博 士 ( 獣 医 学 ) 今 村 彩 貴
学位論文題名
Development of Anti ―tick Vaccines using Serine Protease Inhibitors (SERPINs) from Ixodid Ticks
(マダニ由来セリンプロテアーゼインヒビター(セルピン)を用いた
抗ダニワクチンの開発)
学位論文内容の要旨
吸 血性 で 各 種病 原 体の ベ ク ター となるマ ダニを免 疫学的な方 法で防除 する 抗ダ ニ ワク チ ン 開発 は 、薬 剤 使 用に変わ るベクタ ーコントロ ール法と して有 望で あ る。 抗 ダ ニワ ク チン 標 的 抗原とし て蛋白分 解酵素とそ の阻害分 子の有 用性 が 多く の 研 究者 に よっ て 指 摘されて きたにも 拘らず、そ の解析は あまり 行わ れ てい な い 。そ こ で本 研 究 はマダニ 由来のセ リンプロテ アーゼイ ンヒビ ター(セルピン)に着目し、候補分子の探索と性状解析、組み換え蛋白を用いた ワクチン実 験を行っ た。ワク チン実験 には、実 験室レベルでのHaemap勾晒ロ触 め´ゲ叩Mお ・ウサギ モデルと 、野外応 用を視野 に入れたR轟り轟fc印轟ロ轟び q卵P紬c甜細鮒‐牛モデルを用いた。
は じめ に 、 セル ピ ンの 保 存 アミ ノ酸配列 を基にプ ライマーを 設計し完 全長 セル ピ ンcI)NAの ク ロー ニ ング を行 った。得 られたク ローン″. め嚠cD閘む ざPワ加‐2くHLS2)の機能解析の結果、HLS2はダニのへモリンフ凝固の制御因子 と 考 え ら れ た 。 ま た、 組 み 換えHLS2を 用い た ウ サギ の 免疫 実 験 では 約40% 程 度 の ダ ニ に お い て 吸 血 中 お よ び 吸 血 後 の 死 亡 が 確 認 さ れ た 。 ワ クチ ン 開 発の 観 点か ら 考 える と、ダニ 分子は吸 血時に宿主 体内に分 泌さ れる 暴 露型 と 分 泌さ れ ない 非 暴 露型分子 に大別さ れる。非暴 露型抗原 による 免疫 は 一般 に 暴 露型 抗 原よ り も ワクチン 効果が強 く発揮する 事が経験 的に知 られ て いる 。 セ ルピ ン の有 効 性 は以上の 理由から も支持され るが、野 外応用 を視 野に入れ た場合、1種類の抗 原を用い たワクチ ンでのダニ 排除は完 全では ないと考えられる。
そ こで 次 に 複数 の 抗原 を 混 ぜた セルピン カクテル ワクチンの 効果を検 討し た 。 材 料 に は 、 HLS2同 様 ダ ニ の 恒 常 性 維 持 に 必 須 と 考 え ら れ る 足 卿8門めc釘血觚se叩m.1と‐2(RAS‐1、・2)Iご着目し、組み換え蛋白を作製した。
この カ クテ ル で 自然 宿 主の 牛 を 免疫し、 抗ダニ効 果を判定し だ結果、 約60% の 若 ダ ニ の 飽 血 を 阻 害 し 、 約 28% の 成 ダ ニ に 死 亡 が 確 認 さ れ た 。 本 研究 で 得 られ た 知見 は 、 セル ピンが抗 ダニワク チン候補抗 原分子と して 有用 で ある 事 を 示し て いる 。 ダ ニの吸血 阻害のみ ならずダニ 媒介性病 原体の 伝播 阻 止を も 誘 導し う る抗 ダ ニ ワクチン の開発に は、更なる ワクチン 効果の 増強 が 必要 と 思 われ る 。そ の 為 には、候 補抗原の 探索は勿論 の事、免 疫方法
の検討、唾液に由来する暴露型抗原などをカクテルに添加する事が重要であ
ると考えられる。
学位論文 審査の要旨 主査
副査 副査 副査
教 授 小 教 授 片 助 教 授 奥 助 教 授 大
沼 操 倉 賢 祐三郎 橋和彦
学位論文題名
Development of Anti ―tick Vaccines using Serine Protease Inhibitors (SERPINs) from Ixodid Ticks
( マ ダ ニ 由来 セリ ンプ ロテア ーゼ イン ヒビ ター (セ ルピ ン) を用 いた 抗 ダ ニ ワ ク チ ン の 開 発 )
吸血 性で 各種 病原 体の ベク ター となる マダ ニを 免疫 学的 な方法で防除す る 抗ダニワクチン開発は、薬剤使用に変わるベクターコントロール法として 有 望である。本研究ではマダニ由来のセリンプロテアーゼインヒビター(セ ル ピン)に着目し、候補分子の探索と性状解析、組み換え蛋白質を用いた抗 ダ ニワ クチ ン効 果を 検討 した 。
は じ め に 、 セ ル ピ ン の 保 存 ア ミ ノ 酸 配 列 を 基 に プ ラ イ マ ー を 設 計 し Haemaphysalis longico.朋js(フタトゲチマダニ)の完全長セルピンcDNAの クローニングを行った。得られたクローン〃.|Dn訂cD朋jss卿jカ−2(HLS2) の 機能 解析の結果、HLS2はダニのへモリンフ凝固の制御因子と考えられた。
ま た、 .組み換えHLS2を用いたウサギを使っての抗ダニワクチン試験では、
約40% 程 度 の ダ ニ に お い て 吸 血 中 お よ ぴ 吸 血 後 の 死 亡 が 確 認 さ れ た 。 ワク チン開発の観点から考えると、ダニ分子は吸血時に宿主体内に分泌さ れ る暴 露型と分泌されない非暴露型分子に大別される。非暴露型抗原による 免 疫は 一般に暴露型抗原よりもワクチン効果カ§強く発揮する事が経験的に 知 られ ている。セルピンの有効性は以上の理由からも支持されるが、野外応 用 を視 野に 入れた 場合 、1種類 の抗 原を用いたワクチンでのダニ排除は完全 で はな いと考えられる。そこで複数の抗原を混ぜたセルピンカクテルワクチ ン の効 果を 検討し た。 勵I加jcep舶 |Usa卯en甜culatus(コイタマダニ)の serpir1と −2に 着 目 し 、 組 み 換 え 蛋白 質 を 作 製 し た 。 この カク テル で牛 を 免疫 し、抗ダニ効果を検討した結果、約60%の若ダニの飽血を阻害し、約 28%の成ダニに死亡が確認された。