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学位論文題名Revision of the subfamily Keroplatinae in Japan (Diptera: Keroplatidae)

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 上 杉 謙 太

     学位論文題名

Revision of the subfamily Keroplatinae     in Japan (Diptera: Keroplatidae)

(日本産ツノキノコバェ亜科の分類学的再検討      ( 双 翅 目 : ツ ノ キ ノ コ バ 工 科 ) )

学位論文内容 の要旨

  ツノ キノ コバ 工 科昆 虫群 は菌 食性 を 基本とするキノコパェ類に おいて捕食性を獲得した一 群 と し て 知 ら れ 、 世 界 か ら3亜 科79属 約850種 が 報告 され てい る 。捕 食性 の獲 得を 機 に、 本科 の ハエ は発 光や 陸 生プ ラナ リア ヘの 内 部寄生など他のキノコバ工 類には見られない特異な生 活 史を進化させ るとともに、一部は菌食性 へ回帰しており、その多様な 生活史は多くの研究者の注 目を集めてき た。さらに、二ユージーラ ンドでは発光種の自生する洞 窟が観光資源として利用さ れており、そ の生態理解と持続的利用は 応用上も重要な研究課題とな っている。しかし、このよ うな一部の例 を除けば、いずれの地域に おいても本昆虫群の探索はき わめて不十分である上、既 知種の多くは 分類学的に未整理で同定が 困難であり、生理・生態に関 する知見も乏しく、系統関 係 の解 析は ほと ん ど行 われ てい ない 。 特に 、既 知種 数 ・属 数で 科の3/4を占めるツノキノコ パ ェ亜科に関す る研究は著しく遅れており 、発光のような特異な生活史 形質を有する種ですら属の 所属やその系 統的位置が不確定のままで ある。

  本研究では 日本産ツノキノコバ工亜科 を対象に分類学的再検討を行 い、種レベルでの同定を可 能にするとと もに、新たな属分類体系を 提示した。また、成虫の外部 形態形質を用いて系統解析 を行い、これ まで不明であった亜科内の 系統関係を明らかにした。

1.分類

  本亜 科の ハエ は これ まで 日本 か ら11属23種が 知ら れ てい たが 、全 国よ り 採集 された標本を 検 討 し た 結 果 、2新 属 、9日 本 新 記 録 属 、44新種 、7日本 新 記録 種お よび3未 同定 種を 含 む、

22属77種を 認め た 。ま た、 アリ 食 の種 が知 られ るTruplaya属や ウッ ボカ ズ ラ内 に生息する種 が知られるXenoplatyura属など、生活史 進化を考察する上で重要な 属が日本にも分布することを 明らかにし た。さらに、Ralytupa属を旧北区より初めて報告し、Laur yp ta属と同様に本属がェチ オピア区― 東洋区に分布の中心を有し、 一部が東アジア温帯域まで 進出している昆虫群であるこ とを示した 。

  種 分 類 日 本 産77種 の う ち 標 本 の 得 ら れ な か っ た3種 を 除 く 全 種 につ いて 記載 ある い は再

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記載を行った。記載に際して新たな種分類形質の探索を行った結果、Monocen tro to属の前脚脛節 先端 の毛列 および 雄爪腹 面の棘列 、Neoplatyura属の雄腹部背板の毛束、Orfeliini族の数属にお ける 雌受精 嚢の形 態と硬 化度およ び受精嚢管長が有効な形質であることを見いだした。また、従 来重 要視さ れてき た触角 節数に関 して再検討した結果、Monocentrota属において属内変異が存在 し、さらにDimorphelね属でのみ知られていた雌触角節数の減少がLaur ypta属およびMicror′ elia 属に おいて も認め られる など、い くっかの形質は分類上有用であるもののその系統的意義につい ては検討が必要であることが明らかとなった。

  数種 につい て分類 学的変 更を行 った。Keroolatus lobatusを盈bi′ ormisの同物異名とした。

従来Cerotelion pectinatum、Platyura exserta.  Zelmira angulataおよびみ出isenanaとして 取り 扱われ ていた4種の所 属を変 更し、それぞれPlatyrootilon属、Pyratula属、Or felia属およ びIsoneuromyia属に移した。

  属分 類Micror′ elia属およ び:Dasylyprauta属の2新 属を設 立した 。これら2属は翅脈相、胸 部の 毛の有 無等の形質の組合せのほか、Micror′ elia属では雌触角節数が11節に減少すること、

Dasyl yprauta属では雄胸部後気門に毛の列を有することで従来知られているどの属とも異なる。

また、Lutarpyel la属およびTylpar ua属をそれぞれZロtarpya属とOr felia属の同物異名とした。従 来Lutarpyel la属は脛 節距棘 の消失 、Tylparua属は単眼の消失などいくつかの派生形質によりそ れぞ れZロtarpya属、Orfelia属 とは異 なるとされてきた。しかし、日本産種にZロtarpyella属一 Lutarpya属 間、Tylparua属‑Or felia属 間のそ れぞれ 中間の形 質状態を有する種が見出されたた め、独立の属として扱う根拠が失われたと判断した。

  以上 の変更 点を反 映したOrfeliini族の 全49属へ の検索 表を作 成し、 新たなOrfeliini族の属 分類 体系を 明示し た。こ れまで属 検索表は特定の生物地理区でのみ適用可能なものしか存在しな か っ たた め 、 今 回作 成 し た 検索 表 は 現 時点で 最も汎 用性の高 いもの になっ たと考 えられ る。

2.系統

  亜科 内の族 間および 属間の 系統関 係を明 らかに するため、成虫の形態形質を用いてツノキノコ バ ェ 亜 科 の 計22属34種間 の 系 統 推定 を 行 っ た。 形 態 デ ータ に は 雌 雄よ り 計69形 質 を 抽 出し て用い 、頸節片や付節先端の爪の形態などこれまでほとんど注目されたことの無い形質も含めた。

最節約 法によ る解析 を行い 、最も 妥当と 考えら れる樹 形をツノキノコパェ亜科内の系統仮説とし て提示した。得られた樹形より以下の点が示唆された。

  1)ツ ノキノ コパ工 亜科は単 系統群として認められた。亜科の単系統性を支持する形質として、

後頭溝 の存在 と後脚 脛節先 端の毛 列の存 在の2形 質が新 たに示 された一 方、従 来亜科の単系統性

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統関係の不明であったMacrorrhyncha属とAsindul um属がそれぞれNeoDlatyura属の一部および Ur ytalpa属の一部と姉妹群を構成することが示された。これにより、Macrorrhyncha属と

Asindulum属に おいて訪花性とそれに適応した口器が独立に進化したことが示された。

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学 位論文審査の要旨

主査    教授   諏訪正 明 副査    教授   齋藤   裕 副査    助教授    秋元 信一

副査    助教授    大原 昌宏(北海 道大学総合博物館)

     学位論文題名

Revision of the subfamily Keroplatinae     in Japan (Diptera: Keroplatidae)

(日本産ツノキノコバェ亜科の分類学的再検討      ( 双 翅 目 : ツ ノ キ ノ コ バ 工 科 ) )

  本 諭 文 は 図90、 表1を 含 む 総 頁 数255の 英 文 論 文 で あ り 、 他 に 参 考 論 文3編 が 添 え ら れ て いる 。

  ツノ キノコパエ 亜科溌菌食性を基本とする キノコバエ類において捕食性 を獲得したツノキノ コ バ 工 科 最 大 の 亜 科 で あ り 、 世 界 か ら67属 約650種 が 報告 され てい る。 捕 食性 の獲 得を 機 に 、本 亜科のハエ は発光や陸生プラナリアヘ の内部寄生ぬど他のキノコバ エ類には見られない 特 異な 生活史を進 化させ、多くの研究者の注 目を集めてきた。しかし、本 昆虫群の分類学的、

系 統学 的研究は極 めて乏しく、その生活史進 化を推考するに足る系統仮説 は提示されてこなか っ た。

  本研 究では日本 産ツノキノコパエ亜科を対 象に分類学的再検討を行い、 種レペルでの同定を 可 能に するととも に、新たな属分類体系を提 示した。また、成虫の外部形 態形質を用いて系統 解 析 を 行 い 、 こ れ ま で 不 明 で あ っ た 亜 科 内 の 系 統 関 係 を 明 ら か に し た 。

1.分類

  本 亜 科 の ハ エ は こ れ ま で 日 本 か ら11属23種が 知ら れ てい たが 、本 研究 の 結果 、2新属 、

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  数種にっいて 分類学的変更を行った。Keropltuus loぬsを疋biformisの同物異名とした。従来 Cerotelion pectinatumヽPlatyura exserta、Zelmira angulataおよびZIdaisenanaとして取り扱われて いた4種の所属を変更し、それぞれPlatyroptilon属、Pyratula属、Orfelm属およびTsoneu;romyra属 に移した。

  屬盆 類Microrfeka属 およ びDasylyprtuUa属の2新 属を 設立 した 。 これ ら2属 は翅脈 相、胸部 の 毛の 有無 等の 形質 の 組合 せの ほか 、Microrfelia属では 雌触角節数が11節に減少す ること、

Dasylyprauta属 で|ま雄胸部後気門に毛の列を有することで従来知られているどの属とも異なる。

また、Lutarpjeぬ属および乃′ぬ)anIa属をそれぞれnIぬゅ旧属と〇嘘}ぬ属の同物異名とした。

従 来h細 ぴ ぬ属 、D枇 朋 ロ属 はい くつ か の派 生形 質に より そ れぞ れ独 立属 とさ れてき た。しか し 、 日 本 産 種 に む 細 ぴ ぬ 属 ーh幻 が 属 間 、 珂 枇lm漏 ー 〇 ゆ 舷 属間 のそ れ ぞれ 中間 の形 質 状 態 を 有 す る 種 が 見 出 さ れ た た め 、 独 立 の 属 と し て 扱 う 根 拠 が 失 わ れ た と 判 断 し た 。   以上の変更点 を反映したく)rfenim族の 全49属への検索表を作成し、 本族の新たな属分類体系 を 明示 した 。こ れま で 属検 索表 は特定の生物地理区でのみ 適用可能なものしか存在し なかった た め 、 今 回 作 成 し た 検 索 表 は 現 時 点 で 最 も 汎 用 性 の 高 い も の に な っ た と 考 え ら れ る 。

2.系 統

  亜 科内 の族 間 および属 間の系統関係を明らかにす るため、成虫の形態形質を用 いて本亜科の 計22属34種 問 の 系 統 推 定 を 行 っ た 。 得 ら れ た 系 統 仮 説 よ り 以 下 の 点 が 示 唆 さ れ た 。   1) ツ ノキ ノコ パエ 亜科 は 単系 統群 とし て 認め られ た。 それ を 支持する2形質 が新たに示さ れた 一方 、従 来 単系 統性 を支 持す る 証拠 とし て挙 げら れ てい た5形質のうち4形 質は亜科レペ ルの 共有 派生 形 質と して は認 めら れ なか った 。

  2) 単 系統 と考 えられ てきたOrfeliini族はKerop面m族を内包する側系統群であ ることが示さ れた 。こ れま で の系統仮 説とは大きく異なる結果で あり、その妥当性については 今後分子デー タと の相 互参 照 など によ る検 証が 必 要で ある 。

  3) 類 似し た伸 張吸 蜜型 の 口器 を持 つも の のそ の系 統関 係の 不 明であったMぬ 旧TりM舷属と んf触 細 属 に お い て 訪 花 性 と そ れ に 適 応 し た ロ 器 が 独 立 に 進 化 し た こ と が 示 さ れ た 。

  以上の ように、本研究は特異な生 活史を有する日本産ツノキノ コパエ亜科に関する総合的 な 基礎情報 を明らかにしており、その 成果は学術的・応用的に高く 評価される。よって審査員 一 同 は 上 杉 謙 太 が 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。

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