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4 ―META//IIVIA ―TBB レジンと象牙質との 接着に及ぼす血液汚染の影響

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 歯 学 ) 竹 生 寛 恵

学 位 論 文 題 名

4 ― /IETA/IVIR/IA ―TBB レジンと象牙質との 接着に及ぼす血液汚染の影響

学位論文内容の要旨

【緒言】

  近 年4‑META/MMA‑TBBレ ジン は, 象 牙質 への 優れ た接 着 性や 高い 生体 親和 性 を有 し, 水分 の 存在 下で も良 好な 重合が得られること から,根尖切除術におけるroot‑end sealing,垂直歯根 破折の接着治療や髄床底穿孔部の封鎖な どに応用されている ,これらの処置はしばしば出血を伴い,被着面が血液により汚染されるため,接着の低下が懸念さ れ る が, その 影響 に つい ては 明ら か にさ れて いな い, 本 研究 の目 的は 血液 汚 染が4‑META/MMA‑TBBレジ ンの 象牙 質への接着に及ばす 影響と適切な対応方法につ いて検討することである,

【材料と方法 】

実験1.歯面 処理前後における血液汚染の 影響についての評価

  ウシ 象牙 質片 に 対す る4‑META/MMA‑TBBレ ジン (ス ー パー ボンドC&BQクリア ,サンメディカル)の接着 操作過程 において,10%クエン酸3%塩化第二鉄溶 液(表面処理材グリーンQ, サンメディカル,以下10.3液)による歯面処理 前 また は歯 面処 理 後に ,ヒ ト新 鮮血 による血液汚 染を15秒問行った.歯面処理 前に血液汚染した場合は, 血液汚染 の除去方法と してエアーブロー(15秒)または水洗(15秒)を行った後,歯面処理し,スーパーボンドC&BQを接着した。

歯面処理後に 汚染した場合は,エアーブ ロー,水洗またはさらに再度 歯面処理(5秒)を行い,ス ーパーボンドC&B皿 を接着した. 血液汚染を行わなかったも のを非汚染群とした,

  24時 間生 理食 塩 水中 に保 存し た後 ,色素侵入試 験および微小引張り試験を行 い,統計学的分析を行った .また,

血 液汚 染後 およ び 血液 汚染 除去 後に お ける 被着 面や 引 張り 試験 後の 破断 面 形態 を, 走査 型電 子 顕微 鏡(SEM)で観 察した.

実験2.歯面 処理後の血液汚染時間の影響 についての評価

  実験1と 同様に歯面処 理後に血液汚染を行い,血 液の汚染時間を2,5,15秒に 設定した.その後の血液汚 染の除去 方法として, 水洗(15秒)または再歯面 処理(5秒)を行った後,スーパーボンドC&B9を接着した.血液汚染を行わな か っ た も の を 非 汚 染 群 と し た .24時 間 生 理 食 塩 水 中 に 保 存 し た 後 , 実 験1と 同 様 の 評 価 を 行 っ た .

【結果】

実験1.歯面処理前後におけ る血液汚染の影響について の評価

  10‑3液 によ る歯 面 処理前に血液 汚染が生じた場合は,エア ーブローまたは水洗後に通常 の歯面処理,接着操作を 行うことで,血液汚染がな い場合と有意差のない封鎖性 や接着強さが得られた.引 張り試験後の破断面は,凝集破壊     一574−

(2)

と 混 合 破壊 が 同 程 度で 界 面 破 壊は 観 察 さ れな か った,被 着面のSEM観察 では,水 洗後に 歯面処 理を行 った場 合は 象牙細管の明瞭な開口が認められた.

  一 方,歯 面処理 後に血液 汚染が 生じた 場合に は,水 洗後も 血液成 分の残 存が観察 され,封鎖性と接着強さは血液 汚 染がない 場合に 比べて 有意に 低下し ,破断 面は混 合破壊 と界面破 壊のみ であっ た,しかし,水洗後再度歯面処理 し た場合は 管間象 牙質に 残留物 がわず かに認 められ たもの の,象牙 細管は 開口し ,血液汚染がなぃ場合と有意差の なぃ封鎖性や接着強さが得られ,凝集破壊が最も多くなった,

実験2.歯面処理後の血液汚染時間の影響についての評価

  歯 面処 理 後 の 血液 汚 染 時 間が2秒 の 場 合 は, 水洗 のみで 高い封 鎖性が 得られた が,接 着強さ は非汚 染群に 比べ て 有意に低 下した ,血液 汚染が5秒以上 の場合 は,封 鎖性と 接着強 さのいず れも低 下した,被着面のSEM観察では,

血 液汚染時 間が2秒 の場合 には水 洗後に 血球成 分は認 められ なかったが,フィブリン様の残留物がわずかにみられ,

汚染時間が長くなるとともに多く観察されるようになり,象牙細管も閉塞・狭小化した,引張り試験後の破断面は,汚染 時 間が長く なると 凝集破 壊の割 合が減 少して混合破壊と界面破壊が増加した.しかし,再度歯面処理を行った場合は 血 液汚染時 間にか かわら ず残留 物はほ とんど 認めら れず, 象牙細管 は開口 し,高 い封鎖性と接着強さが得られた.

【考察】

  本 研 究 で は , 象 牙 質 面 が血 液 汚 染 され た 場 合 に,4‑METAfMMA‑TBBレ ジ ン の接 着 に 及 ぼす 影 響 に つい て 検 討 を行った,実験に用いた血液は,凝固反応が実験結果に大きく影響を及ばすと考え,抗凝固剤を含まなぃヒト新鮮血と した .実験1の結果 から,10‑3液に よる歯面 処理前 に被着 面が血 液で汚 染され た場合 は,通 常の接着 操作で 血液汚 染を行わなかった場合と有意差のなぃ封鎖性と接着強さが得られ,接着に及ばす影響は少ないと考えられた.しかし,

歯面処 理後に 血液汚 染があ った場合 は,封 鎖性と接着強さは低下した.これは,歯面処理された象牙質の露出したコ ラーゲ ンや象 牙細管 などの 陥凹部に 血液が 付着しやすくなり,さらに血液が凝固することで水洗だけでは血液成分の 残留が多くなり,接着を阻害するためと考えられた,

  そこで ,汚染 時間が 短けれ ば凝固 は進行 せず,水 洗だけ で接着 する可能性が考えられたことから,実験2として血 液汚 染時間 による 影響に ついて 検討を 行った .その 結果,歯 面処理 後の汚 染時間 が2秒で も接着 強さの 低下が みら れ,さらに,汚染時間が長くなるにしたがって,血液成分の残留が多くなるとともに封鎖性と接着強さは低下した,一方,

汚染時 間にか かわら ず,再 度歯面処 理を行 うと十 分な接 着性が 得られ た.こ れは, 歯面処理 材中の脱灰作用や抗凝 固作 用を有 するク エン酸 により 血液成 分が効 果的に 除去され たため と考え られた .また ,5秒間 の再度 歯面処 理は 血 液 汚 染 を 行 っ た 場 合 に お い て も オ ー バ ー エ ッ チ ン グ と な ら ず に 適 正 に 作 用 し て い る と 考 え ら れ た .   以 上の結 果から, 被着面 が血液 で汚染 された 場合, 歯面処 理の前 後にかか わらず 、10‑3液 による5秒間の 歯面処 理を 行 っ て から ス ー パ ーボ ン ド を 接着 す る こ とが , 良 好 な接 着 を 得 るた め には 重要で あるこ とが示 唆され た.

【結 論】

  歯 面処理前 に血液 汚染が 生じた 場合に は,水 洗後に 通常の 接着操作 を行う ことで接着に及ぼす影響は少なかった 一方 ,歯面 処理後 に血液 汚染が 生じた 場合で は,汚染 が短時 間でも 水洗だ けでは接着強さが低下し,再度歯面処理 を行 うこと が有効 である と考え られた ,

575

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

4 ―META//IIVIA ―TBB レジンと象牙質との 接着に及ぼす血液汚染の影響

  審査は主査,副査全員が一同 に会して口頭で行った.は じめに申請者に対して本論文 の概要の説明を求めたところ 以 下の内容について論述した.

  近 年4‑META/MMA‑TBBレ ジ ン は , 象 牙 質 へ の 優 れ た 接 着 性 や 高 い 生体 親 和性 を有 し, 水分 の 存在 下で も良 好 な重合が 得られることから,根尖切除 術におけるroot‑end sealing,垂直歯根破折の接着治療 や髄床底穿孔部の封鎖 などに応 用されている,これらの処置 はしばしぱ出血を伴い,被着面が血液により汚染されるため,接着の低下が懸念 さ れ る が , そ の 影 響に つい ては 明ら か にさ れて いな い .本 研究 では 血液 汚 染が4‑META/MMA‑TBBレジ ンの 象牙 質 への接着 に及ばす影響と適切な対応方 法について検討した.

  ま ず , 歯 面 処 理 前 後 に お け る 血 液 汚 染の 影 響に つい ての 評価 を 行っ た, ウシ 象 牙質 片に 対す る4‑METAJMMA‑

TBBレジン (スーパーボンドC&BQクリ ア,サンメディカル)の接 着操作過程において,10%クエン酸3%塩化第二鉄溶 液(表面 処理材グリーンD,サンメディカル,以下10‑3液)による歯面処理前または歯面処理後に,ヒト新鮮血による血 液汚染を15秒間行った.血液は,凝固 反応が実験結果に大きく影 響を及ぼすと考え,抗凝固剤 を含まなぃヒト新鮮血 とした. 歯面処理前に血液汚染した場 合は,血液汚染の除去方法 としてエアーブロー(15秒)または水洗(15秒)を行 った後, 歯面処理し,スーパーボンドC&B血を接着した。歯面処理後に汚染した場合は,エアーブロー,水洗またはさ らに再度 歯面処理(5秒)を行い,スー パーボンドC&B皿を接着した.血液汚染を行わなかったものを非汚染群とした,

  さらに ,汚染時間が短ければ凝固は 進行せず水洗だけで接着す る可能性が考えられたことか ら,次に,歯面処理後 の血液汚 染時間の影響についての評価 を行った.同様に,歯面処 理後に血液汚染を行い,血液 の汚染時間を2,5,15 秒に設定 した.その後の血液汚染の除 去方法として,水洗(15秒)または再歯面処理(5秒)を行った後,スーパーボン ドC&B口を 接 着し た.24時 間生理食塩 水中に保存した後,色素侵 入試験および微小引張り試験 を行い,統計学的分 析 を行 った . また ,血 液汚 染後およぴ 血液汚染除去後における被 着面や引張り試験後の破断面 形態を,走査型電子 顕微鏡(SEM)で観察した.

  その 結果 ,10‑3液に よる 歯面処理前 に血液汚染が生じた場合は ,エアーブローまたは水洗後 に通常の歯面処理,

接着操作 を行うことで,血液汚染がな ぃ場合と有意差のない封鎖 性や接着強さが得られ,接着 に及ぼす影響は少なぃ と考えら れた.引張り試験後の破断面 は,凝集破壊と混合破壊が 同程度で界面破壊は観察され なかった.また,被着     ―576ー

光 彦

雅 英

浪 野

川 佐

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

面 の SEM観 察 で は , 水 洗 後 に 歯 面 処 理 を 行 っ た 場 合 は 象 牙 細 管 の 明 瞭 な 開 口 が 認 め ら れ た .   一 方 ,歯 面 処 理 後に 血 液 汚 染が 生 じ た 場合 に は,血 液汚染時 間が2秒 の場合 は,水 洗のみ で高い 封鎖性 が得ら れ たが, 接着強 さは非 汚染群 に比べ て有意 に低下 した,血 液汚染 が5秒以 上の場 合は, 封鎖性 と接着 強さの いずれ も 低 下 し た. 被 着 面 のSEM観 察 で は ,血 液 汚 染 時間 が2秒 の 場 合に は 水 洗後に 血球成分 は認め られな かった が,

フィブリン様の残留物がわずかにみられ,汚染時間が長くなるとともに多く観察されるようになり,象牙細管も閉塞・狭小 化した,引張り試験後の破断面は,汚染時間が長くなると凝集破壊の割合が減少して混合破壊と界面破壊が増加した.

これは,歯面処理された象牙質の露出したコラーゲンや象牙細管などの陥凹部に血液が付着しやすくなり,さらに血液 が 凝 固 す る こ と で 水 洗 だ け で は 血 液 成 分 の 残 留 が 多 く な り , 接 着 を 阻 害 す る た め と 考 え ら れ た ,   しかし,再度歯面処理を行った場合は血液汚染時間にかかわらず残留物はほとんど認められず,象牙細管は開口し,

高 い封鎖 性と接 着強さ が得ら れ,凝 集破壊 が多く 認められ た,こ れは, 歯面処 理材中 の脱灰作用や抗凝固作用を有 するクエン酸により血液成分が効果的に除去されたためと考えられた.

  以上の 結果から ,歯面 処理前 に血液 汚染が 生じた 場合に は,水 洗後に通 常の接 着操作を行うことで接着に及ばす 影 響は少 ないが ,歯面 処理後 に血液 汚染が 生じた 場合では ,汚染 が短時 間でも 水洗だ けでは接着強さが低下し,再 度歯面処理を行うことが有効であると考えられた.よって,被着面が血液で汚染された場合,歯面処理の前後にかかわ ら ず,10‑3液によ る5秒間 の歯面 処理を行 ってか らスー パーボ ンドC&BBを接着 するこ とが,良好な接着を得るため には重要であることが示された,

引 き続き 審査担当 者と申請者の間で,論文内容及び関連事項について質疑応答がなされた.主な質問事項は,

(1) 他 のレ ジンセ メントと 比較し て4‑METAf MMA‑TBBレジン が生体 親和性 や接着 性が特に 優れて いる理 由 (2)血 液の採 血方法 につい て

(3) SEM観 察 所 見に お け る 各群 の 被着 面の形 態的な 違いと その理由 およぴ 接着界 面の微 細な状 態につ いて (4)接 着を妨 げてい ると考 えられ る血液成 分につ いて

(5)再 度歯面 処理を 繰り返 した場 合の接着 への影 響につ いて

(6)臨 床 を 想 定 し た 場 合 に 出 血 が 続 く 場 合 の 対 応 , 止 血 材 と の 併 用 の 影 響 に つ い て (7)今 後の研 究の展 開と将 来の展 望

で あった ,

  これ らの質 問に対 し,申 請者はいずれにも適切かつ明瞭な説明によって回答し,本研究の内容を中心とした専門分 野 は もと よ り 関連 分野に ついて も十分な 理解と 学識を 有して いるこ とが確 認され た.本 研究は,4‑METAJMMA‑TBB レジ ンと象 牙質との 接着に 及ぼす 血液汚 染の影 響およ び適切 な対応 方法につ いて理工学的および形態学的に評価し てお り,臨 床におけ る保存 修復や 補綴修 復処置 だけで はなく ,外科 的歯内療 法や破折歯根の接着治療などへの応用 に対して重要な指針を与えたことが高く評価された.本研究の内容は,歯科医学の発展に十分貢献するものであり,審 査 担 当 者 全 員 は , 学 位 申 請 者 が 博 士 ( 歯 学 ) の 学 位 を 授 与 す る の に 値 す る も の と 認 め た ,

‑ 577

参照

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