由・家庭の事情・結婚等. 尻 冥. ,’. R6.7. 109. ’. 31.6. 109 lo2. ’,. ’. @143. .1. 倒産・解雇・雇用契約期間の満了. その他. ,’. 図1年以内 n司6). P09. Q. 圏3年を超えるn昌98). 資料出所若年者の職業生活に関する実態調査厚生労働省. 図1−5 入社1年以内・3年を超えてから離職した正社員の離職理由 13.

(18) 高校新卒者が職業に対する自己の適性について深い検討がなされない ままに就職し,早期離職している現状をこれらのデータが示しているも のと考える.また,筆者が現場でかかわった生徒においても,「就職」に. 関して金銭的な欲求を満たすことを過度に考え,職業理解や自己の職業 適性について深い検討をしていない場合に早期離職をしている例が多く, 現状ともこれらのデータは一致している.. 職業的発達を考慮した授業設計として,文部科学省(2004)では,高 等学校の職業的発達段階と職業的発達課題について表1−3のように示し ている.. 表1−3 職業的(進路)発達段階,職業的(進路)発達課題. 高等学校段階. 〈職業的(進路)発達段階〉 現実的探索・試行と社会的移行準備の時期 〈職業的(進路)発達課題〉. ・自己理解の深化と自己受容 ・選択基準としての職業観・勤労観の確立 ・将来設計の立案と社会的移行の準備 ・進路の現実吟味と試行的参加. また,近年,中学校においても就業体験が実施され,進路選択に一定 の成果をあげた報告がなされている(「トライやる・ウィーク」評価検証. 委員会2003).高等学校段階における就業体験をテーマとした教育活動 においては,「自己理解の深化と自己受容」,「選択基準としての職業観・ 勤労観の確立」,「将来設計の立案と社会的移行の準備」,「進路の現実吟. 14.

(19) 味と試行的参加」という4つの職業的発達課題を解決するため,「現実的. 探索・試行と社会的移行準備の時期」という職業的発達段階を踏まえた 授業設計が必要であると考える.. 文部科学省(2006a)では,高等学校おいて育成すべき能力として,「人 問関係形成能力」・「情報活用能力」・「将来設計能力」・「意思決定能力」. の4つをあげており,さらに「自他の理解能力」・「コミュニケーション 能力」,「職業理解能力」・「情報収集・探索能力」,「役割把握・認識能力」 ・「計画実行能力」,「課題解決能力」・「選択能力」を挙げている(図1−6).. 自他の理解能力. 役割把握・認識能力. コミュニケーション能力. 人間関係形成能力. 計画実行能力. 将来設計能力. シ者の個性を尊重し、自己の個性を ュ揮しながら、様々な人々とコミュ jケーションを図り、協力・共同し トものごとに取り組む. イや希望を持って将来の生き方や生 ? 考え、社会の現実を踏まえなが 轣A前向きに自己の将来を設計する. 情報活用能力. 意思決定能力. wぶこと・働くことの意義や役割及 ムその多様性を理解し、幅広く情報 pして、自己の進路や生き方の. ゥらの意志と責任でよりよい選択・ ?閧 行うとともに、その過程での ロ題や葛藤に積極的に取り組み克服. I択に生かす. キる. 職業理解能力. 情報収集・探索能力. 課題解決能力. 図1−6 高等学校のキャリア教育で育成すべき能力. 15. 選択能力.

(20) また,高等学校でのインターンシップを中心とした授業における事後 指導の展開(例)として表1−4のように挙げている。. 表1−4事後指導「様々な職業に必要な能力・態度」の展開例 活動内容. 生徒の活動. 指導上の留意点【育成したい能力】. ・グルーに別れインターンシッを. ・気付いたことをできるだけ多くあげるよう. 体験した職業に. ハして磨要だと気付いた技能等を各. K要な能力等を ワとめる. ゥで伺箋紙に記入する。. ノ指示する。. @. E各自があげた技能を発表する。. 【情報活用能力】. Eなぜそう思ったかを,生徒が互いに確かめ №「ながら作業を進めるようにさせる。. @. 【人間関係形成i勧】. Eグループで相談しながら,付箋紙を模 「紙に貼る作業を通して,類似の技能 凾. 整理する。. Eそれらの技能・資格を得るためには,. E必要に応じ,資格や検定制度の詳細を調べ. ヌこで(高校上級学校や職場等), ヌのように学んでいけばよいかをグ. ウせる。・一つのルートだけでなく,なるべく複数の. 求[プで調べてまとめる。. 求[トをあげるなどに留意する。. @ @. E学級で発表する。. 【将 矧能力】 【情報活用能力】. 2 生徒の発達を評価するに当たっての留意点 ①体験日誌やワークシート,報告書の作成やグループワーク等を通し,インターンシップを通して学 んだことについて,職業に必要な態度やスキル専門性や技能等,自己の能力・適性との関係など に整哩させ,より分析的・基本的・客観的に自己評価でをるように工夫する。. ①これらの日頃の観察をもとに適性や職業の世界についてのより幅広く的確な理解現実的に進 路を探索する力などの向上といった観点を中心に個々の生徒の取組についての評価を行い適 宜,これを生徒に返していく。. ここで,特筆すべきは,事後指導の「生徒の活動」において,KJ法 的手法によりインターンシップでの技能等を振り返らせている点と,「指. 導上の留意点」において,学習者に対して気付いたことに基づき,職業 の世界を探索させるよう強調されている点である.. しかし,現時点のキャリア教育においては,インターンシップから得 られた認識を構造化させるような学習が行える教材はあまりない。. 16.

(21) 1.6 本研究の立場 高校生の職業選択に関わる問題としては,文部科学省や労働政策研究 機構,日本キャリア教育学会,教育社会学,教育心理学,日本産業教育 学会,日本学校教育学会などで,幅広く研究が進められている.問題解 決に向けての課題については,大きく3つに分けられる.. 1.学校教育と職業生活との接続時における制度上の課題(岩永・稲垣. 2003,寺田2004) 2.経済的格差の是正に関する課題(山田2003,門倉2006) 3.キャリアの開発・支援に関する課題(渡辺2001,三村2004,小杉2003) など様々な指摘がされている.. 本研究の立場としては,キャリア教育の視点から,将来的な職業社会 への帰属意識(職業的アイデンティティ)の形成に向けて十全参加が必 要条件であると捉え,その十全参加に向けたキャリアプランニング支援 を行う.そこで,企業における認知的徒弟制に着目し,インターンシッ プにおける状況的学習から,十全参加するための知識・技能の獲得を目 指すため,コンピテンシーラーニング(古川2002)の枠組みを取り入れ る.そして,人材開発で取り上げられている資質(コンビチンシー)に 向けて学習者が精緻化・一般化する学習を通じて,職業理解の深化や職 業適性の認識の深化ができる授業を考案した.. よって,本稿では高等学校普通科(特に進路多様校)におけるキャリ ア教育をテーマとした授業についての改善案を述べる.学習者のキャリ ア発達の支援として,. ● 学習者の希望する職業に対する理解の深化. ● 学習者の希望する職業に対する自己の適性に関する認識の深化. 17.

(22) について焦点をあて,最終的に現実的なレベルでの進路選択,つまりキ ャリアプランニングを支援する.. まず,学習者は希望する職種・業種のプロトタイプとなる企業におい. てインターンシップを行う.実習では,インターン先の先輩従業員(3 年∼5年程度)をモデルとし,「経験による学習」を行う.. 事後学習では当該の職業に就職したと仮定して,そこで従事していく 業務とそれら業務を遂行していくために必要な知識・技能という観点で 「モデリングによる学習」を行う。本来のコンピテンシーラーニングで想. 定されている学習対象者とは異なるため,適切な足場がけを行う必要が ある.ここでは足場がけとして,学習者が適切にモデル化を行えるよう に工夫をしたワークシートを利用する.学習者が当該の職種・業種の理 解にまで到達できるように,構造化された職業記述(職業世界記述・職 務記述)を用いる.そのようなワークシートを用いて学習者によってイ ンターンシップ時に得られた観察と経験を構造化させる.この中で,当 該の職種・業種の業務において,必要な,もしくは,より効率的にそれ らをこなしていくための知識・技能を明らかにさせ,それらと現在の自 分が持つ適性との比較を行わせる(図1−7).. そこで次章においては,職業社会への十全参加のために必要となる資 質について述べる.. 18.

(23) 本研究で提案する授業 モデルとなる. 筆ンピテンシーラーニング. 鑑攣毅業舞. インターン先. インターン鐵での. ○もっている3ンビテンシー ・知識,撲鷲車心. 経験によ綱噌. 、. i羅麟i髪. 、. 希墓する職穰・業種 のプ環野タイプ. モデリングによる学習. 雛傳鉢騨習. キ ヤ リ. 昆場がけ. ∼. メ. オント縫ジー工学約. 覇睡解の深紀。:鐵嘩鐘姓の. プ ラ ン. 徽業詑述 葵践舶な知鐵,技術 ノ. ㎜に墓つく瀧鋳蟹擁齪. ダ. 驚”擁・ .’ 鱒氏C. ア. ノ. ン. グ 支 援. ノ. 灘会への十金参獺 十全参魏に必婁となる コンピテンシーー. レ,. メタレベルの知鐵,技縫. 職雛約アイデンジィジイの形威. 図1−7 本研究の提案する授業概要. 19. 業 後.

(24) 第2章 職業的アイデンティティ形成のための十全参加において必要と なる資質としてのコンビチンシー. 2.1 面接時の応対における行動特性と職能適性から推測される将来 的なパフォーマンス. 現在,学校社会と職業社会という基本的原理の大きく異なる2つの世 界をつなぐ基準として,基本属性(性別・年齢・居所・出身地等),学校 教育上の業績(学歴・学業成績・資格等),採用試験の結果,面接等によ る性格等に関する情報が用いられている(岩永・稲垣2003).. 高校新卒者の就職に関して言えば,採用段階において,彼/彼女らに 専門的な知識や技術を求められることが少なく,企業側は面接での質問 事項に対する回答や調査書の記述,インターンでの働きぶりなどを通し て,彼/彼女らの将来的なパフォーマンスを推測・解釈する.その中で も受験した生徒の面接時における応対から推測された性格(心的特性). や行動特性に関する情報が,採用担当者が採用,不採用を決める上での 重要な判断材料となっている(岩永・稲垣2003).その理由として,面 接での応対において得られる生徒の性格や行動特性に関する情報を採用 担当者が解釈し,当該企業での職能適性を推定する基準としているから である.筆者が現場でかかわった学生に対する採用企業の人事担当者か ら得られた内定理由の具体例を表2−1にて示す.. 20.

(25) 表2−1 行動特性に関する情報の解釈例 職. 種. 内定の理由(人事担当者より). (圧迫)面接でも物腰が柔らかく,人が嫌がるよ. 女子A. うなことも表情に出さずに快く請け負うことので. (販売職). きる人物であると感じた.基本的生活習慣が身に ついており,弊社の求める人材とマッチしていた.. 面接時の礼儀正しさに好感が持てた.また,文化. 女子B. 祭でのステージ発表のエピソードがよく,明朗快. (バスガイド). 活な話しぶりに好感がもてた.. 面接内容から本人は人と接して語ることがうま く,細やかな心配りができる生徒であると感じた.. 男子C. インターンシップの様子からも十分適性があると. (介護施設職員). 判断した.(本生徒は販売職にて就業体験). 平成16年度青森県立野辺地高校企業訪問資料より. 例えば,女子Aの心的特性については,温和で,責任感があり,行動 特性については物腰が柔らかく,人が嫌がるようなことも最後まで諦め ずに根気よく行動できる生徒である.人事担当者は面接での応対から得 られた情報を解釈し,自社の販売部門において接客業務を遂行できる職 能適性をもっていると推定し,採用基準としている.. しかし,採用基準に関しては,本人にフィードバックされることはあ まりなく,採用された当人は,当該企業において求められる職業適性に ついて採用時点で認識している場合は少ない.採用された企業で推定さ. れた職業適性を発揮できず,結果として1.5で述べたように職業選択 21.

(26) の失敗が起こる場合がある。. その一方で,1.5で述べた「3年間以内」というボーダーラインを 超えて,ある程度のパフォーマンスを発揮していく者達がいる.そこで,. そのような者達の持つ資質について以降の節で述べていく.. 2.2 職業的アイデンティティ 亀井(2006)では職業的アイデンティティを「実践共同体への参加過 程において談話中で能動的に示される自己の位置づけ」としており,児 玉・深田(2003)では,「職業的アイデンティティ(職業人として自分は. 何者かを明らかにすること)の確立により,主体的なキャリア形成が可 能になること,組織の効率向上にも有用である」としている. また,集団での自己の役割が分からなくなると,青年は自己を見失い, 精神的な危機におちいる.これをE.H.Erikson(1968)では,「アイデン. ティティ拡散の危機」とよび,具体的には,自分を見失う,仕事に取り 組めなかったり逆に自滅的にのめりこむ,選択や決断ができない,など を挙げており,現代の若者における働くことへの意欲や態度の形成をめ ぐって様々な課題とも共通して,職業的アイデンティティの形成が必要 であると考える.. 以上から,本研究における職業的アイデンティティを,「職場共同体へ. 十全参加する過程で能動的に示される自己の位置付け」とする.亀井 (2006)では,「LPPIにおいて,アイデンティティの変化・形成は,実践. 共同体への参加のプロセスにおいて,だんだんと見えてくる熟練の未来. 1Lave&Wenger(1991)では,正統的周辺参加論(tegitimatePeripheral Participation以下, LPP)において,アイデンティティを「人間と,実 践共同体における場所およびそれへの参加との,長期にわたる生きた関 係である」(佐伯訳)としている.. 22.

(27) 像への同化と差異の中で起こり,それは学びを構造化する諸資源の配置 によって支えられる学習のカリキュラム成立と同時に展開する」として いる.つまり,職場共同体へ十全参加する過程で,自己の基底にある資 質を生かしながら,職場共同体に適応していくことで職業的アイデンテ ィティを形成していくと捉えることができる.. 以上のように,職業的アイデンティティの形成には職場共同体での十 全参加が欠かせない.しかし,現在の高等学校におけるキャリア教育で は,インターンシップにおける具体的な知識・技術から,将来的に継続 して十全参加するために職業社会で要求される資質やメタレベルの知識 について学習者が必要に気付き,納得できるように段階的に教育できて いるとはいえない.つまり,学習者は状況に埋め込まれた学習から得ら れた知識を概念化することができず,状況的学習が成立していない現状. であり,文部科学省(2004)が指摘している4つの職業的発達課題を解 決できていない.. そこで,次節では,職業的アイデンティティの形成に至るまでに必要 な資質を考えるために,人材開発の領域における研究を基に考察をして いく.. 2.3 十全参加に必要な資質としてのコンビチンシー. 2.3.1 コンビチンシー 近年,職業社会における人材開発おいてコンビチンシー概念が重要視 されている(古川2002).コンビチンシーの定義はさまざまあるが,以 下のような共通する特徴が3つある(平田・池田・溝口2001).. 23.

(28) 1.人の基底にある特性もしくは,可能性(素質)として表現されてい. ること 2.職務や機能において優れた遂行および成果に関連するものであるこ. と 3.ある固有領域の状況下だけでなく,広い範囲で安定的に発揮される. ものであること. 2.3.2 コンピテンシーラーニング 古川(2002)は,「コンビチンシーは内的な能力であるが,いくつかの 段階を経て深化する.」と述べている.古川はこうした学習の深化を「コ. ンピテンシラーニング」と呼び,コンピテンシラーニング理論では,知 識や能力は,. 1.経験による学習 2.モデリングによる学習 3.概念化による学習. という3つの段階を経て学習され,育成されるとしている. 本研究においては,コンピテンシーラーニングの枠組みを取り入れ,学 習者が学びの手がかりとすることで,職業理解を深め,職業適性を認識 することを狙いとする.. 2.3.3 コンビチンシー・オントロジー 平田ら(2001)はコンピテシーの分類について,「職業上の能力に特化 したワーク・コンビチンシー(WC)と,全般的な能力としてのコア・コン. 24.

(29) ピテンシー(CC)がある. CCがWCの基礎になっている.これらの問題解 決過程を,より全般的に統括する能力がメタ・コンビチンシー(MC)であ る.」と述べている.以上のようなコンビチンシーの在り方を「コンビチ ンシー・オントロジー」として,図2−1のように示している.. コンビチンシー ワーク・コンビチンシー コア・コンビチンシー 人格的能力. 認知的機能. 情緒的社会的能力. 分析知能. 状況認知力. 読解力. 調整力. 傾聴理解力. 説得力. 文章力. ネゴシエーションカ. 言語流暢力. 教授力. 計算処理力. サービス指向. 科学的能力 創造的知能 人格的知能. 意志的能力 拡散的思考力 ワークモチベーション 達成指向 自己統制. 遂行維持力 モチベーション 率先力. メタ・コンビチンシー 内省力. 仕事信念. 経験からの学習力. 仕事活動関与. 学二方二選択力. 仕事意味解釈. 学習方略選択力. キャリア明確化. 図2−1 コンビチンシー・オントロジー. さらに平田らは,コンビチンシーとスキル・知識の捉え方の違いについ て図2−2のように表現している.コンビチンシーは状況において「複数の 行為の選択」「行為の強度や程度の選択」「行為の実行時期の選択」を適 切におこなうことによって高いパフォーマンスをおこなえる能力である. また,高次レベルのコンビチンシーは,「自らのパフォーマンスに対する 要求や期待としてタスクの前後関係や水平関係,競合関係だけでなく,. 25.

(30) 社会的要求や自らのキャリア開発に基く要求を受け止め,解釈し,共同 的に社会的にも優れたパフォーマンスとしてコントロールすることがで きる能力である」としており,つまり,パフォーマンスの中で具体的に 発揮されている知識・技術と,知識・技術の発揮を支えている高次の知 識をメタコンビチンシーとして言及している.. 社会 リア方・. 匝司一→[衿心→・・tl・・3 @ 他者 前工程 パフォーマンス. パフォーマンス(スキル、. 結果. m識中心) 他者 後コニ程. 選択. 程度 (弱)1. 武ctlon2 ’. パフォーマンス. 時期. Actlon3. 判. 判. Actlonlb. × 麗[到. 結果. ×. 阜画. パフォーマンス(コンビチンシー含む). 同僚・共同者パフォーマンス. 競合や利害関係者パフォーマンス. 図2−2 コンビチンシーとスキル,知識. 2.3.4 十全参加に必要な資質としてのコンビチンシー 古川や平田らの捉えから,コンビチンシーとは知識・技術と,それら を駆動させる心理的・社会的スキルの複合体で構成され,高いパフォー マンスを発揮する社員の行動特性として表象されると言い換えることが でき,職場共同体への十全参加にはコンビチンシーの獲得による適応が 必要である(図2−3).. 26.

(31) 高. パ 昇 プラトー. ↓. 足踏み. 支 中 の. コンビチンシー (メタレベルの知識). (標準的). 水 準. の獲得. 知識・技術の獲得 低. 第1フェイズ. 第2フェイズ. 十全参加 した時間. 第3フェイズ. 職業的アイデンティティの形成. 図2−3 パフォーマンスの水準と職業的アイデンティティ. 特に,平田ら(2001)が指摘しているメタ・コンビチンシー(MC)は職. 業社会に適応していくための能力について,メタレベルの知識に関して 述べており,職業社会に十全参加していく中で要求されていく能力であ るとしている.. 職業社会におけるコンビチンシー概念は幅広い能力を含んでおり,高 校生のキャリア発達段階を踏まえた場合,キャリア形成の上で必要とな るコンビチンシーの獲得に向けた準備段階である.文部科学省(2004) は高校生の職業的発達段階を「現実的探索・試行と社会的移行の準備」. としており,卒業後の自己のキャリア展望を学習者に考えさせることが 求められている.つまり,高校生のキャリア教育において,インターシ ップ時に要求された具体的な知識・技術から,卒業後に職業社会に適応 し,継続的な十全参加する中で必要とされていくメタレベルの知識や能 力についても視野に入れながら,自己の職業適性を認識していくことが. 27.

(32) 必要である.. そこで,次節では,職業的アイデンティティの形成に向けて,本研究 で想定するインターンシップで行う学習の手がかりについて考察をして いく.. 2.4 職業的アイデンティティの形成に向けた学びの手がかり 亀井(2006)では,新人が職場における学びの諸資源へのアクセス可 能性のもとで,それぞれの視点から「学習のカリキュラム」を構成する ための手がかりを見いだすことを「学びの手がかり」と呼んでいる.そ して,LPPにおけるアイデンティティの変化・形成において,「学びの手. がかり」を発見することの必要性を説いている.つまり,新人が職場の 中で仕事を覚えて一人前になるにあたって,新人自身の仕事全体への貢 献度を認知し,職務を遂行する上で要求される技術や知識を獲得してい く手がかりを得ることで,職場共同体において適応し,結果的に職業的 アイデンティティが形成されることを示している.また,亀井(2006) は現代における仕事の分業化から「職業共同体での学びの諸資源として,. 新人に与えられた仕事の実践と職場における分業の形態と,人的資源へ. のアクセスという2つの側面」に注目している.これは,認知的徒弟制 (ガイドされた参加)において,学びの手がかりを学習者が発見するこ とが重要であることを示唆している。. しかし,本研究で想定している学習者は,亀井(2006)が想定してい る学習者とは異なり,職場共同体への試行的参加をしながら,職業理解 を深め,自己の職業適性への認識をする職業的発達段階にある.また,時. 間的な制約のもとで試行的参加をする学習者にとって,学びの手がかり を発見させるために適切な足場がけが必要である. 28.

(33) 本研究では,亀井の捉えを参考に,学習者がインターンシップ時に企 業においてどのように振舞ったか,先輩モデルがどのように振舞ってい るかに着目することを学びの手がかりとする.そして,インターンシッ プ時に学習者に与えられた仕事が職場全体における職務の中でどこに位 置づけられ,企業行動における共通性や特殊性を見出し,職務を遂行す る上で要求される知識や技術はどのようなものであったか,また,先輩 モデルと比較して,自分の職業適性を探求する学習を行う.学びの諸資 源とする.また,職場における人的資源へのアクセスについては,先輩 の存在にも着目し,職業的アイデンティティ形成に向けての近未来像と して捉えることで,学習者が自己の職業適性に関して比較・検討するこ とを促す.. そこで,学習者への支援として,オントロジー工学的アプローチを試 みた教材作成を提案する.オントロジーとは,知識の知識を研究するも ので,「メタ知識論」であり,知識は意味を明らかにするプロセスから意. 味論と一体のものであり,メタ意味論である(斉藤2006).また,溝口 (2005)は「ある対象世界に関して存在する概念とそれらの間の関係を. 明示的に示したもの」としている.オントロジー工学的アプローチによ る教材を活用することで,学習者がインターンシップで体験的に得られ た情報の関係性を明示しながら,精緻化・一般化し,知識として再構成 することが可能となる.. つまり,職場共同体における学びを構造化する諸資源を明示し,職業 理解の深化や自己の職業適性を認識につなげ,進路選択をするために意 味ある情報とすることが可能となる.. 以上から,職業理解を深め,職業適性を認識することにより,職業世 界の現実吟味をしたキャリアプランニング支援により,学習者は主体的. 29.

(34) な進路選択をすることができ,将来的な職業的アイデンティティの形成 を見据えたキャリア発達を促す.. 本論で提案する職業的アイデンティティ形成を見据えた流れについて は,図2−4に示す.. インターンシップ時の行動やモデルの行動に着目する. 職業理解を深め、職業適性を認識する. 職業世界の現実吟味に基づいたキャリアプランニングをする. 自己の職業適性を活かした職業世界への適応と十全参加. 職業的アイデンティティの形成 図2−4 職業的アイデンティティ形成のフローチャート. そこで,次章では本研究の提案する授業案について具体的に述べる.. 30.

(35) 第3章 授業案 本研究においては,現行の「産業社会と人間」(3単位)を参考に,就. 業体験の中での観察やインタラクションにより得られる先輩従業員の行 動特性を学習資源とし,学校設定科目「キャリア教育」(3単位)につい て考察する.. 3.1 教育目標 近年,職業社会における人材開発おいてコンビチンシー概念が重要視 されている(古川2002) .古川によれば,「コンビチンシーは内的な能 力であるが,いくつかの段階を経て深化する.」としている.また,平田・. 池田・溝口(2001)によると「コンビチンシーとは幅広く職務や機能の 遂行において発揮されるもので,優れた行為や成果をもたらす人の基底 にある特性もしくは可能性」であり,言い換えれば,知識・技術と,そ れらを駆動させる心理的・社会的スキルの複合体で構成され,高いパフ ォーマンスを発揮する社員の行動特性として表象される.以上から職業 社会におけるコンビチンシー概念は幅広い能力を含んでおり,高等学校 段階では教科領域のみならず,すべての教育活動を通じて養われるべき ものである.. また,インタビュー調査の結果から,安易な離職をせずに職業共同体 で適応している行動特性をもった若手社員は,平田・池田・溝口(2001). が指摘しているコンビチンシーの少なくとも一部を獲得していると見受 けられる.. よって本研究における授業では,表1−3で述べた文部科学省(2004). が指摘している高等学校の職業的発達段階である「現実的探索・試行と 社会的移行準備の時期」を考慮し,4つの職業的発達課題のうち,「自己 31.

(36) 理解の深化と自己受容」,「進路の現実吟味と試行的参加」の2つについ. て重視した授業設計を行う.その理由としては,インターンシップを機 軸とし,事前・事後の学習において学習者に与えられた仕事が職場全体 における仕事の中での位置づけや企業行動における共通性や特殊性を見 出し,職務を遂行する上で要求される知識・技術を学習することで,今 後職業社会において必要とされるコンビチンシーの一部を獲得し,円滑 に職業社会へ移行するための資質を養うためである.. 3.2 教育内容 教育内容は大きく二つに焦点化する.一つはインターンシップでの具 体的な行動を通して,コンビチンシーの一部となる職業における知識・ 技術を中心に行動をとらえることである.もう一つはモデル社員の行動 やアドバイスから,学習者が自己の基底にある特性や可能性を比較・検 討し,進路の現実吟味をすることである.. 3.3 授業計画 本研究においては,「産業社会と人間」(3単位)を授業モデルとして,. 授業を計画し,学校設定科目「キャリア教育」(3単位:計105時間) として授業を設計する.前期におけるインターンシップ事前学習,後期. におけるインターンシップ実習,インターシップ事後学習の3つの柱で 構成される.. 単元としては以下の通りとする.. ①自己探求 ②職業研究 32.

(37) ③就業体験 ④就業体験のまとめ. ⑤進路目標の設定 ⑥総まとめ. 単元①「自己探求」では,自己の基底にある心的特性や行動特性につ いて考え,自己の適性を探るとともに,自己の在り方・生き方について 再確認する学習を行う.. 単元②「職業研究」では,職業記述や過去の求人票などから職業世界 についての学習を行い,学習者に職業理解の深化を促す。 単元③「就業体験」では,事務・営業・販売・製造・福祉・建築・建設・サー. ビス等の業種の協力企業のもとで,学習者が興味をもった企業に3日間 程度体験入社し,実習訓練を行う.. 単元④「就業体験のまとめ」では,オントロジー工学的職業記述教材 を用い,職業理解の深化と職業適性の認識を促す.. 単元⑤「進路目標の設定」では,自己の職業適性を踏まえ,職業社会 への移行を見据えた進路選択を考え,卒業後の進路目標を設定する.. 単元⑥「総まとめ」では,一年間の学習の振り返りを行い,将来の目 標へ向けての課題を見出し,学習に取り組む意欲や態度の育成を行う. 年間指導計画(案)については表3−1に示す.. 33.

(38) 表3−1 年間指導計画(案). 糊. 実施内容. 単元名. 轍. 「産業社会と人間】のガイダンス. 配当時数 1. ①自己探求. 自己の特性を探る. 3. ①自己傑求. 自己の特性を探る. 3. 職業・産業調べ(インターネット・書籍等今. 8. 求人票研究. 3. 職業記述モデルによる企業ガイダンス. 5. 前期. 2. 後期. 実習先の選択・決定. 2. マナー講座. 2. ③就業体験. インターンシップ事前指導. 2. ③就業体験. インターンシッフ黎施. 18. 本 研 究. ④就業体験のまとめ. ネU犬の作成. 2. ④撫験のまとめ. 職業記述作成(職業体験発表資糾(D侑戎①). 8. ④就業体験のまとめ. 職務記述作成(職業体験発表資料の作成:2)). 8. ④就業体験のまとめ. 職業体験発表資ド靭誠のまとめ. 2. る. ④就業体験のまとめ. 職業体験全体発表. 6. 特 色. 職業適1生と自己適性の比鮫. 5. ⑤進路目標の設定. ライフプランを探る. 5. ⑤進路目標の設定. 進路希望の選択肢(複数案)の立案. 10. ⑤進路目標の設定. 進路希望の選択肢の選択と今後の目標暫定. 5. まとめ. 5. ①自荘探求. ⑥聡まとめ. 105. 34. に. お け.

(39) 本研究における授業の特色として,②職業研究単元における「職業記 述モデルによる企業ガイダンス」,③就業体験単元における「職業記述作 成」,「職務記述作成」,「職業記述・職務記述を用いた発表」,⑤進路目標. 単元における「進路希望の選択肢(複数案)の立案」,「進路希望の選択 肢の選択と今後の目標設定」が挙げられる.. 3.4 教材作成に向けての事前調査 本論で提案する授業を設計するにあたり,労働政策研究・研修機構 (2006)を参考に作成した質問項目により,現勤務校の卒業生で就職後. 3年程度経過している方に協力をお願いし(図3−1),2回のインタビュ ー調査を実施した.. 1 2. 3. 4 5. 6 7. 8 9. 10 11. 12 13. A氏 B氏 C氏 D E氏 F氏. G氏 H氏. 1氏. J氏 K氏 L氏 M氏. (21歳,女 ,ノ、売 , 売し3 ,転’0回 22歳男性,墓石占勤ヵ,墓石の施工,3 ,転職1回 22 ,男 ,旅館業,調理而,1 ,転職0回. 21歳 女生パチンコ サービス 2 一’2回 22 男 旅 フロント 3 一’0回 22歳,女性,サービス業,7護福祉士,1 ,転職0回 21歳,女性,病院勤ヵ, 護市,0 ,転職0回 21 男 くヵ自 ’唱官 3 『ら0回 21歳,男性,サービス業,ガソリンスタンド占,3 ,転’0回 22,男生,一業,1 ,転ら4回. (23歳,女 , 」造. 食品加工,3 ,転も0回). 22歳,男 , 応 , 応而,3 ,転亀0回 23歳,男性,サラリーマン,総ヵ:狙画,4 ,転職0回. 図3−1 協力者の属性. 3.4.1 調査Aについて ①目的. 初職でかつ3年を超えて勤務している若手社員における職業的アンデ ンティティがある程度形成されていること及びその形成において必要で あったこと(「職業に対する納得」「社会的職業役割」,「職場共同体への 35.

(40) 適応」,「職務遂行にあたる自信と信念」)に関して検証をし,学習者のモ. デルとして妥当であることを示す.. ②方法. 1)調査対象:高校卒業後に就職し,3年程度(3∼5年)経過した 20代前半の卒業生(13名) 2)調査時期:8月中旬∼下旬 3)調査方法:「職業に対する納得」・「社会的職業役割」・「職場共同体. への適応」・「職務遂行にあたる自信と信念」について インタビュー調査をする.. 4)分析方法:得られた質的データについては,特徴的な記述につい てまとめる.. 3.4.2 調査Aの結果 インタビュー調査において特徴的であった回答について述べる. 【職業に対する納得】. 【職業に対する納得】 ∼回答例∼ ☆完全に納得しているわけじゃないけど,自分にすごい能力があるわけではな いので,とりあえず妥協するところは妥協して自分のできる仕事を続けてい くしかないと思います.. (22歳,男性,旅館業,フロント接客,3年,転職0回). ☆今の仕事に納得していないし,自分にむいている仕事があるような気がする.. (22歳,男性,農業,1年,転職4回). 36.

参照

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