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公民館の飲食サービス設備に関する研究

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Academic year: 2021

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公民館の飲食サービス設備に関する研究

-施設形態別事例研究-

日大生産工(院) ○大川 輝 日大生産工 浅野 平八

1.研究の背景と目的

「公の施設」の設置に関わる法iでは、施設 での飲食禁止を定めていないものの、市区町 村の内規では原則として禁止しているところ が多くあり、社会教育施設である公民館での 飲食行為は施設管理側が受け入れにくい実態 がある。このように、多くの公民館では飲食 行為を原則禁止しているため、飲食サービス 設備が有効に機能しにくい状況がある。これ は教育施設である公民館での飲食行為が、直 接利用者の知識や技術の向上に繋がらず、成 果として把握しにくい事があげられる。しか し公民館で行われているサークル活動は、団 体で利用することも多く、個人では成果が上 がりにくい活動もあり、利用者同士のコミュ ニケーションが重要である。そこで、飲食を 通した交流が、互いの気持ちをリラックスさ せ、親睦を深め結束力を固めることに役立つ。

こうしたなか、様々な飲食行為がみられる 公民館も存在する。調理実習後の試食をはじ め、茶道サークルなどの居室を利用した飲食 や、ロビー・エントランスでの飲食などであ る。給水機や自動販売機、湯沸室などが設置 されている公民館は多く、施設内で飲食行為 を見かけることがある。カフェや喫茶コーナ ーを設けている公民館では、利用者に軽食を 提供している。

そこで本研究では、利用者の飲食行為を積

極的に受け入れ、気軽に利用できる施設とし て機能するための方法を、公民館の飲食サー ビス設備について考察する。

2.研究の方法

調査対象施設は、首都圏内の公民館を対象 としたアンケートiiにおいて、飲食を行える空 間があると回答を得た施設のうち、施設形態 の異なる4施設を抽出し観察調査とヒアリン グ調査を行なった。

調査対象とする施設の形態は以下の4事例 である。

①公民館に食堂やレストランがなく、飲食 専門店舗のある施設と複合や併設していな い公民館単館の事例、

②ショッピングセンターなどの商業施設と 同じ建物内に複合されている公民館の事例、

③公民館内にレストランなどの飲食専門スペ ースを有する施設の事例、

④併設された福祉作業所が在り、障がいiii者が 運営する飲食専用設備がある事例。

各々の施設について観察調査と施設職員を 対象としたヒアリング調査を実施した。同建 物内に飲食専門店舗がある事例②、施設内に レストランがある事例③については、さらに 飲食行為が確認しやすい昼食の時間帯11:30

~13:30の2時間、その場所に滞在し観察調査 を行った。

A Study on the Service Equipment of Kominkan.

- A Case Study of Severa1 Plan Types. - Akira OKAWA Heihachi ASANO

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3.飲食サービス設備の複合形態が異な る飲食行為の実態

飲食サービス設備とは、飲食を伴う行為を 行う際の食器や調理器具など備品と、飲食行 為に利用できる、机や椅子を含めた空間をい う。施設形態の異なる事例ごとの調査結果を 以下に示す。

3-1公民館に食堂やレストランがなく、飲 食専門店舗のある施設と複合や併設していな い公民館単館の事例

船橋市公民館24館を対象とし調査を行った。

飲食行為における場所の選択理由を表1に示 す。

表1.飲食行為における居室選択理由

居室名 理由

①小集会室

高齢者がヒザの痛み等身体上のの理由で和室 よりも椅子のある部屋を好んで利用する。調理 実習での成果品を会議室に移って試食を行う 事がある

②大集会室 祭りの打ち上げや敬老会など大人数の飲食行 為の場合に利用する

③調理室 実習後にその場で飲食を行う事がある

④和室 隣接している大集会室など発表会の控室として 利用され飲食が行われる

⑤音楽室・スタジオ

絨毯が敷かれているため、直接床に座る事が できる環境が整っているので、子供の談話会な どの会合で利用する

⑥体育・レク室 運動中の水分補給などで飲料水を飲む

⑦施設内オープンスペース 居室の利用時間外に、知人の待ち合わせなど で利用する

小集会室は、会議や集会目的以外に表1①の 理由でも利用されるため、他の居室より飲食 行行為が多くみられ、目的の会合ごとに机、

椅子の配置を変え利用し、終了時は元の状態 に戻すことが施設内規則として決められてい る。そのため飲食行為前の準備が必要であり、

気軽に飲食が行えない。以上の事から施設内 で自由に利用できる場所はオープンスペース である。居室で行われる飲食行為に比べても オープンスペースは、個人利用者や居室を利 用しない小学生など、利用者に幅があり飲食 の場として重要である。

3-2商業施設と同じ建物内に複合されてい る公民館の事例

東京都多摩市の公共施設のうち、公民館は 2施設あり、以下は商業施設内に位置してい る永山公民館の事例である。

永山公民館(図1、①~④のスペースを示 す)での飲食行為は、主にスペース②喫茶・談 話コーナーおよびスペース③学習コーナーに おいて確認できた。エントランスは主に、展 示、案内などの情報提供のスペースとなって おり、エントランスホール一画のベンチbで は、②のスペースが満席となった場合に、昼 食等の飲食行為が行われる。また②では併設 されたショッピングモールの広場で、バザー などイベントが行われる場合に満席となるこ とが多く、イベント等が無い場合は来館者の 飲食が②③で収まるため、④のエントランス ホールに設置されているベンチb、c、dを 使った飲食行為は少ない。このことで、エン トランスホールには展示や掲示、行事案内な どの情報提供の設備の充実につながっている。

また、同施設内にある会社や事務所の職員 が、民間の飲食店舗以外に、昼食など飲食を とる場所の選択肢の1つとして、公民館内の喫 茶コーナーを利用する。そのため、公民館利 用者が飲食サービス設備を利用できない状況 が起こる事例がみられた。

図1.永山公民館の飲食サービス設備 3-3公民館内にレストランなどの飲食専門 スペースを有する施設の事例

羽村市生涯学習センターゆとろぎ(以下, とろぎ)は2006年に新築された施設である。

羽村市にはゆとろぎ以外に公民館が無く、地 域住民にとって唯一の文化・教育施設である。

施設内には民間が経営する喫茶室が設置され ている。図2は施設内全体で飲食可能な場所

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を記した平面図、図3は施設内の喫茶室の平 面図である。

ゆとろぎでは、喫茶室以外に、大ホール前 のラウンジやホワイエなどのオープンスペー スで飲食行為が可能である。レストラン内は、

注文の食事以外の飲食は、禁止されているた め、それ以外の飲食はオープンスペースで行 う事となる。図2に示すB1F、1F、2F では、①③や⑤などのスペースである。この うち①や③には、近くに自動販売機とゴミ箱 が設置されている。そのため利用者も飲食可 能な場所として把握しやすく便利であるため、

それ以外では飲食を行うことは少ない。例外 は、3Fの屋外スペース⑥いこいの場を使っ た飲食があり、大ホールで公演等が開催され たときに④の軽食コーナーで軽食の販売が行 われる場合がある。②の喫茶室利用者は、施 設周辺に飲食店舗がない事も影響し、併設さ れる図書館の利用者も多く訪れる。サークル 仲間や複数の知人との飲食交流は喫茶室で行 う。10人程度の集団の場合、図3に示す、

Aのスペースを利用して座席を増やし空間を 確保する。追加する座席は通常、Bの階段下 にむき出しの状態で保管してある。喫茶室に 収まりきらない集団の場合、喫茶室経営側が、

施設内の各居室に弁当を配達するサービスを 行っている。このサービスによりゆとろぎで は、3-2の事例のように喫茶室が満席になり、

公民館利用者が喫茶室を利用できない状態は 起こりにくい。

以上のサービスや利用形態により、ゆとろ ぎでは、居室での飲食行為は集団利用、個人 利用者の飲食行為はオープンスペースを利用 するかたちが形成されている。

3-4併設された福祉作業所が在り、障害者 が運営する飲食専用設備がある事例

浦安市当代島公民館では、障がい者への社 会の理解を得、彼らの自立を支援する場とし て、小規模福祉作業所「ワーク・デ・あいら

んど」が営業する喫茶コーナー、「カフェ・

図2.ゆとろぎ施設内、各階飲食可能な場所

図3.ゆとろぎ施設内、喫茶室平面図

デ・あいらんど(以下カフェ)(図4)を設け ている。障がい者が主に活動する空間と、障 がいの無い一般利用者が活動する空間とでは、

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設けられている飲食サービス設備に違いが有 るため、公民館における障がい者の活動空間 を調査する事は、公民館の飲食サービス設備 の設計計画に有効な知見を得る事に繋がる。

カフェは土日、祝日を除く平日の10:00~

15:30の時間帯で営業している。カフェでの 仕事(表2)は障がい者を支援する職員と、

異なる障がいを持つスタッフを組み合わせて 作業が分担されている。

表2より、障がい者を含めカフェでの作業 人数は9人となりサポートスタッフが就く分、

通常より作業スペースが必要になることが分 かる。カフェは公民館建設当初の計画では予 定されていない施設であったため、ガス機器 が完備されておらず、①にある調理器具は全 て外部から持ち込んだ器具であるため、収ま りも悪く、昼食の時間帯では、ボランティア が3名入り作業するためスペースが狭い。レ ジ・カウンター②では、ドリンクサーバーが 設置されており、障がい者の作業のミスなど を防ぐために、氷の数などを記した表や、利 用するコップごとに別のボックスに分けてい る。また、カウンター作業担当者の動きが混 乱しない工夫として、流し台の下にゴミ箱を 設置したり、眠気防止や作業担当者の声が客 席に漏れないように、オーディオコンポを設 置したりと備品が多く、通常よりも広い作業 スペースが必要となっている。④の客席では 飲食目的に訪れる人以外に、カフェスタッフ が作業台の変わりに使用することがある。③ はサークル後の集団の利用者が主に利用する。

図4.当代島喫茶スペース平面図

表2、カフェの作業分担人数と仕事内容 作業担当者人数 仕事内容

ホール 1 注文の受付など接客業

ドリンク 2 ドリンク、サラダの準備、皿洗いの他 に、ホールと厨房を繋ぐ役割 レジ対応 1 会計と、クッキー等の軽食販売 サポート 5 障がい者の支援・作業サポート

4.まとめ

飲食サービス設備における施設形態から以 下の知見が得られた。

1)公民館単館では、自由に利用できるオープ ンスペースが重要な飲食サービス設備である。

2)商業施設と複合している公民館では、公民 館以外の同施設利用者が、飲食の場の選択肢 の1つとして公民館内の喫茶室を利用する。

3)館内に飲食サービス専用の施設がある場合、

複数名での飲食行為は喫茶室、個人利用者の 飲食行為はオープンスペースを利用する。

4)飲食サービスを福祉作業所として行う場合、

障がい者のサポートスタッフが就くことや、

作業工程などを記す表など備品が多いため、

通常より広い作業スペースが必要となる。

以上より、公民館を飲食の場として利用す ることが可能である事がわかった。積極的に 飲食行為を受け入れる事で活気を生み、気軽 に利用できる施設として機能するための付帯 設備として重要である。そのため公民館の飲 食サービス設備の整備を各施設で検討するこ とが望まれる。

なお3-4の事例は浅野研究室の江口美沙子 さんの調査協力によるものである。

[注釈]

i 地方自治法,第十章,公の施設,第224条、社会教育法,第五 章,公民館,第23条において、公民館の使用を拒否する理由の うち、施設内での飲食を禁止する項目はない。

ii 2007年度科学研究費補助金「公的集会施設における飲食交 流に関する研究」による。

iii 現在では害という文字に、悪影響や妨げになる、などの 意味を含むため、障がい者と表記している。

参照

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