電流と磁界
磁気
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磁石:鉄などを引きつける力(磁力)を持つ
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地球も大きな磁石(磁気双極子):地磁気を発生
磁力線 N極→S極
磁力線の束=磁束 (単位: ウェーバー[Wb])
単位面積あたりの磁束=磁束密度(磁場)B (単位 テスラ[T]=[Wb/m2])
磁界 H=B/μ0 (真空中)単位[A/m] μ0:真空の透磁率 磁石
N極 S極
地磁気の大きさ~45000nT(東京付近)
電流
連続の方程式
j tv j
enSv I
三次元では、
両辺をSで割ると、
𝐼: 電流[C/s]
𝑒: 電気素量[C]
𝑛: 電子密度[1/m3] 𝑆: 断面積[1/m2]
𝑣: 電子の平均速度[m/s]
𝑗 = 𝐼/𝑆 [ 𝐶 𝑚2 ∙ 𝑠]: 電流密度 𝜌 = 𝑒𝑛 𝐶 𝑚3 : 電荷密度 電流とは、荷電粒子(自由電子など)の流れである。
電場E 陽イオン 導体
電子
eE kv
電子は電場から力eEを、陽イオンなど から抵抗力kvを受け、平均の速さvで 運動している。
v
長さ x = vt
断面積 S
v 導体 電子
電荷と電流
電荷(密度)↔電場E(電束密度D)
電流(密度)↔磁界H(磁束密度B)
定常状態
ˆ ), 2
(
4 ˆ , 1
0
2 0 0
r H I
j H
j B
r r E Q
D E
0 0
B
E
電場の渦はない
磁場の湧き出しはない
Q
E
磁束保存の式
𝜵 ∙ 𝑩 = 0
磁場の「湧き出し」(磁気単極子=モノポール)
は存在しない
𝐸 𝐵
磁束保存の理由
0 ∞ 0
Ψ4∞
Ψ3
球面を無限遠点に縮めることはできない
→磁気単極子(モノポール)が存在しない
電場=ψ3 磁場=ψ4
球面を1点(原点)に縮める
→点電荷
アンペールの法則(定常状態)
定常状態においては
電流の周りに磁場の渦ができる
B
0 j
r I H B
r B I
I l
d B S
d
B C
S
2
2 0
0
0
または、
積分形
I:積分領域Sを貫く総電流(A)
H: 磁界 単位:[A/m]
電流I
紙面の裏から表
磁界H
反時計回り
r H I
2
電流I
紙面の表から裏 磁界H 時計回り
r r
電流I 電流I
磁界 磁界
上から下
紙面の表から裏 紙面の裏から表 紙面の裏から表
下から上
直線電流と磁界
電流
磁界 O
地平面上の点Oを通る大きさI[A]の直線電流が鉛直上向き に流れている。以下の地点における磁界の強さHと向きを それぞれ求めよ。
(1)I = 3.14A, Oから東に1.0m離れた地点 → H =
( )A/m, 向き( )
(2)I = 6.28A、Oから北に0.50m離れた地点 → H =
( )A/m、向き( )
(3)I = 5.0A, Oから西に2.5m離れた地点 → H =
( )A/m、向き( )
(4)I = 2.4A, Oから南に0.48m離れた地点 → H =
( )A/m、向き( )
電流I 磁界H 磁界
H(中心)=I/2r
円形電流↔中心に磁界
円形電流がつくる磁界
円形電流があると、その中心に短い棒磁石があるのと同 じような磁界が発生する。地磁気と同様、磁気双極子に よる磁界である。
半径r[m]の1回巻き円形コイルに右ねじを回す向きに I[A]の電流を流したとき、円の中心にできる磁界の向きは 右ねじを進める向きであり、強さH[A/m]は
H = I
N回巻きコイルの場合の磁界の強さは2r H = NI
となる。 2r
問:水平面に置かれた半径0.10mの1回巻き円形コイル に反時計回りに2.0Aの電流を流した。このとき、円の中 心にできる磁界の向きは(鉛直上・鉛直下 )向きであ り、大きさは( )A/mである。
ソレノイドがつくる磁界
電流I 磁界H H=nI
(nは単位長さあたりの巻き数)
ソレノイド
導線を円筒状に巻いたコイルをソレノイドという。密に 巻いた十分長いソレノイドの内部の磁界は、場所によら ず強さも向きも一定である(一様な磁界)。ソレノイド を流れる電流をI[A]、1mあたりの巻数を n[回/m]と したとき、ソレノイド中の磁界の強さH[A/m]は、
H=nI
電流の向きを、右ねじを巻く向きとすると、磁界の向き は右ねじを進める向きである。
問) 巻き数200、全長0.20mの細長いソレノイドに 3.0Aの電流を流した。このときソレノイドの内部の磁界 の強さを求めよ。
一様磁場中の電流(電荷)にはたらく力
) ( 0
H I
B I
F
B v
q
f
ローレンツ力 フレミング左手の法則
真空中 磁場B 電流I
力F
速度v 磁場B
力f 荷電粒子 電気量q
𝑣 × 𝐵 = 𝑣𝑦𝐵𝑧 − 𝑣𝑧𝐵𝑦, 𝑣𝑧𝐵𝑥 − 𝑣𝑥𝐵𝑧, 𝑣𝑥𝐵𝑦 − 𝑣𝑦𝐵𝑥
電流が磁界から受ける力
強さE [N/C]の電場の中に置かれた電荷q [C]は電場からF = qE [N]の 力を受ける。
同様に、磁界中に置かれた電流は磁界から力を受ける。
真空中における磁束密度B[T] の磁界と垂直に置かれた長さl [m]の導 線に電流I [A]を流したとき、導線が受ける力F [N]は、
F = ( )
と表される。左手の中指を人差し指に対して90度折り曲げ、親指を 立てたときに、電流の方向を中指の方向、磁界の方向を人差し指の方 向とすると、力の向きは親指の方向である。これをフレミング左手の 法則という。
FをBの代わりに磁界H[A/m]を用いて表すと、
B = μ0Hより、F = ( )
μ0は真空の透磁率=4π×10-7[N/A2]。
問) 鉛直上向きで強さ10A/mの磁界中において、長さ0.20mの導線を真空中に置き、南か ら北の方向に4.0Aの電流を流した。導線が磁界から受ける力の向きと大きさを求めよ。透磁 率は真空の透磁率 (μ0=4π×10-7N/A2)を用いること。円周率は3.14とし、有効数字2桁で 求めよ。
ローレンツ力
電流を荷電粒子(キャリア)の運動と考えると、磁界中 の荷電粒子は磁界から力を受けると考えられる。この力 のことを、ローレンツ力という。荷電粒子の電気量をq [C]、速度をv [m/s]、磁束密度をB [T]とすると、ロー レンツ力f [N]は
f = ( ) と表される。
問) 磁束密度の大きさB = 2.5×10-5 [T]の磁界中を 磁界に垂直に電子が速さv = 1.2 ×103 [m/s]で運動して いる。電子にはたらくローレンツ力の大きさf [N]を求め よ。ただし、電子の電荷を-1.6×10-19[C]とする。
速度v 磁場B
力f
荷電粒子 q>0
q<0
一様な磁界中の荷電粒子の運動
速度v 磁場B
力f q>0
磁束密度の大きさB[T]の一様な磁界に電気量の大きさ
(絶対値)がq[C]の荷電粒子が磁界の向きに速さv[m/s]
で垂直に入射した場合を考える。荷電粒子にはたらく ローレンツ力(大きさf = ( ))の向きは、粒子の運 動方向と常に垂直なので、ローレンツ力は荷電粒子に とって向心力としてはたらき、荷電粒子は円運動をする。
円運動の半径をr [m]、荷電粒子の質量をm [kg]とすると、
運動方程式は、
( )
の関係が成り立つ。これよりr = ( ) また、円運動の周期T [s]は、
T = 2πr / v = ( ) となって、vとrに無関係となる。
正の荷電粒子と負の荷電粒子はローレンツ力の向きが逆 になるので、回転方向は互いに逆向きになる。磁界の向 きを鉛直上向きとすると、正の荷電粒子の回転方向は
( 時計回り・反時計回り )であり、負の荷電粒子の 回転方向は( 時計回り・反時計回り)である。
速度v 磁場B
力f
q<0
q<0
2本の平行な直線電流の間にはたらく力
I1 r I2
H1 F
P Q
じゅうぶん長い2本の導線PおよびQが、真空中に距離 r[m]離れて平行に置かれている。導線Pには電流I1[A]、
導線Qには電流I2[A]が流れている。このときPの周りに は、右ねじの法則により、同心円状の磁界ができる。導 線Qの位置の磁界の強さH1[A/m]は、
H1 = ( ) ・・・(1)
導線Qはこの磁界から力を受ける。力の向きは、フレミン グの左手の法則より、I1とI2が同じ向きのときは( 引 力・斥力 )、逆向きのときは( 引力・斥力 )とな る。また、導線Qの長さl [m]の部分が受ける力の大きさ F[N]は、μ0、I2、H1、 l を用いて、
F = ( )
これに(1)を代入すると、
F = ( )・・・(2)
問) 電流I2がつくる磁界から導線Pの長さl [m]の部分が 受ける力を同様に計算しなさい。
問) I1 = I2 = 1[A], r = 1[m], l = 1[m]のときFを求め よ。ただし、μ0=4πx10-7[N/A2]とする
電流 磁界 磁界
磁界
モノとみなす
空間とみなす