- 162 - 日本公民館学会年報第 17 号 2020 年 1.スプリングフォーラム 2020 プログラム 「SDGs を地域で推進するために公民館(社会教育施設)の果たすべき役割」 日時:2020 年 3 月 21 日(土)午後 1 時 00 分~午後 4 時 15 分 会場:板橋区立成増生涯学習センター (東京都板橋区成増 1-12-4) アクセス:東武東上線成増駅より徒歩 7 分、メトロ有楽町線副都心線 地下鉄成増駅より徒歩 5 分 参加費:無料 共催: NPO 法人ボランティア・市民活動学習推進センターいたばし NPO 法人みんなのたすけあいセンターいたばし SDGs いたばしネットワーク 協力:板橋区教育委員会 【プログラム】 13:00 開会 13:30 ~ 14:00 板橋の取り組み報告 「SDGs いたばし宣言について」 土居弓子(SDGs いたばしネットワーク) 「小学生、中学生が学ぶ SDGs, 地域での平和学習」 佐治真由子(SDGs いたばしネットワーク) 14:15 ~ 15:30 「障がい者の生涯教育について」 井口啓太郎(文部科学省・国立市) 「学区と地域社会について」 丹間康仁(帝京大学教育学部) 「SDGs の達成をめざす岡山市の公民館」 内田光俊・田中純子(岡山市立公民館) 15:30 ~ 16:15 総括討論 17:00 ~交流会 菜彩厨房(会費は 3300 円) 【お問い合わせ先】 山本秀樹(日本公民館学会副会長) [email protected] スプリングフォーラムは新型コロナウィルス感染症のため中止となり、各報告は、本誌第二部に掲載して います。
- 163 - 第六部 研究活動報告 2.2020 年 7 月集会 プログラム 日時:7 月 19 日(日)12:30 ~ 17:00 方法:オンライン集会(Zoom 利用) 12:30 開会 ①課題研究「公民館における平和学習」(12:30 ~ 14:30) テーマ「社会教育 ・ 公民館実践における平和学習の展開」 12:30 ~ 12:40 司会(田所祐史理事) 12:40 ~ 13:10 谷岡重則氏 「地域に『平和のための学習』を広げるために」 13:20 ~ 13:50 中村高明氏 「川崎市の平和・人権学習 35 年の歩み」 13:55 ~ 14:30 全体討議・まとめ ②特別プロジェクト 「コロナ感染症と公民館-ポストコロナ社会を拓くために」(15:00 ~ 16:50) 15:00 ~ 15:10 趣旨説明 山本秀樹 副会長 15:10 ~ 15:30 岡幸江理事「コロナ禍下で公民館は何に直面したのか- WEB 調査より」 15:30 ~ 15:50 田中純子会員「岡山市の公民館の取り組み」 15:50 ~ 16:10 翁昌史・中村路子氏「久留米市・オンライン公民館の挑戦」 16:10 ~ 17:00 全体討議・まとめ 17:00 閉会 ◎参加希望の皆様へ ・今回は、参加費無料で一般公開して行ないます。 関心をお持ちの方はどなたでも、事前申し込みによりご参加いただけます。 ・学会ホームページより、事前参加申し込みをお願いします。(7 月 12 日(日)〆切) ・事前申し込みをされた方には、7 月 17 日(金)までに Zoom の URL と報告資料をメールにて送 付いたします。 【日本公民館学会事務局】 〒 305-8572 茨城県つくば市天王台 1-1-1 筑波大学人間系(教育学域) 生涯学習・社会教育学研究室気付 080-3402-5967 [email protected] ②特別プロジェクト「コロナ感染症と公民館-ポストコロナ社会を拓くために」の報告は、本誌第一部に 掲載しています。
- 164 - 日本公民館学会年報第 17 号 2020 年 〈課題研究「公民館における平和学習」〉
記録とまとめ
生島美和 弘前学院大学 1.「公民館における平和学習」課題研究の設定 経緯と本テーマの趣旨 本学会としてはこれまで、九条俳句訴訟をめぐ り争点となった公民館における学習の自由や政治 的中立性について、また社会教育法 23 条の「禁 止事項」の内実の理解について、まさに公民館を かたち作ってきた法・制度の理念の解釈やその「見 えにくさ」への省察に触れ、公民館の現場に起こ る様々な具体的課題にも着目しながら議論を深め てきた。その過程では、民主主義をつくる社会教 育・公民館の実践および研究において、学習の 自由に基づき、政治・憲法学習を含む平和構築 学習の現代的展開の方向性やその意義について 確認し、議論する必要性が浮かび上がってきた。 2019 年度の 7 月集会では、会場となった広島 市の公民館における平和学習の蓄積に学び、戦 争体験の継承のみならず多文化共生、原発問題 といった観点から平和構築に向けた学習の必要性 が提示されてきた。そして同年 12 月山形大学で 開催された学会大会で今後の研究課題の設定に 向けたセッションにおいて、先の 7 月集会でのコ メンテーターであった佐藤一子会員からの提起を 受け、2020 年 7 月集会から「公民館における平 和学習」がキックオフすることとなった。 この 7 月集会では「社会教育 ・ 公民館実践に おける平和学習の展開」をテーマに、谷岡重則 氏からこれまで展開されてきた平和学習の実践に ついて概容をご説明いただいた上で、その対象や 検討課題が提起された。また中村高明氏により川 崎市で展開されてきた平和・人権学習について、 年代ごとに見られる関心事の推移や事業が支えら れてきた背景・展望について考察された。そして お二方のご報告を呼び水としながら、公民館と平 和学習をどのようにむすびつけていくか、この課 題をどのように取り扱っていくか、研究課題の焦 点化、対象・方法について議論を深めていくもの とした。 2.質疑・全体討議 以下では全体討議について記すことにしたい。 まず、写真展や語り部など悲惨な事態を知る機 会を設けるといったことから、さらに学習を深めて いくような講座の設定や実践事例について複数の 質問が寄せられた。実際に講座を実施した経験か ら、谷岡氏は、被爆体験者で地域の運動に関わっ てきた人により、その暴力性について、またそれ が過去のものではなく痛みと苦しみを持ち続けて いることが語られたことを例に、語り手の発掘とそ の語り方の重要性を指摘した。また、中村氏から は、高齢者の戦争体験について、昔の写真や絵 などを使いながら自分で物語をつくり、語る(発 表する)手法を利用した講座を実施したところ、 その制作プロセス自体が当事者の学びとなり、ま たその語り(発表)を聞いた人によっても自分た ちの生・暮らしについて考える機会となったことが 触れられた。いずれにおいても、戦争・被爆経験 者である語り手と経験をしていない聞き手との「対 話」が、参加者同士の時代認識や人権・平和へ の学びを現代社会における暮らしに紐づけて確認 し熟考する機会となっていたこと、またそうした場 は公民館こそ実現しうるものであることが示唆され た。 一方で、こうした平和学習講座を公民館におい て実施していくことの困難さについても指摘され た。例えば、平和学習を戦争経験の伝承のみな らず、憲法学習、原発問題、多文化共生などと テーマを拡大し、一人ひとりの人権の尊重、平和 な地域社会の創造を目指す活動として市民による 企画委員会の組織化や企画の実施を行うにあたっ ては、職員自身が課題に対する関心を深めること、 学びの公共性・政治的中立性を実現する専門性、 そして職員や市民の間での学びの蓄積と継承が求 められる。その一方で、高齢化や短期での人事異 動によりこうした学習の実現が困難になっている 現状が指摘された。また、設置者や議会から政治- 165 - 第六部 研究活動報告 的志向のある課題として捉えられたり、事業評価 が強く求められる今日の行政運営のもとで、公民 館が自立し、平和・人権学習を公共的な課題とし て住民とともに事業を展開していくにあたっては、 それを支える公民館のシステムや主事・職員集団 での討議、教育計画における表現や趣旨の具体 的表記、他部局との連携など求められることが述 べられた。 3.成果と課題 この 7 月集会は本学会として初めて Zoom を使 用したリモート開催であり、試行錯誤の中でも通 常開催時とできるだけ近い形で実施することを試 みた。こうした実施形態やそれに伴う時間的制約 もあり、当初企画者側が設定していた研究課題の 焦点化や対象・方法についての提起を充分に得 られたとはいいがたい。しかし、この「公民館に おける平和学習」研究をキックオフするにあたり、 これまで各地で実施されてきた社会教育・公民館 実践での平和学習を概観しその課題を共有する機 会にはなりえたのではないだろうか。今回の全体 討議において、多くの関心は社会教育行政や公民 館において平和・人権学習の講座づくりとともに、 公民館の管理・運営体制や、職員の専門性といっ た本学会が議論し続けてきている課題と結びつく ことにもなった。 今回は議論に上がらなかったが、平和構築学 習は公民館を拠点にして実施されるもののみなら ず、戦争遺構や博物館における資料の活用、語り 部や伝承を行う市民活動グループ、また地域や行 政単位を超えた社会運動などで実践が拡がってい ることも特徴の一つである。今後、これらと公民館 との交流・連携も視野に置きながら多面的に研究 課題を深めていくことが必要であると考えている。