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学位論文題名 IThe cellular expression of SMCT2 and its comparlSOn WithothertranSporterSformonOCarbOXylateS inthemouSedigeStiVetraCt

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 寺 前 洋 生

     学位論文題名     I

The cellular expression of SMCT2 and its comparlSOn     WithothertranSporterSformonOCarbOXylateS     inthemouSedigeStiVetraCt

   ( マ ウス 消 化管にお けるSMCT2 の 細胞発現と 他のモノカルボン酸トランスポーターとの比較)

学位論文内容の要旨

【背景】

  植物由来の食物線維は ,大腸の細菌叢によって分解され(発酵),短鎖脂肪酸(SCFAs) に分類される酢酸,プロ ピオン酸およぴ酪酸を産生する。SCFAsは大腸の粘膜上皮により 吸収され,少なくとも大腸粘膜のエネルギー源になる。体全体から見るとそのエネルギー寄 与率は低いが,飢餓など グルコースを利用できなぃ状況下にあっては,SCFAsの寄与率が 増大する可能性がある。

  大腸でのSCFAsの吸収機構は長い間不明であったが ,2003年に同定された大腸がん抑制 遺伝子の産物(slc5a8)はSCFAs,乳酸,ピルビン酸などのモノカルボン酸に対するNa+共役 型のトランスポーター(sodium‑dependent monocarboxylate transporter; SMCTl)であることが わ かっ た。SMCT1は 大 腸粘 膜と 腎尿 細管 の刷 子縁 に特 異的に発現する。その後,SMCT1 とアミノ酸レベルで59% の相同性をもつslc5a12 (SMCT2)が同定された。SMCT2は,SMCT1 と比べるとモノカルボン 酸に対する基質親和性が低いことが特徴である。SMCT2は腎臓と 小腸に発現しているが, 大腸での発現がないことが注目された。しかし,SMCT2の発現に 関 する詳細な報告はなく,消化管全体における分布と 細胞内局在は不明のままである。

  また,腸にはSMCTの他にH゛共輸送性のmonocarboxylate transporter (MCTslc16)が発現 している。MCTは上皮細胞の側基底側basolateralに存在するトランスポーターであり,上 皮 内に 取り 込ま れた モノ カル ボン 酸の 血管 側へ の 移動 に関与していると考えられる。

  そこ で本 研究 では ,SMCT2の 消化 管で の発 現様 式をmRNAとタ ンパ クレ ベル で 調べ,

SMCT1やMCTファミリーのそれらと比較した。

【材料と方法】

  8週齢の雄性BALB/cマウスを15‑16時間絶食にした後,ペントバルビタールで麻酔した。

加situ hybridization法,Westem blotならびにPCR用には瀉血後に新鮮組織を採取,免疫組 織 化学 用に は潅 流固 定後 に腸 管と腎臓を得た。まず消化管におけるSMCT2mRNAの発現を 調べるために,RI標識によるin situ hybridization法を行なった。ついで他のトランスポータ ー と の 発 現 を 比 較 す る た めに 同一 組織 を使 っ て,SMCT1とSMCT2,MCTl^ MCT5(網 膜 特 異的 なMCT3は 除く )の 定量PCR (quantitative‑PCR: Q‑PCR)を行なった。SMCT2のタ ン パクレベルでの解析を行なうにあたり,SMCT2のアミノ酸残基567‑619を抗原とし,ウ サギとモルモットでポリクローナル抗体を作成した。小腸およぴ腎臓のWestern Blot解析を 行ない,抗体の特異性を 調べた。次に,消化管組織に船けるSMCT2のタンパク質発現を通 常の免疫組織染色により 検討した。また,包埋前金コロイド銀増感法によりSMCT2の細胞 内局在を免疫電顕下にて観察した。

25ー

(2)

【結果】

  加situ hybridization法 に より , マウ スの消 化管全長 でSMCT1とSMCT2のmRNA発現を 比較 したと ころ,SMCT2は近 位空腸か ら回腸 末端にかけて発現していた。最も強いシグナ ルは ,十二 指腸を除 く小腸 近位側半 分,す なわち空腸に認められた。一方,SMCT1のmRNA は 下 位空 腸 か ら 大腸 に か けて 発 現 して 韜 り ,小 腸 前 半部 で はSMCT2のみ が,大腸 では SMCT1の み が発現 している ことが わかった 。光顕 下では,SMC'12mRNAのシグ ナルは 絨毛 上皮に限局し,陰窩では検出されなかった。また,絨毛でのシグナルは、その基部で弱く,

中間部で強く,そして絨毛先端部で減弱した。

  免疫 組 織 化 学に よ るSMCT2の 発 現 解析 を行な うため, マウスのSMCT2の アミノ酸 配列 567‑619を抗原とする抗体を作成した。Westem blotによる解析では,空腸のサンプルで68kDa 付 近 に特 異 的な バンドが1本得 られた 。このバ ンドは ,mRNAの発現 がない 十二指腸 と結 腸では観察されなかったことから,抗体はSMCT2を特異的に認識していることが示された。

この抗体を用いて空腸を免疫染色したところ,絨毛上皮の刷子縁が特異的に免疫活性を示し た。絨毛の上半分に強い反応が見られたが,下半分では弱い反応であった。主要なナトリウ ム 依 存性 グ ル コ ース 輸 送 体で あ るSGLT1とSMCT2との螢 光二重染 色を行 ない,二 つの輸 送体 が刷子 縁で共発 現して いること が確認 できた。SMCT2の免疫活性は十二指腸や大腸の 刷子縁では観察されなかった。包埋前金コロイド銀増感法による免疫電顕法では,陽性反応 が吸収上皮細胞の刷子縁に局在しており,杯細胞,パネート細胞,上皮内リンパ球は免疫活 性を示さなかった。

  胃か ら 直 腸 まで の28部 位 を 採取 しQ‑PCRを行な った。SMCTl (slc5a8) mRNAの 発現は 大腸 におい て最大と なり, これまで の報告 を確認できた。SMCT1の発現は空腸の遠位1/3 か ら 直腸 に 向か って段階 的に強 くなる傾 向にあっ た。対 照的に,SMCT2のmRNAは十二 指 腸を 除く小 腸の近位 部で有意に強く発現していたが,大腸では全く発現していなかった。

MCTの 主 要 なサ ブタイプ であるMCT1は,消化 管全域 に発現し ている が,大腸 で特に強 く 発 現 し て い た 。MCT2とMCT5のmRNA発 現 は 腺 胃 に 限 局 さ れ お り , 胃 の 壁 細 胞がMCT2 の主 要な発 現部位で あるとするこれまでの所見と一致する。MCT4に関しては,十二指腸に のみ発現し,他の部位での有意な発現は認められなかった。

【考察】

  本研 究 の 結果か ら,SMCT2は小腸 に船けるSMCTの主要 な発現型 である と考えら れる。

SMCT2の 発 現は小 腸の刷子 縁に特 異的であ り,Nrの 濃度勾配 を利用 してモノ カルボン 酸 を 取 り込 む こ と の形 態 学 的裏 付 け がと れた。 小腸の 上皮細胞 はSMCT2とともにSGLT1と 共発現していたことから,同じ機構で異なる基質を取り込むトランスポーターが同一細胞に 備わっていることになる。

  消 化管にお けるSMCT1とSMCT2の発現 分布には ,生物学 的また 栄養学的な意義がある。

SMCT1とSMCT2は腎 臓 に も発 現 し ,糸 球 体濾過 液中の乳 酸の再吸 収に寄 与してい る。近 位尿 細管で は,基質 親和性 の低いSMCT2は糸 球体に近 いS1segmentに,そして基質親和性 の 高 いSMCT1がS2とS3segmentsに発現 してい る。この 配置は, 段階的 に濃度が 変化す る 乳酸 の吸収 に適して いると いえる。 消化管 においては,高親和性のSMCT1が大腸内の発酵 によって産生されるSCF・Asに対応するが、少なくとも空腸では腸内発酵はないことから,

SMCT2は小腸 での乳製 品中の 乳酸や酢 酸の吸 収に関与しているのであろう。これらは食物 とと もに大 量に小腸 に流入 するので 、ここ に低親和性のSMC他を配置することは理にかな っている。

  今 回,SMCTとの 関係が 深いプロ トン(H゛) 依存性の トラン スポータ ーであるMCTの発 現 パ ター ン をSMCTの それ と 詳 細に 比 較 した 。MCTはSMCTと は 異な り, 基本的に は細胞 のbas01ateralmembraneに 発現する 。MCTファミリ ーには ,これま でに14のサブタイプが 同 定 され て お り ,そ の う ち主 要 な サブ タイプ であるMCTl〜MCT5の発 現をQ・PCR法 によ り解 析した 。MCT1は大腸で強い発現が認められるが,小腸でも広く分布していることが確 認 さ れた 。 またMCT2は,腺胃 での発 現が認め られた ことから ,消化 管におけ るMCTは , MCT1が 主 要 なサ ブ タ イプ で あ り, 胃 ではMCT2が特定 の消化活 動に関 与してい ること が 示された。

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(3)

【結論】

  マウス の消化 管におけるSMCT2の発現様式を明らかにし,他のモノカルボン酸トランス ポータ ーとの 比較を行なった。消化管のSMCT2は,空腸型のモノカルボン酸トランスポー ターであることが示され,食事性の乳酸や酢酸を取り込むことを示す形態学的所見が得られ た。一 方、高 親和性のSMCT1は大腸を中心に発現し,腸内発酵により生じる短鎖脂肪酸の 取 り込 み を 行う。basolateral型のMCTは ,胃に特 異的なMCT2を除いて は消化 管全域に MCT1が 発現 し て おり ,MCT1が 消 化管 に おけるMCTの主 要なサ ブタイプ である ことが確 認された。消化管は,基質親和性と細胞内局在が異なるモノカルポン酸トランスポーター群 を発現させることで,効果的な吸収を行っていると考えられる。

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(4)

学位論文審査の要旨

     学位 論文題名

The cellular expresslonofSMCT2anditSCOmpariSOn     WithothertranSporterSformonOCarbOXylateS     inthen10uSedigeStiVetraCt

  ( マ ウ ス 消 化 管 に お け るSMCT2の 細 胞 発 現 と 他 の モ ノ カ ル ボ ン 酸 ト ラ ン ス ポ ー タ ー と の 比 較 )

  植物由来の食物繊維 や未消化炭水化物は、大腸の細菌叢によって分解され、酢酸、プロ ピ オン 酸、 酪酸などの短鎖脂肪酸(SCFAs)を産生する。そしてこれらを特異的に取り 込 む トラ ンス ポー ター 、SMCT1が 大腸 上皮に発現する。SCFAsのからだ全体から見た場 合 の栄養寄与率はそれほ ど高くないが、飢餓や糖尿病などグルコースを利用できない状態で は 、か なり 高く なる 。SMCT1は 、SCFAs以外 に も、 乳酸 、ケ トン 体をNa+ともに輸送 す るモノカルボン酸トラ ンスポーターであることから、栄養素の吸収以外にも、代謝全体に 関 与 す る 分子 であ ると いえ る。 その 後、SMCT1と構 造類 似のSMCT2が同 定さ れ、 基質 親 和性 がSMCT1よりも低いが 、輸送する基質は共通であることが示された。しかし、 そ の 発現 様式 や存在意義が不明であることから、申請者は 、マウスの消化管でSMCT2の 発 現 を解 析し 、他 の関 連ト ラン スポ ータ ーと の 比較 を行 った 。用 いた手法は、in situ hybridization法、リコンビナント抗原による抗体作製とウエスタンブロッティング、光 顕・電顕レベルの免疫 組織化学、real‑time PCR法などであった。消化管から28部位を採 取し、in situ hybridization法とreal‑time PCR法により遺伝子発現を詳細に検討した点 が 特徴 であ る。その結果、消化管のSMCT2は、空腸型のモノカルボン酸トランスポー タ ーであることが示され 、食事性の乳酸や酢酸を取り込むことを示す形態学的所見が得られ た 。一 方、 基質高親和性のSMCT1は大腸を中心に発現し、腸内発酵により生じる短鎖 脂 肪 酸 の 取 り込 みを 行う 。SMCTフ ァミ リー とペ アを 組 むbasolateral型 のMCTは、 胃に 特 異 的 なMCT2を 除 い て は 消 化 管 全 域 にMCT1が 発 現 し て 韜 り 、MCT1が 消化 管に おけ るMCTの主 要なサブタイプで あることが確認された。消化管は、基質親和性と細胞内 局 在が異なるモノカルボ ン酸トランスポーター群を配置させることで、食事性およぴ大腸発 酵産物であるモノカル ボン酸を栄養素として効果的に吸収していることが示されたといえ よう。このように異な る手法を用いて、栄養素の輸送体を多方面から解析する手法は、ほ かの栄養素に対しても 応用できる好例を示したといえる。

学 位論 文の 公開 発 表は 、平 成22年7月22日午 後3時 より 医学 部第3講堂 にお いて 、     −28―

雅 温

授 授

教 教

査 査

主 副

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20数 名の参 加者を得て行われた。主査から紹介があった後、申請者はパワーポイントを 用 いながら 約20分に渡って学位論文内容の発表を行った。イントロダクションを十分に 行い、聴衆の理解を深める説明をしていたのが印象的であった。その後副査の神谷教授か ら 、@2種類のSMCTの基質親 和性は 何倍程度異なるのか、◎消化管における発現量(蛋 白 レ ベ ル)はど の程度 異なるの か、◎SMCT1とペ アにな るMCT1の小腸 での発 現は大腸 に 比較する とかな り低いが 、それ でも対応できるのか、@MCTはH+とモノカルボン酸を 共輸送するが、H+はどこに由来し、輸送の駆動カになるのか、などについて質問があった。

  次 いで主 査(渡辺 教授)か ら、@SGI」Tとの共存関係において、SMCT2の染色性にム ラ があった が、意味のある現象なのか、◎胃のMCT2の働きはなにか、などについて質問 があった。さらに、副査の岩永教授と出席者からもコメントと質問があった。いずれの質 問に対しても、申請者は文献や関連研究の結果を引用し、おおむね良好な回答をした。た だし、周辺領域の調査はまだ不十分であり、完全な(質問者が満足する)回答をしたとは 言えなかった。質疑応答の時間は、約10分であった。

  こ の論文 は、Na+とモノカ ルポン 酸の共輸 送を行 うSMCT2の 消化管での発現を明らか にし、空腸での乳酸や酢酸の吸収を担うことを示唆する基礎データを提出した点で高く評 価 さ れ 、 今後 の モ ノカ ル ボ ン酸 代 謝 の解 明 に 大 きく 貢 献 する こ と が期 待 さ れる 。   審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども 併 せ申請者 が博士 (医学) の学位 を受ける のに充 分な資格 を有するものと判定した。

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