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自動車用材料特集号の発刊にあたって高田治

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Academic year: 2021

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まえがき=自動車産業はいまや年間 30 兆円の巨大市場 に成長し,文字通り日本経済の牽引車である。総合素材 メーカである当社は鉄鋼,アルミニウム,マグネシウム,

チタン,銅,樹脂の広い分野で自動車産業と深い関わり をもっており,その厳しい要求に応えてともに発展して きた。これまでも自動車産業は国際化をはじめとして大 きな変化をとげてきたが,さらにここにきて自動車をと りまく環境におおきな変化が見えはじめている。

すなわち,地球温暖化を含めた環境問題,安全性要求の 高まり,エネルギ問題などであり,またアジア地域を中心 とする国々の市場拡大と各国自動車産業の勃興である。

自動車産業は従来からの低コスト化,競争力の向上を 掲げるいっぽう,これらの問題解決に向けて,排ガス対 策車,ZEV,安全車,ハイブリット車の実用化,海外ト ランスプラントの拡大,少量生産システムの構築に取り 組んでいる。当社はこれらの動きにともなう今後の自動 車産業の要求に応えてゆくべく研究開発を進めており,

本特集によりその活動の一端をご紹介したい。

1. 軽量化への動き

さきに述べた環境問題などの観点からみてもっとも大 きな課題は軽量化であり,低コスト化である。このため ヨーロッパで「3 リッタ/100km」などにみられる燃費 向上の動き,コンパクト化の動きがふたたび活発化し,

この軽量,コンパクト化を妥当な価格で提供することが 我々素材産業の使命となっている。

軽量化の具体的な動きとして欧米でアルミ化の動きが ここ数年活発となり多くのアルミメーカが自動車産業と 共同開発を進めている。また鉄鋼産業でも,国際鉄鋼連 盟が高張力鋼と新成形法をもちいた安全性の高い軽量車 体構造「ULSAB」の提案をおこなっている。

2. 材料技術

鉄鋼材料:衝突安全性の向上や軽量化の観点から車体構 造の変化が予想され,板材での高張力鋼や超高張力鋼の 適用拡大が期待される。同様に,条鋼では高強度歯車用 鋼,高速度懸架ばね鋼および高強度タイヤコード用鋼の 開発が活発におこなわれている。

いっぽう,低コスト化や省エネルギへの対応のため工

程省略材あるいは環境問題への対応から鉛フリー快削鋼 のニーズも高まっている。

アルミニウム材料:モノコックボディ主体からスペース フレームボディの採用への変化が見られ,押出形材での 開発が活発になっている。また板材では成形性にすぐれ る 5000 系が主体であったが,焼き付け塗装後の強度にす ぐれ,押出材との材質統合などリサイクルの観点からも すぐれる 6000 系への集約が大きな課題である。さらに鋳 鍛品でも足廻りを中心として開発が進められている。

樹脂材料:コスト削減とリサイクル性改善から材質統合 が進められ,汎用樹脂であるナイロンやポリプロピレン の採用が高まると考えられるが,環境問題からいっそう の改善が必要である。またこれらの複合材料の性能向上 も課題である。

3. 加工技術

成形技術:アルミニウム合金や高張力鋼は従来の冷延鋼 板にくらべて成形性が劣るため,材料の成形性改善に加 えて,たとえば液圧成形や可変しわ押さえなどの成形技 術の開発がおこなわれている。また押出形材や鋼管の特 長を活かした用途拡大のため液圧バルジ成形の開発も進 められている。

接合技術:従来のスポット溶接に加え,強度や剛性の向 上などを目的として接着,スポットと接着の併用,リベ ットその他の機械的接合など種々の開発が進められてい る。また,テーラブランク法でのレーザ溶接,MIG 溶 接,鋼板でのマッシュシーム溶接,アルミフレームでの MIG,TIG などこの分野での課題は多い。

設計技術:自動車の全体設計に加えて,材料の特長を最 大に活かす観点からも部材設計が重要になってくる。さ らに安全性,居住性,走行性の向上のためにも設計に必 要な材料データの収集がおこなわれている。

むすび=当社は総合材料メーカとして自動車産業ととも に,新材料,新技術をもって 21 世紀にむけて新しいコ ンセプトの創造によりあらたな自動車文化の構築に貢献 してゆく所存である。このような観点から本特集を編纂 するにいたっており,自動車産業の皆様から忌憚のない ご意見をいただければ幸いである。

■自動車用材料特集 FEATURE : Materials Technology for Automobiles

自動車用材料特集号の発刊にあたって

高田

代表取締役副社長

Recent Trends in Materials Technology for Automobiles and R&D Activities in Kobe Steel

Osamu Takata

神戸製鋼技報/Vol. 47 No. 2(Sep. 1997) 1

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