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分担研究報告書 

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金  難治性疾患等政策研究事業  IgG4 関連疾患の診断基準並びに治療指針の確立を目指した研究 

分担研究報告書 

 

IgG4 関連疾患におけるサイトカイン産生細胞に関する研究  

 

 研究分担者  吉野  正  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科  病理学  教授  研究協力者  佐藤康晴  岡山大学大学院保健学研究科  病態情報科学  准教授 

 

研究要旨:IgG4 関連疾患の病変部において Th2 および Treg サイトカインの発現が亢 進している事が知られており、病態形成機序に重要な役割を果たしていると考えら れている。これらサイトカインが、リンパ球や形質細胞の浸潤、IgG4 産生、線維化、

好酸球浸潤、高 IgE 血症などの特徴的な所見を形成していると推測されている。従 来は T 細胞自体がこれらのサイトカインを産生していると考えられていたが、近年 では様々な細胞がサイトカインを産生する候補として挙げられている。我々の研究 において、これらサイトカインがマスト細胞によって産生されている可能性が示唆 された。 

  A.研究目的 

  IgG4 関連疾患の病変部では IL‑4 や IL‑13 といった Th2 系サイトカインと IL‑10 や TGFbeta といった Treg 系サイト カインが発現亢進していることが知られ ている。これらサイトカインは T 細胞か ら産生されていると考えられているが、T 細胞のみがこれらサイトカインを産生し ているとするには説明がつかない現象が 多々ある。さらには、現時点において T 細胞がこれらサイトカインを産生してい ると明らかにした報告は見受けられない。

そこでサイトカイン産生細胞を同定する 目的で解析を行った。 

 

B.研究方法 

  IgG4 関連顎下腺炎を対象とし、そのコ ントロール群として唾石症および口腔癌 等で廓清された正常顎下腺をもちいた。

これらのサンプルを免疫染色、パラフィ ン材料から RNA を抽出し RT‑PCR にて既述 の Th2 および Treg 系サイトカインの定量 およびコントロール群との比較検討をお こなった。 

 

今回の研究で用いたサンプルは、すべて 病理検査用に採取され診断後の残余検体 をもちいた。加えて岡山大学倫理審査委 員会にて審査、承認後に研究を開始した。 

 

C.研究結果 

  IgG4 関連顎下腺炎においては、IL‑4,  IL‑10, IL‑13 および TGFbeta の各種サイ トカイン陽性細胞がコントロール群に比 して統計学的に有意に増加していた。また、

RT‑PCR による各種サイトカインの mRNA の 定量を行ったところ、免疫染色結果と同様 に有意差をもってコントロール群よりも 高い傾向にあった。 

免疫蛍光二重染色において、いずれのサイ トカイン陽性細胞も c‑kit に陽性を示し ており、マスト細胞が産生していると考え られた。 

今回の研究では意義は明らかにすること は出来なかったが、IgG4 関連顎下腺炎に おいて、これまでの報告と同様に統計学的 に有意に Treg 細胞の増加が認められた。 

 

D.考察   

  マスト細胞は従来1型アレルギーに関 与することで有名であり、IgE と結合する 事でヒスタミンを放出する事がよく知ら れているが、近年では各種のサイトカイン を産生する役割も広く知られるようにな り、幅広い免疫反応の経路で重要な役割を 果たしていると考えられている。我々の検 討では、IgG4 関連疾患の病態形成機序に おいて重要と考えられる IL‑4, IL‑10, 

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72 IL‑13, TGFβ1 といった Th2 あるいは Treg 系サイトカインの産生をマスト細胞が行 っている可能性が示唆された。主に IgG4 関連疾患の罹患者に花粉症、喘息あるいは アトピーなどのアレルギー疾患の多い事 や高 IgE 血症が多い事がこれまで知られ ており、これらのアレルギー反応や高 IgE 血症がマスト細胞の Th2 あるいは Treg 系 サイトカイン産生を亢進させる原因とな る可能性が考えられる。興味深い事に IgG4 関連疾患で IgE の免疫染色を行うと マスト細胞の細胞膜のみでなく細胞質に も陽性に見えるような強陽性細胞が多く 見られる事が分かり、これはコントロール 群では全く見られない現象であった。これ は IgG4 関連疾患においてマスト細胞が IgE を介する過剰な刺激を受けている可 能性を示唆する結果と考えられる。IgG4 関連疾患とアレルギー反応の関連性につ いては現在 controversial な状態である が、少なくとも今回の結果ではマスト細胞 がこれらのアレルギー反応とサイトカイ ン産生を繋ぐ役割を果たしている可能性 が示唆された。 

  E.結論 

  今回の研究において、IgG4 関連疾患の 病態形成に重要とされている Th2 あるい は Treg 系サイトカイン産生にマスト細胞 が大きく関与している可能性が強く示唆 された。今後は T 細胞とマスト細胞の関 連性やアレルギーを引き起こす抗原の関 与、T 細胞自体のサイトカイン産生につい て検討する必要があると考える。 

 

F.健康危険情報  特記すべきものなし   

G.研究発表  1.論文発表 

1. Takeuchi M, Sato Y, Ohno K, Tanaka S, Takata K, Gion Y, Orita Y, Ito T, Tachibana T. Yoshino T. T helper 2 and regulatory T cell cytokine production by mast cells: A key factor in the pathogenesis of IgG4-related disease.

Mod Pathol 2014; 27(8): 1126-1136.

2. Takeuchi M, Ohno K, Takata K, Gion Y, Tachibana T, Orita Y, Yoshino T, Sato Y.

Interleukin 13-positive mast cells are increased in immunoglobulin G4-related sialadenitis. Sci Rep 2015; 5: 7696.

3. Takeuchi M, Sato Y, Yasui H, Ozawa H, Ohno K, Takata K, Gion Y, Orita Y, Tachibana T, Itoh T, Asano N, Nakamura S, Swerdlow SH, Yoshino T.

Epstein-Barr virus-infected cells in IgG4-related lymphadenopathy with comparison to extranodal IgG4-related disease. Am J Surg Pathol. 2014; 38(7):

946-955.

   

2.学会発表 

1. 佐藤康晴、吉野 正. IgG4 関連疾患 vs リンパ増殖性疾患. 第 103 回日本 病理学会総会コンパニオンミーティ ング. 平成 26 年 4 月 24 日〜26 日. 

於・広島 

2. 竹内真衣、佐藤康晴、吉野 正. IgG4 関連疾患:病態形成メカニズム解明 へのアプローチ. 第 103 回日本病理 学会総会コンパニオンミーティング. 

平成 26 年 4 月 24 日〜26 日. 於・広 島 

3. 大野京太郎、佐藤康晴、吉野 正. IgG4 関連疾患は発がんリスクになり得る か? 第 103 回日本病理学会総会コン パニオンミーティング. 平成 26 年 4 月 24 日〜26 日. 於・広島 

4. 竹内真衣、佐藤康晴、安井  寛、小 沢広明、大野京太郎、高田尚良、浅 野直子、中村栄男、吉野 正. IgG4 関 連 疾 患 に お け る Epstein‑Barr  virus(EBV)の再活性化についての検 討. 第 103 回日本病理学会総会. 平 成 26 年 4 月 24 日〜26 日. 於・広島  5. 明井孝弘、佐藤康晴、大野京太郎、

竹内真衣、吉野 正. IgG4 関連疾患リ ンパ節症におけるサイトカイン陽性 細胞の分布. 第 103 回日本病理学会 総会. 平成 26 年 4 月 24 日〜26 日. 

於・広島   

(3)

73 H.知的財産権の出願・登録状況 

(予定を含む) 

1. 特許取得 

特記すべきものなし   

2. 実用新案登録  特記すべきものなし   

3. その他 

特記すべきものなし 

参照

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